JPH10334448A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH10334448A
JPH10334448A JP13873797A JP13873797A JPH10334448A JP H10334448 A JPH10334448 A JP H10334448A JP 13873797 A JP13873797 A JP 13873797A JP 13873797 A JP13873797 A JP 13873797A JP H10334448 A JPH10334448 A JP H10334448A
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magnetic
curing agent
layer
catalyst
recording medium
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JP13873797A
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English (en)
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Futoshi Sasaki
太 佐々木
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な表面性を有し、電磁変換特性及び走行
耐久性に優れた磁気記録媒体及びその製造方法を提供す
ること。 【解決手段】 磁性粉末と結合剤とからなる磁性層3を
有する磁気記録媒体1において、硬化剤前駆体から触媒
により解離した硬化剤によって前記結合剤が硬化されて
いることを特徴とする磁気記録媒体。磁性粉末と結合剤
とからなる磁性層3を有する磁気記録媒体1の製造方法
において、触媒によって硬化剤に解離する硬化剤前駆体
を磁性粉末や結合剤等からなる磁性塗料中に添加する工
程と、この磁性塗料によって前記磁性層となる磁性塗膜
を形成する工程と、前記触媒の作用下で前記硬化剤前駆
体を解離させて前記結合剤の硬化を開始する工程とを有
することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性粉末と結合剤
とからなる磁性層を有する磁気記録媒体(例えば、磁気
テープ、磁気ディスク等)及びその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録の分野では、フェラ
イト、酸化クロム等の酸化物磁性粉末やFe、Co、N
i等を主成分とする金属磁性粉末や合金磁性粉末を有機
高分子材料からなる結合剤中に分散せしめた磁性塗料を
ポリエステルやポリエチレンテレフタレート等からなる
非磁性支持体上に塗布することによって磁性層を形成し
た、いわゆる塗布型(単層塗布型)の磁気記録媒体が広
く利用されている。
【0003】近年、この分野においては、記録の高密度
化、記録波長の短波長化が進められており、上記塗布型
の磁気記録媒体においても、そのような高密度記録化、
短波長記録化に対応する特性を有することが求められる
ようになっている。
【0004】ここで、塗布型の磁気記録媒体において、
高密度記録領域での電磁変換特性を改善する手法として
は、磁性層の薄層化が挙げられる。磁性層の厚みを薄く
すると、記録時の自己減磁損失や再生時の厚み損失が減
少し、電磁変換特性が効果的に改善されることになる。
【0005】また、磁性層の厚さを薄くすると、その表
面性は非磁性支持体の表面性に依存する割合が大きくな
る。即ち、非磁性支持体の表面形状が磁性層の表面に浮
き出し易くなり、磁性層の表面が粗れた状態になり、こ
れにより、スペーシングロスが生じて電磁変換特性が劣
化したり、ドロップアウトが誘発することがある。
【0006】そこで、塗布型の磁気記録媒体では、磁性
層と非磁性支持体との間に比較的厚さの厚い非磁性層を
磁性層の下層として介在させ、これによって、非磁性支
持体の表面形状が磁性層表面に現れ難くした、いわゆる
重層塗布型の磁気記録媒体が提案されている。この重層
塗布型の磁気記録媒体では、厚さの薄い磁性層が平滑な
表面で形成できるので、短波長領域において優れた電磁
変換特性が得られることになる。
【0007】このような重層塗布型の磁気記録媒体は、
まず、非磁性粉末と結合剤とを溶剤と共に分散させるこ
とで調製された非磁性塗料を非磁性支持体上に塗布して
下層非磁性層を形成し、その後、磁性粉末と結合剤とを
溶剤と共に分散させることで調製された磁性塗料を塗布
して上層磁性層を形成している。
【0008】また、上記の単層磁性層を有する磁気記録
媒体や重層塗布型の磁気記録媒体においては、上述した
ように、磁性層表面の平滑化によって高密度記録に適し
た磁気記録媒体を形成することができるが、媒体表面が
高度に平滑化されると、媒体の使用時には、媒体と磁気
ヘッドやガイドピン等の摺動部材との摩擦が大きくなっ
て、磁気記録媒体の走行耐久性が劣化することがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】さて、一般に、上述し
た単層塗布型の磁気記録媒体や重層塗布型の磁気記録媒
体においては、磁性塗膜や非磁性塗膜の塗膜強度を大き
くし、媒体の走行耐久性を向上させる目的で、イソシア
ネート等の硬化剤を含有させることが知られている。
【0010】例えば、このような硬化剤を磁性塗料や非
磁性塗料中に含有させると、イソシアネート基(イソシ
アン酸エステル基)と結合剤分子中の水酸基やエポキシ
結合部等とが反応し、結合剤分子同士が架橋して、高強
度の磁性層を形成することができる。
【0011】一般に、上述した結合剤と硬化剤との架橋
反応は温度によって促進され、実際の磁気記録媒体の製
造工程では、硬化剤が含有された磁性塗料や非磁性塗料
等の塗料を非磁性支持体上に塗布し、塗布形成された塗
膜に熱処理などを施すことによって磁性層や非磁性層の
硬化を促進することができる。
【0012】しかしながら、室温中、短時間であっても
その一部が反応して架橋反応が進行することがあるため
に、硬化剤が添加された塗料の段階或いは塗布の終了段
階では、前記架橋反応が進行して塗料の硬化が起こり易
い。このような段階で塗料の硬化が生じると、塗布性や
表面性が低下することがある。
【0013】また、一般に、磁性塗料の場合、磁性塗料
はチキソトロピー性を示すので、時間の経過と共に磁性
塗料中の磁性粉末が凝集し始めて、やがてはゲル化して
しまう。特に、磁性塗料中に硬化剤が含まれていると、
さらにゲル化が助長されて磁気特性が低下することがあ
る。
【0014】従って、このような塗料を用いて磁性層を
形成する場合、経時的に塗料特性が劣化するために、そ
の表面性が低下すると共に磁気特性が低下して、電磁変
換特性上不利になることがあった。
【0015】そこで、本発明は、このような従来の実情
に鑑みてなされたものであり、その目的は、良好な表面
性を有し、電磁変換特性及び走行耐久性に優れた磁気記
録媒体及びその製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した課
題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、触媒の作用
下で硬化剤を生じせしめる不活性な硬化剤(硬化剤前駆
体)を、結合剤や磁性粉末と共に磁性塗料中に含有さ
せ、しかる後に前記硬化剤前駆体に前記触媒を作用させ
ることによって前記硬化剤を生じせしめて前記結合剤の
架橋を開始すれば、磁性層の硬化を故意的に遅延させる
(即ち、任意の時点で硬化させる、若しくは徐々に硬化
を行う)ことができ、また、磁性粉末の凝集や塗料の硬
化を抑制して塗料特性が経時的に変化することを抑える
ことができるので、良好な表面性を有し、電磁変換特性
や走行耐久性等に優れた磁気記録媒体を提供できること
を見出した。
【0017】即ち、本発明は、磁性粉末と結合剤とから
なる磁性層を有する磁気記録媒体において、硬化剤前駆
体から触媒により解離した硬化剤によって前記結合剤が
硬化されていることを特徴とする磁気記録媒体(以下、
本発明の磁気記録媒体と称する。)に係るものである。
【0018】本発明の磁気記録媒体によれば、硬化剤前
駆体から触媒により解離した硬化剤によって前記結合剤
が架橋され、これによって硬化された磁性層を有してい
るので、塗料中での磁性粉末の凝集等が生じにくく、塗
料特性の良好な磁性塗料で磁性層を形成することができ
るので、良好な表面性を有し、電磁変換特性や走行耐久
性等に優れた磁気記録媒体を得ることができる。
【0019】なお、上記「硬化剤前駆体」とは、このま
まの形態では硬化能をほとんど有しておらず硬化剤とし
て不活性であるが、特定の触媒を作用させると、硬化能
を有する活性な硬化剤を解離、生成することができる不
活性な硬化剤を示す。なお、この硬化剤前駆体(不活性
な硬化剤)に対して、硬化能を有する硬化剤を活性な硬
化剤と称することがある。
【0020】また、本発明の磁気記録媒体においては、
前記磁性層中に含有されている前記硬化剤前駆体が全て
解離されて活性な硬化剤を生じ、この活性な硬化剤が前
記結合剤の架橋反応に供されることが望ましいが、通
常、前記硬化剤前駆体は全て解離されることはなく、X
PS(X線光電子分光法)やIR等の手段によって前記
