JP2001006150A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2001006150A
JP2001006150A JP11174185A JP17418599A JP2001006150A JP 2001006150 A JP2001006150 A JP 2001006150A JP 11174185 A JP11174185 A JP 11174185A JP 17418599 A JP17418599 A JP 17418599A JP 2001006150 A JP2001006150 A JP 2001006150A
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magnetic layer
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JP11174185A
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English (en)
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Kiyomi Ejiri
清美 江尻
Makoto Nagao
信 長尾
Koichi Masaki
幸一 正木
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布型のキーパー媒体を提供すること、即
ち、電磁変換特性、特に、短記録波長を用いた磁気記録
における記録特性が優れ、高い再生出力を有し、かつ生
産性及び保存性に優れた磁気記録媒体を提供すること。 【解決手段】 非磁性可撓性支持体上に非磁性粉末と結
合剤とを含む下地層を有し、その上に二層以上の磁性層
を有する磁気記録媒体において、前記二層以上の磁性層
の少なくとも一層が強磁性粉末を結合剤中に分散してな
るHcが800Oe以上の硬質磁性層であり、かつ前記二
層以上の磁性層の少なくとも一層が高透磁率の軟質磁性
層である磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二層以上の磁性層
を少なくとも有する磁気記録媒体に関する。本発明の磁
気記録媒体は、高密度記録に適した磁気記録媒体に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
ビデオテープ、オーディオテープ、磁気ディスク等の磁
気記録媒体としては、強磁性酸化鉄、Co変性強磁性酸
化鉄、CrO2、強磁性合金粉末等を結合剤中に分散し
た磁性層を非磁性支持体に塗設したものが広く用いられ
ている。近年、記録密度を高める、高記録密度化が進め
られており、そのため、記録波長が短くなり、さらには
トラック幅も狭くなってきている。しかし、短い記録波
長を用いる磁気記録においては、磁性層の厚さが厚いと
出力が低下する記録時の自己減磁損失、及び再生時の厚
み損失が大きな問題となっている。このため、短い記録
波長に対応し得るように磁性層を薄くすることが行われ
ている。しかるに、従来型の塗布型磁気記録媒体につい
ては、狭トラック化による出力損失を補うという観点か
ら、より高い再生出力を有することが求められている。
【0003】厚みの薄い磁性層としては、主にハードデ
ィスクなどで、スパッタ法や蒸着法により形成させた金
属薄膜からなる、いわゆる薄膜媒体が実用化されてい
る。さらに、これら薄膜媒体を高記録密度化に対応させ
るため、高Hc薄膜上にパーマロイなどの高透磁率層を
形成させることが1990年代の前半から提案され、
「キーパー媒体」として知られている。このような薄膜
キーパー媒体は、優れた電磁変換特性、特に高い再生出
力を有する。しかるに、真空中で多層膜を形成させるこ
とが必要であることから、金属薄膜からなるハードディ
スクにおいてのみ検討され、塗布型の磁気記録媒体での
検討や応用はこれまでになされていない。また、薄膜キ
ーパー媒体は、耐久性確保のためDLC膜、潤滑剤のオ
ーバーコートが必要であるために、塗布型の媒体より生
産性が劣る。さらに、金属薄膜なので錆びやすく、密閉
系で使用する等、使い勝手の点で課題もあった。上記の
ような薄膜キーパー媒体の欠点を幾分か解消した塗布型
のキーパー媒体が米国特許第5,843,565号明細
書に記載されているが、この媒体では、可撓性支持体上
に強磁性粉末と樹脂バインダーからなる硬質磁性層と軟
質磁性層を形成しているため、再生出力が依然として満
足できるレベル程には高くないという欠点があった。
【0004】そこで本発明の目的は、塗布型のキーパー
媒体を提供することにある。即ち、本発明の目的は、電
磁変換特性、特に、短記録波長を用いた磁気記録におけ
る記録特性が優れ、高い再生出力を有し、かつ生産性及
び保存性に優れた磁気記録媒体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、非磁性可撓性
支持体上に非磁性粉末と結合剤とを含む下地層を有し、
その上に二層以上の磁性層を有する磁気記録媒体におい
て、前記二層以上の磁性層の少なくとも一層が強磁性粉
末を結合剤中に分散してなるHcが800Oe以上の硬質
磁性層であり、かつ前記二層以上の磁性層の少なくとも
一層が高透磁率の軟質磁性層であることを特徴とする磁
気記録媒体に関する。
【0006】本発明の媒体では、硬質磁性層が記録され
た磁化を保持する層であり、軟質磁性層が上記磁化保持
層からの磁束を再生ヘッドに導く役割を果たす。従っ
て、磁化保持層である硬質磁性層は分解能向上・自己減
磁損失低減の観点から薄い方が好ましく、硬質磁性層の
厚さは0.01〜1μmの範囲であることが好ましい。一
方、軟質磁性層の厚みは、厚すぎると再生時のバイアス
電流が過大となりオーバーライトの原因となるので、0.
