JP3601743B2 - ナビゲーション装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、選択された目的地までの経路検索及び経路誘導を行うナビゲーション装置に関し、特に車載電話装置や無線通信機等の通信装置が接続されたナビゲーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
GPS(グローバルポジショニングシステム)による位置検出技術を使用したナビゲーション装置の発達は目覚ましいものがある。特に、近年では、目的地までの経路誘導だけでなく、例えば特開平8−68650号に開示されているように、ナビゲーション装置と通信装置とを接続したシステムをそれぞれ搭載した複数の移動体間において通信装置を介して互いの位置情報及びメッセージを交換し、表示する手法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例においては、例えば、先行する他移動体を自移動体にて追走しているようなときに、自移動体の走行速度が他移動体の走行速度と比較して大きい場合、通信周期、ディスプレイの画面更新周期、自移動体と他移動体との位置関係によっては、自移動体のディスプレイ上における表示が他移動体が進路変更したことをすぐには表示できない。そのため、自移動体のドライバは、他移動体を追い抜いてしまったり、先行する他移動体が進路変更していた場合には他の方向へ走行していくことになる、といった不都合が発生する可能性がある。
【0004】
そこで本発明は、通信装置が接続されたナビゲーション装置であって、自移動体と他移動体との位置関係または走行状態に応じて通信周期を変更するナビゲーション装置の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のナビゲーション装置は以下の構成を特徴とする。
【0007】
即ち、他移動体との通信を行う通信手段が接続されたナビゲーション装置であって、自ナビゲーション装置が搭載された自移動体の速度情報に基づいて、前記通信手段の通信周期を変更する通信周期変更手段を備えることを特徴とする。これらの装置により、自移動体と他移動体との位置関係または走行状態に応じて移動体間の通信周期を変更する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を代表的な移動体である自動車に適用した一実施形態を、図面を参照して説明する。はじめに、本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置のハードウエアの構成を図1を参照して説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態としてのナビゲーション装置が自動車に実装された状態の一例を示すシステム構成図である。
【0010】
図中、2は集中制御ユニットであり、走行状態に係る各種データ(燃料残量、平均燃費、平均車速等)の算出や、以下の各構成を統括的に制御する。3は車載LANユニットであり、例えばアンチロックブレーキシステム(ABS)や4輪駆動制御等の制御に必要な不図示のセンサ及び駆動部と集中制御ユニット2との所謂ローカルエリアネットワーク通信を制御する。4はRAMカードドライブであり、例えば、シート位置、ミラー位置等の運転者に関する情報を記憶したRAMカードのデータ読み込み/書き込み装置である。5はデータドライブであり、例えば、FD、MD、PD等のデータ記憶媒体に記憶した各種情報の読み込み/書き込み装置である。6は音声ガイド用スピーカであり、ナビゲーションコントローラ17からの音声情報が集中制御ユニット2内の音声出力インタフェースを介して出力される。7はマイクであり、操作者の音声による指示が集中制御ユニット2内の音声認識インタフェース(不図示)を介してナビゲーションコントローラ17に入力される。8は液晶表示等のディスプレイであり、ナビゲーション画面、各種入力操作用の画面、移動体の状態(車速、空調設定等)が表示される。更に、ディスプレイ8の前面には、その表示に応じてタッチ操作による入力操作が可能な、静電容量方式や赤外線方式等の入力装置を備える。尚、ディスプレイ8の表示情報のうち、運転中に常に必要な情報は、所謂ヘッドアップディスプレイ(不図示)に表示する構成としてもよい。9は車載電話としての携帯電話であり、電話アンテナ13が接続される。10は操作スイッチであり、集中制御ユニット2及びナビゲーションコントローラ17への入力操作を行う。17はナビゲーションコントローラであり、GPS(グローバルポジショニングシステム)アンテナ11からの位置情報とCD−ROMチェンジャ19に搭載されたCD−ROMの地図情報に基づいて、操作者が操作スイッチ10等により指定した目的地までの適当な経路を検索し、ディスプレイ8上の表示及び音声ガイド用スピーカ6からの音声出力により誘導を行う。CD−ROMチェンジャ19により読み出されるCD−ROMの地図情報は、以下の説明におけるディスプレイ8への表示情報の基本情報である。
