JP2000040218A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2000040218A JP20696198A JP20696198A JP2000040218A JP 2000040218 A JP2000040218 A JP 2000040218A JP 20696198 A JP20696198 A JP 20696198A JP 20696198 A JP20696198 A JP 20696198A JP 2000040218 A JP2000040218 A JP 2000040218A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた電磁変換特性及び低ドロップアウトと
優れた走行性及び耐久性とを高いレベルで両立させるこ
とができ、且つ高密度デジタル記録に好適な磁気記録媒
体を提供すること。 【解決手段】 支持体の一面上に下層と、厚さ0.2μ
m以下の最上層磁性層とを有し、他面上にバックコート
層を有するデジタル磁気記録媒体であって、最上層磁性
層に含有される非磁性粒子の平均粒径が0.12μm以
下で、最上層磁性層の表面粗さRaが7.5nm以下で
あり、原子間力顕微鏡によって測定された最上層磁性層
の表面形状における自乗平均表面から20nmの深さで
の横断面積が再生ビット面積の3%以上である窪みの個
数が、3個/100μm2 以下である磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた電磁変換特
性及び低ドロップアウトと、優れた走行性及び耐久性と
が両立した信頼性の高い高密度デジタル磁気記録媒体に
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】磁気ヘ
ッドを媒体表面に摺動させることによって信号の記録/
再生を行うタイプのデジタル磁気記録媒体では、媒体磁
性層の表面性が極めて重要である。一般的に、表面性が
向上すると、電磁変換特性が良好になり、ドロップアウ
ト数が低減するが、ヘッド・媒体間の接触面積が大きく
なり、走行耐久性に影響を及ぼす。磁性層の表面に研磨
剤等による突起等を設ければ、走行耐久性は良好となる
が、逆にスペーシングロスが増大し電磁変換特性が悪化
する。このように、高電磁変換特性及び低ドロップアウ
トと、高走行性及び高耐久性とを両立させることは困難
である。
【0003】上記課題を解決する目的で、特開平3−1
16413号公報及び特開平6−180835号公報に
は、磁性層の表面に窪みを設けることが提案されてい
る。しかし、斯かる窪みは記録欠損となり、再生ビット
面積の小さい高密度デジタル磁気記録媒体ではドロップ
アウトを増加させる原因となる。
【0004】従って本発明は、優れた電磁変換特性及び
低ドロップアウトと優れた走行性及び耐久性とを高いレ
ベルで両立させることができ、且つ高密度デジタル記録
に好適な磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0005】本発明者らは、高密度デジタル記録を行う
場合、即ち再生ビット面積が小さくなった場合、最上層
磁性層の表面に存する窪みのすべてがドロップアウト発
生の原因となるわけではなく、再生ビット面積との関係
において特定の深さにおける断面積が特定の値を超える
窪みが原因となることを知見した。更に本発明者らは、
斯かる窪みの存在を極力抑えた高出力及び低ドロップア
ウトの条件下において、最上層磁性層に含有される非磁
性粒子として特定の粒径を有するものを用い、且つ最上
層磁性層の表面粗さを特定の値以下とすることで、磁気
記録媒体の耐久性及び走行性も向上することを知見し
た。
【0006】本発明は上記知見に基づきなされたもの
で、支持体の一面上に下層と、厚さ0.2μm以下の最
上層磁性層とを有し、他面上にバックコート層を有する
デジタル磁気記録媒体であって、上記最上層磁性層に含
有される非磁性粒子の平均粒径が0.12μm以下で、
該最上層磁性層の表面粗さRaが7.5nm以下であ
り、原子間力顕微鏡によって測定された上記最上層磁性
層の表面形状における自乗平均表面から20nmの深さ
での横断面積が再生ビット面積の3%以上である窪みの
個数が、3個/100μm2 以下である磁気記録媒体を
提供することにより上記目的を達成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気記録媒体の好
ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1
に示す磁気記録媒体1はデジタル記録用であり、支持体
2の一面上に下層3及び該下層3に隣接して最上層磁性
層(以下、上層磁性層という)4がそれぞれ設けられ、
更に支持体2の他面上にバックコート層5が設けられて
いる。この磁気記録媒体1は、特にその再生ビット面積
が1.15μm2 以下の高密度記録時においても優れた
電磁変換特性と高い耐久性とが両立したものとなる。再
生ビット面積はトラック幅と記録波長の積によって決定
