JP2006260613A - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録容量の更なる大容量化を図り得る磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】ベースフィルム4の一方の面上に、少なくとも下層非磁性層2と磁性層3とがこの順で形成されている。また、下層非磁性層2は、非磁性粉末、電子線硬化型結合剤、アミン基を有する分散剤、および熱硬化剤を少なくとも含む非磁性塗料によって形成されている。この構成によれば、ウェット・オン・ドライ塗布方式により磁気記録媒体が作製できるだけでなく、アミン基を有する分散剤と熱硬化剤との熱硬化による架橋反応により、下層非磁性層2が強固に硬化されるため、非磁性支持体を薄膜化しつつも、磁気記録媒体全体としてのヤング率を規定のヤング率以上に維持することができる。その結果として、記録容量の更なる大容量化が図られる。
【選択図】図1
【解決手段】ベースフィルム4の一方の面上に、少なくとも下層非磁性層2と磁性層3とがこの順で形成されている。また、下層非磁性層2は、非磁性粉末、電子線硬化型結合剤、アミン基を有する分散剤、および熱硬化剤を少なくとも含む非磁性塗料によって形成されている。この構成によれば、ウェット・オン・ドライ塗布方式により磁気記録媒体が作製できるだけでなく、アミン基を有する分散剤と熱硬化剤との熱硬化による架橋反応により、下層非磁性層2が強固に硬化されるため、非磁性支持体を薄膜化しつつも、磁気記録媒体全体としてのヤング率を規定のヤング率以上に維持することができる。その結果として、記録容量の更なる大容量化が図られる。
【選択図】図1
Description
本発明は、下層非磁性層および磁性層が非磁性支持体の上にこの順で形成された磁気記録媒体に関するものである。
この種の磁気記録媒体として、特開2004−272992号公報に開示されている磁気記録媒体(磁気テープ)が知られている。この磁気記録媒体では、下層非磁性層中に、非磁性の無機質粉末およびカーボンブラックと共に、所定の物質を分散剤として含有させて、下層非磁性層における無機質粉末およびカーボンブラックの分散性を高めることにより、優れた表面性、電磁変換特性および走行耐久性を実現している。また、この磁気記録媒体では、非磁性層の硬化後に磁性層を塗布するウェット・オン・ドライ塗布方式を採用することにより、両層(下層非磁性層と磁性層)の表面性が高度に制御されて記録密度の向上が図られている。この場合、下層非磁性層の結合剤として電子線硬化型結合剤を含有させることにより、電子線を照射して下層非磁性層を硬化させている。
特開2004−272992号公報(第4,12,14頁)
ところで、近年、記録データ量の増大に対応すべく、1カートリッジ当たりの記録容量の更なる大容量化が求められている。大容量化を行うための一つの手段として、非磁性支持体を薄膜化し、磁気記録媒体の全厚を薄くすることにより、カートリッジケースに収納される磁気記録媒体を長尺化することが検討されている。
ところが、従来の磁気記録媒体には、非磁性支持体を薄膜化して磁気記録媒体を長尺化しようとしたときに以下の課題が発生する。すなわち、一般的に、磁気記録媒体に対しては、トラック上に磁気ヘッドが正確に位置するように、引っ張り力の印加や周囲温度の変化などの外的要因による伸び縮みが基準値以下になるように、そのヤング率が規定のヤング率以上になることが要求されている。特に、近年では、磁気記録媒体の記録密度を高めるためにトラックの数が増加してトラック間ピッチが狭小化しているため、磁気記録媒体のヤング率が規定のヤング率以上に維持されることが重要である。しかしながら、非磁性支持体の薄膜化は、磁気記録媒体の製造工程において熱収縮の影響を受け易くなり、ヤング率の低下を伴うため、磁気記録媒体全体としてのヤング率も減少する。その結果、磁気記録媒体全体のヤング率と規定のヤング率との間のマージンが減少したり、さらには磁気記録媒体全体のヤング率が規定のヤング率未満になるおそれがある。したがって、このような事態を回避するため、非磁性支持体に形成されている層(下層非磁性層や磁性層など)の強度を高めて非磁性支持体のヤング率の低下を補い、磁気記録媒体全体としてのヤング率を規定のヤング率以上に維持する必要がある。その一方で、磁気記録媒体は可撓性を備えている必要があるため、そのヤング率は規定のヤング率以上に維持しつつも、必要な可撓性を確保し得る値以下に維持する必要がある。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、必要な可撓性を確保しつつ記録容量の更なる大容量化を図り得る磁気記録媒体を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体の一方の面上に、少なくとも下層非磁性層と磁性層とがこの順で形成され、前記下層非磁性層は、非磁性粉末、電子線硬化型結合剤、アミン基を有する分散剤、および熱硬化剤を少なくとも含む非磁性塗料によって形成されている。なお、本発明に係る磁気記録媒体としては、非磁性支持体の上に下層非磁性層および磁性層のみが積層されている磁気記録媒体に限定されず、非磁性支持体および下層非磁性層の間に各種機能層が形成されている磁気記録媒体、下層非磁性層および磁性層の間に各種機能層が形成されている磁気記録媒体、並びに、磁性層の上に各種機能層が形成されている磁気記録媒体が含まれる。
この場合、前記分散剤の含有量は、前記非磁性粉末100重量部に対して1重量部以上6重量部以下の範囲内に規定されている。
また、前記熱硬化剤の含有量は、前記分散剤1重量部に対して0.2重量部以上2重量部以下の範囲内に規定されている。
本発明に係る磁気記録媒体によれば、結合剤として電子線硬化型結合剤を含むと共に、アミン基を有する分散剤および熱硬化剤を含む非磁性塗料を用いて下層非磁性層を形成したことにより、いわゆるウェット・オン・ドライ塗布方式により、電子線で硬化させた下層非磁性層上に磁性層を形成することができる結果、表面平滑性および電磁変換特性の良好な磁気記録媒体を実現することができる。また、アミン基を有する分散剤と熱硬化剤との熱硬化による架橋反応により、下層非磁性層は電子線による硬化に加え更に硬化される。その結果、非磁性支持体を薄膜化しつつも、下層非磁性層の強度を高めることで、磁気記録媒体全体としてのヤング率を規定のヤング率以上に維持することができ、記録容量の更なる大容量化を図ることができる。なお、本発明の効果は、上記した様に、結合剤に電子線硬化型樹脂剤、分散剤、熱硬化剤を含めることにより発揮されるものであるため、分散剤がアミン基を持たなかったり、分散剤がアミン基を持つものであっても電子線硬化型結合剤に代えて熱硬化型結合剤を使用したときには、本発明と同様な効果は発揮されない。