【0011】
更に、ナビゲーションコントローラ17には、図示の如く無線アンテナ20が接続された無線送受信機21が接続されており、後述する複数移動体間のデータ通信を行う。
【0012】
更に好ましくは、ナビゲーションコントローラ17に、VICS対応のFM多重放送を受信するFMチューナと、電波ビーコン信号及び光ビーコン信号を受信するビーコン信号受信機とを接続し、それらにより得られる情報を交通規制情報(所謂、VICS情報)として解釈してディスプレイ8に表示し、経路誘導の際の経路検索の条件(制約条件)として使用するとよい。更に、走行経路周辺の地域情報をデータドライブ5等から入力し、表示情報に利用してもよい。尚、GPSによる自車位置の検出手法は公知なため、説明を省略する。
【0013】
次に、本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置のソフトウェアの特徴について説明する。
【0014】
【表示画面の更新】
図2は、本発明の一実施形態としてのナビゲーション装置のディスプレイにおける表示例を示す図である。
【0015】
図中、ディスプレイ8には、表示中の経路上に自移動体31、他移動体35が表示されており、それぞれ矢印によって進行方向が表わされている。また、他移動体34は、停車していることを表わす。36〜38は、後述の移動体間データ通信によって当該他移動体から得られたデータである。強制受信スイッチ32は、表示していた他移動体がディスプレイ8上に表示されなくなった場合や、他移動体の最新の現在位置をあえて知りたい場合に操作者がオンにするスイッチであり、このスイッチがオンされることにより後述の所定時間周期外の通信が行われ、新たに得られた他移動体の位置情報に基づいて表示画面が更新されるものとする。緊急送信スイッチ33は、操作者が何らかの原因により自移動体の走行を中断する場合や一旦全員で集合したい場合等に操作者がオンにするスイッチであり、このスイッチがオンされることにより後述の所定時間周期外の通信が行われ、他移動体のディスプレイ上に、予め登録された例えば「ちょっと待って!」や「集合しよう!」等の所定のメッセージが表示されるものとする。尚、後述の移動体間データ通信により、例えばメッセージ38に示すように、他移動体の入力装置によって入力された任意のメッセージやマイクを介して音声入力されたメッセージを表示(音声ガイド用スピーカ6の音声出力を併用してもよい)することもできるものとする。39は、後述の移動体間データ通信によって得られた当該他移動体の位置情報に基づいて、互いの位置関係を模式化して表示した様子を示しており、同図の場合自移動体31の後方3Kmの位置に他移動体34(B)が停車中、その後方2Kmに他移動体35(A)が48Km/hで追走していることを表わしている。ここで、移動体間距離はマップマッチングにより補間処理された道のりが好ましいが、演算処理の負荷を考慮して2点間の位置(座標)情報から算出した距離としてもよい。
【0016】
尚、上述した画面の各表示要素は、状態の変化に応じて適当に表示色の変更、点滅表示等の強調表示が併用されるものとする。
【0017】
次に、上述した表示画面の動作を実現するディスプレイ8の画面の更新処理を図3を参照して説明する。
【0018】
図3は、本発明の一実施形態としてのナビゲーション装置における表示画面の更新処理を示すフローチャートであり、ナビゲーション装置の起動により処理が開始される。
【0019】
図中、まず前回の画面更新から所定時間Aが経過したかを判断し(ステップS1)、NOの場合は緊急FLがオンかどうかを判断する(ステップS2)。
【0020】
ここで緊急FLは、後述の送受信処理(図6)との間で受け渡しされる処理フラグであって、他移動体に搭載されているナビゲーション装置のディスプレイ8上で、緊急送信スイッチ33(図2)がオンにされ、それに関するデータを後述の移動体間データ通信によって自移動体が受信したとき、前述の予め登録された所定のメッセージを所定の画面更新周期に関らず自移動体のディスプレイ8に表示するためのフラグである。
【0021】
