JP3601551B2 - 磁性塗料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープや磁気ディスク等の磁気記録媒体の磁性層に使用される磁性塗料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気テープや磁気ディスク等の磁気記録媒体の磁性層は、一般に磁性塗料を非磁性支持体上に塗布し、乾燥することにより得られる。
磁性塗料は、溶媒中に主に固形の磁性粉と結合剤とを含有しており、その他に磁気記録媒体に要求される種々の特性を満たすために、通常、帯電防止剤、研磨剤、潤滑剤、分散剤等が添加されている。そして、非磁性支持体上に塗布する前に、磁性層の硬度を調整するために硬化剤が添加される。
【0003】
磁性塗料の主な製造方法としては、次に示す方法が挙げられる。即ち、先ずニーダー、連続式ニーダー(エクストルーダー)等の如き強力な混練機を用いて、磁性粉と少量の結合剤樹脂とを混練し、更に溶剤を加えて固形分濃度35〜45%(重量基準、以下同じ)にて攪拌してペースト状のミルベースを得る。次いで、サンドミル等により分散操作を行って、固形分の分散状態を向上させる。その後、溶媒を添加して固形分濃度30〜40%に希釈し、濾過によって凝集物や不純物を除去する。そして、更に硬化剤を添加することにより磁性塗料を得る。
上述のようにして製造された磁性塗料を非磁性支持体上に塗布することにより、磁気記録媒体の磁性層が得られる。
【0004】
ところで、磁気記録媒体においては、優れた耐久性や電磁変換特性等の特性が要求され、かかる特性を有する磁気記録媒体を得るためには、磁性塗料中の磁性粉が均一に分散していることが必要である。
このため、分散性を向上させるために、磁性粉と結合剤とを高濃度状態で前記混練機を用いて、高剪断力を付加して混練するなど、種々の方法が提案されている。
【0005】
例えば、特開平2−223018号公報には、混練物を混練する際に、該混練物に対する攪拌トルクを測定し、終了を決定すること等が提案されている。
また、混練物の固形分濃度、パドルの選定、溶媒の種類や量等の検討もなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記混練機を用いて分散状態の良い混練物を得るためには、最適な剪断力を付加する必要がある。
しかしながら、これまでは混練物に対する最適な剪断力による分散状態を評価する方法は少なく、分散性の良好な磁性塗料を得ることが困難であった。
【0007】
従って、本発明の目的は、混練物に対する最適な剪断力を付加でき、分散性に優れた磁性塗料の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意研究した結果、連続式2軸混練機を用いて磁性塗料を混練して磁性塗料を製造するに際し、上記混練機の混練時の動力、処理量及び剪断速度により定義した混練エネルギーに対して、混練物を所定の条件で混練して得られる磁性塗料から形成された磁性塗膜の光沢度を測定し、該光沢度のピーク値から上記混練工程における最適混練条件を決定することにより、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0009】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、連続式2軸混練機を用いて磁性塗料を混練する混練工程を含む磁性塗料の製造方法において、上記混練工程における最適混練条件を、下記式で定義される混練エネルギーに対して混練物を所定の処理量・剪断速度で混練した際の該混練により得られる磁性塗料から形成された磁性塗膜の光沢度がピーク値又はその近傍の値となる所をもって決定することを特徴とする磁性塗料の製造方法を提供するものである。
混練エネルギー=〔(P−Po)×N/Nmax〕/F
P :運動時の動力(KW) N :剪断速度(sec−1)
Po:無負荷時の動力(KW) Nmax:最大剪断速度(sec−1)
F :処理量(Kg/Hr)
【0010】
ここで、上記無負荷時の動力(Po)とは、混練物を投入しない空の状態での上記混練機の動力をいい、上記最大剪断速度(Nmax)とは、使用する混練機のもつ最大の剪断速度、即ち最大回転数とクリアランスから計算されるものをいう。
また、上記光沢度とは、上記の磁性塗膜を市販のグロスメーターで測定した光反射率(以下、グロスということもある)の値をいう。この際、上記グロス測定時の入射角は60度での値を使用し、分散度の基準は、グロスの絶対値ではなく、グロスの相対比較で判断する。
【0011】
また、上記ピーク値及びその近傍の値について、図1に示すグラフを参照しながら具体的に説明する。図1は、後述の実施例で得られた混練エネルギーと光沢度との関係を示すグラフである。
