JP2634864B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2634864B2 JP16959788A JP16959788A JP2634864B2 JP 2634864 B2 JP2634864 B2 JP 2634864B2 JP 16959788 A JP16959788 A JP 16959788A JP 16959788 A JP16959788 A JP 16959788A JP 2634864 B2 JP2634864 B2 JP 2634864B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、磁気記録媒体に関する。さらに詳しく言
うと、過酷な使用条件下においても、良好な走行耐久性
および電磁変換特性を充分に発揮することができて、耐
環境性に優れた磁気記録媒体に関する。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] 近年、磁気記録媒体は、たとえばビデオテープ、オー
ディオテープ、フロッピーディスクなどの各種用途に広
く用いられている。
そして、これらの磁気記録媒体は、種々の環境におい
て、様々な使用態様で用いられている。
磁気記録媒体が用いられる環境や使用態様は、必ずし
も常に磁気記録媒体を用いる上で良好なものではない。
たとえば、磁気テープの再生をおこなう場合、たとえ
ば、高温で高湿の環境下において使用することにより、
磁気テープの表面状態が変化して、磁気テープが磁気ヘ
ッドに張り付いてスティックスリップが発生したり、再
生出力が変化したりするなどの磁気テープの走行性、電
磁変換特性が悪化することがあるなどという問題点があ
る。
また、たとえば、磁気テープの繰り返し走行などによ
り、磁気テープの表面が摩耗して磁気テープの走行性や
巻き姿安定性が悪化したり、磁気テープの磁性層の粉落
ちを生じ、再生出力が低下したり、ドロップアウト、雑
音が増大したりするなどの磁気テープの走行性、電磁変
換特性が悪化したりするなどという問題点がある。
このように、磁気記録媒体の使用される環境、磁気記
録媒体の使用される態様、あるいは、これらの複合によ
り、磁気記録媒体の走行耐久性、電磁変換特性などの諸
特性が著しく悪化することがあるという問題点がある。
この発明は前記事情に基いてなされたものである。
すなわち、この発明の目的は、過酷な使用条件下にお
いても、良好な走行耐久性および電磁変換特性を充分に
発揮することができて、耐環境性に優れた磁気記録媒体
を提供することにある。
[前記課題を解決するための手段と作用] この発明の構成は、非磁性支持体の一方の面に、強磁
性粉末と結合剤とを含有する磁性層を設けてなるととも
に、前記非磁性支持体の他方の面に、バックコート層を
設けてなる磁気記録媒体において、前記強磁性粉末がケ
イ素を含有し、前記強磁性粉末のBET法による比表面積
が35m2/g以上であり、前記結合剤が、陰性官能基を有す
る樹脂および/または降伏点を有するウレタン樹脂を含
有し、前記磁性層が潤滑剤を含有し、前記バックコート
層がカーボンブラックを含有し、前記潤滑剤が、少なく
とも、2種類以上の脂肪酸または2種類以上の脂肪酸エ
ステルを含有することを特徴とする磁気記録媒体であ
る。
この発明の磁気記録媒体を構成する非磁性支持体と磁
性層とバックコート層とにつき、以下に説明する。
(非磁性支持体) 前記非磁性支持体を形成する素材としては、例えばポ
リエチレンテレフタレートおよびポリエチレン−2,6−
ナフタレート等のポリエステル類、ポリアミドおよびポ
リイミド等の含窒素高分子化合物、ポリプロピレン等の
ポリオレフィン類、セルローストリアセテートおよびセ
ルロースダイアセテート等のセルロース誘導体、並びに
ポリカーボネートなどのプラスチックを挙げることがで
きる。
以下、磁気テープの場合について説明する。
磁気テープの支持体の厚みとしては、通常、4〜100
μmであり、好ましくは4〜50μmである。
なお、非磁性支持体の磁性層が設けられる面には、磁
性層と非磁性支持体との接着性の向上等を目的として、
中間層(ベース面の処理層であってもよい。)を設ける
こともできる。
また、非磁性支持体のバックコート層が設けられる面
にも、バックコート層と非磁性支持体との接着性の向上
等を目的として、中間層(ベース面の処理層であっても
よい。)を設けることもできる。
(磁性層) 前記非磁性支持体の一方の面には、前記磁性層が設け
られている。
前記磁性層は、前記強磁性粉末を結合剤中に分散して
なる層である。
前記強磁性粉末としては、たとえばγ−Fe2O3、Co含
有γ−Fe2O3、Fe3O4、Co含有γ−Fe3O4等の酸化鉄磁性
粉、Fe−Al系金属粉末、Fe−Al−Ni系金属粉末、Fe−Al
−Zn系金属粉末、Fe−Ni−Co系金属粉末、Fe−Mn−Zn系
金属粉末、Fe−Ni−Zn系金属粉末、Fe−Co−Ni−Cr系金
属粉末、Fe−Co−Ni−P系金属粉末、Co−Ni系金属粉末
およびCo−P系金属粉末等、Fe、Ni、Co等の強磁性金属
を主成分とする強磁性系金属粉末などが挙げられる。
この発明において重要な点の一つは、前記強磁性粉末
がケイ素を含有することにある。
前記ケイ素は、磁性層における前記強磁性粉末の分散
状態を良好にするにするとともに、後述する前記潤滑
剤、前記結合剤との組み合わせにより、磁性層の摩擦係
数を低め、過酷な使用条件下における磁気記録媒体の走
行耐久性、電磁変換特性を向上させる作用乃至機能を有
すると考えられる。
前記強磁性粉末における前記ケイ素の含有率は、通
常、0.005〜0.5重量%の範囲内にあり、好ましくは、0.
