JP2000339664A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JP2000339664A
JP2000339664A JP14547099A JP14547099A JP2000339664A JP 2000339664 A JP2000339664 A JP 2000339664A JP 14547099 A JP14547099 A JP 14547099A JP 14547099 A JP14547099 A JP 14547099A JP 2000339664 A JP2000339664 A JP 2000339664A
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Yutaka Aoki
豊 青木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 第1の磁性層及び第2の磁性層が、微細な磁
性粉末を用いた場合でも優れた表面性を有し、高密度記
録領域において良好な電磁変換特性を示す。 【解決手段】 非磁性支持体上に金属磁性粉末、結合材
及び有機溶媒を混合してなる第1の磁性塗料を塗布して
なる第1の磁性層と、上記第1の磁性層上に金属磁性粉
末、結合材及び有機溶媒を混合してなる第2の磁性塗料
を塗布してなる第2の磁性層とを備え、上記第1の磁性
層及び上記第2の磁性層の保持力は共に100kA/m
〜130kA/mであり、上記第1の磁性層は、長軸長
が0.25μm以上である金属磁性粉末を有し、上記第
2の磁性層は、長軸長が0.23μm以下である金属磁
性粉末を有することで実現される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2層の磁性層を有
する塗布型の磁気記録媒体及びその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】デジタルオーディオカセット等に用いら
れている磁気テープは、針状磁性粉末、結合剤及び各種
添加剤を有機溶剤とともに混練、分散及び調整を行った
磁性塗料を非磁性支持体上に塗布し、乾燥させて作られ
た磁性層を有している。現在では、このような、いわゆ
る塗布型の磁気記録媒体が生産性、汎用性に優れること
から主流となっている。
【0003】近年、磁気記録媒体の分野では、さらなる
高密度記録化が要求されている。それに対応すべく上記
塗布型の磁気記録媒体においても高密度領域における特
性を改善するための各種工夫がなされている。例えば、
磁性粉末材として酸化鉄材料に代わり、高保磁力、高残
留磁束密度が得られることから、鉄又は鉄とAl、N
i、Si等やその酸化物で表面処理を施してなる金属磁
性材料が用いられている。特に最近、磁性粉末材とし
て、Coを表面処理剤とした金属磁性材料が使用されて
おり、この金属磁性材料によれば、高保磁力、高残留磁
束密度が達成されている。
【0004】また高密度記録領域での電磁変換特性の向
上を目的として、磁性粉末材の粒子形状は益々微細化さ
れている。例えば、磁性粉末材としては、長軸長が0.
5μm以下のものが用いられるようになってきている。
【0005】ところで、デジタル方式を採用している磁
気記録媒体は、信号の記録周波数を数カ所に固定するこ
とで信号の再生が忠実に行われるようになっている。し
かし、磁気記録媒体の特徴である変調ノイズの影響を受
けにくくするために、その使用周波数範囲はデジタルオ
ーディオテープの場合、130kHz〜4.7MHzと
広範囲となり、周波数特性を低域から高域まで一定に保
つことは非常に困難である。
【0006】そこで高域の周波数及び低域の周波数を、
特性の異なる2層の磁気記録層にそれぞれ振り分けて記
録することが考えられている。すなわち、デジタルオー
ディオテープ等の磁気記録媒体としては、非磁性支持体
上に、第1の磁性層及び第2の磁性層を有するようなも
のがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1の
磁性層及び第2の磁性層を有する磁気記録媒体では、非
磁性支持体上に、これら第1の磁性層及び第2の磁性層
を表面性良く塗布することは非常に困難である。このた
め、この磁気記録媒体を製造する際には、ダイコーター
