JP3600968B2 - 昇降式魚道装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、高落差のある堤体または水位変動が大きい河川において、魚の遡上、下降を支援するための昇降式魚道装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
河川に河川横断構造物(堰、頭首工、落差工、ダム等)を構築する場合には魚道を付設することが一般的になってきているが、遡上期、降下期に取付けるものや常置するものがある。図23に示すエレベータ式魚道1は従来から提案されており、遡上期、降下期に作動させている。エレベータ式魚道1は垂直に形成した通路2とその内部に上下動自在に取付けた収容ボックス3とこれを昇降させる巻上機4とを有し、上流側の導水池5に魚を搬送させるようになっている。収容ボックス3は、上昇して最上位置で傾けて魚を放流するものや、ボックス側面を開いて放流するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の魚道1では遡上魚を対象にしており、また、ダム(河川横断構造物を云う)の上流水位が一定で変動のないことが前提になっている。このため、高落差を有するダム本体において、貯水面水位が下がったときは遡上魚を収容ボックス3でわざわざ高い位置に持ち上げるという無駄な作業をすることになり、また、下降魚の場合には下流へ行く手段がとぎれてしまうことになる。
【0004】
本発明は、ダムの貯水面等、上流水位が変動してもこれに影響されずに魚の遡上、降下を支援できる昇降式魚道装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、堤体の上部上流側にステージを設置し、該ステージに導水壁と上下動自在な仕切りゲートにより前記堤体の壁面を囲んで貯水プールを形成し、前記堤体の壁面に下流へ通じる開口部を明けると共に隔壁を設け、前記仕切りゲートの上流側部に鉛直方向に設けられた架構内に搬送ボックスを昇降自在に設け、該搬送ボックスの前記仕切りゲート側側壁を回動自在に取付け、該側壁の上部に、仕切りゲートに突出させて形成したカムに接触するローラを設置し、前記ステージに前記貯水プールに給水するための配管を設置したことを特徴とする。
【0006】
上記、装置に対し、開口部に制水ゲートを設け、隔壁の下流側に魚道を構築したことを特徴とする。また、搬送ボックスの天井部にシャワー用配管を設け、床面には魚の好む彩色を放つ水中ランプを取付けたことを特徴とする。
【0007】
また、搬送ボックスの床面に明けた孔に自重で閉じる蓋を設け、前記搬送ボックスの周囲側壁の中間高さ位置に水抜き孔を明けると共に、該側壁の上端に上下動自在に張った金網壁と、該搬送ボックスの下端に上下動自在に設けた重り兼フロートとをワイヤで連結したことを特徴とする。また、ステージに設置した配管に電力などによる発熱体を取付けたことを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明は上記のように構成したものであり、仕切りゲートは全閉の状態で貯水プールの壁面として使用され、貯水プールには揚水ポンプを作動させて給水用配管から水を供給する。過剰の水は開口部を通り隔壁を越流して下流に流れる。遡上魚はその生態からして、貯水プールから下流(魚道)に流れる水に導かれ、この魚道を遡って貯水プールに集まることになる。
搬送ボックスは貯水プールの貯溜水を収容するため、仕切りゲートの下端位置に搬送ボックスの上部を合わせるように引き上げて受入準備をしておく。
貯水プールに充分に魚が集まった状態または一定時間経過した後、仕切りゲートを全開すると、貯水プールの貯溜水は搬送ボックスに流れ込む。
【0009】
仕切りゲートを全開することにより、下流への流れは中断するが、再び、仕切りゲートを全閉することにより、貯水プールへ給水され下流(魚道)に通常の流れが形成される。この間に、搬送ボックスを貯水池水面の所定深さの位置まで降下させ、貯水プール内に収容された集魚を水中に放流する。その後、搬送ボックスを上昇させ貯水プールの貯溜水を受ける位置に待機させることにより遡上魚の受け入れ準備が完了する。このように仕切りゲートおよび搬送ボックスを操作して魚の遡上を支援する。
【0010】
次に、降下魚を下流へ導く操作を説明する。搬送ボックスは下降させて貯水面より水中の所定位置に待機させておき、集魚した後、搬送ボックスを上昇させる。搬送ボックスの上部が仕切りゲートの下端より上方に移動するようになると、搬送ボックスの側壁に付設したローラが仕切りゲートのカムに接触し、搬送ボックスの上昇と共に、ローラがカムに沿って動くので側壁が徐々に傾倒する。全閉状態の仕切りゲートの上端に搬送ボックスの下端が位置したときには、傾いた側壁の上部は仕切りゲートの上端に載って貯水プール側に倒れる。この側壁を床面として、貯溜水と共に下降魚が貯水プールに流れ込む。そして、貯水プールに収容された下降魚は隔壁を乗り越え下流に泳いでいく。この後、搬送ボックスを下降させるとローラがカムに沿って移動し、再び、側壁が起立しそのまま貯水面の所定位置に待機させることで下降魚を集魚させる。