01〜1μmの範囲であることが好ましい。このように、
硬質磁性層及び軟質磁性層を合わせた磁性層全体の厚さ
を薄くすることが好ましいこと、及び生産性向上の観点
で非磁性粉末と結合剤とを含む非磁性下地層を設ける。
また、本発明の磁気記録媒体においては、軟質磁性層を
最上層に設けることが、再生出力の向上という観点から
好ましい。また、軟質磁性層は比透磁率が20以上であ
り、Hcが150Oe以下であることが好ましい。比透磁
率が20以上であることで、軟質磁性層による効果がよ
り良好に発揮される。また、Hcが150Oe以下である
ことで、再生時のバイアス電流が過大になりにくく、オ
ーバーライトも起き難くなる。さらに、磁性粒子を結合
剤に分散した多層媒体の場合は、層間の磁気的な結合は
多層薄膜の場合に較べて小さい。しかし、磁性粒子を結
合剤に分散した多層媒体の場合にも、層間の磁気的な結
合が全くない訳ではない。そこで、このような磁気的な
結合を断ち切るために、硬質磁性層と軟質磁性層の間に
非磁性層を設けることが好ましい場合がある。また、こ
の非磁性層は、比較的薄い層であることが好ましく、例
えば、厚み0.005〜0.1μmの範囲である。
【0007】以下に、本発明の磁気記録媒体の作用機構
について説明する。前述のように、薄膜媒体において
は、キーパー媒体はすでに公知である。その作用機構
は、例えば、IEEE TRANS.MAG.Vol27、No6、p4549(199
1)、J.Appl.Phys.75(10)、15、p6150(1994)、信学技報M
R98-56(1999)などに報告されている。即ち、キーパー媒
体では、硬質磁性層に隣接した軟質磁性層を設けること
で、記録磁化の反磁界を低減すること、さらには、該軟
質磁性層に再生時にDCバイアス磁界を印加してハ゛ーチャル
キ゛ャッフ゜を形成させ実質的なスヘ゜ーシンク゛ロスを低減させること
で出力が増大する。
【0008】前述の様に、従来は薄膜媒体では、キーパ
ー媒体が知られているが、塗布型媒体では、キーパー媒
体は知られていない。特に、本発明の磁気記録媒体の様
に非磁性粉末と結合剤を主体とする下地層を設けると、
塗布型媒体でも薄膜と同様な層構成を得られやすい。薄
膜の様に1μmを下回る厚みの磁性層を支持体に直接塗
設すると、支持体突起や空気中のゴミなどで塗布欠陥が
発生しやすくなる。また塗布膜のレベリングやカレンダ
ー効果が低減による表面粗さの増大、内添する潤滑剤量
減少による耐久性劣化が起き易くなる。しかし、磁気記
録媒体のように、下地層を設けて実質的に塗布厚みを厚
くすることで、これらの弊害を容易に回避することがで
きる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、各層に関して詳細に説明す
る。 〔軟質磁性層〕磁気記録媒体で軟質磁性層として用いる
ことができる磁性層としては、例えば、スパッタ・真空
蒸着などで形成した高透磁率薄膜、及び高透磁率の微粒
子を結合剤中に分散し塗布した層を挙げることができ
る。それぞれに一長一短はあるが、前者は透磁率が大き
くBsが大きいので、キーパー層のとして大きい効果を
発揮する傾向がある。しかし、スパッタ・真空蒸着など
で形成した高透磁率薄膜は、耐久性及び保存性を確保す
るために保護膜を設ける必要がある。一方、後者(塗布
層)は、いわゆる圧粉磁心と同様に無垢の材料に比べて
透磁率は低下するが、印加磁場に対して透磁率が一定な
性質(恒透磁率性)をもち、記録の際に有利である。ま
た、硬質磁性層と同時重層塗布して生産性を向上させる
ことができ、また、該軟質磁性層中に研磨剤や潤滑剤を
含ませて耐久性を確保することができる、などの利点も
ある。さらに、結合剤で粒子をくるむことができるた
め、薄膜型に比べて保存性を向上させることができると
いう利点もある。
【0010】軟質磁性層の比透磁率は、記録磁化の安定
化という観点から、20以上で好ましくは50以上であ
ることが適当である。オーバーライトが起きにくいとい
う観点から、Hcは150 Oe以下、好ましくは100
Oe以下より好ましくは50 Oe以下であることが適当で
ある。軟質磁性層の厚みは0.001〜1μmの範囲、
好ましくは0.003〜0.5μmの範囲、より好まし
くは0.005〜0.2μmの範囲であることが適当で
ある。薄くなりすぎるとキーパー層としての効果が発揮
されにくくなり、厚くなりすぎるとオーバーライトの原
因となる場合がある。
【0011】軟質磁性層に用いられる物質は、純鉄、N
i−Fe合金、Fe−Al合金、Si−Al−Fe合金
などの合金、Fe23を主成分とするフェリ磁性酸化物、
例えばNi-Znフェライト、Mn-Znフェライト、Cu-Znフェライトが挙げられ
る。詳細は「磁性体ハント゛フ゛ック」朝倉書店(1980.8.20刊
行)に記載され、これを参照することができる。粉末で
用いる場合は、なかでも透磁率が高いハ゜ーマロイ(Ni35〜
80−Fe65〜20)、センタ゛スト(Si9.6−Al5.4−Fe)、M
n-Znフェライトが、粉末で用いる場合好ましい。粉末の場
合、粒子の平均一次粒径は1μm以下、好ましくは0.5μ
m以下、さらに好ましくは0.2μmであることが適当であ
る。粉末粒子の形状は、形状磁気異方性が生じない範囲
であれば、どんな形状でもよい。また磁気特性を損なわ
ない範囲であれば有機物や無機物で表面処理を行うこと
ができる。例えば、粉末の硬度を向上させるためAl2
3やSiO2で表面を被覆することや、結合剤への分散
性を改善するために、シラン系カッフ゜リンク゛剤、チタネート系カッフ゜リン
ク゛剤、有機酸化合物、レシチン等公知の分散剤で表面処
理するなど、従来硬質磁性粉末で有効な手段を適用する
ことができる。
【0012】軟質磁性層を最上層、すなわち磁気ヘッド
と直接接触する層として配置する場合は、耐久性を向上
させる手段を併用することが好ましい。薄膜軟磁性層の
場合は、DLC膜の保護膜や潤滑剤剤層を薄膜軟磁性層
の上に設ける。潤滑剤としてはパーフルオロポリエーテ
ル、脂肪酸、脂肪酸エステル、燐酸エステル類、アミド
類、流動パラフィンなど目的に合わせて公知の化合物を
用いればよい。また、軟磁性粉末を結合剤中に分散した
塗布層の場合には、塗布層に公知の研磨剤及び/又は潤
滑剤を含有させることで耐久性を向上することが出来
る。研磨剤としてはモース硬度5以上の微粒子粉末が好
ましく、α-Al2O3、α-Fe2O3、ZrO2、Cr2O3、TiO2、TiC、Si
O2、SiC、カーホ゛ンホ゛ロンナイトライト゛、タ゛イヤモント゛、γ-Fe2O3、マク゛ネタイト
CeO2、Si3N4等を用いることができる。研磨剤粒子の形状
は粒状、針状、サイコロ状が使用でき、サイス゛としては一次粒子
の最大径(例えば粒状なら直径、針状なら長軸長)の平
均が0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、さら
に好ましくは0.2μm以下であることが適当である。
潤滑剤としてはパーフルオロポリエーテル、高級脂肪
酸、脂肪酸エステル類、脂肪酸アミド類、流動パラフィ
ンなど目的に応じて公知の化合物を用いることができ
る。
【0013】塗布型の軟質磁性層に用いる結合剤として
は、公知の結合剤をそのまま使用することができる。例
えば、塩化ヒ゛ニル系強重合体、ホ゜リウレタン樹脂、ニトロセルロース、フ
ェノキシ樹脂、エホ゜キシ樹脂、ヒ゛ニルアセタール、ホ゜リ塩化ヒ゛ニリテ゛ンなど
が挙げられる。結合剤には、微粒子軟磁性粉末の分散性
を高めるために、該粉末表面への樹脂吸着を促進する官
能基を分子中に含むことが好ましい。これらの官能基と
しては−SO3M、−OSO3M、−COOM、−P=O
(OM)2、−O−P=O(OM)2、(Mは水素原子も
しくはアルカリ金属原子)、−NR+3(Rはアルキル基)、エホ゜キ
シ基、SH、CNなどから選ばれる少なくとも一種類を
挙げることができる。このような官能基の量は10-1
10-8等量/g、好ましくは10-2〜10-6等量/gであ
ることが適当である。軟質磁性層に含まれる結合剤の量
は、軟質磁性粉末に対して1〜100重量%の範囲、好
ましくは5〜70重量%の範囲とすることが適当であ
る。さらに、塗布型の軟質磁性層中には、帯電防止用の
カーホ゛ンフ゛ラックや、固体潤滑剤を含有させることも出来る。
【0014】〔硬質磁性層〕本発明の磁気記録媒体が有
する硬質磁性層は、Hcが800Oe以上である。好まし
い硬質磁性層のHcは、1000Oe以上、さらに好まし
くは1500Oe以上である。Hcが低すぎると再生時の
バイアス磁界で消去されてしまう。Hcは一般的に高い
程好ましいのが当業者の常識であるが、使用するヘッド
のBsに応じて最適化するのが一般的である。
【0015】磁性粒子の配向は長手配向、垂直配向、斜
め配向等があるが、どのような配向でも本発明の効果は
発揮される。またディスク状磁気記録媒体では磁性粒子
の磁化容易軸が面内にランダムに分布(一般的にはラン
ダム配向と呼ばれる)していることが望ましい。硬質磁
性層のBmは、磁化容易軸方向に測定して500G以
上、好ましくは1000G以上、より好ましくは150
0G以上であることが適当である。ただし再生ヘッドに
MRヘッドを用いる場合はBmを小さめ、例えば150
0〜3000Gの範囲とすることが好ましい。
【0016】硬質磁性層の厚みは0.01〜1μm、好
ましくは0.02〜0.5μm、さらに好ましくは0.
