JP3602406B2 - 缶のシームギャップ発生試験方法およびその装置 - Google Patents

缶のシームギャップ発生試験方法およびその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、缶のシームギャップ発生試験方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
缶の密封性は、図8にあるように、缶胴2のフランジ部と缶蓋1のカール部がコンパウンドを巻き込みながら、二重巻締されることにより保持されている。巻締直後には保持されている巻締部の密封性も、その後の生産工程や市場に出荷されてから受ける温度変化や積み付け時の荷重などにより変化し、巻締内部に隙間が生じ(一般にこれを「シームギャップ」3という。)、まれに漏れが発生することがある。
【0003】
図9は、正常であった巻締部にシームギャップ3が発生し、ついには漏れが生じるプロセスを示している。図9(a)は巻締直後の巻締部を示している。一般に、巻締厚さTが大きく、ボディー4とカバー5のオーバーラップOLが小さいとシームギャップ3が発生しやすいといわれる。図9(b)では、温缶工程等による内圧の上昇によりカバー5が上方にずれ始め、シームギャップ3が発生している。さらに図9(c)では、製品保管時の積み付け荷重が負荷されてカバー5が下方にずれる。図9(d)では、上記の荷重が開放されて、再び缶内の圧力がカバー5を上方に持ち上げ、ギャップが発生する。このときに漏れが発生しやすい。
【0004】
一般に密封性を確認評価する方法としては、内圧を上昇させ、強制的に漏洩させる方法や、容器内外の圧力変動を測定する方法、容器の膨張収縮を測定する方法、容器内に存在する、あるいは注入したヘリウムガスや炭酸ガスなどの濃度を検出する方法などが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの試験では、市場において缶が受ける上記した変化を十分に反映していないため、これらの試験で良い結果を得ても市場では漏れが発生する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、市場において缶が受ける変化を忠実に再現し、強制的にシームギャップを発生させて、もって巻締の形状、強さなどが漏れにどの様に影響を与えるかを事前に知ることができる缶のシームギャップ発生試験方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0008】
請求項1の発明は、缶(302)の内部を加圧するステップと、缶の内部を加圧しつつ、缶の巻締部(411)を振動荷重付与装置(430)の接触部材(420)に接触させて、この接触部材を介して巻締部に振動を伝達するステップと、を備えた缶のシームギャップ発生試験方法により前記課題を解決する。
【0009】
請求項2の発明は、缶(302)の内部を加圧するステップと、缶の内部を加圧しつつ、缶の巻締部(411)を振動荷重付与装置(430)の接触部材(420)に接触させて、この接触部材を介して巻締部に振動および缶の軸心方向の荷重を伝達するステップと、を備えた缶のシームギャップ発生試験方法により前記課題を解決する。
【0010】
これらの発明によると、缶への加圧は製造時の温缶工程や流通段階における温度変化を再現し、また巻締部へ振動および打撃は、保管流通段階におけるコンベア搬送や、積み付け時の荷重の負荷および解放を再現しているので、実際に市場で発生するシームギャップによる漏れを再現する試験方法を得ることができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の缶のシームギャップ発生試験方法において、缶の巻締部外周での缶の内容物の漏れを確認するステップを備えていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の缶のシームギャップ発生試験方法において、缶の内部を加圧するステップでは缶の内部に気体を圧入し、内容物の漏れを確認するステップでは缶を水槽中に配置してシームギャップから漏洩する気泡を目視で確認することを特徴とする。
【0013】
これらの発明によれば、缶からの内容物の漏れは、水槽中に噴出してくる気泡を目視により容易に確認できるので、おおがかりな確認装置を必要とせず、また漏れを見逃すこともない。
