JP3602031B2 - はんだ噴流装置およびはんだ付け方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融はんだを噴出口から噴出させて基板に供給するはんだ噴流装置およびはんだ付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品を載せた基板を所定方向に搬送させながら、この基板に、噴流ノズルから噴出させた溶融はんだを供給して、はんだ付けを行うはんだ噴流装置は既に知られている。
【0003】
この種のはんだ噴流装置としては、図6、図7に示すように、電子部品を載せた基板Pに対してはんだ面全面に良好に溶融はんだJを供給するための一次噴流ノズル1と、はんだ供給済みの基板Pから、余分な溶融はんだJを除去するための二次噴流ノズル2とを備えたものがある。一次噴流ノズル1には一次ノズル用ダクト3が接続され、二次噴流ノズル2には二次ノズル用ダクト4が接続され、これらのダクト3、4は溶融はんだJが溜められているはんだ溶融槽5内に浸けられている。そして、各ダクト3、4の一端開口部に臨むように配置された噴流羽根車6、7を回転駆動させることにより、一次噴流ノズル1および二次噴流ノズル2から溶融はんだJを基板搬送経路10に向けて噴出させるようになっている。
【0004】
一次噴流ノズル1の上端部には多数の噴出口8が開口された波形成板9が取り付けられている。図8(a),(b)に示すように、噴出口8は、基板Pの搬送方向Aに対して例えば3列設けられ、全ての噴出口8は基板Pの搬送方向Aに直交する搬送直交方向Bに対して所定ピッチM毎に複数形成されている。そして、搬送直交方向Bに関しては、この搬送直交方向Bに沿って横並びとなった第1列目および第2列目の噴出口8間のちょうど中間位置に、次の列の噴出口8が位置するように、これらの噴出口8が平面視して千鳥状に配置されている。
【0005】
なお、基板Pは、はんだ付けを行う前に、予めフラックスが塗布されて、はんだの濡れ性を向上するように図られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のはんだ噴流装置では、図9に示すように、平面視して隣り合う4つの噴出口8間のちょうど中間位置では、4つの噴出口8からの溶融はんだJの流れ出す力および方向Fがちょうど釣り合うような力関係で、溶融はんだJが流れ込んでしまう。したがって、一次噴流ノズル1の各噴出口8に臨む位置に基板Pが搬送されてきて溶融はんだJが接触した際に、フラックスが気化してなるガスや空気Qなどが、基板Pの下面における噴出口8間の中間箇所で溜まってしまうことがあり、この場合には、基板Pに対して溶融はんだJが接触しない部分が発生するため、濡れ不良を生じていた。
【0007】
本発明は上記課題を解決するもので、溶融はんだの供給箇所に基板が搬送されてきた際にガスや空気などが基板の下面に溜まって濡れ不良を生じることを防止できるはんだ噴流装置およびはんだ付け方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、所定搬送方向に搬送される基板に対して、複数の噴出口から溶融はんだを噴出させて、溶融はんだを供給するはんだ噴流装置であって、前記複数の噴出口が設けられている少なくとも一部の領域では、基板搬送方向に対して相対的に上流側となる列と下流側となる列との複数列の噴出口が設けられるとともに、これらの上流側となる列の噴出口と下流側となる列の噴出口とが、噴出口に臨むように平面視して基板搬送方向に対して傾斜し、かつ平面視して基板搬送方向に直交する搬送直交方向に対して所定ピッチ間隔毎に配置された複数の傾斜ラインにほぼ沿うように並べられて配置され、さらに、同一傾斜ラインに沿って並べられた噴出口群内で隣り合う上流側となる列の噴出口と下流側となる列の噴出口とが、前記搬送直交方向に関してオーバーラップするように配置されるとともに、互いに隣り合う噴出口群における最上流列の噴出口と最下流列の噴出口とが前記搬送直交方向に関してオーバーラップするように配置され、前記噴出口群内で隣り合う上流側の列の噴出口と下流側の列の噴出口との前記搬送直交方向に関するオーバーラップ寸法よりも、前記互いに隣り合う噴出口群における最上流列の噴出口と最下流列の噴出口との前記搬送直交方向に関するオーバーラップ寸法の方が小さくなるように配置されてなるものである。