【0011】
この隔壁の下流側に魚道を構築したことにより魚は下流域に移ることができる。また、満水位より水位が高くなると下流への流量が多くなるので制水ゲートを閉じる。
【0012】
搬送ボックスを下降させて所定位置に停止させるときは、搬送ボックスの下降中、床面の蓋が水圧で押し上げられ水が浸入する。また、シャワー用配管から散水し、水中ランプを点灯することで下降魚の魚に動因を与え、魚をボックス内に確実に誘導をする。集魚が終わり搬送ボックスを上昇させるときは、散水停止、水中ランプの消灯を行う。
【0013】
搬送ボックスが貯水面で停止しているときは重り兼フロートが浮力により上昇し、これによりワイヤで接続された金網壁は下降して搬送ボックスの側壁上端と近接し魚の移動を規制する。搬送ボックスの上昇中、水抜き孔から内部の水が流れ、定量水面になると魚の飛び出しが防止され、これと同時に重り兼フロートが水面から引き上げられるのでこの重さによりワイヤが引っ張られて金網壁は搬送ボックスの側壁上方に移動させられる。また、貯水プールに供給する水は貯水池の深い位置の水である場合、冷水のこともあり発熱体を加熱して配管を暖め供給する水が適温となるようにする。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。まず、図14、図15に示すダム6の上流側壁面には昇降式魚道とするための架構7が壁面に鉛直に構築され、この上部にステージ8が設けられている。架構7は鋼製(形鋼)の水平材および鉛直材によって四角柱状に組み付け、水平材間に斜め材を連結させて強固にし、四角形状の内部に搬送ボックス9を上・下方向に案内するように構築している。さらに、ダム壁面から上流側に突出した位置に配した、左右の連続した鉛直材にはこの上流側面に長いH状形鋼10(図5、図6参照)を平面が前面に位置するように連結させ、左右の形鋼10に一定間隔で連結材(へん平した円管)11を水平に連結している。
【0015】
ダム6には固定隔壁式魚道12が設けられ、その上流端はステージ8の上部位置に臨んだ開口部13と連通し、開口部13には扉体14がローラー方式の制水ゲート15が設けられ、その上方の操作室16で開閉させるようになっており、通常、全開であるが貯水位が常時満水位以上の規定水位以上になると全閉させている。
【0016】
図1および図2に示すように、ステージ8の表面は固定隔壁式魚道12の隔壁17の最上位置の底部と同じ高さにさせており、ステージ8には開口部縁側に連絡し開口部13に対向するL字状の導水壁18が設けられ、ダム6の壁面と導水壁18との間に扉体19がスライド方式の仕切りゲート20が設置されて貯水プール21が形成されている。導水壁18の側方には貯水プール21に給水するための揚水ポンプ装置22の配管23が支持台24に固定され、チェックバルブ25および流量調節バルブ26を通して導水壁18の内側に開口している。また、仕切りゲート20に隣接して主要な4本の鉛直材による架構7がステージ8を貫通し、架構7の内部に配置した搬送ボックス9を案内するようになっている。
【0017】
仕切りゲート20の扉体19のスキンプレート27と反対側には、上部をスキンプレート側に円弧状に曲げたカム28を左右に突設している。また、扉体19を昇降させる巻上機29はステージ8の上方の作業台30に設置されている。作業台30は搬送ボックス9、制水ゲート15の点検、整備に利用される。扉体19と接触する床面は貯溜水と一緒に集魚が搬送ボックス9に流れ込み易くするため傾斜されている。このほか、隔壁17には切欠部31と潜孔32が形成されている。潜孔32は隔壁形式が異なれば形成されない。
【0018】
揚水ポンプ装置22は図4に示すように、貯水プール21に接続した配管23が支持台24に固定されており、支持台24にはダム6に固定して下方に延設した保護管33が取付けられ、その中に収納した繰り出し管34がステージ8の配管23と接続されている。繰り出し管34は最低水位の水面から必要深さの所に位置決めした水中モータポンプ35の上部と接続している。
水中モータポンプ35の位置を深い位置に設定するので、ダム6の建設地点の気象および魚類の遡上期、降下期において寒気のときは冷水を揚水し、魚類の生態に支障を与える虞が考えられる。このため、ステージ上の配管23に鋼管発熱式または電熱線式などによる熱発熱体を取付け、揚水がその間を通過するときに加熱し水温を上げるようにする。
【0019】
次に、搬送ボックス9について図6ないし図13を参照して説明する。まず、搬送ボックス9の形状は、図6、図7に示すように直方体で外郭は形鋼で構成し、下半分を鋼板で囲んで魚の収容箱とし、仕切りゲート側の側壁36は下端に軸37が挿通され回動自在に設けられており、搬送ボックス9の本体側周縁は水密ゴム38(図8参照)が取付けられている。搬送ボックス9の上半分の左岸側とダム側は固定金網壁39が取付けられ、右岸側(仕切りゲート側)の金網壁40は上下動自在に取付けられ、また、正面上流側には金網壁を設けず常時開放し魚の出入口にしている。
【0020】