006〜0.4重量%の範囲内である。
前記強磁性粉末における前記ケイ素の含有率が、0.00
5〜0.5重量%の範囲内にあることにより、前記ケイ素の
作用乃至機能を充分に発揮することができる。
一般に、磁気記録用に用いられる強磁性粉末の製法と
しては、Co含有酸化物系磁性粉末の場合には、例えば、
第一鉄塩をゲータイト(α−FeOOH)に変換した後に、
これをγ−酸化鉄とし、このγ−酸化鉄をコバルト塩、
鉄塩等を用いて、Co含有酸化鉄磁性粉にすることがで
き、一方、金属磁性粉の場合は、例えば、ゲータイトを
水素還元して金属磁性粉とすることができる。このよう
な磁性粉末の製造方法は、例えば、特開昭59−56707
号、特開昭60−170906号、特開昭59−147414号、特開昭
59−129703号、特開昭58−171801号、特開昭60−92408
号、特開昭60−89501号、特開昭58−113306号、特開昭5
8−64303号、特開昭58−58203号、特開昭57−92101号、
特開昭57−63605号、特開昭57−59305号、特開昭57−32
307号、特開昭57−32306号、特公昭60−18130号、特開
昭56−166310号、特開昭56−51502号、特開昭59−13831
2号、特開昭59−98503号、特開昭60−92401号、特開昭5
9−50504号、特開昭59−103310号等に記載されているも
のを参照できる。
前記ケイ素を前記強磁性粉末に含有させるには、たと
えば、前記強磁性粉末の製造過程のいずれかで、可溶性
のケイ素化合物に前記強磁性粉末の中間体又は前記強磁
性粉末自体を接触させることにより行なうことができ
る。
前記ケイ素化合物としては、たとえばオルトケイ酸
(H2SiO4)、メタケイ酸(H2SiO3)、メタ二ケイ酸(H2
Si2O5)、メタ三ケイ酸(H4Si3O8)、メタ四ケイ酸(H6
Si4O11)等のケイ酸;一酸化ケイ素、二酸化ケイ素;オ
ルトケイ酸ナトリウム(Na4SiO4)、メタケイ酸ナトリ
ウム(Na2SiO3)、メタケイ酸カリウム(K2SiO3)、オ
ルトケイ酸カルシウム(Ca4SiO4)、メタケイ酸バリウ
ム(Ba2SiO3)、メタケイ酸コバルト(Co2SiO3)等のケ
イ酸金属塩などが挙げられる。
これらのケイ素化合物は一種単独で使用しても良い
し、二種以上を組合わせて使用しても良い。
この発明において重要な点の一つは、前記強磁性粉末
のBET法による比表面積が35m2/g以上であり、好ましく
は37m2/g以上であり、さらに、好ましくは38〜70m2/gで
ある。
BET法による比表面積が35m2/g以上である強磁性粉末
を使用することによって磁性粉末の充填密度を高め、磁
気記録媒体の電磁変換特性を向上させることができる。
前記強磁性粉末の形状については特に制限はなく、例
えば、針状、球状あるいは紡錘状などのものを使用する
ことができる。
この発明において重要な点の一つは、前記結合剤が、
陰性官能基を有する樹脂[以下、単に樹脂(A)と言う
ことがある。]および/または降伏点を有するウレタン
樹脂を含有することにある。
前記樹脂(A)と前記強磁性粉末及び後述する潤滑と
の組み合わせにより、この発明の磁気記録媒体の結合剤
中における前記強磁性粉末の分散状態を良好なものし、
過酷な条件下においても磁気記録媒体の走行性、電磁変
換特性、耐久性を良好なものにする作用乃至機能を有す
る。
前記樹脂(A)における前記陰性官能基としては、た
とえば、−SO3M、−OSO2M、および (ただし、式中、Mは水素原子、リチウム、カリウムお
よびナトリウムのいずれかであり、M1およびM2は、それ
ぞれ水素原子、リチウム、カリウム、ナトリウムおよび
アルキル基のいずれかである。またM1とM2とは、互いに
異なっていても良いし、同じであっても良い。) などが挙げられる。
前記樹脂(A)は、たとえば、塩化ビニル系樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などの樹脂を変性し
て、前記陰性官能基を導入することにより得ることがで
きる。
具体的には、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、
ポリウレタン樹脂などの樹脂と、たとえばCl−CH2CH2SO
3M、Cl−CH2CH2OSO2M、 (ただし、M、M1およびM2はそれぞれ前記と同じ意味で
ある。) などのように分子中に陰性官能基およびハロゲン原子を
含有する化合物とを脱塩酸反応により縮合させて得るこ
とができる。
このようにして得られる前記樹脂(A)の中でも、好
ましいのは塩化ビニル系樹脂に陰性官能基を導入してな
る樹脂である。
前記陰性官能基を導入する前記塩化ビニル系樹脂とし
ては、たとえば塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコ
ール共重合体、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル−ビニ
ルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレ
イン酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル
−プロピオン酸ビニル−マレイン酸ビニル−ビニルアル
コール共重合体などが挙げられる。
前記陰性官能基を導入してなる前記塩化ビニル系樹脂
として、たとえば塩化ビニルモノマーと、スルホン酸も
しくはリン酸のアルカリ塩を含有した共重合性モノマー
および必要に応じ他の共重合性モノマーとを共重合する
ことによって得られる共重合体を挙げることもできる。
この共重合体はビニル合成によるものであるので合成
が容易であり、かつ共重合成分を種々選ぶことができ、
共重合体の特性を最適に調整することができる。
前記のスルホン酸もしくはリン酸の塩の金属はアルカ
リ金属(特にナトリウム、カリウム、リチウム)であ
り、特にカリウムが溶解性、反応性、収率等の点で好ま
しい。