【0014】
請求項5の発明は、請求項3に記載の缶のシームギャップ発生試験方法において、内容物の漏れを確認するステップでは、缶に封入された液体の漏れを目視で確認することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、缶からの内容物の漏れは目視により容易に確認できるので、おおがかりな確認装置を要しない。
【0016】
請求項6の発明は、請求項4または5に記載の缶のシームギャップ発生試験方法において、内容物の漏れを確認するステップでは、缶の外周部周囲に鏡(450)を配置して、直接または鏡の像を目視で確認することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、外周部周囲に鏡を配置するので、試験者は移動せずに缶の背後や側部からの漏れを確認することができる。
【0018】
請求項7の発明は、請求項3に記載の缶のシームギャップ発生試験方法において、内容物の漏れを確認するステップでは、缶を水槽中に配置して、缶の内容物として封入された強アルカリまたは強酸が水中に漏洩することにより変化する水槽中の水のPHを、センサーで感知することを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、内容物の漏れはセンサーにより感知されるので、試験者は、試験の実施中試験装置を常時監視している必要がなく、仕事の自由度を高めることができる。また内容物の漏れを見逃すこともない。
【0020】
請求項8の発明は、缶を一定の姿勢で保持する保持手段と、保持された缶の内部を加圧する加圧手段と、保持された缶の巻締部に缶の巻締部に接した接触部材を介して振動を伝達する振動付与手段と、を備えたことを特徴とする缶のシームギャップ発生試験装置を提供して前記課題を解決する。
【0021】
請求項9の発明は、缶を一定の姿勢で保持する保持手段と、保持された缶の内部を加圧する加圧手段と、保持された缶の巻締部に缶の巻締部に接した接触部材を介して振動を伝達する振動付与手段と、保持された缶の巻締部に缶の巻締部に接した接触部材を介して缶の軸心方向に荷重を伝達する荷重付与手段と、
を備えたことを特徴とする缶のシームギャップ発生試験装置を提供して前記課題を解決する。
【0022】
これらの発明によれば、缶の内部を加圧する手段により製造時の温缶工程や流通段階における温度変化を再現し、また巻締部へ振動および荷重を加える手段は、保管流通段階におけるコンベア搬送や積み付け時の荷重の負荷および解放を再現するので、実際に市場で発生しうるシームギャップによる漏れをこれらの試験装置により再現することができる。
【0023】
請求項10の発明は、請求項8または9に記載の缶のシームギャップ発生試験装置において、振動付与手段は、空気圧を利用した手段であることを特徴とする。
【0024】
また、請求項11の発明は、請求項9または10に記載の缶のシームギャップ発生試験装置において、荷重付与手段は、空気圧を利用した手段であることを特徴とする。
【0025】
これらの発明によれば、振動あるいは荷重負荷の動力源として空気圧を利用するので、比較的簡易かつ安価な装置で試験装置を構成することができる。また、空気圧を変化させることにより、容易に振動あるいは荷重負荷の強度に変化を与えることができる。
【0026】
請求項12の発明は、請求項8〜11のいずれかに記載の缶のシームギャップ発生試験装置において、保持手段は、缶を固定する治具(303)であって、缶の外周側面(410)およびネックテーパー部側面と同一形状の内面を設けた治具本体(400)を備えており、治具本体には缶を嵌合した場合に缶の巻締部にあたる位置に開口が設けられている、ことを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、缶の形状に沿った内面を持つ治具本体により缶を堅固に固定することができる。また、その治具本体は缶の巻締部の位置に開口が設けられているので、巻締外周部分からの内容物の漏れを外部から目視で確認することができる
