JPH08339527A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH08339527A
JPH08339527A JP16799695A JP16799695A JPH08339527A JP H08339527 A JPH08339527 A JP H08339527A JP 16799695 A JP16799695 A JP 16799695A JP 16799695 A JP16799695 A JP 16799695A JP H08339527 A JPH08339527 A JP H08339527A
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magnetic
vinyl chloride
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binder
kneading
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JP16799695A
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Atsushi Hashimoto
淳 橋本
Taro Omura
太郎 大村
Yoshihiro Shimizu
義博 清水
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 塩型強酸基を有しかつGPC測定によるスチ
レン換算分子量のピーク値の範囲が10,000〜18,000の範
囲にある低分子量塩化ビニル系重合体を結合剤全量の45
重量%以上(混練時の結合剤全量の60重量%以上)含有
する磁性層を有し、かつこの磁性層を形成するための磁
性塗料調製時の混練工程において磁性塗料成分中の結合
剤全量の60重量%以上を上記低分子量塩化ビニル重合体
が占めるようにした磁気記録媒体と、その製造方法。 【効果】 磁性塗料の混練工程において磁性粉末と結合
剤が効率よく混練され、磁性塗料の分散効率を向上さ
せ、静磁気特性や電磁変換特性を向上させた高容量、高
出力の磁気記録媒体と、その製造方法を提供することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気テープ等の磁気記録
媒体(特に、磁性塗膜を磁性層として有する塗布型磁気
記録媒体)及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体は、例えばオーディ
オ機器、ビデオ機器、コンピュータ等に用いられ、その
需要は著しく伸びてきている。
【0003】こうした磁気記録媒体は、一般に、ポリエ
ステルフィルム等の非磁性支持体上に、磁性粉末と結合
剤とからなる磁性層が設けられた構造を有している。そ
して、この磁性層は、通常、結合剤を含有する組成物中
に磁性粉末を分散させた磁性塗料を非磁性支持体に塗布
したり、或いは転写することによって形成されている。
【0004】従来、上記結合剤としては、例えばポリエ
ステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合
体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合体、フェノール系樹脂、エポ
キシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルブチラー
ル、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレー
ト、アクリル系樹脂、電子線硬化型樹脂等の有機高分子
化合物が用いられている。
【0005】これらの結合剤はそれぞれ、長所及び短所
を有しており、単独での使用では望ましい性質を有する
磁性層が得られにくいため、通常は2種類以上を組み合
わせて用いている。例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリビ
ニルブチラール、ニトロセルロース等の比較的硬い樹脂
と、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリロ
ニトリル−ブタジエン共重合体等の軟質樹脂とが組み合
わされて使用されることが多く、また、磁性層の耐久性
を向上させる目的で、硬化性成分としてポリイソシアネ
ート化合物を使用する例も多い。
【0006】近年、磁気記録媒体は高容量化が進んでい
る。この高容量化の手法として、塗布型磁気記録媒体で
は、トラックピッチの狭小化、記録波長の短波長化とい
った記録方式の改良によるものや、媒体の全長を長くす
る等、様々な手法がある。その中で、記録波長の短波長
化を行う手法では、そのメディアには高密度な記録が要
求され、かつ高い出力が要求される。
【0007】こうした要求を満たすために、磁気テープ
に使われる磁性粉末は、更に強い保磁力と磁束を持つよ
うになり、またはその形状が更に針状化し、かつ微細な
ものになっている。磁性粉末だけでなく、その他にも、
磁性層を構成する結合剤でも、従来より磁性塗料の分散
性を向上させるために、磁性粉に吸着する極性基の高機
能化が進んでいる。
【0008】特に、磁性粒子の微細化は、これを高分散
させる際に技術的に大きな課題が存在する。これまで、
強磁性粉末の分散性を向上させる方法としては、分子量
30,000程度又はそれ以上の高分子量の高分子バインダー
を用いる方法、或いは低分子量の界面活性剤等の分散剤
を用いる方法が採用されている。
【0009】しかし、前者の場合には、磁性粉が微細化
したときに特にその長軸長が 0.1μm以下となった場合
には分散が難しくなってきている。また、後者の方法に
おいては、分散剤を多量に用いると磁気記録媒体の耐久
性やヘッド汚れなど、好ましくない事態を招くため、そ
の使用量が制限されるのを免れず、十分な分散性が得ら
れない上、磁気記録媒体の信頼性の向上の点からも、結
合剤自体に高度の分散能を有することが要求されてい
る。
