JP2001056934A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JP2001056934A
JP2001056934A JP11231940A JP23194099A JP2001056934A JP 2001056934 A JP2001056934 A JP 2001056934A JP 11231940 A JP11231940 A JP 11231940A JP 23194099 A JP23194099 A JP 23194099A JP 2001056934 A JP2001056934 A JP 2001056934A
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magnetic
paint
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coating
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JP11231940A
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Takao Kudo
孝夫 工藤
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 上層磁性層表面におけるスジの発生を抑え、
良好な表面性を有する上層磁性層を形成する。 【解決手段】 非磁性支持体上に、非磁性粉末及び結合
剤を溶剤とともに分散させることで調製された非磁性塗
料を塗布して下層非磁性層を形成し、当該下層非磁性層
が湿潤状態のうちに、強磁性粉末及び結合剤を溶剤とと
もに分散させることで調製された磁性塗料を塗布して上
層磁性層を形成する磁気記録媒体の製造方法において、
上記磁性塗料が逆チキソトロピー性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気テープ、磁気デ
ィスク等の磁気記録媒体の製造方法に関し、特に重層塗
布方式(ウェット・オン・ウェット塗布方式)により製
造する磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ビデオテープ、オーディオテー
プ、磁気ディスク等としては、強磁性酸化鉄、Co変成
酸化鉄、CrO2、強磁性合金粉末等の強磁性粉末を結
合剤中に分散させることで調製された磁性塗料を、PE
Tフィルム等の非磁性支持体上に塗布することで磁性層
が形成される、いわゆる塗布型の磁気記録媒体が広く用
いられている。
【0003】近年、磁気記録の分野においては、記録の
高密度化、短波長化が進行しており、塗布型の磁気記録
媒体においても、そのような記録の高密度化、短波長化
に対応する特性を有することが求められるようになって
いる。
【0004】ここで、塗布型の磁気記録媒体において、
高記録密度領域での電磁変換特性を改善する手法として
は、磁性層の薄層化が挙げられる。磁性層を薄層化する
と、記録時の自己減磁損失や再生時の厚み損失が減少
し、電磁変換特性が効果的に改善されることになる。し
かしながら、この場合、磁性層の厚さを例えば1μm以
下に薄くすると、非磁性支持体の表面形状が磁性層の表
面に浮き出し易くなり、磁性層の表面が粗れた状態にな
る。磁性層の表面が粗れた状態になると、スペーシング
ロスによって電磁変換特性が悪化したり、ドロップアウ
トが多発するようになる。
【0005】そこで、塗布型の磁気記録媒体では、磁性
層と非磁性支持体の間に比較的厚さの厚い下層非磁性層
を介在させ、これによって非磁性支持体の表面形状が磁
性層表面に現れ難くしたものが提案されている。すなわ
ち、塗布型の磁気記録媒体では、非磁性支持体の主面上
に下層非磁性層及び磁性層が重層されてなる重層塗布型
の磁気記録媒体が提案されている。重層塗布型の磁気記
録媒体では、薄い磁性層が平滑な表面性を有するため、
短波長領域において優れた電磁変換特性が得られること
になる。
【0006】このような重層塗布型の磁気記録媒体で
は、塗布工程が煩雑であること、薄くて均一な磁性層が
得難いこと等の問題点があったが、下層非磁性層が湿潤
状態のうちに同時または逐次に磁性層を塗布する、いわ
ゆる、ウェット・オン・ウェット塗布方式の提案によっ
て前記問題点はある程度解消されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ウェッ
ト・オン・ウェット塗布方式を採用して重層塗布型の磁
気記録媒体を製造する場合においても、例えば、上層磁
性層及び下層非磁性層の界面の乱れや上層磁性層のハジ
キ、ピンホール、塗布スジ等の塗工欠陥が発生してしま
うことがあった。特に、塗布スジは、最表面の形状に直
接影響し、S/Nを劣化させたり再生波形の乱れを生じ
させたりする。
【0008】このような問題に対して、例えば、特開平
5−128496号公報、特開平5−266463号公
報及び特開平6−195690号公報においては、上層
磁性層及び下層磁性層に用いる両塗料の粘弾性特性を規
定することによって前記課題を解決し得る旨の記載があ
るが、これらはいずれも上層及び下層ともに磁性層の場
合であって、下層が非磁性層の場合には前記公報記載の
内容と同様の効果を直接期待することはできない。ま
た、特開平4−325917公報には、下層が非磁性の
場合に、上下層に用いる両塗料のチキソトロピー性を同
一もしくは近似させることによって、前記塗布欠陥のう
ちハジキおよびピンホールの発生を防ぎ得る旨の記載が
あるが、塗布スジに対する効果についてはまったく言及
されていない。
【0009】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、上層磁性層表面における
スジの発生を抑え、良好な表面性を有する上層磁性層を
形成できる磁気記録媒体の製造方法を提供することを目
的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、上層磁性層を
形成する磁性塗料に特定のレオロジー特性を付与するこ
とによって、塗布スジが著しく改善するとの知見を得る
に至った。
【0011】本発明に係る磁気記録媒体の製造方法は、
このような知見に基づいて完成されたものであって、非
磁性支持体上に、非磁性粉末及び結合剤を溶剤とともに