される。
【0008】上層磁性層4は強磁性粉末及び非磁性粒子
が結合剤中に分散されて形成されている。そして、上層
磁性層4は、その表面粗さRaが7.5nm以下、好ま
しくは7.0〜1.5nmとなっている。これによっ
て、スペーシングロスが低減し良好な電磁変換特性を得
る事が出来る。上記従来技術の項で述べた通り、電磁変
換特性向上のために表面粗さを小さくしようとすると、
走行性及び耐久性が低下する問題があるが、本発明にお
いては、上層磁性層4の表面形状を以下に述べるように
することで、優れた電磁変換特性と高い耐久性とが両立
する。
【0009】図2に示すように、上層磁性層4は、原子
間力顕微鏡(以下、AFMという)によって測定された
上層磁性層4の表面形状における自乗平均表面Rから2
0nmの深さS(以下、この深さをスライス深さともい
う)での横断面積が再生ビット面積の3%以上である窪
みD(以下、この窪みを臨界窪みという)の個数が、3
個/100μm2 以下となっている。これによりドロッ
プアウトの発生が抑えられ、電磁変換特性が向上と同時
に耐久性(スチル耐久性)が向上する。本発明者らの詳
細な検討の結果、図3(a)に示すように、自乗平均表
面から20nmの深さでの横断面積が再生ビット面積の
3%以上である窪みの個数と、ドロップアウトとの間に
相関関係が存在することが判明した。スライス深さを自
乗平均表面の深さ或いはそれに近い浅い深さとすると、
上層磁性層表面の僅かなグラデーションも窪みと認識さ
れてしまう。しかしそのような窪みは浅すぎてドロップ
アウトの発生に影響を与えない。逆にスライス深さを自
乗平均表面から深く設定すると上層磁性層に存在する極
端に深い窪みだけが認識され、ドロップアウトの発生に
影響を与える窪みの最浅の深さが認識されない。その結
果、スライス深さとドロップアウトの発生との間に強い
相関が見られない。検討の結果、ドロップアウトの発生
に影響を与える窪みは自乗平均表面から20nmの深さ
でスライスした時に認識されるものであること判明し
た。その上、自乗平均面から20nmの深さでスライス
した時に認識される窪みであっても当該深さでの横断面
積が小さ過ぎるものはドロップアウトの発生に影響を与
えず、ある横断面積以上の窪みがヘッドから見て欠陥と
なりドロップアウトの発生に影響を与えることも判明し
た。更に検討の結果、当該深さでの横断面積は再生ビッ
ト面積の3%以上である事が判明した〔図3(a)〜
(d)参照〕。この様に、本発明は自乗平均表面から2
0nmの深さでの横断面積が再生ビット面積の3%以上
である窪みの個数が、ドロップアウトの発生と極めて密
接に関係している事を見出した点に最大の特徴がある。
【0010】本発明において、臨界窪みDの個数が3個
/100μm2 超であるとドロップアウトの発生が急激
に増加し、電磁変換特性が急激に低下する。臨界窪みD
の個数は1個/100μm2 以下であることが好ましく
0.5個/100μm2 以下であることが一層好まし
い。最も好ましくは0である。
【0011】臨界窪みDは、上層磁性層4及び/又は下
層3に含まれている潤滑剤を、上層磁性層4の表面に多
量に浸み出させ易い。その結果、多量に浸み出した潤滑
剤に起因して磁気ヘッドと磁気記録媒体とが貼り付き易
くなり、走行性が低下してしまう。また、潤滑剤が浸み
出し易いので、媒体内部から上層磁性層表面への潤滑剤
の補給が短時間で途絶えてしまい、やはり走行性及び耐
久性が低下してしまう。尚、上層磁性層表面の窪みの個
数の測定方法は、後述する実施例において詳述する。
【0012】臨界窪みDの個数が0に近くほど耐久性が
十分となり、且つドロップアウトの発生が抑えられ、電
磁変換特性が向上する。また、本発明のおいては、上層
磁性層4の表面に、上記自乗平均表面から20nmの深
さでの横断面積が再生ビット面積の3%未満である窪み
(以下、この窪みを微小窪みという)を存在させること
が好ましい。これにより、媒体表面と磁気ヘッドとの接
触面積が低減し、また、該微小窪みを通じて潤滑剤が媒
体表面へ絶えず供給されて、媒体表面と磁気ヘッドとの
摩擦が抑制され、走行性及び耐久性が維持される。微小
窪みは、その断面積が小さいので、該微小窪みが存在す
ることに起因する磁気ヘッドとのスペースロス及び記録
欠損による出力低下は無視できる程度に小さいものとな
る。
【0013】微小窪みの個数は、潤滑剤の浸み出し易さ
を適度な範囲にするために、800〜10個/100μ
2 、特に400〜20個/100μm2 であることが
好ましい。
【0014】上層磁性層4は、上述の様な窪みの規定を
有しつつ表面粗さRaが7.5μm以下である。上述の
通り、通常表面粗さRaが小さいと耐久性が劣化する
が、本発明の磁気記録媒体では、潤滑剤の浸み出し性が
適度なため耐久性が良好となる。
【0015】上層磁性層4には上述の通り非磁性粒子が
配合されている。この非磁性粒子の粒径を小さくし、ま
たその配合量を少なくすることにより非磁性粒子の欠損
に起因して生じる臨界窪みの数を減らすことが出来る。
更に磁気抵抗効果型素子を利用したヘッド(以下、MR
ヘッドという)を用いて再生した場合には、いわゆるサ