【0010】一方、磁気記録媒体の耐久性や信頼性を高
めるために、ポリイソシアネート化合物などの硬化性化
合物を磁性塗料中に含有させ、磁性層を架橋し、塗膜化
することが、特に録画用磁気テープの分野において慣用
的に使用されている。
【0011】この場合、結合剤としては、ポリイソシア
ネート化合物などの架橋剤と適当な反応性を有すること
が要求されるが、このような要求に応える結合剤とし
て、SO3 M、SO4 M、PO4 2 、PO3 2 (M
はアルカリ金属又はアンモニウム基)等、イオウやリン
を含む塩型強酸基等の親水性基を含む塩化ビニル系樹脂
が、強磁性粉末の分散能や分散安定性に優れ、かつ分子
間力の強さに基づく高い強度などの点から、広く用いら
れている。
【0012】しかし、これらの結合剤を選択しても、高
密度記録のために強磁性粉末の粒子サイズを微細にすれ
ばするほど分散が困難になり、これまでの通常分子量が
30,000以上の高分子では、分子サイズが大きいために磁
性粉1個当たりに吸着する高分子バインダの数が少なく
なってしまう。
【0013】この結果、分散が劣化したり、或いは磁性
塗料を調製する際の混練分散工程に長時間を要すること
になる。この混練分散工程では強磁性粉末と合成樹脂結
合剤に高い剪断力がかかり、長時間苛酷な条件にさらさ
れるため、強磁性粉末の特性が損なわれることがある。
【0014】このように、磁気記録媒体の高容量化が進
むにつれて、磁性層を構成する各種材料の改良が進めら
れているが、従来からの製造方法では、これらの材料の
能力を発揮させることができず、目的とする特性値を達
成することが困難となっている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、磁性
塗料の混練工程において、磁性粉末と結合剤が効率よく
混練され、磁性塗料の分散効率を向上させ、静磁気特性
や電磁変換特性を向上させた高容量、高出力の磁気記録
媒体と、その製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記した問
題点を検討した結果、磁性層を形成するための磁性塗料
の結合剤として特定の低分子量塩化ビニル樹脂を使用
し、磁性塗料の調製工程の一つである混練工程におい
て、混練時に添加される結合剤全量に対して上記の低分
子量塩化ビニル樹脂を特定の割合にすることによって、
良好な磁気特性と電磁変換特性が得られることを見出
し、本発明に到達したのである。
【0017】即ち、本発明は、磁性層を有する磁気記録
媒体において、前記磁性層が、塩型強酸基を有しかつゲ
ル浸透クロマトグラフィ(以下、GPCと略記すること
がある。)測定によるスチレン換算分子量のピーク値の
範囲が10,000〜18,000の範囲にある塩化ビニル系重合体
を結合剤全量の45重量%以上(好ましくは60重量%以
上)含有していることを特徴とする磁気記録媒体に係る
ものである。
【0018】ここで、「塩化ビニル系樹脂」とは、実質
的に塩化ビニルモノマーのみの重合体以外にも、他の共
重合性モノマーとの共重合体も含み、例えば、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビ
ニルアルコール共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン
共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩
化ビニル−エチレン−酢酸ビニル共重合体が挙げられる
(以下、同様)。
【0019】本発明の磁気記録媒体によれば、上記塩化
ビニル系重合体の分子量が10,000〜18,000と比較的小さ
いために、磁性粉1個又は単位重量当たりのスルホン酸
塩基等の塩型強酸基の数(吸着点の数)を増やすことが
でき、かつ結合剤の溶剤溶解性及び混練性が向上し、磁
性層の機械的強度も十分となる。
【0020】従って、この塩化ビニル系重合体の分子量
は18,000以下(望ましくは16,000以下)とすべきであ
り、それを超えると分子量が大きくなって結合剤の溶剤
溶解性の低下や混練機に対する負荷動力の増大により、
良好な混練条件を得ることができず、磁性粉の分散性が
悪くなり、塗料としたときの粘度が上昇して磁性層の塗
布が困難となる。また、この塩化ビニル系重合体の分子
量は10,000以上(望ましくは12,000以上)とすべきであ
り、それ未満であると、分子量が小さすぎて、硬化剤を
混入しても十分な高分子化(又は架橋度)が不可能とな
り、未架橋成分が塗膜中で可塑剤的な働きをし、塗膜の
剛性を低くし、耐久性が低下する。
【0021】そして、本発明に用いる上記塩化ビニル系
重合体の結合剤全量に占める割合は、45重量%以上であ
ることが、上記した作用効果を有効に発揮させるために
非常に重要である。即ち、そうした配合割合によって、
磁性塗料調製時の混練を十分に行え、磁気特性及び電磁
変換特性が大幅に向上し、再生出力の大きな媒体を得る
ことができるのである。この配合割合は更に、60重量%
以上とするのが望ましい。
【0022】本発明の磁気記録媒体は、具体的には、非
磁性支持体上に少なくとも、長軸長が特に 0.1μm以下
の微粒子(状)磁性粉を含有する磁性層を有する磁気記
録媒体であって、バインダとしてスルホン酸塩基及び/
又はエポキシ基を有する塩ビ系樹脂であって、GPC測
定によるスチレン換算分子量のピーク値の範囲が分子量
10,000〜18,000の範囲にある低分子量塩化ビニル系重合
体を主体とする結合剤(バインダ)に微粒子磁性粉をエ
クストルーダやニーダ等の混練機で均一に分散、分有さ
せて調製した磁性塗料を塗布して形成された、高記録密
度を可能にする磁気記録層(磁性層)を有するものであ
る。
【0023】本発明が適用される磁気記録媒体として
は、磁性粉を結合剤を用いて分散させ、ポリエチレンテ
レフタレート等を支持体とする基板上に塗布した塗布型
磁気記録媒体が考えられる。特にその中でも、高電磁変
換特性を有する長軸長 0.1μm以下の微粒子磁性粉を高
分散させた磁性塗料を用いた塗布型磁気テープの開発が
