JPH11144228A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH11144228A
JPH11144228A JP30701697A JP30701697A JPH11144228A JP H11144228 A JPH11144228 A JP H11144228A JP 30701697 A JP30701697 A JP 30701697A JP 30701697 A JP30701697 A JP 30701697A JP H11144228 A JPH11144228 A JP H11144228A
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JP
Japan
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magnetic
powder
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recording medium
intermediate layer
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JP30701697A
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Akira Shiga
章 志賀
Hidehiko Nakayama
英比古 中山
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁性層の表面状態が良好で、また電磁変換特
性等の特性に優れた重層磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 支持体上に、厚さd1 で1種以上の粉末
を含有する中間層を設け、その上に厚さd2 の最上層と
しての磁性層を設けた磁気記録媒体において、上記中間
層の該粉末中、平均粒径が最も大きい粉末の最長平均粒
径(rm)が0.02〜0.50μmであり、その厚み
1 が上記支持体の中間層側表面の中心線平均表面粗さ
(Ra)に対し2×10-4≦Ra/d1 ≦3.7×10
-3であり、かつ上記磁性層の厚さd2 が0.6μm以下
であることを特徴とする磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体に関
し、詳しくは磁性層の表面状態が良好で、また電磁変換
特性等の特性に優れた重層磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】近
年、磁気記録媒体は、記録の高密度化に対応して支持体
上に、磁性または非磁性の中間層を設け、その上に比較
的薄い磁性層を設け、多層構造となし、再生出力を向上
させると共に、支持体表面の粗度の影響を少なくして、
電磁変換特性を保持させることが行われている。
【0003】しかしながら、磁性層の表面が平滑過ぎる
と摩擦係数の増大、走行性不良をもたらし、一方磁性層
の表面が粗面すぎるとスペーシングロス、ヘッド摩耗、
粉落ち等が発生する。
【0004】このような問題を解決する一つの手段とし
て、特開平2−276020号公報には、非磁性支持体
の中心線平均表面粗さ(Ra)と第一磁性層(中間層)
の厚み(d1 )とを、4×10-3≦Ra/d1 <1.8
×10-2とすることが示されている。しかし、このよう
な範囲にある磁気記録媒体にあっても、例えば媒体の厚
み自身を薄型化していくと再生出力が十分ではなく、ま
たドロップアウトの増大やエラーレートの悪化を招く恐
れがある。
【0005】更に、近年では高密度化を達成するため磁
性層(中間層を含む)は薄膜化の傾向にあり、支持体の
表面の粗さは小さく、また磁性層(中間層を含む)中に
含まれる粉末は小径化してきている。それゆえ、上記範
囲では望むべく磁気記録媒体を得ることは難しい。
【0006】従って、本発明の目的は、磁性層の表面状
態が良好で、また電磁変換特性等の特性に優れた重層磁
気記録媒体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、上記特開平2−276020号公報の記載にも
拘わらず、非磁性支持体の中心線表面粗さ(Ra)と第
一磁性層(中間層)の厚み(d1 )とが、同公報に記載
の範囲よりも小さい範囲において、上記目的を達成し得
ることを知見した。
【0008】即ち、本発明は、上記知見に基づきなされ
たもので、支持体上に、厚さd1 で1種以上の粉末を含
有する中間層を設け、その上に厚さd2 の最上層として