分散させることで調製された非磁性塗料を塗布して下層
非磁性層を形成し、当該下層非磁性層が湿潤状態のうち
に、強磁性粉末及び結合剤を溶剤とともに分散させるこ
とで調製された磁性塗料を塗布して上層磁性層を形成す
る磁気記録媒体の製造方法において、上記磁性塗料が逆
チキソトロピー性を有することを特徴とするものであ
る。
【0012】ここで、チキソトロピー性及び逆チキソト
ロピー性について説明する。
【0013】チキソトロピーとは、「変形を与えること
によって、見掛けの粘度が一時的に減少する現象」(松
本孝芳著『分散系のレオロジー』高分子刊行会、61頁
より)として定義される。
【0014】一般に、磁気記録媒体に用いられる各種塗
料は、ある程度チキソトロピー性を有する。チキソトロ
ピー性を有する塗料においては、低い剪断速度下では分
散粒子の凝集性のために高い見掛け粘度を示すが、粒子
間の凝集構造を破壊し得る程度に高い剪断速度を加える
と、見掛け粘度は時間とともに徐々に低下する。ここで
再度低い剪断速度に戻すと、前述の粒子間凝集構造が回
復するために見掛け粘度は時間とともに徐々に増加する
ようになる。
【0015】このようなチキソトロピー性を有する塗料
において、段階的に増加させた剪断速度に対する剪断応
力を結んだ流動曲線(以下、「上昇流動曲線」と称す)
と、段階的に減少させた剪断速度に対する剪断応力を結
んだ流動曲線(以下、「下降流動曲線」と称す)とは一
致せず、下降流動曲線は上昇流動曲線よりも低い剪断応
力を示す。すなわち、ある特定の剪断速度に注目した場
合、上昇流動曲線における剪断応力τuと、下降流動曲
線における剪断応力τdとの関係はτu>τdとなる。特
に、チキソトロピー性を有する磁性塗料においては、粒
子間に強い磁気的凝集力が働くために、上述したチキソ
トロピー性はより一層顕著となるのが一般的である。
【0016】一方、逆チキソトロピーとは、負のチキソ
トロピーとも呼ばれ、前記のチキソトロピーとは逆の現
象を指すレオロジー用語である。すなわち、逆チキソト
ロピー性を有する塗料は、上昇流動曲線が下降流動曲線
よりも低い剪断応力を示し、ある特定の剪断速度に注目
した場合、上昇流動曲線における剪断応力τuと、下降
流動曲線における剪断応力τdとの関係はτu<τdとな
る。この場合、低い剪断速度における見かけ粘度は時間
とともに徐々に減少するようになる。
【0017】本発明に係る磁気記録媒体において、磁性
塗料がこのように説明される逆チキソトロピー性を有す
るため、塗布後の流動性が非常に良くなり、レベリング
が速やかに進行することとなって、結果として表面の塗
布スジが解消され、平滑な塗布面が得られることにな
る。これに対して、チキソトロピー性を有する磁性塗料
では、チキソトロピー性と乾燥のために塗布直後から粘
度が著しく増加するため、十分なレベリング効果は期待
できない。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る磁気記録媒体
の製造方法の具体的な実施の形態について説明する。
【0019】この手法は、図1に示すように、非磁性支
持体1上に下層非磁性層2と上層磁性層3とが順次形成
されてなる磁気記録媒体を製造するものである。この磁
気記録媒体を製造するには、連続走行する非磁性支持体
1上に、非磁性粉末及び結合剤を溶剤とともに分散させ
ることで調製された非磁性塗料を塗布することで非磁性
塗膜を形成し、この非磁性塗膜上に、磁性粉末及び結合
剤を溶剤とともに分散させることで調製された磁性塗料
を順次塗布することで磁性塗膜を形成する。
【0020】そして、このように形成した非磁性塗膜及
び磁性塗膜に、乾燥や平坦化処理等を施すことによっ
て、非磁性支持体1上に下層非磁性層2及び上層磁性層
3を形成する。
【0021】この磁気記録媒体において、上層磁性層3
の膜厚は、0.1〜0.5μmであることが好ましく、
0.1〜0.3μmであることがより好ましい。上層磁
性層3の膜厚をこの範囲に規定することによって、磁気
記録媒体は、短波長信号に対する電磁変換特性が優れた
ものとなる。上層磁性層3の膜厚が0.5μmを越えて
いると、短波長信号で記録する際の自己減磁が発生して
電気的特性が劣化し、例えばデジタル記録方式に適用す
る媒体としては不十分になる虞がある。
【0022】先ず、上層磁性層3を形成するための磁性
塗料について説明する。この磁性塗料は、この磁性塗料
は、強磁性粉末及び結合剤等を溶剤とともに分散させる
ことにより調製される。
【0023】強磁性粉末としては、γ−Fe23、Co
含有γ−Fe23、Co被着γ−Fe23、CrO2
またマグネタイトに代表されるフェライト類、すなわち
Fe34、Co含有Fe34、Co被着Fe34等を挙
げらることができる。また、強磁性粉末としては、F
e、Co等の金属粉末や、Fe−Al系、Fe−Al−
Ni系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Co系、F
e−Al−Ca系、Fe−Ni系、Fe−Ni−Al
系、Fe−Ni−Co系、Fe−Ni−Si−Al−M
n系、Fe−Ni−Si−Al−Zn系、Fe−Al−
Si系、Fe−Ni−Zn系、Fe−Ni−Mn系、F
e−Ni−Si系、Fe−Mn−Zn系、Fe−Co−
Ni−P系、Ni−Co系等、Fe、Ni、Co等を主
成分とする合金粉末等の金属磁性粉末を挙げることがで
きる。
【0024】このうちFe系の金属粉末は電気的特性に
優れている。また、耐蝕性および分散性の観点では、F
e−Al系、Fe−Al−Ca系、Fe−Al−Ni
系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Co系、Fe−
Ni−Si−Al−Zn系、Fe−Ni−Si−Al−
Mn系等のFe−Al系の合金粉末が好ましい。
【0025】これら強磁性粉末の形状としては、平均長
軸長が0.5μm以下、好ましくは0.01〜0.4μ
m、より好ましくは0.01〜0.3μmであり、且
つ、軸比(平均長軸長/平均短軸長)としては、好まし
くは12以下であり、より好ましくは10以下である。
【0026】強磁性粉未の磁気特性としては、飽和磁化
量(σs)が70emu/g以上であることが好まし
い。飽和磁化量が70emu/g未満であると、十分な
電磁変換特性が得られないことがある。また、高密度記
録領域での記録再生を可能にする点から、BET法によ