スルホン酸塩を含有する前記共重合性モノマーとして
は、たとえば、 CH2=CHSO3M CH2=CHCH2SO3M CH2=C(CH3)CH2SO3M CH2=CHCH2OCOCH(CH2COOR)SO3M CH2=CHCOOC3H6SO3M CH2=CHCH2OCH2CH(OH)CH2SO3M CH2=C(CH3)COOC2H4SO3M CH2=CHCOOC4H8SO3M CH2=CHCONHC(CH32CH2SO3M などが挙げられる。
また、リン酸塩としては、 CH2=CHCH2OCH2CH(OH)CH2−O−PO3M3Y1 CH2=CHCONHC(CH32CH2−O−PO3M3Y2 CH2=CHCH2O(CH2CH2O)mPOMX2 [ただし、前記において、Mはアルカリ金属を表わし、
Rは炭素原子数1〜20個のアルキル基を表わし、Y1は水
素原子、M、およびCH2=CHCH2OCH2CH(OH)CH2−のい
ずれかを表わし、Y2は水素原子、M、およびCH2CH=CON
HC(CH32CH2−のいずれかを表わし、X1 OHおよびOMのいずれかを表わし、X2はCH2=CHCH2O(C
H2CH2O)−、OHおよびOMのいずれかを表わす。また、
mおよびnは1〜100の正数である。] また、必要に応じて共重合させる前記共重合性モノマ
ーとしては、たとえば種々のビニルエステル、種々のビ
ニルエーテル(例えば、2−ヒドロキシプロピルビニル
エーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル)、塩
化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、種々のアク
リル酸エステル(例えば、ヒドロキシプロピルアクリレ
ート、ヒドロキシプロピルメタクリレート)、メタクリ
ル酸エステル、エチレン、プロピレン、イソブテン、ブ
タジエン、イソプレン、ビニルエーテル、アリルエーテ
ル(例えば、アリルグリシジルエーテル)、アリールエ
ステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン
酸、マレイン酸エステル(例えば、マレイン酸−2−ヒ
ドロキシプロピルエステル、マレイン酸ジ−2−ヒドロ
キシプロピルエステル)などが挙げられる。
前記共重合体は乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状
重合等の重合法により重合される。いずれの方法におい
ても、必要に応じて分子量調節剤、重合開始剤、モノマ
ーの分割添加あるいは連続添加などの公知の技術を応用
することができ、また、陰性官能基(例えば、スルホ
基、ホスホ基)の導入は、各種の共重合体(例えば、塩
化ビニル系共重合体)の製造に際して、亜硫酸カリウム
等の亜硫酸塩類、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二
ナトリウム等のリン酸水素塩類、過硫酸カリウム、過リ
ン酸ナトリウムなどの化合物を作用させてもよい。
前記共重合体は、さらにエポキシ基または水酸基を含
有していることが好ましい。
エポキシ基を有する共重合可能な成分としては、グリ
シジルアクリレート、グリシジルエチルマレート、グリ
シジルビニルスルホネート、グリシジルアリルスルホネ
ート等のグリシジルエステル類、アリルグリシジルエー
テル、メタクリルグリシジルエーテル等のグリシジルエ
ーテル類、2−メチル−5,6−エポキシヘキセン、ブタ
ジエンモノオキサイド等のエポキシ化オレフィンなどが
挙げられる。
ところで、従来の塩化ビニル系共重合体は、たとえば
次のようなモノマーユニットの共重合体であった。
[ただし、j、kおよび1は整数を表わす。] しかし、ここで、CH3CO−O−の基は、硬化剤等との
架橋反応には寄与しにくいものと考えられる。
そこで、この発明においては、CH3CO−に代えて、 等のエポキシ基を含有させるのが好ましい。
具体的には、次のようなユニットの組合せの樹脂を例
示することができる。
[ただし、q、rおよびsは前記と同じ意味であり、t
は整数である。また、Zはスルホ基またはホスホ基のア
ルカリ金属塩を含んだモノマーユニット部分である。] 前記樹脂(A)の分子量は、通常、5,000〜80,000、
好ましくは10,000〜30,000である。この分子量が80,000
を超えると、磁性塗料の粘度が許容範囲を超えて大きく
なり、磁気記録媒体にしたときの磁性層の摩擦係数の上
昇を招いたり、生産時の作業性の悪化を招いたりするこ
とがある。一方、分子量が5,000未満であると、磁性塗
料を前記非磁性支持体上に塗布してから硬化剤を用いて
硬化させる段階で、未反応部分が生じ、低分子量成分が
残存することになって塗膜の物性を劣化させることがあ
る。
前記樹脂(A)の配合割合は、前記強磁性粉末100重
量部に対して、通常、0.5〜25重量部、好ましくは1〜2
0重量部である。
この配合割合を前記の範囲内とすることにより、前記
の樹脂(A)の作用乃至機能が充分に発揮される。
前記の降伏点を有するウレタン樹脂は、降伏点に至る
までの応力が加わっても伸びが非常に小さいという適度
な硬さを有し、降伏点を超える応力が加わると応力と共
に伸びる性質を示し、結合剤に含有する樹脂としての適
度な柔軟性と接着性とを有する。
前記の降伏点を有するウレタン樹脂は、磁気記録媒体
の耐摩耗性を向させるとともに、過酷な条件下における
走行耐久性、電磁変換特性、を良好にする作用乃至機能
を有すると考えられる。
前記降伏点は、通常、50〜600kg/cm2の範囲内であ
り、好ましくは100〜560kg/cm2の範囲内である。
前記降伏点が50〜600kg/cm2の範囲内であることによ
り前記の作用乃至機能が充分に発揮される。
前記ウレタン樹脂としては、降伏点を有するために、
分子中に環状炭化水素基を有しているのが好ましく、さ
らに、前記環状炭化水素基が飽和環状炭化水素基である
のが好ましく、たとえば、二価または一価のシクロペン
チル基、シクロヘキシル基など有するものが挙げられ
る。