求められている。
【0024】また、通常の 0.1μm以上の長軸長の磁性
粉については、機械的な分散方法により、比較的分子量
が大きい(つまり、30,000程度の分子量を持つ)バイン
ダを用いても、これまでの技術によって分散が可能であ
り、配向性も比較的高く、電磁変換特性の劣化も少な
い。つまり、長軸長が 0.1μm以上の場合には分散性は
従来の方法で十分であり、比較的低分子量のバインダを
必要としない。
【0025】しかしながら、長軸長が 0.1μm以下の微
粒子磁性粉となると、比表面積が大きくなるために、極
性基を分子内に限られた個数(例えば、1とか2)しか
持たせることができないバインダでは、磁性粉1個当た
りに吸着する吸着点の数が少なくなり、これが磁性粉の
分散の劣化につながる。このため、これを解決するた
め、本発明では、分子量を小さくして、単位重量当たり
の極性基数を増やして対応させたものである。
【0026】本発明に用いる塩化ビニル系重合体は、極
性基としてスルホン酸塩基構造やリン酸塩基構造(上述
したSO3 M、SO4 M、PO4 2 、PO3 2 )等
の塩型強酸基をポリマー当たり5〜1000当量/106g含有
するのがよい。ポリマー当たりのスルホン酸塩基量が5
当量/106g未満であると、磁気記録媒体における磁束密
度又は分散性の増大が望めない。また、1000当量/106g
を超えると、塩ビ系樹脂の溶剤への溶解性が不良とな
り、実用性に欠け易い。
【0027】また、長軸長が 0.1μm以下の微粒子磁性
粉を用いた場合には、バインダの分子量がGPCの分子
量のピーク範囲が30,000を超えて大きくなると、上記し
たように極性基の含有量が限定されてくると、1分子当
たりの含有量が少なくなり、分散性に劣る結果となる。
【0028】本発明において使用される磁性粉として
は、通常この種の磁気記録媒体の磁性粉末として用いら
れるものであれば如何なるものも使用可能である。
【0029】使用可能な磁性粉は、従来から公知の磁性
粉末すべてが使用可能であり、酸化物磁性粉末でもよ
く、金属磁性粉末でもよい。酸化物磁性粉末としては、
例えば、γ−Fe2 3 、Co含有γ−Fe2 3 、F
3 4 、Co含有Fe3 4、Co非着Fe3 4
CrO2 等が挙げられる。金属磁性粉末としては、例え
ば、Fe−Co−Ni、Fe−Co−B、Fe−Co−
Cr−B、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−Co−V等
が挙げられ、更にこれらの種々の特性を改善する目的
で、Al、Si、Ti、Cr、Mn、Cu、Zn等の金
属成分が添加されたものであってもよい。また、バリウ
ムフェライト等の六方晶系フェライトや窒化鉄等も使用
可能である。
【0030】本発明において、磁性層のバインダとし
て、上記の低分子量塩化ビニル系重合体の他に、従来か
ら公知の結合剤樹脂のいずれもが併用可能である。こう
した公知の樹脂の例としては、塩化ビニル系共重合体
(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニ
ル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニ
トリル共重合体、塩化ビニル−エチレン−酢酸ビニル共
重合体、−SO3 Na、−SONa等の極性基及びエポ
キシ基が導入された塩化ビニル系共重合体)、ニトロセ
ルロース樹脂等のセルロース樹脂誘導体、アクリル樹
脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール
樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン系
樹脂(例えば、ポリエステルポリウレタン樹脂、−SO
3 Na、−SO2 Na等の極性基が導入されたポリウレ
タン系樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂)を挙
げることができる。
【0031】本発明の磁気記録媒体において、磁性層に
は必要に応じて、ジブチルフタレート、トリフェニルフ
ォスフェートのような可塑剤、ジオクチルスルホナトリ
ウムサクシネート、t−ブチルフェノール、ポリエチレ
ンエーテル、エチルナフタレンスルホン酸ソーダ、ジラ
ウリルサクシネート、ステアリン酸金属塩、ステアリン
酸エステル類のような炭化水素系潤滑剤、シリコンオイ
ルのようなシリコン系潤滑剤、パーフルオロポリエーテ
ル、パーフルオロカルボン酸等のフッ素系潤滑剤、或い
はカーボンブラック等の帯電防止剤を添加することもで
きる。アルミナ或いは酸化クロム等の研磨性のある無機
顔料を含有させることもできる。なお、本発明で使用す
る上記の低分子量塩化ビニル系共重合体の磁性粉分散性
が良好であるから、磁性層中には分散剤をあえて添加す
ることは要しない。但し、必要に応じて、磁性層に分散
剤を添加することができる(以下、同様)。
【0032】また、非磁性支持体の素材として、通常こ
の種の磁気記録媒体に使用されるものであれば如何なる
ものも使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエス
テル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフ
ィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイア
セテート、セルローストリアセテートブチレート等のセ
ルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン
等のビニル系樹脂、ポリカーボネート類、ポリアミドイ
ミド類に代表されるような高分子材料や、アルミニウム
合金、チタン合金、チタン合金等の軽金属等からなる金
属板、アルミナガラス、セラミックス等により形成され
る支持体等が挙げられる。その形態も何ら限定されるも
のではなく、テープ状、シート状、ドラム状等いかなる
形態であってもよい。
【0033】本発明はまた、上記した本発明の磁気記録
