JP2514866B2 - 用水路用流量応答ゲ―ト - Google Patents

用水路用流量応答ゲ―ト

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JP2514866B2
JP2514866B2 JP10047691A JP10047691A JP2514866B2 JP 2514866 B2 JP2514866 B2 JP 2514866B2 JP 10047691 A JP10047691 A JP 10047691A JP 10047691 A JP10047691 A JP 10047691A JP 2514866 B2 JP2514866 B2 JP 2514866B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、河川から用水路に取水
し、または、用水路から分水するための、自然力を利用
した用水路用流量応答ゲートに関するものである。
【0002】
【従来技術】古来からの水田の潅漑方法は、自然の水位
差を利用して一定量の水を絶え間なく掛ける、いわゆる
自然分水であり、水路の最小流量は最大流量の半分程度
であった。近年、畑地潅漑に伴ってポンプ潅漑が普及し
てくると、水路から強引に取水するため、各箇所で水の
過不足が起き、特に、畑地潅漑だけが対象となる冬期に
おいてはその傾向が甚だしくなっている。また、冬期に
おいては水資源が枯渇しているので、畑地潅漑のために
流量が最大流量の数十分の一に激減し、水路内の水流が
静水同様となって湖沼において起ることが知られていた
セイシュが水路で起るようになった。このため、十分間
程度の周期で水面が昇降し分水に支障を来すようにな
り、また、下流において著しく水の過不足が起きる原因
ともなっている。
【0003】そこで、図6に示すように、出願人は下流
の水位を一定に保持するための取水用ゲート1を提案し
ている。この装置は水路2に設けた扉体3の側方に、扉
体3を操作するためのフロート室4(フロート5)を区
画した制御装置室6を設け、フロート室4下流側に水位
検知槽7を設置し、導水口8を介してゲート1の下流側
水路と連通している。フロート室4上流側にはゲート1
の上流側水路と連通する通水口9が開けられている。そ
して、水位検知槽7には浮体10が浮かべられ下方に流量
調節弁11を連設し制御水位を設定できるようにされてい
る(特願昭63−326668号参照)。
【0004】また、分水用ゲートとして、図7に示すよ
うにフロート室4には小径の導水口8を有し、フロート
室4上流側に越流堰12を設けた、上流水位を一定にする
ためのゲート13が特開平3−39513号公報に開示さ
れている。なお、流量が少ない場合においては特に流量
の変化が大きくなるので、基本的には上記と同じく上流
水位を一定に保持するが、図8に示すように、大径の越
流堰14と小径の越流堰15とを高さを変えて連接し制御装
置室6内に設けたゲートを利用すれば、上流水位の変化
を一定の限度内において許容し、下流の分水工のために
最低の流量を流すことができる。
【0005】ところが、図6に示す取水ゲート1と下流
の分水工との間は十分距離があるのが普通であり、二点
間の水位差は流量によって異なり、取水ゲート1の流量
が少なくなれば上下流の水位差が少なくなるので、下流
のゲートの直上流の水位差を一定にするために、流量に
応じて上流のゲートの直下流の水位を一定にするという
ことは流量が少ないため不可能であり、無理に下流水位
一定型のゲートを使用すれば下流で溢水が起こる。一
方、セイシュや湿害を防止するために水位は低めに押さ
える必要があり、更に水の使用量の変化が大きいと言う
ことや、水路2の貯溜能力を増加させるためにも、予め
水位を適当に低くしておく必要がある。従って、流水量
の変化に応じて、一々人為的に水位を設定し直さななけ
ればならないと言う課題があった。
【0006】また、図7に示す上流の水位を一定に保持
する方式のものは、下流における水の使用量に関係な
く、当該分水工の都合によって水を流下させるシステム
であるので、下流において水の著しい過不足が生じ、水
不足に悩む一方で、水が無駄なると言う課題があった。
なお、図8に示すように流量が少ない場合には、ゲート
上流の水位の変化を一定の限度内において許容し、一定
の開度を保持する機能を付加したゲートが使用された事
があるが、ほぼ一定の流量を流すので水不足は勿論解消
されたが、下流の事情を考慮得せずに水を送るので水の
過剰傾向に拍車を掛けると言う課題があった。
【0007】上記の従来技術の課題は、上流か下流のい
ずれか一方の事情を重視しすぎる事に起因している。従
って、上流と下流の両方の事情を総合的に把握し得る新
たな指標として、各々の分水工間の水位差を一定に保持
するゲートが提案されており(特願平2ー20840号
参照)、いわゆるクリーク地帯の長時間洪水を貯溜する
排水路において有効である。図9に示すように、このゲ
ート16はその側方の制御装置室6内のフロート室4上流
側に、上部にガイド板17を固着した水位検知フロート18
が浮かべられ、また、水位差検知フロート19が設けられ
ており、扉体3を支持するアーム軸20にリンクアーム21
が取付けられバー22を介してガイド板17と連係するL字
形状のL形アーム23と連結されている。
【0008】ガイド板17は上下部に同形の溝24を形成
し、溝内の固定された軸25で位置決めされ、また、垂直
な縦溝26が形成されており、ガイド板17の中央には、調
整溝27を有する下端を傾斜させた矩形板28が上下動自在
