JPH10320756A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH10320756A
JPH10320756A JP13407597A JP13407597A JPH10320756A JP H10320756 A JPH10320756 A JP H10320756A JP 13407597 A JP13407597 A JP 13407597A JP 13407597 A JP13407597 A JP 13407597A JP H10320756 A JPH10320756 A JP H10320756A
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JP
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magnetic
recording medium
powder
magnetic recording
paint
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JP13407597A
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English (en)
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Yutaka Aoki
豊 青木
Akihiro Masanaga
明弘 正永
Chihiro Kikuchi
千尋 菊池
Takeshi Koizumi
剛 小泉
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 飽和磁化量の大きい磁性粉末を用いた場合で
も、分散性を劣化させることなく磁性塗料を高速塗布す
ることができ、良好な電磁変換特性が得られるととも
に、生産性に優れた磁気記録媒体を提供する 【解決手段】 本発明に係る磁気記録媒体は、鉄を主体
とする金属磁性粉末と結合剤とを混合してなる磁性塗料
を非磁性支持体2上に塗布してなる磁性層3を有する磁
気記録媒体であって、上記金属磁性粉末の飽和磁化量
(σs)が140Am2/kg以上であり、比表面積が
30〜50m2/gであり、保磁力(Hc)が80〜1
20kA/mであることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性塗料を非磁性
支持体上に塗布してなる磁性層を有する塗布型の磁気記
録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】オーディオコンパクトカセット等に用い
られる磁気テープとしては、針状の磁性粉末、結合剤及
び各種添加剤を有機溶剤とともに混練、分散せしめて調
整される磁性塗料を、非磁性支持体上に塗布、乾燥する
ことで磁性層が形成される、いわゆる塗布型の磁気記録
媒体が挙げられる。この塗布型の磁気記録媒体は、生産
性、汎用性に優れることから磁気テープの主流を占めて
いるのが現状である。
【0003】一方、近年、磁気記録の分野では、さらな
る高密度記録化が要求され、それに対応すべく上述した
ような塗布型の磁気記録媒体においても高周波数を用い
た高密度記録における特性を改善するための各種工夫が
なされている。例えば、磁性粉末としては、酸化鉄系材
料に代わり、高保磁力、高残留磁束密度が得られること
から、鉄または鉄とAl、Ni、Si等やその酸化物で
表面処理を施してなる金属磁性粉末が用いられるように
なっている。特に、Coを表面処理剤とする金属磁性粉
末を用いて、磁性粉末の更なる高保磁力化及び高残留磁
束密度化を達成している。また、高密度記録における電
磁変換特性の向上を目的として、磁性粉末の粒子形状は
ますます微細化され、例えば比表面積50m2/g以上
のものが用いられるようになっている。
【0004】ところが、磁性粉末の粒子形状を微細化す
ることは必ずしも高密度記録での電磁変換特性を向上さ
せることにつながるものではない。微細化された磁性粉
末は、粒子間に磁気的な相互作用が発生し易くなってお
り、この相互作用により凝集塊を形成してしまう。その
結果、微細化された磁性粉末では、その残留磁束密度が
低下してしまうことがあった。
【0005】この不都合に対して、塗布されてなる磁性
層に種々の処理を施すことが提案されている。例えば、