媒体を製造する第1の方法として、磁性塗料の塗布によ
って磁性層を形成するに際し、上記した塩型強酸基を有
しかつゲル浸透クロマトグラフィ測定によるスチレン換
算分子量のピーク値の範囲が10,000〜18,000の範囲にあ
る上記した低分子量塩化ビニル系重合体が結合剤全量の
60重量%以上を占める(好ましくは、混練時の結合剤全
量の80重量%以上を占める)磁性塗料成分を混練する工
程を含むことを特徴とする、磁気記録媒体の製造方法も
提供するものである。
【0034】この製造方法によって、上記した低分子量
塩化ビニル系重合体の特長を十二分に生かし、磁性粉の
分散性、磁性塗料の塗布性を向上させて磁性層の磁気特
性及び電磁変換特性を大幅に向上させ、かつ、磁性層の
塗膜強度も十分となる。
【0035】この製造方法において、磁性塗料調製工程
の一つである混練に使用される混練機として、連続二軸
混練機、多段階で希釈が可能な連続二軸混練機、ニーダ
ー、加圧ニーダー等、従来から公知の混練機であってよ
く、何ら限定されるものではない。また、その後の製造
工程についても、何ら限定されることはなく、分散工程
においても分散機として、縦型サンドミル、横型サンド
ミル、スパイクミル、ボールミル、タワーミル、DCP
(商品名)等、いずれも使用可能である。
【0036】また、混練時に上記した低分子量塩化ビニ
ル系樹脂の他に、これに混合して混練される結合剤、若
しくは、その他の工程で添加される結合剤については、
従来から公知の結合剤樹脂全ての使用が可能である。例
えば、塩化ビニル系共重合体(例えば、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルア
ルコール共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合
体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニ
ル−エチレン−酢酸ビニル共重合体、−SO3Na、−
SONa等の極性基及びエポキシ基が導入された塩化ビ
ニル系共重合体)、ニトロセルロース樹脂等のセルロー
ス樹脂誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹
脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、フェノ
キシ樹脂、ポリウレタン系樹脂(例えば、ポリエステル
ポリウレタン樹脂、−SO3 Na、−SO2 Na等の極
性基が導入されたポリウレタン系樹脂、ポリカーボネー
トポリウレタン樹脂)を挙げることができる。
【0037】また、磁性塗料を調製するための溶剤とし
ては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸メ
チル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸エチ
ルモノエチルエーテル等のエステル系溶媒、グリコール
モノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテ
ル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素系溶媒、メチレンクロリド、エチレンクロリド、
四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロロヒドリン、
ジクロロベンゼン等の塩素含有系溶媒が挙げられる。ま
た、その従来公知の有機溶媒を使用することができる。
【0038】磁性塗料の塗布に際しては、非磁性支持体
上に直接塗布する前に、接着剤等の下塗り層を形成した
り、非磁性支持体上に、コロナ放電処理や電子線照射処
理等の前処理を施しても構わない。
【0039】非磁性支持体上への塗布の方法としては、
エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコー
ト、押し出しコート、エアナイフコート、スクイズコー
ト、含浸コート、リバースロールコート、グラビアコー
ト、トランスファーロールコート、キャストコート等の
方法を挙げることができる。
【0040】本発明は更に、上記した本発明の磁気記録
媒体を製造する第2の方法として、磁性塗料の塗布によ
って磁性層を形成するに際し、上記した塩型強酸基を有
しかつゲル浸透クロマトグラフィ測定によるスチレン換
算分子量のピーク値の範囲が10,000〜18,000の範囲にあ
る上記した低分子量塩化ビニル系重合体を含有し(好ま
しくは上記したと同様の理由から、磁性塗料中の結合剤
全量の60重量%以上を含有し)、下記に定義される固形
分が80重量%以上(好ましくは85重量%以上)を占める
磁性塗料成分を混練する工程を含むことを特徴とする、
磁気記録媒体の製造方法も提供するものである。 混練時の固形分(単位:重量%)={(混練時の磁性塗
料成分全重量−溶剤重量)÷混練時の磁性塗料成分全重
量}×100
【0041】この製造方法によれば、磁性塗料成分の混
練時の固形分を80重量%以上とすることによって磁性粉
と結合剤を十二分に混練することができ、上記した第1
の製造方法で述べたと同様の作用効果を確実に得ること
ができる。この混練には、上記したと同様の混練機、結
合剤、溶剤、塗布方法等を使用することができる。
【0042】本発明の上記第1及び第2の製造方法にお
いてはいずれも、アルミナ等の硬質の非磁性無機質粒子
を含まない磁性塗料成分を混練することが、磁性粉の分
散性、混練性を良好にする上で望ましい。
【0043】また、上述したと同様に、使用する塩化ビ
ニル系重合体がスルホン酸塩基及び/又はエポキシ基を
有していること、この塩化ビニル系重合体が上記した塩
型強酸基を5〜1000当量/106gの割合で有しているこ
と、磁性塗料に用いられる磁性粉が長軸長 0.1μm以下
の微粒状磁性粉であることがそれぞれ望ましい。
【0044】本発明の磁気記録媒体は、例えば図1に示
すように、非磁性支持体1上に、磁性層2を形成したも