請求項13の発明は、請求項12に記載の缶のシームギャップ発生試験装置において、治具本体は軸心を基準に自転可能であることを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、試験中に缶を常に回転させておけるので、試験者は移動せずに缶の背後や側部からの漏れを確認することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に示す1実施形態に基づき説明する。
【0030】
図1は本発明の1実施形態である缶のシームギャップ発生試験装置を示し、図2は図1のA−A線断面を、図3は図1のB−B線断面をそれぞれ示している。以下に図1〜3により、本シームギャップ発生試験装置の構成について説明する。
【0031】
テーブル101上に取り付けられているコラム102の上部および中段部には、「L」字型の上部フランジ103および下部フランジ104が取り付けられている。上部フランジ103には貫通孔105が設けられており、この貫通孔105には、エアシリンダ110が下向きに取り付けられている。エアシリンダ110のピストンロッド111の下端には正面部が開口された箱形状の昇降台122が取り付けられている。昇降台122の奥側上下にはそれぞれ2箇所ずつ合計4箇所に上下方向の摺動ガイド113が取り付けられている。
【0032】
一方、上部フランジ103および下部フランジ104の両端部には両フランジを上下に結ぶ2本のガイドバー112a、112bが取り付けられており、前記の昇降台122は4個の摺動ガイド113を介して、2本のガイドバー112a、112bに上下摺動自由に取り付けられている。
【0033】
昇降台122上部中央には貫通孔114が設けられており、この貫通孔114にも、エアシリンダ120が下向きに取り付けられている。
【0034】
昇降台122の前面部両端には2本の棒状部材123、124が垂直方向に取り付けられている。昇降台122内の棒状部材123、124には同一高さに2つのガイド126a、126bが取り付けられている。エアシリンダ120の下方には水平のアーム125がその両翼をガイド126a、126bに取り付けられて2本の棒状部材123、124に沿って上下に摺動するように取り付けられている。
【0035】
アーム125の中央部下側には上部ヘッド210が垂直に取り付けられている。さらに、昇降台122の下部には上部ヘッド210の下方延長線上に下部ヘッド202が取り付けられている。
【0036】
上部ヘッド210と下部ヘッド202の内部には鋼製パイプ250が貫通している。また、上部ヘッド210の上端はエアシリンダ120のピストンロッド121の下端に取り付けられている。上部ヘッド210の上端には、前記エアシリンダ120と直交する方向に圧縮エア取り入れ孔200が取り付けられている。この圧縮エアは鋼製パイプ250に導かれている。
【0037】
上部ヘッド210と下部ヘッド202の中央部にはエア抜き孔201が取り付けられている。鋼製パイプ250と下部へッド202の外筒部との間には隙間があり、この隙間はエア抜き孔201へと導かれている。ヘッド先端部の構成については後に詳述する。
【0038】
昇降台122の前面部両端に垂直方向に取り付けられている2本の棒状部材123、124は昇降台122の下部を貫通して下方に伸長して設けられており、それぞれの先端部は、水平に設けられた押圧板204に摺動ガイド127a、127bを介して取り付けられている。
【0039】
押圧板204の中央部には、下部ヘッド202の先端部の直径より十分に大きな径を有する孔205が設けられており、下部ヘッド202はこの孔205の内側を上下方向に自由に変位可能となっている。押圧板204に取り付けられている摺動ガイド127a、127bは、棒状部材123、124の下部に取り付けられたコイル状バネ材128a、128bにより下方に付勢されている。また、押圧板204上には所定の長さを有する2本のストッパー130、131が垂直上方に向けてとり付けられている。ピストンロッド111の伸長による、昇降台122、棒状部材123、124の下降に伴い押圧板204も下降するが、押圧板204が、下方に配置された固定物に当接され不動となると棒状部材123、124は、摺動ガイド127a、127bを貫通して下方へ突出する。棒状部材123、124は、昇降台122の下降に伴ってさらに下方へ突出するが、ストッパー130、131の上端が昇降台204の下端に当接した時点で上記下降、突出は停止する。
【0040】
