JP7136273B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Description
1 磁気記録媒体の構成
2 磁気記録媒体の製造方法
3 効果
4 変形例
本技術の一実施形態に係る磁気記録媒体は、いわゆる塗布型の垂直磁気記録媒体であり、図1に示すように、非磁性支持体11と、非磁性支持体11の一方の主面上に設けられた下地層12と、下地層12上に設けられた記録層13とを備える。磁気記録媒体が、必要に応じて、非磁性支持体11の他方の主面上に設けられたバックコート層14をさらに備えるようにしてもよい。また、磁気記録媒体が、必要に応じて、記録層13上に設けられた保護層および潤滑剤層などをさらに備えるようにしてもよい。以下では、磁気記録媒体の両主面のうち、記録層13側の主面を記録面13Sという。
非磁性支持体11は、例えば、可撓性を有する帯状のフィルムである。非磁性支持体11の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート、セルロースブチレートなどのセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミドなどのプラスチック、アルミニウム合金、チタン合金などの軽金属、アルミナガラスなどのセラミックなどを用いることができる。さらには、機械的強度を高めるために、AlまたはCuの酸化物を含む薄膜が、ビニル系樹脂などを含む非磁性支持体11の主面のうち少なくとも一方に設けられていてもよい。
下地層12は、非磁性粉および結着剤を含む非磁性層である。下地層12が、必要に応じて、導電性粒子、潤滑剤、研磨剤、硬化剤および防錆剤などの各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
以下に、TEMの測定条件を示す。
装置:TEM(日立製作所製、H9000NAR)
加速電圧:300kV
倍率:100000倍
以下に、TEMの測定条件を示す。
装置:TEM(日立製作所製、H9000NAR)
加速電圧:300kV
倍率:100000倍
VA:VB=(SA)3/2:(SB)3/2
但し、SA:炭素粒子粉Aの面積、SB:金属含有粒子粉Bの面積、VA:炭素粒子粉Aの体積、VB:金属含有粒子粉Bの体積
記録層13は、例えば、短波長記録または超短波長記録が可能な垂直記録層である。記録層13は、記録層13の厚さ方向に磁気異方性を有する磁性層である。すなわち、記録層13の磁化容易軸は、記録層13の厚さ方向に向いている。記録層13の平均厚さは、好ましくは30nm以上100nm以下、より好ましくは50nm以上70nm以下である。なお、記録層13の平均厚さは、上述の下地層12の平均厚さの求め方と同様にして求められる。
バックコート層14は、結着剤、無機粒子および潤滑剤を含んでいる。バックコート層14が、必要に応じて硬化剤および帯電防止剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。結着剤、無機粒子および潤滑剤は、上述の下地層12と同様である。
(塗料の調製工程)
まず、非磁性粉および結着剤などを溶剤に混練、分散させることにより、下地層形成用塗料を調製する。次に、磁性粉および結着剤などを溶剤に混練、分散させることにより、記録層形成用塗料を調製する。次に、結着剤、無機粒子および潤滑剤などを溶剤に混練、分散させることにより、バックコート層形成用塗料を調製する。下地層形成用塗料、記録層形成用塗料およびバックコート層形成用塗料の調製には、例えば、以下の溶剤、分散装置および混練装置を適用することができる。
次に、非磁性支持体11の一方の主面上に下地層形成用塗料を塗布して乾燥させることにより、下地層12を非磁性支持体11の一方の主面上に形成する。
次に、下地層12上に記録層形成用塗料を塗布して乾燥させることにより、記録層13を下地層12上に形成する。なお、乾燥の際に、磁性粉に含まれる立方晶フェライト磁性粉を磁場配向させることにより、立方晶フェライト磁性粉の磁化容易軸を記録層13の厚さ方向に向けるか、もしくはほぼ記録層13の厚さ方向に向けることが好ましい。
次に、非磁性支持体11の他方の主面上にバックコート層形成用塗料を塗布して乾燥させることにより、バックコート層14を非磁性支持体11の他方の主面上に形成する。これにより、幅広の磁気記録媒体が得られる。
次に、得られた幅広の磁気記録媒体を大径コアに巻き直し、硬化処理を行う。次に、幅広の磁気記録媒体に対してカレンダー処理を行った後、所定の幅に裁断する。これにより、目的とする磁気記録媒体が得られる。なお、バックコート層14を形成する工程は、カレンダー処理後であってもよい。
本技術の一実施形態に係る磁気記録媒体では、ナノインデンターで測定した記録面13Sの最大押し込み深さhが、83nm≦h≦140nmである。また、ナノインデンターで測定した記録面13Sの、弾性回復に対する永久歪みの比d(永久歪み/弾性回復)が、0.95≦d≦1.23である。これにより、高湿度環境下における走行耐久性を向上できる。
上述の一実施形態では、磁気記録媒体が垂直磁気記録媒体である場合を例として説明したが、磁気記録媒体が水平磁気記録媒体であってもよい。
(記録層形成用塗料の調製工程)
記録層形成用塗料を次のようにして調製した。まず、下記原料をエクストルーダで混練して混練物を得た。
CoNiフェライト結晶磁性粉:100質量部
(形状:ほぼ立方体形状、平均板径:11nm、平均板状比:0.95)
塩化ビニル系樹脂(シクロヘキサノン溶液30質量%):55.6質量部
(重合度300、Mn=10000、極性基としてOSO3K=0.07mmol/g、2級OH=0.3mmol/gを含有する。)
酸化アルミニウム粉末:5質量部
(α-Al2O3、平均粒径0.2μm)
カーボンブラック:2質量部
(東海カーボン社製、商品名:シーストTA)
塩化ビニル系樹脂:27.8質量部
(樹脂溶液:樹脂分30質量%、シクロヘキサノン70質量%)