の磁性層を設けた磁気記録媒体において、上記中間層の
該粉末中、平均粒径が最も大きい粉末の最長平均粒径
(rm)が0.02〜0.50μmであり、その厚みd
1 が上記支持体の中間層側表面の中心線平均表面粗さ
(Ra)に対し2×10-4≦Ra/d1 ≦3.7×10
-3であり、かつ上記磁性層の厚さd2 が0.6μm以下
であることを特徴とする磁気記録媒体を提供するもので
ある。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の磁気記録媒体は、支持体と、この支持体上に位
置する磁性または非磁性の中間層と、該中間層上に位置
する最上層としての磁性層とから少なくともなる。ま
た、支持体の裏面には、必要に応じてバックコート層が
設けられる。更に、本発明の磁気記録媒体には、上記し
た支持体、中間層、磁性層およびバックコート層以外
に、更に、支持体と中間層またはバックコート層との間
に設けられるプライマー層や、長波長信号を使用するハ
ードシステムに対応してサーボ信号等を記録するために
設けられる他の磁性層等の他の層を設けてもよい。
【0010】本発明の磁気記録媒体は、下記の点に特徴
を有するものである。磁気記録媒体の中間層は1種以上
の粉末を含み、該粉末中、平均粒径が最も大きいものの
最長平均粒径(rm)が0.02〜0.50μmであ
り、このような粉末を含有することによって、磁性層の
表面状態が良好で、電磁変換特性等の特性に優れた磁気
記録媒体が得られる。最長平均粒径(rm)が0.02
μm未満では、塗料の分散性が悪くなり、塗料特性が悪
化する。また、最長平均粒径(rm)が0.50μmを
越えると、磁性層の表面性が悪化し、出力の低下、ドロ
ップアウトの増大となる。
【0011】また、上述のように、本発明の磁気記録媒
体では、上記中間層の厚みd1 は上記非磁性支持体の中
間層側表面の中心線平均表面粗さ(Ra)に対し、2×
10 -4≦Ra/d1 ≦3.7×10-3、好ましくは5×
10-4≦Ra/d1 ≦3.7×10-3であり、この範囲
において、磁性層の表面状態が良好で、電磁変換特性等
の特性に優れた磁気記録媒体が得られる。
【0012】上記Ra/d1 が2×10-4より小さくな
ると、Raが小さく、平滑性が良すぎるため、摩擦の増
大を招き、また、生産性が悪く支持体の平面性としては
現実的ではなくなる。または、d1 が大きく(厚く)な
り、ヘッド当たりが悪くなり、出力の低下、エラーレー
トの悪化、ドロップアウトの増大となる。
【0013】逆に、上記Ra/d1 が4×10-3より大
きくなると、磁性層の表面の表面性が悪くなり、出力の
低下、ドロップアウトの増大を招く。
【0014】また、本発明の磁気記録媒体では、上記磁
性層の厚みd2 が0.6μm以下であることが必要であ
り、上記磁性層の厚みd2 が0.6μmを越えると、出
力が低下し、エラーレートの悪化、ドロップアウトの増
大を招き好ましくない。
【0015】上記3つの要件(最大粉末径、Ra/d1
及びd2 )が1つでも欠けると、出力、ドロップアウ
ト、エラーレートの各特性が不十分となる。特に媒体厚
みが薄くなるほど(具体的には総厚7.0μm以下)、
各特性の厚さは顕著となる。
【0016】また、本発明の磁気記録媒体では、中間層
における無機粉末の平均粒径が最も大きい粉末の最長平
均粒径(rm)と上記非磁性支持体の中心線表面粗さ
(Ra)とが、2≦rm/Ra≦70の範囲にあること
が望ましく、更に望ましくは2≦rm/Ra≦60であ
る。
【0017】上記rm/Raが2より小さくなると、r
mは小さくなり、塗料の分散性が悪くなり、塗料特性が
悪化する。また、rm/Raが70より大きくなると、
支持体の表面性に対し、粉末が大きくなり、出力の低
下、ドロップアウトの増大となる。
【0018】そして、上述の特徴を有する本発明の磁気
記録媒体では、上記のように磁性層の表面状態が良好
で、電磁変換特性等の特性に優れたものとなる。
【0019】次に、本発明の磁気記録媒体の構成を説明
する。先ず、支持体について説明する。本発明の磁気記
録媒体において用いられる支持体は、通常公知のものを
特に制限されることなく用いることができるが、具体的
には、高分子樹脂からなる可撓性フィルムやディスク;
Cu、Al、Zn等の非磁性金属、ガラス、磁器、陶器
等のセラミック等からなるフィルム、ディスク、カード
等を用いることができる。
【0020】可撓性フィルムやディスクを形成する高分
子樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポ
リシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエ
チレンビスフェノキシカルボキシレート等のポリエステ
ル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ン類、セルロースアセテートブチレート、セルロースア
セテートプロピオネート等のセルロース誘導体、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、或い
はポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリス
ルフォン、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリウレタ
ン等が挙げられ、使用に際しては、単独もしくは2種以
上併用して用いることができる。
【0021】上記支持体の厚さは特に制限はなく、磁気
記録媒体の用途・形態等に応じて適宜選択でき、例えば
テープやディスクの形態で用いる場合には例えば1〜1
00μmの範囲で選択でき、2〜76μmが好ましい。
本発明は特に2〜5μmの薄い支持体を使用した時に効
果が顕著となる。また、上記支持体の中間層側表面の中
心線平均表面粗さ(Ra)は、2〜30nmであること
が望ましい。尚、Raは後述する方法によって測定され
る。
【0022】次に、上記支持体上に設けられる上記中間
層について説明する。上記中間層は磁性粉末を含有する
磁性の層であっても、磁性粉末を含有しない非磁性の層
であってもよい。上記中間層は無機粉末(磁性粉末およ
び/または非磁性粉末)および結合剤を含み、更に研磨
剤、潤滑剤および硬化剤を含む層である。上記中間層は
無機粉末、結合剤および溶剤を主成分とする塗料(中間
塗料)を用いて形成される。上記中間層を設ける目的
は、静磁気特性および表面平滑性の向上にある。
【0023】上記無機粉末としては、磁性粉末および/
または非磁性粉末である。本発明では、この無機粉末の
中で平均粒径が最も大きい粉末の最長平均粒径(rm)
は、上記のように、0.02〜0.50μmであり、好
ましくは0.02〜0.40μmである。
【0024】また、本発明の磁気記録媒体では、中間層
における無機粉末の平均粒径が最も大きい粉末の最長平
均粒径(rm)と上記非磁性支持体の中心線表面粗さ
(Ra)とが、2≦rm/Ra≦70の範囲にあること
が望ましく、更に望ましくは2≦rm/Ra≦60であ
る。
【0025】本発明において、上記中間層に無機粉末と
して用いられる上記磁性粉末としては、強磁性粉末が好
ましく用いられ、該強磁性粉末としては軟磁性粉末およ
び硬磁性粉末のいずれもが好ましく用いられる。該軟磁
性粉末の種類は特に制限されないが、通常磁気ヘッドや
電子回路等のいわゆる弱電機器に用いられているものが
好ましく、例えば近角聡信著「強磁性体の物理(下)磁
気特性と応用」(裳華房、1984年)第368〜37
6頁に記載されているソフト磁性材料(軟磁性材料)を
使用でき、具体的には酸化物軟磁性粉末を使用すること
ができる。
【0026】上記酸化物軟磁性粉末の保磁力は、通常
0.008〜12.0kA/mであり、飽和磁化は、通
常30〜90Am2 /kgである。また金属軟磁性粉末
の保磁力は通常0.0016〜8.0kA/mであり、
飽和磁化は通常50〜500Am2 /kgである。
【0027】また上記軟磁性粉末の形状は特に制限され
ないが、球状、板状、針状等が挙げられ、その大きさは
5〜800nmであることが好ましい。
【0028】また、上記硬磁性粉末としては、例えば、
γ−Fe2 3 、Co被着γ−Fe 2 3 等の酸化鉄系
磁性粉末、鉄単独または鉄を主体とする強磁性金属粉
末、および六方晶系フェライト粉末等が挙げられる。
【0029】上記強磁性金属粉末としては、金属分が5
0重量%以上であり、該金属分の60重量%以上が鉄で
ある強磁性金属粉末が挙げられる。該強磁性金属粉末の
具体例としては、例えばFe、Fe−Co、Fe−N
i、Fe−Al、Fe−Ni−Al、Fe−Co−N
i、Fe−Co−Al、Fe−Ni−Al−Zn、Fe
−Al−Si等の合金の粉末が挙げられる。
【0030】上記酸化鉄系磁性粉末および鉄を主体とす
る強磁性金属粉末では、その形状は針状または紡錘状で
あることが好ましい。そしてその長軸長は、好ましくは
0.05〜0.15μm、更に好ましくは0.05〜
0.12μmである。また、好ましい針状比は2〜1
0、好ましい粒径は、X線法で測定した値として、10
0〜250Åであり、好ましいBET比表面積は40m
2 /g以上、より好ましくは45〜70m2 /g、さら
に好ましくは50〜70m2 /gである。
