JP2005339610A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】重層塗布型磁気記録媒体の上下層界面(磁性層と下塗り層との境界面)を均一にする。
【解決手段】最終調整後(塗布直前)における磁性層用塗料のクリープコンプライアンス値Juと下塗り層用塗料のクリープコンプライアンス値Jsとの比Ju/Jsを0.9〜1.1とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、可撓性支持体上に下塗り層と磁性層とを有する塗布型の磁気記録媒体の製造方法に関する。
磁気記録媒体の一つである磁気テープは、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピュータのデータバックアップ用テープなど種々の用途がある。なかでもデータバックアップ用テープ(コンピュータテープ)の分野ではバックアップ対象となるハードディスクの大容量化に伴い、1巻当たり数百ギガバイト以上の記録容量のものが商品化されていり、今後もハードディスクのさらなる大容量化に対応するため、バックアップ用テープの高容量化は不可欠である。このような高容量化を達成するには、記録波長を短くすること、及びトラック幅を小さくして、高記録密度化をはかることが必要となる。
従来、コンピュータテープには、磁性粉を結合剤中に分散させた磁性塗料を、可撓性支持体上に塗布して製造される、いわゆる塗布型の磁気テープが用いられている。塗布型の磁気テープにおいて高容量化・高密度化を図るためには、これまで以上に磁性層の膜厚を薄くする必要があり、現在では磁性層の厚さを300nm以下とした磁気テープも知られている。このような薄膜磁性層は、可撓性支持体上に、非磁性粉末および結合剤を含む下塗り層と、磁性粉および結合剤を含む磁性層とを塗布形成する際、下塗り層用の塗料が湿潤状態にあるうちにその上に磁性層用の塗料を塗布する、いわゆる同時重層塗布方式(ウェット・オン・ウェット方式)を用いることで実現できる(例えば特許文献1参照)。
ところで、高い電磁変換特性を有する磁気記録媒体を実現するには、磁性層を薄くすると同時に、その膜厚も均一にする必要があり、そのためには下塗り層と磁性層との界面が平滑でなければならない。しかしながら、塗布型磁気記録媒体の製造過程では、通常、磁性層用塗料・下塗り層用塗料とも流体の状態で塗布を行っており、その際に塗布層において渦や乱流が発生するので平滑化することは困難であった。
このような問題点を解決するために、従来から磁性層用塗料と下塗り層用塗料の流動性を制御して界面を平滑化する方法が提案されている(特許文献2、特許文献3、特許文献4等参照)。
特開平5−73883号公報 特開平9−180188号公報 特開平10−031818号公報 特開平11−149634号公報
しかしながら、上記のような従来の方法では、塗布型磁気記録媒体における下塗り層/磁性層間の界面を未だ十分に平滑化することはできなかった。例えば先の特許文献3や特許文献4では、上層塗料の複素弾性率または貯蔵弾性率によって最適な塗布条件を得ようと試みられているが、下層塗料に対する条件が規定されておらず、そのため下層の塗料特性によっては十分平滑な上下層界面が得られない場合があった。また逆に平滑な上下層界面を形成できる下層塗料であっても、作製した磁気記録媒体の剛性や耐久性といった特性が劣化してしまう場合もあった。
また、先の特許文献2においては上下層塗料の表面張力、極限粘度および塗料降伏値を規定し、更に上下層塗料のこれらの値の関係を規定している。これらの特性値は塗料が長い時間かけて流動するときの特性値である。しかし、上下層同時塗布は非常に短い時間で完結する過渡的な現象ととらえなければならず、ほとんど瞬間の塗料特性を考えなければならない。特許文献2に記載の方法では、同時重層塗布により上下層を形成する際に均一な界面とするために必要となる前記のような瞬間の塗料特性を規定する構成が欠けており、この点で未だ上下層界面の均一化を十分に達成しうるものとは言い難い。
本発明は、下塗り層の直上に磁性層が設けられる重層タイプの塗布型磁気記録媒体を製造する際における上述のような問題点を解消するもので、下塗り層\磁性層の界面を均一にすることのできる磁気記録媒体の製造方法を提供し、ひいては高密度記録に適した磁気特性および電磁変換特性に優れる磁気記録媒体を実現することを目的とする。
上記課題を達成するため、本発明者は鋭意研究の結果、磁性層用および下塗り層用の両塗料の流動特性のうち、クリープコンプライアンス値(ずりクリープコンプライアンス値)を両塗料で同一もしくは略同一となるように調整することにより、両層の界面が均一な磁気記録媒体が製造できることを見いだした。