また、本発明に係る磁気記録媒体によれば、分散剤の含有量を上記のように規定することで、下層非磁性層の強度が高まる結果、磁気記録媒体全体としてのヤング率を規定のヤング率以上に維持することができる。同様にして、熱硬化剤の含有量を上記のように規定することで、下層非磁性層の強度が高まる結果、磁気記録媒体全体としてのヤング率を規定のヤング率以上に維持することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る磁気記録媒体の最良の形態について説明する。
最初に、本発明に係る磁気記録媒体の一例である磁気テープ1の構成について、図面を参照して説明する。
図1に示す磁気テープ1は、下層非磁性層2および磁性層3がベースフィルム(本発明における非磁性支持体)4の一方の面(同図における上面)上にこの順で形成されて、図示しない記録再生装置による各種記録データの記録再生が可能に構成されている。また、ベースフィルム4の他方の面(同図における下面)上には、テープ走行性を向上させると共にベースフィルム4の傷付き(摩耗)や磁気テープ1の帯電を防止するためのバックコート層5が形成されている。なお、同図では、本発明についての理解を容易とするために、磁気テープ1の厚みを誇張して厚く図示すると共に、各層の厚みの比を実際とは異なる比に変更して図示している。この場合、ベースフィルム4と下層非磁性層2との間に、ベースフィルム4に対する下層非磁性層2の接着性の向上を目的として、下塗り層(易接着層)を設けることもできる。
(ベースフィルム)
ベースフィルム4は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホンセルローストリアセテートおよびポリカーボネート等の樹脂材料によって長尺な帯状に形成されている。この場合、このベースフィルム4は、各層の形成が完了した後にこれらの層と共に各種磁気記録媒体に対して規定された所定の幅に裁断される。また、ベースフィルム4は、記録容量の大容量化を図るためには、その厚みが3.0μm〜10.0μmの範囲内に設定されるのが好ましい。なお、本例では、ベースフィルム4を長尺な帯状(テープ状)に形成しているが、シート状、カード状、ディスク状等、種々の形状に形成することができる。
ベースフィルム4は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホンセルローストリアセテートおよびポリカーボネート等の樹脂材料によって長尺な帯状に形成されている。この場合、このベースフィルム4は、各層の形成が完了した後にこれらの層と共に各種磁気記録媒体に対して規定された所定の幅に裁断される。また、ベースフィルム4は、記録容量の大容量化を図るためには、その厚みが3.0μm〜10.0μmの範囲内に設定されるのが好ましい。なお、本例では、ベースフィルム4を長尺な帯状(テープ状)に形成しているが、シート状、カード状、ディスク状等、種々の形状に形成することができる。
(下層非磁性層)
下層非磁性層2は、非磁性粉末、電子線硬化型結合剤、分散剤、および熱硬化剤を含んで製作された非磁性塗料を塗布して厚みが0.3μm〜2.5μmの範囲内となるように形成されている。この場合、下層非磁性層2の厚みが0.3μmを下回る状態では、ベースフィルム4の表面粗さの影響を受け易くなり、その結果、下層非磁性層2の表面平滑性が悪化して、磁性層3の表面平滑性も悪化し易くなり、このため、電磁変化特性が低下して、記録データの正常な記録が困難となる。また、光透過率が高くなるため、磁気テープ1の端部を光透過率の変化で検出するのが困難になる。一方、下層非磁性層2の厚みが2.5μmを超えるように形成したとしても磁気テープ1の記録特性が飛躍的に向上することはなく、そればかりか、下層非磁性層2の厚みを均一に形成するのが困難となる。さらに、下層非磁性層2を形成するための非磁性塗料を大量に使用することになるため、製造コストの上昇を招くおそれがある。
下層非磁性層2は、非磁性粉末、電子線硬化型結合剤、分散剤、および熱硬化剤を含んで製作された非磁性塗料を塗布して厚みが0.3μm〜2.5μmの範囲内となるように形成されている。この場合、下層非磁性層2の厚みが0.3μmを下回る状態では、ベースフィルム4の表面粗さの影響を受け易くなり、その結果、下層非磁性層2の表面平滑性が悪化して、磁性層3の表面平滑性も悪化し易くなり、このため、電磁変化特性が低下して、記録データの正常な記録が困難となる。また、光透過率が高くなるため、磁気テープ1の端部を光透過率の変化で検出するのが困難になる。一方、下層非磁性層2の厚みが2.5μmを超えるように形成したとしても磁気テープ1の記録特性が飛躍的に向上することはなく、そればかりか、下層非磁性層2の厚みを均一に形成するのが困難となる。さらに、下層非磁性層2を形成するための非磁性塗料を大量に使用することになるため、製造コストの上昇を招くおそれがある。
非磁性粉末としては、カーボンブラック、およびカーボンブラック以外の各種の非磁性無機粉末を用いることができる。カーボンブラックとしては、ゴム用ファーネスブラック、ゴム用サーマルブラック、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を採用することができる。この場合、BET比表面積が5m2/g〜600m2/gの範囲内で、DBP吸油量が30ml/100g〜400ml/100gの範囲内で、かつ平均粒径が10nm〜100nmの範囲内のものが好ましい。使用できるカーボンブラックは、具体的には、「カーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にして決定することができる。また、下層非磁性層2におけるカーボンブラックの配合量は、5重量%〜30重量%の範囲内であればよく、10重量%〜25重量%の範囲内とするのが好ましい。
カーボンブラック以外の非磁性無機粉末としては、針状の非磁性酸化鉄(α−Fe2O3やα−FeOOH)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化チタン(TiO2)、硫酸バリウム(BaSO4)、およびα−アルミナ(α−Al2O3)等の非磁性粉末を単体で、または配合して用いることができる。また、カーボンブラックとカーボンブラック以外の非磁性無機粉末との配合比率は、重量比(カーボンブラック/非磁性粉末)で30/70〜5/95の範囲内が好ましい。この場合、カーボンブラックの配合比率が5重量部を下回る状態では、下層非磁性層2の表面電気抵抗が高くなったり、光透過率が高くなるといった問題が生じる。