03〜0.3μmであることが適当である。磁気記録の
原理に基づけは、磁性層は薄い程、好ましい。しかし、
実際には、磁性層の厚みは記録信号、使用ヘッドに応じ
て最適化されることが適当である。硬質磁性層に用いら
れる強磁性粉末は、磁性層のHcに相当するHcを有す
るもので、σs50emu/g〜170emu/g、粒子形状は針状、
紡錘状、平針状、板状、サイコロ状のものを使用することが
適当である。粒子サイス゛は針状の場合、長軸長0.03〜0.3
μm、好ましくは0.05〜0.2μmであり、針状比が3〜2
0であることが適当である。板状の場合、板径0.03〜0.
3μm、好ましくは0.05〜0.2μmであり、板状比(板径
/板厚)が3〜20であることが適当である。これら磁
性粉末の例としては、Co変性γ酸化鉄、CrO2、Fe
を主成分(60%以上)とする合金粉末や、六方晶フェ
ライトが挙げられる。特に好ましいのは、Feを主成分
とする合金粉末と、Baフェライトなどの六方晶フェラ
イトを挙げることができる。これらの強磁性粉末には磁
気特性を調整するためCo、Ni、Cr、Mn、Sm等の合金
成分を含むことも出来る。特にCoは微粒子でσsの高
い合金を得るのに適している。CoはFeに対して2〜
40原子%、好ましくは5〜35原子%含有させること
できる。また焼結防止や形状制御等の目的でFeの含有
率が上記の範囲内になるように、Al、Si、B、希2族
元素(Ca、Mg、Zn)、その他第3族元素(Sc、Y、La、Ndなど)
を固溶もしくは表面に被着させることが可能である。合
金粉末の場合、σsは100〜170emu/g、好ましくは
110〜160emu/gであることが適当である。結晶子サ
イス゛は250オンク゛ストローム以下、好ましくは200オンク゛ストローム以下
であることが適当である。また磁性粉末は、磁気特性を
損なわない範囲であれば有機物や無機物で表面処理を行
うことができる。例えば、磁性粉末の硬度を向上させる
ためAl23やSiO2で表面を被覆することや、結合
剤への分散性を改善するために、シラン系カッフ゜リンク゛剤、チタネ
ート系カッフ゜リンク゛剤、有機酸化合物、レシチン等公知の分散
剤で表面処理するなど、従来硬質磁性粉末で有効な手段
を適用することができる。
【0017】また、硬質磁性層中には公知の研磨剤、潤
滑剤をに含有させることで耐久性を向上することが出来
る。研磨剤としてはモース硬度5以上の微粒子粉末が好
ましく、α-Al2O3、α-Fe2O 3、ZrO2、Cr2O3、TiO2、TiC、Si
O2、SiC、カーホ゛ンホ゛ロンナイトライト゛、タ゛イヤモント゛、CeO2、Si3N4等を用
いることができる。粒子の形状は粒状、針状、サイコロ状が使
用でき、サイス゛としては一次粒子の最大径(例えば粒状な
ら直径、針状なら長軸長)の平均が0.5μm以下、好
ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.2μm
以下であることが適当である。潤滑剤としてはパーフル
オロポリエーテル、高級脂肪酸、脂肪酸エステル類、脂
肪酸アミド類、流動パラフィンなど目的に応じて公知の
化合物を用いることができる。硬質磁性層に用いられる
結合剤としては、公知の結合剤をそのまま使用すること
ができる。例えば、塩化ヒ゛ニル系強重合体、ホ゜リウレタン樹
脂、ニトロセルロース、フェノキシ樹脂、エホ゜キシ樹脂、ヒ゛ニルアセタール、ホ゜リ
塩化ヒ゛ニリテ゛ンなどが挙げられる。結合剤には、強磁性粉
末の分散性を高めるために、該粉末表面への樹脂吸着を
促進する官能基を分子中に含むことが好ましい。これら
の官能基としては−SO3M、−OSO3M、−COO
M、−P=O(OM)2、−O−P=O(OM)2、(M
は水素原子もしくはアルカリ金属原子)、−NR+R3(Rはア
ルキル基)、エホ゜キシ基、SH、CNなどから選ばれる少なく
とも一種類を挙げることができる。このような官能基の
量は10 -1〜10-8等量/g、好ましくは10-2〜10
-6等量/gであることが適当である。硬質磁性層の結合
剤量は、前記強磁性粉末に対して1〜100重量%の範
囲、好ましくは5〜70、さらに好ましくは8〜30重
量%の範囲とすることが適当である。さらに、硬質磁性
層中には帯電防止用のカーホ゛ンフ゛ラックや、固体潤滑剤を含有
させることも出来る。
【0018】〔下地層〕本発明の磁気記録媒体に用いら
れる下地層は、非磁性粉末と結合剤を含有する。非磁性
粉末としては、例えば金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫
酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、等の無機
質化合物から選択することができる。無機化合物として
は、例えば、α化率90%以上のα−アルミナ、β−ア
ルミナ、γ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化
セリウム、α−酸化鉄、コランダム、窒化珪素、チタン
カ−バイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スス゛、酸化マ
ク゛ネシウム、酸化タンク゛ステン、酸化シ゛ルコニウム、窒化ホウ素、酸化
亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、2硫化モリフ゛テ゛ンなどが単独または組合せで使用され
る。特に好ましいのは二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化
鉄、硫酸バリウムであり、更に好ましいのは二酸化チタ
ンとα−酸化鉄である。これら非磁性粉末の粒子サイズ
は、0.005〜2μmの範囲であることが好ましい。
また、必要に応じて粒子サイズの異なる非磁性粉末を組
み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くし
て同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好まし
い粒子サイズは0.01μm〜0.2μmの範囲であ