本発明は、このような知見に基づいてなされたもので、可撓性支持体上に、非磁性粉末と結合剤とを含む下塗り層用塗料を塗布し、この下塗り層用塗料が湿潤状態にあるうちにその上に、磁性粉と結合剤とを含む磁性層用塗料を塗布することにより、下塗り層および磁性層を有する磁気記録媒体を製造する方法において、前記塗布直前における磁性層用塗料のクリープコンプライアンス値Juと下塗り層用塗料のクリープコンプライアンス値Jsとの比Ju/Jsが0.9〜1.1の範囲となるように調整した下塗り層用塗料および磁性層用塗料を用いることを特徴とするものである。
同時重層塗布により可撓性支持体上に下塗り層および磁性層をこの両層の界面が均一となるように形成するに当たって、塗布直前(換言すれば塗料最終調整後)における下塗り層用塗料および磁性層用塗料の両クリープコンプライアンス値の比に着目したのは次のような理由からである。つまり前記したように上下層同時塗布は非常に短い時間で完結する過渡的な現象としてとらえる必要があり、ほとんど瞬間の塗料特性を考える必要がある。クリープコンプライアンス値は塗料の弾性を表現し、瞬間的な現象を代表する特性値であるので、この値に着目することにした。
本発明によれば、可撓性支持体上に下塗り層と磁性層とを同時重層塗布により形成する際に両層の界面の乱れが少なくなるので、下塗り層/磁性層の界面が均一な磁気記録媒体を製造することができる。これにより、高容量化に適した高記録密度特性を有する磁気記録媒体を実現することができる。
《可撓性支持体》
磁気記録媒体のベースとして使用する可撓性支持体には、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、二軸延伸の芳香族ポリアミドベースフィルム、芳香族ポリイミドフィルム等が好ましい。なお、非磁性支持体の厚さは用途によって異なるが、磁気記録媒体が磁気テープである場合、通常1〜7μmのものが使用される。この範囲の厚さの非磁性支持体が使用されるのは、1μm未満では製膜が難しく、またテープ強度が小さくなり、7μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、テープ1巻当りの記憶容量が小さくなるためである。また、非磁性支持体の磁性層形成面の表面中心線平均粗さ(Ra)は2.5nm以上20nm以下がより好ましい。20nm以下がより好ましいのは、20nm以下であれば、磁性層表面の凹凸が小さくなるためである。
《下塗り層用塗料》
下塗り層塗料は、結合剤中に非磁性粉末を分散させてなる。結合剤としては、後述する磁性層用塗料におけるものと同様の結合剤を使用できる。非磁性粉末としては、塗膜の強度を高める目的で非磁性の無機粉末を使用する。この無機粉末としては、金属酸化物、アルカリ土類金属塩等が好ましい。更に下塗り層に添加する無機粉末としては、酸化鉄が好ましく、その粒径は50〜400nmがより好ましく、添加量は、非磁性粉末の重量を基準にして35〜83重量%が好ましい。この範囲の粒径が好ましいのは、粒径50nm未満では均一分散が難しく、400nmを越えると同時重層塗布により形成される下塗り層とその直上の磁性層との界面の凹凸が増加するためである。また、この範囲の添加量が好ましいのは、35重量%未満では塗膜強度向上効果が小さく、83重量%を越えると却って塗膜強度が低下するためである。
下塗り層塗料にはアルミナを添加することが好ましい。アルミナの添加量は、全非磁性粉末の重量を基準にして2〜30重量%がより好ましく、8〜20重量%がさらに好ましく、11〜20重量%が一層好ましい。添加するアルミナの粒径は、100nm以下が好ましく、10〜100nmのアルミナ添加がより好ましく、30〜90nmがさらに好ましく、50〜90nmが一層好ましい。また、下塗り層塗料に添加するアルミナは、コランダム相を主体とするアルミナが特に好ましい。上記範囲のアルミナ添加量が好ましいのは、2重量%未満では塗料流動性が不充分となり、30重量%を越えると同時重層塗布により形成される下塗り層とその直上の層との界面における凹凸が大きくなるためである。また、100nm以下のアルミナが良いのは、磁性層形成面の表面粗さが2.5nm以上の平滑度の低い非磁性支持体を使用し、形成される下塗り層が1.5μm以下と薄い場合に、アルミナの粒径が100nmを越えると、下塗り層表面の平滑効果が不充分になるためである。コランダム相を主体とするアルミナ(α化率:30%以上)が特に良いのは、σ、θやγアルミナ等を使用した場合に比べて少量で下塗り層のヤング率が高くなり、テープ強度が増すためである。また、テープ強度も高くなることで、テープエッジの波打ち(エッジウィーブ)による出力のばらつきも改善される。