る比表面積が45m2/g以上であることが好ましい。
【0027】一方、結合剤としては、ポリウレタン樹
脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル系共重合体等の塩化
ビニル系樹脂等が代表的である。
【0028】これら樹脂は、−SO3M、−OSO3M、
−COOM、−PO(OM’)2(但し、Mは水素原子
またはNa、K、Li等のアルカリ金属を表わし、M’
は水素原子またはNa、K、Li等のアルカリ原子、ア
ルキル基を表わす)及びスルホベタイン基から選ばれる
少なくともー種の極性基を有する繰返し単位を含有して
いることが好ましい。これら極性基は、強磁性粉末の分
散性を向上させる作用があり、含有率は0.1〜8.0
モル%、さらには0.2〜6.0モル%であるのが好ま
しい。極性基の含有率が0.1モル%未満であると、強
磁性粉末の分散性が低下する虞がある。逆に、極性基の
含有率が8.0モル%が超えていると、磁性塗料がゲル
化し易くなる虞がある。また、樹脂の重量平均分子量
は、10,000〜50,000の範囲であるのが好ま
しい。
【0029】特に、結合剤としては、スルホン酸塩基及
び/又は4級アンモニウム塩基と水酸基及びエポキシ基
とを有するとともに平均重合度が100〜200である
塩化ビニル系共重合体が好適である。
【0030】塩化ビニル系共重合体において、スルホン
酸塩基、4級アンモニウム塩基は強磁性粉末の分散性を
向上するために導入される。これらスルホン酸塩基及び
/又は4級アンモニウム塩基の含有量は0.3〜3.0
重量%であるのが望ましい。スルホン酸塩基及び/又は
4級アンモニウム塩基の含有量が0.3重量%未満の場
合、強磁性粉末の分散性が低くなる虞があり、上層磁性
層3表面が荒れるために、電磁変換特性が劣化すること
がある。また、スルホン酸塩基及び/又は4級アンモニ
ウム塩基の含有量が3.0重量%を越える場合、塩化ビ
ニル系共重合体の溶剤への溶解性が不良となる虞があ
る。なお、4級アンモニウム塩基は、当該塩化ビニル系
共重合体の水酸基と硬化剤として添加されるイソシアネ
ートとの反応の触媒としても作用する。この触媒作用
も、4級アンモニウム塩基の含有量が0.3重量%以上
である場合に十分に発揮される。
【0031】また、塩化ビニル系共重合体に導入される
水酸基は、硬化剤であるイソシアネートと反応して架橋
構造を形成する。この水酸基の含有量は、0.1〜1.
5重量%であるのが望ましい。水酸基の含有量が0.1
重量%未満である場合、架橋性が低くなり、磁気記録媒
体全体の強度が不足する虞がある。また、水酸基の含有
量が1.5重量%を越える場合、磁性塗料の粘度が高く
なり、塗布性が不良になる虞がある。
【0032】さらに、塩化ビニル系共重合体に導入され
るエポキシ基は、塩化ビニル系共重合体の脱塩酸を抑
え、塩化ビニル系共重合体由来の塩酸によって磁性塗膜
に錆が発生するのを防止する。エポキシ基の含有量は、
1.0〜10.0重量%であるのが望ましい。エポキシ
基の含有量が1.0重量%未満である場合、塩化ビニル
系共重合体の脱塩酸が十分に抑えられず、磁性層に錆が
発生する虞がある。また、エポキシ基の含有量が10.
0重量%を越える場合、磁性塗料の粘度が高くなり、塗
布性が不良になる虞がある。
【0033】さらに、塩化ビニル系共重合体では、平均
重合度が100〜200と比較的小さいものが好まし
い。平均重合度がこの範囲である場合には、磁性塗料の
逆チキソトロピー性がコントロールされやすい。平均重
合度が200を越えて大きくなると、磁性粉末に対する
濡れ性が悪くなり、磁性粉末を十分に分散させることが
困難になり、また、塗料粘度も高くなることから塗布性
が損なわれる。平均重合度が100より低くなると、硬
化剤を併用したとしても十分な強度が得られず、耐久性
が不足する虞がある。
【0034】なお、極性基を含有する塩化ビニル系共重
合体は、例えば塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体
等の水酸基を有する共重合体と、極性基および塩素原子
を有する化合物との付加反応により合成することができ
る。
【0035】また、ポリエステルは、ポリオールと多塩
基酸との反応により合成される。なお、他の極性基を導
入したポリエステルも公知の方法で合成することが可能
である。
【0036】ポリウレタンは、ポリオールとポリイソシ
アネートとの反応により合成される。このポリオールと
しては、ポリオールと多塩基酸との反応によって得られ
るポリエステルポリオールが一般に使用される。なお、
極性基を有するポリエステルポリオールを原料として用
いれば、極性基を有するポリウレタンを合成することが
できる。
【0037】これらの樹脂は、一種類単独であってもよ
く、二種類以上を組み合わせて用いても良い。例えば、
ポリウレタンおよび/またはポリエステルと、塩化ビニ
ル系樹脂とを混合して用いる場合、その重量比は90:
10〜10:90、好ましくは70:30〜30:70
の範囲であるのが良い。
【0038】さらに、下記の樹脂を全結合剤の50重量
%以下の使用量で併用するようにしても良い。
【0039】すなわち、併用する樹脂としては、重量平
均分子量が10,000〜200,000である塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデ
ン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、
ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹
脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロ
セルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、フェ
ノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、
フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂、尿
素ホルムアミド樹脂、各種の合成ゴム系樹脂等が挙げら
れる。
【0040】結合剤としては、以上のような樹脂が用い
られるが、これら結合剤の上層磁性層3ヘの混合量は、
強磁性金属粉末100重量部に対して8〜25重量部が