また、前記の降伏点を有するウレタン樹脂は、スルホ
基またはホスホ基のアルカリ金属塩を含有しているのが
好ましい。
前記ウレタン樹脂は、通常、ポリイソシアネートとポ
リオールとの反応によって合成することができる。
この発明において、前記ポリイソシアネートが前記環
状炭化水素基を有していてもよく、前記ポリオールが前
記環状炭化水素基を有していてもよい。
前記ポリイソシアネートとしては、たとえばトリレン
ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソ
シアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,
3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメ
タン−4,4′−ジイソシアネート、粗製TDI、ポリメチレ
ン・ポリフェニル・イソシアネート、イソホロンジイソ
シアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化
キシリレンジイソシアネート、これらのイソシアネート
類のイソシアヌレート化変性品、カルボジイミド化変性
品、ビューレット化変性品等、および、これらの分子鎖
中に前記環状炭化水素基を有する構造のものなどが挙げ
られる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混
合して使用してもよい。
前記ポリオールとしては、たとえばフタル酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸、マレイン酸、コハク酸、アジピ
ン酸、セバシン酸等の有機二塩基酸と、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、
ポリエチレングリコール等のグリコール類;トリメチロ
ールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオ
ール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アル
コール類;ハイドロキノン、ビスフェノールA等の多価
フェノール類;前記のグリコール類、多価アルコール類
および多価フェノール類の中から選ばれた2種以上のポ
リオールの反応によって合成されるポリエステルポリオ
ール;s−カプロラクタム、α−メチル−1−カプロラク
タム、s−メチル−s−カプロラクタム、γ−ブチロラ
クタム等のラクタム類から合成されるラクタム系ポリエ
ステルポリオール;エチレンオキサイド、プロピレンオ
キサイド、ブチレンオキサイド等から合成されるポリエ
ーテルポリオール等、および、これらの分子鎖中に前記
環状炭化水素基を有する構造のものなどが挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混
合して使用してもよい。
前記ウレタン樹脂は末端がイソシアネート基、ヒドロ
キシル基およびカルボキシル基のうちの少なくともいず
れかであるウレタン樹脂またはウレタンポリマーであっ
ても良いし、あるいは反応性末端基を含有しないウレタ
ンエラストマーであっても良い。
前記ウレタン樹脂の配合割合は、前記強磁性粉末100
重量部に対して、通常、0.5〜25重量部の範囲内であ
り、好ましくは1〜20重量部の範囲内である。この配合
割合が前記の範囲内であることにより、前記ウレタン樹
脂の作用乃至機能を充分に発揮することができる。
なお、前記結合剤が、樹脂(A)と前記ウレタン樹脂
とを含有する場合、樹脂(A)と前記ウレタン樹脂との
配合割合は、樹脂(A)と前記ウレタン樹脂との合計量
が、前記強磁性粉末100重量部に対して、通常、2〜50
重量部の範囲内であり、好ましくは5〜40重量部の範囲
内である。この配合割合が前記の範囲内であることによ
り、前記ウレタン樹脂の作用乃至機能を充分に発揮する
ことができる。
この発明の磁気記録媒体における前記結合剤には、樹
脂(A)および/または前記ウレタン樹脂とともに、た
とえば従来より磁気記録媒体に用いられている熱可塑性
樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、電子線照射硬化型樹
脂またはこれらの混合物などのその他の樹脂[以下、単
に樹脂(B)と言うことがある。]を使用することがで
きる。
前記熱可塑性樹脂としては、たとえば塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合
体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル
酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エ
ステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステ
ル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−
エチレン共重合体、ウレタンエラストマー、ポリ弗化ビ
ニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ア
クリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアミド樹
脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロ
ースアセテートブチレート)、セルロースダイアセテー
ト、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネ
ート、ニトロセルロース等)、スチレンブタジエン共重
合体、ポリエステル樹脂、クロロビニルエーテルアクリ
ル酸エステル共重合体、アミノ樹脂および合成ゴム系の
熱可塑性樹脂などを挙げることができる。
これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を組