る。タップ密度は、0.05〜2g/ml、好ましくは
0.2〜1.5g/mlであることが適当である。含水
率は、0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%
であることが適当である。pHは2〜11であることが
適当であるが、6〜9の間であることが特に好ましい。
比表面積は1〜100m2/g、好ましくは5〜50m2/
g、更に好ましくは7〜40m2/gであることが適当であ
る。結晶子サイス゛は、0.01μm〜2μmの範囲が好ま
しい。DBP(ジブチルフタレート)を用いた吸油量は、
5〜100ml/100g、好ましくは10〜80ml/100g、更
に好ましくは20〜60ml/100gであることが適当であ
る。比重は1〜12、好ましくは3〜6であることが適
当である。形状は、針状(紡錘形状を含む)、球状、多
面体状、板状のいずれでも良い。強熱減量は20重量%
以下であることが好ましい。
【0019】本発明の磁気記録媒体において非磁性粉末
として用いられる上記無機粉末は、4以上のモース硬度を
有することが好ましい。これらの粉体表面のラフネスフ
ァクターは0.8〜1.5が好ましく、更に好ましいの
は0.9〜1.2であることが適当である。ステアリン
酸(SA)吸着量は1〜20μmol/m2、更に好ましく
は2〜15μmol/m2であることが適当である。下地層
用非磁性粉体の25℃での水への湿潤熱は、200erg/
cm2〜600erg/cm2の範囲にあることが好ましい。ま
た、下地層形成の際には、この湿潤熱の範囲にある溶媒
を使用することができる。下地層用非磁性粉体の100
〜400℃での表面の水分子の量は、1〜10個/100オ
ングストロームであることが適当である。水中での等電
点のpHは、3〜6の間にあることが好ましい。これら
の粉体の表面にはAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2,SnO2,Sb2
O3,ZnOで表面処理することが好ましい。特に分散性に
好ましいのはAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、であるが、更
に好ましいのはAl2O3、SiO2、ZrO2である。これらは組
み合わせて使用しても良いし、単独で用いることもでき
る。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いて
も良いし、先ずアルミナで処理した後にその表層をシリ
カで処理する構造、その逆の構造を取ることもできる。
また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わ
ないが、均質で密である方が一般には好ましい。
【0020】その他の顔料の製法については”Characte
rization of Powder Surfaces”Academic Pressを参考
にすることができる。また、下地層にカ−ボンブラック
を混合させて公知の効果であるRsを下げることができ
る。このためにはゴム用ファ−ネス、ゴム用サ−マル、
カラ−用ブラック、アセチレンブラック、等を用いるこ
とができる。カ−ボンブラックの比表面積は100〜5
00m2/g、好ましくは150〜400m2/gであり、
DBP吸油量は20〜400ml/100g、好ましく
は30〜200ml/100gであることが適当である。粒子
径は5mμ〜80mμ、好ましく10〜50mμ、さら
に好ましくは10〜40mμであることが適当である。
pHは2〜10であり、含水率は0.1〜10%であ
り、タップ密度は0.1〜1g/mlであることが好ま
しい。本発明に用いられるカ−ボンブラックの具体的な
例としてはキャボット社製、BLACK PEARLS
2000、1300、1000、900、800,8
80,700、VULCANXC−72、三菱化成工業
社製、#3050B,3150B,3250B、#37
50B、#3950B、#950、#650B,#97
0B、#850B、MA−600、コンロンビアカ−ボ
ン社製、CONDUCTEX SC、RAVEN 880
0,8000,7000,5750,5250,3500,2100,2000,1800,1500,125
5,1250、アクソ゛ー社製ケッチェンフ゛ラックECなどがあげられる。カ
−ボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂で
グラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト
化したものを使用してもかまわない。また、カ−ボンブ
ラックを塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散し
てもかまわない。これらのカーホ゛ンフ゛ラックは上記無機質粉末
に対して50重量%を越えない範囲、非磁性層総重量の
40%を越えない範囲で使用できる。これらのカ−ボン
ブラックは単独、または組合せで使用することができ
る。本発明で使用できるカ−ボンブラックは例えば「カ
−ボンブラック便覧」カ−ボンブラック協会編」を参考
にすることができる。
【0021】本発明の磁気記録媒体において非磁性粉末
として用いられる有機質粉末としては、例えば、アクリルスチ
レン系樹脂粉末、ヘ゛ンソ゛ク゛アナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉
末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ホ゜リオレフィン系樹脂粉
末、ホ゜リエステル系樹脂粉末、ホ゜リアミト゛系樹脂粉末、ホ゜リイミト゛
系樹脂粉末、ホ゜リフッ化エチレン樹脂等を挙げることができ
る。非磁性粉末として用いられる有機質粉末の製法は、
例えば、特開昭62-18564号公報、特開昭60-255827号公
報に記されている方法を使用できる。
【0022】これらの非磁性粉末は、結合剤に対して、
重量比率で20〜0.1、体積比率で10〜0.1の範
囲で用いられることが適当である。特に好ましくは、結
合剤の体積比が下層に含まれる粉体の体積に較べて2.