ーマルアスペリティの問題(媒体と磁気ヘッドとの接触
により発生した摺動熱によってMRヘッドの温度が上昇
し、抵抗値が変動してノイズが発生する問題)を回避す
ることもできる。具体的には、非磁性粒子の平均粒径を
0.12μm以下、好ましくは0.1μm以下、更に好
ましくは0.080μm以下とする。非磁性粒子の平均
粒径が0.12μmを超えると臨界窪みDを3個/1
00μm 2 以下とするのが困難となる、強磁性粉末の
パッキング性が阻害されて高密度記録時の再生出力が低
下する、0.2μm以下という薄い上層磁性層4の膜
強度に影響を与えドロップアウトが増加する等の問題が
起こる。上記非磁性粒子の平均粒径の下限は0.01μ
m程度である。二種以上の非磁性粒子を配合する場合に
は、各非磁性粒子の平均粒径を上記の通りとする。非磁
性粒子の配合量は、上層磁性層4に配合される強磁性粉
末100重量部に対して好ましくは0.1〜16重量
部、更に好ましくは0.1〜15重量部、一層好ましく
は0.1〜14重量部とする。上述の通り臨界窪みの数
を減らす点からは非磁性粒子の配合量は少ないほど好ま
しいが、その配合量が上記の下限値に満たないと、非磁
性粒子の骨材効果が効果的に発現しなくなる。二種以上
の非磁性粒子を配合する場合には、全非磁性粒子の合計
配合量が上記範囲内とするようにすることが好ましい。
【0016】上述の様な上層磁性層4の形成は、(1) 〜
(6)の方法から1種以上を用いることで達成される。
【0017】(1) 上層磁性層4を形成する上層塗料の調
製時に、該上層塗料に配合される強磁性粉末を予備分散
し、上層磁性層中に該強磁性粉末の凝集物が発生しない
ようにする。これにより凝集物の欠損に起因する窪みの
発生を抑えることができる。予備分散の方法としては、
例えば、強磁性粉末を結合剤および溶剤の一部と共にプ
ラネタリーミキサー、オープンニーダー等に投入して予
備分散を行う方法が挙げられる。
【0018】(2) 上層塗料の調製時に、非磁性粒子を予
備分散し上層磁性層中に該非磁性粒子の凝集物が発生し
ないようにする。この方法には上記の(1) と同様の効果
がある。
【0019】(3) 上層塗料の固形分濃度並びに上層塗料
塗工後の乾燥温度及び乾燥送風量を調整し、上層塗料に
含まれる溶剤の乾燥速度を調整して、窪みの大きさを制
御する。乾燥速度が早すぎると急激な溶剤蒸発によって
表面に臨界窪みの発生量が増す。逆に乾燥速度が遅すぎ
るとゆっくりと溶剤が蒸発するため、殆ど窪みの存在し
ない表面となる。適度な乾燥速度により臨界窪みの個数
が上記の値以下で且つ所定個数の微小窪みが存在する表
面状態となる。溶剤の好ましい乾燥速度は、1.0×1
-3〜8.0×10-3kg/(m2sec) 、特に1.5×10
-3〜6.0×10 -3kg/(m2sec) 、とりわけ1.8×1
-3〜4.0×10-3kg/(m2sec) である。
【0020】(4) 上層磁性層4のカレンダー条件(ロー
ル表面性、段数、温度、線圧)を適切に選択し、窪みの
形成を制御する。即ち、適度なカレンダー条件によっ
て、臨界窪みが効果的に除去され微小窪みを有する表面
となる。カレンダー条件が強すぎると微小窪みまでが除
去され、逆に弱すぎると臨界窪みが効果的に除去されな
い。好ましいカレンダー条件は以下の通りである。 ・ロール表面性;0.1S以上 ・段数;3〜7段 ・温度:80〜120℃ ・線圧:2.5〜3.4kN/cm 尚、上記ロール表面性における「S」は表面性を示す記
号であり、最大高さを示すものとして当業者に公知のも
のである。
【0021】(5) バックコート層5の表面形状を制御
し、磁気記録媒体の巻回保存時に、バックコート層5の
表面形状が上層磁性層4に転写することによる窪みの形
成を抑制する。バックコート層5の表面形状としては、
表面粗さRaが20nm以下、特に2〜12nmである
ことが好ましく、十点平均粗さRzが200nm以下、
特に18〜124nmであることが好ましい。更に、A
FMによって測定されたバックコート層5の表面形状に
おける自乗平均表面から60nmの高さでの横断面積が
再生ビット面積の3%以上である突起の個数が、5個/
100μm2 以下、特に3個/100μm2 以下である
ことが好ましい。
【0022】(6) 上記の(5) とも関連するが、支持体2
のバックコート層側の表面形状を制御し、磁気記録媒体
の巻回保存時に、支持体2のバックコート層側の表面形
状及び該表面形状が反映されたバックコート層5の表面
形状が、上層磁性層4に転写することによる窪みの形成
を抑制する。支持体2のバックコート層側の表面形状と
しては、表面粗さRaが10nm以下、特に2〜8nm
であることが好ましく、十点平均粗さRzが160nm
以下、特に18〜140nmであることが好ましい。更
に、AFMによって測定された支持体2のバックコート
層側の表面形状における自乗平均表面から40nmの高
さでの横断面積が再生ビット面積の3%以上である突起
の個数が、23個/100μm2 以下、特に18個/1
00μm2以下であることが好ましい。
【0023】上記磁気記録媒体1をより一層高密度記録