電子線硬化型結合剤としては、例えば、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル系共重合体(塩化ビニル−エポキシ系共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体)、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース、スチレン−ブタジエン系共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、アセタール樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカプロラクトン等の多官能性ポリエーテル類、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、およびポリブタジエンエラストマーなどを電子線硬化型に変性した樹脂類が挙げられる。一例として、この磁気テープ1(下層非磁性層2)では、塩化ビニル系共重合体およびポリウレタン系樹脂を電子線硬化型結合剤として用いている。
塩化ビニル系共重合体としては、塩化ビニル含有量が40重量%〜95重量%の範囲内のもの、特に50重量%〜90重量%の範囲内のものが好ましく、その平均重合度は100〜500の範囲内であるのが好ましい。特に、塩化ビニル系共重合体としては、塩化ビニルとエポキシ(グリシジル)基を含有する単量体との共重合体が好ましい。塩化ビニル系共重合体は、公知の手法により(メタ)アクリル系二重結合等を導入して電子線硬化型に変性させたものである。また、本願におけるポリウレタン樹脂とは、ポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオール等のヒドロキシ基含有樹脂と、ポリイソシアネート含有化合物との反応により得られる樹脂の総称であって、数平均分子量が5,000〜200,000の範囲内で、Q値(重量平均分子量/数平均分子量)が1.5〜4の範囲内のものである。また、ポリウレタン樹脂は、公知の手法により(メタ)アクリル系二重結合を導入して電子線硬化型に変性させたものである。
また、下層非磁性層2における電子線硬化型結合剤の含有量は、下層非磁性層2中のカーボンブラック、およびカーボンブラック以外の非磁性無機粉末の合計100重量部に対し、10重量部〜100重量部の範囲内が好ましくは、さらには12重量部〜30重量部の範囲内がより好ましい。電子線硬化型結合剤の含有量が少なすぎると、下層非磁性層2における電子線硬化型結合剤の比率が低下し、十分な塗膜強度が得られない。一方、結合剤の含有量が多すぎると、磁気テープなどのテープ状媒体の場合にテープの幅方向の湾曲が強く起き易く、ヘッドとの接触が悪くなる傾向にある。
分散剤は、アミン基(一級アミン基(−NH2)、二級アミン基および三級アミン基のうちの少なくとも1つ)を極性基として有する樹脂が好適である。このような樹脂は熱硬化剤との反応性が高く、下層非磁性層2の架橋性を高めるのに有効である。特に、電子線硬化型結合剤と併用して用いる場合、熱硬化剤との反応性の高い分散剤を用いることが、高い架橋性を得るのに必要である。また、下層非磁性層2における分散剤の含有量は、非磁性粉末の合計100重量部に対して、1重量部以上6重量部以下の範囲内に設定する。分散剤の含有量が少なすぎると分散が不十分となり下層非磁性層2の表面性が悪化するだけでなく、架橋反応が不十分となり、十分な塗膜強度が得られない。一方、分散剤の量が多すぎると熱硬化剤との架橋反応が促進され非磁性塗料の安定性が損なわれ問題となる。この場合、アミン基を極性基として有する樹脂としては、例えば、カルボン酸アミン塩、リン酸エステルアミン塩、およびポリエステル酸アマイドアミン塩から選択される少なくとも1種以上のアニオン系界面活性剤が挙げられる。
熱硬化剤としては、イソシアネート基(NCO)を有する有機化合物を含有し、上記した分散剤の熱硬化性反応基とこのイソシアネート基との間で硬化反応性を有するものを好適に使用することができる。熱硬化剤の含有量は、下層非磁性層2中の分散剤1重量部に対して0.2重量部以上2重量部以下の範囲内であるのが好ましい。熱硬化剤の含有量が少なすぎると架橋反応が不十分となり、十分な塗膜強度が得られない。一方、熱硬化剤の量が多すぎると架橋性が高くなりすぎることで磁気ヘッドとの接触が悪くなるなどの問題が発生する。架橋剤の具体的な例としては、一般的なイソシアヌレート環を分子内にもつポリイソシアネートオリゴマー(イソシアヌレート型硬化剤)を使用することができ、例えば、TDI(トリレンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、XDI(キシリレンジイソシアネート)、水素添加XDI、o−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物、またはこれらのジイソシアネート化合物のオリゴマーを挙げることができる。
また、電子線硬化型結合剤(塩化ビニル系共重合体およびポリウレタン樹脂)の20重量%以下の範囲で、公知の各種樹脂を下層非磁性層2に含有させることができる。例えば、必要に応じて、電子線硬化型多官能モノマー、好ましくは多官能(メタ)アクリレートを架橋剤として含有させて、電子線硬化型結合剤の架橋率を向上させることができる。この場合、多官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等を使用することができる。
また、必要に応じて、下層非磁性層2に潤滑剤を含有させることができる。具体的には、潤滑剤として、ステアリン酸、ミリスチン酸等の脂肪酸、ブチルステアレート、ブチルパルミテート等の脂肪酸エステル、糖類など公知のものを、それらが飽和、不飽和に関わらず、単独であるいは2種以上混合させて使用することができる。また、融点の異なる脂肪酸を2種以上混合して使用することや、融点の異なる脂肪酸エステルを2種以上混合して使用することも好ましい。これは、磁気テープ1が使用されるあらゆる温度環境に応じた潤滑剤を、磁気テープ1の表面に持続して供給する必要があるからである。また、下層非磁性層2における潤滑剤の含有量は、目的に応じ適宜調整すればよいが、下層非磁性層2中のカーボンブラックとカーボンブラック以外の非磁性無機粉末の合計重量に対して、1重量%〜20重量%の範囲内とするのが好ましい。
下層非磁性層2を形成するための非磁性塗料は、公知の方法で、上記各成分に有機溶剤を加えて、混合、攪拌、混練、分散等を行うことにより調製される。使用する有機溶剤については特に制限はなく、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤や、トルエン等の芳香族系溶剤などの各種溶剤の1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。有機溶剤の添加量は、固形分(カーボンブラック、およびカーボンブラック以外の非磁性無機粉末等)、電子線硬化型結合剤、分散剤および熱硬化剤の合計量100重量部に対して、100重量部〜900重量部の範囲内とすることができる。