【0031】また、上記六方晶系フェライトとしては、
微小平板状のバリウムフェライトおよびストロンチウム
フェライト並びにそれらのFe原子の一部がTi、C
o、Ni、Zn、V等の原子で置換された磁性粉末等が
挙げられる。また、該六方晶系フェライト粉末は、好ま
しい板径が0.02〜0.07μmであり、好ましい板
状比が2〜7であり、好ましいBET比表面積が30〜
60m2 /gである。
【0032】上記強磁性粉末の保磁力は、120〜21
0kA/mであることが好ましく、特に125〜200
kA/mであることが好ましい。上記範囲内であれば全
波長領域でのRF出力が過不足なく得られ、しかもオー
バーライト特性も良好となる。
【0033】また、上記酸化鉄系磁性粉末および強磁性
金属粉末の飽和磁化は、100〜180Am2 /kgで
あることが好ましく、特に110〜160Am2 /kg
であることが好ましい。また、上記六方晶系フェライト
粉末の飽和磁化は、30〜70Am2 /kgであること
が好ましく、特に45〜70Am2 /kgであることが
好ましい。上記範囲内であれば十分な再生出力が得られ
る。
【0034】また、上記磁性粉末には、必要に応じて希
土類元素や遷移金属元素を含有させることができる。
【0035】本発明においては、上記磁性粉末の分散性
等の向上させるために、該磁性粉末に表面処理を施して
もよい。上記表面処理は、「Characterization of Powd
er Surfaces 」(Academic Press)に記載されている方
法等と同様の方法により行うことができ、例えば上記磁
性粉末の表面を無機質酸化物で被覆する方法が記載され
ており、好適に採用することができる。この際、用いる
ことができる上記無機質酸化物としては、Al2 3
SiO2 、TiO2 、ZrO2 、SnO2 、Sb
2 3 、ZnO等が挙げられ、使用に際してはこれらを
単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、上記
表面処理は上記の方法以外にシランカップリング処理、
チタンカップリング処理およびアルミニウムカップリン
グ処理等の有機処理によっても行うことができる。
【0036】本発明において、上記無機粉末として用い
られる上記非磁性粉末としては、例えば、グラファイ
ト、酸化チタン、硫酸バリウム、硫化亜鉛、炭酸マグネ
シウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、
酸化マグネシウム、二酸化マグネシウム、二硫化タング
ステン、二硫化モリブテン、窒化ホウ素、二酸化錫、二
酸化珪素、非磁性の酸化クロム、炭化珪素、酸化セリウ
ム、コランダム、人造ダイヤモンド、非磁性の酸化鉄
(ベンガラ)、ザクロ石、ガーネット、ケイ石、窒化珪
素、炭化モリブテン、炭化ホウ素、炭化タングステン、
炭化チタン、ケイソウ土、ドロマイト、樹脂性の粉末等
が挙げられる。これらの中でも非磁性の酸化鉄、酸化チ
タン、酸化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素等が好ましく用
いられる。これら非磁性粉末は単独で用いても、2種以
上併用してもよい。但し、研磨剤として用いられるアル
ミナは、上記無機粉末としての非磁性粉末に包含されな
い。
【0037】また、カーボンブラックも上記無機粉末と
しての非磁性粉末に包含される。このようなカーボンブ
ラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、
カラー用ブラック、アセチレンブラック、ケッチエンブ
ラック等が挙げられ、その詳細は「カーボンブラック便
覧」(カーボンブラック協会編)等に記載されている。
【0038】上記非磁性粉末の形状は、球状、板状、針
状、無定状のいずれでもよく、また、その大きさは、球
状、板状、無定形のものの場合は、5〜200nmであ
ることが好ましく、また、針状のものは、長軸長が20
〜300nmで針状比が3〜20であることが好まし
い。
【0039】上記非磁性粉末には、上記磁性粉末と同様
に必要に応じて、希土類元素や遷移元素を含有させるこ
とができる。また、上記非磁性粉末の分散性等を向上さ
せるために、上記磁性粉末と同様の表面処理を施すこと
ができる。
【0040】上記結合剤としては、熱可塑性樹脂、熱硬
化性樹脂、および反応型樹脂等が挙げられ、使用に際し
ては単独または併用して用いることができる。上記結合
剤の具体例としては、塩化ビニル系の樹脂、ポリエステ
ル、ポリウレタン、ニトロセルロース、エポキシ樹脂等
が挙げられ、その他にも、特開昭57−162128号