なお、上記粒径のアルミナと共に、全非磁性粉末の重量を基準にして3重量%未満の100〜800nmのαアルミナを添加することを排除するものではない。
下塗り層用塗料には、塗膜の導電性向上を目的にカーボンブラック(CB)を添加する。添加するCBとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。平均粒径が5nm〜200nmのものが使用されるが、平均粒径10〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、CBがストラクチャーを持っているため、平均粒径が10nm以下になるとCBの分散が難しく、100nm以上では平滑性が悪くなるためである。CB添加量は、CBの粒径によって異なるが、通常、全非磁性粉末に対して15〜40重量%が好ましい。この範囲が好ましいのは、15重量%未満では導電性向上効果が乏しく、40重量%を越えると効果が飽和するためである。平均粒径15nm〜80nmのCBを15〜35重量%使用するのがより好ましく、平均粒径20nm〜50nmのCBを20〜30重量%用いるのがさらに好ましい。このような粒径・量のCBを添加することにより電気抵抗が低減され、静電ノイズの発生やテープ走行むらが小さくなる。
《磁性層用塗料》
磁性層用塗料は、結合剤中に磁性粉を分散させてなる。磁性層用塗料に添加する磁性粉には、強磁性鉄系金属粉を使用するのが好ましく、その平均長軸長Dは、10〜100nmが好ましく、20〜60nmがより好ましい。この範囲が好ましいのは、100nmより大きいと粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなり、C/N特性を向上させることが困難になる。また、平均長軸長が10nm未満となると保磁力が低下し、同時に磁性粉の凝集力が増大するため塗料中への分散が困難になる。なお、上記の平均長軸長は、走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した写真上において粒子サイズを実測し、100個あたりの平均値により求めたものである。強磁性鉄系金属粉のBET比表面積は、35〜85m2 /gが好ましく、40〜80m2 /gがより好ましく、50〜70m2 /gが最も好ましい。
磁性層用塗料に添加する強磁性鉄系金属粉の保磁力は、135kA/m〜280kA/m(1700〜3500Oe)が好ましく、飽和磁化量は、100〜200A・m2 /kg(100〜200emu/g)が好ましく、120〜180A・m2 /kg(120〜1800emu/g)がより好ましい。なお、磁性層の磁気特性と、強磁性鉄系金属粉の磁気特性は、いずれも試料振動形磁束計で外部磁場1.3MA/m(16kOe)での測定値をいうものである。
磁性層用塗料(下塗り層用塗料についても同様)に使用しうる結合剤としては、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体、ニトロセルロースなどの中から選ばれる少なくとも1種と、ポリウレタン樹脂とを組み合わせたものが挙げられる。中でも、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体とポリウレタン樹脂とを併用するのが好ましい。ポリウレタン樹脂には、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタンなどがある。これらの結合剤は、磁性層用塗料では磁性粉、下塗り層用塗料では全非磁性粉末100重量部に対して、7〜50重量部、好ましくは10〜35重量部の範囲で用いられる。特に、結合剤として、塩化ビニル系樹脂5〜30重量部と、ポリウレタン樹脂2〜20重量部とを、複合して用いるのが最も好ましい。
官能基として−COOH、−SO3 M、−OSO3 M、−P=O(OM)3 、−O−P=O(OM)2 [これらの式中、Mは水素原子、アルカリ金属塩基又はアミン塩を示す]、−OH、−NR12 、−N+345 [これらの式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 は水素または炭化水素基を示す]、エポキシ基を有する、高分子からなる結合剤が使用される。このような結合剤を使用するのは、上述のように磁性粉等の分散性が向上するためである。2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも−SO3 M基同士の組み合わせが好ましい。
これらの結合剤とともに、結合剤中に含まれる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤を併用するのが望ましい。この架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ましい。これらの架橋剤は、結合剤100重量部に対して、通常10〜50重量部の割合で用いられる。より好ましくは15〜35重量部である。