み合せて使用しても良い。
前記熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、たとえ
ばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型
樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリ
コーン樹脂、アクリル系反応樹脂、高分子量ポリエステ
ル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、メタク
リル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポリマーの混
合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの
混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子量グリコー
ル/高分子量ジオール/トリフェニルメタントリイソシ
アネートの混合物およびポリアミン樹脂などが挙げられ
る。
これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を組
み合せて使用しても良い。
前記電子線照射硬化型樹脂としては、たとえば無水マ
レイン酸タイプ、ウレタンアクリルタイプ、エポキシア
クリルタイプ、ポリエステルアクリルタイプ、ポリエー
テルアクリルタイプ、ポリウレタンアクリルタイプ、ポ
リアミドアクリルタイプ等の不飽和プレポリマー;エー
テルアクリルタイプ、ウレタンアクリルタイプ、エポキ
シアクリルタイプ、燐酸エステルアクリルタイプ、アリ
ールタイプおよびハイドロカーボンタイプ等の多官能モ
ノマーなどが挙げられる。
これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を組
み合せて使用しても良い。
結合剤に前記樹脂(B)を使用する場合、樹脂(B)
の配合割合は、前記強磁性粉末100重量部に対して、通
常、0.5〜25重量部の範囲内であり、好ましくは1〜20
重量部の範囲内である。
この発明においては、結合剤中にポリイソシアネート
系硬化剤を添加することにより、磁性層の耐久性の向上
を図ることができる。
前記ポリイソシアネート系硬化剤としては、たとえば
トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシ
アネート、ヘキサンジイソシアネート等の2官能イソシ
アネート、コロネートL(商品名;日本ポリウレタン工
業(株)製)、デスモジュールL(商品名;バイエル社
製)等の3官能イソシアネート、または両末端にイソシ
アネート基を含有するウレタンプレポリマーなどの従来
から硬化剤として使用されているものや、また硬化剤と
して使用可能であるポリイソシアネートであるものをい
ずれも使用することができる。
前記硬化剤の使用量は、通常、全結合剤量の5〜80重
量部である。
磁性層における前記強磁性粉末と前記結合剤(前記硬
化剤を使用する場合には、硬化剤を含む。)との配合割
合は、前記強磁性粉末100重量部に対して、通常、結合
剤2〜50重量部、好ましくは5〜40重量部である。前記
結合剤の配合量が多すぎると、結果的に強磁性粉末の配
合量が低くなり磁気記録媒体の記録密度が低下すること
があり、少なすぎると、磁性層の強度が低下して磁気記
録媒体の走行耐久性が減退することがある。
この発明において重要な点の一つは、前記磁性層が、
潤滑剤を含有し、前記潤滑剤が、少なくとも、2種類以
上の脂肪酸または2種類以上の脂肪酸エステルを含有す
ることにある。
前記潤滑剤は、磁気記録媒体の電磁変化特性、走行耐
久性を過酷な使用条件下においても良好なものにする作
用乃至機能を有すると考えられる。
前記脂肪酸としては、通常、融点が0℃以上である脂
肪酸が用いられる。
前記融点が0℃未満であると、前記脂肪酸によっても
たらされる前記の効果が充分に奏されないことがある。
具体的には、たとえばミリスチン酸(融点53.9℃)、
マルガリン酸(融点61.3℃)、ブラシン酸(融点61.9
℃)、パルミチン酸(融点63.1℃)、ステアリン酸(融
点69.6℃)、アラキン酸(融点76.1℃)、ベヘン酸(融
点80.5℃)、リグノセリン酸(融点84.7℃)、α−パル
ナリン酸(融点85〜86℃)、セロチン酸(融点87.7
℃)、モンタン酸(融点90.5℃)、メリシン酸(融点9
1.9℃)、β−パルナリン酸(融点95〜96℃)、オクタ
トリアコンタン酸(融点101.6℃)、カプリル酸(融点1
6.5℃)、カプリン酸(融点31.3℃)、ラウリン酸(融
点44℃)、オレイン酸(融点14℃)などが挙げられる。
潤滑剤が次に詳述する脂肪酸エステルを含有せずに前
記脂肪酸を含有する場合に、前記脂肪酸の種類は少なく
とも2種類である。
潤滑剤が少なくとも2種類の前記脂肪酸を含有し、磁
性層が前記潤滑剤を含有することにより、前記の潤滑剤
の作用乃至機能を充分に発揮することができる。
前記脂肪酸エステルとしては、次式で示すことができ
る脂肪酸エステルを挙げることができる。
R1COOR2 (ただし、R1は炭素原子数が12〜22であるアルキル基で
あり、R2は炭素原子数が3〜21であるアルキル基であ
る。) 具体的には、たとえばパルミチン酸ブチル、パルミチ
ン酸アミル、パルミチン酸ヘプチル、パルミチン酸オク
チル、パルミチン酸デシル、ステアリン酸ブチル、ステ
アリン酸アミル、ステアリン酸ヘプチル、ステアリン酸
オクチル、ペトロセリン酸ブチル、ペトロセリン酸イソ
アミル、ペトロセリン酸オクチル、7−オクタデセン酸
ブチル、7−オクタデセン酸アミル、オレイン酸ブチ
ル、オレイン酸イソブチル、オレイン酸tert−ブチル、
オレイン酸イソアミル、オレイン酸tert−アミル、オレ
イン酸ヘプチル、エライジン酸ブチル、エライジン酸イ
ソブチル、エライジン酸tert−ブチル、エライジン酸イ