のである。また、この磁性層とは反対側の支持体面には
バックコート層3が設けられてよいが、これは必ずしも
設ける必要はない。磁性層上にはオーバーコート層を設
けてもよいし、その下には下塗層を設けてもよい。
【0045】図2には、連続二軸混練機11を使用し、高
剪断力の作用下で磁性塗料成分を混練し、この混練物を
ディスパーザ12へ送って予備分散を行い、更にサンドミ
ル13で最終分散を行い、得られた磁性塗料をコータへ供
給する磁気記録媒体の製造方法とその装置を概略的に示
した。
【0046】この場合、連続混練機11には、被処理物
(磁性塗料成分)の投入口14及びスクリュー供給機15を
経て磁性塗料成分(磁性粉、結合剤等)16が供給され、
破線で概略図示した混練部材としてのパドル17がモータ
Mで回転駆動されることによって、高剪断力の作用下で
混練される。
【0047】
【発明の作用効果】本発明の磁気記録媒体によれば、塩
型強酸基を有しかつGPC測定によるスチレン換算分子
量のピーク値の範囲が10,000〜18,000の範囲にある低分
子量塩化ビニル系重合体を結合剤全量の45重量%以上
(混練時の結合剤全量の60重量%以上)含有する磁性層
を有し、かつ、この磁性層を形成するための磁性塗料調
製時の混練工程において磁性塗料成分中の結合剤全量の
60重量%以上を上記低分子量塩化ビニル重合体が占める
ようにしているので、磁性粉1個又は単位重量当たりの
スルホン酸塩基等の塩型強酸基の数(吸着点の数)を増
やすことができ、かつ結合剤の溶剤溶解性及び混練性が
向上し、媒体の磁気特性及び電磁変換特性が向上し、磁
性層の機械的強度も十分となる。
【0048】
【実施例】以下、本発明をメタル磁性粉を含有した塗布
型磁気テープに適用した具体的な実施例を比較例と共に
説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。
【0049】まず、磁性材料Aを次のようにして調製し
た。
【0050】<磁性材料Aの調製>以下に示す材料を10
分間攪拌混合し、混練される磁性材料A(磁性混練物と
しての磁性塗料成分)を調製した。この混合材料を磁性
材料Aとして混練を行った。混練機には、クリモト鉄工
所(株)製の連続二軸混練機を使用した。また、結合剤
の添加量については各例により変化させて混練したが、
その添加量を下記の表−1に示す。各例で混練機にかか
る負荷動力についても、その測定した結果を下記の表−
1に示す。また、混練時の固形分については以下の式−
1により求めた。
【0051】 磁性材料Aの組成: 磁性粉:金属(Fe系)強磁性粉末 (比表面積≒50m/g 、長軸長0.07μm) 100重量部 結合剤:低分子量塩化ビニル樹脂 0〜13重量部 ポリエステルポリウレタン樹脂 0〜13重量部 溶 剤:有機溶剤(シクロヘキサノン) 20重量部 混練時の固形分(重量%)={(混練時の磁性材料全重量−溶剤重量)÷ (混練時の磁性材料全重量)}×100 …式−1
【0052】ここで、使用した上記の低分子量塩化ビニ
ル樹脂(塩化ビニル系重合体)は、スルホン酸塩基(S
3 K)及びエポキシ基を5〜1000当量/106g(具体的
には200当量/106g)有する塩化ビニル系樹脂であっ
て、GPC測定によるスチレン換算分子量のピーク値の
範囲が分子量10,000〜18,000の範囲(具体的には15,00
0)にある比較的低分子量のものであった。また、ポリ
エステルポリウレタン樹脂は、日本ポリウレタン(株)
製「ニッポランN2304」を使用した。
【0053】実施例1 磁性材料Aの結合剤13重量部のうち、ポリエステルポリ
ウレタン樹脂を40重量%(以下、wt%と記す。)(5.2重
量部)、低分子量塩化ビニル樹脂を60wt%(7.8重量部)
添加し、上記の式−1で求められる固形分が85%となる
ように有機溶剤(シクロヘキサノン:以下、同様)を加
え、混練を行った。
【0054】実施例2 磁性材料Aの結合剤13重量部のうち、ポリエステルポリ
ウレタン樹脂を30wt%(3.9重量部)、低分子量塩化ビニ
ル樹脂を70wt%(9.1重量部)添加し、上記の式−1で求
められる固形分が85%となるように有機溶剤を加え、混
練を行った。
【0055】実施例3 磁性材料Aの結合剤13重量部のうち、ポリエステルポリ
ウレタン樹脂を10wt%(1.3重量部)、低分子量塩化ビニ
ル樹脂を90wt%(11.7重量部)添加し、上記の式−1で
求められる固形分が85%となるように有機溶剤を加え、
混練を行った。
【0056】実施例4 磁性材料Aの結合剤13重量部を低分子量塩化ビニル系樹
脂 100wt%、即ち結合剤が低分子量塩化ビニル樹脂単独
となるようにし、上記の式−1で求められる固形分が85
%となるように有機溶剤を加え、混練を行った。
【0057】実施例5 低分子量塩化ビニル樹脂として、スチレン換算の分子量
ピークが10,000にあるものを用い、その他は実施例1と
同様の条件で磁性材料を混練した。
【0058】実施例6 低分子量塩化ビニル樹脂として、スチレン換算の分子量
ピークが18,000にあるものを用い、その他は実施例1と
同様の条件で磁性材料を混練した。
【0059】実施例7 低分子量塩化ビニル樹脂として、スチレン換算の分子量
ピークが10,000〜18,000の範囲にあるが、エポキシ基の
ないものを用い、その他は実施例1と同様の条件で磁性
材料を混練した。
【0060】実施例8 実施例1において、磁性材料Aの混練時に研磨剤として
のアミルナを5重量部添加して混練を行い、その他は同
様にして磁性材料を混練した。
【0061】比較例1 実施例1において、磁性材料Aの混練時の結合剤全量を
低分子量塩化ビニル樹脂から、従来より用いられている
塩化ビニル系樹脂(例えば日本ゼオン(株)製MR−11
0 等)13重量部に代えて添加し、その他は同様にして磁
性材料を混練した。
【0062】比較例2 実施例1において、磁性材料Aの結合剤13重量部のう
ち、ポリエステルポリウレタン樹脂を70wt%(9.1重量
部)、低分子量塩化ビニル樹脂を30wt%(3.9重量部)添
加し、その他は同様にして磁性材料を混練した。