【0009】
この構成により、溶融はんだの供給箇所に基板が搬送されてきた際にガスや空気などが基板の下面に溜まって濡れ不良を生じることを防止できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
請求項1にかかる発明は、所定搬送方向に搬送される基板に対して、複数の噴出口から溶融はんだを噴出させて、溶融はんだを供給するはんだ噴流装置であって、前記複数の噴出口が設けられている少なくとも一部の領域では、基板搬送方向に対して相対的に上流側となる列と下流側となる列との複数列の噴出口が設けられるとともに、これらの上流側となる列の噴出口と下流側となる列の噴出口とが、噴出口に臨むように平面視して基板搬送方向に対して傾斜し、かつ平面視して基板搬送方向に直交する搬送直交方向に対して所定ピッチ間隔毎に配置された複数の傾斜ラインにほぼ沿うように並べられて配置され、さらに、同一傾斜ラインに沿って並べられた噴出口群内で隣り合う上流側となる列の噴出口と下流側となる列の噴出口とが、前記搬送直交方向に関してオーバーラップするように配置されるとともに、互いに隣り合う噴出口群における最上流列の噴出口と最下流列の噴出口とが前記搬送直交方向に関してオーバーラップするように配置され、前記噴出口群内で隣り合う上流側の列の噴出口と下流側の列の噴出口との前記搬送直交方向に関するオーバーラップ寸法よりも、前記互いに隣り合う噴出口群における最上流列の噴出口と最下流列の噴出口との前記搬送直交方向に関するオーバーラップ寸法の方が小さくなるように配置されてなるものである。
【0013】
請求項2にかかる発明は、所定搬送方向に搬送される基板に対して、複数の噴出口から溶融はんだを噴出させて、溶融はんだを供給するはんだ噴流装置であって、前記複数の噴出口が設けられている少なくとも一部の領域では、基板搬送方向に対して相対的に上流側となる列と下流側となる列との複数列の噴出口が設けられるとともに、これらの上流側となる列の噴出口と下流側となる列の噴出口とが、噴出口に臨むように平面視して基板搬送方向に対して傾斜し、かつ平面視して基板搬送方向に直交する搬送直交方向に対して所定ピッチ間隔毎に配置された複数の傾斜ラインにほぼ沿うように並べられて配置され、さらに、同一傾斜ラインに沿って並べられた噴出口群内で隣り合う上流側の列の噴出口と下流側の列の噴出口とが、前記搬送直交方向に関してオーバーラップするように配置される一方、互いに隣り合う噴出口群における最上流列の噴出口と最下流列の噴出口とは前記搬送直交方向に関してオーバーラップしないように配置されてなるものである。
【0014】
これらの構成によれば、隣り合う噴出口群間の離間距離が噴出口群内の隣り合う噴出口間の離間距離より大きくなり、隣り合う噴出口群間の中間位置と隣り合う噴出口群内の中間位置とでは、各噴出口からの溶融はんだの流れ出す力のバランスが崩れ、溶融はんだの流れ出す力の強い箇所から弱い箇所へと溶融はんだが流れるため、噴出口群間の中間部を通って行く溶融はんだの流れが積極的にでき、溶融はんだの供給箇所に基板が搬送されてきた際に、フラックスが気化してなるガスを生じたり空気が混入したりすることがあっても、基板の下面において生じたガスや空気が前記流れに沿って基板外部に良好に排出されて、濡れ不良を生じない。
【0015】
請求項3にかかる発明は、請求項1または2に記載のはんだ噴流装置において、噴出口は、基板に対して溶融はんだを供給するための一次噴流ノズルと、はんだ供給済みの基板から余分なはんだを除去するための二次噴流ノズルとを備えたはんだ噴流装置における一次噴流ノズルに設けられてなるものである。
【0016】
この構成によれば、一次噴流ノズルに設けられた複数の噴出口から、基板に対して、溶融はんだを良好に供給することができる。
請求項4にかかる発明は、請求項1〜3の何れかに記載のはんだ噴流装置において、複数列の噴出口が設けられている箇所は基板搬送方向に対して水平に配置されているものである。
【0017】
請求項5にかかる発明は、請求項1〜3の何れかに記載のはんだ噴流装置において、複数列の噴出口が設けられている箇所は基板搬送方向下流側ほど上方となる上り勾配に傾斜されているものである。
【0018】