硬化剤前駆体の存在を確認することができる。
【0021】また、本発明は、磁性粉末と結合剤とから
なる磁性層を有する磁気記録媒体の製造方法において、
触媒によって硬化剤に解離する硬化剤前駆体を磁性塗料
中に添加する工程と、この磁性塗料によって前記磁性層
となる磁性塗膜を形成する工程と、前記触媒の作用下で
前記硬化剤前駆体を解離させて前記結合剤の硬化を開始
する工程とを有することを特徴とする、磁気記録媒体の
製造方法(以下、本発明の製造方法と称する。)に係る
ものである。
【0022】本発明の製造方法によれば、触媒によって
硬化剤に解離する硬化剤前駆体を磁性粉末や結合剤等か
らなる磁性塗料中に添加する工程と、この磁性塗料によ
って前記磁性層となる磁性塗膜を形成する工程と、前記
触媒の作用下で前記硬化剤前駆体を解離させて前記結合
剤の硬化を開始する工程とを有しており、これによって
前記磁性層を硬化させることができるので、前記磁性粉
末の凝集を抑制することができると共に、塗料特性の良
好な(例えば塗料粘度が適当な)磁性塗料で前記磁性層
を形成することができ、良好な表面性を有し、電磁変換
特性や走行耐久性等に優れた磁気記録媒体を得ることが
できる。
【0023】本発明の製造方法において、前記硬化剤前
駆体は、結合剤や磁性粉末の混練時に添加してもよい
し、例えば、磁性塗料を非磁性支持体上に塗布する直前
に前記塗料に添加してもよい。また、前記硬化剤前駆体
や前記触媒の種類、添加量を適宜選択することによっ
て、結合剤の架橋反応、即ち磁性層の硬化を任意の時点
で、若しくは徐々に行うことができる。
【0024】次に、本発明の磁気記録媒体及び本発明の
製造方法(以下、本発明と称することがある。)におけ
る作用を簡単に説明する。
【0025】本発明においては、前記硬化剤前駆体を磁
性塗料に含有しており、この硬化剤前駆体は直接には硬
化能を有していないので、結合剤分子の架橋反応を促進
することなく、また、この硬化剤前駆体は磁性粉末と反
応することもない。従って、これを含有した磁性塗料
は、分散性に優れ、また適度な粘性を有しており、塗料
特性上有効な磁性塗料になる。
【0026】この塗料特性上有効な磁性塗料を用いれ
ば、例えば、非磁性支持体上に均一かつ均等に塗布する
ことができ、分散性、表面性等に優れた磁性塗膜(即ち
磁性層)を形成することが可能である。
【0027】また、徐々に或いは任意の時点で、前記触
媒を前記硬化剤前駆体に作用させることができ、これに
よって解離、生成する活性な硬化剤における活性な官能
基が前記結合剤中の官能基と架橋し、又は結合剤分子同
士の架橋を促進させ、高強度の磁性層を形成することが
できる。このためには、例えば、後述するように、前記
触媒を下層用塗料に添加することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明によれば、イソシアン酸エ
ステル基(−N=C=O)を有するイソシアネート類を
前記硬化剤とし、この硬化剤がオキシムと反応して生成
した化合物(即ち、前記硬化剤前駆体)が前記触媒によ
って解離されることによって前記硬化を生じせしめてい
ることが望ましい。
【0029】ここで、前記オキシムの生成過程、及び前
記化合物の生成過程を簡単に説明する。
【0030】上記オキシムとしては、アルドキシム及び
/又はケトキシムを使用することが可能であり、まず、
前記オキシムとしてのアルドキシム及びケトキシムの生
成反応を以下に示す。
【0031】
【0032】上記反応式(1)は、アルデヒドとヒドロ
キシルアミンとからアルドキシムを生成する脱水縮合反
応であり、反応式(2)は、ケトンとヒドロキシルアミ
ンとからケトキシムを生成する反応である。
【0033】上記反応式(1)及び(2)において、ア
ルデヒド、ケトンとしては、様々な化合物を使用するこ
とができ、また、前記オキシムとしては、例えば、アセ
トアルドキシム、ホルムアルドキシム、ベンズアルドキ
シム等のアルドキシム類、アセトケトキシム、ホルムケ
トキシム、ベンズケトキシム等のケトキシム類などが挙
げられる。
【0034】次に、イソシアン酸エステル基を有するイ
ソシアネート類とアルドキシム、ケトキシムとが反応し
て前記化合物(即ち、前記硬化剤前駆体)を生成する反
応を以下に示す。
【0035】
【0036】上記反応式(3)に示すように、反応が右
に進行することによって、イソシアネート(イソシアン
酸エステル基を有するイソシアネート類:以下、同様)
とアルドキシムとが縮合反応してウレタン結合(−NH
COO−)を有する化合物Aを生成する。ここで、イソ
シアネートは活性な硬化能を示す硬化剤であるが、この
ようにアルドキシムでブロックされた化合物Aは、この
ままでは硬化能をほとんど有しておらず、硬化剤前駆体
である。
【0037】同様に、上記反応式(4)において、反応
が右に進行することによって、イソシアネートとケトキ
シムとが縮合反応してウレタン結合を有する化合物Bを
生成する。ケトキシムでブロックされた化合物Bは、こ
のままでは硬化能をほとんど有しておらず、硬化剤前駆
体となる。
【0038】以下、本発明に基づく硬化剤前駆体として
の化合物Aや化合物Bをブロックイソシアネートと称す
ることがある。なお、上記化合物Aや化合物Bは市販さ
れており、日本ポリウレタン社製のコロネート253
8、コロネート2513等として入手可能である。
【0039】次に、ブロックイソシアネートが、触媒の
作用下で解離して活性な硬化剤としてのイソシアネート
を生じせしめる反応を説明する。
【0040】上記反応式(3)及び反応式(4)で示し
た反応式において左への反応、即ちブロックイソシアネ
ートの解離反応は、例えば、亜鉛を主とするアミン塩等
の特定の触媒の作用下で進行する。
【0041】即ち、前記触媒の作用下で、上記反応式
(3)及び反応式(4)における反応が左へ進行し、ブ
ロックイソシアネートがイソシアネートとオキシムとを
解離、生成し、この硬化能を有する活性なイソシアネー
ト分子中のイソシアン酸エステル基が、結合剤分子中の
OH基やエポキシ結合部と反応して、前記結合剤分子同
士を架橋させ、磁性層が硬化することになる。
【0042】ここで、上述の反応が左に進行し、ブロッ
クイソシアネートからイソシアネートを生じせしめる反
応は、温度条件で大きく変わることがあり、その解離を
促進する際の温度は、上述の解離反応及び生成したイソ
シアネートによる硬化反応等の点から、60〜150℃
程度であることが好ましい。
【0043】このように、本発明においては、前記硬化
剤前駆体としてブロックイソシアネートを予め磁性塗料
中に含有させておき、しかる後に前記ブロックイソシア
ネートに前記触媒を作用させることによってイソシアン
酸エステル基を有するイソシアネートを生じせしめて前
記結合剤の架橋を促進しているので、磁性塗料(磁性
層)の硬化を故意的に遅延させる(即ち、任意の時点で
硬化させる、若しくは徐々に硬化させる)ことができる
と共に、経時的な磁性粉末の凝集を抑制して塗料特性の
劣化を抑えることができ、良好な表面性を有し、電磁変
換特性や走行耐久性等に優れた磁気記録媒体を得ること
が可能である。
【0044】また、本発明に基づく前記硬化剤前駆体と
して上記ブロックイソシアネートを使用する場合、製品
化した磁気記録媒体の磁性層においては、前記解離反応
に供されなかったブロックイソシアネートの他に、解離
されて生じたオキシム類が、例えばIR等の手段により
確認可能である。例えば、IRにおいては、イソシアン
酸エステル基(−NCO)が2900cm-1付近にピー
クとして現れるのに対し、ブロックイソシアネートにつ
いてはこれが現れない。また、前記触媒に関しては、金
属塩であればその金属分析により推定できると考えられ
る。
【0045】また、本発明においては、前記イソシアン
酸エステル基を有するイソシアネート類(特に、イソシ
アヌレート環を有するイソシアネート)が、芳香族イソ
シアネート類及び/又は脂肪族イソシアネート類である
ことが望ましい。
【0046】前記芳香族イソシアネート類としては、例
えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレン
ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネ
−ト、O−トルイジンジイソシアネート等、また、これ
らの芳香族イソシアネート類の縮合(特に、芳香族イソ
シアネート類と活性水素付加物との縮合)によって生じ
たポリイソシアネート等を使用することができる。
【0047】また、前記脂肪族イソシアネートとして
は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMD
I)のような直鎖脂肪族イソシアネートや、イソホロン
ジイソシアネート(IPDI)のような環状飽和脂肪族
イソシアネート等を使用することができる。勿論、上記
芳香族イソシアネート等同様に、これらの脂肪族イソシ
アネート類の縮合(特に、脂肪族イソシアネート類と活
性水素付加物との縮合)によって生じたポリイソシアネ
ート等を使用することもできる。
【0048】ここで、上記イソシアヌレート環とは、下
記の反応式(5)に示すように、ジイソシアネート3分
子が1個ずつイソシアン酸エステル基(−NCO)を出
し合って6員環を形成したジイソシアネート3分子の縮