に適したものとするために、上層磁性層4の残留磁束密
度Brと上層磁性層4の厚みδとの積(以下、この積を
Brδという)を0.005〜0.045Tμm、特に
0.005〜0.042Tμmとして、MRヘッド、特
に固定型のMRヘッドによる再生を行うことが好まし
い。Brδは上層磁性層4の磁束量の尺度となるもので
あり、この値が0.045Tμm超であるとMRヘッド
磁界が飽和して高密度記録が出来なくなる場合がある。
また、磁束量が大きくなり過ぎ反磁界の影響が大きく高
密度記録ができない場合がある。一方、Brδの値が
0.005Tμm未満では磁束量が小さくなり過ぎ十分
な再生出力が得られない。Brδの値は上層磁性層4の
厚みδの値に依存することから、このδの値を調整する
ことによってBrδの値を上記範囲内にすることができ
るが、δの値は0.2μm以下とする必要がある。δの
値が0.2μm以上であると、高周波記録の際に反磁界
の影響が大きくなり十分な入出力特性が得られなくなっ
てしまうからである。δの値は0.01〜0.2μm、
特に0.01〜0.1μmであることが好ましい。ま
た、Brδの値は上層磁性層4の残留磁束密度Brの値
にも依存する。Brの値が高すぎると自己減磁による出
力低下が起こる場合があり、低すぎると漏れ磁束が少な
くなりやはり出力低下が起こる場合があることから、こ
のBrの値は0.1〜0.5T、特に0.1〜0.4T
であることが好ましい。
【0024】また、上記磁気記録媒体1においては、線
記録密度向上の妨げとなる磁化反転領域における反磁界
の発生を防止して記録密度を向上させるために、上層磁
性層4の保磁力Hcを170〜280kA/m、好まし
くは170〜260kA/m、更に好ましくは170〜
240kA/mとする。線記録密度の向上は、トラック
幅を小さくできる(即ち、再生ビット面積を小さくでき
る)MRヘッドによって磁気記録情報を再生する場合に
特に有利である。上層磁性層4の保磁力を上記範囲内と
するためには、例えば強磁性粉末として後述する粒径の
ものを用いたり、上層磁性層形成の際の磁場配向条件を
コントロールする等の方法が用いられる。
【0025】上層磁性層4に含有される強磁性粉末とし
ては、例えば針状または紡錘状の強磁性粉末および板状
の強磁性粉末を用いることができる。針状または紡錘状
の強磁性粉末としては、鉄を主体とする強磁性金属粉末
や強磁性酸化鉄系粉末などが挙げられる。板状の強磁性
粉末としては、強磁性六方晶系フェライト粉末などが挙
げられる。何れの強磁性粉末を用いる場合にも、その平
均粒径が0.01〜0.12μm、特に0.02〜0.
12μmのものを用いることが、最小記録ビット体積内
に存在する強磁性粉末の個数を増加させてBrの値を大
きくさせる観点から好ましい。本明細書において粉末の
粒径とは、該粉末が磁性であると非磁性であるとを問わ
ず、粉末形状が針状又は紡錘状である場合は長軸長を意
味し、板状である場合は板径を意味する。また、球状で
ある場合は直径を意味し、無定形である場合は最も長い
部分の長さを意味する。
【0026】強磁性金属粉末としては、金属分が40重
量%以上であり、該金属分の40%以上が鉄である強磁
性金属粉末が挙げられる。強磁性金属粉末の具体例とし
ては、特開平9−35246号公報の第3欄42〜44
行に記載のもの等が挙げられる。この強磁性金属粉末の
保磁力Hcは125〜200kA/m、飽和磁化σsは
110〜170Am2 /kg、BET比表面積は40〜
70m2 /gであることが好ましい。強磁性六方晶系フ
ェライト粉末としては、例えば特開平9−35246号
公報の第4欄1〜5行に記載の微小平板状バリウムフェ
ライト粉末が挙げられる。この強磁性六方晶系フェライ
ト粉末の保磁力Hcは135〜260kA/m、飽和磁
化σsは27〜72Am2 /kg、BET比表面積は3
0〜70m2 /gであることが好ましい。
【0027】上記強磁性粉末と共に上層磁性層に含有さ
れる結合剤としては、例えば特開平9−35246号公
報の第4欄第25〜32行に記載のものが挙げられる。
これらのうち、分子内に硫酸塩基、スルホン酸塩基、エ
ポキシ基、水酸基又はカルボキシル塩基等の極性基を有
するポリウレタン樹脂および塩化ビニル系共重合体なら
びにニトロセルロース系樹脂が好適に使用される。結合
剤の配合量は、強磁性粉末100重量部に対して5〜3
0重量部であることが好ましい。特に、ポリウレタン樹
脂と塩化ビニル系共重合体とを併用し且つ両者の比率
(前者/後者)を20/80〜70/30とすることが
好ましい。
【0028】上述の成分の他に、α−アルミナ及び酸化
クロム等のモース硬度が7以上の物質の粉末からなる研
磨材や帯電防止剤としてのカーボンブラック等の非磁性
粒子、脂肪酸や脂肪酸エステル等の潤滑剤、イソシアネ
ート系化合物等の硬化剤などを上層磁性層に含有させる
ことにより、磁気記録媒体の性能を一層向上させること
ができる。特に非磁性粒子として上述の平均粒径を有す
るものを用いる。これらの成分の好ましい配合量は、強
磁性金属粉末100重量部に対してそれぞれ以下の通り
である。尚、研磨材及びカーボンブラック等の非磁性粒