この構成によれば、噴出口から噴出される溶融はんだが自重により基板搬送方向上流側である傾斜方向に流れ落ちることとなり、基板と溶融はんだとの相対速度が向上することとなるため、基板と溶融はんだとの濡れが促進されるとともに、フラックスが気化してなるガスを生じたり空気が混入したりすることがあっても、これらのガスや空気が、基板の下面からさらに良好に基板搬送方向上流側に排出される。
【0019】
請求項6にかかる発明は、請求項5に記載のはんだ噴流装置において、基板は所定の上り勾配の搬送方向に搬送され、各噴出口を基板搬送方向の下流側ほど小さな口径とさせているものである。
【0020】
この構成によれば、各噴出口は基板搬送方向の下流側ほど小さな口径であるため、基板搬送方向下流側の列の噴出口から噴出された溶融はんだが波形成板に沿って流れ落ちる際に、その流れ落ちる幅が小さくなり、基板搬送方向上流側の噴出口から噴出する溶融はんだの山をくずしてしまったりすることを最小限に抑えることができ、また、基板搬送方向の上流側の噴出口はより大きな口径であるため、その噴出口中心に近い部分で溶融はんだの必要な山の高さを保つことができる。
【0021】
請求項7にかかる発明は、請求項1〜6の何れかに記載のはんだ噴流装置において、複数の噴出口は波形成板に形成され、波形成板における各噴出口の周壁部分が上方に突出されているものである。
【0022】
この構成によれば、噴出口から噴出する溶融はんだを安定した状態で所望の高さに維持することができる。
【0024】
請求項9にかかる発明は、所定搬送方向に搬送される基板に対して、複数の噴出口から溶融はんだを噴出させて、溶融はんだを供給し基板をはんだ付けするはんだ付け方法であって、前記複数の噴出口が設けられている少なくとも一部の領域では、基板搬送方向に対して相対的に上流側となる列と下流側となる列との複数列の噴出口が設けられるとともに、これらの上流側となる列の噴出口と下流側となる列の噴出口とが、噴出口に臨むように平面視して基板搬送方向に対して傾斜し、かつ平面視して基板搬送方向に直交する搬送直交方向に対して所定ピッチ間隔毎に配置された複数の傾斜ラインにほぼ沿うように並べられて配置され、さらに、同一傾斜ラインに沿って並べられた噴出口群内で隣り合う上流側となる列の噴出口と下流側となる列の噴出口とが、前記搬送直交方向に関してオーバーラップするように配置されるとともに、互いに隣り合う噴出口群における最上流列の噴出口と最下流列の噴出口とが前記搬送直交方向に関してオーバーラップするように配置され、前記噴出口群内で隣り合う上流側の列の噴出口と下流側の列の噴出口との前記搬送直交方向に関するオーバーラップ寸法よりも、前記互いに隣り合う噴出口群における最上流列の噴出口と最下流列の噴出口との前記搬送直交方向に関するオーバーラップ寸法の方が小さくなるように配置され、前記複数の噴出口から噴出された溶融はんだにより基板に配された被接続部をはんだ付けするものである。
【0025】
請求項10にかかる発明は、所定搬送方向に搬送される基板に対して、複数の噴出口から溶融はんだを噴出させて、溶融はんだを供給し基板をはんだ付けするはんだ付け方法であって、前記複数の噴出口が設けられている少なくとも一部の領域では、基板搬送方向に対して相対的に上流側となる列と下流側となる列との複数列の噴出口が設けられるとともに、これらの上流側となる列の噴出口と下流側となる列の噴出口とが、噴出口に臨むように平面視して基板搬送方向に対して傾斜し、かつ平面視して基板搬送方向に直交する搬送直交方向に対して所定ピッチ間隔毎に配置された複数の傾斜ラインにほぼ沿うように並べられて配置され、さらに、同一傾斜ラインに沿って並べられた噴出口群内で隣り合う上流側の列の噴出口と下流側の列の噴出口とが、前記搬送直交方向に関してオーバーラップするように配置される一方、互いに隣り合う噴出口群における最上流列の噴出口と最下流列の噴出口とは前記搬送直交方向に関してオーバーラップしないように配置され、前記複数の噴出口から噴出された溶融はんだにより基板に配された被接続部をはんだ付けするものである。
【0026】
これら請求項9および請求項10の方法によれば、隣り合う噴出口群間の離間距離が噴出口群内の隣り合う噴出口間の離間距離より大きくなり、隣り合う噴出口群間の中間位置と隣り合う噴出口群内の中間位置とでは、各噴出口からの溶融はんだの流れ出す力のバランスが崩れ、溶融はんだの流れ出す力の強い箇所から弱い箇所へと溶融はんだが流れるため、噴出口群間の中間部を通って行く溶融はんだの流れが積極的にでき、溶融はんだの供給箇所に基板が搬送されてきた際に、フラックスが気化してなるガスを生じたり空気が混入したりすることがあっても、基板の下面において生じたガスや空気が前記流れに沿って基板外部に良好に排出されて、濡れ不良を生じない。