また、搬送ボックス9を昇降させるために、上面に操作室内の巻上機41(図14参照)からのワイヤ42をつるすローラ43が取付けられ、図8、図10に示すように、搬送ボックス9の上下、四隅には案内ローラ44が取付けられ、それぞれの箇所には2つの案内ローラ44を上下方向にずらして配置し、それぞれ架構内の縦横方向の鉛直材の面に接触するようにしている。この接触面には長尺のレール板71を取付けて継ぎ目を少なくしている。また、回動する側壁36の軸部には、回動する側壁36の邪魔にならない下部の位置にブラケット45を取付けて案内ローラ44を設けている。
【0021】
また、回動する側壁36は上部外側面に案内ローラ46が取付けられ、仕切りゲート背面のカム28と接触するようになっており、昇降時の搬送ボックス9の位置により回動する側壁36の角度が規制される。この側壁36が起立して搬送ボックス9の内部に水が流れ込む時は、他の側壁47に明けた孔48から水がこぼれるようにしてあるので、貯水水面は下半分の収容部上端より少し下げた位置になる。
【0022】
また、搬送ボックス9内に確実に集魚するため、ボックス上部には水滴またはシャワーを散水するための配管49とポンプ50を備えたシャワー装置51(図6、図7参照)を取付けると共に、図9、図11に示すようにボックス底部には魚の好む彩色を放つ水中ランプ52を配置し、床面に明けた孔に自重で閉じる蓋53を軸により回動自在に取付けている。
【0023】
図7、図12および、図13に示すように、仕切りゲート側(上部、右岸側)の金網壁40の上方には支持台54が設置されローラ55が取付けられ、また、この面と対向する側のボックス上部にもローラ55が取付けられワイヤ56が掛けられている。支持台54側のワイヤ端部に金網壁40が吊され、ワイヤ56のもう一方の端は重り兼フロート57に垂直に連結された丸棒58と接続されており、重り兼フロート57が搬送ボックス9の下部に接触した状態で、金網壁40が全閉状態になるようにワイヤ56の長さが調節されている。
【0024】
このほか、図1に示すように、作業台30の右側上方には揚水ポンプ装置22の定期点検、整備のための作業用踊り場59があり、チェンブロック60およびフック61を備えている。この作業用踊り場59とステージ8とを足場にして揚水ポンプ装置22、制水ゲート15、仕切りゲート20等の分解組み立てを行うことができる。
【0025】
このように構成した昇降式魚道は仕切りゲート20を全閉することで貯水プール21を形成する。また、貯水プール21に揚水ポンプ装置22によって水を供給すると過剰の水は隔壁を越して流れ、魚道12に水流が形成される。また、貯水プール21に供給する水は貯水池の深い位置の水である場合、冷水のこともあるので発熱体(図示せず)を加熱して配管23を暖め、供給する水が適温となるようにする。これにより、ダム下流河川よりの遡上魚を貯水池プール21に集魚すると共に降下魚の降下運動を促進する。
【0026】
遡上魚に対しては、図3に示すように、搬送ボックス9は貯水プール21の床面にボックス中央部を合わせて待機させておく。このとき、重り兼フロート57の重さで金網壁40が上方移動している。そして、遡上してきた魚が貯水プール21に集魚されたとき、または所定時間経過後、仕切りゲート20の扉体19を引き上げる。これによって魚は貯溜水と共に搬送ボックス9内に収容される。この後、搬送ボックス9を降下させる。
【0027】
搬送ボックス9が水面に着く前に重り兼フロート57が水面に到達しこの浮力により金網壁40は徐々に閉じられる。また、搬送ボックス9が水中に沈むにつれ、水圧バランスが崩れたときに蓋53は圧力差で開くことになる。魚は固定金網壁39、金網壁40により上流側に向け放流される。そして再び搬送ボックス9を所定位置に引き揚げ、これを繰り返すことによって魚の遡上を支援する。
【0028】
降下魚に対しては、搬送ボックス9を貯水池の水面に配置したら、搬送ボックス9の前方に滞留している魚をより確実に搬送ボックス9内に誘導するため、搬送ボックス9内に配置したシャワー装置51を間欠的に作動させ、天井から水滴またはシャワーを噴霧し、床面の水中ランプ52から魚の好きな彩色を放つようにする。魚は金網壁39,40のない上流側から入り集魚される。搬送ボックス9を上昇させると、側壁47の孔48から過剰な水が放出され、貯溜水の水位が決められる。また、仕切りゲート側の金網壁40は引き上げられる。
【0029】
搬送ボックス9の仕切りゲート側側壁36に取付けられたローラ46が仕切りゲート20のカム28に沿って移動すると、この側壁36が回動し徐々に倒れて行く。図1に示すように、搬送ボックス9が仕切りゲート20の扉体19より高い位置になると、回動する側壁36が床面となって搬送ボックス9内の貯溜水は貯水プール21に放出される。貯水プール21に移された降下魚は隔壁17を越えて下流に行くようになる。貯溜水を放出した搬送ボックス9は空の状態で下降しダム水面に達すると浮力によって下降スピードが落ちるが、圧力差によって蓋53が開き水が入り込むことによってスピードを速めることができる。
【0030】