を用いる方法がある。
【0008】ダイコーターは、第1の磁性層用の塗料を
押し出すための第1のスリットと、第2の磁性層用の塗
料を押し出すための第2のスリットとを有している。こ
れら第1のスリット及び第2のスリットから、それぞれ
押し出された塗料は、非磁性支持体上に同時に塗布され
ていく。これにより、非磁性支持体上には、第1の磁性
層及び第2の磁性層が形成されることになる。
【0009】しかしながら、ダイコーターを用いて第1
の磁性層及び第2の磁性層を塗布する際には、塗膜の表
面に細かいスジ状の凹凸が形成されてしまうことがあ
る。この場合、磁気記録媒体では、電磁変換特性が優れ
ないといった問題がある。
【0010】特に上述したダイコーターを用いて第1の
磁性層及び第2の磁性層を高速で塗布するような場合、
優れた表面性を有するように第1の磁性層及び第2の磁
性層を塗布することが困難である。また、高密度記録に
対応して使用される磁性粉末材料が微粒子化されると、
塗料粘度が増加することとなり、高速塗布が更に困難に
なってしまう。これにより、磁気記録媒体では、高密度
記録に対応した磁性粉末材料を使用した場合、優れた表
面性となるように第2の磁性層を形成することが困難で
あり、電磁変換特性が良好でないといった問題点があっ
た。
【0011】また、この磁気記録媒体では、第1の磁性
層および第2の磁性層に対して繰り返し記録再生を行う
場合がある。このとき、第1の磁性層及び第2の磁性層
では、既に書き込まれている磁化を確実に消去するとと
もに、新たな磁化を確実に書き込むといった、優れたオ
ーバーライト特性を有することが好ましい。しかしなが
ら、この磁気記録媒体では、既に書き込まれている磁化
を確実に消去することができず、ノイズ成分として残留
してしまうことがある。このように、磁気記録媒体に
は、オーバーライト特性が悪く、電磁変換特性に優れな
いといった問題がある。
【0012】そこで、本発明は、上述したような問題を
解決するために案出されたものであり、優れた表面性を
有し電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を提供すること
を目的とし、また、優れた表面性で磁性層を形成するこ
とができる磁気記録媒体の製造方法を提供することを目
的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体上
に、金属磁性粉末、結合剤及び有機溶媒を混合してなる
第1の磁性塗料を塗布してなる第1の磁性層と、上記第
1の磁性層上に、金属磁性粉末、結合剤及び有機溶媒を
混合してなる第2の磁性塗料を塗布してなる第2の磁性
層とを備え、上記第1の磁性層及び上記第2の磁性層の
保磁力は共に100kA/m〜130kA/mであり、
上記第1の磁性層は、長軸長が0.25μm以上である
金属磁性粉末を有し、上記第2の磁性層は、長軸長が
0.23μm以下である金属磁性粉末を有している。
【0014】以上のように構成された本発明に係る磁気
記録媒体は、上述した保磁力の金属磁性粉末を用いるこ
とで、良好な電磁変換特性を得、第1の磁性層及び第2
の磁性層に微細な金属磁性粉末を有することで高密度記
録を実現し、金属磁性粉末の長軸長の異なる第1の磁性
層及び第2の磁性層を有することで、広い周波数領域で
の磁気記録を実現する。
【0015】また本発明に係る磁気記録媒体は、第2の
磁性層の厚さが0.7μm〜1.0μmであることが好
ましい。
【0016】一方、上述の目的を達成するために、本発
明に係る磁気記録媒体の製造方法は、非磁性支持体上
に、第1の磁性塗料及び第2の磁性塗料を共に湿潤状態
で塗布することにより第1の磁性層及び第2の磁性層を
形成する磁気記録媒体の製造方法において、長軸長が
0.25μm以上である金属磁性粉末を有する第1の磁
性塗料を塗布し、保磁力が100kA/m〜130kA
/mである第1の磁性層を形成し、上記第1の磁性層上
に、長軸長が0.23μm以下である金属磁性粉末を有
する第2の磁性塗料を塗布し、保磁力が100kA/m
〜130kA/mである第2の磁性層を形成することを
特徴としている。
【0017】以上のように構成された本発明に係る磁気
記録媒体の製造方法は、上述した長軸長の金属磁性粉末
を有する、第1の磁性塗料及び第2の磁性塗料を高速
で、同時に重層塗布することを実現する。