【0027】
以下に、本発明にかかる実施の形態について、図1〜図5に基づき説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるはんだ噴流装置の要部を示すもので、一次噴流ノズル1の上端部に取り付けられた波形成板51に多数の噴出口52が形成されている。基板Pは水平方向に搬送されるとともに、噴出口52が形成された波形成板51も基板Pの搬送方向Aに対して水平に配置されている。
【0028】
これらの噴出口52は、基板Pの搬送方向Aに対して、上流列の噴出口52Aと、中間列の噴出口52Bと、下流列の噴出口52Cとの3列からなっている。噴出口52A、52B、52Cは、基板搬送方向Aに対して所定角度で傾斜し、かつ基板搬送方向Aに直交する搬送直交方向Bに対して第1の所定ピッチ間隔X毎に配置された複数の傾斜ラインLに沿うように並べられ、噴出口52A、52B、52Cは傾斜ラインLに沿って第2の所定ピッチ間隔Y毎に配置され、第1の所定ピッチ間隔Xは第2の所定ピッチ間隔Yより大きく設定されている。各噴出口52A、52B、52Cの口径は全て同一であり、各噴出口52A、52B、52Cから流れ出す溶融はんだJの流れる力も同一である。
【0029】
以上の構成における各噴出口52(52A、52B、52C)から噴出される溶融はんだJの流れを図1を参照しながら説明する。
上記構成において、同一の傾斜ラインLに沿う各噴出口群53における上流列の噴出口52Aと中間列の噴出口52Bとの間の中点をPとし、互いに隣接する噴出口群53における上流列の噴出口52A間の中点をQとする。上流列の噴出口52Aの中心から中点Pまでの距離を半径rとする円を、各噴出口群53の上流列の噴出口52Aと中間列の噴出口52Bのまわりにそれぞれ描いた時に、各噴出口群53の各噴出口52A、52Bから流れ出す溶融はんだJは半径rの地点では同一距離であるため、溶融はんだJの圧力は同じであり、中点Pでは溶融はんだJの流れは発生しない。しかし、中点Qの圧力は半径rの地点の圧力より距離が長くなるので低くなる。溶融はんだJは圧力が高いところから低いところへ流れるので、種々の溶融はんだJの流れKが発生し、各噴出口52A、52Bの形成方向である傾斜ラインLに沿う方向に見かけ上の溝の壁が形成され、半径rを描かなかった所に見かけ上の溝S(図1におけるハッチング部分)が形成されることとなる。ここで、基板Pを搬送方向Aに搬送することによって、噴出された溶融はんだJは基板Pに押されて、見かけ上の溝Sに沿ってN方向に流れる。また、同一の傾斜ラインLに沿う各噴出口群53における中間列の噴出口52Bと下流列の噴出口52Cとにおいても同様に、溶融はんだJは見かけ上の溝Sに沿ってN方向に流れることとなる。なお、波形成板51の上流側端部近傍にある溶融はんだJは、隣り合う噴出口52A同士の上流側への圧力によってN方向とは反対側に流れる。
【0030】
したがって、溶融はんだJの供給箇所に基板Pが搬送されてきた際に、フラックスが気化してなるガスを生じたり空気が混入したりすることがあっても、基板Pの下面において生じたガスや空気が前記流れNに沿って基板Pの外部に良好に排出されて、濡れ不良を生じない。ここで、第1の所定ピッチ間隔Xが第2の所定ピッチ間隔Yより大きければ大きいほどこの溶融はんだJの流れを作ることに関しての効果は増大するものである。
【0031】
これにより、噴出口群53間の中間部を通ってゆく溶融はんだJの流れNが積極的にでき、溶融はんだJの供給箇所に基板Pが搬送されてきた際に、フラックスが気化してなるガスを生じたり空気が混入することがあっても、基板Pの下面(はんだ面)において生じたガスや空気が前記流れNに沿って基板外部に良好に排出される。また、基板Pと溶融はんだJとの相対速度が向上することとなるため基板Pと溶融はんだJとの濡れが促進される。したがって、基板Pのはんだ面や電子部品のはんだ部の全ての箇所に対して溶融はんだJが良好に接触し、濡れ不良を生じることを防止できて、良好なはんだ付けを行うことができる。
【0032】