【0063】比較例3 実施例1において、磁性材料Aの結合剤13重量部のう
ち、ポリエステルポリウレタン樹脂を50wt%(6.5重量
部)、低分子量塩化ビニル樹脂を50wt%(6.5重量部)添
加し、その他は同様にして磁性材料を混練した。
【0064】比較例4 実施例1において、塩化ビニル樹脂として、低分子量塩
化ビニル樹脂に代えてGPC測定によるスチレン換算分
子量のピーク値の範囲が分子量20,000〜25,000の範囲に
ある高分子量塩化ビニル樹脂を用い、その他は同様にし
て磁性材料を混練した。
【0065】比較例5 実施例1において、低分子量塩化ビニル樹脂として、ス
チレン換算の分子量ピークが10,000未満にあるものを用
い、その他は同様にして磁性材料を混練した。
【0066】比較例6 実施例1において、低分子量塩化ビニル樹脂として、ス
チレン換算の分子量ピークが10,000〜18,000の範囲にあ
るが、スルホン酸塩基のないものを用い、その他は同様
にして磁性材料を混練した。
【0067】以上の各例において、混練時の磁性材料
は、どの例においても 150g/分の割合で供給し、以上の
混練を行った磁性材料に、潤滑剤(ブチルステアレー
ト)を1重量部、研磨剤としてアルミナを5重量部(但
し、実施例8ではこの時点で添加せず)、更に結合剤
(ポリエステルポリウレタン樹脂:上記したものと同
じ)を4重量部、有機溶剤(メチルエチルケトン、トル
エン、シクロヘキサノン)をそれぞれ 170、 100、70重
量部加えて塗料化し、サンドミルで4時間攪拌して磁性
塗料を調製した。下記の表−1には、磁性塗料の段階で
の塩化ビニル系樹脂の結合剤全量に対する配合比も示し
た(これは磁性層でもほぼ同じ)。
【0068】このようにして調製した磁性塗料を厚さ7
μmのポリエチレンテレフタレート製の非磁性支持体上
に厚さが2μmとなるように塗布し、塗布時には硬化剤
として、コロネートL−50(日本ポリウレタン社製ポリ
イソシアネート)を4重量部、ミリスチン酸を1重量部
添加した。そして、カレンダ処理を行った後、60℃のオ
ーブンに20時間放置して幅広の磁性層付きベースフィル
ムを作成した。
【0069】次に、下記組成の材料を、ボールミルにて
24時間混合、分散して、バックコート層用塗料を調製し
た。
【0070】 <バックコート層用塗料組成> カーボンブラック(コロンビヤン・カーボン社製「RAVEN-1255」) 100重量部 バインダ:ポリエステルポリウレタン樹脂 100重量部 (日本ポリウレタン(株)社製「ニッポランN2304」) 溶 剤:メチルエチルケトン 500重量部 トルエン 500重量部
【0071】上記のバックコート層用塗料を硬化剤(コ
ロネートL)20重量部の添加後に、上記に作成された磁
性層付きフィルムのもう一方の面に、厚みが 0.5μmと
なるように塗布した後、8ミリ幅にスリットし、磁気テ
ープを作成した。これをデータ8mm用シェルに組み込ん
だ。これらの磁気テープについて、下記の静磁気特性、
電磁変換特性の測定を行った(なお、混練時の混練機の
負荷動力の測定方法も併せて示した)。結果を下記の表
−2に示す。
【0072】静磁気特性の測定:測定機器として振動試
料型磁力計(東英工業(株)製)を用いて磁気テープの
Hc(抗磁力)、Br(残留磁束密度)、Rs(角型
比)等の静磁気特性を測定し、その結果を下記の表−2
に示す。
【0073】電磁変換特性の測定:測定機器として、EX
ABYTE 社製のデータ8mmテープ用ドライブEXB-8505XLを
用いてテープを走行させ、磁気ヘッドに生ずる信号出力
を測定した。下記の表−2には、測定した出力の8.5MHz
成分について比較例1を0dBとした時の結果を示す。
【0074】混練機負荷動力の測定:混練機のモータ
(図2中のM)に電流計を接続し、混練開始から終了ま
での電流値を記録し、その最高値を測定した。その結果
を下記の表−1に示す。なお、使用した連続二軸混練機
では、その電流値が35アンペア以上になると、混練機が
トルクオーバーとなり、非常停止するように設定した。
【0075】
【0076】なお、上記の表−1において、 1)分子量15,000でSO3K基及びエポキシ基含有の低分子
量塩化ビニル樹脂 2)分子量10,000でSO3K基及びエポキシ基含有の低分子
量塩化ビニル樹脂 3)分子量18,000でSO3K基及びエポキシ基含有の低分子
量塩化ビニル樹脂 4)分子量10,000〜18,000でSO3K基含有(エポキシ基は
なし)の低分子量塩化ビニル樹脂 5)従来から用いられている高分子量(分子量30,000〜
35,000)の塩化ビニル系樹脂 6)分子量20,000〜25,000のSO3K基及びエポキシ基含有
の塩化ビニル系樹脂 7)分子量10,000未満でSO3K基及びエポキシ基含有の低
分子量塩化ビニル樹脂 8)分子量10,000〜18,000でSO3K基を含有しない低分子
量塩化ビニル樹脂
【0077】
【0078】表−1及び表−2から、各比較例につい
て、低分子量塩化ビニル樹脂の添加量が増えると静磁気
特性が向上するという傾向は見られるものの、出力につ
いては上昇の傾向が顕著には現れていない。特に比較例
1では他の例と違い、従来から用いられる塩化ビニル樹
脂を混練に使用したが、混練時の負荷動力が高く、混練
機が自動停止してしまう可能性があり、その結果、磁性
材料の混練機中での充填率を下げざるを得ず、十分な混
練を行うことができなかった。
【0079】これに対し、本実施例では、低分子量塩化
ビニル樹脂の添加量が増えることによって(特に混練時
は全結合剤量の60重量%以上、磁性層中では45重量%以
上としたので)、静磁気特性が大幅に上昇し、出力につ
いてもその上昇傾向は顕著である。混練機の負荷動力に
ついても低く、磁性材料を十分な充填率で混練すること
ができる。
【0080】即ち、本発明に基づく低分子量塩化ビニル
樹脂を用いて混練を行う場合、この低分子量塩化ビニル
樹脂は混練工程での混練性に優れており、その添加量が
増えることによって静磁気特性、電磁変換出力を上昇さ
せ、従来より使用されている塩化ビニル樹脂よりも優位