【0018】また、上記第1の磁性塗料及び/又は上記
第2の磁性塗料は、3.00Pa・sec〜5.00P
a・secの粘度であることが好ましい。これにより、
ダイコーターによる高速塗布に適した粘度を有する、第
1の磁性塗料及び/又は第2の磁性塗料が得られること
で、非磁性支持体上に、優れた表面性を有した第1の磁
性層及び第2の磁性層が塗布、形成される。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る磁気記録媒体
及びその製造方法の具体的な実施の形態を図面を参照し
て詳細に説明する。
【0020】本発明に係る磁気記録媒体は図1に示すよ
うに、非磁性支持体1上に、針状の金属磁性粉末と結合
剤及び有機溶剤を混合して得られる第1の磁性塗料と、
針状の金属磁性粉末と結合剤及び有機溶剤を混合して得
られる第2の磁性塗料を同時に塗布することで、形成さ
れた磁気特性の異なる第1の磁性層2及び第2の磁性層
3を有している。
【0021】この磁気記録媒体において金属磁性粉末と
しては、従来から公知のものがいずれも使用可能であ
る。例えば、金属磁性粉末としては、Fe、Ni、Fe
−Ni等を挙げることができ、更に、種々の特性を改善
する目的でAl、Si、Ti、Cr、Mn、Cu、Z
n,Mg、P等の元素が添加されたものであっても良
い。
【0022】このような金属磁性粉末は、第1の磁性層
2及び第2の磁性層3の保磁力が共に100kA/m〜
130kA/mとなるように選ばれる。第1の磁性層又
は第2の磁性層の保磁力が100kA/m未満の場合に
は、高域再生出力が低下してしまう。また、第1の磁性
層又は第2の磁性層の保磁力が130kA/mを上回る
と、オーバーライト特性は悪化してしまう。
【0023】また第1の磁性層の金属磁性粉末の長軸長
は0.25μm以上であり、0.25μm〜0.5μm
であることが好ましい。
【0024】第1の磁性層の金属磁性粉末の長軸長が
0.25μm未満の場合には、第1の磁性層の角形比が
著しく低下することから、第1の磁性層に記録された信
号の再生出力が劣化してしまう。
【0025】また、第2の磁性層の金属磁性粉末は長軸
長0.23μm以下であり、0.11μm〜0.23μ
mであることが好ましい。
【0026】第2の磁性層の金属磁性粉末の長軸長が
0.23μm以下である場合、最大記録波長の1/3程
度となるため、第2の磁性層の再生出力が優れたものと
なる。第2の磁性層の金属磁性粉末の長軸長が0.23
μmより大であると、記録信号の欠落等の支障が起こっ
たり、周波数特性のバランスが崩れるため、第2の磁性
層に記録された信号の良好な再生出力が得られなくなっ
てしまう。
【0027】第1の磁性層及び第2の磁性層に使用され
る結合剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹
脂、塩化ビニル系共重合体等の塩化ビニル系樹脂等を例
示することができる。
【0028】これらの結合剤は、1種類を単独で使用し
てもよく、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
例えば、2種類以上の結合剤を組み合わせて使用する場
合、ポリウレタン及び/又はポリエステルと、塩化ビニ
ル系樹脂とを混合して用いることがある。この場合に
は、ポリウレタン及び/又はポリエステルと、塩化ビニ
ル系樹脂との重量比は90:10〜10:90、好まし
くは70:30〜30:70の範囲である。
【0029】また、結合剤としては、下記の樹脂を併用
するようにしても良い。併用する樹脂としては、重量平
均分子量が10,000〜200,000である塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデ
ン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、
ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹
脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロ
セルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、フェ
ノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、
フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂、尿
素ホルムアミド樹脂、各種の合成ゴム系樹脂等が挙げら
れる。
【0030】また、第1の磁性層及び第2の磁性層に
は、磁性粉末、結合剤の他に添加剤として研磨剤、分散
剤、潤滑剤等が加えられても良い。
【0031】研磨剤としては、α−アルミナ、溶融アル
ミナ、酸化クロム、酸化チタン、α−酸化鉄、酸化ケイ
素、窒化ケイ素、炭化タングステン、炭化モリブデン、
炭化ホウ素、コランダム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸
化マグネシウム、窒化ホウ素等を挙げることができる。
この研磨剤の平均粒子径は、0.05μm〜0.6μ
m、好ましくは0.05μm〜0.5μm、さらに好ま
しくは0.05μm〜0.3μmであるのが良い。ま
た、この研磨剤の添加量は、(金属磁性粉末100重量
部に対して)3重量部〜20重量部、好ましくは5重量
部〜15重量部、さらに好ましくは5〜10重量部とす
るのが適当である。
【0032】分散剤としては、シランカップリング剤等
を挙げることができる。この分散剤は、カーボンブラッ
ク及び/又はグラファイト微粉末に対して0.5重量%
〜5重量%の範囲で用いるのが適当である。
【0033】潤滑剤としては、脂肪酸や脂肪酸エステル
等が単独あるいは混合して使用される。脂肪酸は、1塩
基酸であっても2塩基酸であってもよく、その炭素数が
6〜30であることが好ましく、より好ましくは12〜
22とされる。脂肪酸と脂肪酸エステルとを併用する場
合、脂肪酸と脂肪酸エステルの比率は重量比で10:9
0〜90:10が好ましい。潤滑剤としては、上述した
脂肪酸、脂肪酸エステルとともに、公知の潤滑剤を併用
しても良い。併用する潤滑剤としては、シリコーンオイ
ル、弗化カーボン、脂肪酸アミド、オレフィンオキサイ
ド等が挙げられる。
【0034】塗料化するための有機溶媒としては、磁気
記録媒体で通常用いられているもの、例えば、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレ
ングリコールセノアセテート等のエステル類;グリコー
ルジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、
ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ベン
セン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メチレ
ンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロ
ロホルム、ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等
を挙げることができる。この溶剤は、単独で用いても2
種類以上を混合して用いても構わない。
【0035】また非磁性支持体としては、ポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げら
れる。
【0036】また、第1の磁性層及び第2の磁性層は、
上述した金属磁性粉末、結合剤及び各種添加剤を有機溶
媒と混合、分散してそれぞれ磁性塗料を調整し、これら
磁性塗料を非磁性支持体上に塗布、乾燥することで形成
される。
【0037】上述のように作製された第1の磁性塗料及
び第2の磁性塗料の粘度は、どちらも3.00Pa・s
ec〜5.00Pa・secであることが好ましい。第
1の磁性塗料及び第2の磁性塗料の粘度が3.00Pa
・sec未満であると、塗料の非磁性支持体又は第1の
磁性層への付きが悪くなり、高速塗布すると塗膜表面に
スジ状の凹凸が形成され、表面性を損なってしまう。ま
た、第1の磁性塗料及び第2の磁性塗料が5.00Pa
・secより大きくても、塗料の非磁性支持体又は第1
の磁性層への付きが過度に向上されてしまうため、高速
塗布すると塗膜表面にスジ状の凹凸が形成され、表面性
を損なってしまう。
【0038】上述の第1の磁性塗料及び第2の磁性塗料
は、非磁性支持体1上に同時に重層塗布される。これに