合重合体である。但し、式中A、B、Cは互いに同一の
若しくは異なる芳香族炭化水素や脂肪酸炭化水素などの
2置換体である。
【0049】
【化1】
【0050】また、本発明においては、上記ブロックイ
ソシアネートを解離する触媒が、例えば、亜鉛を主とす
る金属とアミンとの複合体、カルボン酸金属塩、4級ア
ミン塩、チタン系触媒(チタン系錯塩)、1,8−ジア
ザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、前記1,8
−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7の塩
(例えば、ボラン塩、フェノール塩、オクチル塩等)か
らなる群より選ばれた少なくとも一種の触媒であること
が望ましい。上記触媒は、日本ポリウレタン社製の解離
触媒等として入手可能である。
【0051】これらの触媒によって、上述したように、
ブロックイソシアネートの解離反応を行って、イソシア
ン酸エステル基を有するイソシアネートを生成し、結合
剤分子の架橋を促進させて前記磁性層の硬化を行うこと
ができる。
【0052】次に、本発明に基づく磁気記録媒体の構成
例を説明する。
【0053】本発明に基づく磁気記録媒体の一構造例と
して、非磁性支持体上に前記触媒が含有された下層が設
けられ、この下層上に、前記硬化剤前駆体の解離による
硬化剤によって前記結合剤が硬化された前記磁性層が設
けられている構造の磁気記録媒体(重層塗布型の磁気記
録媒体)が挙げられる。
【0054】但し、前記下層としては、磁性層であって
も非磁性層であってもよいが、非磁性層を下層として、
この非磁性層中に前記触媒を含有させ、前記磁性層(上
層)に前記硬化剤前駆体を含有させることが好ましい。
【0055】このような重層塗布型の磁気記録媒体の一
構成例を図1を参照に説明する。
【0056】図1は、非磁性支持体4上に下層5と上層
(磁性層)3とが積層されている磁気記録媒体(重層塗
布型の磁気記録媒体)1の概略断面図である。
【0057】まず、下層5が非磁性層の場合、例えばカ
ーボンブラック等の無機粒子と結合剤と前記触媒とが混
練、分散処理によって調製された下層用非磁性塗料を非
磁性支持体4上に塗布して非磁性塗膜を設け、その後、
磁性粉末と結合剤と前記硬化剤前駆体とを混練、分散す
ることによって調製された上層用磁性塗料を、前記非磁
性塗膜上に塗布して、磁性塗膜が設けられた磁気記録媒
体1(重層塗布型の磁気記録媒体)を形成することがで
きる。
【0058】このような構成の重層塗布型の磁気記録媒
体においては、上述したように、前記上層を薄く形成し
た上で、その表面性の制御のために前記下層が設けられ
ているので、高密度記録に適した磁気記録媒体を作製で
きると同時に、前記下層中に前記硬化剤前駆体を解離さ
せて活性な硬化剤を生じせしめる触媒を含有しており、
下層用非磁性塗料及び上層用磁性塗料を塗布した後に下
層非磁性塗料中の前記触媒が上層磁性塗料に順次移行
し、そこから上層磁性塗料の硬化が進行するので、故意
的に硬化反応を遅延させる(即ち、徐々に硬化を行う)
ことができ、前記上層中の磁性粉末の凝集を促すことな
く、また、塗料の段階でこの塗料を硬化させずに、良好
な塗料特性及び塗布性をもって前記磁性塗料を塗布する
ことができる。従って、良好な表面性を有し、電磁変換
特性や走行耐久性等に優れた磁気記録媒体を得ることが
できる。
【0059】このような構成の磁気記録媒体において
は、重層塗布を行った直後から、前記磁性層の硬化が開
始し、温度60〜80℃、20〜30時間程度で前記磁
性層の十分な硬化を行うことができる。
【0060】なお、上記構成の磁気記録媒体において、
下層非磁性層には、通常の硬化剤が含有されていて、こ
の硬化剤による硬化が進行していても、この下層は直接
には媒体表面に露出しないので、この下層に関しては、
走行耐久性がそれほど要求されない。
【0061】勿論、前記下層にも前記硬化剤前駆体を含
有させてもよいが、これは、下層においても上層と同様
に(但し、上層ほどではないが)、その粘度が上昇する
と塗布性が劣化すると共に、内添する非磁性無機粒子等
のフィラーの分散性が劣化することを防止できるからで
ある。即ち、前記下層にも前記硬化剤前駆体を予め含有
させることによって、上層磁性塗料のみならず、下層非
磁性塗料の塗料特性も良好にすることが可能であり、ひ
いては表面性が良好であって電磁変換特性や走行耐久性
に優れた磁気記録媒体を構成することが可能である。
【0062】このように、上下両層に前記硬化剤前駆体
を含有させる場合、上層のみに硬化剤前駆体を含有させ
る場合のいずれにおいても、上層と下層との間に前記触
媒を含有する中間層を設けてもよいし、前記下層と非磁
性支持体との間及び前記上層の表面に前記触媒を含有す
る層を設けてもよい。
【0063】また、上記重層塗布型の磁気記録媒体にお
いて、下層としては、非磁性層に限らず磁性層であって
もよい。即ち、前記硬化剤前駆体を含有した上層磁性層
を短波長記録領域用の磁性層とし、前記触媒を含有した
下層磁性層を長波長記録用の磁性層とした重層塗布型の
磁気記録媒体をしてもよい。
【0064】なお、このような磁気記録媒体において、
下層磁性塗膜を塗布した後、前記触媒を含有させた中間
層を設け、この上に上層磁性塗膜を形成する等のよう
に、上層塗膜と下層塗膜との間に前記触媒を含有させた
中間層を設けることによって、前記上層及び前記下層の
硬化を促進させることも可能である。
【0065】また、前記硬化剤前駆体を含有した塗膜を
形成した後、例えば、前記触媒を含有する溶液を前記塗
膜上にスプレー等により噴霧して前記硬化剤前駆体の解
離、即ち、前記塗料の硬化を促進することもでき、ま
た、前記塗膜を形成したものを前記触媒を含有する溶液
に浸漬して、前記磁性塗料の硬化を促進させることもで
きる。即ち、任意の時点での硬化を促進することが可能
である。さらに、前記硬化剤前駆体と前記触媒とを含有
した磁性塗料(又は非磁性塗料)を用いて磁性薄膜(又
は非磁性薄膜)を形成することもできる。この場合、前
記硬化時前駆体の解離が比較的ゆるやかであるので、各
塗料の塗料特性が低下することはほとんどなく、表面性
の良好な磁気記録媒体を得ることが可能である。
【0066】また、上述した2つの重層塗布型の磁気記
録媒体において、下層用非磁性塗料(又は下層用磁性塗
料)と上層用磁性塗料との重層塗布は、下層塗膜が湿潤
状態であるうちに上層塗膜を重層塗布するウエット・オ
ン・ウエット方式で行ってもよいし、下層塗膜に乾燥処
理を施した後、上層塗膜を重層塗布するウエット・オン
・ドライ方式で行ってもよい。特に、ウエット・オン・
ウエット方式での同時重層塗布では、上層及び下層の接
着性が良好になる等の利点を有しており、また、下層に
含有した前記触媒が上層に移行し易いと考えられる。
【0067】また、本発明においては、前記硬化剤前駆
体の解離によって生じる前記硬化剤によって硬化された
単層の磁性層が非磁性支持体に設けられている構造の磁
気記録媒体であってもよい。
【0068】このような構成の磁気記録媒体の一構成例
を図2を参照に説明する。
【0069】単層磁性層6が非磁性支持体7上に形成さ
れた磁気記録媒体2は、磁性粉末と結合剤と前記硬化剤
前駆体とを含有した磁性塗料を非磁性支持体7上に塗布
することで形成される。
【0070】この磁気記録媒体においては、前記硬化剤
前駆体を前記触媒と共に含有した磁性塗料を非磁性支持
体上に塗布して磁性塗膜を形成してもよいし、或いは、
前記硬化剤前駆体を含有した磁性塗料を非磁性支持体上
に塗布して磁性塗膜を形成した後、前記触媒を含有する
溶液を前記磁性塗膜上に噴霧したり、スムーザーから供
給して前記硬化剤前駆体の解離、即ち、前記磁性塗料の
硬化を促進することができる。また、非磁性支持体上に
前記磁性塗膜を形成したものを前記触媒を含有する溶液
に浸漬して、前記磁性塗料の硬化を促進させることもで
きる。即ち、任意の時点での硬化を促進することができ
る。前記硬化剤前駆体を前記触媒と共に含有した磁性塗
料を非磁性支持体上に塗布する場合においても、磁性塗
料の硬化はゆるやかに進行するので、塗料特性等が低下
することはほとんどない。
【0071】また、前記磁性塗膜の下層、即ち、前記非
磁性支持体と前記磁性塗膜との間に、前記触媒を含有す
る層(例えば下塗り層)を設けて、この層から前記磁性
塗膜へと前記触媒を徐々に移行させて前記硬化を促進さ
せることもできる。また、前記磁性塗膜上に前記触媒を
含有する層を設けても同様の効果が得られる。
【0072】このような単層磁性層を有する磁気記録媒
体においては、上記した重層塗布型の磁気記録媒体と同
様に、故意的に硬化反応を遅延させる(即ち、任意の時
点での硬化を行う、若しくは徐々に硬化を行う)ことが
でき、前記上層中の磁性粉末の凝集を促すことなく、ま
た、塗料の段階でこの塗料を硬化させずに、良好な塗料
特性及び塗布性をもって前記磁性塗料を塗布することが
できる。従って、良好な表面性を有し、電磁変換特性や
走行耐久性等に優れた磁気記録媒体を得ることができ
る。
【0073】また、本発明においては、前記結合剤(結
合剤固形重量)100重量部に対して、前記硬化剤前駆
体が1〜80重量部の割合を占めていることが望まし
い。
【0074】前記硬化剤前駆体が1重量部未満である
と、前記硬化剤前駆体から解離する活性な硬化剤が少な
すぎて、前記磁性層の硬化を十分に行うことができず、