上記ピーク値及びその近傍の値は、図1の場合、次のようにして求められる。即ち、混練機の運転条件(剪断速度)を変更することにより混練エネルギーを変化させて、それぞれの混練エネルギーで混練して得られる磁性塗料から形成された磁性塗膜の光沢度を測定する。得られた光沢度の値を、図1に示すように、横軸を混練エネルギー、縦軸を光沢度とするグラフ上にプロットする。そして、プロットした点を結ぶ曲線(山形の曲線)の最高点をピーク値とする。また、該ピーク値の近傍の値とは、混練時における混練物の固形分濃度及び該混練物を処理する際の処理量等により異なるが、該ピーク値との光沢度の差が所定の範囲内の値をいうものとする。該光沢度の差は、10以下、好ましくは5以下であるのが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁性塗料の製造方法について詳細に説明する。
本発明の製造方法は、連続式2軸混練機を用いて磁性塗料を混練する混練工程を含むものである。
そして、上記混練工程における最適混練条件は、上記式で定義される混練エネルギーに対して混練物を所定の処理量・剪断速度で混練した際の該混練により得られる磁性塗料から形成された磁性塗膜の光沢度がピーク値又はその近傍の値となる所をもって決定される。具体的には、該混練エネルギーに対する光沢度を測定し、該光沢度のピーク値又はその近傍の値より運転条件を決定する。
【0013】
上記のピーク値又はその近傍の値は、混練時における混練物の固形分濃度及び該混練物を処理する際の処理量等により変化するものである。この際、上記固形分濃度は、目的に応じて、75〜85重量%(以下、単に%という)の範囲から適宜選択される。また、上記処理量は、使用する混練機の機種サイズ等に依存されるが、例えば、後述の実施例において使用した栗本鉄工(株)製の連続式2軸混練機(KEX−40)の場合には、5〜20Kg/Hrの範囲から適宜選択した。
【0014】
また、上記混練工程において混練する際、その滞留時間は、使用機種のサイズ及び処理量により必然的に決まる。また、混練温度は、20〜40℃であるのが好ましい。
【0015】
上記混練工程において混練される混合物は、磁性粉、結合剤及びその他の添加剤を含有するものであり、該混合物に更に溶剤が加えられる。
上記磁性粉としては、強磁性金属粉末等が好ましく挙げられ、上記結合剤としては、塩化ビニル系共重合体、ポリエステル系ポリウレタン樹脂等が好ましく挙げられ、上記溶剤としては、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン及びこれらの混合溶剤等が挙げられる。
上記添加剤としては、酸化アルミニウム等の研磨剤、カーボンブラック等の帯電防止剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸の低級アルコールエステル等の潤滑剤等が挙げられる。
【0016】
上記混練工程で得られた混練物は、上記混練機の中間部分より溶剤を添加し、その固形分が40〜60%となるよう希釈した後、次工程のタンクに蓄えられる。その後、ディスパー、二軸ミキサー、ホモミキサー等の攪拌装置にて該混練物をさらに希釈解砕し、その固形分を35〜45%とする。次いでサンドミル等を用いて分散し、濾過した後、必要に応じてイソシアネート系等の硬化剤を添加して磁性塗料を得ることができる。
【0017】
本発明の製造方法における上記混練工程以外の工程は、従来の磁性塗料の製造方法における工程と特に変らない。
【0018】
本発明の製造方法により得られた磁性塗料は、ポリエチレンテレフタレート等の支持体上に乾燥塗膜が好ましくは2〜10μmとなるようにアプリケーター等をもちいて塗布し、乾燥させて塗膜を形成することができ、磁気テープや磁気ディスク等の磁気記録媒体の記録塗膜として使用される。
【0019】
【実施例】
以下、実施例により、本発明の磁性塗料の製造方法を具体的に説明する。
【0020】
混練工程において、以下の配合物を連続式2軸混練機〔KEX−40;栗本鉄工(株)製〕で混練する。
〔配合物〕
磁性粉(軸比1/10のメタル粉) 100重量部
塩化ビニル系共重合体(結合剤) 10重量部
ポリエステル系ポリウレタン樹脂(結合剤) 5重量部
酸化アルミニウム(研磨剤) 10重量部
カーボンブラック(帯電防止剤) 1重量部
高級脂肪酸(潤滑剤) 1重量部
高級脂肪酸の低級アルコールエステル(潤滑剤) 1重量部
上記配合物に、溶媒(メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン=2/2/3)を加え下記〔表1〕に示す固形分濃度(投入固形分)とし、上記連続式2軸混練機で下記〔表1〕の諸条件にて混練し、出口部分で固形分60%の混練物を得る。そして、攪拌装置を用いて上記混練物を固形分が60%から40%になるように希釈解砕し、次いでサンドミルを用いて分散し、濾過した後イソシアネート系の硬化剤5重量部を添加し、磁性塗料を得る。