公報の第2頁右上欄第19行〜第2頁右下欄第19行等
に記載されている樹脂等が挙げられる。さらに、上記結
合剤は、分散性等向上のために極性基を含有してもよ
い。
【0041】上記結合剤の配合割合は、上記無機粉末
(磁性粉末および/または非磁性粉末)100重量部に
対して、5〜200重量部が好ましく、5〜70重量部
が更に好ましい。
【0042】上記中間塗料に含有される溶剤としては、
ケトン系の溶剤、エステル系の溶剤、エーテル系の溶
剤、芳香族炭化水素系の溶剤および塩素化炭化水素系の
溶剤等が挙げられ、具体的には上記特開昭57−162
128号公報の第3頁右下欄17行〜第4頁左下欄10
行等に記載されている溶剤を用いることができる。
【0043】上記溶剤の配合割合は、上記無機粉末(磁
性粉末および/または非磁性粉末)100重量部に対し
て、80〜500重量部が好ましく、100〜350重
量部が更に好ましい。
【0044】また、上記中間塗料には、分散剤、潤滑
剤、研磨剤、帯電防止剤、防錆剤、防黴剤、効黴剤およ
び硬化剤等の通常の磁気記録媒体に用いられる添加剤を
必要に応じて添加することができる。上記添加剤として
具体的には、上記特開昭57−162128号公報の第
2頁左下欄6行〜第2頁右下欄10行および第3頁左下
欄6行〜第3頁右上欄18行等に記載されている種々の
添加剤を挙げることができる。
【0045】上記中間層の厚みd1 は、0.5〜2.0
μm未満であることが好ましく、1.0〜2.0μm未
満であることがより好ましい。上記範囲内であると、磁
気記録媒体は良好な耐久性や電磁変換特性が得られる。
【0046】また、上述のように、上記中間層の厚みd
1 は上記非磁性支持体の中間層側表面の中心線平均表面
粗さ(Ra)に対し、2×10-4≦Ra/d1 ≦3.7
×10-3、好ましくは5×10-4≦Ra/d1 ≦3.7
×10-3である。
【0047】上記中間塗料を調製するには、例えば、上
記無機粉末(磁性粉末および/または非磁性粉末)およ
び結合剤を溶剤の一部と共にナウターミキサー等に投入
し予備混合して混合物を得、得られた混合物を連続式加
圧ニーダー等により混練し、次いで、溶剤の一部で希釈
し、サンドミル等を用いて分散処理した後、潤滑剤等の
添加剤を混合して、濾過し、更に硬化剤や残余の溶剤を
混合する方法等を挙げることができる。
【0048】次に、磁性層について説明する。磁性層
は、通常、磁気記録媒体の最上層、即ち磁気記録媒体の
表面に存在する層であり、強磁性粉末と結合剤とを少な
くと含む層である。この磁性層は強磁性粉末、結合剤お
よび溶剤を主成分とする磁性塗料(磁性塗料)を用いて
形成することができる。
【0049】上記強磁性粉末としては、上記中間層に用
いられる磁性粉末として例示したもののうち、鉄を主体
とする強磁性金属酸化物粉末、強磁性金属粉末、強磁性
六方晶系フェライト粉末等が好ましく用いられ、その具
体例は上記中間層に用いられる強磁性粉末として例示し
たものと同様である。
【0050】上記磁性層には、非磁性粉末が含有されて
いてもよい。このような非磁性粉末としては、上記中間
層に用いられる非磁性粉末と同様のものが使用される。
【0051】上記強磁性粉末または非磁性粉末には、必
要に応じて、希土類元素や遷移元素を含有させることが
できる。また、上記強磁性粉末または非磁性粉末の分散
性等を向上させるために、該粉末に上記中間層に含有さ
れる磁性粉末と同様の表面処理を施すことができる。
【0052】上記磁性層には、カーボンブラックが含有
されることが望ましい。このようなカーボンブラックと
しては、上記中間層に用いられるカーボンブラックと同
様のものが用いられる。
【0053】上記磁性層に含有される結合剤としては、
磁気記録媒体の結合剤として通常用いられる熱可塑性樹
脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂等が特に制限なく用いら
れるが、好ましくは、上述した中間層に用いられる結合
剤と同様のものが用いられる。上記結合剤の配合割合
は、上記強磁性粉末100重量部に対して、5〜200
重量部が好ましく、5〜70重量部が更に好ましい。
【0054】上記磁性塗料に含有される溶剤としては、
上記中間層の形成に用いられる中間塗料に含有される溶
剤と同様のものが用いられる。上記溶剤の配合割合は、
上記強磁性粉末100重量部に対して、80〜500重
量部が好ましく、100〜350重量部が更に好まし
い。
【0055】また、上記磁性塗料には、必要に応じて、
上記中間層の形成に用いられる中間塗料に添加される添
加剤を添加することができる。
【0056】上記磁性層の厚さは、上記したように0.