子の合計量の好ましい範囲は上述の通りである。 ・研磨材:1〜16重量部、特に2〜14重量部 ・カーボンブラック:0.01〜1.0重量部、特に
0.05〜0.8重量部 ・潤滑剤:1〜10重量部 ・硬化剤:5重量部以下、特に2重量部以下
【0029】下層3は強磁性粉末を含む磁性の層でもよ
く或いは強磁性粉末を含まない非磁性の層でもよい。ま
た下層3は、磁性であるとないとを問わず、結合剤、研
磨材や帯電防止剤としてのカーボンブラック等の非磁性
粒子、潤滑剤及び硬化剤などを含む。これらの成分の詳
細に関しては上層磁性層4に含まれる当該成分と同様で
ある。更に下層3は、非磁性の酸化鉄(α−酸化鉄)、
酸化チタン、炭酸カルシウム等の非磁性フィラーを含
む。下層3に含まれるこれらの成分の好ましい配合量
は、強磁性粉末及び非磁性フィラーの合計量100重量
部に対して(下層3が磁性の層である場合)、又は非磁
性フィラー100重量部に対して(下層3が非磁性の層
である場合)、それぞれ以下の通りである。 ・結合剤:5〜50重量部、特に10〜30重量部 ・研磨材:1〜30重量部、特に2〜18重量部 ・カーボンブラック:0.3〜30重量部、特に1〜2
0重量部 ・潤滑剤:1〜20重量部、特に3〜10重量部 ・硬化剤:12重量部以下、特に8重量部以下
【0030】下層3が磁性の層である場合、上層磁性層
4の磁気特性のコントロールの点から、下層3の保磁力
は135〜260kA/m、特に160〜260kA/
mであることが好ましく、飽和磁束密度は0.05〜
0.1T、特に0.05〜0.08Tであることが好ま
しい。
【0031】下層3の厚みは、上層磁性層4の厚みとの
関係並びに磁気記録媒体の耐久性の向上及びカッピング
発生防止の点から好ましくは2.0μm以下とし、更に
好ましくは0.2〜1.5μm、一層好ましくは0.5
〜1.5μmである。
【0032】下層3及び上層磁性層4は、下層を形成す
るための下層塗料及び上層磁性層を形成するための上層
塗料の塗布によって形成される。下層塗料及び上層塗料
は、上述の各種成分を所定量の溶剤に分散させることに
より得られる。溶剤としては、ケトン系溶剤、芳香族系
溶剤、炭化水素系溶剤等が好ましく用いられる。これら
の塗料の調製の際、特に上層塗料の調製の際に、上記の
(1) 及び/又は(2) の方法を採用することによって、上
層磁性層4の表面形状を上述のものとすることができ
る。
【0033】支持体2の他方の面側に形成されるバック
コート層5としては、カーボンブラックが結合剤中に分
散されてなるものが使用できる。具体的には、例えば特
開平9−35246号公報の第5欄41行〜第9欄4行
に記載のものが使用できる。その厚みは、耐久性の向上
及びカッピング発生防止の点から0.05〜0.8μ
m、特に0.1〜0.7μmであることが好ましい。ま
た、バックコート層5に、所定の粒径を有するカーボン
ブラックを配合し、その表面形状を上記の(5) のように
することで、上層磁性層4の表面形状を上述のものとす
ることができる。
【0034】支持体は磁気記録媒体用であれば公知の支
持体が使用でき、具体的には特開平9−35246号公
報の第2欄30〜42行に記載のものが使用できる。こ
れらのうちでも、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド等の非磁
性材料が好適である。支持体の厚みは、8μm以下、特
に6μm以下であることが、磁気記録媒体の高容量化の
ために好ましい。また、支持体の表面に易接着層を設
け、下層3やバックコート層5との接着性を高めてもよ
い。更に、支持体2のバックコート層側の表面形状を上
記の(6) のようにすることで、上層磁性層4の表面形状
を上述のものとすることができる。斯かる表面形状を有
する支持体2は、例えば支持体内に含有させるフィラー
の大きさ及び含有量を調整して得ることができる。
【0035】上記磁気記録媒体1の全厚は、磁気記録媒
体の高容量化及び耐久性の確保の点から7μm以下、特
に4〜7μmであることが好ましい。
【0036】次に 上記実施形態の磁気記録媒体1の好
ましい製造方法の概略を説明する。先ず、支持体2上に
上層塗料と下層塗料とを、各層が所定の厚みとなるよう
にウエット・オン・ウエット方式により同時重層塗布
し、上層磁性層および下層の塗膜を形成する。次いで、
これらの塗膜に対して磁場配向処理を行った後に乾燥処
理を行い巻き取る。この後、カレンダー処理を行う。こ
の乾燥処理及びカレンダー処理の条件として上記の(3)
及び(4) の条件を採用することで、上層磁性層4の表面
形状を上述のものとすることができる。更に、支持体2
の反対側の面上にバックコート塗料を塗布し所定条件で
乾燥させてバックコート層5を形成する。この乾燥条件
として、溶剤の乾燥速度を1.0×10-3〜8.0×1
-3kg/(m 2 sec)、特に2.0×10-3〜6.5×10
-3kg/(m2 sec)、とりわけ、2.2×10-3〜4.3×
10-3kg/(m2 sec)の条件を採用することによって、バ
ックコート層5の表面形状を容易に上記の(5) のように