(磁性層)
磁性層3は、強磁性粉末および結合剤等の材料を含んで製作された磁性塗料を塗布することにより、厚みが0.03μm〜0.30μmの範囲内、好ましくは、0.05μm〜0.25μmの範囲内(一例として、0.10μm程度)となるように形成されている。磁性層3は、厚すぎると自己減磁損失や厚み損失が大きくなるため、上記の範囲内に厚みを設定する必要がある。
磁性層3は、強磁性粉末および結合剤等の材料を含んで製作された磁性塗料を塗布することにより、厚みが0.03μm〜0.30μmの範囲内、好ましくは、0.05μm〜0.25μmの範囲内(一例として、0.10μm程度)となるように形成されている。磁性層3は、厚すぎると自己減磁損失や厚み損失が大きくなるため、上記の範囲内に厚みを設定する必要がある。
この場合、強磁性粉末としては、金属磁性粉末または六方晶形板状微粉末を用いるのが好ましい。金属磁性粉末としては、保磁力Hcが118.5〜237kA/m(1500〜3000Oe)の範囲内で、飽和磁化σsが90〜160Am2/kg(emu/g)の範囲内で、平均長軸長(平均長軸径)が0.03〜0.1μmの範囲内で、平均短軸長(平均短軸径)が7〜20nmの範囲内で、かつアスペクト比が1.2〜20の範囲内であるのが好ましい。また、金属磁性粉末を用いて作製した磁気テープ1の保磁力Hcは、118.5〜237kA/m(1500〜3000Oe)の範囲内であるのが好ましい。強磁性粉末の添加元素としては、目的に応じて、Ni,Zn,Co,Al,Si,Yその他希土類などを添加してもよい。六方晶形板状微粉末としては、保磁力Hcが79〜237kA/m(1000〜3000Oe)の範囲内で、飽和磁化σsが50〜70Am2/kg(emu/g)の範囲内で、平均板粒径が30〜80nmの範囲内で、かつ板比が3〜7の範囲内であるのが好ましい。また、六方晶形板状微粉末を用いて作製した磁気テープ1の保磁力Hcは、94.8〜238.7kA/m(1200〜3000Oe)の範囲内であるのが好ましい。六方晶形板状微粉末の添加元素としては、目的に応じて、Ni,Co,Ti,Zn,Snその他希土類などを添加してもよい。
ここで、強磁性粉末の平均長軸長は、磁気テープ1のテープ片から強磁性粉末を分別、採取して、透過型電子顕微鏡(TEM)により撮影した写真から、強磁性粉末の長軸長を測ることにより求めることができる。その手順の一例を以下に示す。
(1)テープ片からバックコート層5を溶剤で拭き取り、除去する。
(2)ベースフィルム4上に下層非磁性層2と磁性層3とが残ったテープ片試料を、5%NaOH水溶液に浸漬して、加熱、攪拌する。
(3)ベースフィルム4から脱落させた塗膜を水洗して、乾燥する。
(4)乾燥された塗膜をメチルエチルケトン(MEK)中で超音波処理し、マグネットスターラーを用いて磁性粉末を吸着させて集める。
(5)残渣から磁性粉末を分離、乾燥する。
(6)専用のメッシュに(4)および(5)で得られた強磁性粉末を採取して、TEM用試料を作製して、TEMによって写真撮影する。
(7)写真の強磁性粉末の長軸長を計って平均する(測定回数:n=100)。
(1)テープ片からバックコート層5を溶剤で拭き取り、除去する。
(2)ベースフィルム4上に下層非磁性層2と磁性層3とが残ったテープ片試料を、5%NaOH水溶液に浸漬して、加熱、攪拌する。
(3)ベースフィルム4から脱落させた塗膜を水洗して、乾燥する。
(4)乾燥された塗膜をメチルエチルケトン(MEK)中で超音波処理し、マグネットスターラーを用いて磁性粉末を吸着させて集める。
(5)残渣から磁性粉末を分離、乾燥する。
(6)専用のメッシュに(4)および(5)で得られた強磁性粉末を採取して、TEM用試料を作製して、TEMによって写真撮影する。
(7)写真の強磁性粉末の長軸長を計って平均する(測定回数:n=100)。
強磁性粉末は、磁性層3組成中に70〜90重量%程度含まれていればよい。強磁性粉末の含有量が多すぎると、結合剤の含有量が減少するためカレンダー加工による表面平滑性が悪化し易くなる。一方、強磁性粉末の含有量が少なすぎると、高い再生出力を得られにくくなる。
磁性層3用の結合剤については、特に制限はなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性若しくは反応型の樹脂、および電子線硬化型結合剤等を、磁気テープ1の特性や工程条件に合わせて適宜組み合わせて使用することができる。
磁性層3に用いる結合剤の含有量は、強磁性粉末100重量部に対し、好ましくは5〜40重量部の範囲内に、特に好ましくは10〜30重量部の範囲内に設定される。結合剤の含有量が少なすぎると、磁性層3の強度が低下し、走行耐久性が悪化し易くなる。一方、結合剤の含有量が多すぎると、強磁性粉末の含有量が低下するため、電磁変換特性が低下する傾向にある。
さらに、磁性層3中には、磁性層3の機械的強度の向上と磁気ヘッドの目詰まり防止の観点から、例えばα−アルミナ(モース硬度9)等のモース硬度6以上の研磨材を含有させるのが好ましい。このような研磨材は、通常、不定形状であり、磁気ヘッドの目詰まりを防ぐと共に、磁性層3の強度を向上させる。
研磨材は、その平均粒径が例えば0.01〜0.2μmの範囲内に、好ましくは0.05〜0.2μmの範囲内に設定されているのが好ましい。平均粒径が大きすぎると、磁性層3の表面からの研磨材の突出量が大きくなり過ぎて、電磁変換特性の低下、ドロップアウトの増加、磁気ヘッドの摩耗量の増大等を招くおそれがある。一方、平均粒径が小さすぎると、磁性層3の表面からの研磨材の突出量が小さくなり過ぎて、磁気ヘッドの目詰まりの防止効果が不十分となる。
研磨材の平均粒径は、通常、透過型電子顕微鏡により測定する。研磨材の含有量は、強磁性粉末100重量部に対し、3〜25重量部の範囲内に、好ましくは5〜20重量部の範囲内に設定する。また、磁性層3中には、必要に応じ、界面活性剤等の分散剤、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコンオイル等の潤滑剤、その他の各種添加物を添加してもよい。
磁性層3を形成するための磁性塗料は、公知の方法で、上記各成分に有機溶剤を加えて、混合、攪拌、混練、分散等を行い調製する。使用する有機溶剤は特に制限はなく、下層非磁性層2に使用するものと同様のものを使用することができる。
磁性層3についての表面の中心線平均粗さRaは、1.0〜5.0nmの範囲内に設定されているのが好ましく、さらには1.0〜4.0nmの範囲内に設定されているのがより好ましい。中心線平均粗さRaが1.0nm未満では磁性層3の表面が平滑すぎて、走行安定性が悪化して走行中のトラブルが生じ易くなる。一方、中心線平均粗さRaが5.0nmを越えると、磁性層3の表面が粗くなり、再生出力等の電磁変換特性が劣化する。