次に、ステップS2でNOの場合はステップS6に進み、一方YESの場合はステップS3で緊急FLをオフにしてステップS4に進む。また、ステップS1でYESの場合は、ナビゲーションコントローラ17内の不図示のメモリ(RAM)に記憶されている最新のGPS情報と他移動体との通信により受信した情報(以下、移動体間情報)とに基づいて自移動体及び他移動体の現在位置、進行方向、移動体間距離等を算出し、関連するテキストデータと共にディスプレイ8に表示する(ステップS4,ステップS5)。そしてディスプレイ8上の強制受信スイッチ32または緊急送信スイッチ33或は不図示の他のスイッチがオンにされたかを判断し(ステップS6)、NOの場合はステップS1にリターンし、一方YESの場合はオンにされた当該スイッチの表示色の変更や、例えば「〇〇〇〇を開始します。」等の所定のメッセージを報知し(ステップS7)、ステップS1にリターンする。
【0022】
【移動体間通信】
次に、自移動体と複数の他移動体との移動体間通信について説明する。
【0023】
図4は、本発明の一実施形態としてのナビゲーション装置間における移動体間通信のデータフォーマットを示す概略図であり、このデータフォーマットが移動体間で送受信されることにより移動体間通信が実現される。
【0024】
図中、データフォーマット40は、以下の各フィールドにより構成される。
【0025】
・IDコード41 :自移動体と複数の他移動体からなる自グループを識別するグループIDである。
【0026】
・情報ビット42 :自フィールド以降のデータが緊急のものかどうかを表わすコード、発信元の移動体ID及び後述の電話回線時に使用される送信先の移動体ID、及び発信時刻が含まれる。
【0027】
・自移動体データ43 :自移動体の移動体ID、自移動体の現在位置情報、走行中/停車中コード、進行方向、及び車速が含まれる。
【0028】
・他移動体データ44 :他移動体から受信したデータを該他移動体とは異なる他移動体に送信するためのフィールドであって、1つ以上の自移動体データ43により構成されるか、または自移動体が最初に発信する場合や他移動体との位置関係により1つも含まれない場合もある。
【0029】
・通信方式データ45 :他移動体同士の現在の通信方式(無線/電話)を表わすコードデータである。
【0030】
・メッセージデータ46 :ディスプレイ8の入力装置によって入力された任意のメッセージやマイクを介して音声入力されたメッセージであるテキストデータである。
【0031】
図5は、本発明の一実施形態としてのナビゲーション装置により、複数移動体間で無線により移動体間通信が行われている様子を説明する図である。
【0032】
図中、移動体Aから移動体Dは、ある経路上を走行している。46〜47は、それぞれの移動体の無線通信が可能な範囲を示している。尚、実際の無線通信範囲は周囲の環境により複雑な形状となることは言うまでもない。このとき、例えば移動体Aの送信した移動体間情報は、直接は移動体Dには到達しない。しかし、移動体B、移動体Cが自移動体のデータを付加しながら順次図4のデータフォーマットに基づいて移動体Aの移動体間情報を中継するため、移動体Dは移動体Aの移動体間情報を受信することができる。この場合、移動体間の位置関係により、同一の他移動体から送信された移動体間情報が、複数の他の他移動体から中継されて送られてくることになるが、その場合の重複するデータは情報ビットフィールド42(図4)に含まれる発信時刻により取捨選択の判断を行う。
【0033】
図6は、本発明の一実施形態としてのナビゲーション装置における移動体間通信の送受信処理を示すフローチャートであり、ナビゲーション装置の起動により処理が開始される。
【0034】
図中、ステップS11では、他移動体との無線通信周波数の設定を行う。ステップS12では、無線通信のための移動体ID、携帯電話9の電話番号を設定する。これらの設定操作は、通常の使用において変更する頻度は少ないため、変更しない場合は確認だけが容易にできる構成とすることは言うまでもない。
【0035】
ステップS13AからステップS23は送受信ルーチンであり、無線通信の場合も電話回線による通信の場合も同様の処理となる。まず、GPS情報を受信したかを判断し(ステップS13A)、YESの場合はその受信したGPS情報をメモリに記憶し(ステップS14)、ステップS13Aにリターンする。一方、ステップS13AにてNOの場合は、移動体間情報を受信したかを判断し(ステップS13B)、NOの場合はステップS13Aにリターンする。一方、ステップS13BにてYESの場合は、受信した移動体間情報を、図4のデータフォーマットに基づいて解釈することによって自グループあてかを判別し(ステップS15)、YESの場合はその移動体間情報をメモリに記憶し(ステップS16)、その移動体間情報に他移動体にて緊急送信スイッチ33がオンにされたことによる緊急送信コードが含まれているかを判断する(ステップS17)。