ソアミル、エライジン酸tert−アミル、ベヘン酸イソア
ミル、ベヘン酸ブチル、リシノール酸イソブチル、リシ
ノール酸ヘプチル、パルミチン酸ヘキサデシル、ラウリ
ン酸エチルメチルウンデカニル、ベヘン酸オレイル、ミ
リスチン酸トリデカニル、ミリスチン酸オレイル、オレ
イン酸オレイル、ラウリン酸オレイルなどが挙げられ
る。
磁性層が前記脂肪酸を含有せずに前記脂肪酸エステル
を含有する場合に、前記脂肪酸エステルの種類は少なく
とも2種類である。
潤滑剤が少なくとも2種類の前記脂肪酸エステルを含
有し、磁性層が前記潤滑剤を含有することにより、前記
の潤滑剤の作用乃至機能を充分に発揮することができ
る。
この発明においては、潤滑剤が少なくとも2種類の前
記脂肪酸を含有するとともに1種類の前記脂肪酸エステ
ルを含有していても良いし、少なくとも2種類の前記脂
肪酸エステルを含有するとともに1種類の前記脂肪酸を
含有していても良い。また、少なくとも2種類の前記脂
肪酸を含有し、前記脂肪酸エステルを含有しなくても良
いし、少なくとも2種類の前記脂肪酸エステルを含有
し、前記脂肪酸を含有しなくても良い。
前記の少なくとも2種類の脂肪酸または少なくとも2
種類の脂肪酸エステルの配合割合は、前記強磁性粉末10
0重量部に対して、通常、0.1〜20重量部であり、好まし
くは0.5〜18重量部である。
この配合割合が前記の範囲を外れると、前記脂肪酸ま
たは前記脂肪酸エステルによってもたらされる前記の効
果が充分に奏されないことがある。
この発明においては、磁性層が前記脂肪酸および脂肪
酸エステルとともに他の潤滑剤を使用することができ
る。
他の潤滑剤としては、たとえばシリコーン系潤滑剤、
脂肪酸変性シリコーン系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、流動
パラフィン、スクワラン、カーボンブラック、グラファ
イト、カーボンブラックグラフトポリマー、二硫化モリ
ブデン、二硫化タングステンなどが挙げられる。
前記他の潤滑剤を使用する場合、前記他の潤滑剤の配
合割合は、前記強磁性粉末100重量部に対して、通常、2
0重量部以下、好ましくは15重量部以下である。この配
合割合が20重量部を超えると、磁性層の膜強度が下がり
耐久性が悪くなることがある。
この発明においては、前記強磁性粉末、結合剤、潤滑
剤の他に、研磨剤および帯電防止剤を、磁性層に配合す
ることができる。
前記研磨剤としては、たとえば酸化アルミニウム、酸
化チタン(TiO、TiO2)、酸化ケイ素(SiO、SiO2)、窒
化ケイ素、酸化クロムおよび炭化ホウ素等の無機粉末並
びにベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン樹脂粉末およ
びフタロシアニン化合物粉末等の有機粉末が挙げられ
る。
これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を組
み合わせて使用しても良い。
前記研磨剤の平均粒子径は、通常、0.1〜1.0μmであ
る。
また、これらの研磨剤の配合量は、前記強磁性系金属
粉末100重量部に対して、通常、0.5〜20重量部である。
前記帯電防止剤としては、たとえばグラファイト、カ
ーボンブラック、酸化錫−酸化アンチモン系化合物、酸
化錫−酸化チタン−酸化アンチモン系化合物、カーボン
ブラックグラフトポリマー等の導電性粉末;サポニンな
どの天然界面活性剤;アルキレンオキサイド系、グリセ
リン系、グリシドール系等のノニオン界面活性剤;高級
アルキルアミン類、第4級ピリジン、その他の複素環
類、ホスホニウムおよびスルホニウム類等のカチオン界
面活性剤:カルボン酸、スルホン酸、燐酸、硫酸エステ
ル基、燐酸エステル基等の酸性基を含むアニオン界面活
性剤:アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコ
ールの硫酸および燐酸エステル類等の両性界面活性剤な
どが挙げられる。
これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を組
み合せて使用しても良い。
前記帯電防止剤の配合量は、前記強磁性系金属粉末10
0重量部に対して、通常、0.5〜20重量部である。
この発明において、前記磁性層の厚みは、通常、0.1
〜20μmであり、好ましくは0.1〜10μmである。
(バックコート層) 前記非磁性支持体の磁性層を設ける面と他方の面に
は、前記バックコート層が設けられている。
バックコート層は、通常、充填剤と結合剤とを含有す
る。
この発明において重要な点の一つは、前記充填剤とし
てカーボンブラックを含有することにある。
前記カーボンブラックは、過酷な使用条件下において
も走行耐久性を良好なものとする作用乃至機能を有する
と考えられる。
前記カーボンブラックは、通常、平均粒径が10〜1000
mμの範囲内であり、好ましくは、20〜500mμの範囲内
である。
平均粒径が10〜1000mμの範囲内にあることにより、
前記のカーボンブラックの作用乃至機能を充分に発揮す
ることができる。
前記カーボンブラックの配合割合は、前記バックコー
ト層の総量100重量部に対して、通常1〜99重量部、好
ましくは、5〜90重量部である。
前記カーボンブラックの配合割合が、前記の配合割合
であることにより、前記のカーボンブラックの作用乃至
機能を充分に発揮することができる。
前記結合剤としては、たとえば従来より磁気記録媒体
に用いられている熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型
樹脂、電子線照射硬化樹脂またはこれらの混合物などを
使用することができ、前記の磁性層における結合剤に使
用することのできる樹脂と同様のものを挙げることがで
きる。
前記充填剤は、前記カーボンブラックの他に、他の充
填剤を含有していても良い。
他の充填剤としては、たとえば、酸化ケイ素、酸化チ
タン、酸化カルシウム、酸化鉄、酸化クロム、酸化アル
ミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カ
ルシウム、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、酸化亜
鉛、酸化銅などが挙げられる。
前記結合剤には、潤滑剤、帯電防止剤などが含有され
ていても良い。
この発明において、前記バックコート層の厚みは、通
常、0.05〜3μmであり、好ましくは0.1〜2μmであ
る。
なお、前記磁性層および前記バックコート層において
は、前記潤滑剤、前記帯電防止剤等は、単独の作用のみ
を有するものではなく、たとえば、一の化合物が潤滑剤
および帯電防止剤として、作用する場合がある。
したがって、この発明における前記の分類は、主な作
用を示したものであり、分類された化合物の作用が分類
に示す作用によって、限定されるものではない。
次に、この発明の磁気記録媒体を製造する方法などに
ついて説明する。
(製造方法等) この発明の磁気記録媒体は、たとえば、前記強磁性粉
末、樹脂(A)、潤滑剤などの磁性層形成成分を溶媒に
混練分散して磁性塗料を調製した後、得られた磁性塗料
を前記非磁性支持体の一方の面に塗布および乾燥する工
程と、 前記カーボンブラック、結合剤などのバックコート層
形成成分を溶媒に混練分散して塗料を調製した後、得ら
れた塗料を前記非磁性支持体の他方の面に塗布および乾
燥する工程とにより製造することができる。
また、これらの工程は同時に行なわれてもよいし、一
つの製造ラインで連続的に行なわれても良い。
磁性層形成成分の混練・分散に使用する溶媒として
は、たとえばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)およびシクロヘキサノ
ン等のケトン系:メタノール、エタノール、プロパノー
ルおよびブタノール等のアルコール系;酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸プロピルおよ
びエチレングリコールモノアセテート等のエステル系;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、2−エトキシ
エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエー
テル系;ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族
炭化水素;メチレンクロライド、エチレンクロライド、
四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリンお
よびジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素などを使
用することができる。
磁性塗料成分の組成混練にあたっては、前記強磁性粉
末およびその他の磁性塗料成分を、同時にまたは個々に
順次混練機に投入する。たとえば、まず、少量の結合剤
や必要に応じて添加剤を含む溶液中に前記強磁性粉末を
加え、所定時間混練した後、残りの各成分を加えて、さ
らに混練を続けて磁性塗料とする。
混練分散にあたっては、各種の混練機を使用すること
ができる。この混練機としては、たとえば二本ロールミ
ル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、サイド
グラインダー、Sqegvariアトライター、高速インペラー
分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパ
ーニーダー、高速ミキサー、ホモジナイザー、超音波分
散機などが挙げられる。
このようにして調製した磁性層形成成分の塗布液は、
公知の方法により、非磁性支持体の面に塗布される。
バックコート層形成成分も磁性層形成成分と同様の方
法により調製することができ、バックコート層形成成分
の塗布液は、公知の方法により、非磁性支持体の他方の
面に塗布される。
この発明において利用することのできる塗布方法とし
ては、たとえばグラビアロールコーティング、ワイヤー
バーコーティング、ドクタープレードコーティング、リ
バースロールコーティング、ディップコーティング、エ
アーナイフコーティング、カレンダーコーティング、ス
キーズコーティング、キスコーティング、エクストルー
ジョンコーティングおよびファンティンコーティングな
どが挙げられる。
こうして、磁性層形成成分およびバックコート層形成
成分を塗布した後、未乾燥の状態で、必要により磁場配
向処理などを行ない、さらに、通常はスーパーカレンダ
ーロールなどを用いて表面平滑化処理を行なう。
この発明の磁気記録媒体は、前記の表面平滑化処理を
行なった後、所望の形状に裁断することにより得ること
ができる。
この発明の磁気記録媒体は、たとえば長尺状に裁断す
ることにより、ビデオテープ、オーディオテープ等の磁
気テープとして、あるいは円盤状に裁断することによ
り、フロッピーディスク等として使用することができ
る。さらに、通常の磁気記録媒体と同様に、カード状、
円筒状などの形態でも使用することができる。
[実施例] 次に、この発明の実施例および比較例を示し、この発
明についてさらに具体的に説明する。なお、以下に記載
する実施例および比較例において、「部」は「重量部」
を表わすものとする。
(実施例1) 以下に示す組成の磁性層組成物を混合分散することに
より分散液とした後、この分散液にポリイソシアネート
化合物10部を添加して混合し、磁性塗料を調製した。
Co含有磁性酸化鉄系粉末 [Si含有量:0.16重量%、BET法による比表面積:45m2/
g] ・・・・・・・・・100部 スルホン酸カリウム含有塩ビ系樹脂 ‥‥12部 ポリウレタン樹脂 ・・・・・・・・・・8部 [スルホ基含有、降伏点:418kg/cm2脂肪酸エステル ・・・・・・・・・・・1部 [ブチルステアレート] カーボンブラック ・・・・・・・・・・1部 アルミナ ・・・・・・・・・・・・・・7部 メチルエチルケトン ・・・・・・・・110部 トルエン ・・・・・・・・・・・・・110部 なお、各成分の使用量は、いずれもγ−Fe2O3系粉末1