6μm以下であり、0.1〜0.5μmであることが好
ましい。上記範囲内であると耐久性と電磁変換特性のバ
ランスが良い。そして、上記磁性層の厚さが0.6μm
を越えると、再生出力が低下し、またエラレートが悪化
し、ドロップアウトも増大する。
【0057】上記磁性塗料を調製するには、例えば、上
記強磁性粉末および上記結合剤を溶剤の一部と共にナウ
ターミキサー等に投入し予備混合して混合物を得、得ら
れた混合物を連続式加圧ニーダー等により混練し、次い
で、溶剤の一部で希釈し、サンドミル等を用いて分散処
理した後、添加剤を混合して、濾過し、更に残余の溶剤
を混合する方法等を挙げることができる。
【0058】本発明の磁気記録媒体において支持体の裏
面に必要に応じて設けられるバックコート層は、公知の
バックコート塗料を特に制限なく用いて形成することが
できる。
【0059】本発明の磁気記録媒体は、8mmビデオテ
ープ、DATテープ、DDSテープ、DVCテープ等の
磁気テープやフロッピーディスク等の磁気記録媒体とし
て適用することができる。
【0060】次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法の
概略を述べる。先ず、中間層を形成する中間塗料と磁性
層を形成する磁性塗料を調製する。次いで、支持体上に
中間塗料および磁性塗料とを中間層および磁性層の乾燥
厚みがそれぞれ上記範囲の厚みとなるようにウエット・
オン・ウエット方式により同時重層塗布を行い、中間層
および磁性層の塗膜を形成する。即ち、磁性層は、中間
層の湿潤時に塗設・形成されているのが好ましい。この
際の塗布速度は50〜1000m/minとすることが
望ましい。
【0061】次いで、上記したように塗膜を形成し、得
られた塗膜に対して、磁場配向処理を行った後、乾燥処
理を行い巻き取る。この後、カレンダー処理を行った
後、更に必要に応じてバックコート層を形成する。場合
によっては、カレンダー処理を行う前にバックコート層
を形成し、その後、磁性層とバックコート層を共にカレ
ンダー処理することもできる。次いで、必要に応じて、
例えば、磁気テープを得る場合には、40〜70℃下に
て、3〜72時間エージング処理し、所望の幅にスリッ
トする。
【0062】上記同時重層塗布方法は、特開平5−73
883号公報の第42欄第31行〜第43欄第31行等
に記載されており、中間層を形成する中間塗料が乾燥す
る前に磁性層を形成する磁性塗料を塗布する方法であっ
て、中間層と磁性層との境界面が滑らかになると共に磁
性層の表面性も良好になるため、ドロップアウトが少な
く、高密度記録に対応でき、かつ塗膜(中間層および磁
性層)の耐久性にも優れた磁気記録媒体が得られる。
【0063】また、磁場配向処理は、中間塗料および磁
性塗料が乾燥する前に行われ、例えば、本発明の磁気記
録媒体が磁気テープの場合には、磁性塗料の塗布面に対
して平行方向に約40kA/m以上、好ましくは約80
〜800kA/mの磁界を印加する方法や、中間塗料お
よび磁性塗料が湿潤状態のうちに80〜800kA/m
のソレノイド等の中を通過させる方法等によって行うこ
とができる。
【0064】乾燥処理は、例えば、加熱された気体の供
給により行うことができ、この際、気体の温度とその供
給量を制御することにより塗膜の乾燥程度を制御するこ
とができる。乾燥条件としては、例えば熱風の温度を3
0〜120℃、風速を5〜35m/secとし、乾燥時
間を1〜60秒間とするのが好ましい。
【0065】また、カレンダー処理は、メタルロールお
よびコットンロール若しくは合成樹脂ロール、メタルロ
ールおよびメタルロール等の2本のロールの間を通すス
ーパーカレンダー法等により行うことができる。
【0066】なお、本発明の磁気記録媒体の製造に際し
ては、必要に応じ、磁性層表面の研磨やクリーニング工
程等の仕上げ工程を施すこともできる。また、中間塗料
および磁性塗料の塗布は、通常公知の逐次重層塗布方法
により行うこともできる。
【0067】
【実施例】以下、実施例及び比較例により、本発明を更
に具体的に説明するが、本発明は、これらに限定される
ものではない。