次に、図14、図16に示すように、この昇降式魚道を利用した人工水路62について説明する。人工水路62は下流側端、中間部および上流側端にフロート基地63を設け、これらを連絡するロープ64に水路壁となる可撓膜65を設け、ロープ全長に渡って小フロート66を並設しており(図17参照)、フロート基地63はワイヤ67によってアンカーブロック68と連結されている。また、図18ないし図22に示すように、各フロート基地63には水路中に水車69を設置している。また、図20、図21に示すように、水車69は駆動装置70と減速機71により回転させている。
【0031】
図19に示すように、人工水路62の上流側端のフロート基地63には集魚用の水中ランプ52やシャワー装置51が取付けられている。
【0032】
人工水路62の下流側端のフロート基地63には、図20ないし図22に示すように、その端部に水路を遮断するスクリーン72が上下動自在に取付けられると共に、スクリーン72の開閉機73が設けられている。また、フロート基地63の下部には引っ掛け金物74が固着され、架構上流側の正面のH状形鋼10に上下動自在に係合させている。
【0033】
人工水路62と昇降式魚道を利用した場合、下流側端のフロート基地63にバラスト75を載せて、搬送ボックス9の停止位置に連絡するようにする。これにより上流側端のシャワー装置51等に誘導されて降下魚が水路の流れに沿って降下すると、貯水面水位の定位置に停止している搬送ボックス9内に誘導される。この方式によればダム6による変動のある貯水面を避けて下流に移動することができる。また、ダムのように貯水面が広い場合や、ダム水面を上流からの流木、ごみ等から防ぐようにダム上流側に網場が仕掛けられている場合には、遡上魚はダムの中で停滞してしまうことになるが、人工水路62によって上流へ行かれるようになる。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したものであるので、架構内を搬送ボックスが昇降し、搬送ボックスの停止位置が仕切りゲートの下部に位置したときには、貯水プールの遡上魚の入った貯溜水を、仕切りゲートを開けて搬送ボックスに受け渡すことができる。また、搬送ボックスの停止位置が仕切りゲートより上位置にあるときは、側壁(36)が仕切りゲートの上部に倒れ、搬送ボックスの降下魚の入った貯溜水は貯水プールに流れ込む。また、搬送ボックスが降下したときは堤体(ダム)のそのときの水面に停止させ魚を放流、または集魚する。このようにして、遡上魚、降下魚の受け渡しができ、しかも、堤体による貯水面の変動に影響されることがないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例のダム上流側壁面に設けた昇降式魚道装置を示す断面図である。
【図2】図1に示す昇降式魚道装置の平面図である。
【図3】図1に示す昇降式魚道装置の要部断面図である。
【図4】図1に示す昇降式魚道装置に付設したポンプ装置の側面図である。
【図5】図1に示す昇降式魚道装置の側断面図である。
【図6】図1に示す昇降式魚道装置の搬送ボックスの上面図である。
【図7】図1に示す昇降式魚道装置の搬送ボックスの側断面図である。
【図8】図6に示す搬送ボックスの案内ローラーを示す平面図である。
【図9】図6に示す搬送ボックスの床面を示す平面図である。
【図10】図1に示す昇降式魚道装置の搬送ボックスの側面図である。
【図11】図6に示す搬送ボックスの床面を示す断面図である。
【図12】図6に示す搬送ボックスの側面図である。
【図13】図6に示す搬送ボックスの側面図である。
【図14】図1に示す昇降式魚道装置を設置したダムの側断面図である。
【図15】図1に示す昇降式魚道装置を設置したダムの上流側壁面の正面図である。
【図16】実施例の昇降式魚道装置を利用した人工水路の上面図である。
【図17】図16に示す人工水路の中間部水路の断面図である。
【図18】図16に示す人工水路の中間部のフロート基地の側面図である。
【図19】図16に示す人工水路の上流側端のフロート基地の断面図である。
【図20】図16に示す人工水路の下流側端のフロート基地の側面図である。
【図21】図16に示す人工水路の下流側端のフロート基地の平面図である。
【図22】図16に示す人工水路のフロート基地に設置した水車を示す断面図である。
【図23】従来の昇降式魚道の要部断面図である。
【符号の説明】
6 堤体
7 架構
8 ステージ
9 搬送ボックス
12 魚道
13 開口部
15 制水ゲート
17 隔壁
18 導水壁
20 仕切りゲート
21 貯水プール
23 配管
28 カム
36 側壁
37 軸
40 金網壁
46 ローラ
47 側壁
48 水抜き孔
49 シャワー用配管
52 水中ランプ
53 蓋
56 ワイヤ
57 重り兼フロート
【産業上の利用分野】
本発明は、高落差のある堤体または水位変動が大きい河川において、魚の遡上、下降を支援するための昇降式魚道装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