0倍から0.3倍の範囲である。
【0023】一般の磁気記録媒体において下塗層を設け
ることが行われているが、これは支持体と磁性層等の接
着力を向上させるために設けられるものであって、本発
明の下地層とは異なるものである。さらに、本発明にお
いても下地層と支持体との接着性を向上させるために下
塗層を設けることが好ましい。下地層の結合剤、潤滑
剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は磁性層の
それが適用できる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分
散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術
が適用できる。
【0024】本発明の各層(特に、下地層、及び硬質磁
性層、軟質磁性層以外の磁性層等)に使用される結合剤
としては、公知の熱可塑系樹脂、熱硬化系樹脂、反応型
樹脂やこれらの混合物が使用できる。熱可塑系樹脂とし
ては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分
子量が1000〜200000、好ましくは10000
〜100000であり、重合度が約50〜1000程度
のものであることが適当である。このような熱可塑系樹
脂の例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアル
コ−ル、マレイン酸、アクルリ酸、アクリル酸エステ
ル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル
酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エ
チレン、ビニルブチラ−ル、ビニルアセタ−ル、ビニル
エ−テル、等を構成単位として含む重合体または共重合
体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂を挙げることが
できる。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂として
は、フェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化
型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アク
リル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコ−ン樹
脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイ
ソシアネ−トプレポリマ−の混合物、ポリエステルポリ
オ−ルとポリイソシアネ−トの混合物、ポリウレタンと
ポリイソシアネートの混合物等を挙げることができる。
これらの樹脂については朝倉書店発行の「プラスチック
ハンドブック」に詳細に記載されている。また、公知の
電子線硬化型樹脂を非磁性層、磁性層に使用することも
可能である。これらの例とその製造方法については、例
えば、特開昭62−256219号公報に詳細に記載さ
れている。以上の樹脂は単独または組合せて使用できる
が、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢
酸ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコ−ル
樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体の
中から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組
合せ、またはこれらにポリイソシアネ−トを組み合わせ
たものがあげられる。ポリウレタン樹脂の構造はポリエ
ステルポリウレタン、ポリエ−テルポリウレタン、ポリ
エ−テルポリエステルポリウレタン、ポリカ−ボネ−ト
ポリウレタン、ポリエステルポリカ−ボネ−トポリウレ
タン、ポリカプロラクトンポリウレタンなど公知のもの
を挙げることができる。ここに示したすべての結合剤に
ついて、より優れた分散性と耐久性を得るためには必要
に応じ、COOM,SO3M、OSO3M、P=O(O
M)2、O−P=O(OM)2、(以上につきMは水素原
子、またはアルカリ金属塩基)、OH、NR2、N+3
(Rは炭化水素基)エポキシ基、SH、CN、などから
選ばれる少なくともひとつ以上の極性基を共重合または
付加反応で導入したものを用いることが好ましい。この
ような極性基の量は10-1〜10-8モル/gであり、好ま
しくは10-2〜10-6モル/gである。
【0025】本発明の磁気記録媒体は、少なくとも硬質
磁性層及び軟質磁性層を含む二層以上の磁性層を有す
る。従って、結合剤量、結合剤中に占める塩化ビニル系
樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネ−ト、あるい
はそれ以外の樹脂の量、磁性層を形成する各樹脂の分子
量、極性基量、あるいは先に述べた樹脂の物理特性など
を必要に応じて、硬質磁性層と軟質磁性層との間で、さ
らには、下地層を有する場合は、これらと下地層との間
で変えることはもちろん可能である。その際には、多層
磁性層に関する公知技術を適用できる。例えば、硬質磁
性層と軟質磁性層、さらには下地層との間で結合剤量を
変更する場合、磁性層表面の擦傷を減らすためには上層
となる磁性層の結合剤量を増量することが有効であり、
ヘッドに対するヘッドタッチを良好にする為には、上層
以外の磁性層か下地層の結合剤量を多くして柔軟性を持
たせることが好ましい。
【0026】尚、上記ポリイソシアネ−トとしては、ト
リレンジイソシアネ−ト、4−4’−ジフェニルメタン
ジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、
キシリレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,5−ジ
イソシアネ−ト、o−トルイジンジイソシアネ−ト、イ
ソホロンジイソシアネ−ト、トリフェニルメタントリイ
ソシアネ−ト等のイソシアネ−ト類、また、これらのイ
ソシアネ−ト類とポリアルコールとの生成物、また、イ
ソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネ
−ト等を使用することができる。これらのイソシアネー
ト類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタ
ン社製、コロネートL、コロネ−トHL,コロネ−ト2
030、コロネ−ト2031、ミリオネ−トMR、ミリ
オネ−トMTL、武田薬品社製、タケネ−トD−10
2,タケネ−トD−110N、タケネ−トD−200、
タケネ−トD−202、住友バイエル社製、デスモジュ
−ルL,デスモジュ−ルIL、デスモジュ−ルN、デス
モジュ−ルHL,等がある。これらを単独または硬化反
応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せで、
下地層及び磁性層のいずれにも用いることができる。
【0027】本発明の各層(特に磁性層)に使用されるカ
−ボンブラックとしては、例えば、ゴム用ファ−ネス、
ゴム用サ−マル、カラ−用ブラック、アセチレンブラッ
ク、等を挙げることができる。カ−ボンブラックの比表
面積は、5〜500m2/gであり、DBP吸油量は1
0〜400ml/100gであり、粒子径は5mμ〜3
00mμであり、pHは2〜10であり、含水率は0.
1〜10重量%であり、タップ密度は0.1〜1g/m
lであることがそれぞれ好ましい。カ−ボンブラックを
分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使
用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用
してもかまわない。また、カ−ボンブラックを磁性塗料
に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわな
い。これらのカ−ボンブラックは単独、または組合せで
使用することができる。カ−ボンブラックを使用する場
合は強磁性粉末や軟磁性粉末に対する量の0.1〜30
重量%で用いることが好ましい。カ−ボンブラックは磁
性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向
上などの働きがあり、これらの性能は用いるカ−ボンブ
ラックにより変化する。従って本発明に使用されるこれ
らのカ−ボンブラックは、硬質磁性層及び軟質磁性層を
含む磁性層並びに下地層で、その種類、量、組合せを変
え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示し
た諸特性を基に、目的に応じて使い分けることはもちろ
ん可能である。本発明の磁性層で使用できるカ−ボンブ
ラックは、例えば「カ−ボンブラック便覧」カ−ボンブ
ラック協会編を参考にすることができる。
【0028】本発明の磁性層に用いられる研磨剤として
は、例えば、α化率90%以上のα−アルミナ、β−ア
ルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−
酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭
化珪素、チタンカ−バイト、酸化チタン、二酸化珪素、
窒化ホウ素、など主としてモ−ス硬度6以上の公知の材
料を挙げることができ、これらを単独または組合せで使
用できる。また、これらの研磨剤どうしの複合体(研磨
剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよ
い。これらの研磨剤には主成分以外の化合物または元素
が含まれる場合もあるが主成分が90重量%以上であれ
ば効果にかわりはない。これら研磨剤の粒子サイズは
0.01〜2μmが好ましい。但し、必要に応じて粒子
サイズの異なる研磨剤を組み合わせたり、単独の研磨剤
でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもで
きる。タップ密度は、0.3〜2g/mlであり、含水
率は0.1〜5重量%であり、pHは2〜11でしり、
比表面積は1〜30m2/gであることがそれぞれ好ま
しい。本発明に用いられる研磨剤の形状は、例えば、針
状、球状、サイコロ状、のいずれでも良い。但し、形状
の一部に角を有するものが研磨性が高く好ましい。本発
明に用いられる研磨剤の具体的な例としては、住友化学
社製、AKP−20,AKP−30,AKP−50、H
IT−50、HIT-100、日本化学工業社製、G5,G
7,S−1、戸田工業社製、TF−100,TF−14
0などがあげられる。
【0029】本発明において用いられる研磨剤は、磁性
層(硬質磁性層及び軟質磁性層を含む)、下地層で種
類、量および組合せを変え、目的に応じて使い分けるこ
とはもちろん可能である。これらの研磨剤はあらかじめ
結合剤で分散処理したのち磁性塗料中に添加してもかま
わない。本発明の磁気記録媒体の磁性層表面および磁性
層端面に存在する研磨剤は5個/100μm2以上てで
あることが好ましい。
【0030】本発明の磁気記録媒体の各層には、添加剤
として、潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効
果、などを有する物質を適宜含有させることができる。
これらの添加剤としては、例えば、二硫化モリブデン、
二硫化タングステングラファイト、窒化ホウ素、フッ化
黒鉛、シリコ−ンオイル、極性基をもつシリコ−ン、脂
肪酸変性シリコ−ン、フッ素含有シリコ−ン、フッ素含
有アルコ−ル、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、
ポリグリコ−ル、アルキル燐酸エステルおよびそのアル
カリ金属塩、アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ
金属塩、ポリフェニルエ−テル、フッ素含有アルキル硫
酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜2
4の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐
していてもかまわない)、および、これらの金属塩(L
i、Na、K、Cuなど)または、炭素数12〜22の
一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコ−ル、(不
飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわな
い)、炭素数12〜22のアルコキシアルコ−ル、炭素
数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んで
も、また分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12
の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコ−ルのい
ずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していて
もかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ
脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレン
オキシド重合物のモノアルキルエ−テルの脂肪酸エステ
ル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の
脂肪族アミン、などを挙げることができる。
【0031】より具体的には、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリ
ン酸ブチル、オレイン酸、リノ−ル酸、リノレン酸、エ
ライジン酸、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミ
ル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチ
ル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタ
ンモノステアレ−ト、アンヒドロソルビタンジステアレ
−ト、アンヒドロソルビタントリステアレ−ト、オレイ
ルアルコ−ル、ラウリルアルコ−ル、があげられる。ま
た、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシド
−ル系、アルキルフェノ−ルエチレンオキサイド付加
体、等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルア
ミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、
複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類、等のカ
チオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフォン酸、燐
酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基、などの酸性基を
含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン
酸類、アミノアルコ−ルの硫酸または燐酸エステル類、
アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等を挙げるこ
とができる。
【0032】これらの界面活性剤の詳細については、
「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)の記載を
参照することができる。これらの潤滑剤、帯電防止剤等
は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性
体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物 等の不純分
がふくまれてもかまわない。これらの不純分は30%以
下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。
【0033】本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面
活性剤は各層でその種類、量を必要に応じ使い分けるこ
とができる。例えば、下地層、磁性層(硬質磁性層及び
軟質磁性層を含む)で融点の異なる脂肪酸を用い表面へ
のにじみ出しを制御すること、沸点や極性の異なるエス
テル類を用い表面へのにじみ出しを制御すること、界面
活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させるこ
と、潤滑剤の添加量を下地層で多くして潤滑効果を向上
させることなどが可能である。但し、ここに示した例の
みに限られるものではない。また本発明で用いられる添
加剤のすべてまたはその一部は、磁性塗料製造のどの工
程で添加してもかまわない。例えば、混練工程前に強磁
性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤によ
る混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、
分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などが
ある。また、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時ま
たは逐次塗布で、添加剤の一部または全部を塗布するこ
とにより目的が達成される場合がある。また、目的によ
ってはカレンダーした後、またはスリット終了後、磁性
層表面に潤滑剤を塗布することもできる。
【0034】本発明の磁気記録媒体の厚み構成は非磁性
可撓性支持体が、例えば、1〜100μm、好ましくは
4〜80μmの範囲であることが適当である。磁性層と
下地層を合わせた厚みは、非磁性可撓性支持体の厚みの
1/500〜2倍の範囲であることが適当である。ま
た、非磁性可撓性支持体と下地層の間に密着性向上のた
めのの下塗り層を設けてもかまわない。下塗層厚みは、
例えば、0.01〜2μm、好ましくは0.02〜0.
5μmであることが適当である。また、非磁性支持体の
磁性層側と反対側にバックコ−ト層を設けてもかまわな
い。この厚みは、例えば、0.1〜2μm、好ましくは
0.3〜1.0μmであることが適当である。これらの
下塗層、バックコ−ト層は公知のものが使用できる。
【0035】本発明に用いられる非磁性可撓性支持体は
ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレー
ト等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロ−ス
トリアセテ−ト、ポリカ−ボネ−ト、ポリアミド、ポリ
イミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、アラミ
ド、芳香族ホ゜リアミト゛などの公知のフィルムが使用でき
る。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プ
ラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、などをお
こなっても良い。本発明の目的を達成するには、非磁性
可撓性支持体として中心線平均表面粗さ(カットオフ値
0.25mm)が0.03μm以下、好ましくは0.0
2μm以下、さらに好ましくは0.01μm以下のもの
を使用することが適当である。また、これらの非磁性支
持体は単に中心線平均表面粗さが小さいだけではなく、
1μm以上の粗大突起がないことが好ましい。また表面
の粗さ形状は必要に応じて支持体に添加されるフィラ−