ステップS17でYESの場合は、前記の緊急FLをオンとし(ステップS18:これにより、前記の予め登録された「ちょっと待って!」や「集合しよう!」等の所定のメッセージが自移動体のディスプレイ8に表示される)、さらにその移動体間情報に他移動体にて強制受信スイッチ32がオンにされたことによる強制受信コードが含まれているかを判断する(ステップS19A)。ステップS17でNOの場合は、直接ステップS19Aに進む。そしてステップS19AでNOの場合は、ステップS19Bで前回の移動体間情報の送信から所定時間Bが経過したかを判断する。一方ステップS19AでYESの場合は、所定時間Bの経過を待たずに送信する必要が有るため、ステップS21に進む。
【0036】
ステップS19BでNOの場合は、自移動体のディスプレイ8上の緊急送信スイッチ33が操作者によりオンにされたかを判断し(ステップS20)、YESの場合は所定のメッセージを自移動体データに付加し、ステップS14でメモリに受信した移動体間情報と共に図4のデータフォーマットに基づいて送信を行い(ステップS21)、ステップS13Aにリターンする。ステップS19BでYESの場合は、自移動体データと、ステップS14でメモリに受信した移動体間情報とを図4のデータフォーマットに基づいて送信し(ステップS21)、ステップS13Aにリターンする。一方、ステップS20でNOの場合は、自移動体のディスプレイ8上で強制受信スイッチ32が操作者によりオンにされたかを判断し(ステップS22)、YESの場合はディスプレイ8の表示から消えてしまった当該他移動体と電話回線を接続して移動体間情報を送受信し(ステップS23)、ステップS13Aにリターンする。一方ステップS22でNOの場合は直接ステップS13Aにリターンする。また、ステップS15でNOの場合に直接ステップS21に進み、自移動体データと受信した移動体間情報とを送信するのは、無線通信による通信範囲を超えて長距離の相互通信を行うためである。
【0037】
尚、ステップS21において、自移動体がグループ内の他移動体の中間位置ではない場合、即ちグループの先頭、最後尾(それまでの移動体間通信によりグループ内の他移動体の現在位置は把握しているため、判断可能である)に位置する場合は、他移動体から受信したデータを改めて自移動体からは送信しないものとする。また、後述する移動体間通信の切り換え処理により電話回線による移動体間通信が行われている場合に、電話回線により通信されるデータ内容と同一のデータが無線送受信機21から送出されるものとする。これは、他移動体から受信した移動体間情報の電界強度に応じて移動体間通信の切り換え処理を行うためである。
【0038】
<移動体間通信の切り換え処理>
ところで、図5の走行状態が変化して、例えば移動体Bと移動体Cとの移動体間距離が広くなったため、無線による移動体間通信ができなくなる場合が生じる。そこで無線通信と車載電話による通信を効率良く、経済的に(車載電話をなるべく使用しないようにして)併用することにより、移動体間通信の中断を防止する切り換え処理について以下に説明する。
【0039】
図7は、本発明の一実施形態としてのナビゲーション装置における移動体間通信の切り換え処理を説明する図である。
【0040】
図中、横軸は時間、縦軸は自移動体が無線通信により受信したある他移動体の電界強度を表わす。同図中の各プロットは、移動体間で無線通信または電話回線により通信が行われたことを示しており、T1は無線通信の通信周期、そしてT2は電話による通信周期を表わす。S1は、電界強度の低下により無線通信から電話回線による通信に切り換えるしきい値であり、実際の処理としては時間T経過後または電界強度がS1より小さくなってから所定回数Hだけ無線による通信が行われた場合に切り換えを行うものとする。S2は、電界強度が強くなり電話回線による通信から無線通信に切り換えるしきい値である。ここで、電話による移動体間通信はコストがかかるため、(無線通信周期T1)<(電話信周期T2)の関係があるものとする。
【0041】
次に、電話回線による通信の場合のルールについて、図8から図13を参照して説明する。これは、無線通信の場合は通信相手が1対多であるのに対し、電話回線による通信の場合は1対1であることにより必要となるものである。
【0042】
図8〜図10は、本発明の一実施形態としての電話回線による通信におけるルールを説明する図であり、例として1グループ4台の移動体による通信を示している。以下のルールは、特定の移動体として移動体Dにおいてディスプレイ8上から何れかの他移動体の表示が消えた状態が発生した場合、または所定時間経過しても無線通信により新たな移動体間情報が受信できない状態が発生した場合に判断される(尚、これらの状態は、略同時に他移動体にも発生する)。