(バックコート層)
バックコート層5は、走行安定性の改善や磁性層の帯電防止等のために必要に応じて設けられる。特に構造や組成は限定されないが、例えば、カーボンブラック、カーボンブラック以外の非磁性無機粉末、および結合剤を含んでバックコート層5を形成することができる。この場合、バックコート層5は、30〜80重量%の範囲内のカーボンブラックを含有するのが好ましい。また、カーボンブラック以外の非磁性無機粉末として、例えば、針状の非磁性酸化鉄(α−Fe2O3やα−FeOOH)、CaCO3、TiO2、BaSO4、α−Al2O3等を採用することができ、これにより、バックコート層5の機械的強度を所望の値に制御することができる。
バックコート層5は、走行安定性の改善や磁性層の帯電防止等のために必要に応じて設けられる。特に構造や組成は限定されないが、例えば、カーボンブラック、カーボンブラック以外の非磁性無機粉末、および結合剤を含んでバックコート層5を形成することができる。この場合、バックコート層5は、30〜80重量%の範囲内のカーボンブラックを含有するのが好ましい。また、カーボンブラック以外の非磁性無機粉末として、例えば、針状の非磁性酸化鉄(α−Fe2O3やα−FeOOH)、CaCO3、TiO2、BaSO4、α−Al2O3等を採用することができ、これにより、バックコート層5の機械的強度を所望の値に制御することができる。
バックコート層5を形成するための塗料(バックコート層用塗料)は、公知の方法で、上記各成分に有機溶剤を加えて、混合、攪拌、混練、分散等を行って調製する。使用する有機溶剤は特に制限はないが、下層非磁性層2に使用するものと同様のものを使用することができる。
バックコート層の厚さ(カレンダー加工後)は、1.0μm以下、好ましくは0.1〜1.0μmの範囲内、より好ましくは0.2〜0.8μmの範囲内に設定される。
(磁気テープ1の製造)
上記のようにして調製された非磁性塗料、磁性塗料、バックコート層用塗料を用いて、塗布、乾燥、カレンダー、硬化等する等により、下層非磁性層2、磁性層3およびバックコート層5をそれぞれベースフィルム4に形成して、図1に示す磁気テープ1を製造する。
上記のようにして調製された非磁性塗料、磁性塗料、バックコート層用塗料を用いて、塗布、乾燥、カレンダー、硬化等する等により、下層非磁性層2、磁性層3およびバックコート層5をそれぞれベースフィルム4に形成して、図1に示す磁気テープ1を製造する。
この場合、下層非磁性層2および磁性層3は、いわゆるウェット・オン・ドライ塗布方式によって形成する。具体的には、まず、ベースフィルム4の一方の面上に、非磁性塗料を塗布・乾燥すると共に、必要に応じてカレンダー処理を行うことにより、未硬化の下層非磁性層2を形成する。その後、未硬化の下層非磁性層2に、1.0〜6.0Mradの範囲内の照射量で電子線を照射して下層非磁性層2を硬化させる。次に、硬化した下層非磁性層2上に磁性塗料を塗布した後、配向および乾燥処理を実施することにより、磁性層3を形成する。なお、バックコート層5の形成の順序は任意である。すなわち、下層非磁性層2の形成前、下層非磁性層2の形成終了後から磁性層3の形成前までの間、または磁性層3の形成終了後のいずれにおいても、バックコート層5を形成することができる。また、磁性層3およびバックコート層5については、例えば、両層を乾燥させた後にカレンダー処理する。
非磁性塗料、磁性塗料およびバックコート層用塗料の塗布方法としては、グラビアコート、リバースロールコート、ダイノズルコート、バーコート等の公知の種々の塗布方法を採用することができる。
このように、この磁気テープ1によれば、結合剤として電子線硬化型結合剤を含むと共に、アミン基を有する分散剤および熱硬化剤を含む非磁性塗料を用いて下層非磁性層2を形成したことにより、いわゆるウェット・オン・ドライ塗布方式により、電子線で硬化させた下層非磁性層2上に磁性層3を形成することができる結果、表面平滑性および電磁変換特性の良好な磁気テープを実現することができる。また、アミン基を有する分散剤と熱硬化剤との熱硬化による架橋反応により、下層非磁性層2を更に硬化させてその強度を高めることができる。このため、ベースフィルム4を薄膜化しつつも、磁気テープ1全体としてのヤング率を規定のヤング率以上に維持することができる結果、記録容量の更なる大容量化を図ることができる。
次に、実施例を挙げて本発明に係る磁気テープ1について詳細に説明する。
[実施例1]
(非磁性塗料の調製)
非磁性粉末 針状α−FeOOH 80.0重量部
(平均長軸長:0.1μm、結晶子径:12nm)
非磁性粉末 カーボンブラック 20.0重量部
(三菱化学(株)製 商品名:#950B、平均粒径:17nm、BET比表面積:250m2/g、DBP吸油量:70ml/100g、pH:8)
電子線硬化型結合剤 電子線硬化性塩化ビニル樹脂 12.0重量部
(東洋紡績(株)製 商品名:TB−0246、(固形分)塩化ビニル−エポキシ含有モノマー共重合体、平均重合度:310、過硫酸カリ使用S含有量:0.6%(重量百分率)、2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI)を使用して日本ゼオン(株)製 MR110をアクリル変性したもの、アクリル含有量:6モル/1モル)
電子線硬化型結合剤 電子線硬化性ポリウレタン樹脂 10.0重量部
(東洋紡績(株)製 商品名:TB−0216、(固形分)ヒドロキシ含有アクリル化合物−ホスホン酸基含有リン化合物−ヒドロキシ含有ポリエステルポリオール、平均分子量:13,000、P含有量:0.2%(重量百分率)、アクリル含有量:8モル/1モル)
分散剤 高分子量ポリエステル酸アマイドアミン塩 1.0重量部
(東邦化学工業(株)製 商品名:DA-7500)
研磨剤 α−アルミナ 5.0重量部
(住友化学(株)製 商品名:HIT60A、平均粒径:0.18μm)
NV(固形分濃度)=33%(質量百分率)
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=2/2/1(質量比)
(非磁性塗料の調製)
非磁性粉末 針状α−FeOOH 80.0重量部
(平均長軸長:0.1μm、結晶子径:12nm)
非磁性粉末 カーボンブラック 20.0重量部
(三菱化学(株)製 商品名:#950B、平均粒径:17nm、BET比表面積:250m2/g、DBP吸油量:70ml/100g、pH:8)
電子線硬化型結合剤 電子線硬化性塩化ビニル樹脂 12.0重量部
(東洋紡績(株)製 商品名:TB−0246、(固形分)塩化ビニル−エポキシ含有モノマー共重合体、平均重合度:310、過硫酸カリ使用S含有量:0.6%(重量百分率)、2−イソシアネートエチルメタクリレート(MOI)を使用して日本ゼオン(株)製 MR110をアクリル変性したもの、アクリル含有量:6モル/1モル)