磁性粉末の充填性、分散性を確保するために、特公平4
−67687公報ではコバルトを主体とした磁性粉末を
磁性層に含有させることが提案されている。しかし、こ
の手法では、コバルトの環境負荷指数が大きい上に、コ
バルトの推定埋蔵量が少ない為に非常にコストのかかる
ものとなってしまう。したがって、このような磁性粉末
を用いると、高密度記録において良好な電磁変換特性を
得ることが可能になるが、コストが高く生産性の悪いも
のとなってしまう。
【0006】ところで、上述した塗布型の磁気記録媒体
において、非磁性支持体上に磁性塗料を塗布する際に
は、ドクターロールや、ロール周面に塗料充填するため
のセルが多数刻設されたグラビアロールを用い、これら
ロールによって磁性塗料を非磁性支持体上に転写する方
法が多く用いられている。しかし、このうちドクターロ
ールを用いる塗布方式ではこのロールの回転速度によっ
て塗布速度が制限される。また、グラビアロールを用い
る塗布方式では、塗布速度が200m/分以上になる
と、非磁性支持体への塗料の転写がスムーズに行われな
くなる。
【0007】また、塗布方式としては、磁性塗料が押し
出される狭い隙間(スリット)を有するダイコーターを
用い、このスリットから押し出された磁性塗料を非磁性
支持体上に載せ付ける方法もある。この塗布方式では、
上述したようなロールを用いる塗布方式に比べて高速塗
布が可能であるが、磁性塗料の塗料特性によっては、塗
布速度が高速になると塗布状態が不安定になり、塗膜の
表面性が損なわれることがある。したがって、このダイ
コーターによる塗布方式では、高速塗布を行うために塗
料特性が重要になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような磁気記録媒体で用いられる磁性塗料は、磁性粉
末が微細になっていくに従って粘度が上昇していく傾向
がある。また、磁性塗料は、この磁性粉末の飽和磁化量
が大きくなるに従って分散性が劣化していく傾向があ
る。このため、高密度記録に対応して、微細化されて高
飽和磁化量とされた磁性粉末を用いると、磁性塗料とし
ては、磁性粉末の分散性が悪く、粘度が高くなり塗料特
性の面で劣化してしまう。
【0009】一方、磁気記録媒体を製造するに際して
は、生産性を向上させるといった観点から上述したよう
なダイコーターを用いることが好ましい。しかしなが
ら、このような粘度の高くなった磁性塗料をダイコータ
ーを用いて塗布した場合、上述したような塗布状態の不
安定化が起こり、塗膜の表面に細かいスジ状の凹凸が形
成されてしまう。すなわち、この場合、磁性塗料が塗布
されてなる磁性層は、その表面にスジ状の凹凸が形成さ
れたようなものとなる。磁気記録媒体は、磁性層にこの
ようなスジ状の凹凸があると、良好な電磁変換特性を示
さないものになる。
【0010】そこで、本発明はこのような実情に鑑みて
提案されたものであり、飽和磁化量の大きい磁性粉末を
用いた場合でも、分散性を劣化させることなく磁性塗料
を高速塗布することができ、良好な電磁変換特性が得ら
れるとともに、生産性に優れた磁気記録媒体を提供する
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成した
本発明に係る磁気記録媒体は、鉄を主体とする金属磁性
粉末と結合剤とを混合してなる磁性塗料を非磁性支持体
上に塗布してなる磁性層を有する磁気記録媒体であっ
て、上記金属磁性粉末の飽和磁化量(σs)が140A
2/kg以上であり、比表面積が30〜50m2/gで
あり、保磁力(Hc)が80〜120kA/mであるこ
とを特徴とする。
【0012】以上のように構成された本発明に係る磁気
記録媒体では、使用される金属磁性粉末が140Am2
/kg以上とされる高い飽和磁化量を有しており、且
つ、30〜50m2/gとされる比表面積を有してい
る。一般に、磁性粉末において、その飽和磁化量が大き
い場合には、分散性が劣化するため、飽和磁束密度に比
べて残留磁束密度が低下してしまう。しかしながら、本
発明に係る磁気記録媒体は、比表面積が30〜50m2
/gの範囲に限定されているため、飽和磁束密度と残留
磁束密度との比、すなわち、角形比が大きなものとな
る。
【0013】また、本発明に係る磁気記録媒体におい
て、金属磁性粉末の比表面積が30〜50m2/gであ
るため、磁性塗料は、低粘度なものとなる。つまり、本