【0043】
図8は、基本的なルールとして、4台の移動体がそれぞれ無線通信できない位置関係に有る場合を表わしている。ステップIでは、移動体Dにより、移動体C、移動体B、移動体Aの順に、それぞれ電話回線の接続、相互通信、回線断が行われる。移動体Dは、順次図4のデータフォーマットに基づいて移動体間情報を通信するため、この時点でグループ内の他移動体全ての移動体間情報が入手できたことになるが、移動体Aは移動体B及び移動体C、移動体Bは移動体A及び移動体Cの移動体間情報、そして移動体Cは移動体A及び移動体Bの移動体間情報が入手できていない。そこで、ステップIIでは、移動体Cにより、移動体B、移動体Aの順に、そしてステップIIIでは移動体Bにより移動体Aと、それぞれ同様の電話回線による通信を行うことにより、4台の移動体はそれぞれグループ内の他移動体全ての移動体間情報が入手できたことになる。
【0044】
図9及び図10は、一部の移動体間で無線通信が行えない場合を示している。どの移動体同士が無線通信を行っているのかは、図4のデータフォーマットの通信方式データ45に含まれるコードを参照することにより把握できる。
【0045】
図9では、図示の如く破線で囲まれた移動体Bと移動体Cとの間では無線通信が行われているものとする。この場合、ステップIでは、移動体Dにより、移動体C、移動体Aの順に、それぞれ電話回線による通信が行われ、移動体Bについては、移動体Dの移動体間情報が移動体Cから無線通信により送られる。そしてステップIIで、移動体Cから移動体Aに電話回線による通信が行われることにより、4台の移動体はそれぞれグループ内の他移動体全ての移動体間情報が入手できたことになる。
【0046】
図10では、図示の如く破線で囲まれた移動体Aと移動体Bとの間、移動体Cと移動体Dとの間はそれぞれ無線通信が行われているものとする。この場合は、移動体Dから移動体Bに電話回線による通信が行われることにより、4台の移動体はそれぞれグループ内の他移動体全ての移動体間情報が入手できたことになる。
【0047】
<電話回線による通信の場合のルールの変形例>
次に、例えば前述の図8のステップIにおいて、移動体Dにより、移動体C、移動体B、移動体Aの順に移動体間通信を行う際、例えば移動体Cとの移動体間通信で得られた移動体Cのデータを、次の移動体Bとの移動体間通信におけるデータフォーマットの他車データ44のフィールドに載せるようにするルールも考えられる。この手法の場合のルールについて、図11から図13を参照して説明する。
【0048】
図11から図13は、本発明の一実施形態の変形例としての電話回線による通信におけるルールを説明する図である。このルールの概略を述べれば、移動体Dはそれまでの通信で入手済みの他移動体の情報を、これから電話による通信を行う移動体に全て送信していくという原則による。
【0049】
図11は、本変形例における基本的なルールとして、4台の移動体がそれぞれ無線通信できない位置関係に有る場合を表わしている。ステップIでは、移動体Dから移動体Cに電話回線の接続、相互通信、回線断が行われる。移動体Dは、図4のデータフォーマットに基づいて移動体間情報を通信するため、この時点で移動体Dは移動体Cの移動体間情報、移動体Cは移動体Dの移動体間情報を入手できたことになる(△印の各移動体の左に記載しているアルファベットは、当該移動体が当該ステップにおいて入手している移動体間情報を示す。以下、図13まで同様)。ステップIIでは、移動体Dは自移動体の情報にステップIで入手した移動体Cの情報を加え、移動体Bとの電話による通信を行う。この時点で移動体Dは移動体B及び移動体Cの移動体間情報、移動体Bは移動体C及び移動体Dの移動体間情報を入手できたことになる。同様にしてステップIIIを行えば、この時点で移動体D及び移動体Aは、グループ内の他移動体全ての移動体間情報が入手できたことになる。更に、図示の如くステップIV及びステップVを行うことにより、4台の移動体は、グループ内の他移動体間情報がそれぞれ入手できたことになる。このルールによれば、図8の場合と比較して電話による通信回数の低減が図れるため、コスト的に有利である。
【0050】