適当であり、10〜20重量部であるのが好ましい。
【0041】溶剤としては、磁気記録媒体を製造する際
に通常用いられているもの、例えば、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサ
ノン等のケトン類;メタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸
エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレングリコール
セノアセテート等のエステル類;グリコールジメチルエ
ーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、
テトラヒドロフラン等のエーテル類;ベンセン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素;メチレンクロライ
ド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、
ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等を挙げるこ
とができる。この溶剤は、単独で用いても2種類以上を
混合して用いても構わない。
【0042】また、上層磁性層3には、走行耐久性等を
改善する目的で、通常、磁気記録媒体で用いられる研磨
剤、潤滑剤、帯電防止剤等の添加剤が添加されても良
い。
【0043】研磨剤としては、α−アルミナ、溶融アル
ミナ、酸化クロム、酸化チタン、α−酸化鉄、酸化ケイ
素、窒化ケイ素、炭化タングステン、炭化モリブデン、
炭化ホウ素、コランダム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸
化マグネシウム、窒化ホウ素等を挙げることができる。
この研磨剤の平均粒子径としては、好ましくは0.05
μm〜0.6μmであり、より好ましくは0.05μm
〜0.5μmであり、更に好ましくは0.05μm〜
0.3μmである。研磨剤の添加量としては、磁性粉末
100重量部に対して、好ましくは3〜20重量部であ
り、より好ましくは5〜15重量部であり、さらに好ま
しくは5〜10重量部である。
【0044】潤滑剤としては、脂肪酸や脂肪酸エステル
等が単独あるいは混合して使用される。脂肪酸は、一塩
基酸であっても二塩基酸であってもよく、炭素数は6〜
30が好ましく、12〜22であるのがより好ましい。
また、上記脂肪酸、脂肪酸エステルとともに、公知の澗
滑剤を併用しても良い。併用する潤滑剤としては、シリ
コーンオイル、弗化カーボン、脂肪酸アミド、オレフィ
ンオキサイド等を挙げることができる。
【0045】帯電防止剤としては、第4級アミン等のカ
チオン界面活性剤や、スルホン酸、硫酸、燐酸、燐酸エ
ステル、カルボン酸等の酸基を含むアニオン界面活性剤
や、アミノスルホン酸等の両性界面活性剤等を挙げるこ
とができる。これら帯電防止剤の添加量は、結合剤に対
して0.01〜40重量%の範囲とするのが良い。この
他、帯電防止剤としては、導電性微粉末を添加しても良
い。この導電性微粉末としては、例えば、カーボンブラ
ック、グラファイト、酸化錫、銀粉、酸化銀、硝酸銀、
銀の有機化合物、銅粉等の金属粒子や、酸化亜鉛、硫酸
バリウム、酸化チタン等の金属酸化物等の顔料を、酸化
錫被膜又はアンチモン固溶酸化錫被膜等の導電性物質で
コーティング処理したものを挙げることができる。これ
ら導電性微粉未の平均粒子径としては、好ましくは5〜
700nmであり、より好ましくは5〜200nmであ
る。
【0046】上述したような、磁性粉末及び結合剤を溶
剤中で分散して磁性塗料を調整するにあたっては、必要
に応じて混練を行うようにしてもよい。
【0047】この混練を行う混練機(図示せず。)とし
ては、例えば、二本ロールミル、三本ロールミル、オー
プンニーダー、連続二軸混練機、加圧ニーダー等が挙げ
られ、いずれも使用可能である。特に、0.05〜0.
5kW(粉末1kg当たり)の消費電力負荷が提供でき
ることから、加圧ニーダー、オープンニーダー、連続二
軸混練機、二本ロールミル、三本ロールミルが適当であ
り、特に、連続二軸混練機、多段階で稀釈が可能な連続
二軸混練機がさらに好適である。
【0048】さらに、この混練機にて混練を行う際に
は、分散剤を添加してもよい。分散剤としては、シラン
カップリング剤等を挙げることができる。この分散剤
は、強磁性粉末に対して0.5〜5重量%の範囲で用い
るのが適当である。
【0049】このように構成された磁性塗料は、上述し
た各種材料や調整方法を適宜選択することにより逆チキ
ソトロピー性を有している。特に、磁性塗料には、結合
剤としてスルホン酸塩基及び/又は4級アンモニウム塩
基と水酸基及びエポキシ基とを有するとともに平均重合
度が100〜200である塩化ビニル系共重合体を使用
することによって、逆チキソトロピー性を付与すること
ができる。
【0050】磁性塗料は、逆チキソトロピー性を有する
ため、上昇流動曲線が下降流動曲線よりも低い剪断応力
を示し、ある特定の剪断速度に注目した場合、上昇流動
曲線における剪断応力τuと、下降流動曲線における剪
断応力τdとの関係はτu<τdとなる。逆チキソトロピ
ー性を有する磁性塗料は、低い剪断応力における見かけ
粘度が時間とともに減少するようになる。
【0051】次に、下層非磁性層2を形成するための非
磁性塗料について説明する。この非磁性塗料は、非磁性
粉末及び結合剤等を溶剤中に分散させることで調製され
る。
【0052】非磁性粉末としては、カーボンブラック、
グラファイト、TiO2、硫酸バリウム、ZnS、Mg
CO3、CaCO3、ZnO、CaO、二硫化タングステ
ン、二硫化モリブデン、窒化硼素、MgO、SnO2
SiO2、Cr23、α−Al23、α−Fe23、α
−FeOOH、SiC、酸化セリウム、コランダム、人
造ダイヤモンド、α−酸化鉄、ざくろ石、ガーネット、
珪石、窒化珪素、炭化珪素、炭化モリブデン、炭化硼
素、炭化タングステン、チタンカーバイド、珪藻土、ド
ロマイト等を挙げることができる。このうち、非磁性粉
末としては、特に、カーボンブラック、TiO2、α−
Fe23、α−FeOOH等の無機粉末が好ましく、な
かでもα−Fe23が最も好ましい。また、これら非磁
性粉末は、表面処理されていても良い。
【0053】特に、非磁性粉末としては、長軸長が0.