発明において、金属磁性粉末の飽和磁化量が140Am
2/kg以上と高い値となっているが、比表面積が30
〜50m2/gであるため、飽和磁化量の増大に伴う磁
性塗料の粘度の上昇が抑えられる。すなわち、この金属
磁性粉末を用いて作製された磁性塗料は、良好な塗料特
性を示すこととなる。このため、磁気記録媒体は、磁性
層の表面性が良好なものとなる。
【0014】本発明において、金属磁性粉末の飽和磁化
量が140Am2/kg未満であるような場合には、高
密度記録に適した磁性層とならない。また、飽和磁化量
が140Am2/kg未満であるような場合には、上述
したような分散性の劣化等の不都合が起こりにくい。さ
らに本発明において、金属磁性粉末の飽和磁化量に関し
て、特に、上限はないが約180Am2/kg以上の飽
和磁化量となると、金属磁性粉末を製造し難くなる。
【0015】また、本発明において、金属磁性粉末の比
表面積が50m2/gよりも大である場合には、飽和磁
束密度と残留磁束密度との比、すなわち、角形比が小さ
なものとなってしまう。また、比表面積が50m2/g
よりも大であるような金属磁性粉末を用いた場合、磁性
塗料の粘度が高くなってしまい、塗料特性が劣化する。
【0016】さらに、本発明において、金属磁性粉末の
比表面積が30m2/gよりも小である場合には、残留
磁束密度が低下してしまい、その結果、角形比も低下し
てしまう。このため、比表面積が30m2/gよりも小
であるような金属磁性粉末を用いた場合、良好な再生出
力を得ることが困難となる。
【0017】さらにまた、本発明において、金属磁性粉
末の保磁力が80kA/m未満であると、高域再生出力
が劣化してしまい、高密度記録に適した磁気記録媒体と
ならない。また、金属磁性粉末の保磁力が120kA/
mよりも大であると、低域再生出力が劣化するととも
に、消去効率も劣化してしまい、高密度記録に適した磁
気記録媒体とならない。
【0018】一方、本発明に係る磁気記録媒体は、磁性
層の表面光沢度が250%〜400%であることが好ま
しい。磁気記録媒体は、磁性層の表面光沢度がこの範囲
であると、磁性層が良好な表面性を有するため、良好な
電磁変換特性を有することとなる。この磁気記録媒体に
おいて、磁性層の表面光沢度が250%未満の場合に
は、磁性層の表面状態が良好でなくなってしまう。これ
に対して、磁性層の表面光沢度が400%より大きい場
合には、磁気記録媒体の走行性を考慮すると好ましくな
い。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る磁気記録媒体
の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0020】本実施の形態に示す磁気記録媒体は、図1
に示すように、非磁性支持体2と、この非磁性支持体2
上に形成された磁性層3とを備える。また、この磁気記
録媒体は、磁性層3の上にトップコート層4を備えてい
ても良く、さらに、非磁性支持体2の磁性層3が形成さ
れた面とは反対の面にバックコート層5を備えていても
良い。そして、この磁気記録媒体において、磁性層3
は、磁性粉末及び結合剤等を溶剤中に分散してなる磁性
塗料を非磁性支持体2上に塗布することにより形成され
る。この磁性塗料には、磁性粉末及び結合剤の他に、分
散剤、潤滑剤及び研磨剤等が含有されている。
【0021】この磁気記録媒体において、非磁性支持体
2としては、一般に磁気記録媒体に使用されるものを使
用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポ
リエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セ
ルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セ
ルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹
脂、ポリカーボネイト、ポリイミド、ポリアミドイミ
ド、その他のプラスチック、アルミニウム、銅等の金
属、アルミニウム合金、チタン合金等の軽合金、セラミ
ックス、単結晶シリコン等が挙げられる。
【0022】また、この磁気記録媒体において、磁性層
3は、鉄を主体とする金属磁性粉末が用いられる。例示
すると、Fe、Fe−Ni等が挙げられ、更にこれらの
種々の特性を改善する目的でNi、Al、Si、Ti、