図12では、図示の如く破線で囲まれた移動体Bと移動体Cとの間では無線通信が行われているものとする。この場合、ステップIでは、移動体Dにより、移動体Cに電話回線による通信が行われる。この時点で移動体Dは、移動体B及び移動体Cの移動体間情報を、そして移動体Cは、新たに移動体Dの移動体間情報を入手できたことになる。そしてステップIIでは、移動体Bと移動体Cとの間で無線通信が行われることにより、移動体Bにて新たに移動体Dの移動体間情報を入手できたことになる。またステップIIでは、移動体Dは自移動体の情報にステップIで入手した移動体B及び移動体Cの情報を加え、移動体Aとの電話による通信が行われる。この時点で移動体D及び移動体Aは、グループ内の他移動体全ての移動体間情報が入手できたことになる。更に、図示の如くステップIII及びステップIVを行うことにより、4台の移動体はそれぞれグループ内の他移動体全ての移動体間情報が入手できたことになる。
【0051】
図13では、図示の如く破線で囲まれた移動体Aと移動体Bとの間、移動体Cと移動体Dとの間はそれぞれ無線通信が行われているものとする(ステップI,ステップIII)。この場合は、ステップIIで移動体Dから移動体Bに電話回線による通信が行われ、ステップIIIで移動体Aと移動体Bとの間、移動体Cと移動体Dとの間でそれぞれ無線通信が行われることにより、4台の移動体はそれぞれグループ内の他移動体全ての移動体間情報が入手できたことになる。
【0052】
尚、特定の移動体は、上記の移動体Dに限られるものではなく、例えばルール判断が必要となったときにおける最後尾の移動体、先頭の移動体としてもよい。
【0053】
次に、上述したルールに基づいて行われる移動体間通信の切り換え処理について図14、図15のフローチャートを参照して説明する。
【0054】
図14は、本発明の一実施形態としての移動体間通信における自移動体と1台の他移動体との移動体間通信の切り換え処理のフローチャートであり、自移動体は自グループに属する他移動体毎にこの切り換え処理を行う。
【0055】
図中、ステップS31では、当該他移動体から受信した無線電波の電界強度を検出する。そして、その電界強度がしきい値ステップS2より小さいかどうかを判断し(ステップS32)、YESの場合は更にその電界強度が時間Tの間しきい値S1より小さいかを判断し(ステップS33)、NOの場合はステップS31にリターンする。一方、ステップS33でYESの場合は、現在当該他移動体と電話回線にて通信中かを判断し(ステップS34)、YESの場合はステップS31にリターンする。一方、ステップS34でNOの場合は、操作者に当該他移動体との無線通信における電界強度が低下しているため、電話回線を使用するかを選択させる(ステップS35)。
【0056】
ステップS35でNOの場合は、当該他移動体から電話が着呼しているかを判断する(ステップS39)。これは、他移動体における送受信処理(図6)において、ディスプレイ8上で強制受信スイッチ32が操作者によりオンにされ(ステップS22)、それに応じて電話回線を接続して移動体間情報を送受信する(ステップS23)処理に対応するためのものである。従って、ステップS39でYES(当該他移動体から電話が着呼している)の場合は、ステップS36に進んで当該他移動体との電話回線による通信処理を行う(図15を参照して後述する)。一方、ステップS39でNOの場合は、ステップS31にリターンする。また、ステップS35でYESの場合は、当該他移動体との電話回線による通信処理を行い(ステップS36)、ステップS31にリターンする。
【0057】
また、ステップS32でNOの場合は、現在当該他移動体と電話回線にて通信中かを判断する(ステップS37)。ステップS37でNOの場合は、前記のステップS39に進んで当該他移動体から電話が着呼しているかを判断する。また、ステップS37でYESの場合は、無線通信のほうが経済的であるため当該他移動体との電話回線の使用を中止し、即ち、無線通信によって当該他移動体の移動体間情報の入手を再開し(ステップS38)、ステップS31にリターンする。
【0058】
図15は、本発明の一実施形態としての移動体間通信における自移動体と1台の他移動体との電話回線による通信処理のフローチャートである。この処理は、自移動体にて各他移動体との無線通信の状態について行われたところの、図14の切り換え処理による判断に基づいて行われる電話回線による通信処理である。この処理は、電話回線が一度に1台の他移動体としか接続できないことにより必要となる。
【0059】
図中、まず現在自移動体が把握している、即ちメモリに記憶している各他移動体の現在位置情報と、前述した所定のルールとに基づいて、自移動体がいつ電話回線による通信を開始するかについての通信順番を算出する(ステップS41)。ステップS42及びステップS43は、自移動体の通信順番を待つ待機ルーチンであり、自移動体の順番が来た場合または受信できるはずの他移動体の移動体間情報が所定時間Cだけ待機したが入手できない場合には、ステップS44に進む。ステップS44では、前述した図14の処理により電話回線による通信が決定された他移動体のうち、新たなデータが得られていない各他移動体との移動体間通信を順次行う。尚、新たなデータが得られていない各他移動体の判断には、自移動体が電話回線による通信を開始するまでに受信した他移動体からの移動体間通信データ(図4のデータフォーマットに基づく)に含まれる移動体IDと発信時刻とにより行う。