さらに、上記実施の形態においては、噴出口52が形成された波形成板51を基板搬送方向Aに対して水平に配置した場合を述べたが、これに代えて、噴出口52が形成された波形成板51を基板搬送方向Aの下流側ほど上方となる上り勾配に傾斜させることにより、溶融はんだJの流れは溶融はんだJの自重により基板搬送方向Aの上流側への流れが増大するものである。
【0033】
図2(a),(b)は、本発明の第2の実施の形態にかかるはんだ噴流装置の要部を示すもので、一次噴流ノズル1の上端部に取り付けられた波形成板21に多数の噴出口22が形成されている。なお、21aは波形成板21の一次噴流ノズル1への取付板部である。
【0034】
これらの噴出口22は、基板Pの搬送方向Aに対して、上流列の噴出口22Aと、中間列の噴出口22Bと、下流列の噴出口22Cとの3列からなっている。また、基板Pの搬送方向A(基板搬送経路10)は下流側ほど上方となる上り勾配に傾斜されており、これに対応させて、波形成板21におけるこれらの噴出口22が設けられている箇所も基板搬送方向Aの下流側ほど上方となる上り勾配に傾斜されている。
【0035】
噴出口22A、22B、22Cは、基板搬送方向Aに対して所定角度で傾斜し、かつ基板搬送方向Aに直交する搬送直交方向Bに対して所定ピッチ間隔C毎に配置された複数の傾斜ラインLに沿うように並べられて配置されている。そして、図3に示すように、同一傾斜ラインLに沿って並べられた噴出口群23内で互いに隣り合う噴出口22A,22Bおよび噴出口22B,22C同士の搬送直交方向Bに関するオーバーラップ寸法Dよりも、互いに隣り合う噴出口群23における最上流列の噴出口22Aと最下流列の噴出口22Cとの搬送直交方向Bに関するオーバーラップ寸法Eの方が小さくなるように配置されている。
【0036】
また、各噴出口22は丸孔形状とされ、上流列の噴出口22Aの口径Fよりも中間列の噴出口22Bの口径Gが小さく、下流列の噴出口22Cの口径Hがさらに小さく設定されている。
【0037】
また、図2(a),(b)に示すように、波形成板21における各噴出口22の周壁部分22aは上方に突出されており、これらの周壁部分22aは例えばコイニング加工により形成されている。
【0038】
上記構成によれば、隣り合う噴出口群23間の離間距離が噴出口群23内の隣り合う噴出口22間の離間距離より大きくなり、隣り合う噴出口群23間の中間位置と噴出口群23内の隣り合う噴出口22の中間位置とでは、各噴出口22からの溶融はんだJの流れ出す力のバランスが崩れ、溶融はんだJの流れ出す力の強い箇所から弱い箇所へと溶融はんだJが流れるため、図3に示すように、噴出口群23間の中間部を通ってゆく溶融はんだJの流れIが積極的にでき、溶融はんだJの供給箇所に基板Pが搬送されてきた際に、フラックスが気化してなるガスを生じたり空気が混入することがあっても、基板Pの下面(はんだ面)において生じたガスや空気が前記流れIに沿って基板外部に良好に排出される。
【0039】
また、波形成板21における複数列の噴出口22が設けられている箇所は基板搬送方向Aの下流側ほど上方となる上り勾配に傾斜されているので、噴出口22から噴出される溶融はんだJが自重により基板搬送方向A上流側に向けて流れ落ちて流れIをさらに強めることとなり、これによっても、基板Pの下面(はんだ面)において生じたガスや空気が、前記流れIに沿って基板Pの外部に良好に排出されるとともに、基板Pと溶融はんだJとの相対速度が向上することとなるため基板Pと溶融はんだJとの濡れが促進される。
【0040】
したがって、基板Pのはんだ面や電子部品のはんだ部の全ての箇所に対して溶融はんだJが良好に接触し、濡れ不良を生じることを防止できて、良好なはんだ付けを行うことができる。
【0041】
また、各噴出口22は基板搬送方向A下流側ほど小さな口径とされ各噴出口22から噴出する溶融はんだJの噴出量が下流側ほど少なくなるので、下流列の噴出口22Cから噴出された溶融はんだJが波形成板21に沿って流れ落ちる際に、中間列の噴出口22Bならびに上流列の噴出口22Aから噴出する溶融はんだJの山をくずしてしまったり、中間列の噴出口22Bから噴出された溶融はんだJが波形成板21に沿って流れ落ちる際に、上流列の噴出口22Aから噴出する溶融はんだJの山をくずしてしまったりすることを防止できる。したがって、下流列の噴出口22Cから噴出される溶融はんだJの山の高さを望みの寸法に保つことができるだけではなく、中間列の噴出口22Bならびに上流列の噴出口22Aから噴出される溶融はんだJの山の高さを望みの寸法に保つことができる。この結果、溶融はんだJにより基板Pが加熱されて大小のそりを生じていた場合などでも、各噴出口22から噴出される溶融はんだJが、基板Pのはんだ面や電子部品のはんだ部の全ての箇所に対して良好に接触し、濡れ不良を生じることを防止できる。