80重量部を越えると、前記磁性層が硬くなりすぎても
ろくなることがあり、また、相対的に、磁性粉末の量が
減り電磁変換特性等が劣化することがある。また、前記
硬化剤前駆体の割合は10〜50重量部であることがさ
らに望ましい。
【0075】また、前記硬化剤前駆体は、前記磁性塗料
に対して塗布直前に添加することもできるが、直前でな
くても、即ち、結合剤と磁性粉末と共に始めから添加し
ても構わない。
【0076】一般に、硬化剤は磁性塗料の硬化や磁性粉
末の凝集を抑制するために、磁性塗膜の形成直前に前記
磁性塗料に添加しており、特に、硬化剤の添加用の容器
内で混合しながら添加していたが、本発明によれば、結
合剤と磁性粉末と共に始めから添加してもよく、また、
この時点で添加すれば、結合剤と磁性粉末と共に十分に
混練、分散させることができる。
【0077】また、本発明においては、前記硬化剤前駆
体100重量部に対して、前記触媒が0.5〜100重
量部の割合を占めていることが望ましい。さらに望まし
くは、10〜50重量部である。
【0078】前記触媒の割合が0.5重量部未満である
と、前記硬化剤前駆体の解離反応が十分に進行せず、結
合剤の架橋度、即ち磁性層の硬化が不十分であることが
ある。また、前記触媒の割合が100重量部を越える
と、長期保存において、塗膜表面に析出(ブルーミン
グ)し、ドロップアウトの原因になることがある。
【0079】また、前記触媒は比較的低分子量のもの
が、浸み出し易さ及び拡散性の点から望ましい。
【0080】以上、本発明における特徴的構成を説明し
たが、本発明の磁気記録媒体及び本発明の製造方法にお
いて、前記磁性層、前記非磁性層の具体的な材料は、以
下に示すものが挙げられる。
【0081】まず、前記磁性層は主として強磁性粉末及
び結合剤により構成されており、強磁性粉末としては、
γ−Fe2 3 、Co含有γ−Fe2 3 、Co被着γ
−Fe2 3 、CrO2 、またマグネタイトに代表され
るフェライト類、即ちFe34 、Co含有Fe
3 4 、Co被着Fe3 4 等が挙げられる。
【0082】これらのフェライトのうち、板状であって
板面に対して垂直方向に磁化容易軸を有するものは強磁
性粉末として好適である。そのような磁化容易軸を有す
るフェライトとしては、六方晶系フェライトが挙げられ
る。
【0083】六方晶系フェライトには、バリウムフェラ
イト、ストロンチウムフェライト等があり、鉄元素の一
部が他の元素(例えば、Ti、Co、Zn、In、M
n、Ge、Nbなど)で置換されていてもよい。なお、
六方晶系フェライトの中でも、とりわけバリウムフェラ
イトが好ましく、更にはFeの一部が少なくともCo及
びZnで置換されたバリウムフェライトであって、平均
粒径(六方晶系フェライトの板面の対角線の長さ)が3
00〜900Å、板状比(六方晶系フェライトの板面の
対角線の長さを板厚で除した値)が2.0〜10.0、
保磁力Hcが450〜1500Oeのものが好ましい。
【0084】また、強磁性粉末としては、金属磁性粉末
を用いてもよい。金属磁性粉末としては、Fe、Co等
の金属粉末の他、Fe−Al系、Fe−Al−Ni系、
Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Co系、Fe−Al
−Ca系、Fe−Ni系、Fe−Ni−Co系、Fe−
Ni−Si−Al−Mn系、Fe−Ni−Si−Al−
Zn系、Fe−Al−Si系、Fe−Ni−Zn系、F
e−Ni−Mn系、Fe−Ni−Si系、Fe−Mn−
Zn系、Fe−Co−Ni−P系、Ni−Co系等のよ
うに、Fe、Ni、Co等を主成分とする合金粉末が挙
げられる。
【0085】このうち、Fe系の磁性粉末は電気的特性
に優れている。また、耐蝕性及び分散性の点では、Fe
−Al系、Fe−Al−Ca系、Fe−Al−Ni系、
Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Co系、Fe−Ni
−Si−Al−Zn系、Fe−Ni−Si−Al−Mn
系等のFe−Al系の合金粉末が好ましい。
【0086】これらの金属磁性粉末の形状は、平均長軸
長が0.5μm以下、好ましくは0.01〜0.4μ
m、更に好ましくは0.01〜0.3μmであり、か
つ、軸比(平均長軸長/平均短軸長)が12以下、好ま
しくは10以下のものがよい。例えば、Fe−Al系強
磁性金属粉末(Fe:Al重量比=100:5)であっ
て、平均長軸長が0.16μm、保磁力Hcが1580
Oe、飽和磁化量σsが120emu/gのものが非常
に優れた特性を発揮する。なお、上記平均長軸長及び平
均短軸長は、透過型電子顕微鏡等による観察によって求
めることができる。
【0087】このように、強磁性粉末には、酸化物磁性
粉末や金属磁性粉末が使用できるが、いずれにおいても
飽和磁化量(σs)が70emu/g以上であることが
好ましい。飽和磁化量が70emu/g未満であると、
十分な電磁変換特性が得られないことがある。また、高
密度記録領域での記録再生能を向上させる点から、BE
T法による比表面積が45m2 /g以上であることが好
ましい。
【0088】次に、結合剤としては、ポリウレタン樹
脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル系共重合体等の塩化
ビニル系樹脂等が代表的である。
【0089】これら樹脂は、−SO3 M、−OSO
3 M、−COOM、−PO(OM’)2(但し、Mは水
素原子又はNa、K、Li等のアルカリ金属原子を表
し、M’は水素原子又はNa、K、Li等のアルカリ金
属原子、アルキル基を表す)及びスルホペタイン基から
選ばれた少なくとも一種の極性基を繰返し単位として含
有していることが好ましい。これら極性基は、強磁性粉
末の分散性を向上させる作用があり、含有率は0.1〜
8.0モル%、更には0.2〜6.0モル%であるのが
好ましい。極性基の含有率が0.1モル%未満である
と、磁性粉末の分散性が低下する。逆に含有率が8.0
モル%を超えていると、磁性塗料がゲル化し易くなる。
また、樹脂の重量平均分子量は、15,000〜50,
000の範囲であるのが好ましい。
【0090】なお、極性基を含有する塩化ビニル系共重
合体は、例えば塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体
等の水酸基を有する共重合体と、極性基及び塩素原子を
有する化合物との付加反応により合成することができ
る。
【0091】また、前記ポリエステル樹脂は、ポリオー
ルと多塩基酸との反応により合成することができる。な
お、他の極性基を導入したポリエステルも公知の方法で
合成することが可能である。
【0092】前記ポリウレタン樹脂は、ポリオールとポ
リイソシアネートとの反応により合成することができ
る。このポリオールとしては、ポリオールと多塩基酸と
の反応によって得られるポリエステルポリオールが一般
に使用される。なお、極性基を有するポリエステルポリ
オールを原料として用いれば、極性基を有するポリウレ
タンを合成することができる。
【0093】これらの樹脂は、一種類単独で用いてもよ
く、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、
ポリウレタン及び/又はポリエステルと、塩化ビニル系
樹脂とを混合して用いる場合、その重量比は90:10
〜10:90、好ましくは70:30〜30:70の範
囲であるのがよい。
【0094】更に、下記の樹脂を全結合剤の50重量%
以下の使用量で併用するようにしてもよい。
【0095】即ち、併用する樹脂としては、重量平均分
子量が10,000〜200,000である塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共
重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタ
ジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、
ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセル
ロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、フェノー
ル樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェ
ノキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホ
ルムアミド樹脂、各種の合成ゴム系樹脂等が挙げられ
る。
【0096】結合剤としては、上述したような樹脂を用
いることができるが、これら結合剤の前記磁性層への混
合量は、強磁性金属粉末100重量部に対して8〜25
重量部が好ましく、10〜20重量部であるのが更に好
ましい。
【0097】また、前記磁性層には、媒体の走行耐久性
等を改善する目的で、通常、この種の磁気記録媒体で用
いられる研磨剤、潤滑剤、分散剤、帯電防止剤及び導電
性微粉末等の添加剤を添加してもよい。
【0098】研磨剤としては、特開平4−214218
号公報に記載されるような固体粉末が使用できる。この
研磨剤の平均粒子径は0.05μm〜0.6μm、好ま
しくは0.05μm〜0.5μm、更に好ましくは0.