【0068】〔実施例1〕 〔塗料の調製〕下記の配合成分(ポリイソシアネート、
脂肪酸、脂肪酸エステルを除く)を、溶剤の一部と共に
ナウターミキサーに投入し、予備混合して混合物を得、
得られた混合物を連続加圧ニーダーにより混練した。次
いで、溶剤の一部で希釈し、サンドミルにて分散処理し
た後、脂肪酸及び脂肪酸エステルを混合して、濾過し、
更に残りの溶剤を混合して、磁性塗料、中間塗料および
バックコート塗料をそれぞれ調製した。
【0069】 (磁性塗料) ・磁性粉末(鉄を主体とする強磁性金属粉末) 100重量部 Fe:Co:Al:Y=62.5/30/4.5/3(重量比) (保磁力180kA/m、飽和磁化143Am2 /kg、長軸長0.07μm、 結晶子サイズ160Å、BET比表面積55m2 /g、水分量1.0%) ・アルミナ(平均粒径0.15μm) 10重量部 ・アルミナ(平均粒径0.1μm) 3重量部 ・カーボンブラック(平均一次粒径50nm) 0.5重量部 ・カーボンブラック(平均一次粒径17nm) 1.5重量部 ・スルホン酸基含有塩化ビニル系樹脂 1.2重量部 (スルホン酸基含有量1.5×10-4eq/g) ・スルホン酸基含有ポリウレタン 8重量部 (数平均分子量23000、スルホン酸基含有量1.9×10-4eq/g) ・ミリスチン酸 1.8重量部 ・ブチルオレート 1.2重量部 ・メチルエチルケトン 150重量部 ・トルエン 50重量部 ・シクロヘキサノン 80重量部
【0070】 (中間塗料:非磁性) ・酸化チタン(平均長軸長0.033μm) 60重量部 ・非磁性酸化鉄(α−酸化鉄) 40重量部 (長軸長0.10μm、Al含有量4.5重量%、軸比9、モース硬度8) ・カーボンブラック(平均一次粒径0.018μm) 12重量部 ・アルミナ(平均粒径0.15μm) 9重量部 ・スルホン酸基含有塩化ビニル系樹脂 13重量部 (スルホン酸基含有量1.5×10-4eq/g) ・スルホン酸基含有ポリウレタン 7重量部 (数平均分子量23000、スルホン酸基含有量1.9×10-4eq/g) ・オレイルオレート 1重量部 ・ミリスチン酸 1.9重量部 ・メチルエチルケトン 150重量部 ・トルエン 40重量部 ・シクロヘキサノン 90重量部
【0071】 (バックコート塗料) ・カーボンブラック(平均一次粒径0.028μm) 32重量部 ・カーボンブラック(平均一次粒径0.062μm) 8重量部 ・「ニッポラン230 l」 20重量部 〔商品名、日本ポリウレタン工業(株)製のポリウレタン〕 ・ニトロセルロース 20重量部 〔旭化成工業(株)製の粘度表示1/2秒のもの〕 ・ポリイソシアネート 4重量部 〔武田薬品工業社製、商品名「D−250N」〕 ・銅フタロシアニン 5重量部 ・ステアリン酸 0.5重量部 ・メチルエチルケトン 200重量部 ・トルエン 100重量部 ・シクロヘキサノン 150重量部
【0072】〔磁気記録媒体の製造〕厚さ4.4μmの
ポリアミド製支持体(Ra:4nm)の表面上に、上記
中間塗料と上記磁性塗料とを、形成される塗膜の乾燥厚
みがそれぞれ1.5μmおよび0.2μmとなるよう
に、ウエット・オン・ウエット方式により同時重層塗布
を行い、中間層および磁性層の塗膜を形成した。
【0073】次に、各塗膜が湿潤状態のうちに400k
A/mのソレノイド中を通過させて磁場配向処理を行
い、90℃にて乾燥処理を行った後、巻き取った。次い
で、85℃、300kg/cmの条件でカレンダー処理
を行い、中間層および磁性層を形成した。この後、上記
支持体の裏面上にバックコート塗料を乾燥厚さが0.6
μmになるように塗布し、90℃で乾燥処理を行った
後、巻き取った。その後、50℃の温度で16時間エー
ジング処理し、3.88mm幅にスリットして、磁気記
録媒体としての3.88mm幅の磁気テープを得た。
【0074】〔実施例2および比較例1〜5〕中間層の
最大粉末およびその平均粒径(rm)、非磁性支持体の
Ra、中間層および磁性層膜厚を表1に示されるように
変えた以外は、実施例1と同様にして磁気テープを得
た。
【0075】〔磁気記録媒体の評価〕実施例1〜2およ
び比較例1〜5によって得られた磁気テープについて、