河川に河川横断構造物(堰、頭首工、落差工、ダム等)を構築する場合には魚道を付設することが一般的になってきているが、遡上期、降下期に取付けるものや常置するものがある。図23に示すエレベータ式魚道1は従来から提案されており、遡上期、降下期に作動させている。エレベータ式魚道1は垂直に形成した通路2とその内部に上下動自在に取付けた収容ボックス3とこれを昇降させる巻上機4とを有し、上流側の導水池5に魚を搬送させるようになっている。収容ボックス3は、上昇して最上位置で傾けて魚を放流するものや、ボックス側面を開いて放流するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の魚道1では遡上魚を対象にしており、また、ダム(河川横断構造物を云う)の上流水位が一定で変動のないことが前提になっている。このため、高落差を有するダム本体において、貯水面水位が下がったときは遡上魚を収容ボックス3でわざわざ高い位置に持ち上げるという無駄な作業をすることになり、また、下降魚の場合には下流へ行く手段がとぎれてしまうことになる。
【0004】
本発明は、ダムの貯水面等、上流水位が変動してもこれに影響されずに魚の遡上、降下を支援できる昇降式魚道装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、堤体の上部上流側にステージを設置し、該ステージに導水壁と上下動自在な仕切りゲートにより前記堤体の壁面を囲んで貯水プールを形成し、前記堤体の壁面に下流へ通じる開口部を明けると共に隔壁を設け、前記仕切りゲートの上流側部に鉛直方向に設けられた架構内に搬送ボックスを昇降自在に設け、該搬送ボックスの前記仕切りゲート側側壁を回動自在に取付け、該側壁の上部に、仕切りゲートに突出させて形成したカムに接触するローラを設置し、前記ステージに前記貯水プールに給水するための配管を設置したことを特徴とする。
【0006】
上記、装置に対し、開口部に制水ゲートを設け、隔壁の下流側に魚道を構築したことを特徴とする。また、搬送ボックスの天井部にシャワー用配管を設け、床面には魚の好む彩色を放つ水中ランプを取付けたことを特徴とする。
【0007】
また、搬送ボックスの床面に明けた孔に自重で閉じる蓋を設け、前記搬送ボックスの周囲側壁の中間高さ位置に水抜き孔を明けると共に、該側壁の上端に上下動自在に張った金網壁と、該搬送ボックスの下端に上下動自在に設けた重り兼フロートとをワイヤで連結したことを特徴とする。また、ステージに設置した配管に電力などによる発熱体を取付けたことを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明は上記のように構成したものであり、仕切りゲートは全閉の状態で貯水プールの壁面として使用され、貯水プールには揚水ポンプを作動させて給水用配管から水を供給する。過剰の水は開口部を通り隔壁を越流して下流に流れる。遡上魚はその生態からして、貯水プールから下流(魚道)に流れる水に導かれ、この魚道を遡って貯水プールに集まることになる。
搬送ボックスは貯水プールの貯溜水を収容するため、仕切りゲートの下端位置に搬送ボックスの上部を合わせるように引き上げて受入準備をしておく。
貯水プールに充分に魚が集まった状態または一定時間経過した後、仕切りゲートを全開すると、貯水プールの貯溜水は搬送ボックスに流れ込む。
【0009】
仕切りゲートを全開することにより、下流への流れは中断するが、再び、仕切りゲートを全閉することにより、貯水プールへ給水され下流(魚道)に通常の流れが形成される。この間に、搬送ボックスを貯水池水面の所定深さの位置まで降下させ、貯水プール内に収容された集魚を水中に放流する。その後、搬送ボックスを上昇させ貯水プールの貯溜水を受ける位置に待機させることにより遡上魚の受け入れ準備が完了する。このように仕切りゲートおよび搬送ボックスを操作して魚の遡上を支援する。
【0010】
次に、降下魚を下流へ導く操作を説明する。搬送ボックスは下降させて貯水面より水中の所定位置に待機させておき、集魚した後、搬送ボックスを上昇させる。搬送ボックスの上部が仕切りゲートの下端より上方に移動するようになると、搬送ボックスの側壁に付設したローラが仕切りゲートのカムに接触し、搬送ボックスの上昇と共に、ローラがカムに沿って動くので側壁が徐々に傾倒する。全閉状態の仕切りゲートの上端に搬送ボックスの下端が位置したときには、傾いた側壁の上部は仕切りゲートの上端に載って貯水プール側に倒れる。この側壁を床面として、貯溜水と共に下降魚が貯水プールに流れ込む。そして、貯水プールに収容された下降魚は隔壁を乗り越え下流に泳いでいく。この後、搬送ボックスを下降させるとローラがカムに沿って移動し、再び、側壁が起立しそのまま貯水面の所定位置に待機させることで下降魚を集魚させる。
【0011】
この隔壁の下流側に魚道を構築したことにより魚は下流域に移ることができる。また、満水位より水位が高くなると下流への流量が多くなるので制水ゲートを閉じる。
【0012】
搬送ボックスを下降させて所定位置に停止させるときは、搬送ボックスの下降中、床面の蓋が水圧で押し上げられ水が浸入する。また、シャワー用配管から散水し、水中ランプを点灯することで下降魚の魚に動因を与え、魚をボックス内に確実に誘導をする。集魚が終わり搬送ボックスを上昇させるときは、散水停止、水中ランプの消灯を行う。
【0013】