【0042】
さらに、波形成板21における各噴出口22の周壁部分22aが上方に突出されているため、各噴出口22からの溶融はんだJを所望の噴出高さとして得ることができ、これによっても、各噴出口22からの溶融はんだJが、はんだ処理の全箇所に良好に接触し、濡れ不良を生じることを防止できる。
【0043】
また、このように、基板Pの搬送方向Aや波形成板21の噴出口22の形成箇所が、下流側ほど上方となる上り勾配に傾斜されているものにおいては、ディスクリート部品(リード足がある部品)だけでなく面実装部品を混載して凹凸部が大きい基板Pに対しても、ガスや空気が逃げ易く、凹凸部の隅などにも溶融はんだJが良好に当たるため、特に適している。
【0044】
次に、図4(a),(b)は本発明の第3の実施の形態にかかるはんだ噴流装置の要部を示すもので、この実施の形態においては、基板Pの搬送方向Aはほぼ水平とされており、これに対応して、はんだ噴流装置の一次噴流ノズル1の上端部に取り付けられた波形成板31の噴出口32が設けられている箇所も、基板搬送方向Aに対してほぼ水平に設置されている。
【0045】
波形成板31に多数設けられた噴出口32は、上記実施の形態と同様に、基板Pの搬送方向Aに対して、上流列の噴出口32Aと、中間列の噴出口32Bと、下流列の噴出口32Cとの3列からなっている。
【0046】
噴出口32A、32B、32Cは、基板搬送方向Aに対して所定角度で傾斜し、かつ基板搬送方向Aに直交する搬送直交方向Bに対して所定ピッチ間隔C毎に配置された複数の傾斜ラインLに沿うように並べられて配置されている。そして、互いに隣り合う噴出口群33における最上流列の噴出口32Aと最下流列の噴出口32Cとが搬送直交方向Bに関してオーバーラップしないように配置されている。
【0047】
なお、各噴出口32は丸孔形状とされ、いずれの列の噴出口32A、32B、32Cの口径もほぼ同じ寸法に設定されている。また、波形成板31における各噴出口32の周壁部分は平面形状とされ、コイニング加工などは施されていない。
【0048】
この構成によれば、隣り合う噴出口群33間の離間距離が噴出口群33内の隣り合う噴出口32間の離間距離より大きくなり、隣り合う噴出口群33間の中間位置と噴出口群33内の隣り合う噴出口32の中間位置とでは、各噴出口32からの溶融はんだJの流れ出す力のバランスが崩れ、溶融はんだJの流れ出す力の強い箇所から弱い箇所へと溶融はんだJが流れるため、図5に示すように、噴出口群33間の中間部を通ってゆく溶融はんだJの流れIが積極的にでき、溶融はんだJの供給箇所に基板Pが搬送されてきた際に、フラックスが気化してなるガスを生じたり空気が混入することがあっても、基板Pの下面(はんだ面)において生じたガスや空気が前記流れIに沿って基板外部に良好に排出される。したがって、基板Pのはんだ面や電子部品のはんだ部の全ての箇所に対して溶融はんだJが良好に接触し、濡れ不良を生じることを防止できて、良好なはんだ付けを行うことができる。
【0049】
また、このように、基板Pの搬送方向Aや波形成板31の噴出口32の形成箇所が水平に配置されているものにおいては、ディスクリート部品を載せた、比較的凹凸が少なく、基板Pにリード足挿通用の貫通孔を有するものに適している。なお、この実施の形態においては、噴出口32が形成された波形成板31を基板搬送方向Aに対して水平に配置した場合を述べたが、これに代えて、噴出口32が形成された波形成板31を基板搬送方向Aの下流側ほど上方となる上り勾配に傾斜させてもよく、この場合においても、溶融はんだJの流れは溶融はんだJの自重により基板搬送方向Aの上流側への流れが増大するものである。
【0050】
なお、これらの実施の形態においては、噴出口22、32の搬送方向Aに対する列数が3である場合を述べたが、2列や4列以上のものにも適用できることは言うまでもない。また、噴出口22、32の形状も丸孔に限るものではなく、多角形や、角形、矩形など各種の形を採用してもよい。また、上記構造を、噴流ノズルの一部だけに設けても、その箇所においては上記作用効果を得られることはもちろんである。さらに、はんだの材質としては、鉛を含有しない、錫−銅系のはんだに特に適しているが、鉛を含有する従来からのはんだや、鉛を含有しないその他のはんだなど、各種のはんだに適応可能であることは申すまでもない。