に設けられ、縦溝26に有する浮動軸29によって移動可能
とされている。また、水位差検知フロート19はばね30を
介してロープ31と連結され、ロープ31は調整溝27に誘導
されて水平方向に移動可能な係合軸32に巻回されてい
る。ゲート16の下流水位の変動はフロート5および水位
差検知フロート19が昇降することによってL形アーム23
およびロープ31を介してガイド板17に作用する。ガイド
板17は上流水位を検知する水位検知フロート18に連結さ
れいるので、この均衡を溝24および調整溝27の形状によ
って整合させている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、いわゆるク
リーク地帯の排水路においては、洪水中における排水は
ポンプに限定されるので、水路に洪水を貯溜する計画に
なっている。従って、そのような水路においては、水位
は自然条件によって決まるものであるから、目標とする
水位の設定は不可能である。従って、貯溜形の水路にお
いて公平を期すためには、従来技術のように各々の分水
工間の水位差を一定に保持するシステム以外に方法はな
い。しかし洪水の貯溜の必要のない用水路および用排兼
用水路においては、下流における水の使用量の変化に応
じて、現実には或る程度水位の変動を許容する必要があ
るが、目標として設定される水位自体が消失する訳では
ない。従って、水位差によらなくても、下流水位に基づ
いて操作する事が可能である。また、水路の途中に設け
られたゲートを開閉するには、上流と下流の両方の事情
を考慮する必要があるが、下流の方の事情を重視しなけ
れば、水の過不足は解消しないので、自ずから軽重の度
合いは決まっている。
【0010】しかしながら、上記ゲートを連設したとき
には一様に水位を昇降させ貯溜機能を負担させるもので
あり、通常十数kmにも及ぶ水路の全区間に配したと
き、ゲート下流の水の使用量の変化に追随するために
は、途中の自然分水、ポンプ分水または分水工の設置箇
所によって水位変動の差違があるので、ある程度水位の
変動を許容し全体的に所要の貯溜機能があれば差し支え
ないが、従来技術においては各分水工の実情に適合しな
い箇所が出来、分水が困難になる分水工がでると言う課
題があった。また、水位差を基準にして作動するので、
誤差があれば各区間の誤差が累積する。従って、各分水
工間の水位差を厳密に保持するために、溝形状の異なる
ガイド板17を設けるなど著しく構造が複雑になり、経費
が高くなると言う課題があった。本発明は、流水量に合
わせて下流水位を決定するように扉体を作動するように
する用水路用流量応答ゲートを提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、水路を横断させて設けた扉体と、該扉体
と連動するフロートとを有し、該フロートを収納するフ
ロート室内は、小さな補水口を介して扉体の上流側水路
と連通させると共に、漏洩口および比較的に大きな流出
口を介して扉体の下流側水路に設けた遊水池と連通さ
れ、前記遊水池に水位検知フロートを浮かべ、該水位検
知フロートに連設した狭窄弁を前記流出口に進退自在に
臨ませ、前記扉体と連動して回動する水位検知フロート
用アームに、前記水位検知フロートをばねを介して懸垂
させたことを特徴とする。なお、水位検知フロート用ア
ームは扉体の下端が、最大の用水量(以下、計画用水量
と言う。)を流して堰上げを全くしないと仮定した場合
の水位(以下、計画用水位と言う。)に等しい高さの状
態(以下、計画開度と言う。)において最も水位検知フ
ロート用滑車に近付くように固着するのが良い。また、
水位検知フロート用アームの長さと回動角は、下流の分
水口位置の水位が適当になるように選択されている。以
下においては、上記のアームの長さと回動角によって、
ゲートの開度毎に決められた下流の分水工位置の水位を
計画分水位と称する事とする。
【0012】チェックゲートにおいては上流の分水工に
対する保護対策が必要である。従って第二に、分水に支
障を来さない限度内において許容し得る下限の水位(以
下、許容下限水位と言う。)と上限の水位(以下、許容
上限水位と言う。)を設定するため、許容下限水位の高
さに上記の補水口を設定し、許容上限水位よりも僅かに
低い位置にクレストを有する水理学上の堰を構成する注
水槽を介して上流水路とフロート室を連通させる、と言
う手段を用いる。なお、堰のクレストの長さが流出口の
大きさに比して十分に大きくする事は勿論である。
【0013】流量が多い場合には許容される水位変動の
幅が小さいが、多種類の用途に供される場合には、流量
が多くても流量の変化が大きい場合がある。そのような
場合には、分水工を流量の変化から保護する必要が生ず
る。また、流量が極端に少ない場合には、セイシュの発
生を抑えるために、許容上限水位を流量に応じて、低く
せざるを得ず、また流量の変化が大きくなるので、貯溜
機能を増加させる事が望ましい。従ってそのような、使
用条件が厳しい場合に備えて、第三に、ゲートと連動し
て回動する補水口用アームと注水槽用アームにより、そ
れぞれ補水筒と注水槽を懸垂する、と言う手段を用い
る。
【0014】
【作用】本発明の用水路用流量応答ゲートの下流に分水
口が設けられている地域においては、分水口からの取水
量が変われば下流の分水口位置の水位が変動し、その影
響は上流のゲートの直下流の水位に波及する。従って下
流における水の使用量が増加すれば水位が下がって、
位検知フロートが下降し狭窄弁が漏洩口を開口させたま
ま流出口に嵌合する。これによりフロート室内の水の流
出が阻止されるので補水口からの流水によって、フロー