Cr、Mn、Cu、Zn、Mg、P等の元素が添加され
たものを挙げることができる。
【0023】そして、この金属磁性粉末は、その飽和磁
化量σsが140Am2/kg以上とされ、好ましく
は、140〜180Am2/kgとされる。また、この
金属磁性粉末は、その比表面積が30〜50m2/gと
される。さらに、この金属磁性粉末は、その保磁力Hc
が80〜120kA/mとされる。
【0024】さらに、この磁気記録媒体において、磁性
塗料を構成する結合剤としては、いずれも公知の材料が
使用でき、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル系樹脂、アク
リル酸エステル系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フ
ェノキシ樹脂、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエ
ン共重合体、ポリエステル成分、フェノール樹脂、エポ
キシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラ
ミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹
脂、ポリビニルアセタ−ル樹脂、またはこれらの混合物
などが挙げられる。
【0025】また、結合剤は、磁性塗料中の磁性粉末の
分散性を向上させるために、適当な官能基を導入させた
ものであってもよい。この結合剤中に導入される官能基
としては、−SO4M、−SO3M、−SO2M、−CO
OM、−NH2、−NR2、−NR3、−OH、−OPO3
2、−OPO32基、エポキシ基(Mは水素原子又は
アルカリ金属を示し、Rはアルカリ基、アリケニル基、
アルコキシル基等を示す)等が挙げられる。
【0026】さらに、結合剤の一部としてポリイソシア
ネート系硬化剤を添加することにより、架橋硬化が促進
され耐久性等に効果が期待できる。ポリイソシアネート
系硬化剤としては、トリレンジイソシアネート、トリフ
ェニルメタントリイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート等、これらと多価アルコールとの反応物、
イソシアネートの縮合物等が挙げられる。
【0027】一方、磁性塗料を構成する分散剤として
は、脂肪酸(炭素数10〜20程度)とその金属塩、そ
のエステル系及び金属石鹸、燐酸エステル、硫酸エステ
ル、アミド系、シランカップリング剤、チタネート系カ
ップリング剤、アルミネート系カップリング剤等を挙げ
ることができる。
【0028】さらにまた、磁性塗料を構成する潤滑剤と
しては、従来公知のものを使用することができる。例え
ば、潤滑剤としては、高級脂肪酸エステル、シリコーン
オイル、脂肪酸変性シリコーン、弗素含有シリコーン、
その他の弗素系潤滑剤、ポリオレフィン、ポリグリコー
ル、アルキル燐酸エステル、その金属塩、ポリフェニル
エーテル、弗化アルキルエーテル、アルキルカルボン酸
アミン塩、弗化アルキルカルボン酸アミン塩等のアミン
系潤滑剤、炭素数12〜24のアルコール類(それぞれ
不飽和を含んでも分岐していてもよい。)及び炭素数1
2〜24の高級脂肪酸等が挙げられる。また、潤滑剤と
しては、固体潤滑剤として、グラファイト、二硫化モリ
ブテン等を添加しても良い。
【0029】さらにまた、磁性塗料を構成する研磨剤と
しては、従来公知のものを使用することができる。この
研磨剤としては、例えば、α−アルミナ、β−アルミ
ナ、溶融アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリ
ウム、α−酸化鉄、コランダム、ダイヤモンド、ケイ
石、ガーネット、窒化珪素、窒化ホウ素、炭化モリブデ
ン、炭化ホウ素、炭化タングステン、酸化チタン等が挙
げられる。この磁気記録媒体では、これら研磨剤を主成
分にして、モース硬度6以上の公知の材料を単独または
組み合わせて使用することができる。
【0030】さらにまた、磁性塗料中には、磁性層3の
電気抵抗低減や帯電を防止効果をさらに高めるために、
カーボン等の導電性微粉末、各種界面活性剤等を添加す
ることも可能である。また、磁性塗料には、従来より用
いられているような防錆剤、消泡剤等を含有したもので
あっても良い。
【0031】さらにまた、この磁気記録媒体において、