【0052】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、噴出口群内で隣り合う上流側の列の噴出口と下流側の列の噴出口との搬送直交方向に関するオーバーラップ寸法よりも、互いに隣り合う噴出口群における最上流列の噴出口と最下流列の噴出口との搬送直交方向に関するオーバーラップ寸法の方が小さくなるように配置させたり、互いに隣り合う噴出口群における最上流列の噴出口と最下流列の噴出口とが搬送直交方向に関してオーバーラップしないように配置させたりすることで、溶融はんだの供給箇所に基板が搬送されてきた際に、フラックスが気化してなるガスを生じたり空気が混入したりすることがあっても、基板の下面において生じたガスや空気が前記流れに沿って基板外部に良好に排出されて、基板のはんだ面や電子部品のはんだ部の全ての箇所に対して溶融はんだが良好に接触し、濡れ不良を生じることを防止できて、良好なはんだ付けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるはんだ噴流装置の要部を示す平面図である。
【図2】(a),(b)は本発明の第2の実施の形態にかかるはんだ噴流装置の要部を示す平面図と正面断面図である。
【図3】同はんだ噴流装置における溶融はんだの流れ状態などを示す拡大平面図である。なお、オーバーラップ量を明確にするため、コイニング加工部分の外形線は省いている。
【図4】(a),(b)は本発明の第3の実施の形態にかかるはんだ噴流装置の要部を示す平面図と正面断面図である。
【図5】同はんだ噴流装置における溶融はんだの流れ状態などを示す拡大平面図である。
【図6】はんだ噴流装置の概略的な全体斜視図である。
【図7】はんだ噴流装置の概略的な正面断面図である。
【図8】(a),(b)は従来のはんだ噴流装置の要部を示す平面図と正面断面図である。
【図9】同従来のはんだ噴流装置における溶融はんだの流れ状態などを示す拡大平面図である。
【符号の説明】
1 一次噴流ノズル
21、31、51 波形成板
22、22A〜22C、32、32A〜32C、52、52A〜52C噴出口
22a 周壁部分
23、33、53 噴出口群
A 基板搬送方向
B 搬送直交方向
C ピッチ間隔
L 傾斜ライン
D、E オーバーラップ寸法
F、G、H 口径
J 溶融はんだ
P 基板
Claims (11)
- 所定搬送方向に搬送される基板に対して、複数の噴出口から溶融はんだを噴出させて、溶融はんだを供給するはんだ噴流装置であって、
前記複数の噴出口が設けられている少なくとも一部の領域では、
基板搬送方向に対して相対的に上流側となる列と下流側となる列との複数列の噴出口が設けられるとともに、これらの上流側となる列の噴出口と下流側となる列の噴出口とが、噴出口に臨むように平面視して基板搬送方向に対して傾斜し、かつ平面視して基板搬送方向に直交する搬送直交方向に対して所定ピッチ間隔毎に配置された複数の傾斜ラインにほぼ沿うように並べられて配置され、さらに、同一傾斜ラインに沿って並べられた噴出口群内で隣り合う上流側となる列の噴出口と下流側となる列の噴出口とが、前記搬送直交方向に関してオーバーラップするように配置されるとともに、互いに隣り合う噴出口群における最上流列の噴出口と最下流列の噴出口とが前記搬送直交方向に関してオーバーラップするように配置され、前記噴出口群内で隣り合う上流側の列の噴出口と下流側の列の噴出口との前記搬送直交方向に関するオーバーラップ寸法よりも、前記互いに隣り合う噴出口群における最上流列の噴出口と最下流列の噴出口との前記搬送直交方向に関するオーバーラップ寸法の方が小さくなるように配置されてなるはんだ噴流装置。 - 所定搬送方向に搬送される基板に対して、複数の噴出口から溶融はんだを噴出させて、溶融はんだを供給するはんだ噴流装置であって、
前記複数の噴出口が設けられている少なくとも一部の領域では、