電子線硬化型結合剤 電子線硬化性ポリウレタン樹脂 10.0重量部
(東洋紡績(株)製 商品名:TB−0216、(固形分)ヒドロキシ含有アクリル化合物−ホスホン酸基含有リン化合物−ヒドロキシ含有ポリエステルポリオール、平均分子量:13,000、P含有量:0.2%(重量百分率)、アクリル含有量:8モル/1モル)
分散剤 高分子量ポリエステル酸アマイドアミン塩 1.0重量部
(東邦化学工業(株)製 商品名:DA-7500)
研磨剤 α−アルミナ 5.0重量部
(住友化学(株)製 商品名:HIT60A、平均粒径:0.18μm)
NV(固形分濃度)=33%(質量百分率)
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=2/2/1(質量比)
上記の材料をニーダーで混練した後、0.8mmのジルコニアビーズを充填率80%(空隙率50vol%)で充填した横型のピンミルによって分散した。その後、さらに、下記潤滑剤材料:
潤滑剤 脂肪酸 1.0重量部
(日本油脂(株)製 商品名:NAA180)
潤滑剤 脂肪酸アマイド 0.5重量部
(花王(株)製 商品名:脂肪酸アマイドS)
潤滑剤 脂肪酸エステル 1.5重量部
(日光ケミカルズ(株)製 商品名:NIKKOLBS)
を添加して、
NV(固形分濃度)=25%(質量百分率)
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサン=2/2/1(質量比)
となるように希釈した後、分散を行った。続いて、得られた塗料をさらに絶対濾過精度3.0μmのフィルターで濾過して、非磁性塗料を作製した。
潤滑剤 脂肪酸 1.0重量部
(日本油脂(株)製 商品名:NAA180)
潤滑剤 脂肪酸アマイド 0.5重量部
(花王(株)製 商品名:脂肪酸アマイドS)
潤滑剤 脂肪酸エステル 1.5重量部
(日光ケミカルズ(株)製 商品名:NIKKOLBS)
を添加して、
NV(固形分濃度)=25%(質量百分率)
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサン=2/2/1(質量比)
となるように希釈した後、分散を行った。続いて、得られた塗料をさらに絶対濾過精度3.0μmのフィルターで濾過して、非磁性塗料を作製した。
次いで、作製した非磁性塗料に熱硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製 コロネートL)0.2重量部を添加混合した後、さらに絶対濾過精度1.0μmのフィルターで濾過して、本発明における非磁性塗料を作製した。
(磁性塗料の調製)
強磁性粉末 Fe系針状強磁性粉末 100.0重量部
(Fe/Co/Al/Y=100/24/5/8(原子比)、Hc:188kA/m、σs:140Am2 /kg、BET比表面積値:50m2 /g、平均長軸長:0.10μm)
結合剤 塩化ビニル共重合体 10.0重量部
(日本ゼオン(株)製 商品名:MR110)
結合剤 ポリエステルポリウレタン 6.0重量部
(東洋紡績(株)製 商品名:UR8300)
分散剤 リン酸系界面活性剤 3.0重量部
(東邦化学工業(株)製、商品名:RE610)
研磨材 α−アルミナ 10.0重量部
(住友化学(株)製 商品名:HIT60A、平均粒径:0.18μm)
NV(固形分濃度)=30%(質量百分率)
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=4/4/2(質量比)
強磁性粉末 Fe系針状強磁性粉末 100.0重量部
(Fe/Co/Al/Y=100/24/5/8(原子比)、Hc:188kA/m、σs:140Am2 /kg、BET比表面積値:50m2 /g、平均長軸長:0.10μm)
結合剤 塩化ビニル共重合体 10.0重量部
(日本ゼオン(株)製 商品名:MR110)
結合剤 ポリエステルポリウレタン 6.0重量部
(東洋紡績(株)製 商品名:UR8300)
分散剤 リン酸系界面活性剤 3.0重量部
(東邦化学工業(株)製、商品名:RE610)
研磨材 α−アルミナ 10.0重量部
(住友化学(株)製 商品名:HIT60A、平均粒径:0.18μm)
NV(固形分濃度)=30%(質量百分率)
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサノン=4/4/2(質量比)
上記の材料をニーダーで混練した後、前分散として、0.8mmのジルコニアビーズを充填率80%(空隙率50vol%)で充填した横型のピンミルによって分散した。次いで、
NV(固形分濃度)=15%(質量百分率)
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサン=22.5/22.5/55(質量比)
となるように希釈してから、仕上げ分散を行った。続いて、得られた塗料に熱硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製 コロネートL)10重量部を添加混合した後、さらに絶対濾過精度1.0μmのフィルターで濾過して、磁性塗料を作製した。
NV(固形分濃度)=15%(質量百分率)
溶剤比率 MEK/トルエン/シクロヘキサン=22.5/22.5/55(質量比)
となるように希釈してから、仕上げ分散を行った。続いて、得られた塗料に熱硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製 コロネートL)10重量部を添加混合した後、さらに絶対濾過精度1.0μmのフィルターで濾過して、磁性塗料を作製した。
(バックコート層用塗料の調整)
カーボンブラック 75重量部
(キャボット社製 商品名:BP−800、平均粒径17nm、BET比表面積210m2/g)
カーボンブラック 10重量部
(キャボット社製 商品名:BP−130、平均粒径75nm、DBP吸油量69ml/100g、BET比表面積値25m2/g)
硫酸バリウム 15重量部
(堺化学工業(株)製 バリファインBF-20、平均粒径30nm)
ニトロセルロース 80重量部
(旭化成工業(株)製 商品名:BTH1/2)
ポリウレタン樹脂 40重量部
(東洋紡績(株)製 商品名:UR−8300、スルホン酸Na含有)
メチルエチルケトン 150重量部
トルエン 150重量部
シクロヘキサノン 80重量部
カーボンブラック 75重量部
(キャボット社製 商品名:BP−800、平均粒径17nm、BET比表面積210m2/g)
カーボンブラック 10重量部
(キャボット社製 商品名:BP−130、平均粒径75nm、DBP吸油量69ml/100g、BET比表面積値25m2/g)