05μm〜0.3μmである。また、この研磨剤の添加
量は(磁性粉末100重量部に対して)3〜20重量
部、好ましくは5〜15重量部、更に好ましくは5〜1
0重量部とするのが適当である。
【0099】潤滑剤としては、脂肪酸や脂肪酸エステル
等が単独あるいは混合して使用される。脂肪酸は、一塩
基酸であっても二塩基酸であってもよく、炭素数は6〜
30が好ましく、12〜22であるのがより好ましい。
【0100】これら脂肪酸や脂肪酸エステルの添加量
は、磁性粉末に対して0.2〜10重量%であるのが好
ましく、更には0.5〜5重量%であるのが好ましい。
脂肪酸の添加量が0.2重量%未満である場合には、媒
体の走行性が十分に改善されず、また、10重量%を超
えると、脂肪酸が磁性層の表面にしみ出したり、出力低
下が生じ易くなる。一方、脂肪酸エステルの添加量が
0.2重量%未満であると、特にスチル耐久性が不足す
る。また、10重量%を超えると、脂肪酸エステルが磁
性層の表面にしみ出したり、出力低下が生じ易くなる。
なお、脂肪酸と脂肪酸エステルとを併用する場合、脂肪
酸と脂肪酸エステルの比率は重量比で10:90〜9
0:10が好ましい。
【0101】また、上記脂肪酸、脂肪酸エステルと共
に、公知の潤滑剤を併用してもよい。併用する潤滑剤と
しては、シリコーンオイル、弗化カーボン、脂肪酸アミ
ド、オレフィンオキサイド等が挙げられる。
【0102】分散剤としては、特開平4−214218
号公報に記載されるような化合物が使用できる。これら
の分散剤は、磁性粉末に対して0.5〜5重量%の範囲
で用いるのが適当である。
【0103】帯電防止剤としては、特開平4−2142
18号公報に記載されるような界面活性剤が使用でき
る。これらの帯電防止剤の添加量は、結合剤に対して
0.01〜40重量%の範囲とするのがよい。この他、
導電性微粉末を帯電防止剤として添加してもよい。この
導電性微粉末としては、例えばカーボンブラック、グラ
ファイト、酸化錫、銀粉、酸化銀、硝酸銀、銀の無機化
合物、銅粉等の金属粒子や、酸化亜鉛、硫酸バリウム、
酸化チタン等の金属酸化物等の顔料を、酸化錫被膜又は
アンチモン固溶酸化錫被膜等の導電性物質でコーティン
グ処理したものが挙げられる。これら導電性微粉末の平
均粒子径としては、5〜700nm、好ましくは5〜2
00nmであるのがよい。また、これら導電性微粉末の
添加量は、磁性粉末100重量部に対して1〜20重量
部、好ましくは2〜7重量部が適当である。
【0104】また、前記非磁性層は主として、非磁性粉
末及び結合剤により構成される。
【0105】まず、非磁性粉末としては、カーボンブラ
ック、グラファイト、TiO2 、硫酸バリウム、Zn
S、MgCO3 、CaCO3 、ZnO、CaO、二硫化
タングステン、二硫化モリブデン、窒化硼素、MgO、
SnO2 、SiO2 、Cr2 3 、α−Al2 3 、α
−Fe2 3 、α−FeOOH、SiC、酸化セリウ
ム、コランダム、人造ダイヤモンド、α−酸化鉄、ざく
ろ石、ガーネット、珪石、窒化珪素、炭化珪素、炭化モ
リブデン、炭化硼素、炭化タングステン、チタンカーバ
イド、珪藻土、ドロマイト等が挙げられる。このうち、
特にカーボンブラック、CaCO3 、TiO2 、硫酸バ
リウム、α−Al2 3 、α−Fe2 3 、α−FeO
OH、Cr2 3 等の無機粉末が好ましい。
【0106】なお、これらの非磁性粉末は、Si化合物
及び/又はAl化合物によって表面処理されていてもよ
い。表面処理された非磁性粉末を用いることにより、磁
性層の表面性が改善される。なお、表面処理は、Si、
Alの含有量が非磁性粉末に対して0.1〜10重量%
となるように行うのが好ましい。
【0107】また、非磁性粉末の形状は、針状であるの
が望ましい。針状の非磁性粉末を用いることによって、
非磁性層表面の平滑性が向上し、その結果、この層上に
積層される磁性層の表面も平滑なものになる。また、非
磁性粉末の長軸長、短軸径及び軸比(長軸径/短軸径)
は、以下の範囲であるのがよい。即ち、非磁性粉末の長
軸径は、0.50μm以下、好ましくは0.40μm以
下、更に好ましくは0.30μm以下であるのがよい。
また、短軸径は、0.10μm以下、好ましくは0.0
8μm以下、更に好ましくは0.06μm以下であるの
がよい。また、軸比(長軸径/短軸径)は、2〜20、
好ましくは5〜15、更に好ましくは5〜10が適当で
ある。比表面積は、10〜250m2 /g、好ましくは
20〜150m2 /gであり、更に好ましくは30〜1
00m2 /gであるのがよい。以上のような長軸径、短
軸径、軸比及び比表面積を有する非磁性粉末を使用する
と、下層非磁性層の表面性が良好になり、その上に積層
される上層磁性層の表面性も良好な状態になる。
【0108】非磁性粉末の非磁性層への混合量は、前記
非磁性層を構成する全成分の合計量に対して、50〜9
9重量%、好ましくは60〜95重量%、更に好ましく
は70〜95重量%とするのが適当である。非磁性粉末
の混合量をこの範囲とすることで、非磁性層、ひいては
磁性層の表面性が良好なものになる。
【0109】結合剤としては、上述した樹脂がいずれも
使用可能である。結合剤混合量は、非磁性粉末100重
量部に対して5〜150重量部、好ましくは10〜12
0重量部とするのがよい。
【0110】また、非磁性層に、本発明に基づく前記硬
化剤前駆体を含有しない場合は、硬化剤(耐久性向上
剤)として、通常の硬化剤であるポリイソシアネート等
が使用される。ポリイソシアネートとしては、例えばト
リレンジイソシアネート(TDI)と活性水素化合物と
の付加体等の芳香族ポリイソシアネートや、ヘキサメチ
レンジイソシアネート(HMDI)と活性水素化合物と
の付加体等の脂肪族ポリイソシアネート等がある。これ
らポリイソシアネートの重量平均分子量は100〜3,
000の範囲であることが望ましい。
【0111】但し、非磁性層に、本発明に基づく前記硬
化剤前駆体を用いる場合は、これらの通常の硬化剤を併
用してもよく、また全く使用しなくても構わない。
【0112】更に、前記非磁性層においても、前述した
各種添加剤を添加することができる。添加量は、非磁性
塗料の粘弾性等が所定の条件を満たすものであれば、特
に制限はない。
【0113】以上のような原材料を用いて磁性層、非磁
性層を形成するためには、まず磁性塗料、非磁性塗料を
それぞれ調製する。
【0114】磁性塗料は、先に例示した強磁性粉末、結
合剤及び分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等の各種
添加剤を溶媒と共に混練して高濃度磁性塗料を調製した
後、この高濃度磁性塗料を希釈、分散させることによっ
て調製することができる。前記硬化剤前駆体はこれらの
各種添加剤と同時に加えてもよいし、前記各種添加剤の
調製後、塗布の直前に加えてもよい。また、上述した一
般的な硬化剤を、本発明の効果を妨げない範囲で、適当
量混合しても構わない。
【0115】また、非磁性塗料は、先に示した非磁性粉
末、結合剤及び分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤、
硬化剤等の各種添加剤を溶媒と共に混練して高濃度非磁
性塗料を調製した後、この高濃度非磁性塗料を希釈、分
散させることによって調製することができる。勿論、前
記触媒も前記各種添加剤と同時に添加することができ
る。
【0116】上述した磁性塗料や非磁性塗料の塗料化の
溶媒としては、この種の磁気記録媒体で通常用いられて
いるもの、例えば特開平4−214218号公報に記載
されるメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノ
ン等の有機溶媒などを使用可能である。この溶媒は、単
独で用いても2種類以上を混合して用いても構わない。
【0117】また、前記塗料の混練分散機としては、例
えば特開平4−214218号公報に記載されるものが
いずれも使用可能である。特に、0.05〜0.5kW
(磁性粉末1kg当たり)の消費電力負荷が提供できる
ことから、加圧ニーダー、オープンニーダー、連続ニー
ダー、二本ロールミル、三本ロールミル等が適当であ
る。
【0118】ここで、非磁性支持体としては、例えば、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−
ナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等の
ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロ
ースダイアセテート等のセルロース誘導体、ポリアミ
ド、アラミド樹脂、ポリカーボネート等のプラスチック
類等が挙げられる。これらの非磁性支持体は、単層構造
であっても多層構造であってもよい。また、例えば、コ
ロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。
【0119】非磁性支持体の厚みは、特に制限されない
が、例えば、媒体がフィルム状やシート状の場合には、
2〜100μm、好ましくは3〜50μmとするのが適
当である。また、ディスク状やカード状の場合は、30
μm〜10mm程度、ドラム状の場合にはレコーダ等の
設計に応じて適宜に選択される。
【0120】ここで、本発明に基づく前記重層塗布型の
磁気記録媒体(図1参照)を作製するために、例えば図
3に示すような塗膜形成システムを用いることができ
る。
【0121】即ち、この塗膜形成システムにおいては、
塗膜(非磁性層及び磁性層)が形成される非磁性支持体
11が供給ロール13から巻取りロール12に向かって
図中矢印D方向に搬送されるようになされており、この
搬送方向に沿って塗布装置14、配向用磁石15、乾燥
機16、カレンダー装置17がこの順に配置されてい
る。
【0122】このような塗膜形成システムでは、まず、
塗布装置14によって上層用磁性塗料及び下層用非磁性
塗料(又は下層用磁性塗料)が非磁性支持体11上に重
層塗布される。
【0123】この塗布装置14においては、図4(A)
に示すように、下層(非磁性層又は磁性層:以下、同
様)用塗料を塗布するための下層用押し出しコーター1
8と、上層(磁性層:以下、同様)用塗料を塗布するた
めの上層用押し出しコーター19とが、上層用押し出し
コーター19が非磁性支持体11の送り出し側、下層用
押し出しコーター18が非磁性支持体11の導入側とな
るように配置、構成されている。
【0124】これら下層用押し出しコーター18と上層
用押し出しコーター19には、その先端部に塗料が押し
出されるスリット部20、22が形成され、このスリッ
ト部20、22の背面側には塗料が供給される塗料溜ま