することが出来る。次いで、40〜80℃下で6〜10
0時間エージング処理し、幅広の磁気記録媒体原反を得
る。そして、例えば磁気テープを製造する場合には、こ
の原反をその長手方向に沿って所定幅に裁断する。
【0037】以上、本発明をその好ましい実施形態に基
づき説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、
本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可
能である。例えば上記実施形態の磁気記録媒体は、上層
磁性層及び下層を有する重層型の磁気記録媒体である
が、これに代えて一層の磁性層のみを有する単層型の磁
気記録媒体でも上記実施形態と同様の効果が奏される。
また、上記実施形態において、支持体2と下層3又はバ
ックコート層5との間にプライマー層やトラッキング用
のサーボ信号を記録し得る層を形成してもよい。また、
本発明の磁気記録媒体は、DVCテープや8mmビデオ
テープやDATテープなどの画像音声記録用テープ、D
LT、DDSテープ、1/4インチデータカートリッジ
テープ、データ8mmテープなどのデータ記録用テープ
等の磁気テープとして好適であるが、フレキシブルディ
スクのような磁気ディスク等の他の磁気記録媒体として
も適用することもできる。
【0038】
【実施例】以下の例中、特に断らない限り部及び%はそ
れぞれ重量部及び重量%を意味する。
【0039】〔実施例1〕下記の上層塗料の配合におい
て強磁性粉末を結合剤および溶剤の一部と共にプラネタ
リーミキサーに投入し予備分散した。これとは別に、研
磨材を同様の方法で予備分散した。二つの予備分散体を
混合し、サンドミルによる分散処理を行った。その後、
溶剤を加えチキソトロピー指数を調整し、絶対濾過精度
1μmの濾過フィルターを用いて濾過した。最後に硬化
剤を添加して上層塗料を得た。また、同様の方法により
下層塗料及びバックコート塗料をそれぞれ得た。
【0040】 <上層塗料の配合> ・針状強磁性金属磁性粉末(Fe:Co=80/20) 100部 (保磁力;175kA/m、飽和磁化;147Am2 /kg、平均粒径;65n m) ・α−アルミナ(研磨材、平均粒径:70nm) 3.2部 ・カーボンブラック(平均粒径:20nm) 0.4部 ・硫酸塩基含有塩化ビニル系共重合体〔結合剤、日本ゼオン製のMR104(商 品名)〕 10部 ・スルホン酸塩基含有ポリウレタン樹脂〔結合剤、東洋紡製のUR−8300( 商品名)〕 7部 ・ステアリン酸 2部 ・2−エチルヘキシルオレート 1.5部 ・ポリイソシアネート〔硬化剤、日本ポリウレタン工業製のコロネートL(商品 名)、固形分75%〕 4.5部 ・メチルエチルケトン 132部 ・トルエン 88部 ・シクロヘキサノン 210部
【0041】 <下層塗料の配合> ・六角板状六方晶系強磁性バリウムフェライト粉末 60部 (保磁力;152kA/m、飽和磁化;52Am2 /kg、平均粒径;30nm ) ・針状のα−Fe2 3 40部 (非磁性フィラー、平均粒径:100nm) ・α−アルミナ(研磨材、平均粒径:70nm) 6部 ・カーボンブラック(平均粒径:20nm) 10部 ・硫酸塩基含有塩化ビニル系共重合体〔結合剤、日本ゼオン製のMR104(商 品名)〕 14部 ・スルホン酸塩基含有ポリウレタン樹脂〔結合剤、東洋紡製のUR−8300( 商品名)〕 12部 ・ステアリン酸 4部 ・2−エチルヘキシルオレート 1.5部 ・ポリイソシアネート〔硬化剤、日本ポリウレタン工業製のコロネートL(商品 名)、固形分75%〕 4部 ・メチルエチルケトン 84部 ・トルエン 56部 ・シクロヘキサノン 60部
【0042】 <バックコート塗料の配合> ・カーボンブラック(平均粒径:28nm) 38部 ・カーボンブラック(平均粒径:52nm) 2部 ・「ニッポラン2301」 50部 〔商品名、日本ポリウレタン工業(株)製のポリウレタン、固形分40%〕 ・ニトロセルロース 20部 (Hercules Powder Co. 製の粘度表示1/2秒のもの) ・ポリイソシアネート(固形分75%) 4部 ・銅フタロシアニン 5部 ・ステアリン酸 2部 ・メチルエチルケトン 120部 ・トルエン 120部 ・シクロヘキサノン 120部
【0043】厚さ4.5μmのPETフィルムからなる
支持体上に、下層塗料及び上層塗料を、下層及び上層磁
性層の乾燥厚さがそれぞれ1.2μm及び0.1μmと
なるように、ダイコーターにてウエット・オン・ウエッ
ト方式で同時重層塗布を行い、それぞれの塗膜を形成し
た。次いで、これらの塗膜が湿潤状態にある間に0.5
Tのソレノイド中を通過させて長手方向に磁場配向処理
を行い、更に溶剤の乾燥速度が表1に示す値となるよう
に乾燥炉の温度及び風量を調整して塗膜を乾燥処理し、
巻き取った。次いで、表1に示す条件でライン速度15
0m/minにてカレンダー処理を行った。このとき用
いたカレンダーロールの表面性は0.1Sであった。更
に、上記支持体の裏面上にバックコート塗料を乾燥厚み
が0.5μmとなるように塗布し、溶剤の乾燥速度3.