00部に対するものである。
得られた磁性塗料液を、乾燥厚が4μmになるように
厚み15μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一
方の面に塗布し、乾燥後、カレンダーにより表面成型し
た。
以下に示す組成のバックコート層組成物を混合分散す
ることにより分散液とし、バックコート塗料を調製し
た。
ポリウレタン樹脂 ・・・・・・・・・・20部 ニトロセルロース ・・・・・・・・・・20部 カーボンブラック ・・・・・・・・・・50部 [平均粒径:40mμ] 炭酸カルシウム ・・・・・・・・・・・30部 メチルエチルケトン ・・・・・・・・200部 トルエン ・・・・・・・・・・・・・200部 なお、各成分の使用量は、いずれも重量部である。
得られたバックコート塗料液を、乾燥圧が0.6μmに
なるように前記の厚み15μmのポリエチレンテレフタレ
ートフィルムの他方の面に塗布し、乾燥した。
また、磁性塗料液およびバックコート塗料液のいずれ
も、硬化剤としてのポリイソシアネートを各々バインダ
ー重量(結合剤重量)の10重量%加えたうえで、支持体
(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に塗布し
た。
次いで、所定幅にスリットしてビデオテープを作製し
た。
このビデオテープの諸特性を測定した。
結果を第1表に示す。
なお、それぞれの特性は次のようにして測定した。
ドロップアウト;VTRドロップアウトカウンター(シバソ
ク社製)を使用して測定し、次の3段階に評価した。
○:ドロップアウトが5個以下である。
△:ドロップアウトが6〜10個である。
×:ドロップアウトが10個より多い。
RF出力;100%ホワイト信号における再生時の出力を比較
例1のテープを基準(0dB)として、比較例1のテープ
との比較において求めた。
ルミーS/N;ノイズメーター(シバソク社製)を使用し、
比較例1のテープを基準(0dB)として、比較例1のテ
ープとの比較において、100%ホワイト信号における試
料のS/Nの差を求めた。
スチル耐久性;静止画像の再生出力が20dB低下するまで
の時間を分単位で測定した。なお、100分以上の場合
は、100分で測定を中止し、100以上とする。
全長録画・再生テスト;同一テープで、テープ全長の録
画および再生を繰り返し、ヘッド目詰りや走行ストッ
プ、エッジ折れ等のトラブルが発生するまでの走行回数
(録画および再生で1回とする。)を調べた。なお、10
0回以上の場合は、100以上として、そこで測定を中止し
た。
RF出力低下;テープを繰り返し走行[100回]させた
後、100%ホワイト信号における再生時出力を実施例1
のテープとの比較において求めた。なお、100回走行で
きなかったテープは、このデータを取ることができなか
ったので(−)と第1表に記載する。
粉落ち;湿度80%の条件下に、テープを100回走行させ
た後の汚れを観察し、次の4段階に評価した。
◎:汚れはまったく見られない。
○:ほとんど汚れが見られない。
△:汚れが見られる。
×:かなりの汚れが見られる。
(実施例2〜10および比較例1〜8) 前記実施例1において、実施例1で用いた磁性層組成
物のCo含有磁性酸化鉄系粉末、スルホン酸カリウム含有
塩ビ系樹脂、降伏点を有するポリウレタン樹脂、脂肪
酸、もしくは脂肪酸エステルに代えて、第2表に示した
種類・量の磁性粉末、ポリウレタン以外の樹脂、ポリウ
レタン樹脂、脂肪酸、もしくは脂肪酸エステルを用い、
または、 バックコート層組成物のカーボンブラックに代えて、
第2表に示した量のカーボンブラックを用いたほかは、
前記実施例1と同様にしてビデオテープを作製し、得ら
れたビデオテープについて前記実施例1と同様にして諸
特性を測定した。
結果を第1表に示す。
(評価) 第1表から明らかなように、この発明の磁気記録媒体
は、高温・低温の雰囲気での諸特性が常温の雰囲気での
諸特性と同様に良好である。すなわち、この発明の磁気
記録媒体は、高温・低温の雰囲気でも、ドロップアウト
が少なく、RF出力、ルミーS/Nが良好な優れた電磁変換
特性と、RF出力低下が小さく、粉落ちが少なく、スチル
耐久性、全長録画・再生テストが良好な優れた走行耐久
性を有している。
[発明の効果] この発明に磁気記録媒体により、高温・低温で使用し
ても、ドロップアウトが少ない等の良好な電磁変換特性
と、粉落ちが少ない等の良好な走行耐久性とを有してい
る磁気記録媒体を提供することができる。
したがって、走行性と電磁変換特性と耐久性とに優れ
る高品質の磁気記録媒体を、種々の環境において、様々
な使用態様で、その性能を損なうことなく使用すること
ができるので、磁気記録媒体を、より広い用途に有効に
用いることができる。
また、強磁性粉末として、実施例ではCo含有磁性酸化
鉄系粉末を使用する例を示したが、金属磁性粉末(鉄を
主成分とするメタル磁性粉末)等を使用しても同様の効
果を有する磁気記録媒体を提供することができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性支持体の一方の面に、強磁性粉末と
    結合剤とを含有する磁性層を設けてなるとともに、前記
    非磁性支持体の他方の面に、バックコート層を設けてな
    る磁気記録媒体において、前記強磁性粉末がケイ素を含
    有し、前記強磁性粉末のBET法による比表面積が35m2/g
    以上であり、前記結合剤が、陰性官能基を有する樹脂お
    よび/または降伏点を有するウレタン樹脂を含有し、前
    記磁性層が潤滑剤を含有し、前記バックコート層がカー
    ボンブラックを含有し、前記潤滑剤が、少なくとも、2
    種類以上の脂肪酸または2種類以上の脂肪酸エステルを
    含有することを特徴とする磁気記録媒体。
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