搬送ボックスが貯水面で停止しているときは重り兼フロートが浮力により上昇し、これによりワイヤで接続された金網壁は下降して搬送ボックスの側壁上端と近接し魚の移動を規制する。搬送ボックスの上昇中、水抜き孔から内部の水が流れ、定量水面になると魚の飛び出しが防止され、これと同時に重り兼フロートが水面から引き上げられるのでこの重さによりワイヤが引っ張られて金網壁は搬送ボックスの側壁上方に移動させられる。また、貯水プールに供給する水は貯水池の深い位置の水である場合、冷水のこともあり発熱体を加熱して配管を暖め供給する水が適温となるようにする。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。まず、図14、図15に示すダム6の上流側壁面には昇降式魚道とするための架構7が壁面に鉛直に構築され、この上部にステージ8が設けられている。架構7は鋼製(形鋼)の水平材および鉛直材によって四角柱状に組み付け、水平材間に斜め材を連結させて強固にし、四角形状の内部に搬送ボックス9を上・下方向に案内するように構築している。さらに、ダム壁面から上流側に突出した位置に配した、左右の連続した鉛直材にはこの上流側面に長いH状形鋼10(図5、図6参照)を平面が前面に位置するように連結させ、左右の形鋼10に一定間隔で連結材(へん平した円管)11を水平に連結している。
【0015】
ダム6には固定隔壁式魚道12が設けられ、その上流端はステージ8の上部位置に臨んだ開口部13と連通し、開口部13には扉体14がローラー方式の制水ゲート15が設けられ、その上方の操作室16で開閉させるようになっており、通常、全開であるが貯水位が常時満水位以上の規定水位以上になると全閉させている。
【0016】
図1および図2に示すように、ステージ8の表面は固定隔壁式魚道12の隔壁17の最上位置の底部と同じ高さにさせており、ステージ8には開口部縁側に連絡し開口部13に対向するL字状の導水壁18が設けられ、ダム6の壁面と導水壁18との間に扉体19がスライド方式の仕切りゲート20が設置されて貯水プール21が形成されている。導水壁18の側方には貯水プール21に給水するための揚水ポンプ装置22の配管23が支持台24に固定され、チェックバルブ25および流量調節バルブ26を通して導水壁18の内側に開口している。また、仕切りゲート20に隣接して主要な4本の鉛直材による架構7がステージ8を貫通し、架構7の内部に配置した搬送ボックス9を案内するようになっている。
【0017】
仕切りゲート20の扉体19のスキンプレート27と反対側には、上部をスキンプレート側に円弧状に曲げたカム28を左右に突設している。また、扉体19を昇降させる巻上機29はステージ8の上方の作業台30に設置されている。作業台30は搬送ボックス9、制水ゲート15の点検、整備に利用される。扉体19と接触する床面は貯溜水と一緒に集魚が搬送ボックス9に流れ込み易くするため傾斜されている。このほか、隔壁17には切欠部31と潜孔32が形成されている。潜孔32は隔壁形式が異なれば形成されない。
【0018】
揚水ポンプ装置22は図4に示すように、貯水プール21に接続した配管23が支持台24に固定されており、支持台24にはダム6に固定して下方に延設した保護管33が取付けられ、その中に収納した繰り出し管34がステージ8の配管23と接続されている。繰り出し管34は最低水位の水面から必要深さの所に位置決めした水中モータポンプ35の上部と接続している。
水中モータポンプ35の位置を深い位置に設定するので、ダム6の建設地点の気象および魚類の遡上期、降下期において寒気のときは冷水を揚水し、魚類の生態に支障を与える虞が考えられる。このため、ステージ上の配管23に鋼管発熱式または電熱線式などによる熱発熱体を取付け、揚水がその間を通過するときに加熱し水温を上げるようにする。
【0019】
次に、搬送ボックス9について図6ないし図13を参照して説明する。まず、搬送ボックス9の形状は、図6、図7に示すように直方体で外郭は形鋼で構成し、下半分を鋼板で囲んで魚の収容箱とし、仕切りゲート側の側壁36は下端に軸37が挿通され回動自在に設けられており、搬送ボックス9の本体側周縁は水密ゴム38(図8参照)が取付けられている。搬送ボックス9の上半分の左岸側とダム側は固定金網壁39が取付けられ、右岸側(仕切りゲート側)の金網壁40は上下動自在に取付けられ、また、正面上流側には金網壁を設けず常時開放し魚の出入口にしている。
【0020】
また、搬送ボックス9を昇降させるために、上面に操作室内の巻上機41(図14参照)からのワイヤ42をつるすローラ43が取付けられ、図8、図10に示すように、搬送ボックス9の上下、四隅には案内ローラ44が取付けられ、それぞれの箇所には2つの案内ローラ44を上下方向にずらして配置し、それぞれ架構内の縦横方向の鉛直材の面に接触するようにしている。この接触面には長尺のレール板71を取付けて継ぎ目を少なくしている。また、回動する側壁36の軸部には、回動する側壁36の邪魔にならない下部の位置にブラケット45を取付けて案内ローラ44を設けている。
【0021】
また、回動する側壁36は上部外側面に案内ローラ46が取付けられ、仕切りゲート背面のカム28と接触するようになっており、昇降時の搬送ボックス9の位置により回動する側壁36の角度が規制される。この側壁36が起立して搬送ボックス9の内部に水が流れ込む時は、他の側壁47に明けた孔48から水がこぼれるようにしてあるので、貯水水面は下半分の収容部上端より少し下げた位置になる。