り21、23が設けられている。このような押し出しコ
ーター18、19においては、塗料溜まり21、23に
供給された塗料が、スリット部20、22を介してコー
ター先端部に押し出されるようになされている。
【0125】一方、塗料が塗布される非磁性支持体11
は、この下層用押し出しコーター18及び上層用押し出
しコーター19の先端面に沿って、下層用押し出しコー
ター18から上層用押し出しコーター19に向かって図
中矢印D方向に搬送される。
【0126】このようにして搬送される非磁性支持体1
1には、まず下層用押し出しコーター18を通過する際
に、この下層用押し出しコーター18のスリット部20
から押し出された下層用塗料がその表面に塗布されて下
層塗膜24が形成される。そして、上層用押し出しコー
ター19を通過する際に、この上層用押し出しコーター
19のスリット部22から押し出された上層用塗料が湿
潤状態の下層塗膜24上に塗布され、下層塗膜24、上
層塗膜25が逐次形成される。
【0127】なお、これら押し出しコーター18、19
への塗料の供給はインラインミキサーを介して行うよう
に構成してもよい。
【0128】以上のようにして非磁性支持体上に形成さ
れた下層塗膜と上層塗膜とは、配向用磁石15、乾燥器
16、カレンダー装置17に順次搬送される。
【0129】配向用磁石15では、上層塗膜(磁性塗
膜)が磁場配向処理される。なお、配向用磁石15とし
ては、長手配向用磁石或いは垂直配向用磁石が上層塗膜
に含有される磁性粉末の種類に応じて適宜選択される。
これら配向用磁石の磁場は、20〜10,000ガウス
程度であるのが望ましい。
【0130】乾燥器16では、例えば乾燥器16内の上
下に配されたノズルからの熱風によって、下層塗膜、上
層塗膜を乾燥することができる。このとき、乾燥条件
は、温度が約30〜120℃、乾燥時間が約0.1〜1
0分間程度とするのがよい。
【0131】このような条件の下で、前記硬化剤前駆体
を前記触媒の作用下で十分に解離させ、活性な硬化剤と
結合剤との架橋反応を促進させて強固な磁性層を形成す
ることができる。
【0132】そして、乾燥器16を通過した下層塗膜と
上層塗膜は、さらにカレンダー装置17に導かれて、表
面平滑化処理される。このカレンダー装置17による表
面平滑化処理条件では、温度、線圧力及び搬送スピード
等が重要となる。ここで、温度は50〜140℃、線圧
力は50〜1000kg/cm2 、搬送スピードは20
〜1000m/分であるのが好ましい。これらの条件を
満足しない場合には、上層の表面性が損なわれることが
ある。
【0133】なお、この塗布システムでは、下層用塗
料、上層用塗料が分離された別々のコーターで塗布され
るが、図4(B)に示すように、下層用押し出しコータ
ーと上層用押し出しコーターとが一体化した形の押し出
しコーター26を用いるようにしてもよい。
【0134】更に、押し出しコーターの他、スライドコ
ーター、スプレイコーター、リバースロール、グラビア
ロール、エアドクターコーター、ブレードコーター、エ
アナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、
トランスファロールコーター、キスコーター、キャスト
コーター等を用いるようにしてもよい。このとき下層用
塗料と上層用塗料の塗布方式は同じであっても異なって
いてもよい。従って、例えばスライドコーターと押し出
しコーターとを組み合わせたり、スプレイコーターと押
し出しコーターとを組み合わせて上層用塗料、下層用塗
料をそれぞれ塗布することも可能である。
【0135】また、以上の構成では、下層用非磁性塗料
と上層用磁性塗料が逐次的に塗布されるが、2つのスリ
ットが近接して形成された押し出しコーターを用い、こ
の押し出しコーターによって下層用塗料、上層用塗料を
同時に塗布するようにしてもよい。
【0136】即ち、図4(C)に示すように、同時重層
塗布方式で用いる押し出しコーター27は、先端部に塗
料が押し出される2つのスリット部(下層用スリット部
28、上層用スリット部30)が近接して形成され、こ
の2つのスリット部28、30の背面側には、それぞれ
下層用塗料、上層用塗料が供給される下層用塗料溜まり
29、上層用塗料溜まり31が設けられている。この押
し出しコーター27では、この塗料溜まり29、31に
供給された下層用塗料、上層用塗料がスリット部28、
30を介して前記コーターの先端部に押し出される。一
方、塗料が塗布される非磁性支持体11は、上記押し出
しコーターの先端面に沿って、下層用スリット部28か
ら上層用スリット部30に向かって図中矢印D方向に搬
送される。
【0137】このようにして搬送される非磁性支持体1
1には、下層用スリット部28及び上層用スリット部3
0を通過する際に、この下層用スリット部28から押し
出された下層用塗料が塗布され、この下層用塗料の上
に、上層用スリット部30から押し出された上層用塗料
が塗布され、非磁性塗膜(又は磁性塗膜)24、磁性塗
膜25が同時に形成される。
【0138】このようにして下層非磁性層(又は下層磁
性層)、上層磁性層が形成された磁性フィルムは、この
後、バーニッシュ処理あるいはブレード処理等が必要に
応じて行われ、所望の媒体形状とされることで磁気記録
媒体となる。
【0139】ここで上述の押し出しコーターにおいてス
リット部の先端は非磁性支持体に接触していてもよい
し、非接触でもよい。
【0140】また、媒体形状は、テープ状、フィルム
状、シート状、カード状、ディスク状、ドラム状等、磁
気記録媒体において通常用いられている形状がいずれも
採用可能である。
【0141】このようにして製造される磁気記録媒体
は、特に、上層磁性層中の磁性粉末の分散性が良好であ
り、またその表面性が良好であることから、電磁変換特
性に優れている。また、前記活性な硬化剤による硬化作
用が十分に得られており、かつ、下層上層間の接着性が
高いので、膜剥離が起き難く、高い膜強度が得られ、優
れた走行耐久性が得られる。
【0142】なお、高密度記録領域における電磁変換特
性を改善するには、上層磁性層の膜厚が0.3μm以
下、好ましくは0.1〜0.3μmとされているのが望
ましい。上層磁性層の厚さが0.3μmを超えている
と、電気的特性が劣化することがあり、例えば、デジタ
ル記録方式に適用する媒体としては不十分になることが
ある。
【0143】ここでは、上述した重層塗布型の磁気記録
媒体の製造工程について説明したが、上述の単層磁性層
を有する磁気記録媒体(図2参照)についても、塗布装
置14の構成を単層磁性層用の塗布装置にすること以外
は、ほとんど図3に示した塗膜形成システムと同様のシ
ステムを用いて単層磁性層を有する磁気記録媒体を製造
することができる。
【0144】但し、例えば、単層磁性層を有する磁気記
録媒体においては、上述したように、磁気記録媒体自身
に前記触媒を有していない場合、外部から前記触媒を作
用させる必要があるので、適宜、触媒噴霧器の如く前記
触媒の作用部を設けることが望ましい。なお、磁気記録
媒体自身が前記触媒を有している場合、例えば、前記単
層磁性層と非磁性支持体との間に前記触媒を含有する層
が設けられている場合などは、前記触媒の作用部を設け
る必要はない。
【0145】以上が基本的な構成の磁気記録媒体の製造
工程であるが、更に非磁性支持体の下層及び上層が設け
られていない面にバックコート層を設けたり、下層と非
磁性支持体との間に下引き層を設けるようにしてもよ
い。これらバックコート層、下引き層は、通常の方法に
準じて形成することができる。
【0146】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例について説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0147】実施例1 まず、下記の組成に準じて、上層用磁性塗料、下層用非
磁性塗料の各成分を計量し、それぞれの塗料用原料をニ
ーダー及びサンドミルを用いて混練、分散し、上層用磁
性塗料、下層用非磁性塗料を形成した。
【0148】 <磁性塗料組成> 強磁性粉末(強磁性鉄微粉末) 100重量部 (BET法による比表面積:50m2 /g、保磁力1600Oe) スルホン酸ナトリウム基含有ポリウレタン樹脂 6重量部 (東洋紡績社製UR−8700) スルホン酸カリウム基含有塩化ビニル樹脂 14重量部 (日本ゼオン社製MR−110) カ−ボンブラック(旭50) 4重量部 α−アルミナ 8重量部 ブチルステアレート 2重量部 ブロックイソシアネート 5重量部 (日本ポリウレタン社製コロネート2538) (トリレンジイソシアネートをオキシムでブロックしたもの、 固形分:58.6重量%、有効イソシアネート含有量:7.3重量%) メチルエチルケトン 200重量部 トルエン 150重量部 シクロヘキサノン 200重量部
【0149】 <非磁性塗料組成> α−Fe2 3 100重量部 (BET法による比表面積:52m2 /g) スルホン酸ナトリウム基含有ポリウレタン樹脂 6重量部 (東洋紡績社製UR−8700) スルホン酸カリウム基含有塩化ビニル樹脂 14重量部 (日本ゼオン社製MR−110) ブロックイソシアネート解離触媒(日本ポリウレタン社製) 2重量部 (Znを主とする金属アミン複合体、固形分:50重量%、キシレン溶媒) ブチルステアレート 2重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 50重量部 シクロヘキサノン 100重量部
【0150】更に、非磁性塗料には、混練、分散処理後
にポリイソシアネート系化合物(日本ポリウレタン社製
コロネートL)を5重量部添加した。但し、上記ブロッ
クイソシアネートによって解離、生成するイソシアネー
トは芳香族イソシアネート類に族するものである。ま
た、上記ブロックイソシアネート解離触媒とは、ブロッ
クイソシアネートを解離させ、活性な硬化剤を生じせし
めるための触媒である(以下、解離触媒と称することが
ある)。
【0151】このようにして調製した上層用磁性塗料及
び下層用非磁性塗料を、以下に示す方法に基づいてサン
プルディスクを作製し、その特性の評価を行った。
【0152】〔試験A〕本試験は、ブロックイソシアネ
ートとその解離触媒との反応について評価するためのも
のである。
【0153】まず、上述のように調製した磁性塗料に、
直接前記解離触媒を2重量部添加し、添加直後(0時
間)の塗料と添加後10時間経過した塗料とを準備し
た。
【0154】そして、図3に示した塗膜形成システムを
用いて、厚さ60μmのポリエチレンテレフタレートフ
ィルム上に乾燥後の膜厚が2.0μmとなるように各塗
料を単層塗布し、この塗膜が未乾燥状態である間にラン