は、ダイコーターを用いて、図2に示すように、第1の
磁性層及び第2の磁性層が形成される。
【0039】この製造方法においては、例えば、まず、
供給ロール(図示せず)から繰り出された非磁性支持体
1を、矢印A方向へ送りながら、エクストルージョン方
式の押し出しコーター14により、第1の磁性層2及び
第2の磁性層3を形成する第1の磁性塗料12及び第2
の磁性塗料13を、同時に重層塗布する。押し出しコー
ター14には、液溜まり部15、16が設けられ、第1
の磁性塗料12及び第2の磁性塗料13をウェット・オ
ン・ウェット方式で同時に重ねる。こうしたウェット・
オン・ウェット方式における同時湿潤塗布方式において
は、第1の磁性層2が湿潤状態のまま、第2の磁性塗料
13を塗布するので、第1の磁性層2の表面(即ち、第
2の磁性層3との境界面)が滑らかになると共に、第2
の磁性層3の表面性が良好となり、且つ第1の磁性層2
と第2の磁性層3の接着性も向上する。
【0040】この結果、第1の磁性層2及び第2の磁性
層3は、特に高密度記録のために高出力、低ノイズの要
求される磁気記録媒体としての要求性能を満たしたもの
となり、且つ膜剥離がなくなり、膜強度が向上する。ま
た、ドロップアウトも低減することが可能であり、信頼
性も向上する。
【0041】ダイコーターによる塗布方式によって形成
される第1の磁性層2と第2の磁性層3との間には、明
確な境界が実質的に存在する場合以外に、一定の厚みを
もって両層の成分が混在してなる境界領域が存在する場
合があるが、こうした境界領域を除いた下層を第1の磁
性層2、上層を第2の磁性層3として良い。
【0042】また、第2の磁性層3の厚さを0.7μm
〜1.0μmとし、ダイコーターで塗布すると、電磁変
換特性の良好な、表面性に優れた塗膜が高速で塗布され
る。
【0043】さらに、非磁性支持体の磁性層と反対側に
は、磁気記録媒体の走行性の向上、帯電防止及び転写防
止等を目的としたバックコート層を設けることもでき
る。これらバックコート層は従来から公知のものをいず
れも使用可能である。
【0044】
【実施例】次に、本発明を適用した具体的な実施例及び
比較例について説明する。
【0045】実施例1 始めに、下記の組成に基づいて2種類の磁性塗料A、B
の各種組成物を計り取り、有機溶媒としてメチルエチル
ケトン、トルエン及びシクロヘキサノンとともに、ニー
ダーによって混練する。次に、サンドミルで混合し、最
終固形成分がそれぞれ37%、32%になるように磁性
塗料A及び磁性塗料Bを調整した。
【0046】 磁性塗料Aの組成 磁性粉末 :Fe粉末 100重量部 結合剤 :塩化ビニル系樹脂(MR−110 OSO3K含有) 10重量部 ポリエステルポリウレタン樹脂(分子量:2万) 10重量部 添加剤 :ステアリン酸ブチル 1重量部 溶媒 :メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサンノン 但し、Fe粉末は保磁力が115KA/m、長軸長が
0.38μmである。
【0047】以上のようにして調整された磁性塗料A
に、硬化剤(日本ポリウレタン社製商品名:コロネート
L)を10重量部添加した。
【0048】 磁性塗料Bの組成 磁性粉末 :Fe粉末 100重量部 結合剤 :塩化ビニル系樹脂(MR−110 OSO3K含有) 10重量部 ポリエステルポリウレタン樹脂(分子量:2万) 10重量部 添加剤 :アルミナ(平均粒径 0.3μm) 4重量部 カーボン(平均粒径 0.15μm) 2重量部 ステアリン酸ブチル 1重量部 溶媒 :メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサンノン 但し、Fe粉末は保磁力が116kA/m、長軸長が
0.17μmである。
【0049】以上のようにして調整された磁性塗料B
に、硬化剤(日本ポリウレタン社製商品名:コロネート
L)を10重量部添加した。
【0050】磁性塗料A、Bのそれぞれに硬化剤を添加
後、8μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に
磁性塗料Aを乾燥後の厚さが1.5μmとなるよう塗布
し、その上に磁性塗料Bを乾燥後の厚さが0.8μmと
なるようにダイコーターで同時に重層塗布した。そし