ト室内の水位がほぼ上流水位まで上昇し、扉体を連動さ
せて水路を開く。このとき、水位検知フロート用アーム
も連動しばねの支持点が移動して水位検知フロートの喫
水線が補正される。そして、下流の分水口位置の水位は
元に戻る。なお、流出口に狭窄弁が嵌合しても漏洩口か
らわずかにフロート室内の水が遊水池に流出するので、
扉体が必要以上に開くことはない。また、下流における
水の使用量が減少した場合には、ゲート直下流の水位が
上昇するので水位検知フロートが上昇し、以下上記動作
と逆に作動して、扉体が閉じて下流の分水口位置の水位
が元に戻る事は言うまでもない。すなわち、下流の水位
に即応するので下流域での水の使用量に対応できる。
た、均衡状態における下流の分水工位置における水位
は、扉体の開度、ひいては流量によって異なるが、計画
開度に近い状態においては、下流の分水工地点の水位は
計画用水位に近く、アームの長さと回動角が当該分水工
の実情に応じて設定できるので、流量が少なくなれば下
流の分水工位置の水位は自動的に適当に低くなる。ま
た、各分水工位置の計画分水位は、各分水による流量変
化や地域差のその分水工の実情に応じて決めることがで
き、分水に支障を来すことはない。
【0015】さらに、下流における水の使用量が増加
し、下流の分水工位置の水位が低下すれば、上記のよう
に、その上流のゲートが開いて下流の水位は正常に戻る
が、その変わりに上流の水位が低下する。その影響は次
々に上流の各ゲートに波及するので、通常は上流の全て
の区間に貯溜されていた水が少しずつ利用される。従っ
て、一分水工の受ける水位の偏りは小さく、その時間は
極めて短い。また、最終的には取水ゲートからの取水量
が増加するので、時間がたてば全区間の水位が正常に戻
る。しかし、水の使用量の増加が異常であれば、上流か
らの補給が追い着かないので、上流の水位が相当に大き
く低下する事もあるが、上流水位が補水口に近付けば、
補水口からフロート室への流入量が激減し、一方、下流
の水位が低いために狭窄弁によって流出口が全閉される
場合に備え、流出口の一部を切り欠いた漏洩口等からの
流出があるので、ゲート開度が小さくなって、上流水位
は実情に応じて設定された許容下限水位以上に保たれ
る。従って、上流における分水には支障がない。また、
このように上流の水位が許容下限水位になって、下流に
送られる水が不足すれば、当然不足する区間の貯溜量も
消費され、その影響は必要に応じて次々に下流に波及し
得るので、上流と下流の全区間の貯溜量を利用できる。
従って、計画分水位と許容下限水位の差は小さくて済
む。
【0016】ところで、本発明のゲートを水路に数か所
設置した場合、下流における水の使用量が減少すれば、
その上流のゲートが閉じるので、上流の水位は上昇す
る。その影響は次々に上流に向かって波及するので、通
常は上流の各区間に少しずつ貯溜される。従って、上流
の一区間の水位の偏りは小さく、またその時間も短い。
また、最終的には取水ゲートからの取水量が減少するの
で、時間がたてば全区間の水位が正常に戻る。そして、
本発明のゲートに補水口の高さを規制し、高さを設定し
た注水槽を設けることにより、以下の動作を生じさせ
る。まず、上流水位が補水口の高さより低い水位になっ
たときは、フロート室に水が供給されないのでフロート
が下降すると共に扉体が下降し、上流の水位(下限水
位)が確保される。 また、水の使用量の減少が異常
流のゲートが閉じる暇がない場合、上流の水位許容上
限水位に達し、注水槽からフロート室に水か流入して
速にゲートが開かれ、上流水位は許容上限水位に保たれ
る。その影響は必要に応じて次々に下流に波及し得るの
で、上流と下流の全区間に水を蓄える事ができる。ま
た、万一貯溜仕切れなかった場合には、後述の通り最下
流の排水ゲートが開いて、余分な水は排水路に捨てられ
る。従って、安全上の問題はないので、極端な異常事態
を対象にする必要は毛頭ないので、許容上限水位と計画
分水位の差も小さくて済む。
【0017】補水口を形成した補水筒の高さと注水槽の
高さとを扉体と連動させることにより、流下量が少なく
なれば、注水槽の位置が徐々に低くなるので、セイシュ
の発生は抑えられる。また、注水槽の下降量よりも補水
口の下降量が大きくなるように懸垂部分を設定すること
で、貯溜機能を増加させ、流下量の変動を抑える。ま
た、補水筒の高さと注水槽の高さとの距離を調節し、許
容下限水位および許容上限水位と計画分水位の水位差を
小さくすることで、流下量が多い場合でも当該ゲートの
上流の水位の変動は少なくなる。したがって、直上流の
分水に支障は来さない事は勿論であるが、その影響は下
流の各区間に少しずつ分散するので、下流における分水
にも支障はない。
【0018】また、分水手段、分水箇所によって異なる
ゲート開度の特性を必要とする場合には水位検知フロー
ト用アームの長さと回動角を決めるだけで良い。
【0019】
【実施例】本発明の実施例を添付図面に基づいて説明す
る。先ず、本発明の主眼は、水路全体の管理を合理化す
るところに有るので水路全体の構成について説明する。
図1に示すように、河川32の側岸に取水ゲート33が
設けられ、その下流に断面矩形状のコンクリート製の水
路34が連設されている。水路34の主要な分水工の直
下流にはチェックゲート35がそれぞれ設置され、水路
34の下流端は、上流水位を一定に保持する排水ゲート
36を介して排水路37に接続されている。実施例で
は、ラディアルゲートを使用しているが本発明はゲート
の操作装置に係るものであるから、設置条件によっては
ローラゲートでも良い。ローラゲートの場合には、ゲー