磁性層用塗料及び下塗り層用塗料に用いられる有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等が挙げられる。これらは、単独でもしくは任意の比率で混合して使用できる。
上記した磁性粉や結合剤等で構成される磁性層用塗料中及び上記非磁性粉末や結合剤等で構成される下塗り層用塗料中には添加剤として分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤、防錆剤等を添加しても良い。
《磁性層用塗料・下塗り層用塗料の調整と、可撓性支持体への塗布》
磁性層用塗料および下塗り層用塗料は、以下のようにして調整される。磁性層用塗料の場合は、まず磁性粉と少量の溶剤、結合剤及び適量の分散剤、添加剤とを混合する。下塗り層用塗料の場合は、酸化鉄等の無機粉末、アルミナ、CBと少量の溶剤、結合剤とを混合する。その後それぞれニーダー、二軸連続式混練装置(エクストルーダ)等の強力な混練機を用いて混練する。更に溶剤を加えて固形分濃度35〜45%(重量基準、以下同じ)に調製し、これを攪拌してペースト状のミルベースを得る。上記混練工程において使用される二軸連続式混練機は、その混練部(バレル)に加熱・冷却可能な装置を装備し、該混練部の温度を、20〜50℃、好ましくは25〜35℃に制御することにより混練物が調整される。ここで、上記混練部の温度が20℃未満であると、混練物へのぬれ性アップが図れないだけでなく、分散性向上もねらうことができず、また50℃を越えると、混練物の粘性が低下し、所望の剪断力を作用させることができなくなる。また、上記混練工程において混練する際の混練条件は、混練時間が2〜5分であるのが好ましく、混練物の供給速度が5〜15kg/hであるのが好ましい。
次いで、サンドミル等による分散工程によって磁性層用塗料および下塗り層用塗料の分散状態を向上させる。具体的には、分散用媒体を予め所定充填量投入した媒体分散型ミルの円筒状の容器(べッセル)内に上記ペースト状の塗料を供給し、このベッセル内に設けられた多数の攪拌用ディスク、翼状攪拌体または攪拌用ピン等の撹拌装置を所定の周速で回転させることで、塗料の混合・分散処理を行う。上述の媒体分散機としてはサンドミルを代表例として挙げることができる。そこで、以下では、サンドミルを用いた場合の処理例を説明する。
サンドミルは、塗料の分散液を収納する横長のベッセル(容器)と、円板状の回転ディスクが多数連結されてモータにより回転駆動される回転軸と、ベッセルに設けられた分散液用の入口および出口とを備える。
回転ディスクには、複数の孔が設けられている。ポンプ等により分散液用の入口からベッセル内に送り込まれた塗料は、回転する多数のディスクにより撹拌され、ベッセル内の分散用媒体(ビーズ)により分散処理を受けながら、出口から排出される。分散用媒体の材質については特に制約はないが、好ましくはセラミック製の分散用媒体が使用される。特にジルコニアが耐磨耗度の点からより好ましく、小径のビーズ状にしたものが用いられる。分散効率を高めて良好な分散状態を確保するため、分散用媒体の比重は好ましくは2.0g/cc〜6.5g/ccであり、より好ましくは3.8g/cc〜6.0g/ccである。分散用媒体の平均粒径は0.02mm〜0.7mmが好ましく、0.05mm〜0.5mmがより好ましい。
分散用媒体の充填率は55〜85%が好ましい。充填率は、容器内に分散用媒体を投入したときの見掛けの容積をV1、分散用媒体の真の容積をV2、分散液の容積をV3としたとき、100×V1/(V2+V3)(%)として定義される。なお、媒体分散機としては、上述のサンドミル以外にもピン型ミルやアニュラー型ミル、混合槽内に内設された攪拌装置を持つ他の分散機であっても良い。
次に、上述のようにして磁性粉(磁性層用塗料の場合)または非磁性粉末(下塗り層用塗料の場合)が分散された分散液に必要に応じ溶剤を加えて粘度を下げる最終調製としてのレットダウン処理を行い、得られた分散液をフィルタで濾過して塗料(磁性層用塗料および下塗り層用塗料)を製造する。フィルタを通した塗料を塗布する前に、凝集した塗料を再分散させることができる。再分散にはホモジナイザー、超音波分散装置などが用いられる。また小粒径の分散用媒体によるサンドミル分散を、塗料を最終調製しフィルタを通したのち塗布するまでの間に、行うこともできる。なお、ホモジナイザーによる分散、超音波分散、サンドミル分散は、任意に組み合わせることができる。
