JP2629024B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JP2629024B2 JP17568188A JP17568188A JP2629024B2 JP 2629024 B2 JP2629024 B2 JP 2629024B2 JP 17568188 A JP17568188 A JP 17568188A JP 17568188 A JP17568188 A JP 17568188A JP 2629024 B2 JP2629024 B2 JP 2629024B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、磁気記録媒体の製造方法に関する。さら
に詳しく言うと、高密度記録にも充分に対応できると共
に、電磁変換特性に優れる磁気記録媒体の製造方法に関
する。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] 磁気記録媒体は、基本的には非磁性支持体と強磁性粉
末を含有する磁性層とからなり、非磁性支持体上に磁性
層を設けることにより構成されている。
そして、一般に磁性層は結合剤に強磁性粉末を分散し
てなる。
従来、結合剤に強磁性粉末を分散する方法としては、
分散工程の前に、強磁性粉末と結合剤との混合物を混練
する混練工程を設けることが知られている。
近年、このような構成からなる磁気記録媒体におい
て、高密度記録に対応できるものの要請が高まってきて
いる。
高密度記録に対応できる磁気記録媒体は、その磁性層
に含有される強磁性粉末として、通常、一般的な磁気記
録媒体と比較して、粒子の粒径の小さい強磁性粉末が用
いられる。
具体的には、高密度記録に対応できる磁気記録媒体に
用いられる強磁性粉末としては、通常、BET法による比
表面積が35m2/g以上である微粒子化された強磁性粉末を
挙げることができる。
そして、微粒子化された強磁性粉末は、結合剤に充分
に分散することができないので、磁気記録媒体の磁性層
中に充分に分散していないという問題がある。
したがって、高密度記録に対応できる磁気記録媒体を
得るために、強磁性粉末として、微粒子化された強磁性
粉末を用いると、磁性層中における強磁性粉末の分散状
態が悪いので、ノイズが発生したり、再生出力が低下し
たりするなどの電磁変換特性の低下をもたらすという問
題がある。
この発明は、前記事情に基いてなされたものである。
すなわち、この発明の目的は、高密度記録にも充分に
対応することができると共に、電磁変換特性に優れた磁
気記録媒体の製造方法を提供することにある。
[前記課題を解決するための手段] 前記課題を解決するために、この発明者が鋭意、検討
を重ねた結果、特定の混練工程と特定の分散工程とを有
する磁気記録媒体の製造方法は、強磁性粉末として、微
粒子化された強磁性粉末を用いても、磁性層中における
強磁性粉末の分散状態が良好で、高密度記録に対応する
ことができると共に、電磁変換特性に優れた磁気記録媒
体を製造することのできる方法を見出してこの発明に到
達した。
すなわち、請求項1に記載の発明の方法は、BET法に
よる比表面積が35m2/g以上である強磁性粉末とウレタン
系樹脂と有機溶剤とからなる混合物を、1×106dyn/cm2
以上のずり応力で混練する第一混練工程と、前記第一混
練工程で得られた混合混練物を、陰性官能基を有する樹
脂を含有する結合剤と共に1×106dyn/cm2以上のずり応
力で混練する第二混練工程と、前記第二混練工程で得ら
れた混合混練物を、1×106dyn/cm2未満のずり応力で分
散する分散工程とを有することを特徴とする磁気記録媒
体の製造方法であり、 請求項1に記載の発明の方法は、前記分散工程におい
て、分散機に使用する分散媒体として、表面粗さの最大
高さ[Rmax]が1.5s以下であるジルコニアビーズを使用
するのが好ましい(請求項2)。
この発明の方法においては、少なくとも、第一混練工
程→第二混練工程→分散工程の順に操作を行なって磁気
記録媒体を製造する。
この発明の方法について、前記の各工程毎に前記の順
序にしたがって以下に説明する。
(第一混練工程) 第一混練工程は、BET法による比表面積が35m2/g以上
である強磁性粉末とウレタン系樹脂と有機溶剤とからな
る混合物を、1×106dyn/cm2以上で混練する工程であ
る。
第一混練工程は、ウレタン系樹脂を強磁性粉末に吸着
させ、磁性層中におけるウレタン系樹脂の分散性を向上
させる作用乃至機能を有すると考えられる。
使用に供される前記強磁性粉末としては、たとえばγ
−Fe2O3、Co含有γ−Fe2O3、Fe3O4、Co含有Fe3O4等の酸
化鉄磁性粉、Fe−Al合金粉末、Fe−Al−P合金粉末、Fe