の大きさと量により自由にコントロ−ルすることができ
る。これらのフィラ−としては一例としてはCa,S
i、Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの
有機微粉末があげられる。本発明に用いられる非磁性支
持体のテ−プ走行方向のF−5値は好ましくは5〜50
kg/mm2、テ−プ幅方向のF−5値は好ましくは3
〜30kg/mm2であり、テ−プ長い手方向のF−5
値がテ−プ幅方向のF−5値より高いのが一般的である
が、特に幅方向の強度を高くする必要があるときはその
限りでない。
【0036】また、支持体のテ−プ走行方向および幅方
向の100℃、30分での熱収縮率は好ましくは3%以
下、さらに好ましくは1.5%以下、80℃、30分で
の熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに好ましくは
0.5%以下である。破断強度は両方向とも5〜100
kg/mm2、弾性率は100〜2000kg/mm2
あることが好ましい。
【0037】本発明の磁気記録媒体の塗布層の製造に使
用される磁性塗料を製造する工程は、少なくとも混練工
程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じ
て設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段
階以上にわかれていてもかまわない。本発明に使用する
強磁性粉末、結合剤、カ−ボンブラック、研磨剤、帯電
防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最
初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原
料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。
例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の
粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。
【0038】本発明の磁気記録媒体の製造方法において
は、従来の公知の製造技術のを一部の工程としてを用い
ることができることはもちろんである。但し、高い残留
磁束密度(Br)を得たい場合には、混練工程では連続
ニ−ダや加圧ニ−ダなど強い混練力をもつものを使用す
ることができる。連続ニ−ダまたは加圧ニ−ダを用いる
場合は強磁性粉末と結合剤のすべてまたはその一部(た
だし全結合剤の30%以上が好ましい)および強磁性粉
末100重量部に対し15〜500重量部の範囲で混練
処理される。これらの混練処理の詳細については特開平
1−106338号公報、特開昭64−79274号公
報に記載されている。また、下地層液を調整する場合に
は高比重の分散メディアを用いることが望ましく、ジル
コニアビーズが好適である。
【0039】本発明の磁気記録媒体の塗布層製造時に
は、有機溶媒が用いられる。有機溶媒としては、任意の
比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イ
ソホロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノ
−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、イソブ
チルアルコ−ル、イソプロピルアルコール、メチルシク
ロヘキサノール、などのアルコ−ル類、酢酸メチル、酢
酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エ
チル、酢酸グリコ−ル等のエステル類、グリコ−ルジメ
チルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキ
サン、などのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、などの芳
香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロラ
イド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒド
リン、ジクロルベンゼン、等の塩素化炭化水素類、N,
N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等のものが使用で
きる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではな
く、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解
物、酸化物、水分等の不純分がふくまれてもかまわな
い。これらの不純分は30%以下が好ましく、さらに好
ましくは10%以下である。本発明で用いる有機溶媒は
磁性層と下地層でその種類は同じであることが好まし
い。その添加量は変えてもかまわない。下地層に表面張
力の高い溶媒(シクロヘキサノン、ジオキサンなど)を
用い塗布の安定性をあげる、具体的には上層溶剤組成の
算術平均値が下層溶剤組成の算術平均値を下回らないこ
とが好ましい。分散性を向上させるためにはある程度極
性が強い方が好ましく、溶剤組成の内、誘電率が15以
上の溶剤が50%以上含まれることが好ましい。また、
溶解パラメ−タは8〜11であることが好ましい。
【0040】本発明の磁気記録媒体の製造において、塗
布層を塗布する装置、方法の例として以下のような構成
を用いることができる。 1,磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗
布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルーシ゛ョン塗布装置等
により、まず下層を塗布し、下層がウェット状態のうち
に特公平1-46186号公報や特開昭60-238179号公報,特開
平2-265672号公報に開示されている支持体加圧型エクストルー
シ゛ョン塗布装置により上層を塗布する。 2,特開昭63-88080号公報、特開平2-17971号公報,特開
平2-265672号公報に開示されているような塗布液通液ス
リットを二つ内蔵する一つの塗布ヘッドにより上下層を
ほぼ同時に塗布する。 3,特開平2-174965号公報に開示されているハ゛ックアッフ゜ロー
ル付きエクストルーシ゛ョン塗布装置により上下層をほぼ同時に塗
布する。
【0041】なお、磁性粒子の凝集による磁気記録媒体
の電磁変換特性等の低下を防止するため、特開昭62-951
74号公報や特開平1-236968号公報に開示されているよう
な方法により塗布ヘッド内部の塗布液にせん断を付与す
ることが望ましい。さらに、塗布液の粘度については、
特開平3-8471号公報に開示されている数値範囲を満足す
る必要がある。強力な配向を行う必要がある場合には、
1000G以上のソレノイドと2000G以上のコバル
ト磁石を同極対向で併用することもできる。さらに、乾
燥後の配向性が最も高くなるように配向前に予め適度の
乾燥工程を設けることもできる。また、ディスク媒体と
して本発明を適用する場合はむしろ配向をランダマイズ
するような配向法が必要である。また、硬質磁性層及び
軟質磁性層の配向方向を変更するために配向する方向は
必ずしも長手方向で面内方向である必要はなく、垂直方
向、幅方向にも配向できる。
【0042】さらに、カレンダ処理ロ−ルとしてエポキ
シ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐
熱性のあるプラスチックロ−ルを使用する。また、金属
ロ−ル同志で処理することも出来る。処理温度は、好ま
しくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上である
ことが適当である。線圧力は、好ましくは200kg/
cm、さらに好ましくは300kg/cm以上である。
本発明の磁気記録媒体の磁性層面およびその反対面のS
US420Jに対する摩擦係数は、好ましくは0.5以
下、さらに0.3以下であり、表面固有抵抗は、好まし
くは104〜1012オ−ム/sqであり、磁性層の0.
5%伸びでの弾性率は、走行方向、幅方向とも好ましく
は100〜2000kg/mm2であり、破断強度は、
好ましくは1〜30kg/cm2であり、磁気記録媒体
の弾性率は、走行方向、長い方向とも好ましくは100
〜1500kg/mm2であり、残留のびは好ましくは
0.5%以下であり、100℃以下のあらゆる温度での
熱収縮率は、好ましくは1%以下であり、さらに好まし
くは0.5%以下であり、もっとも好ましくは0.1%
以下であることがそれぞれ適当である。磁性層のガラス
転移温度(110Hzで測定した動的粘弾性測定の損失弾性率
の極大点)は、50℃以上120℃以下が好ましく、下
層非磁性層のガラス転移温度は、0℃〜100℃が好ま
しい。損失弾性率は1×108〜8×109dyne/cm2の範
囲にあることが好ましく、損失正接は粘着故障防止とい
う観点から0.2以下であることが好ましい。
【0043】磁性層中に含まれる残留溶媒は、好ましく
は100mg/m2以下、さらに好ましくは10mg/
2以下であることが好ましい。磁性層が有する空隙率
は下地層、硬質磁性層及び軟質磁性層を含む磁性層とも
好ましくは30容量%以下、さらに好ましくは20容量
%以下である。空隙率は高出力を果たすためには小さい
方が好ましいが、目的によってはある値を確保した方が
良い場合がある。例えば、繰り返し用途が重視されるデ
ータ記録用磁気記録媒体では空隙率が大きい方が走行耐
久性は好ましいことが多い。本発明の磁気記録媒体の磁
気特性は磁場5KOeで測定した場合、テ−プ走行方向
の角形比は0.70以上であり、好ましくは0.80以
上さらに好ましくは0.90以上であることが適当であ
る。テ−プ走行方向に直角な二つの方向の角型比は走行
方向の角型比の80%以下となることが好ましい。磁性
層のSFD(Swiching Field Distribution)は0.