であることが分かる。なお、この効果は、実施例1と8
の比較から、磁性材料の混練時に研磨剤等の硬質の非磁
性無機粒子を添加しないときに、より良好となることが
分かる。図3には、塩化ビニル樹脂の配合比による特性
変化を示した。
【0081】また、磁性粉として長軸長 0.1μm以下の
磁性粉を用いて高電磁変換特性を得るためには、本発明
に基づいて、バインダとしてはスルホン酸塩基及びエポ
キシ基を有する塩化ビニル樹脂であって、GPC測定に
よるスチレン換算分子量のピーク値の範囲が分子量10,0
00から18,000の範囲にある比較的低分子量の高分子バイ
ンダが必須であり、混練を行うことにより優れた静磁気
特性を示すことが分かる。
【0082】しかし、比較例1や4に示すように、分子
量の大きい、GPC測定によるスチレン換算分子量のピ
ーク値の範囲が20,000〜25,000又は30,000〜35,000の高
分子バインダを用いた場合には、分散性をそれ程向上さ
せることができず、分散配向性の指標となるRsの値が
小さく、その結果、微粒子磁性粉を用いているにも拘わ
らず、電磁変換特性の改善は小さい。
【0083】ところが、長軸長 0.1μm以下と微粒子の
磁性粉を用いて高電磁変換特性の磁気テープを得るに
は、スルホン酸塩基及びエポキシ基を有する塩化ビニル
樹脂であって、その分子量が10,000から18,000の範囲の
バインダを用いて微粒子磁性粉を分散させることが必要
である。
【0084】更に、低分子量バインダを用いても、GP
C測定によるスチレン換算分子量が10,000未満のもので
は、磁性層の強度不足によってスチル耐久性が悪くなる
(比較例5)。また、スルホン酸塩基のないバインダで
は、分散が悪く、Rsが悪い(比較例6)。
【0085】以上のことから、本発明に基づく低分子量
塩化ビニル樹脂を混練時に60重量%以上使用し、磁性塗
料の調製工程の混練工程において混練を行うことによ
り、磁気テープの静磁気特性、電磁変換特性を向上さ
せ、高容量、高出力の磁気テープを作製することが可能
である。
【0086】次に、磁性材料Bを次のようにして調製し
た。
【0087】<磁性材料Bの調製>以下に示す材料を10
分間攪拌混合し、混練する磁性材料B(磁性混合物とし
ての磁性塗料成分)を調製した。この混合材料を磁性材
料Bとして混練を行った。混練機には、クリモト鉄工所
(株)の連続二軸混練機を使用した。混練時の固形分は
以下の式−1により求めた。
【0088】 磁性材料Bの組成: 磁性粉:Fe系強磁性金属粉末 (比表面積≒50m/g 、長軸長0.07μm) 100重量部 結合剤:低分子量塩化ビニル樹脂 13重量部 ポリエステルポリウレタン 7重量部 混練時の固形分(重量%)={(混練時の磁性材料全重量−溶剤重量)÷ (混練時の磁性材料全重量)}×100 …式−1
【0089】なお、ここで使用した上記の低分子量塩化
ビニル樹脂(塩化ビニル系重合体)及びポリエステルポ
リウレタン樹脂は、上述した磁性材料Aのものと同じと
した。
【0090】実施例9 磁性材料Bに有機溶剤(シクロヘキサノン)を加え、更
に研磨剤としてアルミナ(α−Al2 3 )を5重量部
添加し、上記の式−1で求められる固形分が85%となる
ようにし、5分間攪拌後、混練を行った。この混練時の
磁性材料中の結合剤全量に対する低分子量塩化ビニル樹
脂の配合比は65重量%であった(以下、同様)。
【0091】実施例10 磁性材料Bに有機溶剤(シクロヘキサノン)を加え、上
記の式−1で求められる固形分を80%とし、5分間攪拌
後、混練を行った。
【0092】実施例11 磁性材料Bに有機溶剤(シクロヘキサノン)を加え、上
記の式−1で求められる固形分を85%とし、5分間攪拌
後、混練を行った。
【0093】実施例12 磁性材料Bに有機溶剤(シクロヘキサノン)を加え、上
記の式−1で求められる固形分を88%とし、5分間攪拌
後、混練を行った。
【0094】実施例13 磁性材料Bに有機溶剤(シクロヘキサノン)を加え、上
記の式−1で求められる固形分を90%とし、5分間攪拌
後、混練を行った。
【0095】比較例7 実施例10において、磁性材料Bのうち、低分子量塩化ビ
ニル樹脂を従来から使われている塩化ビニル系樹脂(平
均数分子量:Mw≒25,000、重合度:約230)に代えて攪拌
を行い、有機溶剤(シクロヘキサノン)を加え、上記の
式−1で求められる固形分を80%とし、5分間攪拌後、
混練を行った。
【0096】比較例8 実施例10において、磁性材料Bに有機溶剤(シクロヘキ
サノン)を加え、上記の式−1で求められる固形分を70
%とし、5分間攪拌後、混練を行った。
【0097】比較例9 実施例10において、磁性材料Bに有機溶剤(シクロヘキ
サノン)を加え、上記の式−1で求められる固形分を75
%とし、5分間攪拌後、混練を行った。
【0098】以上の各例において、混練を行った磁性材
料に潤滑剤(ブチルステアレート)を1重量部、実施例
9以外のものには実施例9と同様のアルミナを5重量
部、更に結合剤(ポリエステルポリウレタン樹脂:上記
したものと同じ)を4重量部、有機溶剤(メチルエチル
ケトン、トルエン、シクロヘキサノン)をそれぞれ 17
0、 100、70重量部加えて塗料化し、サンドミルで4時
間攪拌して磁性塗料を調製した(この磁性塗料中の上記
低分子量塩化ビニル樹脂又は塩化ビニル系樹脂の配合量
は結合剤全量に対して54.2重量%であった)。
【0099】このようにして調製した磁性塗料を厚さ7
μmのポリエチレンテレフタレート製の非磁性支持体上
に厚さが2μmになるように塗布した。なお、塗布時に
は硬化剤として、コロネートL−50(上記したものと同
じ)を4重量部添加した。更に上記したと同様に、非磁
性粉体(カーボン)、結合剤、添加剤等で構成されるバ
ックコート層を 0.5μm塗布し、8ミリ幅にスリット
し、磁気テープを作製した。これらの磁気テープについ
て、上記したと同様にして、静磁気特性、電磁変換特性
の測定を行った。結果を下記の表−3に示した。
【0100】
【0101】表−3から、実施例のいずれもが、高い静
磁気特性が得られていることを確認できる。比較例7