−Ni−Co合金粉末、Fe−Mn−Zn合金粉末、Fe−Ni−Zn合
金粉末、Fe−Co−Ni−Cr合金粉末、Fe−Co−Ni−P合金
粉末、Co−Ni合金粉末およびCo−P合金粉末等、Fe、N
i、Co等の強磁性金属を主成分とする強磁性合金粉末な
どが挙げられる。
前記強磁性粉末のBET法による比表面積は、35m2/g以
上であり、好ましくは40m2/g以上であり、さらに好まし
くは45m2/g以上である。
BET法による比表面積が35m2/g以上である強磁性粉末
を使用することにより、強磁性粉末の充填密度を高め、
高密度記録にも充分に対応することのできる磁気記録媒
体を製造することができる。
前記強磁性粉末の形状については特に制限はなく、た
とえば、針状、球状あるいは楕円体状などのものを使用
することができる。
使用に供される前記ウレタン系樹脂としては、通常、
ポリイソシアネートとポリオールとの反応によって合成
することができるものを挙げることができる。
前記ポリイソシアネートとしては、たとえばトリレン
ジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4′−
ジイソシアネート(MDI)、ナフチン−1,5−ジイソシア
ネート(NDI)、3,3′−ジメチル−4,4−ビフェニレン
ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネー
ト(XDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシ
アネート(水素化MDI)、粗製TDI、ポリメチレン、ポリ
フェニル・イソシアネート(粗製MDI)、イソホロンジ
イソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート(HDI)、水素化キシリレンジイソシアネート(HXD
I)などのほか、これらのイソシアネート類のイソシア
ネート化変性品、カルボジイミド化変性品、ビューレッ
ト化変性品などが挙げられる。
これらは一種単独で使用しても良いし、二種以上を混
合して使用しても良い。
前記ポリオールとしては、たとえばフタル酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸、マレイン酸、コハク酸、アジピ
ン酸、セバシン酸等の有機二塩基酸と、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、
ポリエチレングリコール等のグリコール類;トリメチロ
ールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオ
ール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アル
コール類;ハイドロキノン、ビスフェノールA等の多価
フェノール;前記のグリコール類、多価アルコール類お
よび多価フェノール類の中から選ばれた二種以上のポリ
オールの反応によって合成されるポリエステルポリオー
ル;s−カプロラクタム、α−メチル−1−カプロラクタ
ム、s−メチル−s−カプロラクタム、γ−ブチロラク
タム等のラクタム類から合成されるラクタム系ポリエス
テルポリオール;エチレンオキサイド、プロピレンオキ
サイド、ブチレンオキサイド等から合成されるポリエー
テルポリオールなどが挙げられる。
これらは一種単独で使用しても良いし、二種以上を混
合して使用しても良い。
前記ウレタン系樹脂は末端がイソシアネート基、ヒド
ロキシル基およびカルボキシル基のうちの少なくともい
ずれかであるウレタン樹脂であっても良いし、あるいは
反応性末端基を含有しないウレタンエラストマーであっ
ても良い。
第一混練工程において、前記ウレタン系樹脂の配合割
合は、前記強磁性粉末100重量部に対して、通常、3〜3
0重量部、好ましくは5〜20重量部である。この配合割
合が3〜30重量部の範囲内であることにより、前記の第
一混練工程の作用乃至機能を充分に発揮することができ
る。
使用に供される前記有機溶媒としては、たとえばアセ
トン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチル
ケトン(MIBK)およびシクロヘキサノン等のケトン系:
メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノー
ル等のアルコール系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブ
チル、乳酸エチル、酢酸プロピルおよびエチレングリコ