トを懸垂するスプロケットがゲートの開閉に伴って数回
転もするので、ラディアルゲートのように後述の重心の
作用によってゲートの抵抗に応じて閉方向の作動力を得
ることが困難であり、したがって、フロート内の水位も
合わせて制御して閉方向の作動力を得る点が違うだけで
操作装置の基本的な構成は同じである。
【0020】図2から図4に示すように、チェックゲー
ト(以下、ゲートと云う)35には、水路34の両側に
おいて回動自在に支持された水平なゲート軸38に一対
のゲートアーム39が固着され、その上流端にゲート軸
38を中心とする円弧状の扉体40が固着されて水路3
4を横断している。ゲートアーム39の下流端近くに、
一対のガイドレール41が固着され、これにカウンター
ウエイト42の軸が緩く嵌合されて、懸垂ボルト43に
より懸垂されて、高さと重さが調節自在となるように装
着されている。また、ゲートアーム39の下流端近くの
下方にストッパー44が設けられている。
【0021】水路34の側方には制御装置室45が設け
られ、扉体40の上流の水路34と連通された静水池4
6の下流にフロート室47が設けられ、その下流の遊水
池48が扉体40の下流の水路34に連通されている。
【0022】また、フロート室47内の上流側に補水装
置49の補水管50が開口し、その他端は静水池46内
の水中に直立し、その外側の補水筒51に緩く嵌合され
て、補水筒51の上端は大気中に開口されている。ま
た、補水筒51の側方に小さな補水口52が穿たれてい
る。また、補水筒51の下端にはダストシール53が装
着され、補水口52の側方は防塵防波筒54に囲まれて
いる。
【0023】また、フロート室47の下流側に排水管5
5が開口し、その先端は垂直方向に配した管の中間部に
連接されT字形状になっており、この管の両端は上下と
もに遊水池48内の水中に開口している。また、排水管
55の上方の流出口55aの大きさは上述の補水口52
に比して十分に大きくされている。また、流出口55a
の直上の水面に水位制御装置56の水位検知フロート5
7が浮かべられ、その中心を貫通する連結棒58の下方
に狭窄弁59が固着され、狭窄弁59の下方にパッキン
60が排水管55の下方の鉛直部分内に位置して連結棒
58に固着されて、排水管55の鉛直部分下方が閉塞さ
れている。流出口55aには一部を切り欠かいて、漏洩
口61が形成されている。漏洩口61はフロート室47
や排水管55の何処に穿ってもかまはないが、本実施例
においては、狭窄弁59の昇降によって塵芥が外れる効
果も有する。漏洩口61の大きさは、上流の水位が許容
下限水位以下にならない程度の速度で、扉体40が閉じ
ればよいので、大して大きくはないが、上述の狭窄弁5
9の流出口55aに対する狭窄が無意味にならず、また
狭窄弁59の昇降が小さくて済むように、流出口55a
は十分に大きくされている。
【0024】また、水位制御装置56の連結棒58の上
端に固着された水位補正装置62のばね63の上端に水
位検知フロート用ロープ64が固着され、これが水位検
知フロート用滑車65に懸架され、その他端は水平に回
動自在に支持された回動軸66に固着された水位検知フ
ロート用アーム67の先端の水位検知フロート用ピン6
8に固着されている。また、上記の回動軸66に固着さ
れた小ギヤ69とゲート軸38に固着された大ギヤ70
が噛み合わされ、水位検知フロート用ピン68の位置
は、上記において定義した計画開度k、即ち、ゲート3
5の扉体40の下端が上記の計画用水位wに等しい開度
において、最も水位検知フロート用滑車65に近付くよ
うになっている。
【0025】図5は、計画開度kと計画用水位wの場合
の流量を100としたゲート35の開度または流量の百
分率と水位の関係を示すものであるが、大文字A,D,
Eはゲートの開度、小文字b,c,f,gは流量との関
係を示す。曲線Aは下流の分水位工位置の水位をあらゆ
る流量の場合に計画用水位wにする場合における、ゲー
ト35の直下流の水位を示す曲線であるが、本実施例に
おいても計画開度kの状態においては、下流の分水工位
置の水位が計画用水位wになるように、水位検知フロー
ト57は図5のの状態、即ちゲート35の開度が計画
開度kで、水路34の水位が上下流共に計画用水位wの
状態において、水位検知フロート57が装着されてい
る。しかし、上記の通り流量が少ない場合には、適当に
水位が低い方が良いので、ゲート35の上流の分水工に
ついても流量毎に計画用水位wよりも適当に低く、計画
分水位が曲線bのように決定されている。曲線cは流量
毎の下流の分水工における分水のための最低の水位を示
す。ゲート35の全閉状態における実際の分水工位置の
水位、点が曲線cと計画用水位wの中間の高さよりも
適当に低い位置に設定されている。また中間の流量の状
態において、実際の分水工位置の水位、点fが計画用水
位wと曲線cの中間の高さよりも適当に低いい位置に設
定され、この状態ににおけるゲート35の直下流の水
位、点gが計算され、最後に上記の算定された下流の水
位と上記の曲線bから、ゲート35の開度が算定され
て、点が算定されている。水位検知フロート用アーム
67の長さと回動角は、上記の点、およびを通
り、曲線Dを描くように決定されている。上記の曲線D
から逆算された下流の分水工位置の水位をゲート35の
開度毎に示した曲線を以下計画分水位と称する事とす
る。
【0026】なお、ここで取水ゲート33について述べ
ておく。上記の構成のほか既成の技術を用いて、水位検
知フロートを小径の孔でもって外水に通ずる水位検知フ
ロート室に収納した構成とし、河川の増水中においては