基板搬送方向に対して相対的に上流側となる列と下流側となる列との複数列の噴出口が設けられるとともに、これらの上流側となる列の噴出口と下流側となる列の噴出口とが、噴出口に臨むように平面視して基板搬送方向に対して傾斜し、かつ平面視して基板搬送方向に直交する搬送直交方向に対して所定ピッチ間隔毎に配置された複数の傾斜ラインにほぼ沿うように並べられて配置され、さらに、同一傾斜ラインに沿って並べられた噴出口群内で隣り合う上流側の列の噴出口と下流側の列の噴出口とが、前記搬送直交方向に関してオーバーラップするように配置される一方、互いに隣り合う噴出口群における最上流列の噴出口と最下流列の噴出口とは前記搬送直交方向に関してオーバーラップしないように配置されてなるはんだ噴流装置。 - 噴出口は、基板に対して溶融はんだを供給するための一次噴流ノズルと、はんだ供給済みの基板から余分なはんだを除去するための二次噴流ノズルとを備えたはんだ噴流装置における一次噴流ノズルに設けられてなる請求項1または2に記載のはんだ噴流装置。
- 複数列の噴出口が設けられている箇所は基板搬送方向に対して水平に配置されている請求項1〜3の何れかに記載のはんだ噴流装置。
- 複数列の噴出口が設けられている箇所は基板搬送方向下流側ほど上方となる上り勾配に傾斜されている請求項1〜3の何れかに記載のはんだ噴流装置。
- 基板は所定の上り勾配の搬送方向に搬送され、各噴出口を基板搬送方向の下流側ほど小さな口径とさせている請求項5に記載のはんだ噴流装置。
- 複数の噴出口は波形成板に形成され、波形成板における各噴出口の周壁部分が上方に突出されている請求項1〜6の何れかに記載のはんだ噴流装置。
- 複数列の噴出口が、上流列の噴出口と中間列の噴出口と下流列の噴出口であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のはんだ噴流装置。
- 所定搬送方向に搬送される基板に対して、複数の噴出口から溶融はんだを噴出させて、溶融はんだを供給し基板をはんだ付けするはんだ付け方法であって、
前記複数の噴出口が設けられている少なくとも一部の領域では、
基板搬送方向に対して相対的に上流側となる列と下流側となる列との複数列の噴出口が設けられるとともに、これらの上流側となる列の噴出口と下流側となる列の噴出口とが、 噴出口に臨むように平面視して基板搬送方向に対して傾斜し、かつ平面視して基板搬送方向に直交する搬送直交方向に対して所定ピッチ間隔毎に配置された複数の傾斜ラインにほぼ沿うように並べられて配置され、さらに、同一傾斜ラインに沿って並べられた噴出口群内で隣り合う上流側となる列の噴出口と下流側となる列の噴出口とが、前記搬送直交方向に関してオーバーラップするように配置されるとともに、互いに隣り合う噴出口群における最上流列の噴出口と最下流列の噴出口とが前記搬送直交方向に関してオーバーラップするように配置され、前記噴出口群内で隣り合う上流側の列の噴出口と下流側の列の噴出口との前記搬送直交方向に関するオーバーラップ寸法よりも、前記互いに隣り合う噴出口群における最上流列の噴出口と最下流列の噴出口との前記搬送直交方向に関するオーバーラップ寸法の方が小さくなるように配置され、前記複数の噴出口から噴出された溶融はんだにより基板に配された被接続部をはんだ付けすることを特徴とするはんだ付け方法。 - 所定搬送方向に搬送される基板に対して、複数の噴出口から溶融はんだを噴出させて、溶融はんだを供給し基板をはんだ付けするはんだ付け方法であって、
前記複数の噴出口が設けられている少なくとも一部の領域では、
基板搬送方向に対して相対的に上流側となる列と下流側となる列との複数列の噴出口が設けられるとともに、これらの上流側となる列の噴出口と下流側となる列の噴出口とが、噴出口に臨むように平面視して基板搬送方向に対して傾斜し、かつ平面視して基板搬送方向に直交する搬送直交方向に対して所定ピッチ間隔毎に配置された複数の傾斜ラインにほぼ沿うように並べられて配置され、さらに、同一傾斜ラインに沿って並べられた噴出口群内で隣り合う上流側の列の噴出口と下流側の列の噴出口とが、前記搬送直交方向に関してオーバーラップするように配置される一方、互いに隣り合う噴出口群における最上流列の噴出口と最下流列の噴出口とは前記搬送直交方向に関してオーバーラップしないように配置され、前記複数の噴出口から噴出された溶融はんだにより基板に配された被接続部をはんだ付けすることを特徴とするはんだ付け方法。 - 複数列の噴出口が、上流列の噴出口と中間列の噴出口と下流列の噴出口であることを特徴とする請求項9または10に記載のはんだ付け方法。
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