硫酸バリウム 15重量部
(堺化学工業(株)製 バリファインBF-20、平均粒径30nm)
ニトロセルロース 80重量部
(旭化成工業(株)製 商品名:BTH1/2)
ポリウレタン樹脂 40重量部
(東洋紡績(株)製 商品名:UR−8300、スルホン酸Na含有)
メチルエチルケトン 150重量部
トルエン 150重量部
シクロヘキサノン 80重量部
上記組成物をニーダーによって十分に混練した後、サンドグラインドミルによって5時間分散を行った。その後に下記材料を投入して、さらに1時間サンドグラインドミルによって分散を行った。
メチルエチルケトン 400重量部
トルエン 400重量部
シクロヘキサノン 200重量部
メチルエチルケトン 400重量部
トルエン 400重量部
シクロヘキサノン 200重量部
このようにして得られた混合液に熱硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製 コロネートL)を20重量部添加混合して、得られた塗料をさらに絶対濾過精度1.0μmのフィルターで濾過して、バックコート層用塗料を作製した。
(下層非磁性層形成工程)
6.2μm厚のPEN製のベースフィルム4の一方の面上に、カレンダー加工後の厚みが2.0μmになるように、非磁性塗料をノズルにより押し出し塗布法で塗布して、乾燥した。その後、プラスチックロールと金属ロールとを組み合わせたカレンダーによって、ニップ数4回、加工温度100℃、線圧3500N/cm、速度150m/分で加工を行い、さらに、4.0Mradの照射量で電子線照射を行い、下層非磁性層2を形成した。
6.2μm厚のPEN製のベースフィルム4の一方の面上に、カレンダー加工後の厚みが2.0μmになるように、非磁性塗料をノズルにより押し出し塗布法で塗布して、乾燥した。その後、プラスチックロールと金属ロールとを組み合わせたカレンダーによって、ニップ数4回、加工温度100℃、線圧3500N/cm、速度150m/分で加工を行い、さらに、4.0Mradの照射量で電子線照射を行い、下層非磁性層2を形成した。
(磁性層形成工程)
上記のようにして形成した下層非磁性層2上に、磁性塗料を、加工後の厚みが0.1μmになるようにノズルで塗布した後、配向処理と乾燥処理とを実施した。その後、プラスチックロールと金属ロールとを組み合わせたカレンダーによって、ニップ数4回、加工温度100℃、線圧3500N/cm、速度150m/分で加工を行い、磁性層3を形成した。
上記のようにして形成した下層非磁性層2上に、磁性塗料を、加工後の厚みが0.1μmになるようにノズルで塗布した後、配向処理と乾燥処理とを実施した。その後、プラスチックロールと金属ロールとを組み合わせたカレンダーによって、ニップ数4回、加工温度100℃、線圧3500N/cm、速度150m/分で加工を行い、磁性層3を形成した。
(バックコート形成工程)
PEN製のベースフィルム4の他方の面上に、バックコート層用塗料を、加工後の厚みが0.5μmになるようにノズルで塗布した後、乾燥処理を実施した。次いで、プラスチックロールと金属ロールとを組み合わせたカレンダーによって、ニップ数4回、加工温度90℃、線圧2100N/cm、速度150m/分で加工を行い、バックコート層5を形成した。
PEN製のベースフィルム4の他方の面上に、バックコート層用塗料を、加工後の厚みが0.5μmになるようにノズルで塗布した後、乾燥処理を実施した。次いで、プラスチックロールと金属ロールとを組み合わせたカレンダーによって、ニップ数4回、加工温度90℃、線圧2100N/cm、速度150m/分で加工を行い、バックコート層5を形成した。
このような一連の処理が完了したPEN製のベースフィルム4を巻き取りロールに巻き取り、この状態で24時間放置した後、60℃で48時間熱硬化させ、次いで、1/2inch(=12.650mm)幅に裁断することにより、実施例1としての磁気テープのサンプルを作製した。
[実施例2〜9]
また、上記した非磁性塗料の調製において、非磁性粉末100重量部に対する分散剤の含有量と、分散剤1重量部に対する熱硬化剤の含有量とを、図3に示すように変えた以外は、上記した実施例1と同様にして、実施例2〜9としての磁気テープの各サンプルを作製した。
また、上記した非磁性塗料の調製において、非磁性粉末100重量部に対する分散剤の含有量と、分散剤1重量部に対する熱硬化剤の含有量とを、図3に示すように変えた以外は、上記した実施例1と同様にして、実施例2〜9としての磁気テープの各サンプルを作製した。
[比較例1〜9]
高分子量ポリエステル酸アマイドアミン塩に代えて、アミン基を極性基として有しないリン酸系界面活性剤(東邦化学工業(株)製 商品名:RE610)を非磁性塗料における分散剤として使用する以外は、上記した実施例1〜9と同様にして、図4に示すように、非磁性粉末100重量部に対する分散剤の含有量と、分散剤1重量部に対する熱硬化剤の含有量とを変えながら、比較例1〜9としての磁気テープのサンプルを作製した。
高分子量ポリエステル酸アマイドアミン塩に代えて、アミン基を極性基として有しないリン酸系界面活性剤(東邦化学工業(株)製 商品名:RE610)を非磁性塗料における分散剤として使用する以外は、上記した実施例1〜9と同様にして、図4に示すように、非磁性粉末100重量部に対する分散剤の含有量と、分散剤1重量部に対する熱硬化剤の含有量とを変えながら、比較例1〜9としての磁気テープのサンプルを作製した。
[比較例10〜13]
また、上記した実施例1についての非磁性塗料の調製において、非磁性粉末100重量部に対する分散剤の含有量と、分散剤1重量部に対する熱硬化剤の含有量とを、図3に示すように変えた以外は、上記した実施例1と同様にして、比較例10〜13としての磁気テープの各サンプルを作製した。
また、上記した実施例1についての非磁性塗料の調製において、非磁性粉末100重量部に対する分散剤の含有量と、分散剤1重量部に対する熱硬化剤の含有量とを、図3に示すように変えた以外は、上記した実施例1と同様にして、比較例10〜13としての磁気テープの各サンプルを作製した。
[磁気テープの評価]
各磁気テープのサンプルについて、次の2種類のヤング率についての評価試験を実施した。
各磁気テープのサンプルについて、次の2種類のヤング率についての評価試験を実施した。
微小硬度計によるヤング率(E1)の測定方法
超微小押し込み硬さ試験機(エリオニクス(株)製 製品名:ENT−1100)を使用して測定を行った。サンプルは、サンプルホルダーに接着剤(東亞合成(株)製 商品名:アロンアルファ)を1滴たらし、その上に磁気テープサンプルを所定の大きさに切り出し、磁性層が上側になるように貼り付け、28℃の環境下で6時間放置し作製した。測定値は、10回の測定結果から、最大値および最小値を除いた8個の測定値の平均値により算出した。測定条件は、以下のように設定した。