2μm以下のα−Fe23粒子を用いることが好まし
い。針状α−Fe23粒子は、他の非磁性粉末に比べて
分散性に優れるため、下層非磁性層2表面の平滑性が向
上し、その結果、この上に積層される上層磁性層3の表
面も平滑なものになる。さらに長軸長を0.2μm以下
とすることで、下層非磁性層2及び上層磁性層3の表面
はより平滑なものとなる。
【0054】また、非磁性粉末としては、その形状が針
状であることが望ましい。針状の非磁性粉末を用いるこ
とで、下層非磁性層2表面の平滑性が向上し、その結
果、この上に積層される磁性層3の表面も平滑なものに
なる。この場合、非磁性粉末の軸比(長軸長/短軸長)
としては、好ましくは2〜20であり、より好ましくは
5〜15であり、更に好ましくは5〜10である。ま
た、この非磁性粉末の比表面積としては、好ましくは1
0〜250m2/gであり、より好ましくは20〜15
0m2/gであり、更に好ましくは30〜100m2/g
である。
【0055】さらに、この非磁性粉末の混合量として
は、下層非磁性層2の全成分の合計量に対して、好まし
くは50〜99重量%であり、より好ましくは60〜9
5重量%であり、更に好ましくは70〜95重量%であ
る。この手法において、非磁性粉末の混合量をこの範囲
とすることで、下層非磁性層2の表面性を良好なものに
することができ、結果として、磁性層3の表面性を良好
なものとすることができる。
【0056】一方、結合剤としては、磁性塗料を説明す
る際に例示した、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエス
テル樹脂、塩化ビニル系共重合体等の塩化ビニル系樹脂
等を挙げることができる。
【0057】これらの樹脂は、結合剤として一種類を単
独で用いても良く、二種類以上を組み合わせて用いても
良い。例えば、ポリウレタン及び/又はポリエステル
と、塩化ビニル系樹脂とを混合して用いる場合、その重
量比は90:10〜10:90、好ましくは70:30
〜30:70の範囲である。
【0058】さらに、他の樹脂を全結合剤中50重量%
以下の使用量で併用するようにしても良い。
【0059】すなわち、併用する他の樹脂としては、重
量平均分子量が10,000〜200,000である塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニ
リデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合
体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミ
ド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニ
トロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、
フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹
脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹
脂、尿素ホルムアミド樹脂、各種の合成ゴム系樹脂等を
挙げることができる。
【0060】これら併用される他の樹脂は、一種類を単
独で使用してもよく、二種類以上を組み合わせて使用し
ても良い。
【0061】結合剤としては、以上のような樹脂が用い
られるが、これら結合剤の下層非磁性層3ヘの混合量
は、前記針状酸化鉄微粉末100重量部に対して15〜
100重量部が好ましい。
【0062】一方、溶剤としては、磁気記録媒体を製造
する際に通常用いられているもの、例えば、上述した磁
性塗料の説明で例示したものを使用することができる。
上述したような、非磁性粉末及び結合剤を溶剤中で分散
して非磁性塗料を調整するにあたっては、必要に応じて
混練を行うようにしてもよい。この混練を行う混練機と
しては、例えば、上述した磁性塗料の説明で例示したも
のを使用することができる。
【0063】さらに、この混練機にて混練を行う際に
は、分散剤を添加してもよい。分散剤としては、シラン
カップリング剤等を挙げることができる。この分散剤
は、非磁性粉末に対して0.5〜5重量%の範囲で用い
るのが適当である。
【0064】さらにまた、この下層非磁性層2には、媒
体の走行耐久性等を改善する目的で、通常、磁気記録媒
体で用いられる研磨剤、潤滑剤、帯電防止剤等の添加剤
が添加されても良い。これら研磨剤、潤滑剤、帯電防止
剤等の添加剤は、上述した磁性塗料の説明で例示したも
のを使用することができる。
【0065】以上のように調製された非磁性塗料及び磁
性塗料には、非磁性支持体1上に塗布される際、硬化剤
が添加される。
【0066】この硬化剤としては、ポリイソシアネート
等を挙げることができる。ポリイソシアネートとして
は、トリレンジイソシアネート(TDI)と活性水素化
合物との付加体等の芳香族ポリイソシアネートや、ヘキ
サメチレンジイソシアネート(HMDI)と活性水素化
合物との付加体等の脂肪族ポリイソシアネート等を例示
することができる。これらポリイソシアネートの重量平
均分子量は、100〜3,000の範囲であることが望
ましい。
【0067】一方、上述した非磁性塗料及び磁性塗料が
塗布される非磁性支持体1としては、例えば、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレ
ート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレ
フイン類、セルローストリアセテート、セルロースダイ
アセテート等のセルロース誘導体、ポリアミド、アラミ
ド樹脂、ポリカーボネート等のプラスチック等を挙げる
ことができる。これら非磁性支持体1は、単層構造であ
っても多層構造であってもよい。また、例えば、コロナ
放電処理等の表面処理が施されていてもよいし、易接着
層等の有機物層が表面に形成されていてもよい。
【0068】非磁性支持体1の厚みとしては、特に制限
されないが、例えば、媒体がフィルム状やシート状の場
合には、好ましくは2〜100μmであり、より好まし
くは3〜50μmである。また、ディスク状やカード状
の場合には、非磁性支持体1の厚みは30μm〜10m
m程度であることが望ましく、ドラム状の場合にはレコ
ーダ等の設計に応じて適宣に選択される。