以上のようにして調整した磁性層用塗料を薄い可撓性支持体に塗布して磁性層を形成する。このとき、磁性層の平均乾燥厚みを1nm〜100nmの任意の厚みで精度良くかつ生産性良く形成するため、磁性層用塗料を塗布した層の直下に下塗り層用塗料を塗布した層を設け、後者の下塗り層用塗料が湿潤状態にあるうちにその上に磁性層用塗料を重畳して塗布する、ウェット・オン・ウェット同時重層塗布方式を用いる。このような塗布には、塗布液通液スリットを二つ内蔵する一体のエクストルージョン型ダイ塗布ヘッドにより、下塗り層用塗料と磁性層用塗料とをほぼ同時に塗布する方式が最も適している。塗布の安定性をあげるために、下塗り層用塗料に用いる溶媒の表面張力が、磁性層用塗料に用いる溶媒の表面張力より高いことが好ましい。表面張力の高い溶媒としてはシクロヘキサノン、ジオキサンなどがある。
形成される磁性層と下塗り層との界面変動を小さくするためには、上記の磁性層用塗料と下塗り層用塗料の流動特性を適切に制御する必要がある。まず105-1といった高剪断領域における磁性層用塗料粘度ηuと下塗り層用塗料粘度ηsとが近い値であるが好ましい。ここでいう塗料粘度は、温度25℃で測定される粘度であり、その具体的な測定方法については次の段落0034の中で説明する。両者の比ηu/ηsは0.8〜1.15の範囲であることが好ましく、0.9〜1.1の範囲であることがより好ましい。この条件を満たした上で、磁性層用塗料のクリープコンプライアンスJuと下塗り層塗料のクリープコンプライアンスJsとが近い方がよい。両者の比Ju/Jsは0.9〜1.1が好ましく、0.95〜1.05であることがより好ましい。
上記のクリープコンプライアンスは以下のようにして測定した。測定にはコーンギャップ型円筒式粘弾性測定装置HAAKE社RS100を用いた。コーンの直径を35mm、オフセット量を0.054mm、コーン角1度として、測定対象となる塗料0.2mm3 に1Paの回転応力を加え、対象塗料の変形量γ(無次元)の時間変化を測定すると図1の様になる。ここで図中の領域aは弾性領域、bは粘性領域である。粘性領域の30s〜60sの間を直線として、この直線を0sに外挿したときの変形量をクリープコンプライアンス(以下、単に「コンプライアンス」ともいう)とする。実際のコンプライアンスの値としては、磁性層用塗料・下塗り層用塗料とも1〜10(1/Pa)が好ましく、1.5〜6(1/Pa)がより好ましい。同様の測定条件で、回転応力を101 Pa加え、120秒後の剪断速度τを測定し、応力/剪断速度をもって塗料粘度とした。
上記のような所定のクリープコンプライアンス値は、最終塗料の流動特性、チキソトロピー性、極限粘度、塗料温度を適宜調製することによって得られる。配合される磁性粉、非磁性粉末、結合剤、添加剤などの種類・量によって、最終調整前の塗料における上記流動特性等は変わってくる。すなわち、塗料の最終調製段階における設定固形分濃度、使用溶剤の比率、フィルター及び再分散機の条件を適宜選択することによって、所定の流動特性を得、クリープコンプライアンス値が所要の範囲となるように調製することができる。
具体的には磁性層用塗料および下塗り層用塗料を最終調製した後、超音波分散機などを用いて再分散を行うが、このときの下塗り層用塗料の照射時間を磁性層用塗料の照射時間の1.5倍以上にすることで、両塗料のコンプライアンス値を実質的に等しくすることができる。
また磁性層用塗料に用いる混合溶剤の混合状態における極限粘度を、下塗り層用塗料に用いる混合溶剤の混合状態における極限粘度の0.7〜1.3の範囲に設定することによって、両塗料のコンプライアンス値を実質的に等しくすることもできる。
更に磁性層用塗料をレットダウン後サンドミル等による再分散によって塗料安定性を向上させ、下塗り層用塗料の塗料安定性と同等にすることによって両塗料のコンプライアンス値を実質的に等しくする方法もある。
エクストルージョン型ダイに塗料を送液するする直前における下塗り層用塗料の温度tsを15〜38℃、磁性層用塗料の温度tuを15〜40℃の範囲(〔tu/ts〕=1.1〜1.5)にそれぞれ制御することによって、両塗料のコンプライアンス値を実質的に等しくすることもできる。
上記のようにして可撓性支持体上に下塗り層用塗料および磁性層用塗料を塗布した後、磁性層用塗料の流動性が残っている状態で磁場中を通過させて磁性層中の磁性粉の方向をそろえる磁場配向処理を行い、その後、溶剤を蒸発させて下塗り層および磁性層とする乾燥処理を行う。