て、未乾燥状態の磁性塗膜に磁場配向処理を行ったあ
と、乾燥させ、巻き取りを行った。
【0051】続いて、磁性塗膜に、温度110℃、線圧
320kg/cm、スピード150m/分の条件でスー
パーカレンダー処理を施し、第1の磁性層及び第2の磁
性層を形成した。そして、これら第1の磁性層及び第2
の磁性層が形成されたテープ原反を、1/8インチ幅に
裁断することでサンプルテープを作製した。
【0052】実施例2〜実施例9 実施例2〜実施例9では、磁性塗料A及び磁性塗料Bに
用いた金属磁性粉末の保磁力及び長軸長を表1に示した
ようなものを用いた以外は、実施例1と同様にサンプル
テープを作製した。
【0053】実施例10及び実施例11 実施例10及び実施例11では、磁性塗料A及び磁性塗
料Bに用いた金属磁性粉末の保磁力及び長軸長を表1に
示したようなものを用い、実施例10での磁性塗料Bの
乾燥後の厚さを0.5μmとし、実施例11での磁性塗
料Bの乾燥後の厚さを1.1μmとした以外は、実施例
1と同様にサンプルテープを作製した。
【0054】比較例1及び比較例2 比較例1では磁性塗料Aに用いた金属磁性粉末の保磁力
を98kA/mとし、比較例2では磁性塗料Aに用いた
金属磁性粉末の保磁力を134kA/mとした。磁性塗
料Bに用いた金属磁性粉末の保磁力は、比較例1及び比
較例2ともに、116kA/mである。比較例1及び比
較例2ともに、磁性塗料Aの金属磁性粉末及び磁性塗料
Bの金属磁性粉末の長軸長はそれぞれ0.25μm以
上、0.23μm以下である。上記以外の条件を実施例
1と同様にし、サンプルテープを作製した。
【0055】比較例3及び比較例4 磁性塗料Aに用いた金属磁性粉末の保磁力は、比較例3
及び比較例4ともに、115kA/mである。比較例3
では磁性塗料Bに用いた金属磁性粉末の保磁力を96k
A/mとし、比較例4では磁性塗料Bに用いた金属磁性
粉末の保磁力を133kA/mとした。比較例3及び比
較例4ともに、磁性塗料Aの金属磁性粉末及び磁性塗料
Bの金属磁性粉末の長軸長はそれぞれ0.25μm以
上、0.23μm以下である。上記以外の条件を実施例
1と同様にし、サンプルテープを作製した。
【0056】比較例5及び比較例6 磁性塗料A及び磁性塗料Bに用いた金属磁性粉末の保磁
力は、比較例5及び比較例6ともに、100kA/m〜
130kA/mである。比較例5では磁性塗料Aの金属
磁性粉末の長軸長は0.23μmである。比較例6では
磁性塗料Bの金属磁性粉末の長軸長は0.25μmであ
る。上記以外の条件を実施例1と同様にし、サンプルテ
ープを作製した。
【0057】以上のようにして実施例1〜実施例11及
び比較例1〜比較例6で作製されたサンプルテープにつ
いて磁性塗料の粘度、ダイコーターで塗布された磁性塗
膜のスジの発生状況、カレンダー処理後の表面光沢度及
び作成されたテープの残留磁束密度Br、角形比Rs、
高域(4.7MHz)再生(RF)出力(以下4.7M
Hz・RF出力とする。)、低域(130kHz)再生
(RF)出力(以下130kHz・RF出力とす
る。)、オーバーライト(OW)特性について測定し
た。その結果を表1に示す。なお、磁性塗料の粘度は、
B型粘度計(東京計器社製)を用いて測定した。
【0058】また磁性塗膜のスジの発生状況は、目視で
判定した。表中、○は磁性塗膜表面に凹凸が全くない場
合、△は凹凸が確認できるがその数が少ない場合、×は
凹凸が多数確認できる場合を示す。また、表面光沢度
(グロス)はグロスメーター(日本電色工業社製)を用
い、光線の入射角を45°に設定した。なお表面光沢度
の値は、JISZ−8741に準じ、標準表面を持つ基
準版の光沢を100%としたときの相対値として表示し
た。この表面光沢度の好ましい範囲は300%以上であ
る。
【0059】残留磁束密度Br及び角形比Rsは、試料
振動型磁力計(VSM:東英工業社製)を用いて測定し
た。この残留磁束密度Br及び角形比Rsの好ましい範
囲は、それぞれ330mT以上及び83%以上である。
【0060】4.7MHz・RF出力レベル、130k
Hz・RF出力レベル及びオーバーライト(OW)特性
は、IEC 1120−4に基づいて測定した。この
4.7MHz・RF出力レベル、130kHz・RF出
力レベル及びオーバーライト特性の好ましい範囲は、そ
れぞれ+1.0dB以上、+1.0dB以上及び±0.