ールモノアセテート等のエステル系;ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル、2−エトキシエタノール、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系;ベンゼ
ン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素;メチ
レンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、ク
ロロホルム、エチレンクロルヒドリンおよびジクロルベ
ンゼン等のハロゲン化炭化水素などを挙げることができ
る。
この発明において重要な点の一つは、第一混練工程に
おいて、前記混合物を1×106dyn/g以上のずり応力で混
練することにある。
前記混合物を1×106dyn/g以上のずり応力で混練する
ことにより、前記の第一混練工程の作用乃至機能を充分
に発揮することができる。
前記混合物の混練にあたっては、前記強磁性粉末およ
びその他の混合物成分を、同時にまたは個々に順次混練
機に投入する。たとえば、まず分散剤を含む前記有機溶
媒中に前記強磁性粉末を加えた後、さらに残りの各成分
を加えて、混練を行なう。
混練にあたっては、各種の混練機を使用することがで
きる。この混練機としては、たとえば二本ロールミル、
三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、サイドグラ
インダー、Sqegvariアトライター、高速インペラー分散
機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパーニ
ーダー、加圧式ニーダー、高速ミキサー、ホモジナイザ
ーなどが挙げられる。
第一混練工程において、前記混合物には、混練前に、
あるいは混連中に、前記強磁性粉末、前記ウレタン樹脂
および前記有機溶媒とともに、この発明の目的を損なわ
ない範囲内で、必要に応じて、たとえば、従来より磁気
記録媒体に用いられている熱可塑性樹脂、熱硬化性樹
脂、反応型樹脂、電子線照射硬化型樹脂またはこれらの
混合物などのその他の樹脂[以下、単に樹脂(A)と言
うことがある。]、潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等を配
合することができる。
前記熱可塑性樹脂としては、たとえば塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合
体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル
酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エ
ステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステ
ル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−
エチレン共重合体、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン−
アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジ
エン共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラー
ル、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレー
ト)、セルロースダイアセテート、セルローストリアセ
テート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース
等)、スチレンブタジエン共重合体、ポリエステル樹
脂、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アミノ
樹脂および合成ゴム系の熱可塑性樹脂などを挙げること
ができる。
これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を組
み合わせて使用しても良い。
前記熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、たとえ
ばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン
樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系反
応樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂およびポリアミン樹
脂などが挙げられる。
これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を組
み合わせて使用しても良い。
前記電子線照射硬化型樹脂としては、たとえば無水マ
レイン酸タイプ、エポキシアクリルタイプ、ポリエステ
ルアクリルタイプ、ポリエーテルアクリルタイプ、ポリ
アミドアクリルタイプ等の不飽和プレポリマー;エーテ
ルアクリルタイプ、エポキシアクリルタイプ、燐酸エス
テルアクリルタイプ、アリールタイプおよびハイドロカ
ーボンタイプ等の多官能モノマーなどが挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組
み合わせて使用しても良い。
前記潤滑剤としては、たとえばシリコーンオイル、カ
ーボンブラック、グラファイト、カーボンブラックグラ
フトポリマー、二硫化モリブデン、および二硫化タング
ステン等の固体潤滑剤;シリコーンオイル、変性シリコ
ーン化合物、脂肪酸および脂肪酸エステルなどが挙げら
れる。
これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を組
み合わせて使用しても良い。
前記研磨剤としては、たとえば酸化アルミニウム、酸
化チタン(TiO、TiO2)、酸化ケイ素(SiO、SiO2)、窒
化ケイ素、酸化クロムおよび炭化ホウ素の無機粉末並び
にベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン樹脂粉末および
フタロシアニン化合物粉末等の有機粉末が挙げられる。
前記研磨剤の平均粒子径は、通常、0.1〜1.0μmの範
囲内にある。
前記帯電防止剤としては、たとえばカーボンブラッ
ク、グラファイト、酸化錫−酸化アンチモン系化合物、
酸化錫−酸化チタン−酸化アンチモン系化合物、カーボ
ンブラックグラフトポリマー等の導電性粉末;サポニン
などの天然界面活性剤;アルキレンオキサイド系、グリ
セリン系、グリシドール系等のノニオン界面活性剤;高
級アルキルアミン類、第4級ピリジン、その他の複素環
類、ホスホニウムおよびスルホニウム類等のカチオン界
面活性剤:カルボン酸、スルホン酸、燐酸、硫酸エステ
ル基、燐酸エステル基等の酸性基を含むアニオン界面活
性剤:アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコ
ールの硫酸および燐酸エステル類等の両性界面活性剤な
どが挙げられる。
これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を組
合せて使用しても良い。
なお、前記潤滑剤、帯電防止剤等は、単独の作用のみ
を有するものではなく、例えば、一の化合物が潤滑剤お
よび帯電防止剤として、作用する場合がある。
このようにして、第一混練工程において、前記混合物
を1×106dyn/g以上のずり応力で混練した混合混練物を
得る。そして、次に、第二混練工程の操作を行う。
(第二混練工程) 第二混練工程は、前記第一混練工程で得られた混合混
練物を、陰性官能基を有する樹脂[以下、単に樹脂
(B)と言うことがある。]を含有する結合剤と共に、
1×106dyn/g以上のずり応力で混練する工程である。
第二混練工程は、前記結合剤が強磁性粉末の間隙にも
入り込んで、磁性層中における結合剤の分散性を向上さ
せる作用乃至機能を有すると考えられる。
前記樹脂(B)における前記陰性官能基としては、た
とえば、−SH、−SO3M、−OSO2M、および (ただし、式中、Mは水素原子、リチウムおよびナトリ
ウムのいずれかであり、M1およびM2は、それぞれ水素原
子、リチウム、カリウム、ナトリウムおよびアルキル基
のいずれかである。またM1とM2とは、互いに異なってい
ても良いし、同じであっても良い。) などが挙げられる。
前記樹脂(B)は、たとえば、塩化ビニル系樹脂ポリ
エステル樹脂、ポリウレタン樹脂などの樹脂を変性し
て、前記陰性官能基を導入することにより得ることがで
きる。
具体的には、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、
ポリウレタン樹脂などの樹脂と、たとえば Cl−CH2CH2SH、Cl−CH2CH2SO3M、 Cl−CH2CH2OSO2M、 (ただし、M、M1およびM2はそれぞれ前記と同じ意味で
ある。) などのように分子中に陰性官能基および塩素を含有する
化合物とを脱塩酸反応により縮合させて得ることができ
る。
このようにして得られる前記樹脂(B)の中でも、好
ましいのは塩化ビニル系樹脂に陰性官能基を導入してな
る樹脂である。
前記陰性官能基を導入する前記塩化ビニル系樹脂とし
ては、たとえば塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコ
ール共重合体、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル−ビニ
ルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレ
イン酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル
−プロピオン酸ビニル−マレイン酸ビニル−ビニルアル
コール共重合体などが挙げられる。
前記陰性官能基を導入してなる前記塩化ビニル系樹脂
として、たとえば塩化ビニルモノマーと、スルホン酸も
しくはリン酸のアルカリ塩を含有した共重合性モノマー
および必要に応じ他の共重合性モノマーとを共重合する
ことによって得られる共重合体を挙げることもできる。
この共重合体はビニル重合により容易に合成すること
ができ、かつ共重合成分を種々選ぶことができ、共重合
体の特性を最適に調整することができる。
前記のスルホン酸もしくはリン酸の塩の金属はアルカ
リ金属(特にナトリウム、カリウム、リチウム)であ
り、特にカリウムが溶解性、反応性、収率等の点で好ま
しい。
スルホン酸塩を含有する前記共重合性モノマーとして
は、たとえば、 CH2=CHSO3M CH2=CHCH2SO3M CH2=C(CH3)CH2SO3M CH2=CHCH2OCOCH(CH2COOR)SO3M CH2=CHCH2OCH2CH(OH)CH2SO3M CH2=C(CH3)COOC2H4SO3M CH2=CHCOOC4H8SO3M CH2=CHCONHC(CH32CH2SO3M などが挙げられる。
また、リン酸塩としては、 CH2=CHCH2OCH2CH(OH)CH2−O−PO3M3Y1 CH2=CHCONHC(CH32CH2−O−PO3M3Y2 CH2=CHCH2O(CH2CH2O)mPOMX2 [ただし、前記において、Mはアルカリ金属を表わし、
Rは炭素原子数1〜20個のアルキル基を表わし、Y1は水
素原子、M、およびCH2=CHCH2OCH2CH(OH)CH2−のい
ずれかを表わし、Y2は水素原子、M、およびCH2CH=CON
HC(CH32CH2−のいずれかを表し、X1OHおよびOMのいずれかを表わし、X2はCH2=CHCH2O(CH2
CH2O、OHおよびOMのいずれかを表わす。また、mお
よびnは1〜100の正数である。] また、必要に応じて共重合させる前記共重合性モノマ
ーとしては、たとえば種々のビニルエステル、塩化ビニ
リデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチ
レン、アクリル酸、メタクリル酸、種々のアクリル酸エ
ステル、メタクリル酸エステル、エチレン、プロピレ
ン、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、ビニルエー
テル、アリールエーテル、アリールエステル、アクリル
アミド、メタクリルアミド、マレイン酸、マレイン酸エ
ステルなどが挙げられる。
前記共重合体は乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状
重合等の重合法にり重合される。いずれの方法において
も、必要に応じて分子量調節剤、重合開始剤、モノマー
の分割添加あるいは連続添加などの公知の技術を応用す
ることができる。
前記共重合体は、さらにエポキシ基または水酸基を含
有していることが好ましい。
ところで、従来の塩化ビニル系共重合体は、たとえば
次のようなモノマーユニットの共重合体であった。
[ただし、j、kおよびlは整数を表わす。] しかし、ここで、CH3CO−O−の基は、硬化剤等との
架橋反応には寄与しにくいものと考えられる。
そこで、この発明においては、CH3CO−に代えて、 等のエポキシ基を含有させるのが好ましい。
具体的には、次のようなユニットの組合せの樹脂を例
示することができる。
[ただし、q、rおよびsは前記と同じ意味であり、t
は整数である。また、Zはスルホ基またはホスホ基のア
ルカリ金属塩を含んだモノマーユニット部分である。] 前記樹脂(B)の分子量は、通常、5,000〜80,000、
好ましくは10,000〜30,000である。この分子量が80,000
を超えると、磁性塗料の粘度が許容範囲を超えて大きく
なり、磁気記録媒体にしたときの磁性層の摩擦係数の上
昇を招いたり、生産時の作業性の悪化を招いたりするこ
とがある。一方、分子量が5,000未満であると、磁性塗
料を前記非磁性支持体上に塗布してから硬化剤を用いて
硬化させる段階で、未反応部分が生じ、低分子量成分が
残存することになって塗膜の物性を劣化させることがあ
る。
前記第一混練工程で得られたところの混合混練物に前
記結合剤を加える量は、前記混合物混練中の前記強磁性