さらに、乾燥処理後に、表面性を改善し磁性粉の詰まり具合(充填率)を向上させるカレンダー表面処理を行うことで、本発明の効果を引き上げることができる。カレンダー表面処理は、下塗り層および磁性層が形成された磁気シート(所定幅に裁断される前の原反状の磁気記録媒体)を、交互に配置された金属ロールと弾性ロールとの間や金属ロール同志の間を所定の温度と圧力を加えた状態で通過させることにより、表面を平滑化するものである。カレンダー表面処理における弾性ロール(カレンダーロール)には、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロールを使用することもできる。処理温度は、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上である。カレンダー表面処理時の線圧力は好ましくは100×9.8N/cm(100kg/cm)、さらに好ましくは200×9.8N/cm(200kg/cm)以上、その速度は20m/分〜700m/分の範囲である。本発明の効果は80℃以上の温度で150×9.8N/cm(150kg/cm)以上の線圧でより一層効果を上げることができる。
なお、磁気記録媒体には、必要に応じて、裏面(可撓性支持体における、磁性層および下塗り層が形成された面とは反対側の面、つまり磁気記録層の形成面とは反対側の面)側に耐久性や走行性の向上等を目的としてバックコート層を設けたり、磁性層の上に例えば保護層としてのトップコート層などを形成してもよい。このようなバックコート層やトップコート層の構成および形成条件については、通常のこの種の磁気記録媒体に適用されるものであれば良く、特に限定されるものではない。バックコート層は、磁気記録層の塗布形成とカレンダー処理の前後または間のいずれかの工程で塗布形成する。また磁気記録層とバックコート層の塗布形成、およびカレンダー処理の後、磁気記録層、バックコート層の硬化を促進するために、40℃〜80℃のエージング処理を施してもかまわない。最後に所望の形状への裁断処理等の後処理を行うことにより、磁気記録媒体を製造することができる。
[実施例]
以下、本発明の実施例について説明する。なお、以下の実施例および比較例における「部」は、特に断らない限り「重量部」を示す。
《磁性層用塗料成分》
(1)
・強磁性鉄系針状金属粉 100部
(Co/Fe:30at%、Y/(Fe+Co):8at%、
Al/(Fe+Co):5wt%、σs:125A・m2 /kg、
Hc:188kA/m、pH:9.5、平均長軸長:60nm)
・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 10部
(含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
・ポリエステルポリウレタン樹脂 4部
(含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
・α−アルミナ 15部
(α化率:50%、平均粒径:120nm)
・カーボンブラック 2部
(平均粒径:75nm、DBP吸油量:72cc/100g)
・メチルアシッドホスフェート 2部
・パルミチン酸アミド 1.5部
・ステアリン酸n−ブチル 1.0部
・テトラヒドロフラン 65部
・メチルエチルケトン 245部
・トルエン 85部
(2)
・ポリイソシアネート 4部
・シクロヘキサノン 67部
・トルエン 90部
《下塗り層用塗料成分》
(1)
・酸化鉄粉末(粒径:0.11×0.02μm) 68部
・アルミナ(α化率:50%、平均粒径:70nm) 8部
・カーボンブラック(平均粒径:25nm) 24部
・ステアリン酸 2部
・塩化ビニル共重合体 10部
(含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
・ポリエステルポリウレタン樹脂 4.5部
(Tg:40℃、含有−SO3 Na基:1×10-4当量/g)
・シクロヘキサノン 25部
・メチルエチルケトン 40部
・トルエン 10部
(2)
・ステアリン酸ブチル 1部
・シクロヘキサノン 70部
・メチルエチルケトン 50部
・トルエン 20部
(3)
・ポリイソシアネート 4.5部
・シクロヘキサノン 10部
・メチルエチルケトン 15部
・トルエン 10部
上記の磁性層用塗料成分(1)をニーダーで混練したのち、塗料比重1mg/cc、粘度0.3Pa・sに調製し、サンドミルでビーズ径0.1mm、比重6mg/ccのジルコニアビーズを用いて、撹拌周速10m/s、滞留時間を45分として分散した。これに磁性層用塗料成分(2)を加え攪拌・濾過後、磁性層用塗料とした。これとは別に、上記の下塗り層用塗料成分において(1)をニーダーで混練したのち、(2)を加えて攪拌の後サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに(3)を加え攪拌・濾過した後、下塗り層用塗料とした。