ダム的に磁場配向処理を行って、乾燥し磁性層を形成し
た。但し、ここでは、単層塗布のため、図3の塗布装置
14として単層塗布用の押し出しコーター(スリットが
一つのもの)を用いた。
【0155】この後、ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムの前記磁性層を形成した面とは反対側に、同様にし
て磁性層を形成した。その後、カレンダーによる表面平
滑化処理を施して広幅の原反磁気シート(磁気記録媒体
原反)を得た。
【0156】このようにして得られた前記原反磁気シー
トを直径3.5インチの円盤状に打抜いた後、温度60
℃のオーブンに入れて20時間放置してエージングし、
その後3.5インチ用フロッピーディスク用シェルに組
み込み、サンプルディスクを作製した。
【0157】この2種類のサンプルディスク(添加直後
の塗料を用いたものと、添加後10時間経過した塗料を
用いたもの)について、表面グロス、表面祖度Ra、電
磁変換特性(S/N)、抽出率及び耐久性を各々測定し
た。但し、前記抽出率は、添加後10時間経過した塗料
を用いたサンプルディスクのみ測定した。この測定結果
を下記の表1に示す。
【0158】〔試験B〕本試験は、上層磁性層と下層非
磁性層とを有する重層塗布型の磁気記録媒体において、
上層用磁性塗料にブロックイソシアネートを添加し、下
層用非磁性塗料に解離触媒を添加した場合の実際の磁気
記録媒体(磁気ディスク)の、電磁変換特性や走行耐久
性等の評価試験である。
【0159】上述したように調製した上層用磁性塗料及
び下層用非磁性塗料を、図3に示す塗布システムを用い
て重層塗布すること以外は、上述の試験Aと同様にして
サンプルディスクを作製した。
【0160】また、上層用磁性塗料及び下層用非磁性塗
料は、これらの塗料の調製から10時間経過後に図3の
塗膜形成システムを用いて重層塗布を行った。なお、乾
燥後の膜厚は、下層非磁性層を1.5μm、上層磁性層
を0.5μmとした。
【0161】このようにして作製したサンプルディスク
について、表面祖度Ra、電磁変換特性(S/N)及び
走行耐久性を測定した。この測定結果を下記の表2に示
す。
【0162】次に、上記サンプルディスクの特性の測定
方法について示す。
【0163】表面グロス:ここでは表面グロス計(日本
電測社製)を使用した。各グロス値は、各サンプルディ
スクの3点を測定し、その平均値として記載した。な
お、このグロス値は、磁性粉末の分散性の指標であり、
数値が大きいほど分散性が良好であることを示す。
【0164】表面祖度Ra:表面祖度として中心線平均
粗さ(Ra)をタリーステップ粗さ計(テーラーホプソ
ン社製)を使用して測定した。測定条件は、スタイラス
が2.5×0.1μm、針圧が2mg、カット・オフ・
フィルターが0.33Hz、測定速度が2.5μm/
s、基準長が0.5mmとした。
【0165】抽出率:結合剤の抽出率をもとに、上層磁
性層に硬化剤が未添加の場合の結合剤の抽出率を100
%として下記の式(A)より算出した。なお、この抽出
操作としては、各サンプルディスクをテトラヒドロフラ
ン(THF)に20時間浸漬し、抽出液をゲル浸透クロ
マトグラフィー(GPC)で分析することによって、結
合剤の抽出量とした。この抽出量が少ないほど、結合剤
が十分に架橋しており、磁性層の硬化率が高いといえ
る。 抽出率(%)={(硬化剤未添加の時の抽出量)−(各サンプルの抽出量)} /(硬化剤未添加の時の抽出量)・・・式(A)
【0166】電磁変換特性(S/N):記録波長1.5
μmにおけるS/N(SN比)を磁気ディスクの内周部
で測定し、基準としてのソニー社製21MB用フロッピ
ーディスクと比較した値を示す。但し、ここで使用した
ドライブは、NEC社製の13.3MBフロッピーディ
スクドライブ(FDD:以下、同様)に21MB用ヘッ
ドを搭載したものである。
【0167】走行耐久性:温度25℃、湿度60%の環
境下で1トラック上を300万回走行させ、負荷トルク
の上昇量を測定した。負荷トルクの測定は、基準トルク
ドライブに流れる電流値をトルク係数で割ることによっ
て求めた。測定方法は、ドライブに磁気ディスクが入っ
ていないシェルのみを挿入し、そのときのドライブに流
れる電流しきい値電圧(C1 )を測定し、次に、サンプ
ル磁気ディスクの入ったシェルを前記ドライブに挿入し
てヘッドを接触させたときの電流値(C2 )を測定して
下記の式により負荷トルクTを求めた。 T=(C1 −C2 )/トルク係数 (但し、トルク係数
=1.98) ここでは、使用した基準トルクドライブは、2MB用F
DD(ソニー社製MPF−73w)を600回転用に改
造したものである。なお、数値は小さいほど走行耐久性
に優れていることを示す。
【0168】実施例2 上記磁性塗料組成において、ブロックイソシアネートと
してトリレンジイソシアネートをオキシムでブロックし
たものの代わりに、ヘキサメチレンジイソシアネートを
オキシムでブロックしたもの(日本ポリウレタン社製コ
ロネート2513、固形分:80.4重量%、有効イソ
シアネート含有量:9.9重量%)を使用した以外は、
添加量、他の配合成分等は上記実施例1と同様にして、
試験A及び試験Bのサンプルディスクを作製した。但
し、このブロックイソシアネートによって解離、生成す
るイソシアネートは脂肪族イソシアネート類に族するも
のである。なお、その特性評価も上記実施例1と同様に
して行った。
【0169】次に、比較例1〜6について説明する。比
較例1〜6についても、実施例1と同様の試験A及び試
験Bを行った。
【0170】比較例1 前記磁性塗料にブロックイソシアネートを添加せず、前
記非磁性塗料に前記解離触媒を添加しない以外は、上記
実施例1と同様にしてサンプルディスクを作製する。
【0171】比較例2 前記磁性塗料にブロックイソシアネートを添加せず、そ
の代わりにポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタ
ン社製のコロネートL)を塗布直前に5重量部添加し、
前記非磁性塗料に前記解離触媒を添加しない以外は、上
記実施例1と同様にしてサンプルディスクを作製する。
【0172】比較例3 前記非磁性塗料には前記解離触媒を添加しない以外は、
上記実施例1と同様にしてサンプルディスクを作製す
る。即ち、ブロックイソシアネートを前記磁性塗料中に
含有しているものである。
【0173】次に、このようにして作製した比較例の各
サンプルディスクについて、実施例1と同様の下記の試
験を行った。
【0174】〔試験A〕比較例1 調製直後の磁性塗料と、調製後10時間経過後の磁性塗
料とを用いて、上記実施例の試験Aと同様に、単層磁性
層のサンプルディスクを作製し、この2種類のサンプル
ディスクについて、表面グロス、表面祖度Ra、電磁変
換特性(S/N)、抽出率、耐久性を各々測定した。こ
の測定結果を下記の表1に示す。
【0175】比較例2 上記比較例1と同様に単層磁性層のサンプルディスクを
作製し、上記各特性の測定を行った。
【0176】比較例3 上記比較例1と同様に単層磁性層のサンプルディスクを
作製し、上記各特性の測定を行った。
【0177】〔試験B〕比較例1 上述のようにして作製された上層用磁性塗料、下層用非
磁性塗料を、上記実施例1の試験Bと同様にして重層塗
布型のサンプルディスクを作製した。このようにして作
製したサンプルディスクについて、表面祖度Ra、電磁
変換特性(S/N)及び走行耐久性を測定した。この測
定結果を下記の表2に示す。
【0178】比較例2 上記比較例1と同様に重層塗布型のサンプルディスクを
作製し、上記各特性の測定を行った。
【0179】比較例3 上記比較例1と同様に重層塗布型のサンプルディスクを
作製し、上記各特性の測定を行った。
【0180】上記試験Aについての上記各特性の評価結
果を下記の表1に、上記試験Bについての上記各特性の
評価結果を下記の表2に示した。
【0181】なお、表中、硬化剤の種類の欄で、略号
a’は、前記芳香族系のイソシアネートを解離、生成す
るブロックイソシアネートとその解離触媒とを添加した
もの(実施例1)であり、略号b’は、脂肪族系のイソ
シアネートを解離、生成するブロックイソシアネートと
その解離触媒とを添加したもの(実施例2)である。ま
た、略号a(実施例1)は硬化剤として芳香族系のイソ
シアネートを解離、生成するブロックイソシアネートで
あり、略号b(実施例2)は脂肪族系のイソシアネート
を解離、生成するブロックイソシアネートを示す。ま
た、略号c(比較例2)はポリイソシアネート系の硬化
剤(日本ポリウレタン社製のコロネートL)、略号d
(比較例3)は芳香族系のイソシアネートを解離、生成
するブロックイソシアネートを示すものである。
【0182】また、表1中、「0H」とは、ブロックイ
ソシアネート(又はポリイソシアネート硬化剤)に解離
触媒と添加した直後の塗料を用いたサンプルディスクで
あり、「10H」とは、ブロックイソシアネート(又は
ポリイソシアネート硬化剤)に解離触媒と添加してから
10時間経過した後のサンプルディスクである。
【0183】 *1 21MB用FD(ソニー社製)を基準媒体(0dB)として計算した。
【0184】 *1 21MB用FD(ソニー社製)を基準媒体(0dB)として計算した。 *2 走行後、ディスク面に走行傷が見られたもの。
【0185】 *1 21MB用FD(ソニー社製)を基準媒体(0dB)として計算した。 *2 走行後、ディスク正面に走行傷が見られたもの。
【0186】以下、上記試験A及び試験Bについても評
価を行う。
【0187】まず、試験Aの測定結果を示している表1
から、実施例1及び実施例2のサンプルディスクにおい
ては、比較例2のサンプルディスクと同様に、時間の経
過と共に、表面グロス、表面祖度Ra及びS/Nがやや
変化していることがわかる。また、抽出率は実施例1で
20%、実施例2では12.4%と小さく、これは、時
間の経過と共に硬化反応が進行したためであると思われ
る。
【0188】一方、比較例1や比較例3のサンプルディ
スクは、硬化反応に付随する表面グロス等の変化は見ら
れない。
【0189】また、比較例3のサンプルディスクの抽出
率から、ブロックイソシアネート自身はほとんど硬化能
を有していないことがわかる。
【0190】また、試験Aは、ブロックイソシアネート
と解離触媒とを単層磁性層用の磁性塗料中に予め添加し
たものである。塗布10時間後のサンプルディスクにお
いて、実施例1及び実施例2は、ブロックイソシアネー
トを十分に分散しているので、表面グロス、表面祖度R
a、S/N及び耐久性について、比較例1〜3に比べて
ほぼ同等かそれ以上の結果が得られている。即ち、磁性
粉末と結合剤とブロックイソシアネートとを始めから混
練、混合しても各材料の性能は変化せず(ポットライフ