0〜−0.5dBである。
【0061】
【表1】
【0062】表1より、実施例1〜実施例9では、磁性
塗膜表面にスジが全く認められず、カレンダー処理後の
表面光沢度が全て300%以上と好ましい値となってい
ることが分かる。磁気特性、電磁変換特性も上述した基
準値をクリアーしていることが分かる。
【0063】これに対して、比較例1では、130kH
z・RF出力が0.8dBと+1.0dBよりも低く、
電磁変換特性が悪いことが分かる。比較例2では、残留
磁束密度が329mTと330mT以下になり、角形比
も82.9%と83.0%以下になっており、磁気特性
が悪いことが分かる。さらにOW特性も0.1dBと±
0.0〜−0.5dBの範囲を超えており、電磁変換特
性が悪いことが分かる。比較例3では、OW特性が0.
2dBと±0.0〜−0.5dBの範囲を超えており、
電磁変換特性が悪いことが分かる。比較例4では、OW
特性が−0.6dBと±0.0〜−0.5dBの範囲を
超えており、電磁変換特性が悪いことが分かる。比較例
5は、磁性塗料Aの長軸長を0.25μm以下の0.2
3μmとした場合のものである。この時、磁性塗料Aの
粘度は5.19Pa・secと5.00Pa・secよ
り高い。また、表面光沢度が277%と300%よりも
低く磁性塗膜にも多くのスジが確認され表面性が悪いこ
とが分かる。加えて、残留磁束密度が323mTと33
0mT以下になり、角形比も82.8%と83.0%以
下になっており、磁気特性が悪いことが分かる。さら
に、4.7MHz・RF出力レベルが+0.9dB、1
30kHz・RF出力レベルが+0.8dB、オーバー
ライト(OW)特性が−0.7dBと全て基準値以下と
なっており、電磁変換特性も悪いことが分かる。比較例
6は、磁性塗料Bの長軸長を0.23μm以上の0.2
5μmとした場合のものである。この時、磁性塗料Bの
粘度は2.98Pa・secと3.00Pa・secよ
り低い。また、表面光沢度が293%と300%よりも
低く、磁性塗膜にもいくつかのスジが確認され表面性が
悪いことが分かる。さらに、4.7MHz・RF出力レ
ベルが+0.8dB、オーバーライト特性が−0.9d
Bと基準値以下となっており、電磁変換特性も悪いこと
が分かる。
【0064】このことから、長軸長が0.25μm以上
の金属磁性粉末を有する磁性塗料A及び長軸長が0.2
3μm以下の金属磁性粉末を有する磁性塗料Bを用い
て、第1の磁性層及び第2の磁性層を非磁性支持体上に
形成する際、磁性塗料Aの金属磁性粉末及び磁性塗料B
の金属磁性粉末の保磁力を、100kA/m〜130k
A/mにするのが最適であることが分かる。
【0065】実施例10は、磁性塗料Bによって形成さ
れた磁性層の厚みが0.5μmであること以外、実施例
1と同じ作成条件である。しかし、4.7MHz・RF
出力レベルが+0.8dBと、+1.0dBよりも低く
なっており、電磁変換特性があまり良好でないことが分
かる。
【0066】実施例11は、磁性塗料Bによって形成さ
れた磁性層の厚みが1.1μmであること以外、実施例
1と同じ作成条件である。しかし、表面光沢度が295
%と300%よりも低く、磁性塗膜にスジも確認され
た。さらに、4.7MHz・RF出力レベルが+0.7
dBと+1.0dBよりも低くなっており、電磁変換特
性があまり良好でないことが分かる。
【0067】これら実施例1、実施例10及び実施例1
1から、磁性塗料Bによって作られる第2の磁性層の厚
さを0.7μm〜1.0μmにすることによって、電磁
変換特性の更なる向上を達成できることが分かる。
【0068】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の磁気記録媒体では、磁性層が第1及び第2の磁性層