6以下であることが好ましい。磁性層の中心線表面粗さ
(カットオフ値0.25mm)Raは1nm〜10nm
が好ましいが、その値は目的により適宜設定できる。電
磁変換特性を良好にする為には、Raは小さいほど好ま
しいが、走行耐久性を良好にするためには逆に大きいほ
ど好ましい。AFM(Atomic ForceMicro Scope)に
よる評価で求めたRMS(2乗平均)表面粗さRRMSは
2nm〜15nmの範囲にあることが好ましい。
【0044】本発明の磁気記録媒体は、硬質磁性層及び
軟質磁性層を含む磁性層、さらには下地層を有するが、
目的に応じ磁性層間、さらには下地層とでこれらの物理
特性を変えることができる。例えば、磁性層の弾性率を
高くし走行耐久性を向上させると同時に下地層の弾性率
を磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当りを
良くするなどである。2層以上の磁性層にそれぞれどの
ような物理特性をもたらすかは、公知の磁性層重層に関
する技術を参考にすることができる。
【0045】
【実施例】次に本発明の詳細な内容を実施例によって具
体的に説明する。実施例中「部」との表示は「重量部」
を意味する。 下地層 非磁性粉体 α−Fe23 80部 平均長軸長 0.1μm BET法による比表面積 48m2/g pH8、Fe23含有量90%以上 DBP吸油量27〜38ml/100g 表面処理剤Al2O3 カーボンブラック 20部 平均一次粒子径 16mμ DBP吸油量 80ml/100g pH 8.0 BET法による比表面積 250m2/g 揮発分 1.5% 塩化ビニル共重合体 12部 日本セ゛オン社製MR-110 ポリエステルポリウレタン樹脂 5部 ネオヘ゜ンチルク゛リコール/カフ゜ロラクトンホ゜リオール/MDI=0.9/2.6/1 -SO3Na基 1×10-4eq/g含有 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 100部 シクロヘキサノン 50部 トルエン 50部
【0046】 硬質磁性層 強磁性金属微粉末 組成 Fe/Co=90/10 100部 Hc 2300Oe、BET法による比表面積 54m2/g 結晶子サイズ165A、表面処理剤Al2O3, 粒子サイズ(長軸径) 0.1μm、針状比 8 σs:110emu/g 塩化ビニル系共重合体 5部 日本セ゛オン社製MR-110 ポリエステルポリウレタン樹脂 2部 ネオヘ゜ンチルク゛リコール/カフ゜ロラクトンホ゜リオール/MDI=0.9/2.6/1 -SO3Na基 1×10-4eq/g含有 α−アルミナ(粒子サイズ0.3μm) 2部 カ−ボンブラック(粒子サイズ0.10μm) 0.5部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 5部 メチルエチルケトン 90部 シクロヘキサノン 30部 トルエン 60部 軟質磁性層 Ni−Fe微粉末 組成 Ni/Fe=78/22 100部 Hc 0.5Oe、Bs10000G 初透磁率9000 BET法による比表面積 48m2/g 平均粒子サイズ0.08μm 塩化ビニル系共重合体 12部 日本セ゛オン製MR-110 ポリエステルポリウレタン樹脂 5部 ネオヘ゜ンチルク゛リコール/カフ゜ロラクトンホ゜リオール/MDI=0.9/2.6/1 -SO3Na基 1×10-4eq/g含有 α−アルミナ(粒子サイズ0.2μm) 5部 カ−ボンブラック(粒子サイズ0.09μm) 5部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 2部 メチルエチルケトン 90部 シクロヘキサノン 30部 トルエン 60部
【0047】上記2つの塗料のそれぞれについて、各成
分を連続ニ−ダで混練したのち、サンドミルを用いて分
散した。得られた分散液にポリイソシアネ−トを下地層
の塗布液には1部、硬質磁性層、軟質磁性層の塗布液に
は3部を加え、さらにそれぞれにメチルエチルケトン、
シクロヘキサノン混合溶媒40部を加え,1μmの平均
孔径を有するフィルタ-を用いて濾過し、下地層、硬質磁性
層形成用および軟質磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調
整した。得られた下地層塗布液を、乾燥後の厚さが1.
0μmになるようにさらにその直後にその上に硬質磁性
層の厚さが0.08μmになるように、また、軟質磁性
層が0.05μになるように、厚さ62μmで中心線表
面粗さ(カットオフ値0.25mm)が0.01μmの
ポリエチレンナフタレ−ト支持体上に同時重層塗布をお
こない、各層がまだ湿潤状態にあるうちに周波数50H
z磁場強度200Gと、周波数120Hz磁場強度130
Gの中を通過させてランダム配向処理を行った。その後
乾燥させ、金属ロ−ルのみから構成される7段のカレン
ダーで温度90℃にて処理を行い、直径3.5インチに打
ち抜いてテ゛ィスクを作成した。
【0048】評価方法 (1)Hc,Br 振動資料型磁束計(東英工業製)を用い、Hm10kOe
で測定した。 (2)再生出力の測定は、米GUZIK社製のRWA1
001型ディスク評価装置及び協同電子システム(株)製
スピンスタンドLS−90にて、ギャップ長0.25μ
mの薄膜ヘッドを用い、半径24.6mmの位置において、線
記録密度90KFCIでの再生出力を求めた。なお再生
時には前記ヘッドにギャップ磁界強度が300 Oeとな
るように直流電流を与えた。 (3)保存特性 ディスクをカートリッジ等の容器に入れず、60℃90
%の環境に7日間保存したのち、上記と同様の方法で再
生出力を測定した。出力の基準は比較例1の保存前の出
力である。
【0049】
【表1】
【0050】実施例及び比較例の説明 前記の硬質磁性層を単独で非磁性支持体上に1.2μm塗
布して得られたサンプル(比較例1)を出力の基準とし
た。実施例1は、請求項1〜4の要件を満足するサンプ
ルである。実施例2は、軟質磁性層を硬質磁性層の下層
に塗布した場合で、記録磁界が下層キーハ゜ー層の影響で表
面磁束が減少し出力は実施例1より低くなる。但し、軟
質磁性層を有さない比較例2よりは、高い出力を有す
る。実施例3は、軟磁性粉末を比初透磁率30000、
Bs8000G、Hc0.01Oeのセンタ゛スト粉(Fe-Si-A
l)に変えた以外は実施例1と同様である。実施例1とほ
ぼ同様の結果が得られている。実施例4は、軟磁性粉末
を比初透磁率14000、Bs3000G、Hc0.4
OeのMn-Znフェライトに変えた以外は実施例1と同様であ
る。実施例1とほぼ同様の結果が得られている。実施例
5及び6は、実施例1において軟質磁性層及び硬質磁性
層の厚みが、いずれも厚くなった場合であり、厚くなる
につれて出力は低下していく。これは軟質磁性層が厚く
なるとバイアス磁界の効果が不足してくるのと、硬質磁
性層が厚くなると反磁界が大きくなることが原因と推定
される。しかし、軟質磁性層を有さない比較例2に比べ
れば、高い出力を有する。実施例7は、上層軟質磁性層
と下層硬質磁性層の間に、下地層と同じ塗布液を用い乾
燥膜厚が0.02μmになるように塗布して、非磁性層を形
成したものである。薄膜で知られている様なフ゛レーク層に
よる大きな効果は見られないが、実施例1に比べれば、
再生出力は多少向上しており、フ゛レーク層の効果は認めら
れる。比較例2は、実施例1において上層軟磁性層が無
い場合である。比較例3は、実施例1において下層硬質
磁性層のHcが700Oeの場合である。比較例4は、
非磁性下地層が無い場合である。表面性が実施例1より
劣化するため、実施例1に比べ再生出力は低下する。軟
性磁性層を有さない比較例1よりは、優れた再生出力が
得られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 正木 幸一 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社小田原工場内 Fターム(参考) 5D006 BA19 BA20 EA01 FA09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性可撓性支持体上に非磁性粉末と結
    合剤とを含む下地層を有し、その上に二層以上の磁性層
    を有する磁気記録媒体において、前記二層以上の磁性層
    の少なくとも一層が強磁性粉末を結合剤中に分散してな
    るHcが800Oe以上の硬質磁性層であり、かつ前記二
    層以上の磁性層の少なくとも一層が高透磁率の軟質磁性
    層であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記硬質磁性層は、前記軟質磁性層より
    非磁性支持体に近い位置に設けられる請求項1に記載の
    磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記軟質磁性層が高透磁率の軟磁性粉末
    を結合剤中に分散した層である請求項1または2に記載
    の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記軟質磁性層は、20以上の比初透磁
    率、及び150Oe以下のHcを有する請求項1〜3のい
    ずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】前記硬質磁性層と軟質磁性層の間に厚み
    0.005〜0.1μmの非磁性層を設けた請求項1〜
    4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
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