は、混練時の結合剤に従来の塩化ビニル樹脂を使用した
ものであるが、同じ固形分で混練した実施例10よりも静
磁気特性が劣ることから、本発明の優位性を確認でき
る。比較例と実施例では、その数値の違いが明白であ
り、実施例の数値の高さは、空隙の少ない良好な混練が
行われた結果である。比較例7は混練固形分こそ高いも
のの、静磁気特性、出力とも同じ混練固形分である実施
例10より劣っていることから、本発明の効果が顕著にな
ることが分かる。
【0102】また、比較例9で得られた出力を0dBとし
て、各例を比較すると、混練固形分が高くなるにつれ、
出力が高くなっていることを確認でき、更に80%以上の
混練固形分では、その傾向が顕著に現れている。また、
実施例11では、同じ固形分で混練している実施例9と比
較すると、静磁気特性、出力とも優れていることから、
研磨剤、帯電防止剤等の硬質無機質粒子を混練時に含ま
ず、混練以外の工程で添加することによって、更に良好
な効果が期待できることをここでも確認できる。
【0103】なお、図4には、混練時の固形分に応じた
静磁気特性及び出力の変化を示したが、固形分が80%以
上になると、急激に特性が向上することが分かる。従っ
て、本発明に基づく混練方法を実施したものは、磁性粉
末と結合剤を効率良く良好な混練状態で混練し、磁性塗
料の分散性を上げ、その結果、静磁気特性、電磁変換特
性に優れ、高容量、高出力の磁気テープの作製が可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく磁気記録媒体の一例の断面図で
ある。
【図2】混練機を含む同磁気記録媒体の製造フロー図で
ある。
【図3】低分子量塩化ビニル樹脂の配合比による静磁気
特性及び出力の変化を示すグラフである。
【図4】混練時の固形分による静磁気特性及び出力の変
化を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・非磁性支持体 2・・・磁性層 3・・・バックコート層 11・・・二軸型連続式混練機 15・・・スクリュー供給機 16・・・磁性塗料成分

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性層を有する磁気記録媒体において、
    前記磁性層が、塩型強酸基を有しかつゲル浸透クロマト
    グラフィ測定によるスチレン換算分子量のピーク値の範
    囲が10,000〜18,000の範囲にある塩化ビニル系重合体を
    結合剤全量の45重量%以上含有していることを特徴とす
    る磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 塩化ビニル系重合体がスルホン酸塩基及
    び/又はエポキシ基を有している、請求項1に記載した
    磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 塩化ビニル系重合体が塩型強酸基を5〜
    1000当量/106gの割合で有している、請求項1に記載し
    た磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 磁性層に用いられる磁性粉が長軸長 0.1
    μm以下の微粒状磁性粉である、請求項1に記載した磁
    気記録媒体。
  5. 【請求項5】 磁性塗料の塗布によって磁性層を形成す
    るに際し、塩型強酸基を有しかつゲル浸透クロマトグラ
    フィ測定によるスチレン換算分子量のピーク値の範囲が
    10,000〜18,000の範囲にある塩化ビニル系重合体が結合
    剤全量の60重量%以上を占める磁性塗料成分を混練する
    工程を含むことを特徴とする、磁気記録媒体の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 塩化ビニル系重合体がスルホン酸塩基及
    び/又はエポキシ基を有している、請求項5に記載した
    製造方法。
  7. 【請求項7】 塩化ビニル系重合体が塩型強酸基を5〜
    1000当量/106gの割合で有している、請求項5に記載し
    た製造方法。
  8. 【請求項8】 磁性塗料に用いられる磁性粉が長軸長
    0.1μm以下の微粒状磁性粉である、請求項5に記載し
    た製造方法。
  9. 【請求項9】 硬質の非磁性無機質粒子を含まない磁性
    塗料成分を混練する、請求項5に記載した製造方法。
  10. 【請求項10】 磁性塗料の塗布によって磁性層を形成す
    るに際し、塩型強酸基を有しかつゲル浸透クロマトグラ
    フィ測定によるスチレン換算分子量のピーク値の範囲が
    10,000〜18,000の範囲にある塩化ビニル系重合体を含有
    し、下記に定義される固形分が80重量%以上を占める磁
    性塗料成分を混練する工程を含むことを特徴とする、磁
    気記録媒体の製造方法。 混練時の固形分(単位:重量%)={(混練時の磁性塗
    料成分全重量−溶剤重量)÷混練時の磁性塗料成分全重
    量}×100
  11. 【請求項11】 塩化ビニル系重合体が磁性塗料成分中の
    結合剤全量の60重量%以上を占める、請求項10に記載し
    た製造方法。
  12. 【請求項12】 塩化ビニル系重合体がスルホン酸塩基及
    び/又はエポキシ基を有している、請求項10に記載した
    製造方法。
  13. 【請求項13】 塩化ビニル系重合体が塩型強酸基を5〜
    1000当量/106gの割合で有している、請求項10に記載し
    た製造方法。
  14. 【請求項14】 磁性塗料に用いられる磁性粉が長軸長
    0.1μm以下の微粒状磁性粉である、請求項10に記載し
    た製造方法。
  15. 【請求項15】 硬質の非磁性無機質粒子を含まない磁性
    塗料成分を混練する、請求項10に記載した製造方法。
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