粉末100重量部に対して、通常、3〜30重量部、好まし
くは5〜20重量部である。
この前記結合剤を加える量を前記の範囲内とすること
により、前記の第二混練工程の作用乃至機能が充分に発
揮される。
この発明において重要な点の一つは、第二混練工程に
おいて、前記第一混練工程で得られた混合混練物を、前
記結合剤と共に1×106dyn/g以上のずり応力で混練する
ことにある。
前記第一混練工程で得られた混合混練物を、前記結合
剤と共に1×106dyn/g以上のずり応力で混練することに
より、前記の第二混練工程の作用乃至機能を充分に発揮
することができる。
前記混練にあたっては、前記第一混練工程で得られた
混合混練物および前記結合剤を、同時にまたは個々に順
次混練機に投入する。たとえば、前記第一混練工程で得
られた混合混練物が入っている混練機に、結合剤を加え
て、混練を行なうことができる。
前記混練に使用することのできる混練機としては、前
記第一混練工程で使用することのできる混練機と同様の
ものを使用することができる。
前記混練にあたっては、前記混練混合物および結合剤
と共に、この発明の目的を損なわない範囲内で、必要に
応じて、たとえば、前記樹脂(A)、前記潤滑剤、前記
研磨剤、前記帯電防止剤、前記硬化剤等を配合すること
ができる。
このようにして、第二混練工程において、前記第一混
練工程で得られた混合混練物を、前記結合剤と共に1×
106dyn/gのずり応力で混練した混合混練物を得る。そし
て、次に、分散工程の操作を行なう。
(分散工程) 分散工程は、前記第二混練工程で得られた混合混練物
を、1×106dyn/cm2未満のずり応力で分散する工程であ
る。
分散工程は、磁性層中におけるウレタン系樹脂、結合
剤および強磁性粉末の分散性を向上させる作用乃至機能
を有すると考えられる。
前記第二混練工程で得られたところの混合混練物に、
1×106dyn/cm2未満のずり応力を負荷することにより、
前記の分散工程の作用乃至機能を充分に発揮することが
できる。
前記分散に使用することのできる分散機としては、近
年、使用される分散機として主流となっているサンドミ
ルを挙げることができる。
前記分散にあたっては、前記混合混練物とともに、こ
の発明の目的を損なわない範囲内で、必要に応じて、た
とえば、前記有機溶剤、前記樹脂(A)、前記潤滑剤、
前記研磨剤、前記帯電防止剤、硬化剤等を分散機に投入
することができる。
なお、分散工程において、分散機に使用する分散媒体
として、通常、ジルコニアビーズ、ガラスビーズ、ステ
ンレスビーズ等が使用される。
この発明においては、分散機に使用する分散媒体とし
て、表面粗さの最大高さ[Rmax]が1.5s以上であるジル
コニアビーズを使用するのが好ましい。
分散機に使用する分散媒体として、表面粗さの最大高
さ[Rmax]が1.5s以下であるジルコニアビーズを使用す
ることにより、強磁性粉末の分散性がより向上して、よ
り優れた電磁変換特性を実現することができる。
このようにして、分散工程において、前記混合混練物
に、1×106dyn/cm2未満のずり応力を負荷した分散液を
得る。
(その他の工程) この発明においては、分散工程の操作を行なった後
に、公知の方法により、得られた分散液から磁性塗料塗
布液を調整することができる。たとえば、前記分散液を
そのまま磁性塗料塗布液としても良く、次に詳述する稀
釈工程の操作を行って、前記分散液を磁性塗料塗布液と
しても良い。
稀釈工程 稀釈工程は、前記分散工程で得られた分散液を塗布可
能に溶媒で稀釈して磁性塗料塗布液を調製する工程であ
る。
使用に供される前記溶媒としては、前記第一混練工程
において使用に供される有機溶剤と同様のものを挙げる
ことができる。
稀釈工程においては、硬化剤を添加することもでき
る。
なお、前記硬化剤は、通常、次に詳述する塗布工程の
直前に添加するのが好ましい。
次いで塗布工程の操作を行なう。
塗布工程 塗布工程は、得られた磁性塗料塗布液を、非磁性支持
体上に塗布する工程である。
前記非磁性支持体を形成する素材としては、たとえば
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレート等のポリエステル類;ポリプロピレン等のポ
リオレフィン類;セルローストリアセテート、セルロー
スダイアセテート等のセルロース誘導体;ポリカーボネ
ート等のプラスチックなどを挙げることができる。さら
にCu、Al、Znなどの金属、ガラス、いわゆるニューセラ
ミック(例えば窒化ホウ素、炭化ケイ素等)等の各種セ
ラミックなどを使用することもできる。
前記非磁性支持体の形態には特に制限はなく、テー
プ、シート、カード等のいずれであってもよく、形態に
応じて、また、必要に応じて種々の材料を選択して使用