【0022】
また、搬送ボックス9内に確実に集魚するため、ボックス上部には水滴またはシャワーを散水するための配管49とポンプ50を備えたシャワー装置51(図6、図7参照)を取付けると共に、図9、図11に示すようにボックス底部には魚の好む彩色を放つ水中ランプ52を配置し、床面に明けた孔に自重で閉じる蓋53を軸により回動自在に取付けている。
【0023】
図7、図12および、図13に示すように、仕切りゲート側(上部、右岸側)の金網壁40の上方には支持台54が設置されローラ55が取付けられ、また、この面と対向する側のボックス上部にもローラ55が取付けられワイヤ56が掛けられている。支持台54側のワイヤ端部に金網壁40が吊され、ワイヤ56のもう一方の端は重り兼フロート57に垂直に連結された丸棒58と接続されており、重り兼フロート57が搬送ボックス9の下部に接触した状態で、金網壁40が全閉状態になるようにワイヤ56の長さが調節されている。
【0024】
このほか、図1に示すように、作業台30の右側上方には揚水ポンプ装置22の定期点検、整備のための作業用踊り場59があり、チェンブロック60およびフック61を備えている。この作業用踊り場59とステージ8とを足場にして揚水ポンプ装置22、制水ゲート15、仕切りゲート20等の分解組み立てを行うことができる。
【0025】
このように構成した昇降式魚道は仕切りゲート20を全閉することで貯水プール21を形成する。また、貯水プール21に揚水ポンプ装置22によって水を供給すると過剰の水は隔壁を越して流れ、魚道12に水流が形成される。また、貯水プール21に供給する水は貯水池の深い位置の水である場合、冷水のこともあるので発熱体(図示せず)を加熱して配管23を暖め、供給する水が適温となるようにする。これにより、ダム下流河川よりの遡上魚を貯水池プール21に集魚すると共に降下魚の降下運動を促進する。
【0026】
遡上魚に対しては、図3に示すように、搬送ボックス9は貯水プール21の床面にボックス中央部を合わせて待機させておく。このとき、重り兼フロート57の重さで金網壁40が上方移動している。そして、遡上してきた魚が貯水プール21に集魚されたとき、または所定時間経過後、仕切りゲート20の扉体19を引き上げる。これによって魚は貯溜水と共に搬送ボックス9内に収容される。この後、搬送ボックス9を降下させる。
【0027】
搬送ボックス9が水面に着く前に重り兼フロート57が水面に到達しこの浮力により金網壁40は徐々に閉じられる。また、搬送ボックス9が水中に沈むにつれ、水圧バランスが崩れたときに蓋53は圧力差で開くことになる。魚は固定金網壁39、金網壁40により上流側に向け放流される。そして再び搬送ボックス9を所定位置に引き揚げ、これを繰り返すことによって魚の遡上を支援する。
【0028】
降下魚に対しては、搬送ボックス9を貯水池の水面に配置したら、搬送ボックス9の前方に滞留している魚をより確実に搬送ボックス9内に誘導するため、搬送ボックス9内に配置したシャワー装置51を間欠的に作動させ、天井から水滴またはシャワーを噴霧し、床面の水中ランプ52から魚の好きな彩色を放つようにする。魚は金網壁39,40のない上流側から入り集魚される。搬送ボックス9を上昇させると、側壁47の孔48から過剰な水が放出され、貯溜水の水位が決められる。また、仕切りゲート側の金網壁40は引き上げられる。
【0029】
搬送ボックス9の仕切りゲート側側壁36に取付けられたローラ46が仕切りゲート20のカム28に沿って移動すると、この側壁36が回動し徐々に倒れて行く。図1に示すように、搬送ボックス9が仕切りゲート20の扉体19より高い位置になると、回動する側壁36が床面となって搬送ボックス9内の貯溜水は貯水プール21に放出される。貯水プール21に移された降下魚は隔壁17を越えて下流に行くようになる。貯溜水を放出した搬送ボックス9は空の状態で下降しダム水面に達すると浮力によって下降スピードが落ちるが、圧力差によって蓋53が開き水が入り込むことによってスピードを速めることができる。
【0030】
次に、図14、図16に示すように、この昇降式魚道を利用した人工水路62について説明する。人工水路62は下流側端、中間部および上流側端にフロート基地63を設け、これらを連絡するロープ64に水路壁となる可撓膜65を設け、ロープ全長に渡って小フロート66を並設しており(図17参照)、フロート基地63はワイヤ67によってアンカーブロック68と連結されている。また、図18ないし図22に示すように、各フロート基地63には水路中に水車69を設置している。また、図20、図21に示すように、水車69は駆動装置70と減速機71により回転させている。
【0031】
図19に示すように、人工水路62の上流側端のフロート基地63には集魚用の水中ランプ52やシャワー装置51が取付けられている。
【0032】
人工水路62の下流側端のフロート基地63には、図20ないし図22に示すように、その端部に水路を遮断するスクリーン72が上下動自在に取付けられると共に、スクリーン72の開閉機73が設けられている。また、フロート基地63の下部には引っ掛け金物74が固着され、架構上流側の正面のH状形鋼10に上下動自在に係合させている。