水位検知フロート室内にサイフォンでもって注水し、洪
水が去ればサイフォンブレーカーによってサイフォンが
切れて注水が止むようにされて、河川32の洪水中には
開かないようにされている。
【0027】本題に戻り、ゲート35の上流の分水工の
計画分水位から適当な間隔をもって、許容下限水位w1
と許容上限水位w2が設定され、上記の補水装置49の
補水口52の高さが許容下限水位w1の高さに調節され
ている。また、フロート室47の上流側に注水装置71
の注水管72が開口し、その他端は静水池46内の水中
に直立し、その外側のガイドパイプ73に緩く嵌合さ
れ、その上方に水理学上の堰からなる注水槽74が固着
され、その上端の高さは許容上限水位w2よりも僅かに
低くされ、その周長は流出口55aに比して十分に大き
くされている。また、ガイドパイプ73の下端にはダス
トシール75が装着され、注水槽74の外側は防塵防波
筒76に囲まれている。
【0028】また本実施例においては、特に条件が厳し
い条件に対処するために、回動軸66に固着された上下
限水位補正装置77の補水筒用アーム78と注水槽用ア
ーム79を固着し、それぞれの先端にピンを介して補水
筒用ロープ80と注水槽用ロープ81を固着し、その途
中にそれぞれ、補水筒用滑車82と注水槽用滑車83が
設けられて、補水筒51と注水槽74が懸垂されてい
る。それぞれのピンの位置はゲート35が計画開度kに
なった状態において、それぞれの滑車から最も遠くなる
ように固着されている。また、計画開度kに近い状態に
おいては、許容下限水位w1および許容上限水位w2と
計画分水位の高低差は小さくされているが、ゲート35
の閉動作に伴う計画分水位wの下降する高さに比して、
許容下限水位w1の下降は適当に大きく、許容上限水位
w2の下降は適当に小さくされて、ゲート35が閉じる
につれて許容上限水位w2と許容下限水位w1の高低差
が大きくなるようになっている。
【0029】また、フロート室47内にフロート84が
収納され、その下部は密閉されて密閉部85が形成さ
れ、その上方の導水部86内の底面に可撓管87が開口
し、その他端はゲート35の下流の遊水池48内に開口
している。可撓管87の長さはフロート84の運動を制
約しないよう十分に大きくされている。またフロート8
4の頂面は覆われているが、通気口88が穿たれてい
る。最上流のゲート35の密閉部85の高さは、後述の
自重による偏心力のトルクよりも、僅かに密閉部85の
空中への露出によるトルクが小さくなるようにされてい
るが、その下流のゲート35の密閉部85の上端は、こ
れよりも適当に低くされている。なお、取水ゲート33
における密閉部85の高さは、計画開度kの状態におい
て計画用水位wの高さにされる。
【0030】また、フロート84の上端には、連動装置
89の懸垂棒90が固着され、その上端に装着されたロ
ーラー91が、ゲート35のゲート軸38に固着されて
上流に向けて突き出されたフロートアーム92の先端の
インボリュート溝92a内に嵌合されている。また、フ
ロート室47の底面に固着された一対のガイド棒93が
直立し、これがフロート84に固着されたガイド管94
に緩く嵌合され、フロート室47とフロート84の間の
すき間は極力小さくされている。
【0031】次は構成の詳細について説明する。本発明
においては上流と下流の水位差を利用してゲート35を
操作するので、上流と下流の水位差が小さくなると流量
調節は不可能となる。また何時までも流量調節を続けて
いると、洪水になった場合に上流の水位が不必要に上昇
する。従って、これらの事を総合的に勘案して流量調節
停止開度が設定されている。上記のゲート35のガイド
レール41は流量調節停止開度の状態において、鉛直に
なるように固着されている。また、カウンターウエイト
42の重さは、フロート室47内とフロート84内の水
位が等しければ、ゲート35が確実に閉じるように適当
に軽くされている。また、当該ゲート35の上流と下流
の水位差は上流のゲート35の曲線cと当該ゲートの曲
線bの高低差であるから、流量調節停止開度の状態にお
ける上下流の水位差は簡単に計算によって求められる。
従って、フロート84の平面積は、内外の水位差がその
水位差になれば、ゲート35が確実に開くように十分に
大きくされている。また、カウンターウエイト42の高
さは、上記の流量調節停止開度以下のあらゆる開度にお
いて、ゲート35が確実に開く限度内において、極力高
くされている。
【0032】また、最下流の排水ゲート36は、設置箇
所の状況によりラディアルゲートの設置が許されない場
合にはローラゲートが使用される。しかし、いずれにし
ても、その設定水位は直上流のゲート35において予定
された計画分水位よりもやや高く設定される。
【0033】次は作用について説明する。上気のように
ゲート35が作動するためには、その上流と下流の水位
差が必要であるので、水位検知フロート57が人為的に
装着された状態、即ちゲート35の開度が計画開度k
で、上流と下流の水位が共に計画用水位wに等しい状態
は実在しない。しかし、上流と下流における水の使用量
に変化がなければ、流量調節停止開度以下の状態におい
ては、下流の分水工位置と直下流の水位が、それぞれ図
5の曲線bと曲線cに示す水位となり、流出口55aが
狭窄弁59により半ば狭窄され、その流出量と補水口5
2からの流入量が均衡し、ゲート35は静止している。
【0034】水路34における寸法を、例えば、幅3
m、勾配1/2000、および当該ゲートと下流の分水
工間の距離を1000mとした場合、下流における水の