ポリイソシアネート:4質量部
(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン社製)
ミリスチン酸:2質量部
n-ブチルステアレート:2質量部
メチルエチルケトン:121.3質量部
トルエン:121.3質量部
シクロヘキサノン:60.7質量部
下地層形成用塗料を次のようにして調製した。まず、下記原料をエクストルーダで混練して混練物を得た。
針状酸化鉄粉末:21~56質量部(表1に示すようにサンプル毎に含有量を調整)
(ヘマタイト(α-Fe2O3)、XG-250またはDB-65Y)
塩化ビニル系樹脂:55.6質量部
(樹脂溶液:樹脂分30質量%、シクロヘキサノン70質量%)
カーボンブラック:44~79質量部(表1に示すようにサンプル毎に含有量を調整)
(CABOT製 E410)
α-アルミナ(研磨剤):2.2~3.5質量部(表2に示すようにサンプル毎に含有量を調整)
但し、カーボンブラックと針状酸化鉄粉末との含有量を上記範囲で調整することで、カーボンブラックAと針状酸化鉄粉末Bとの体積比(A:B)を表1に示すように68:32~91:9の範囲内で調整した。また、カーボンブラックAと針状酸化鉄粉末Bとの面積比(A:B)を表1に示すように62:38~82:18の範囲内で調整した。
ポリウレタン系樹脂UR8200(東洋紡績製):18.5質量部
ポリイソシアネート:4質量部
(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン社製)
ステアリン酸(潤滑剤):0.8~1.5質量部(表2に示すようにサンプル毎に含有量を調整)
メチルエチルケトン:108.2質量部
トルエン:108.2質量部
シクロヘキサノン:18.5質量部
バックコート層形成用塗料を次のようにして調製した。下記原料を、ディスパーを備えた攪拌タンクで混合を行い、フィルター処理を行うことで、バックコート層形成用塗料を調製した。
カーボンブラック(旭社製、商品名:#80):100質量部
ポリエステルポリウレタン:100質量部
(日本ポリウレタン社製、商品名:N-2304)
メチルエチルケトン:500質量部
トルエン:400質量部
シクロヘキサノン:100質量部
次に、下地層および記録層を次のようにして形成した。まず、非磁性支持体である、厚さ6.2μm、帯状のPENフィルムの一方の主面上に、下地層形成用塗料を塗布、乾燥させることにより、PENフィルムの一方の主面上に平均厚さ0.8μm~1.3μm(表2参照)の下地層を形成した。次に、下地層上に、記録層形成用塗料を塗布、乾燥させることにより、下地層上に平均厚さ70nmの記録層を形成した。なお、乾燥の際に、磁性粉を磁場配向させた。
次に、PENフィルムの他方の主面上に、バックコート層形成用塗料を塗布、乾燥させることにより、PENフィルムの他方の面上に平均厚さ0.6μmのバックコート層を形成した。これにより、幅広の磁気テープを得た。
次に、得られた幅広の磁気テープに対して、金属ロールによるカレンダー処理を行い、記録層表面を平滑化した。次に、幅広の磁気テープを1/2インチ(12.65mm)幅に裁断して、目的とする磁気テープを得た。
上述のようにして得られた磁気テープについて以下の評価を行った。
実施例16、比較例3の磁気テープをその記録面に対して垂直に切り出し、その断面をTEMにより観察した。その結果を図4A、図4Bに示す。
ナノインデンター測定方法により、最大押し込み深さ、および弾性回復に対する永久歪みの比d(永久歪み/弾性回復)を求めた。その結果を表2に示す。
以下に、測定条件を示す。
[圧子]
材質:三角錐ダイヤモンド圧子(Berkovich)
稜角:142.3°
硬度測定機:Hysitron社 Triboscope/島津SPM9500J
[評価条件]
測定環境:23℃/50%RH
荷重範囲:0~200μN(測定時)
最大荷重:200μN(設定)
荷重分解能:0.01μN
押し込み方向:記録面に対して垂直
まず、マウンテンエンジニアリング社のテープ走行系システムを用いるとともに、1/2インチテープに市販のLTO(Linear Tape Open)ドライブの磁気ヘッドを用いて、記録信号を市販のLTO6相当の記録密度で記録した。その後、29℃絶対湿度80%の環境で、初期から600時間走行後の磁気テープのエラーレートを測定した。その結果を表2に示す。なお、表2には、ビットエラーレートのうち10の指数の値のみを示した。次に、測定したビットエラーレートに基づき、以下の基準で走行耐久性を判定した。
◎:ビットエラーレートが10-5.9以下
○:ビットエラーレートが10-5.9を超え10-5.5未満
×:ビットエラーレートが10-5.5以上
但し、“◎”印は、評価結果が非常に良好であることを示し、“○”印は、評価結果が良好であることを示し、“×”印は、評価結果が悪いことを示す。
(1)
支持体と、
炭素粒子粉および金属含有粒子粉を含む下地層と、
記録層と
を備え、
記録面において、最大押し込み深さhが、85nm≦h≦140nmであり、弾性回復に対する永久歪みの比d(永久歪み/弾性回復)が、0.95≦d≦1.25である磁気記録媒体。
(2)
上記炭素粒子粉と上記金属含有粒子粉との体積比(上記炭素粒子粉の体積:上記金属含有粒子粉の体積)が、73:27~83:17である(1)に記載の磁気記録媒体。
(3)
炭素粒子粉Aと金属含有粒子粉Bとの面積比(上記炭素粒子粉の面積:上記金属含有粒子粉の面積)は、66:34~74:26である(1)または(2)に記載の磁気記録媒体。
(4)
上記金属含有粒子粉が、金属酸化物粒子粉である(1)から(3)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(5)
上記金属含有粒子粉が、酸化鉄粒子粉である(1)から(3)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(6)