下部ヘッド202の下方には、正面に窓301を設けた槽300がテーブル101上に載置されている。窓301には内部が確認できるように透明なアクリル板304が取り付けられている。槽300の内部には、下部ヘッド202の垂直下方に、倒置した缶302を取付けた治具303が載置されている。治具303についても後に詳述する。
【0041】
図4(a)は、下部ヘッド202の下端と倒置した缶302の底部412を拡大した図である。前記したように、圧縮エア取り入れ孔200から取り入れられた圧縮エアは下部ヘッド202内を貫通する鋼製パイプ250へと導かれている。鋼製パイプ250の先端部には開孔ナイフ251が取り付けられている。開孔ナイフ251はほぼ全長にわたりゴム製のシール部材203に覆われており、先端部がシール部材203の下方に突出している。シール部材203の下端面には、吸盤260が形成されている。
【0042】
図5は、缶302を倒置して装填した状態の治具303を、図6は図5におけるC−C線断面を示す。治具303は、缶302の外周側面410と同一形状の内面を設けた治具本体400と、缶302のネックテーパー部側面と同一形状の内面を設けたテーパー状底部403と、槽300の底板上に載置される治具底板402と、治具本体400を治具底板402上に支える治具本体支持脚401を備えている。したがって、缶302は実質的にはテーパー状底部403のみにより支えられている。
【0043】
また、テーパー状底部403は缶302のネックテーパー部に当接すべき部分の下部が欠落して、下方に開口している。従って、缶巻締部411は治具303の下部開口から下方に露出している。
【0044】
治具302の後方周囲には鏡450が配置されている。
【0045】
図7は、治具底板402上に載置された振動、荷重付与装置430および振動、荷重付与装置430上に載置された接触部材420を示す。振動、荷重付与装置430は、空気配管432からジョイント部431を介して供給される圧縮空気で駆動されるエアシリンダーを備えており、それから発する振動および荷重が缶巻締部411に伝達されるように接触部材420の厚さが調整されている。
【0046】
次に、本発明の試験装置により、缶302にシームギャップ3を発生させる手順を説明する。
【0047】
あらかじめ缶302には内容物を入れて、巻締部411を所定の条件で巻締め、その条件を記録しておく。通常漏れが問題となる内容物はビール等の発泡性飲料でありこれらを直接充填して利用しても良いし、二酸化炭素を溶解した水で代用しても良い。治具303には上下倒置して缶302をセットする。缶302の軸線が下部ヘッド202の下方延長線上に一致するように治具303を槽300内に載置する。
【0048】
エアシリンダピストンロッド111を下方に伸長させると、昇降台122は、ガイドバー112a、112bに沿って下降する。昇降台122が下降すると昇降台122に取り付けられた棒状部材123、124の先端に取り付けられている押圧板204も下降し、ついには槽300内に載置されている缶302の底部412に当接される。さらにエアシリンダピストンロッド111を下方に伸長させると、コイル状バネ材128a、128bが昇降台122と押圧板204とにより上下方向に圧縮されて、押圧板204を下方へ付勢する。これによって、缶302は下方への押圧力を受けて、缶302のネックテーパー部が治具303のテーパー状底部403に支えられて、治具303上に堅固に固定される。押圧板204上に設けられたストッパー130、131は、押圧板204が缶302に十分な応圧力を与えることができる位置にて、その先端部132、133が昇降台122の下端と接するようにその長さが決定されている。したがって、エアシリンダピストンロッド111の下方への伸長は、押圧板204が缶底部412に密着した時点で停止される。
【0049】
次に、エアシリンダピストンロッド121を下方へ伸長させると、下部ヘッド202も下降し(図4(a)参照)、ヘッド先端部に設けられたゴム製のシール部材203の先端の吸盤260が押圧板204中央部の孔を下方に通り抜けて缶底部412に押圧され、外部とのシールが形成される。
【0050】
同時に、鋼製パイプ250の先端の開孔ナイフ251は、缶底部412の中央部に当接される。缶底部412は、柔らかい純アルミニウム系の材料でできているので、開孔ナイフ251は容易に缶底部412を突き破り、缶302内に進入する。開孔ナイフ251が完全に缶302内に挿入された時点では、缶302と外部とはシール部材203により完全にシールされている。(図4(b)参照)。