【0060】
【移動体間通信の周期変更及び表示画面の更新周期の変更】
次に、本発明に係るナビゲーション装置における移動体間通信の周期(図6のステップS19Bの所定時間Bに相当する)の変更処理について、図16及び図17を参照して説明する。この処理が必要となるのは、例えば、先行する他移動体を自移動体にて追走しているようなときに、自移動体の走行速度が他移動体の走行速度と比較して大きい場合、通信周期、ディスプレイの画面更新周期、自移動体と他移動体との位置関係によっては、自移動体のディスプレイ上における表示が他移動体が進路変更したことをすぐには表示できない。そのため、自移動体のドライバは、他移動体を追い抜いてしまったり、先行する他移動体が進路変更していた場合には他の方向へ走行していくことになる、といった不都合が発生するためである。
【0061】
そこでこの処理は、自移動体と他移動体との位置関係を所定の評価式により判断し、自移動体のディスプレイ上に表示している他移動体の位置を、実際の位置に応じて正確に表示すべく、図4のデータフォーマットにおける自移動体データフィールド43により当該他移動体の現在位置の座標データを短い時間間隔で入手できるように移動体間通信の周期変更する。
【0062】
尚、(移動体間通信の周期)<(当該他移動体におけるGPS信号による現在位置の検出周期)であるが、各移動体では、GPS信号による現在位置の検出周期の間もマップマッチング等の補間処理によって自移動体及び他移動体の位置情報を変化、即ち、ディスプレイ上の移動体マークを移動させているものとする。また、以下の説明では、前提として(移動体間通信の周期:所定時間B)>(表示画面の更新周期:所定時間A)とする。
【0063】
通信周期変更の判断に使用する評価式について説明する。自移動体と他移動体との位置関係を表わす評価値である状態評価値Tiは、
Ti=k(係数)×Ra×Rb×Rc
で表わせる。このRa,Rb,Rcについて以下に説明する。
【0064】
図16、本発明の一実施形態としての評価式に使用する各計数の特性を示す図であり、Ra,Rb,Rcは、条件が良いときほどそれぞれ大きい値としている。
【0065】
図中、(A)は、自移動体と他移動体との相対距離と係数Raとの特性曲線を示している。相対距離が比較的離れている時に係数Raが大きいのは、次の通信または画面の更新が行われるまでに自移動体と他移動体とが至近距離に位置することは無いであろうためである。また、相対距離が比較的近い時に係数Raが小さいのは、目視にて相手移動体が認識できるような場合にまでナビゲーションナビゲーションコントローラの処理負担を大きくすることを防止するためである(従って、処理負担を考慮しなければ係数が小さい特性としてもよい)。(B)は、自移動体と他移動体との相対速度と係数Rbとの特性曲線を示している。(C)は、自移動体の絶対速度と係数Rcとの特性曲線を示している。これらの特性曲線を参照して行われる周期変更処理を図17に示す。
【0066】
図17、本発明の一実施形態としてのナビゲーション装置における移動体間通信または表示画面の更新周期の変更処理のフローチャートであり、ナビゲーション装置の起動により処理が開始される。
【0067】
図中、現在の自移動体及び各他移動体の移動体間情報及び図16の特性曲線とに基づいて、自移動体と各他移動体との状態評価値Tiを算出し(ステップS51)、算出したTiの最小値を選択し、その値に基づいて移動体間通信の周期の変更を行う(ステップS52)。そして、ステップS53で所定時間Dが経過した後、ステップS51にリターンする。
【0068】
尚、他移動体から入手する現在位置データ(自移動体データ43)の確度を高めるべく、ステップS52において移動体間通信の周期変更でけでなく、GPS情報による現在位置の検出周期をも変更しても良い。
【0069】
尚、前述の実施形態において、操作者への音声ガイド用スピーカ6からの音声出力またはディスプレイ8への表示による通知は、それぞれ一方だけに限られるものではなく、適に音声と表示とを併用してもよいことは言うまでもない。
【0070】
また、前述の実施形態における操作者のナビゲーション装置への入力操作は、操作スイッチ10からの入力操作だけに限られるものではなく、適に音声認識による指示を併用してもよいことは言うまでもない。