使用量が減少して下流の分水工位置の水位が3cm上昇
すれば、上流のゲート35の直下流の水位は約2cmも
上昇する。また、流出口55aの大きさが十分に大きく
されているので、ゲート35の開閉のために動く狭窄弁
59のストロークは小さく、2cmもあれば十分であ
る。なお、狭窄弁59に働く水圧とパッキン60に働く
水圧が相殺されるので、狭窄弁59の昇降に伴う抵抗も
少ない。すなわち、ゲート35の下流分水工の使用量が
減少して水位が上昇すると、ゲート35の直下流の水位
が上昇し、水位検知フロート57と狭窄弁59が上昇す
る。このため、流出口55aに対する狭窄が緩和されて
フロート室47内の水が流下し、フロート84が下降す
る。フロート84と連動して扉体40が下降し、ばね6
3の支持点が下がり、補水筒51および注水槽74が下
降する。これによって上流水位は下流水位に影響され
ず、また、ゲート35の開度が小さくなって下流の分水
工位置の水位を正常に戻すことになる。 ここで、ばね6
3の位置が変わることで水検知フロート57の喫水線
を調整するこどができ、補水筒51および注水槽74を
下降することで、流下量が少なくても動作を安定させる
ことができる。
【0035】その結果、ゲート35の場合には、当該ゲ
ートの上流の水位が上昇するが、その影響は次々に上流
のゲート35に波及して、下流の水位が次々に正常に戻
されるので、実際の水位と計画分水位の差は少なく、ま
た一つの区間において水位が正常でないのは短時間であ
る。また最終的には最上流の取水ゲート33に波及して
取水量が減少するので、しばらくたてば水路の全区間の
水位が再び正常に戻る。
【0036】また、逆に水の使用量が増加し、下流の分
水工位置の水位が3cm低下すればその上流のゲート3
5の直下流の水位は約2cm低下する。従って水位検知
フロート57と狭窄弁59が下降し流出口55aに対す
る狭窄が強化され、フロート室47内の水位が上昇し、
ゲート35が開いて下流の分水工位置の水位は正常に戻
る。
【0037】その結果、ゲート35の場合には、当該ゲ
ートの上流の水が低下するが、その影響は次々に上流の
ゲート35に波及して、下流の水位が正常に戻されるの
で、実際の水位と計画分水位の差は少なく、また一つの
分水工に影響する時間は短時間である。また、最終的に
は取水ゲート33の取水量が増加するので、時間がたて
ば水路の全区間の水位が正常に戻る。
【0038】図5の曲線Aに示すように、下流の分水工
位置の水位を、計画用水位wに保持する場合における、
ゲート35の直下流の水位は、正弦曲線に極めて近似
し、また本発明にかかる水位補正装置62も正弦曲線に
近似した曲線が曲線が得られるように構成され、更に水
位検知フロート57がゲート35の開度が計画開度kに
等しく、水路34の水位が上下流とも計画用水位wに等
しい状態において装着されているので、流量が計画用水
量に近い状態においては、下流の分水工位置における水
位は、図5の曲線Bに示すように、計画用水位wに極め
て近く、従って分水に支障は来さない。しかし、流量が
少なくなるにつれて下流の分水工位置の水位が低くなる
ので、セイシュや畑作物に対する湿害も起らない。ま
た、各分水工位置の水位は各々の分水工の実情に応じて
個々に決められているので、水位が低くても分水に支障
を来す事はあり得ない。以上の作用から、ゲート35を
取水ゲート33として使用できる。
【0039】水の使用量の増加が異常であれば、ゲート
35の上流の水位が許容下限水位w1に近付くが、補水
筒51の一端が大気中に開口しているので、補水口52
の出口において、その上流と下流の水流が水理学的に遮
断されており、従って、上流の水位が許容下限水位w1
に近付くと、フロート室47内への流入水量が激減し、
一方,たとえ下流の水位が低すぎて狭窄弁59により、
流出口55aが閉塞されていても、漏洩口14からの流
出があるので、ゲート35が閉じて開度が小さくなっ
て、上流水位は許容下限水位w1の高さに保持される。
この段階になると、下流において水量が不足し、水位が
計画分水位よりも低下し、従って下流水路の貯溜量が利
用される。また、このように水の使用量の変化の影響が
下流に及ぶ場合にも、その一方で影響は上流のゲート3
5にも次々に波及し、最終的には取水ゲート33に達し
て、取水量が増加するので、時間がたてば水路の全区間
の水位が正常に戻る。
【0040】また、水の使用量の減少が異常であれば、
上流の水位が許容上限水位w2まで上昇し、注水槽74
の上端からの越流水がフロート室47内に流入するが、
流出口55aに比して、注水槽74の周長が十分に大き
くされているので、フロート室47内の水位が上昇し、
ゲート35が開いて流下量が増加し、上流水位は許容上
限水位w2の高さに保持される。流下量の増加の影響
は、下流のゲート35に波及して下流の数区間の水位が
上昇して水が貯溜される。また、下流の全区間において
も貯溜仕切れない場合には、最下流の排水ゲート36が
開いて、余分な水は排水路37に捨てられる。また、こ
のように水の使用量の変化の影響が下流に及ぶ場合に
も、その一方で影響は次々に上流に波及し、最終的には
最上流の取水ゲート33に達して、取水量が減少するの
で、時間がたてば水路の全区間の水位が正常に戻る。
【0041】上記の通り、水路の上流と下流の全区間に
わたって、水が余れば貯溜され、水が不足すれば貯溜量
によって補われるので、水の過不足を解消できる。従っ
て即座に分水を開始し、また何時でも分水を停止する事
ができる。また、このように水路の全区間にわたる貯溜
量を利用できるので、全体的に水位の変化が少なくて済