【0051】
次いで圧縮エア取り入れ孔200のバルブを開放し、所定圧の圧縮空気を鋼製パイプ250を介して缶302内に圧入する。上記バルブはこの後試験が終了するまで開放しておき、圧縮空気の圧力が常時缶302内にかかるようにしておく。缶302内への加圧時間は予め所定値を設定しておき、その時間加圧を保持する。この缶302への加圧は、工場における温缶工程の加温による缶内の圧力上昇を再現している。
【0052】
その後振動、荷重付与装置430により、接触部材420を介して缶巻締部411に所定強さの振動と軸心方向の荷重を同時に繰り返し与える。場合によっては、振動のみ与えても良い。
【0053】
ここに、振動と荷重を同時に負荷するのは、例えば、市場におけるトラック輸送を再現しており、振動のみの負荷を与えるのは製造工程や、流通段階におけるコンベア搬送を再現するためである。
【0054】
これによって缶巻締部411からの漏れが発生するので、振動、荷重負荷開始から漏れ発生までの時間を記録する。
【0055】
この漏れが発生するまでの時間は、缶302の巻締方により一意に決定されるので、両者の関係を把握することにより、漏れが発生しにくい巻締の条件を知ることができる。
【0056】
缶302内に圧入する圧縮空気の圧力は、略0.5MPa(メガパスカル)に設定することが望ましい。実際の炭酸飲料を充填した際の缶内圧力及び温缶工程を再現しているからである。
【0057】
振動や荷重を負荷する条件は、配送段階の振動、積み付けの時の荷重等を考慮して定めることが望ましい。
【0058】
漏れの発生は、缶巻締部411から漏洩する内容物を目視で確認する。背面および側面部の漏れを確認するため、周囲に鏡450を配置しておくと良い(図5参照)。また、治具底板402部に小型モーターを配置して治具底板402をターンテーブルとして回転させ、一点から観察することも可能である。このほか漏れを確認する方法として、事前に槽300内に水をはっておき、缶302内には有色の液体を充填して、その漏れを確認する方法でも良い。この場合、水面の高さは、缶巻締部411が水中に没するように決定する。
【0059】
また、事前に缶302内に強アルカリまたは強酸を充填しておき、槽300内の水に漏洩してきたこれらの強アルカリ、強酸を槽300中に配置したPHセンサーで感知する方法を取ることもできる。こうすることにより、試験者が一時的に試験機を離れることも可能である。この場合には、PH値を記録紙に自動記録し、槽300内には攪拌機を設けておくことが望ましい。さらに、缶302内に蛍光材料を封入して、漏洩する液体を蛍光により感知する方法を用いることもできる。
【0060】
また、缶302に空気のみ圧入して、缶巻締部411の外側面部に漏洩してくる気泡を直接観察することも可能である。
【0061】
槽300内の水の温度は、室温と一致させても良いが、夏季の高温や冬期の低温を再現させるために、ヒーター、クーラー、サーモスタットなどを設けて、任意の温度に設定することも可能である。
【0062】
所定の検査を終了したときは、まず、圧縮エア取り入れ孔200のバルブを閉鎖し、その後にエア抜き孔201のバルブを解放して、缶302内部の圧力を解放する。しかる後にピストンロッド121、111を収縮させて下部ヘッド202および押圧板204を上昇させる。
【0063】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の缶のシームギャップ発生試験方法およびその装置によって、市場において缶が受ける変化を試験室で忠実に再現し、強制的にシームギャップを発生させて、巻締の形状、強さなどが漏れにどの様に影響を与えるかを知ることができる。
【0064】
これによって漏洩に対する強度を指標化することができるので、漏洩に対する早急なアクションをとることが可能となる。また、市場への密閉不良缶の流出を未然に防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】缶のシームギャップ発生試験装置
【図2】図1のA−A線断面図
【図3】図1のB−B線断面図
【図4】ヘッド下部先端と缶底部412の拡大図であって、(a)は孔を設ける前、(b)は孔を設けた後の状態を示す。