0×10-3kg/(m2 sec)の条件で乾燥処理を行った後巻
き取った。その後、50℃にて16時間エージング処理
を行い、1/2インチ幅に裁断して磁気テープを得た。
【0044】〔実施例2、3及び7並びに比較例1〕実
施例1において、上層磁性層の塗工時乾燥条件及びカレ
ンダー条件を表1に示す条件に変え、更に支持体として
表2に示す表面形状を有するものを用いる以外は実施例
1と同様にして磁気テープを得た。
【0045】〔実施例4〕実施例3において、上層磁性
層に配合される強磁性粉末として、保磁力167kA/
m、飽和磁化124Am2 /kg、平均粒径80nmの
針状強磁性金属粉末を用い、且つ上層磁性層の厚みを
0.04μmとし、更に支持体として表2に示す表面形
状を有するものを用いる以外は実施例3と同様にして磁
気テープを得た。
【0046】〔実施例5〕実施例3において、上層磁性
層の厚みを0.14μmとし、更に支持体として表2に
示す表面形状を有するものを用いる以外は実施例3と同
様にして磁気テープを得た。
【0047】〔実施例6〕実施例3において、下層に六
方晶系バリウムフェライト粉末を配合せず、その代わり
に針状のα−Fe2 3 の配合量を100部とし、更に
支持体として表2に示す表面形状を有するものを用いる
以外は実施例3と同様にして磁気テープを得た。
【0048】〔実施例8〕実施例3においてバックコー
ト塗料の溶剤の乾燥速度を7.0×10-3kg/(m 2 sec)
とし、更に支持体として表2に示す表面形状を有するも
のを用いる以外は実施例3と同様にして磁気テープを得
た。
【0049】〔実施例9〕実施例3において、表2に示
す表面形状を有する支持体を用いる以外は実施例3と同
様にして磁気テープを得た。
【0050】〔比較例2〕比較例1において、上層磁性
層に配合される研磨材として平均粒径200nmのアル
ミナを用い、更に支持体として表2に示す表面形状を有
するものを用いる以外は比較例1と同様にして磁気テー
プを得た。
【0051】〔比較例3〕比較例1において、上層磁性
層に配合される強磁性粉末として、保磁力143kA/
m、飽和磁化120Am2 /kg、平均粒径160nm
の針状強磁性金属粉末を用い、上層磁性層の厚みを0.
25μmとし、バックコート層に配合されるカーボンブ
ラックとして、平均粒径28nmのカーボンブラック2
部及び平均粒径52nmのカーボンブラック38部を用
い、更に支持体として表2に示す表面形状を有するもの
を用いる以外は比較例1と同様にして磁気テープを得
た。
【0052】〔比較例4〕比較例1において、支持体と
して厚みが10μmで且つ表2に示す表面形状を有する
PETフィルムを用いる以外は比較例1と同様にして磁
気テープを得た。
【0053】〔性能評価〕実施例及び比較例で得られた
磁気テープについて、下記の方法で上層磁性層の表面粗
さRa、窪みの個数、磁気特性(保磁力Hc、飽和磁束
密度Br)の値を求め、また、バックコート層及び支持
体のバックコート層側の表面粗さRa、十点平均粗さR
z及び突起の個数を求め、更に磁気テープの再生出力、
ドロップアウト、スチル耐久性及び摩擦係数を求めた。
結果を表2に示す。
【0054】<上層磁性層の表面粗さRa>光学式表面
粗さ計(Zygo社製、型式Maxim・3D570
0)により、フィゾーレンズ40倍を使用し、Cyln
der補正をして5点測定し、その平均値を表面粗さR
aとした。
【0055】<上層磁性層の窪みの個数>デジタルイン
スツルメント社製ナノスコープを用い、10μm×10
μm四方のAFM像を測定する。測定したAFM画像を
off-line modify のflatten コマンドにより平滑処理を
行う。このとき、flatten order は2とする。平滑処理
を行った画像をoff-line modify の反転処理により反転
させ、窪みを突起として表示する。その後、off-line a
nalyzeのgrain sizeコマンドにより基準面(自乗平均表
面)から20nmの高さ(すなわち実像において、20
nmの深さ)でスライスし、スライスした断面に存在す
る山のスライス面における粒径と個数を算出する。その
算出結果から、再生ビット面積の3%以上の横断面積を
有する山の個数及び3%未満の横断面積を有する山をの
個数を数える。前者を実像における3%以上の横断面積
を有する窪み(臨界窪み)とし、後者を3%未満の横断
面積を有する窪み(微小窪み)とする。少なくとも1サ
ンプルにつき50点の測定を行い、実像における3%以
上の横断面積を有する窪みの個数の算術平均及び3%未
満の横断面積を有する窪みの個数の算術平均を求める。
【0056】<磁気特性>磁気テープから上層磁性層の
みを剥離し、所定寸法に打ち抜き、東英工業製VSMを
用い外部磁場1194kA/mにて測定した。但し、実
施例8のみ磁気テープそのものを打ち抜いて測定した。
【0057】<バックコート層及び支持体のバックコー
ト層側の表面粗さRa、十点平均粗さRz>上層磁性層
の表面粗さRaと同様にして測定した。但し、支持体に
関しては50倍ミラウレンズを用いて測定した。
【0058】<バックコート層及び支持体のバックコー
ト層側の突起の個数>上層磁性層の窪みの個数測定と同
様にして測定した。但し、窪みではなく突起を測定する
ため、像の反転処理を行わなかった。