磁性層3を形成する磁性塗料は、上述した金属磁性粉
末、結合剤及び硬化剤等の各種添加剤を有機溶媒中で混
練、分散して調製される。このとき、有機溶媒として
は、従来より使用されているものを用いることができ
る。例示すれば、メチルエチルケトン、トルエン、シク
ロヘキサノン等を挙げることができる。
【0032】なお、この磁気記録媒体において、トップ
コート層4及びバックコート層5としては、従来より用
いられているものを使用することができる。
【0033】以上のように構成された本発明に係る磁気
記録媒体において、磁性層に記録された磁気信号は、磁
気ヘッドにより再生される。このとき、この磁気記録媒
体では、その低域再生出力が下記式(1)に比例し、高
域再生出力が下記式(2)に比例する。
【0034】Br・Rs・Tc/Hc・・・(1) (Brは残留磁束密度、Rsは角形比、Tcは磁性層の
厚み、Hcは保磁力をそれぞれ表す。) Hc・Br・・・(2) (但し、上式(2)中、Hcは保磁力、Brは残留磁束
密度を表す。) これら上記式(1)、(2)から分かるように、低域再
生出力及び高域再生出力を向上させるためには、残留磁
束密度を大きくすればよい。本実施の形態に示す磁気記
録媒体では、磁性層3を構成する金属磁性粉末の飽和磁
化量が140Am2/kg以上となっている。このた
め、この金属磁性粉末を用いた磁性層は、比較的大きな
残留磁束密度を示すこととなる。したがって、この金属
磁性粉末を用いた磁気記録媒体は、再生出力が向上した
ものとなる。
【0035】金属磁性粉末は、一般に、その飽和磁化量
が140Am2/kg以上と大きい場合には分散性が劣
化してしまい、残留磁束密度が劣化したものとなってし
まう。しかしながら、本発明に係る磁気記録媒体におい
て、金属磁性粉末は、その飽和磁化量が140Am2
kg以上であり、且つ、比表面積が30〜50m2/g
であるため、高い残留磁束密度を示すこととなる。すな
わち、この金属磁性粉末を用いて作製された磁性塗料
は、金属磁性粉末の粒子間に磁気的な相互作用が働きに
くく、金属磁性粉末の分散性が向上したものとなる。こ
のため、この磁気記録媒体において、金属磁性粉末は、
飽和磁束密度と残留磁束密度との比、すなわち、角形比
を大きくすることができる。
【0036】したがって、この金属磁性粉末を用いた磁
性層3は、低域再生出力及び高域再生出力等の再生出力
に優れたものとなる。すなわち、本発明に係る磁気記録
媒体は、良好な電磁変換特性を有するものとなる。
【0037】また、この磁気記録媒体において、金属磁
性粉末は、その保磁力が80〜120kA/mであるた
めに、磁性層3の磁気特性が優れたものとなる。すなわ
ち、金属磁性粉末の保磁力が80〜120kA/mであ
る場合には、低域再生出力及び高域再生出力が良好なも
のとなり、且つ、消去特性にも優れたものとなる。
【0038】さらに、上述したような金属磁性粉末は、
飽和磁化量が140Am2/kg以上であり、且つ、比
表面積が30〜50m2/gであるため、塗料化される
と低粘度なものとなる。すなわち、この金属磁性粉末
は、比表面積が30〜50m2/gであるため、磁性粉
末の微細化に伴って磁性塗料が高粘度になるようなこと
がなく、低粘度な磁性塗料となる。
【0039】このため、磁性塗料を非磁性支持体2上に
塗布するに際して、良好な塗布状態を達成することがで
きる。これにより、非磁性支持体2上に形成された磁性
層3は、表面にスジ状の凹凸が形成されるようなことが
なく、高度に平坦化されたものとなる。
【0040】さらに、この金属磁性粉末を用いて作製さ
れた磁性塗料は、低粘度であるためにダイコーターを用
いて容易に非磁性支持体2上に塗布される。このダイコ
ーターは、幅狭な隙間(スリット)を有してなり、この
スリットから磁性塗料を押し出して非磁性支持体2上に
載せ付ける。すなわち、このダイコーターでは、非磁性
支持体2を高速に走行させ、磁性塗料を高速に塗布する
ことができる。
【0041】このとき、磁性塗料は、低粘度であるため
にダイコーターを用いてもスリットから良好に押し出さ
れる。このため、この磁性塗料を用いた場合には、塗布
された磁性層3の表面にスジ状の凹凸を発生させること
なく、磁性層3を塗布することができる。このように、
本発明に係る磁気記録媒体は、磁性層3をダイコーター
により高速に塗布することができるため、生産性に優れ
たものとなる。
【0042】さらにまた、この磁気記録媒体において、