【図5】缶を装填した治具を示す図。
【図6】図5のC−C線断面図。
【図7】治具上に振動、荷重付与装置を載置した図。
【図8】シームギャップを示す図。
【図9】シームギャップ発生による漏れのメカニズムを示す図であって、(a)は巻締直後の、(b)は温缶工程後の、(c)は製品保管時の、(d)は荷重解放後の缶巻締部をそれぞれ示す図。
【符号の説明】
300 槽
302 缶
303 治具
400 治具本体
411 缶巻締部
450 鏡

Claims (13)

  1. 缶の内部を加圧するステップと、
    前記缶の内部を加圧しつつ、前記缶の巻締部を振動荷重付与装置の接触部材に接触させて、この接触部材を介して前記巻締部に振動を伝達するステップと、
    を備えた缶のシームギャップ発生試験方法。
  2. 缶の内部を加圧するステップと、
    前記缶の内部を加圧しつつ、前記缶の巻締部を振動荷重付与装置の接触部材に接触させて、この接触部材を介して前記巻締部に振動を伝達するとともに前記缶の軸心方向の荷重を伝達するステップと、
    を備えた缶のシームギャップ発生試験方法。
  3. 前記缶の巻締部外周での前記缶の内容物の漏れを確認するステップを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の缶のシームギャップ発生試験方法。
  4. 前記缶の内部を加圧するステップでは、前記缶の内部に気体を圧入し、
    前記内容物の漏れを確認するステップでは、前記缶を水槽中に配置して前記シームギャップから漏洩する気泡を目視で確認する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の缶のシームギャップ発生試験方法。
  5. 前記内容物の漏れを確認するステップでは、前記缶に封入された液体の漏れを目視で確認する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の缶のシームギャップ発生試験方法。
  6. 前記内容物の漏れを確認するステップでは、前記缶の外周部周囲に鏡を配置して、直接または前記鏡の像を目視で確認することを特徴とする請求項4または5に記載の缶のシームギャップ発生試験方法。
  7. 前記内容物の漏れを確認するステップでは、缶を水槽中に配置して、缶の内容物として封入された強アルカリまたは強酸が水中に漏洩することにより変化する前記水槽中の水のPHを、センサーで感知することを特徴とする請求項3に記載の缶のシームギャップ発生試験方法。
  8. 缶を一定の姿勢で保持する保持手段と、
    前記保持された缶の内部を加圧する加圧手段と、
    前記保持された缶の巻締部に前記缶の巻締部に接した接触部材を介して振動を伝達する振動付与手段と、
    を備えたことを特徴とする缶のシームギャップ発生試験装置。
  9. 缶を一定の姿勢で保持する保持手段と、
    前記保持された缶の内部を加圧する加圧手段と、
    前記保持された缶の巻締部に前記缶の巻締部に接した接触部材を介して振動を伝達する振動付与手段と、
    前記保持された缶の巻締部に前記缶の巻締部に接した接触部材を介して前記缶の軸心方向に荷重を伝達する荷重付与手段と、
    を備えたことを特徴とする缶のシームギャップ発生試験装置。
  10. 前記振動付与手段は、空気圧を利用した手段であることを特徴とする請求項8または9に記載の缶のシームギャップ発生試験装置。
  11. 前記荷重付与手段は、空気圧を利用した手段であることを特徴とする請求項9または10に記載の缶のシームギャップ発生試験装置。
  12. 前記保持手段は、
    前記缶を固定する治具であって、前記缶の外周側面およびネックテーパー部側面と同一形状の内面を設けた治具本体を備えており、前記治具本体には前記缶を嵌合した場合に缶の巻締部にあたる位置に開口が設けられている、
    ことを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の缶のシームギャップ発生試験装置。
  13. 前記治具本体は軸心を基準に自転可能であることを特徴とする請求項12に記載の缶のシームギャップ発生試験装置。
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