【0069】次に、上述したように調製された非磁性塗
料及び磁性塗料を非磁性支持体1に塗布する手法を説明
する。
【0070】非磁性塗料及び磁性塗料を非磁性支持体1
上に塗布する際には、非磁性塗料を塗布してなる非磁性
塗膜が湿潤状態のときに、磁性塗料を塗布して磁性塗膜
を形成する、いわゆるウェット・オン・ウェット方式が
用いられる。なお、下層非磁性層2は必要に応じて複数
の層から構成されていてもよいが、その場合には、少な
くとも磁性層3に隣接する下層非磁性層2と上層磁性層
3とがウェット・オン・ウェット方式で重層塗布される
ようにする。
【0071】具体的に、非磁性支持体1上に下層非磁性
層2及び上層磁性層3をウェット・オン・ウェット方式
にて形成する際には、例えば、図2に示すような塗膜形
成装置10が用いられる。
【0072】塗膜形成装置10は、長尺状に形成された
非磁性支持体1を巻装するとともに非磁性支持体1を掛
け渡してなる巻取りロール12及び供給ロール13と、
この供給ロール13から引き出された非磁性支持体1上
に非磁性塗料及び磁性塗料を塗布する塗布装置14と、
磁性層の磁化方向を決定させる配向用磁石15と、塗料
を乾燥させる乾燥器16と、カレンダー処理を行うカレ
ンダー装置17とを備える。
【0073】すなわち、この塗膜形成装置10では、非
磁性支持体1が供給ロール13から巻取りロール12に
向かって搬送されるようになされており、この搬送方向
に沿って塗布装置14、配向用磁石15、乾燥器16、
カレンダー装置17がこの順に配置されている。
【0074】このような塗膜形成装置10では、先ず塗
布装置14によって非磁性塗料及び磁性塗料が非磁性支
持体1上に重層塗布される。この塗布装置14は、図3
に示すように、非磁性塗料を塗布する第1の押し出しコ
ーター18と、磁性塗料を塗布する第2の押し出しコー
ター19とを備える。また、この塗布装置14では、第
2の押し出しコーター19が非磁性支持体1の送り出し
側、第1の押し出しコーター18が非磁性支持体1の導
入側となるように配置されている。
【0075】これら第1の押し出しコーター18と第2
の押し出しコーター19には、その先端部に塗料が押し
出されるスリット部20、21がそれぞれ形成され、こ
のスリット部20、21の背面側に塗料が供給される塗
料溜まり22、23がそれぞれ設けられている。このよ
うな第1の押し出しコーター18及び第2の押し出しコ
ーター19では、塗料溜まり22、23に供給された非
磁性塗料又は磁性塗料が、スリット部20、21を通っ
てコーター先端部にそれぞれ押し出される。
【0076】そして、塗料が塗布される非磁性支持体1
は、この第1の押し出しコーター18及び第2の押し出
しコーター19の先端面に沿って図3中矢印Dの方向に
搬送される。
【0077】このようにして搬送される非磁性支持体1
上には、まず第1の押し出しコーター18を通過する際
に、スリット部20から押し出された非磁性塗料が塗布
されて非磁性塗膜24が形成される。そして、第2の押
し出しコーター19を通過する際に、スリット部21か
ら押し出された磁性塗料が湿潤状態の非磁性塗膜24上
に塗布され、磁性塗膜25が形成される。
【0078】なお、これら第1の押し出しコーター18
及び第2の押し出しコーター19への塗料の供給は、イ
ンラインミキサーを介して行うようにしても良い。
【0079】このように、非磁性塗膜24と磁性塗膜2
5とが形成された非磁性支持体1は、配向用磁石15、
乾燥器16、カレンダー装置17に順次搬送される。
【0080】配向用磁石15では、磁性層となる磁性塗
膜25が磁場配向処理される。なお、配向用磁石15と
しては、長手配向用磁石又は垂直配向用磁石、或いは磁
気ディスク等を製造する場合にはランダム配向用磁石が
用いられる。これら配向用磁石15は、磁性層3に含有
される磁性粉末の種類に応じて適宜選択される。これら
配向用磁石15の磁場は、一般に20〜10,000ガ
ウス程度であるのが望ましいが、ランダム配向の場合に
はその限りではない。
【0081】乾燥器16では、当該乾燥器16内の上下
に配されたノズルからの熱風によって、非磁性塗膜24
及び磁性塗膜25が乾燥される。このときの乾燥条件と
しては、温度が約30〜120℃、乾燥時間が約0.1
〜10分間程度であることが好ましい。
【0082】そして、乾燥器16を通過した非磁性支持
体1は、さらにカレンダー装置17に導かれ、表面平滑
処理が施される。このカレンダー装置17による表面平
滑処理では、温度、線圧力及び搬送スピード等が重要と
なる。すなわち、表面平滑処理条件として、温度は50
〜140℃、線圧力は50〜1000kg/cm2、搬
送スピードは20〜1000m/分であることが好まし
い。これらの条件を満足しない場合には、磁性層3の表
面性が損なわれる虞れがある。
【0083】なお、この塗膜形成装置10では、非磁性
塗料及び磁性塗料が分離された別々のコーターで塗布さ
れていたが、このような塗布装置14に限定されるもの
ではない。すなわち、図4に示すように、第1の押し出
しコーター18と第2の押し出しコーター19とが一体
化してなる押し出しコーター26を備える塗布装置27
であってもよい。
【0084】また、上述した塗膜形成装置10では、非
磁性塗料と磁性塗料とが逐次的に塗布されような塗布装
置14,27を用いたが、これに限定されず、非磁性塗
料及び磁性塗料を同時に塗布するような塗布装置であっ
てもよい。すなわち、図5に示すように、2つのスリッ
トが近接して形成された押し出しコーター28を備える
塗布装置29を用い、この押し出しコーター28によっ
て非磁性塗料、磁性塗料を同時に塗布するようにしても
良い。
【0085】この塗布装置29は、押し出しコーター2
8の先端部に塗料が押し出される第1のスリット部30
及び第2のスリット部31が近接して形成され、これら
2つのスリット部30,31の背面側に非磁性塗料が供
給される第1の塗料溜まり33及び磁性塗料が供給され
る第2の塗料溜まり34がそれぞれ設けられている。
【0086】この塗布装置29では、第1の塗料溜まり
33に供給された非磁性塗料が第1のスリット部30か
ら非磁性支持体1上へ塗布され、非磁性塗膜24が形成
される。そして、第2の塗料溜まり34に供給された磁
性塗料が第2のスリット部31から湿潤状態の非磁性塗
膜24上にほぼ同時に塗布され、磁性塗膜25が形成さ
れる。