上記炭素粒子粉が、カーボンブラック粒子粉である(1)から(5)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(7)
上記下地層が、潤滑剤をさらに含み、
上記潤滑剤の含有量が、上記炭素粒子粉と上記金属含有粒子粉との合計量100質量部に対して1質量部以上1.5質量部以下である(1)から(6)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(8)
上記下地層が、研磨剤をさらに含み、
上記研磨剤の含有量が、上記炭素粒子粉と上記金属含有粒子粉との合計量100質量部に対して2質量部以上4質量部以下である(1)から(7)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
12 下地層
13 記録層
13S 記録面
14 バックコート層
Claims (25)
- ポリエステル類を含む支持体と、
非磁性粉および第1の結着剤を含む下地層と、
記録層と
を備え、
測定環境23℃/50%RH、荷重範囲0~200μNで稜角142.3°の三角錐ダイヤモンド圧子を記録面に対して垂直に押し込み、最大押し込み深さh、弾性回復に対する永久歪みの比d(永久歪み/弾性回復)を求めたとき、前記最大押し込み深さhが、83nm≦h≦140nmであり、前記比d(永久歪み/弾性回復)が、0.95≦d≦1.23である磁気記録媒体。 - 前記ポリエステル類は、ポリエチレンテレフタレートを含む請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 前記非磁性粉は、炭素粒子粉と金属含有粒子粉を含む請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
- 前記炭素粒子粉は、カーボンブラック粒子を含む請求項3に記載の磁気記録媒体。
- 前記金属含有粒子粉は、酸化鉄粒子を含む請求項3または4に記載の磁気記録媒体。
- 前記酸化鉄粒子は、ヘマタイト(α-Fe 2 O 3 )である請求項5に記載の磁気記録媒体。
- 前記下地層における前記炭素粒子粉と前記金属含有粒子粉との面積比(A:B)は、66:34~74:26である請求項3から6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記第1の結着剤は、ポリウレタン系樹脂または塩化ビニル系樹脂を含む請求項1から7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記下地層が、潤滑剤をさらに含む請求項3から8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記潤滑剤の含有量が、前記炭素粒子粉と前記金属含有粒子粉との合計量100質量部に対して1質量部以上1.5質量部以下である請求項9に記載の磁気記録媒体。
- 前記記録層が、短波長記録または超短波長記録が可能な垂直記録層である請求項1から10のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記記録層の平均厚みが、30nm以上100nm以下である請求項1から11のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記記録層の平均厚みが、50nm以上70nm以下である請求項1から11のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記記録層が、磁性粉および第2の結着剤を含む請求項1から13のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性粉が、立方晶フェライト磁性粉を含む請求項14に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性粉が、金属粉末を含む請求項14に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性粉が、バリウムフェライト磁性粉を含む請求項14に記載の磁気記録媒体。
- 前記第2の結着剤は、ポリウレタン系樹脂または塩化ビニル系樹脂を含む請求項14から17のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記記録層は、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化珪素、ダイヤモンド、ガーネット、エメリー、窒化ホウ素、チタンカーバイト、炭化珪素、炭化チタンおよび酸化チタンから選択される少なくとも一種の非磁性粒子をさらに含む請求項1から18のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- バックコート層をさらに備える請求項1から19のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記バックコート層が、第3の結着剤、無機粒子および潤滑剤を含む請求項20に記載の磁気記録媒体。
- 前記最大押し込み深さhが、83nm≦h≦138nmである請求項1から21のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記最大押し込み深さhが、88nm≦h≦115nmである請求項1から21のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記比d(永久歪み/弾性回復)が、0.97≦d≦1.23である請求項1から23のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記比d(永久歪み/弾性回復)が、0.97≦d≦1.15である請求項1から23のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
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