上述したような磁性層3は、その厚みが5μm以下であ
ることが好ましい。この磁気記録媒体では、磁性層3の
厚みが5μm以下であるような場合には転写特性がより
良好なものとなる。
【0043】
【実施例】ここで、実際に上述したような本発明に係る
磁気記録媒体(実施例1乃至実施例9)を製造し、その
特性を評価した。また、この実施例1乃至実施例9の磁
気記録媒体と比較するために、比較例1乃至比較例4の
磁気記録媒体を製造した。
【0044】実施例1 実施例1の磁気記録媒体では、下記の組成となるように
磁性塗料を調製した。
【0045】 <磁性塗料の組成> 金属磁性粉末 Fe粉末 100重量部 結合剤 塩化ビニル系樹脂(MR−110 OSO3K含有)10重量部 ポリエステルポリウタレン樹脂(分子量:2万) 10重量部 添加剤 アルミナ(平均粒径:0.3μm) 4重量部 カーボン(平均粒径:0.15μm) 2重量部 ステアリン酸ブチル 1重量部 溶媒:メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン ここで、Fe粉末は、σsが142Am2/kg、比表
面積が39m2/g、Hcが98kA/mである。
【0046】以上のようにして調製された磁性塗料を、
硬化剤(日本ポリウタレン社製 商品名コロネートL)
を10重量部添加した後、膜厚が7μmのポリエチレン
テレフタレートフィルム上に、乾燥後の厚さが4.8μ
mとなるように塗布した。そして、未乾燥状態の磁性塗
膜に磁場配向処理を行った後、乾燥し、巻取りを行っ
た。続いて、磁性塗膜に、温度:110℃、線圧:32
0Kg/cm、スピード:150m/minの条件でス
ーパーカレンダー処理を行い、磁性層を形成した。そし
て、この磁性層が形成されたポリエチレンテレフタレー
トフィルムを1/8インチ幅に裁断することでサンプル
テープを作成した。
【0047】実施例2〜実施例6 σs、比表面積、Hcが表1に示す値である磁性粉末を
用いたこと以外は、実施例1と同様の工程でサンプルテ
ープを作成した。
【0048】実施例7〜実施例9 実施例1で作成した磁性塗料を、表1に示すような乾燥
後の厚みでポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗
布したこと以外は、実施例1と同様の工程でサンプルテ
ープを作成した。
【0049】比較例1〜比較例4 σs、比表面積、Hc、乾燥後の厚みが表1に示すよう
に、それぞれが所定範囲から外れる値であること以外
は、実施例1と同様の工程でサンプルテープを作成し
た。
【0050】
【表1】
【0051】特性評価 以上のようにして作製された実施例1〜実施例9及び比
較例1〜比較例4について、磁性塗料の粘度、ダイコー
ターで塗布された磁性塗膜のスジの発生状況、カレンダ
ー処理後の表面光沢度(グロス)、作成されたテープの
残留磁束密度(Br)、角形比(Rs)、低域再生出力
(MOL)、高域再生出力(SOL)、転写特性及び消
去特性について測定した。その結果を表1に示す。
【0052】ここで、磁性塗料の粘度は、B型粘度計
(東京計器社製)を用いて測定した。
【0053】また、磁性塗料のスジ発生状況は、目視で
判定した。表1において、磁性塗膜表面に凹凸が全くな
い場合には○とし、確認はむずかしいがわずかに凹凸が
認められる場合には△とし、凹凸が容易に確認できるが
その数が少ない場合には□とし、凹凸が多数認められる
場合には×とした。
【0054】さらに、表面光沢度(グロス)は、グロス
メーター(日本電色工業社製)を用い、光線の入射角を
45°に設定して測定した。なお、表面光沢の値は、J
ISZ−8741に準じ、標準表面を持つ規準板の光沢
を100%としたときの相対値として表示した。
【0055】残留磁束密度(Br)及び角形比(Rs)
は、試料振動型磁力計(VSM:東英工業社製)を用い
て測定した。
【0056】低域再生出力(MOL)、高域再生出力
(SOL)、転写特性及び消去特性は、IEC94−
5、JIS C 5566に基づいて測定した。
【0057】上述した表1から明らかなように、実施例
1〜実施例9では、磁性塗料の粘度が6.5Pa・se
c未満に抑えられており、磁性塗膜表面にスジがほとん
ど認められない。また、カレンダー処理において表面光
沢度が高く、残留磁束密度Brが340mT以上、角形
比Rsが85.0%以上、低域再生出力MOLが+7.