【0087】また、上述した塗布装置14,27,29
において、押し出しコーターが用いられたが、バースロ
ール、グラビアロール、エアドクターコーター、ブレー
ドコーター、エアナイフコーター、スクイズコーター、
含浸コーター、トランスファロールコーター、キスコー
ター、キャストコーター、スプレイコーター等を用いる
ようにしても良い。このとき非磁性塗料の塗布方式と磁
性塗料の塗布方式は同じであっても異なっていても良
い。したがって、例えば、リバースロールと押し出しコ
ーターとを組合せたり、グラビアロールと押し出しコー
ターとを組合わせて磁性塗料及び非磁性塗料を塗布する
ことも可能である。
【0088】なお、磁気ディスクのごとく両面を使用す
る磁気記録媒体を製造する場合には、非磁性支持体1の
両面に、上述したような方法によって下層非磁性層2及
び磁性層3を形成する必要があることは言うまでもな
い。
【0089】なお、このように非磁性支持体1の上に、
下層非磁性層2及び磁性層3が形成された磁気記録媒体
は、この後、バーニッシュ処理あるいはブレード処理等
が必要に応じて行われる。
【0090】また、このように製造された磁気記録媒体
は、その形状がテープ状、フィルム状、シート状、カー
ド状、ディスク状又はドラム状等通常用いられる形状が
いずれも採用可能である。
【0091】以上のように、本発明に係る磁気記録媒体
の製造方法では、磁性塗料に逆チキソトロピー性を付与
するため、湿潤状態の下層非磁性層上に塗布された磁性
塗料がレベリング性を発揮する。レベリング性とは、一
般に、塗布直後の塗料が、その表面張力によって塗膜表
面を平滑化するように流動する現象をいう。上述した手
法では、逆チキソトロピー性を有する磁性塗料を用いる
ため、磁性塗料が塗布された直後において、当該磁性塗
料の流動性が非常に良くなる。その結果、この手法によ
れば、レベリングが速やかに進行することとなって、上
層磁性層3の表面の塗布スジが解消され、平滑な塗布面
を有する上層磁性層3を形成することができる。したが
って、この手法により製造された磁気記録媒体は、電磁
変換特性に優れるとともにRFエンベロープの形状も良
好であり、またドロップアウトの発生が低く抑えられた
ものとなる。
【0092】
【実施例】以下、本発明のに係る磁気記録媒体の製造方
法を用いて作製した実施例について説明する。また、こ
の実施例と比較するために比較例を作製し、これら実施
例及び比較例に関して特性評価を行った。
【0093】実施例1 下記の組成に準じて、磁性塗料の各成分を秤り取り、連
続二軸混練機を用いて多段階希釈を行いながら混練し、
続いて、サンドミルを用いて分散処理を行いながら溶剤
(メチルエチルケトン:トルエン:シクロヘキサノン
(重量比)=1:1:1なる組成の混合溶剤)を加えて
重量固形分を28%とした磁性塗料を調整した。
【0094】 <磁性塗料> 強磁性鉄微粉末 100重量部 (同和鉱業(株)社製、保磁力Hc:2200Oe、BET法による比表面積: 50m2/g、長軸長:0.1μm、針状比:3、飽和磁化量σs:145em u/g) 結合剤:4級アンモニウム塩基含有塩化ビニル系樹脂 16重量部 (日本ゼオン(株)社製、平均重合度:約150) ポリウレタン系樹脂 4重量部 (東洋紡績(株)社製、分子量Mw:約40000) α−アルミナ(住友化学工業(株)社製、基本粒径:0.2μm) 5重量部 ミリスチン酸(花王(株)製) 1重量部 ブチルステアレート(松本油脂(株)製) 1重量部 また、下記の組成に準じて、非磁性塗料の各成分を秤り
取り、連続二軸混練機を用いて多段階希釈を行いながら
混練し、続いて、サンドミルを用いて分散処理を行いな
がら溶剤(メチルエチルケトン:トルエン:シクロヘキ
サノン(重量比)=1:1:1なる組成の混合溶剤)を
加えて重量固形分を34%とした非磁性塗料を調整し
た。
【0095】 <非磁性塗料> α−Fe23 100重量部 (戸田工業(株)社製、BET法による比表面積:52.6m2/g、長軸径: 0.15μm、針状比:6.5) カーボンブラック 24重量部 (デグサ(株)製「PRINTEX 55」、平均粒径:25nm、DBP吸油 量:48ml/100g) 結合剤:塩化ビニル系樹脂(日本ゼオン(株)製) 16重量部 ポリウレタン樹脂(東洋紡績(株)製) 11重量部 ミリスチン酸(花王(株)製) 2重量部 ヘプチルステアレート(松本油脂(株)製) 1重量部 上述のように調製された磁性塗料について、回転粘度計
を用いて流動曲線を測定した。回転粘度計としてはレオ
メトリック・サイエンティフィック社製のRFS−2を
使用した。測定範囲は0.1〜1000s-1とし対数軸
において等間隔となるよう、各桁5点ずつ剪断応力を測
定した。はじめに、上記測定範囲内で剪断速度を段階的
に増加させながら測定した場合の上昇流動曲線を測定
し、続いて上記測定範囲内で剪断速度を段階的に減少さ
せながら測定した場合の下降流動曲線を測定した。この
測定結果から、上昇流動曲線の剪断速度1s-1における
剪断応力τuと、下降流動曲線の剪断速度1s-1におけ
る剪断応力τdとの比、τd/τuを求めた。なお、磁
性塗料が逆チキソトロピー性を示す場合には、τd/τ
u>1となる。
【0096】このようにして調製された磁性塗料、非磁
性塗料のそれぞれに、ポリイソシアネート化合物5重量
部を添加した後、ウェット・オン・ウェット塗布方式に
よって、厚さ62μmのポリエチレンテレフタレート支
持体の両面に重層塗布し、塗膜が未乾燥状態である間に
磁場配向処理を行い、続いて乾燥、カレンダーによる表
面平滑処理を行うことで厚さ1.5μmの下層非磁性
層、厚さ0.15μmの上層磁性層をポリエチレンテレ
フタレート支持体の両面にそれぞれ形成した。
【0097】このようにして得られた原反磁気テープ
を、直径3.5インチの円形状に打ち抜き、磁気ディス
クを作製した。
【0098】実施例2〜実施例5、比較例1〜比較例4 磁性塗料に使用した「4級アンモニウム塩基含有塩化ビ
ニル系樹脂」の配合比或いは使用する樹脂の種類、及び
重量固形分を表1に示すようにした以外は、実施例1と
同様にして磁気ディスクを作製した。
【0099】
【表1】
【0100】特性評価試験 以上のように作製された実施例1〜5及び比較例1〜4
の各磁気ディスクについて、塗布スジの状態評価、表面
粗さ(Ra)、電磁変換特性、RFエンベロープ及びド
ロップアウトを測定した。
【0101】<塗布スジの状態評価>上層磁性層表面を