することができる。
前記非磁性支持体の厚みは、通常、3〜100μmの範
囲内であり、使用するレコーダーに対応させた形態にす
ることができる。
塗布工程において、前記稀釈工程で得られた磁性塗料
塗布液を前記非磁性支持体に塗布するにあたっては、た
とえばリバースロールコーティング、グラビアロールコ
ーティング、ワイヤーバーコーティング、ドクタープレ
ードコーティング、ディップコーティング、エアーナイ
フコーティング、カレンダーコーティング、スキーズコ
ーティング、キスコーティングおよびファンティンコー
ティングなどの方法を採用することができる。
塗布工程において塗設する磁性塗膜の膜厚は、通常、
1〜6μmの範囲である。
その他 この発明の方法においては、前記塗布工程の操作を行
なった後、未乾燥の状態で、必要により磁場配向処理を
行ない、さらに、スーパーカレンダーロールなどを用い
て表面平滑化処理を行なっても良い。
次いで、必要に応じて乾燥処理、除塵処理等の処理を
行ない、所望の形状に裁断することにより磁気記録媒体
を得ることができる。
なお、前記非磁性支持体の磁性層を塗設しない面(裏
面)には、磁気記録媒体の走行性の向上、帯電防止およ
び転写防止などを目的として、バックコート層を設けて
も良い。
また、前記非磁性支持体の磁性層を塗設する面には、
磁性層と非磁性支持体との接着性の向上等を目的とし
て、中間層(例えば接着剤層)を設けることもできる。
この発明の方法により製造される磁気記録媒体は、た
とえば長尺状に裁断することにより、ビデオテープ、オ
ーディオテープ等の磁気テープとして、あるいは円盤状
に裁断することにより、フロッピーディスク等として使
用することができる。さらに、通常の磁気記録媒体と同
様に、カード状、円筒状などの形態でも使用することが
できる。
[実施例] 次に、この発明の実施例および比較例を示し、この発
明についてさらに具体的に説明する。なお、以下に記載
する実施例および比較例において、「部」は、「重量
部」を表わし、いずれもCo含有磁性酸化鉄粉末150部に
対するものである。
(実施例1) 工程1(第一混練工程) 以下に示す磁性層形成成分の混合物を加圧式ニーダー
を用いて、1×107dyn/cm2のずり応力を負荷しながら2
時間かけて混練することにより混合混練を得た。
Co含有磁性酸化鉄粉末 ……150部 [BET法による比表面積45m2/g] ポリウレタン樹脂 ……10部 アルミナ粉末 ……10部 ミリスチン酸 ……2部 ステアリン酸ブチル ……1部 シクロヘキサノン ……200部 トルエン ……100部 メチルエチルケトン ……100部 カーボンブラック ……10部 工程2(第二混練工程) 工程1で得られた混合混練物に、スルホ基を有する塩
化ビニル系共重合体10部を加え、加圧式ニーダーを用い
て、1×107dyn/cm2のずり応力を負荷しながら2時間か
けて混練することにより混合混練物を得た。
工程3(分散工程) 工程2で得られた混合混練物に、分散媒体として、表
面粗さの最大高さ[Rmax]が0.2sであるジルコニアビー
ズを使用し、サンドミルを用いて、1×104dyn/cm2のず
り応力を負荷しながら5時間かけて分散することにより
分散液を得た。
塗布工程等 得られた分散液を磁性塗料塗布液として用いて、この
磁性塗料塗布液を、押出型塗布方式を採用して乾燥厚が
4μmになるように厚み15μmのポリエチレンテレフタ
レートフィルム上に塗布した。
次いで、加熱下に溶剤を除去した後、スーパーカレン
ダーにかけて表面平滑化処理を行い、所定幅にスリット
してビデオテープを作製した。
このビデオテープにつき、諸特性を測定した。
結果を第1表に示す。
なお、それぞれの特性は次のようにして測定した。
角形比;VSMを使用して(測定磁場10kOe)残留磁束密度
(Br)と飽和磁束密度(Bm)との比(Br/Bm)を求め
た。
RF出力;100%ホワイト信号における再生時の出力を基準
テープ[コニカ(株)製]との比較において求めた。
ルミーS/N;ノイズメーター(ジバソク社製)を使用し、
基準テープ[コニカ(株)製]との比較において、100
%ホワイト信号における試料のS/Nの差を求めた。
クロマーS/N;ノイズメーター(シバソク社製)を使用
し、基準テープ[コニカ(株)製]との比較において、
クロマ信号における試料のS/Nの差を求めた。
C/N比;8MHzの信号における試料のC/N比を基準テープに
[コニカ(株)製]との比較において求めた。
(実施例2) 前記実施例1において、工程3における分散媒体とし
て、表面粗さの最大高さ[Rmax]が0.2sであるジルコニ
アビーズに代えて、表面粗さの最大高さ[Rmax]が2.5s
であるガラスビーズを使用したほかは、前記実施例1と
同様にしてビデオテープを作製し、得られたビデオテー