【0071】
また、車速に関する情報は、GPS機能により得られた位置情報の単位時間当りの移動量に基づいて算出してもよいことは言うまでもない。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、通信装置が接続されたナビゲーション装置であって、自移動体と他移動体との位置関係または走行状態に応じて通信周期を変更するナビゲーション装置の提供が実現する。これにより、必要に応じて通信周期が変更されるので、自移動体と他移動体との実際の位置関係を大きなタイムラグを発生を防止して迅速に把握し、表示できるようになる。
【0073】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのナビゲーション装置が自動車に実装された状態の一例を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施形態としてのナビゲーション装置のディスプレイにおける表示例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態としてのナビゲーション装置における表示画面の更新処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態としてのナビゲーション装置間における移動体間通信のデータフォーマットを示す概略図である。
【図5】本発明の一実施形態としてのナビゲーション装置により、複数移動体間で無線により移動体間通信が行われている様子を説明する図である。
【図6】本発明の一実施形態としてのナビゲーション装置における移動体間通信の送受信処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態としてのナビゲーション装置における移動体間通信の切り換え処理を説明する図である。
【図8】本発明の一実施形態としての電話回線による通信におけるルールを説明する図である。
【図9】本発明の一実施形態としての電話回線による通信におけるルールを説明する図である。
【図10】本発明の一実施形態としての電話回線による通信におけるルールを説明する図である。
【図11】本発明の一実施形態の変形例としての電話回線による通信におけるルールを説明する図である。
【図12】本発明の一実施形態の変形例としての電話回線による通信におけるルールを説明する図である。
【図13】本発明の一実施形態の変形例としての電話回線による通信におけるルールを説明する図である。
【図14】本発明の一実施形態としての移動体間通信における自移動体と1台の他移動体との移動体間通信の切り換え処理のフローチャートである。
【図15】本発明の一実施形態としての移動体間通信における自移動体と1台の他移動体との電話回線による通信処理のフローチャートである。
【図16】本発明の一実施形態としての評価式に使用する各計数の特性を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態としてのナビゲーション装置における移動体間通信または表示画面の更新周期の変更処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 車体
2 集中制御ユニット
3 車載LANユニット
4 RAMカードドライブ
5 データドライブ
6 音声ガイド用スピーカ
7 マイク
8 ディスプレイ
9 携帯電話
10 操作スイッチ
11 GPSアンテナ
12 FMアンテナ
13 電話アンテナ
17 ナビゲーションコントローラ
19 CD−ROMチェンジャ
20 無線アンテナ
21 無線送受信機
31 自移動体
32 強制受信スイッチ
33 緊急送信スイッチ
34,35 他移動体
Claims (2)
- 他移動体との通信を行う通信手段が接続されたナビゲーション装置であって、
自ナビゲーション装置が搭載された自移動体の速度情報と、前記通信手段により受信した前記他移動体の速度情報とに基づいて、前記通信手段の通信周期を変更する通信周期変更手段を備えることを特徴とするナビゲーション装置。 - 前記通信周期変更手段が、前記自移動体の速度情報と前記他移動体の速度情報とに基づいて移動体間の相対速度を算出し、
少なくとも、前記自移動体と前記他移動体との相対距離及び自移動体の絶対速度が固定の場合には、前記相対速度が大きくなるほど前記通信手段の通信周期を短くすることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
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