む。従って、流量が多い場合には、流量の変化が少ない
普通の水路においては、補水口52と注水槽74の高さ
は一定で済む。
【0042】次は、上下限水位補正装置77の作用につ
いて説明する。通常は流量が多い場合には流量の変化が
少ないが、殆どの流量が畑地潅漑に使用されるような場
合には、流量が多くても変化が大きい。また、その中に
水田用水のように、自然分水される分水工が混じってい
ると、水位の変化に弱い。また、水の使用量が激減して
水位が上昇して、セイシュが起る。従って、そのような
場合に備えて、上下限水位補正装置77が用意されてい
るので、流量が多くゲート35の開度が大きい場合に
は、注水槽74の上端と補水口52の高低差を少なくす
る事ができる。従って、当該分水工の水位の変動は極め
て少ないので、分水には支障を来さない。また水位の変
動が少ないので、一区間における調節機能は少なくなる
が、広範囲の区間に分散して調節されるので、かなりの
流量調節機能が残る。また、流量が少なくなれば、個々
の分水工の分水量も少なくなり、分水工の下流の用水路
の水位も低くなるので、水路34の水位が多少低くなっ
ても、分水に支障がなくなり、一方、流量が少なくなる
程水の使用量の変化が大きくなり、従って、より大きな
流量調節機能が必要となるが、ゲート35が閉じるにつ
れて、補水口52の高さが低くなるので、流量調節機能
が増加する。また、ゲート35が閉じるにつれて、注水
槽74の高さも低くなるので、流量調節のために異常に
水位が上昇する場合にも、その上昇の程度は小さく、従
って如何なる場合にもセイシュは起らない。
【0043】次は洪水の場合の作用について説明する。
水路34の或る区間に洪水が流入すれば、その上流のゲ
ート35は次々に閉じて、最後は取水ゲート33が閉じ
て取水量が減少するが、取水ゲート33の最大の開度は
計画開度kであり、取水ゲート33のフロート84の密
閉部85の上端の高さは、計画開度kの状態において、
計画用水位wに等しくされているので、河川32の水位
が計画用水位w以上に上昇しても、閉じる作用には影響
がない。従って、洪水の流入量が更に増加すれば、最後
は全閉状態となり取水は停止される。また、その後本格
的な洪水になれば、サイフォンによって水位検知フロー
ト室に水が注入されるので、取水ゲート33は洪水中は
全閉状態を保つ。また、洪水時になれば各分水工におけ
る分水が停止されるから、全てのゲート35は全閉に近
い状態になるので、上下限水位補正装置77によって注
水槽74の高さは相当に低くされている。従って、洪水
が流入している区間の直下流のゲート35の上流の水位
は、直ちに許容上限水位w2に達してゲート35が開
き、その影響が下流に波及し、各ゲート35が次々に開
いて、最後は排水ゲート36が開いて、洪水の全てが排
水路37に捨てられる。
【0044】洪水の流入量が増加すれば、ゲート35の
開度は徐々に大きくなり、水位も高くなる。ゲート35
の開度が流量調節停止開度に達した状態においては、閉
じるために必要な最小限度の偏心力が残っているので、
上流と下流の水位差が数cmあるが、ゲート35の全体
の重心位置が極力高くされているので、ゲート軸38と
重心を結ぶ線と鉛直線の交角は極めて小さい。従って、
更に流量が増加して、ゲート35が開けば、上流と下流
の水位差が徐々に小さくなり、遂には水位差が消失し
て、自重によってフロート84内の水を吐き出しながら
上昇し、密閉部85の一部が空中に露出し、ゲートアー
ム39が水平となり、ストッパー44に支えられて休止
状態となる。
【0045】洪水が去って流量が少なくなれば、水深が
最も小さくなるのは、取水ゲート33の直下流の水位で
あるが、この段階においては取水ゲート33の上流の河
川32の流域が大きいので、その水位はまだ相当に高
い。従って、サイフォンによって水位検知フロート室に
注水中が続けられているので、取水ゲート33は閉じた
ままであるが、その直下流にある最上流のゲート35の
位置の水位はゲート35の中では最も低く、また最上流
のゲート35のフロート84の密閉部85の高さが最も
高くされているので、洪水が止んで水位が適当に低くな
れば、空中に露出した密閉部85の重さによって、先ず
最上流のゲート35が引き降ろされて堰上げが自動的に
再開される。その結果、下流の流量が激減するので、次
々に下流のゲート35が順次に閉じる。この状態におい
ては、各区間にはまだ多少の洪水が流入しているので、
各々のゲート35の上流の水位は、許容上限水位w2の
状態であり、従って、河川32の水位が低くなって、サ
イフォンによる注水が停止されていても、取水ゲート3
3は開かない。しかし、下流において分水が再開され、
洪水だけでは水量が不足して、いずれかの分水工位置の
水位が計画分水位よりも僅かに低くなれば、その上流の
ゲート35が開いて、その上流の水位が許容上限水位w
2の状態から急速に低下し、計画分水位よりも僅かに低
くなって、その上流のゲートが開き、その影響が次々に
上流に波及して、最後に取水ゲート33が開いて取水が
再開される。
【0046】次はフロート84の導水部86の作用につ
いて補足する。流量が多くなって、流量調節停止開度に
近い状態になると、上流と下流の水位差が小さくなるの
で、フロート室47内の水位の昇降できる高さも極めて
小さくなり、従って通常の手段ではゲートを十分に大き
く動かす事が出来なくなるが、一方においては扉体40
の下方を通過する流速も小さくなるので、相当に大きく
扉体40が昇降しないと、上流と下流の水位は十分に変
化しない。このように、流量が多い場合には水位の変化