下記測定方法に従って、出力、エラーレート及びドロッ
プアウトを測定した。その結果を、中間層の最大粉末お
よびその平均粒径(rm)、非磁性支持体のRa、中間
層および磁性層膜厚、Ra/d1 、rm/Raと共に表
1に示す。
【0076】〔測定方法〕 ・非磁性支持体の中心線平均表面粗さ(Ra) 非磁性支持体について、Zygo社製レーザー光干渉式
表面粗さ測定器、商品名「Laser Inter f
erometric MicroscopeMaxim
3D Model 5700」を使用して、下記条件
にて測定した。
【0077】・出力 得られた3.88mm幅の磁気テープをデータストレー
ジ用3.88mm幅用DDSカセットに装填し、メディ
ア評価機「ML4500B」(メディアロジック製エバ
リュエーター)にDDS3用ドライブ(ヒューレット・
パッカード製)を装着し、これを用いて得られた3.8
8mmDDSテープカセットに13.5MHz(記録波
長0.33μm)の信号を記録し、これを再生した際の
出力(再生出力)を測定した。
【0078】・エラーレート メディア評価機「ML4500B」(メディアロジック
製エバリュエーター)にDDS3用ドライブ(ヒューレ
ット・パッカード製)を装着し、上記DDSカセットの
エラーレートを常法に準じて測定した。
【0079】・ドロップアウト メディア評価機「ML4500B」(メディアロジック
製エバリュエーター)にDDS3用ドライブ(ヒューレ
ット・パッカード製)を装着し、上記DDSカセット
に、9MHzの信号を記録し、これを10000トラッ
ク再生した時に、標準となる出力に対して50%以上の
出力低下があった場合をドロップアウトとしてカウント
した。
【0080】
【表1】
【0081】表1から明らかなように、実施例1〜2の
磁気テープは、比較例1〜5の磁気テープに比べて、再
生出力が大きく、しかもドロップアウトが少なく、また
エラーレートも良好である。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気記録
媒体は、磁性層の表面状態が良好で、また電磁変換特性
等の特性に優れる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、厚さd1 で1種以上の粉末
    を含有する中間層を設け、その上に厚さd2 の最上層と
    しての磁性層を設けた磁気記録媒体において、 上記中間層の該粉末中、平均粒径が最も大きい粉末の最
    長平均粒径(rm)が0.02〜0.50μmであり、
    その厚みd1 が上記支持体の中間層側表面の中心線平均
    表面粗さ(Ra)に対し2×10-4≦Ra/d1 ≦3.
    7×10-3であり、かつ上記磁性層の厚さd2 が0.6
    μm以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記支持体のRaに対する上記中間層に
    おけるrmの比が、2≦rm/Ra≦70である請求項
    1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記中間層の厚みd1 が0.5μm≦d
    1 <2.0μmである請求項1または2に記載の磁気記
    録媒体。
  4. 【請求項4】 上記rmが0.02μm≦rm≦0.5
    μmである請求項1、2または3に記載の磁気記録媒
    体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002050025A (ja) * 2000-07-31 2002-02-15 Toray Ind Inc 磁気記録媒体用ポリエステルフィルム及び磁気記録テープ

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JP4552286B2 (ja) * 2000-07-31 2010-09-29 東レ株式会社 磁気記録媒体用ポリエステルフィルム及び磁気記録テープ

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