プについて諸特性を測定した。
結果を第1表に示す。
(実施例3) 前記実施例1において、工程2におけるスルホ基を有
する塩化ビニル系共重合体10部に代えて、ホスホ基を有
する塩化ビニル系共重合体10部を使用したほかは、前記
実施例1と同様にしてビデオテープを作製し、得られた
ビデオテープについて諸特性を測定した。
結果を第1表に示す。
(実施例4) 前記実施例1において、工程2におけるスルホ基を有
する塩化ビニル系共重合体10部に代えて、チオール基を
有する塩化ビニル系共重合体10部を使用したほかは、前
記実施例1と同様にしてビデオテープを作製し、得られ
たビデオテープについて諸特性を測定した。
結果を第1表に示す。
(比較例1) 前記実施例1において、工程2におけるスルホ基を有
する塩化ビニル系共重合体10部に代えて、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体10部を使用したほかは、前記実施例
1と同様にしてビデオテープを作製し、得られたビデオ
テープについて諸特性を測定した。
結果を第1表に示す。
(比較例2) 前記実施例2において、工程2におけるスルホ基を有
する塩化ビニル系共重合体10部に代えて、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体10部を使用したほかは、前記実施例
2と同様にしてビデオテープを作製し、得られたビデオ
テープについて諸特性を測定した。
結果を第1表に示す。
(比較例3) 前記実施例1において、工程1におけるポリウレタン
樹脂10部に代えて、ポリウレタン樹脂10部とチオール基
を有する塩化ビニル系共重合体とを使用し、工程2を行
わなかったほかは、前記実施例1と同様にしてビデオテ
ープを作製し、得られたビデオテープについて諸特性を
測定した。
結果を第1表に示す。
(比較例4) 前記実施例1において、工程1におけるBET法による
比表面積が、45m2/gであるCo含有磁性酸化鉄粉末に代え
て、32m2/gであるCo含有磁性酸化鉄粉末を使用したほか
は、前記実施例1と同様にしてビデオテープを作製し、
得られたビデオテープについて諸特性を測定した。
結果を第1表に示す。
(比較例5) 前記実施例1において、工程1におけるBET法による
比表面積が、45m2/gであるCo含有磁性酸化鉄粉末に代え
て、32m2/gであるCo含有磁性酸化鉄粉末を使用し、工程
2におけるスルホ基を有する塩化ビニル系共重合体10部
に代えて、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体10部を使用
したほかは、前記実施例1と同様にしてビデオテープを
作製し、得られたビデオテープについて諸特性を測定し
た。
結果を第1表に示す。
(評価) 第1表から明らかなように、この発明の方法により得
られる磁気記録媒体は、比較例の磁気記録媒体と比較し
て、角形比、RF出力、ルミーS/N、クロマーS/N、C/Nの
比の値が大きく、電磁変換特性に優れる。
また、この発明の方法により得られる磁気記録媒体の
磁性層においては、比較例の磁気記録媒体に比較して、
磁性層中における微粒子化された強磁性粉末の分散性に
優れていることがわかる。
[発明の効果] この発明によると、 (1) 磁性層中における微粒子化された強磁性粉末の
良好な分散状態を実現することができる、 (2) その結果、高密度記録に充分に対応することが
できるとともに電磁変換特性に優れる、 等の利点を有する磁気記録媒体の製造方法を提供するこ
とができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】BET法による比表面積が35m2/g以上である
    強磁性粉末とウレタン系樹脂と有機溶剤とからなる混合
    物を、1×106dyn/cm2以上のずり応力で混練する第一混
    練工程と、前記第一混練工程で得られた混合混練物を、
    陰性官能基を有する樹脂を含有する結合剤と共に1×10
    6dyn/cm2以上のずり応力で混練する第二混練工程と、前
    記第二混練工程で得られた混合混練物を、1×106dyn/c
    m2未満のずり応力で分散する分散工程とを有することを
    特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記分散工程において、分散機に使用する
    分散媒体として、表面粗さの最大高さ[Rmax]が1.5s以
    下であるジルコニアビーズを使用する請求項1に記載の
    磁気記録媒体の製造方法。
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