上記の磁性層用塗料を超音波分散機を用いて照射時間2秒、4パスとして再分散したものと、上記下塗り層用塗料を超音波分散機を用いて照射時間2秒、10パスとして再分散したものとを、両者の塗料温度が25℃になるように調整し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ6μm、長手方向のヤング率MD=5.9GPa、幅方向のヤング率TD=3.9GPa、東レ社製)からなる可撓性支持体上に、磁場配向・乾燥・カレンダー表面処理後の厚さが磁性層100nm、下塗り層1.1μmとなるように同時重層塗布、カレンダー処理し、磁気シートを得た。なお、磁場配向処理は、ドライヤ前にN−N対抗磁石(0.5T)を設置し、ドライヤ内で塗膜の指蝕乾燥位置の手前側75cmからN−N対抗磁石(0.5T)を2基50cm間隔で設置して行った。塗布速度は100m/分とした。
《バックコート層用塗料成分》
・カーボンブラック(平均粒径:25nm) 80部
・カーボンブラック(平均粒径:370nm) 10部
・酸化鉄(平均粒径:400nm) 10部
・ニトロセルロース 45部
・ポリウレタン樹脂(−SO3 Na基含有) 30部
・シクロヘキサノン 260部
・トルエン 260部
・メチルエチルケトン 525部
上記バックコート層用塗料成分をサンドミルで滞留時間45分として分散した後、ポリイソシアネート15部を加えてバックコート層用塗料を調整し濾過後、上記で作製した磁気シートの裏面側(磁性層形成面とは反対側の面)に、乾燥、カレンダー後の厚みが0.5μmとなるように塗布し、乾燥した。このようにして得られた磁気シートを金属ロールからなる7段カレンダーで、温度100℃、線圧150×9.8N/cm(150kg/cm)の条件でカレンダー処理し、磁気シートをコアに巻いた状態で70℃で72時間エージングしたのち、1/2インチ幅に裁断し、これを200m/分で走行させながら磁性層表面についてラッピングテープによる研磨、ブレードによる研磨、さらには表面拭き取りの後処理を行い、磁気テープを作製した。この時、ラッピングテープにはK10000、ブレードには超硬刃、表面拭き取りには東レ社製トレシー(登録商標)を用い、走行テンション0.03×9.8N(0.03kgf)で処理を行った。上記のようにして得られた磁気テープを所定のカートリッジに組み込み、コンピュータ用の磁気テープカートリッジを作製した。
磁性層用塗料成分(2)におけるシクロヘキサノンの配合量を90部に、下塗り層用塗料成分(2)におけるシクロヘキサノンの配合量を100部に変更したことを除き、実施例1と同様にしてコンピュータ用の磁気テープカートリッジを作製した。
磁性層用塗料成分(2)におけるトルエンの配合量を30部に、下塗り層用塗料成分(2)におけるメチルエチルケトンの配合量を20部に変更したことを除き、実施例1と同様にしてコンピュータ用の磁気テープカートリッジを作製した。
磁性層用塗料の超音波照射を8パス、下塗り層用塗料の超音照射を20パスとしたことを除き、実施例1と同様にしてコンピュータ用の磁気テープカートリッジを作製した。
磁性層用塗料を調製・濾過後、ビーズ粒径0.1mmのジルコニアビーズを用いたサンドミルで滞留時間2分として再分散を行い、その後に超音波照射・重層塗布としたことを除き、実施例1と同様にしてコンピュータ用の磁気テープカートリッジを作製した。
超音波分散機の冷却用循環水の流量を下げ、冷却効率を落として、下塗り層用塗料温度を30℃に調整したことを除き、実施例1と同様にしてコンピュータ用の磁気テープカートリッジを作成した。
下塗り層用塗料成分(2)におけるシクロヘキサノンの配合量を100部に変更したことを除き、実施例1と同様にしてコンピュータ用の磁気テープカートリッジを作製した。
磁性層用塗料を調製・濾過後、ビーズ粒径0.1mmのジルコニアビーズを用いたサンドミルで滞留時間3分として再分散を行い、その後に超音波照射・重層塗布としたことを除き、実施例1と同様にしてコンピュータ用の磁気テープカートリッジを作製した。
磁性層用塗料の超音波照射を8パス、下塗り層用塗料の超音照射を25パスとしたことを除き、実施例1と同様にしてコンピュータ用の磁気テープカートリッジを作製した。
超音波分散機の冷却用循環水の流量を下げ、冷却効率を落として、下塗り層塗料温度を35℃に調整したことを除き、実施例1と同様にしてコンピュータ用の磁気テープカートリッジを作成した。
[比較例1]
下塗り層用塗料成分(2)におけるシクロヘキサノンの配合量を120部に変更したことを除き、実施例1と同様にしてコンピュータ用の磁気テープカートリッジを作製した。
[比較例2]
磁性層用塗料成分(2)におけるシクロヘキサノンの配合量を167部に、トルエンの配合量を0部にそれぞれ変更したことを除き、実施例1と同様にしてコンピュータ用の磁気テープカートリッジを作製した。