0dB以上、高域再生出力SOLが±0.0dB以上、
転写50.9dB以上、消去70.0dB以上と良好な
値が得られる。
【0058】これに対して、比較例1では、σsが14
0Am2/kgより小さいFe粉末を用いているため、
残留磁束密度Brが340mT未満と低く、また低域再
生出力MOLが+7.0dB未満と小さい。
【0059】また、比較例2では、比表面積が50m2
/gより大きいFe粉末を用いているため、磁性塗料の
粘度が6.5Pa・sec以上と高い。このため、この
比較例2は、ダイコーターによる塗料の塗布が不安定に
なり、磁性塗膜表面にスジが発生する。また、カレンダ
ー処理後の表面光沢度も250%未満と低く、また残留
磁束密度Brが340mT未満、角形比Rsが85.0
%未満、低域再生出力MOLが+7.0dB未満とそれ
ぞれ小さい。
【0060】さらに、比較例3では、Hcが80kA/
mより低いFe粉末を用いているため、高域再生出力S
OLが0.0dB未満と低い。比較例4では、Hcが1
20kA/mより高いFe粉末を用いているため、低域
再生出力MOLが+7.0dB未満、消去特性が70.
0dB未満と小さい。
【0061】ところで、実施例7、実施例8及び実施例
9を比較すると、乾燥後の磁性層の厚みが5μmより厚
いサンプルテープを用いた実施例9では、転写特性が5
2.0dB未満と小さい。
【0062】以上から明らかなように、本発明に係る磁
気記録媒体は、金属磁性粉末の飽和磁化量(σs)が1
40Am2/kg以上であり、金属磁性粉末の比表面積
が30〜50m2/gであり、金属磁性粉末の保磁力
(Hc)が80〜120kA/mであることによって、
良好な表面性及び良好な磁気特性を有する磁性層を備え
ることがわかる。
【0063】また、この磁気記録媒体は、磁性層の表面
光沢度が250%〜400%であることによって、さら
に良好な表面性を有して記録再生特性の向上が図られた
ものとなる。さらに、この磁気記録媒体は、磁性層の厚
みが5μm以下であることによって、転写特性の優れた
ものとなる。さらにまた、この磁気記録媒体は、磁性塗
料がダイコーターにより非磁性支持体上に塗布されて磁
性層とされると、より高速に生産性よく製造される。
【0064】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
係る磁気記録媒体は、磁性粉末としてσsが140Am
2/kg以上、比表面積が30〜50m2/g、保磁力が
80〜120kA/mである金属磁性粉末を用いること
により、磁気特性に優れ、低粘度の磁性塗料により高い
生産性のものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気記録媒体の要部断面図であ
る。
【符号の簡単な説明】
2 非磁性支持体、3 磁性層、4 トップコート層、
5 バックコート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小泉 剛 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄を主体とする金属磁性粉末と結合剤と
    を混合してなる磁性塗料を非磁性支持体上に塗布してな
    る磁性層を有する磁気記録媒体において、 上記金属磁性粉末の飽和磁化量(σs)が140Am2
    /kg以上であり、比表面積が30〜50m2/gであ
    り、保磁力(Hc)が80〜120kA/mであること
    を特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記磁性層の表面光沢度が250%〜4
    00%であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録
    媒体。
  3. 【請求項3】 上記磁性層の厚みが5μm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 上記磁性塗料は、ダイコーターにより非
    磁性支持体上に塗布されて磁性層とされることを特徴と
    する請求項1記載の磁気記録媒体。
JP13407597A 1997-05-23 1997-05-23 磁気記録媒体 Withdrawn JPH10320756A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007114393A1 (ja) * 2006-03-30 2007-10-11 Fujifilm Corporation 磁気記録媒体、磁気信号再生システムおよび磁気信号再生方法

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