【0059】<磁気テープの電磁変換特性及びドロップ
アウト>固定ヘッドを備えたDLT−7000ドライブ
を改造し、再生ビット面積0.2μm×5μmでの出力
信号を測定した。ここで、出力は比較例1の磁気テープ
を基準(0dB)とする相対評価とした。ドロップアウ
トは、再生ビット面積0.2μm×5μmの信号を1M
ビット記録し、再生時に出力が50%ダウンするビット
数をカウントして測定した。
【0060】<スチル耐久性>上記DLT−7000ド
ライブを用い、1Mビットの記録信号を繰返し再生しな
がらその再生出力が初期値から3dB低下するまでの時
間を測定した。
【0061】<摩擦係数>SMC認定試験法に準拠して
測定した。直径20mm、表面粗さ0.2SのSUS製
丸棒に磁気テープの上層磁性層側を90度の角度で巻き
付け、速度18.8mm/sec、張力0.1Nの条件
で100パス走行させて摩擦係数を測定し、その中の最
大値を摩擦係数の値とした。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】表2に示す明らかなように、実施例の磁気
テープ(本発明品)は、比較例の磁気テープに比してド
ロップアウトの発生が少なく、電磁変換特性が高いもの
であることが判る。更に実施例の磁気テープは摩擦係数
が小さく走行性が良好であり、またスチル耐久性も高い
ことが判る。
【0065】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明によれば、
優れた電磁変換特性及び低ドロップアウトと優れた走行
性及び耐久性とを高いレベルで両立させることができ、
且つ高密度デジタル記録に好適な磁気記録媒体が得られ
る。本発明の磁気記録媒体は、特に、磁気抵抗効果型素
子を利用した再生ヘッドによって磁気記録情報が再生さ
れる場合に高密度記録の効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一実施形態の構造を示
す模式図である。
【図2】上層磁性層の表面形状を示す模式図である。
【図3】窪みの個数とドロップアウトの発生との関係を
示すグラフである。
【符号の説明】 1 磁気記録媒体 2 支持体 3 下層 4 上層磁性層 5 バックコート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 たかし 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 Fターム(参考) 5D006 BA10 BA19 BA20 CB07 CC03 DA00 FA00 FA02 FA05 FA09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の一面上に下層と、厚さ0.2μ
    m以下の最上層磁性層とを有し、他面上にバックコート
    層を有するデジタル磁気記録媒体であって、 上記最上層磁性層に含有される非磁性粒子の平均粒径が
    0.12μm以下で、該最上層磁性層の表面粗さRaが
    7.5nm以下であり、 原子間力顕微鏡によって測定された上記最上層磁性層の
    表面形状における自乗平均表面から20nmの深さでの
    横断面積が再生ビット面積の3%以上である窪みの個数
    が、3個/100μm2 以下である磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記最上層磁性層の残留磁束密度と該最
    上層磁性層の厚みとの積を0.005〜0.045Tμ
    m、該最上層磁性層の保磁力を170〜280kA/m
    とし、磁気抵抗効果型素子を利用した再生ヘッドによっ
    て磁気記録情報が再生される請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 上記再生ビット面積が1.15μm2
    下であり、上記再生ヘッドが固定ヘッドであり、全厚が
    7μm以下である請求項2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 上記バックコート層の表面粗さRaが2
    0nm以下で且つ十点平均粗さRzが200nm以下で
    あり、 原子間力顕微鏡によって測定された該バックコート層の
    表面形状における自乗平均表面から60nmの高さでの
    横断面積が上記再生ビット面積の3%以上である突起の
    個数が、5個/100μm2 以下である請求項1〜3の
    何れかに記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 上記支持体の上記バックコート層側の表
    面粗さRaが10nm以下で且つ十点平均粗さRzが1
    60nm以下であり、 原子間力顕微鏡によって測定された該支持体の該バック
    コート層側の表面形状における自乗平均表面から40n
    mの高さでの横断面積が上記再生ビット面積の3%以上
    である突起の個数が、23個/100μm2 以下である
    請求項1〜4の何れかに記載の磁気記録媒体。
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