微分干渉式顕微鏡を用いて観察した。このとき、表面が
かなり平滑で塗布スジがまったく見られない状態である
と判断された場合を○、やや荒れていて塗布スジがわず
かに見られると判断された場合を△、かなり荒れていて
塗布スジが多く認められると判断された場合を×とし
た。
【0102】<表面粗さ(Ra)>表面粗さ(Ra)と
しては、JIS B 0601で規定される中心線平均
粗さ(Ra)を測定した。この表面粗さ(Ra)はテー
ラーホプソン社製のタリーステップ粗さ計を用いて測定
した。測定条件は、スタイラスが2.5×0.1μm、
針圧が2mg、カット・オフ・フィルターが0.33H
z、測定スピードが2.5μm/s、基準長が0.5m
mである。なお、粗さ曲線においては、0.01μm以
上の凹凸はカットした。
【0103】<電磁変換特性(RF出力)>磁気ディス
クドライブ(ソニー社製 商品名:MPF−42B)を
改造して、ディスク回転数を3600rpmとし、磁気
ヘッドにギャップ長0.2μmの薄膜ヘッドを用いて、
各磁気ディスクの最外周トラック上を走行させ、その際
に磁気ヘッドに生ずる35MHzの出力成分を測定する
ことで評価した。測定結果としては、実施例1の磁気デ
ィスクでの値を0dBとしたときの相対値とした。
【0104】<RFエンベロープ>各磁気ディスクを、
電磁変換特性の評価に使用した磁気ディスクドライブ上
で回転させ、そのときのRFエンベロープをオシロスコ
ープに映し出し、エンベロープの最大値と最小値の比率
を求めることで評価した。
【0105】<ドロップアウト>1分間あたりに検出さ
れる−12dB/5μsの出力低下の回数(ドロップア
ウト個数)を測定した。
【0106】これらの特性評価試験の結果を表2に示
す。
【0107】
【表2】
【0108】この表2からわかるように、磁性塗料が逆
チキソトロピー性を示す、すなわちτd/τu>1であ
る実施例1〜5の磁気ディスクは、塗布スジが少なく表
面性が良好で、電磁変換特性に優れ、ドロップアウトが
少ない。
【0109】これに対して、磁性塗料が逆チキソトロピ
ー性を示さない、すなわちτd/τu≦1である比較例
1〜4は、塗布スジのために表面粗度が悪化し、電磁変
換特性が劣り、ドロップアウトも多発する。
【0110】また、実施例1〜5を比較すると、スルホ
ン酸塩基及び/又は4級アンモニウム塩と水酸基及びエ
ポキシ基とを有する塩化ビニル系樹脂における平均重合
度が100〜200である実施例1〜3の磁気ディスク
は、特に優れた表面性を有し、電磁変換特性に最も優
れ、ドロップアウトも比較的少ない。これに対して、実
施例4及び実施例5は、当該平均重合度が100〜20
0を外れているため、比較例1〜4と比較して優れた表
面性を有しているが、実施例1〜3と比較して表面性に
劣っている。
【0111】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
係る磁気記録媒体の製造方法によれば、磁性塗料が逆チ
キソトロピー性を有するため、塗布後の流動性が非常に
良くなり、レベリングが速やかに進行することとなっ
て、結果として表面の塗布スジが解消され、平滑な塗布
面が得られることになる。したがって、この手法によれ
ば、電磁変換特性に優れ、ドロップアウトの少ない磁気
記録媒体を確実に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気記録媒体の製造方法により製
造される磁気記録媒体の要部縦断面図である。
【図2】ウェット・オン・ウェット塗布方式で下層非磁
性層及び上層磁性層を形成するための塗膜形成装置を示
す模式図である。
【図3】塗膜形成装置の塗布装置のー例を示す模式図で
ある。
【図4】塗布装置の他の例を示す模式図である。
【図5】塗布装置の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 非磁性支持体、2 下層非磁性層、3 上層磁性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 CD041 DD001 DG001 GA03 GA07 GA08 GA13 HA066 HA216 KA06 KA07 KA20 LA06 MA14 MA15 NA22 PA13 PA14 PB11 PC08 5D112 AA03 AA05 BB08 BB17 CC02 JJ06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、非磁性粉末及び結合
    剤を溶剤とともに分散させることで調製された非磁性塗
    料を塗布して下層非磁性層を形成し、当該下層非磁性層
    が湿潤状態のうちに、強磁性粉末及び結合剤を溶剤とと
    もに分散させることで調製された磁性塗料を塗布して上
    層磁性層を形成する磁気記録媒体の製造方法において、 上記磁性塗料が逆チキソトロピー性を有することを特徴
    とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記磁性塗料に対して剪断速度を増加さ
    せながら測定した流動曲線の、剪断速度1s-1における
    剪断応力τuと、剪断速度を減少させながら測定した流
    動曲線の、剪断速度1s-1における剪断応力τdとの比
    τd/τuが、2≦τd/τu≦10であることを特徴
    とする請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記磁性塗料中に、スルホン酸塩基及び
    /又は4級アンモニウム塩基と水酸基及びエポキシ基と
    を有するとともに平均重合度が100〜200である塩
    化ビニル系共重合体を含有することを特徴とする請求項
    1記載の磁気記録媒体の製造方法。
JP11231940A 1999-08-18 1999-08-18 磁気記録媒体の製造方法 Withdrawn JP2001056934A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109594032A (zh) * 2018-11-14 2019-04-09 中国科学院金属研究所 一种提高合金涂层耐冲击性能的方法

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