《クリープコンプライアンス値の測定》
以上の各実施例および比較例において、下塗り層塗料および磁性層用塗料の最終調整後(つまり塗布直前)におけるクリープコンプライアンス値Jsと、同じく磁性層用塗料のクリープコンプライアンス値Juは、既述した方法(先のHAAKE社製コーンギャップ型円筒式粘弾性測定装置RS100を用いた測定方法)により測定した。
《評価》
以上のようにして得られた各実施例および比較例に係る磁気テープの性能を評価するために、以下のようにして所定の特性について測定を行った。
〈磁性層\下塗り層間の界面変動〉
磁性層と下塗り層の界面変動は以下のようにして測定した。磁気テープをフォーカストイオンビーム(FIB)で断面加工し、走査型電子顕微鏡(SEM)で倍率50,000倍で観察し、その写真撮影を行った。その後、磁性層と下塗り層の界面を目視判断して黒く縁取り、かつ磁性層表面も同様に黒く縁取りをした。この際、界面上に存在する無機フィラーは磁性層に所属しないとして縁取りを行った。その後、OPTIMAS社製の画像解析装置OPTIMASTMで画像解析を行い、磁性層厚みの平均値tを求めた。そして、図2に示すように、長さ4μmの視野中で、前記縁取りをした磁性層と下塗り層の界面が形成する山の頂きと谷の底部のうち、厚さ方向に差が最大であるものを求め、この差(図2中のΔtl)を視野を変えて5ヵ所以上測定し、その平均値を厚み変動Δtとした。
〈出力変動〉
磁性層\下塗り層間の界面の変動と記録再生信号における出力変動(特に波長10μm程度の再生信号の変動)とが対応することから、そのような出力変動量についても測定を行った。測定に際しては、磁気ヘッドとして、記録用電磁誘導型ヘッド(トラック幅25μm、ギャップ長0.2μm)と再生用MRヘッド(トラック幅8μm)とを装着したドラムテスターを用いた。両ヘッドは回転ドラムに対して異なる場所に設置されており、両ヘッドを上下方向に操作することで、トラッキングを合わせることができる。磁気テープは、カートリッジに巻き込んだ状態から適切な量を引き出して廃棄し、更に60cmを切り出して回転ドラムの外周に巻き付けた。出力はファンクションジェネレータにより矩形波を記録電流電流発生器に入力制御し、波長10μmの信号を書き込み、MRヘッドの出力をプリアンプで増幅後、10mmにわたってディジタルオシロスコープに読み込んだ。各孤立波のピーク・トゥー・ピーク値を出力Vppとして、1000点の平均値Vおよび標準偏差σをもとめ、σ/Vをもって出力変動量とした。
表1に、以上の測定結果および各実施例・比較例で採用した条件をまとめて示す。
Figure 2005339610
表1に示したように、塗布直前における磁性層用塗料のクリープコンプライアンス値Juと下塗り層用塗料のクリープコンプライアンス値Jsとの比Ju/Jsが0.8であった磁気テープや、Ju/Jsが1.2であった比較例2に係る磁気テープは、厚み変動量が約17%であり、約10〜12%程度の出力変動を生じるものであった。これらに対して、前記比Ju/Jsを0.9〜1.1に調整して得られた本発明の実施例1〜10に係る磁気テープでは、厚み変動量はいずれも10%未満(最大でも実施例10に係る磁気テープの9.9%)となっており、その結果、出力変動が最大でも3.9%(実施例10の場合)であり、最も良好な結果が得られた実施例4に係る磁気テープでは出力変動が0.9%にまで低減されることが確認できた。
塗料のクリープコンプライアンス値を外挿法により求める方法を説明するために使用したもので、所定のコーンギャップ型円筒式粘弾性測定装置(HAAKE社製コーンギャップ型円筒式粘弾性測定装置RS100)を使用して対象塗料に一定の回転応力を加えた際に見られる対象塗料の変形量γの時間変化を示すグラフである。 本発明の各実施例および比較例で得られた磁気テープ(磁気記録媒体)における磁性層\下塗り層間の界面変動(厚み変動)について、その評価方法を説明するために使用した説明図である。

Claims (1)

  1. 可撓性支持体上に、非磁性粉末と結合剤とを含む下塗り層用塗料を塗布し、この下塗り層用塗料が湿潤状態にあるうちにその上に、磁性粉と結合剤とを含む磁性層用塗料を塗布することにより、下塗り層および磁性層を有する磁気記録媒体を製造する方法において、
    前記塗布直前における磁性層用塗料のクリープコンプライアンス値Juと下塗り層用塗料のクリープコンプライアンス値Jsとの比Ju/Jsが0.9〜1.1の範囲となるように調整した下塗り層用塗料および磁性層用塗料を用いることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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