【0033】
人工水路62と昇降式魚道を利用した場合、下流側端のフロート基地63にバラスト75を載せて、搬送ボックス9の停止位置に連絡するようにする。これにより上流側端のシャワー装置51等に誘導されて降下魚が水路の流れに沿って降下すると、貯水面水位の定位置に停止している搬送ボックス9内に誘導される。この方式によればダム6による変動のある貯水面を避けて下流に移動することができる。また、ダムのように貯水面が広い場合や、ダム水面を上流からの流木、ごみ等から防ぐようにダム上流側に網場が仕掛けられている場合には、遡上魚はダムの中で停滞してしまうことになるが、人工水路62によって上流へ行かれるようになる。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したものであるので、架構内を搬送ボックスが昇降し、搬送ボックスの停止位置が仕切りゲートの下部に位置したときには、貯水プールの遡上魚の入った貯溜水を、仕切りゲートを開けて搬送ボックスに受け渡すことができる。また、搬送ボックスの停止位置が仕切りゲートより上位置にあるときは、側壁(36)が仕切りゲートの上部に倒れ、搬送ボックスの降下魚の入った貯溜水は貯水プールに流れ込む。また、搬送ボックスが降下したときは堤体(ダム)のそのときの水面に停止させ魚を放流、または集魚する。このようにして、遡上魚、降下魚の受け渡しができ、しかも、堤体による貯水面の変動に影響されることがないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例のダム上流側壁面に設けた昇降式魚道装置を示す断面図である。
【図2】図1に示す昇降式魚道装置の平面図である。
【図3】図1に示す昇降式魚道装置の要部断面図である。
【図4】図1に示す昇降式魚道装置に付設したポンプ装置の側面図である。
【図5】図1に示す昇降式魚道装置の側断面図である。
【図6】図1に示す昇降式魚道装置の搬送ボックスの上面図である。
【図7】図1に示す昇降式魚道装置の搬送ボックスの側断面図である。
【図8】図6に示す搬送ボックスの案内ローラーを示す平面図である。
【図9】図6に示す搬送ボックスの床面を示す平面図である。
【図10】図1に示す昇降式魚道装置の搬送ボックスの側面図である。
【図11】図6に示す搬送ボックスの床面を示す断面図である。
【図12】図6に示す搬送ボックスの側面図である。
【図13】図6に示す搬送ボックスの側面図である。
【図14】図1に示す昇降式魚道装置を設置したダムの側断面図である。
【図15】図1に示す昇降式魚道装置を設置したダムの上流側壁面の正面図である。
【図16】実施例の昇降式魚道装置を利用した人工水路の上面図である。
【図17】図16に示す人工水路の中間部水路の断面図である。
【図18】図16に示す人工水路の中間部のフロート基地の側面図である。
【図19】図16に示す人工水路の上流側端のフロート基地の断面図である。
【図20】図16に示す人工水路の下流側端のフロート基地の側面図である。
【図21】図16に示す人工水路の下流側端のフロート基地の平面図である。
【図22】図16に示す人工水路のフロート基地に設置した水車を示す断面図である。
【図23】従来の昇降式魚道の要部断面図である。
【符号の説明】
6 堤体
7 架構
8 ステージ
9 搬送ボックス
12 魚道
13 開口部
15 制水ゲート
17 隔壁
18 導水壁
20 仕切りゲート
21 貯水プール
23 配管
28 カム
36 側壁
37 軸
40 金網壁
46 ローラ
47 側壁
48 水抜き孔
49 シャワー用配管
52 水中ランプ
53 蓋
56 ワイヤ
57 重り兼フロート
Claims (5)
- 堤体の上部上流側にステージを設置し、該ステージに導水壁と上下動自在な仕切りゲートにより前記堤体の壁面を囲んで貯水プールを形成し、前記堤体の壁面に下流へ通じる開口部を明けると共に隔壁を設け、前記仕切りゲートの上流側部に鉛直方向に設けられた架構内に搬送ボックスを昇降自在に設け、該搬送ボックスの前記仕切りゲート側側壁を回動自在に取付け、該側壁の上部に、仕切りゲートに突出させて形成したカムに接触するローラを設置し、前記ステージに前記貯水プールに給水するための配管を設置したことを特徴とする昇降式魚道装置。
- 開口部に制水ゲートを設け、隔壁の下流側に魚道を構築したことを特徴とする請求項1記載の昇降式魚道装置。
- 搬送ボックスの天井部にシャワー用配管を設け、床面には魚の好む彩色を放つ水中ランプを取付けたことを特徴とする請求項1記載の昇降式魚道装置。
- 搬送ボックスの床面に明けた孔に自重で閉じる蓋を設け、前記搬送ボックスの周囲側壁の中間高さ位置に水抜き孔を明けると共に、該側壁の上端に上下動自在に張った金網壁と、該搬送ボックスの下端に上下動自在に設けた重り兼フロートとをワイヤで連結したことを特徴とする請求項1記載の昇降式魚道装置。
- ステージに設置した配管に電力などによる発熱体を取付けたことを特徴とする請求項1記載の昇降式魚道装置。
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