圧子形状:稜間角115° 三角錐圧子
荷重:4mgf
負荷(除荷)速度:4e−04mgf/msec
押込深さ:表面から0.1μm以内
超微小押し込み硬さ試験機(エリオニクス(株)製 製品名:ENT−1100)を使用して測定を行った。サンプルは、サンプルホルダーに接着剤(東亞合成(株)製 商品名:アロンアルファ)を1滴たらし、その上に磁気テープサンプルを所定の大きさに切り出し、磁性層が上側になるように貼り付け、28℃の環境下で6時間放置し作製した。測定値は、10回の測定結果から、最大値および最小値を除いた8個の測定値の平均値により算出した。測定条件は、以下のように設定した。
圧子形状:稜間角115° 三角錐圧子
荷重:4mgf
負荷(除荷)速度:4e−04mgf/msec
押込深さ:表面から0.1μm以内
得られた測定結果に基づいて、図2に示す特性グラフ(荷重と押し込んだときの深さとの関係を示す特性グラフ)を作成し、その特性グラフに基づき、荷重を最大荷重Pmaxからゼロまで減少させたとき(除荷したとき)の深さ(押込深さ)を求め、この押込深さから、各サンプルの弾性変形量および塑性変形量を求めた。また、この特性グラフの除荷領域における最大荷重Pmaxからその50%の荷重(Pmax/2)までの部位の曲線を2次近似曲線とし、この曲線についての最大荷重(Pmax)時の接線を延ばし、この接線とX軸との交差点のX座標をH1とした。また、最大変位点hmaxとH1との差分をH2(=hmax−H1)とした。以上の各数値を下記の式(1)に代入することにより、微小硬度計におけるヤング率E1(mgf/μm2)を算出した。
ヤング率E1=181.029×10−3×Pmax/(H1×H2) ・・(1)
ヤング率E1=181.029×10−3×Pmax/(H1×H2) ・・(1)
引っ張り試験機によるヤング率(E2)の測定方法
引っ張り試験機(TOYO BALDWIN(株)製 製品名:TENSILON UTM−4−100)を使用して、磁気テープサンプルのテスト片150mmをこの引っ張り試験機に固定して、この試験機の各顎(挟み込む治具の先端)の間隔が100mm離れるように設定する。各顎の分離速度を10mm/分(テープ長の10%)に設定して、力に対する距離を測定する。次いで、測定した力と距離との関係に基づき、0.5Nから1.5Nまでの間の勾配を求め、求めた勾配を使用して、ヤング率(弾性率)E2(GPa)を下記の式(2)で算出した。
ヤング率E2=(δF/(W×T))×(1/(δL/L))・・・・・・(2)
ここで、δFは力の変化(N)、Tは磁気テープサンプルの厚さ(mm)、Wは磁気テープサンプルの幅(mm)、δL/Lは試験機の各顎間の元の長さで割った顎間サンプル長の変化率をそれぞれ示す。
引っ張り試験機(TOYO BALDWIN(株)製 製品名:TENSILON UTM−4−100)を使用して、磁気テープサンプルのテスト片150mmをこの引っ張り試験機に固定して、この試験機の各顎(挟み込む治具の先端)の間隔が100mm離れるように設定する。各顎の分離速度を10mm/分(テープ長の10%)に設定して、力に対する距離を測定する。次いで、測定した力と距離との関係に基づき、0.5Nから1.5Nまでの間の勾配を求め、求めた勾配を使用して、ヤング率(弾性率)E2(GPa)を下記の式(2)で算出した。
ヤング率E2=(δF/(W×T))×(1/(δL/L))・・・・・・(2)
ここで、δFは力の変化(N)、Tは磁気テープサンプルの厚さ(mm)、Wは磁気テープサンプルの幅(mm)、δL/Lは試験機の各顎間の元の長さで割った顎間サンプル長の変化率をそれぞれ示す。
以上の各実施例および各比較例についてのヤング率の測定結果を図5,6の測定結果図に示す。この測定結果から、各実施例1〜9の磁気テープサンプルは、非磁性粉末100重量部に対する分散剤の含有量、および分散剤1重量部に対する熱硬化剤の含有量が同じであるが、アミン基を極性基として有しない分散剤を使用している点でのみ相違している比較例1〜9の磁気テープサンプルと比較して、ヤング率E1およびヤング率E2の各値の向上が認められ、物理特性の改善を確認することができる。
一方、各実施例1,2,3の磁気テープサンプルと同様にしてアミン基を極性基として有する分散剤を使用し、かつこの分散剤の非磁性粉末100重量部に対する含有量が1重量部ではあるが、分散剤1重量部に対する熱硬化剤の含有量が0.2重量部未満(具体的には0.1重量部)の比較例11の磁気テープサンプルや、各実施例1,4,7の磁気テープサンプルと同様にしてアミン基を極性基として有する分散剤を使用し、かつこの分散剤1重量部に対する熱硬化剤の含有量が各実施例1,4,7と同じ0.2重量部ではあるが、非磁性粉末100重量部に対する分散剤の含有量が1重量部未満(具体的には0.9重量部)の比較例10の磁気テープサンプルは、各実施例1〜9のうちでヤング率E1およびヤング率E2の各値が最も小さい実施例1の磁気テープサンプルと比較しても、そのヤング率E1およびヤング率E2の各値がさらに小さくなるため、物理特性の改善が図れていない。逆に、各実施例1,2,3の磁気テープサンプルと同様にしてアミン基を極性基として有する分散剤を使用し、かつこの分散剤の非磁性粉末100重量部に対する含有量が1重量部ではあるが、分散剤1重量部に対する熱硬化剤の含有量が2重量部を超える(具体的には2.1重量部)の比較例12の磁気テープサンプルや、各実施例3,6,9の磁気テープサンプルと同様にしてアミン基を極性基として有する分散剤を使用し、かつこの分散剤1重量部に対する熱硬化剤の含有量が各実施例3,6,9と同じ2重量部ではあるが、非磁性粉末100重量部に対する分散剤の含有量が6重量部を超える(具体的には6.1重量部)の比較例13の磁気テープサンプルは、ヤング率E1およびヤング率E2の各値が大きくなり過ぎて、磁気テープとして必要な可撓性が欠如していることが確認できる。
1 磁気テープ
2 下層非磁性層
3 磁性層
4 ベースフィルム
5 バックコート層
2 下層非磁性層
3 磁性層
4 ベースフィルム
5 バックコート層
Claims (3)
- 非磁性支持体の一方の面上に、少なくとも下層非磁性層と磁性層とがこの順で形成され、
前記下層非磁性層は、非磁性粉末、電子線硬化型結合剤、アミン基を有する分散剤、および熱硬化剤を少なくとも含む非磁性塗料によって形成されている磁気記録媒体。 - 前記分散剤の含有量は、前記非磁性粉末100重量部に対して1重量部以上6重量部以下の範囲内に規定されている請求項1記載の磁気記録媒体。
- 前記熱硬化剤の含有量は、前記分散剤1重量部に対して0.2重量部以上2重量部以下の範囲内に規定されている請求項1または2記載の磁気記録媒体。
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