からなる2層構造とされるとともに、第1の磁性層は
0.25μm以上、第2の磁性層は長軸長0.23μm
以下の金属磁性粉末を用いることにより、磁気特性に優
れ、高速塗布することができる塗料特性を実現している
ので高い生産性が得られる。さらに保磁力と第2の磁性
層の乾燥の厚みを制御することにより、良好な電磁変換
特性を発揮することが可能となった。
【0069】また、本発明に係る磁気記録媒体の製造方
法では、所定の長軸長である金属磁性粉末を用い所定の
保磁力とした第1の磁性塗料と、所定の長軸長である金
属磁性粉末を用い所定の保磁力とした第2の磁性塗料を
高速で、同時に重層塗布することができる。したがっ
て、本発明に係る磁気記録媒体の製造方法によれば、優
れた表面性で磁性層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる磁気記録媒体の要部縦断面図で
ある。
【図2】第1の磁性層及び第2の磁性層を形成する状態
を概略的に示すダイコーターの要部断面図である。
【符号の説明】
1 非磁性支持体、2 第1の磁性層、3 第2の磁性

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、金属磁性粉末、結合
    剤及び有機溶媒を混合してなる第1の磁性塗料を塗布し
    てなる第1の磁性層と、 上記第1の磁性層上に、金属磁性粉末、結合剤及び有機
    溶媒を混合してなる第2の磁性塗料を塗布してなる第2
    の磁性層とを備え、 上記第1の磁性層及び上記第2の磁性層の保磁力は共に
    100kA/m〜130kA/mであり、 上記第1の磁性層は、長軸長が0.25μm以上である
    金属磁性粉末を有し、上記第2の磁性層は、長軸長が
    0.23μm以下である金属磁性粉末を有することを特
    徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記第2の磁性層の厚さは、0.7μm
    〜1.0μmであることを特徴とする請求項1記載の磁
    気記録媒体。
  3. 【請求項3】 非磁性支持体上に、第1の磁性塗料及び
    第2の磁性塗料を共に湿潤状態で塗布することにより第
    1の磁性層及び第2の磁性層を形成する磁気記録媒体の
    製造方法において、 長軸長が0.25μm以上である金属磁性粉末を有する
    第1の磁性塗料を塗布し、保磁力が100kA/m〜1
    30kA/mである第1の磁性層を形成し、 上記第1の磁性層上に、長軸長が0.23μm以下であ
    る金属磁性粉末を有する第2の磁性塗料を塗布し、保磁
    力が100kA/m〜130kA/mである第2の磁性
    層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 上記第1の磁性塗料及び/又は上記第2
    の磁性塗料は、3.00Pa・sec〜5.00Pa・
    secの粘度であることを特徴とする請求項3記載の磁
    気記録媒体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7585576B2 (en) 2002-12-19 2009-09-08 Sony Corporation Magnetic recording medium with dual magnetic layers including specific resins

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