が長くなり)、特にブロックイソシアネートの均一分散
化が容易であって分散性に優れている。なお、実施例1
及び実施例2においては、特に塗布直前に硬化剤を添加
するための添加部(添加用容器)を必要としていない。
【0191】次に、試験Bの測定結果を示す表2から、
実施例1及び実施例2のサンプルディスクは、その走行
耐久性において、初期から300万パス後のトルクが安
定しているのに対し、比較例1や比較例3のサンプルデ
ィスクでは、前記トルクが大きく上昇しているのに加え
て、ディスクの表面に傷が確認された。これは、前者が
硬化反応に伴い塗膜強度が向上しているのに比べて、後
者のサンプルディスクは、磁性層の硬化が行われずに塗
膜強度が小さいことによるものである。
【0192】また、表面性(表面祖度Ra)と電磁変換
特性(S/N)に着目すると、比較例2に比べて実施例
1及び実施例2のサンプルディスクは良好な値を示して
いる。このことは、比較例2のサンプルディスクでは、
硬化反応に伴う磁性塗膜の塗布時の塗料特性の劣化に起
因すると考えられる。一方、実施例1及び実施例2のサ
ンプルディスクでは、硬化反応は塗膜形成後に、前記解
離触媒が下層側から上層へと移行してブロックイソシア
ネートが解離することによって硬化反応を生じているた
めに、磁性粉末の凝集等の塗料特性の劣化を抑え、かつ
良好な走行耐久性が得られたと考えられる。
【0193】このように、本実施例の製造方法及び磁気
記録媒体(磁気ディスク)によれば、前記解離触媒によ
りブロックイソシアネートから解離、生成したイソシア
ネート硬化剤によって、磁性塗膜中の結合剤が架橋さ
れ、磁性層が硬化しているので、塗料中での磁性粉末の
凝集を抑制でき、また、塗布時には硬化していない塗料
特性の良好な磁性塗料で磁性層を形成することができる
ので、良好な表面性を有し、電磁変換特性や走行耐久性
等に優れた磁気記録媒体を得ることができる。
【0194】
【発明の作用効果】本発明の磁気記録媒体によれば、磁
性粉末と結合剤とからなる磁性層を有する磁気記録媒体
において、硬化剤前駆体から触媒により解離した硬化剤
によって前記結合剤が硬化された磁性層を有しており、
塗料中での磁性粉末の凝集等を抑制でき、塗料特性の良
好な磁性塗料で磁性層を形成することができるので、良
好な表面性を有し、電磁変換特性や走行耐久性等に優れ
た磁気記録媒体を得ることができる。
【0195】また、本発明の製造方法によれば、磁性粉
末と結合剤とからなる磁性層を有する磁気記録媒体の製
造方法において、触媒によって硬化剤に解離する硬化剤
前駆体を磁性粉末や結合剤等からなる磁性塗料中に添加
する工程と、この磁性塗料によって前記磁性層となる磁
性塗膜を形成する工程と、前記触媒の作用下で前記硬化
剤前駆体を解離させて前記結合剤の硬化を開始する工程
とを有しており、これによって前記磁性層を硬化させる
ことができるので、前記磁性粉末の凝集を抑制すること
ができると共に、塗料特性の良好な(例えば塗料粘度が
適当な)磁性塗料で前記磁性層を形成することができ、
また、任意の時点で前記磁性層の硬化を促進させること
ができるので、良好な表面性を有し、電磁変換特性や走
行耐久性等に優れた磁気記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一例を示す概略断面図
である。
【図2】同、磁気記録媒体の他の一例を示す概略断面図
である。
【図3】本発明の製造方法に使用できる塗膜形成システ
ムの模式図である。
【図4】同、使用できる塗布装置の一例の概略断面図
(A)、同、他の塗布装置の一例の概略断面図(B)、
同、他の塗布装置の一例の概略断面図(C)である。
【符号の説明】
1…重層塗布型の磁気記録媒体、2…単層磁性層を有す
る磁気記録媒体、3…上層(磁性層)、4、7、11…
非磁性支持体、5…下層(磁性層又は非磁性層)、12
…巻取りロール、13…供給ロール、14…塗布装置、
15…配向用磁石、16…乾燥機、17…カレンダー装
置、18、19、26、31…押し出しコーター、2
0、22、28、30…スリット部、21、23、2
7、29…塗料溜まり

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性粉末と結合剤とからなる磁性層を有
    する磁気記録媒体において、硬化剤前駆体から触媒によ
    り解離した硬化剤によって前記結合剤が硬化されている
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 イソシアン酸エステル基を有するイソシ
    アネート類を前記硬化剤とし、この硬化剤がオキシムと
    反応して生成した前記硬化剤前駆体としての化合物が前
    記触媒により解離されることによって前記硬化を生じせ
    しめている、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記イソシアン酸エステル基を有するイ
    ソシアネート類が、芳香族イソシアネート類及び/又は
    脂肪族イソシアネート類である、請求項2に記載した磁
    気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記イソシアネート類がイソシアヌレー
    ト環を有する、請求項3に記載した磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記オキシムがアルドキシム及び/又は
    ケトキシムである、請求項2に記載した磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記触媒が、亜鉛を主とする金属とアミ
    ンとの複合体、カルボン酸金属塩、4級アミン塩、チタ
    ン系触媒、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウン
    デセン−7、前記1,8−ジアザビシクロ(5,4,
    0)ウンデセン−7の塩からなる群より選ばれた少なく
    とも一種の触媒である、請求項2に記載した磁気記録媒
    体。
  7. 【請求項7】 非磁性支持体上に前記触媒が含有された
    下層が設けられ、この下層上に、前記硬化剤前駆体の解
    離による前記硬化剤によって前記結合剤が硬化された磁
    性層が設けられている、請求項1に記載した磁気記録媒
    体。
  8. 【請求項8】 前記下層が磁性層又は非磁性層である、
    請求項7に記載した磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記硬化剤前駆体の解離によって生じる
    前記硬化剤によって硬化された単層の磁性層が非磁性支
    持体に設けられている、請求項1に記載した磁気記録媒
    体。
  10. 【請求項10】 前記結合剤100重量部に対して、前
    記硬化剤前駆体が1〜80重量部の割合を占めている、
    請求項1に記載した磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 前記硬化剤前駆体100重量部に対し
    て、前記触媒が0.5〜100重量部の割合を占めてい
    る、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】 磁性粉末と結合剤とからなる磁性層を
    有する磁気記録媒体の製造方法において、触媒によって
    硬化剤に解離する硬化剤前駆体を磁性塗料中に添加する
    工程と、この磁性塗料によって前記磁性層となる磁性塗
    膜を形成する工程と、前記触媒の作用下で前記硬化剤前
    駆体を解離させて前記結合剤の硬化を開始する工程とを
    有することを特徴とする、磁気記録媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】 イソシアン酸エステル基を有するイソ
    シアネート類を前記硬化剤とし、この硬化剤がオキシム
    と反応して生成した前記硬化剤前駆体としての化合物を
    前記触媒により解離することによって前記硬化を生じせ
    しめる、請求項12に記載した製造方法。
  14. 【請求項14】 前記イソシアン酸エステル基を有する
    イソシアネート類を、芳香族イソシアネート類及び/又
    は脂肪族イソシアネート類とする、請求項13に記載し
    た製造方法。
  15. 【請求項15】 前記イソシアネート類がイソシアヌレ
    ート環を有する、請求項14に記載した製造方法。
  16. 【請求項16】 前記オキシムをアルドキシム及び/又
    はケトキシムとする、請求項13に記載した製造方法。
  17. 【請求項17】 前記触媒を、亜鉛を主とする金属とア
    ミンとの複合体、カルボン酸金属塩、4級アミン塩、チ
    タン系触媒、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウ
    ンデセン−7、前記1,8−ジアザビシクロ(5,4,
    0)ウンデセン−7の塩からなる群より選ばれた少なく
    とも一種の触媒とする、請求項13に記載した製造方
    法。
  18. 【請求項18】 前記触媒が含有された塗料を非磁性支
    持体上に塗布して下層塗膜を設け、この下層塗膜が湿潤
    状態であるうちに、前記硬化剤前駆体を含有する前記磁
    性塗料を前記下層塗膜上に塗布する、請求項12に記載
    した製造方法。
  19. 【請求項19】 前記下層塗膜が磁性層又は非磁性層と
    なる、請求項18に記載した製造方法。
  20. 【請求項20】 非磁性支持体上に前記硬化剤前駆体を
    含有する磁性塗料を塗布して単層の磁性層を形成する、
    請求項12に記載した製造方法。
  21. 【請求項21】 前記結合剤100重量部に対して、前
    記硬化剤前駆体を1〜80重量部の割合で添加させる、
    請求項12に記載した製造方法。
  22. 【請求項22】 前記硬化剤前駆体100重量部に対し
    て、前記触媒を0.5〜100重量部の割合で添加す
    る、請求項12に記載した製造方法。
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JPWO2019065228A1 (ja) * 2017-09-26 2020-11-19 富士フイルム株式会社 磁気記録媒体用硬化剤、磁気記録媒体用組成物、磁気記録媒体および磁気記録媒体の製造方法

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