そして、上記磁性塗料をポリエチレンテレフタレートフィルム上に乾燥塗膜(磁性層)の厚さが10μmとなるように塗布し、カレンダー処理による表面処理を行った。その後、磁性層と反対側にバックコートを塗布し、スリットして磁気テープを作製した。
上記磁気テープを一部切り取り、市販のグロスメーターで光沢度(光反射率)を求めた(グロス測定時の入射角は60度での値を使用している。また、ここでの分散度の基準は、グロスの絶対値ではなく、グロスの相対比較で判断する)。
さらに、分散状態を確認するため、角形比(残留磁束密度/飽和磁束密度との比)とS/N(リファレンスとして、下記〔表1〕の(ref.)における、固形分80%、剪断速度1500S−1、処理量10Kg/Hrに対する相対値をdBで示している。)を求めた。
それらの結果を下記〔表1〕に示す。また、得られた結果について、混練エネルギーと光沢度との関係を表すグラフを作成し、図1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
以上の結果より、本実施例の製造条件より、最適混練条件(運転条件)を、混練エネルギーに対して混練により得られる磁性塗料から形成された磁性塗膜の光沢度がピーク値又はその近傍の値となる所をもって決定し、分散性の良好な磁性塗料を得ることが可能である。
【0023】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、混練物に対する最適な剪断力を付加でき、分散性の良好な磁性塗料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、混練エネルギーと光沢度との関係を示すグラフである。
Claims (1)
- 連続式2軸混練機を用いて磁性塗料を混練する混練工程を含む磁性塗料の製造方法において、
混練物を所定の処理量(Kg/Hr)及び剪断速度で混練した際の該混練により得られる磁性塗料から形成された磁性塗膜の光沢度を測定し、
得られた光沢度の値を、横軸を下記式で定義される混練エネルギー、縦軸を光沢度とするグラフ上にプロットし、
プロットした点を結ぶ曲線の最高点を光沢度のピーク値とし、
ピーク値又はその近傍の値となる所をもって上記混練工程における最適混練条件を決定することを特徴とする
磁性塗料の製造方法。
混練エネルギー=〔(P−Po)×N/Nmax〕/F
P :運動時の動力(KW) N :剪断速度(sec-1)
Po:無負荷時の動力(KW) Nmax:最大剪断速度(sec-1)
F :処理量(Kg/Hr)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP16965195A JP3601551B2 (ja) | 1995-07-05 | 1995-07-05 | 磁性塗料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP16965195A JP3601551B2 (ja) | 1995-07-05 | 1995-07-05 | 磁性塗料の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0912936A JPH0912936A (ja) | 1997-01-14 |
JP3601551B2 true JP3601551B2 (ja) | 2004-12-15 |
Family
ID=15890427
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16965195A Expired - Lifetime JP3601551B2 (ja) | 1995-07-05 | 1995-07-05 | 磁性塗料の製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3601551B2 (ja) |
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---|---|---|---|---|
JP2011118988A (ja) * | 2009-12-03 | 2011-06-16 | Hitachi Maxell Ltd | 磁気記録媒体の製造方法 |
-
1995
- 1995-07-05 JP JP16965195A patent/JP3601551B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH0912936A (ja) | 1997-01-14 |
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