が不十分となりがちであるが、本実施例においては、フ
ロート84の導水部86内に下流側の水路34の水が導
入されている。また上記の通り水路34の水位の変化が
不十分である事が前提であるので、フロート84が昇降
してもフロート84内の水面は僅かしか変わらない。従
ってフロート84が昇降しても、これに働いている作動
力は、下流側の水路34の水位が十分に変化し、その結
果フロート室47内の水位が変化しない限り変わらな
い。従って、上下流の水位差が極めて小さくなるまて、
流量を調節できる。
【0047】次はフロート室47とフロート84のすき
間の作用について説明する。ゲート35の開閉に際し
て、動き始めるまでの抵抗は静止摩擦抵抗であるので比
較的に大きいが、一旦動き始めた後の抵抗は動摩擦抵抗
に変わるので抵抗が半減し、一方、フロート84に働い
ている作動力は相当に大きくフロート84が昇降しない
限り衰えない。従って、流量が少なくゲートの開度が小
さい場合には、ゲートが大きく動きすぎて流量の変動が
激変すると言う問題があるが、本実施例においては、フ
ロート84の昇降に伴う上下流方向のフロートの移動を
なくして、フロート室8とフロート84の間のすき間が
極力小さくされているので、フロート84が極めて僅か
に昇降すれば、フロート84の下方とフロート室47と
フロート84のすき間の間を水が移動し、従って、水面
がフロート84と反対方向に移動して、フロート84に
働いていた作動力が消失するので、フロート84の一回
当たりの動きが極めて小さくなる。従ってゲート35の
動きが円滑となる。
【0048】
【発明の効果】本発明にかかる装置は、水位検知フロー
トを下流側水路と通じる遊水池に設置して、ばねを介し
て水位検知フロート用アームに垂下し、水位検知フロー
ト用アームの長さおよび回動角に対応して狭窄弁を上・
下に移動させてフロート室内の水を流下・停滞させてフ
ロートと連動する扉体を操作する。また、ばねの支点が
扉体と連動する。一方、フロート室内へは補水口または
注水槽から水を導入し、その高さは扉体と連動する。し
たがって、水位検知フロートが下流水位に沿って喫水線
が調節されるので、下流の水の使用状況に応じて送水
し、また流量に最も適した水位にすることができ、なお
その水位も個々の分水工の実情に応じた選択ができ、更
に洪水を安全に流下させることができる。しかも従来の
ゲートと比べ図9に示すような水理学上のカーブを有す
る溝を設けたガイド板、矩形板を必要としないので構造
が極めて簡単である。また、流下量が極端に多い場合や
少ない場合でも補水筒および注水槽の高さを調節するの
で迅速・確実にゲートを操作することができる。また、
水路の管理も無人無動力化することができるので、水資
源が逼迫し省エネルギーと人手不足が社会的な問題とな
っている現状において、誠に時宜を得た発明であると考
える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例の水路のその前後を含めた
全体の縦断断面図である。
【図2】実施例のチェックゲートの平面図である。
【図3】実施例のチェックゲートの流量の調節を停止
し、或いは開始する限界状態を示す側断面図である。
【図4】実施例のチェックゲートの全閉状態を示す側断
面図である。
【図5】本発明による実施例のチェックゲートの動作特
性を示すグラフである。
【図6】従来の水路用のゲートを示す側断面図である。
【図7】従来の分水の上流水位を一定に保持するゲート
の側断面図である。
【図8】従来の、ゲート制御装置のフロート室からの流
出機構を示す部分図である。
【図9】従来の各分水工間の水位差を一定に保持するゲ
ートを示す側断面図である。
【符号の説明】
34 水路 40 扉体 46 静水池 47 フロート室 48 遊水池 51 補水筒 52 補水口 55a 流出口 57 水位検知フロート 59 狭窄弁 61 漏洩口 63 ばね 67 水位検知フロート用アーム 74 注水槽 78 補水筒用アーム 79 注水槽用アーム 84 フロート w1 許容下限水位 w2 許容上限水位

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水路を横断させて設けた扉体と、該扉体
    と連動するフロートとを有し、該フロートを収納するフ
    ロート室内は、小さな補水口を介して扉体の上流側水路
    と連通させると共に、漏洩口および比較的に大きな流出
    口を介して扉体の下流側水路に設けた遊水池と連通さ
    れ、前記遊水池に水位検知フロートを浮かべ、該水位検
    知フロートに連設した狭窄弁を前記流出口に進退自在に
    臨ませ、前記扉体と連動して回動する水位検知フロート
    用アームに、前記水位検知フロートをばねを介して懸垂
    させたことを特徴とする用水路用流量応答ゲート。
  2. 【請求項2】 前記補水口は、フロート室内に開口し扉
    体の上流側水路に設けた静水池に立設する補水筒の側壁
    に許容下限水位の高さに穿設し、前記静水池には、フロ
    ート室内と連通する、許容上限水位よりも僅かに低い高
    さに上端を有し、比較的に大きな堰からなる注水槽を設
    置したことを特徴とする上記請求項1に記載の装置。
  3. 【請求項3】 補水筒と注水槽とが、それぞれ扉体と連
    動して回動する補水筒用アームと注水槽用アームにより
    懸垂されたことを特徴とする上記請求項1に記載の装
    置。
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