JPH06272232A - 余水吐用ゲート - Google Patents

余水吐用ゲート

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JPH06272232A
JPH06272232A JP8542093A JP8542093A JPH06272232A JP H06272232 A JPH06272232 A JP H06272232A JP 8542093 A JP8542093 A JP 8542093A JP 8542093 A JP8542093 A JP 8542093A JP H06272232 A JPH06272232 A JP H06272232A
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JP
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water
gate
rod
water level
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JP8542093A
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Inventor
Kunikazu Aragata
国和 荒ケ田
Kouji Shitami
広司 下見
Hirokatsu Uchida
浩勝 内田
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Hokoku Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Hokoku Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 無人、無動力の余水吐用ゲートを簡易な構造
にし、小型化させ、応答性を良くする。 【構成】 フロート7と扉体3とを連動したゲート1に
おいて、ロッド11にフロート室6内を上流水路に連通す
る開口と下流水路に連通する流出口9とのいずれか一方
を閉じる弁体12を固定し、また、下流水位検知フロート
14を弁体12の側方に位置してロッド11に取付け、ロッド
11の上下動を側壁に固定したカム機構16により抑制し
た。また、ロッド11を上流水位検知フロート38と連動さ
せた。流出口9を低く配設できて、フロート7の上下動
範囲を大きくできるので、フロート7を小さく、応答性
を良くすることができる。また、上流水位検知フロート
38により洪水時後のゲート1の復帰が自動になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、用水路に使用される無
人、無動力の余水吐用ゲートに関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、灌漑に利用される水路に洪水時等の
対策として放水路を分岐して余剰の流水を放水するよう
にしている。この放水路には手動のゲートが設けられる
が、自動のゲートが設置されることが望まれている。し
かるに、余水吐用ゲートは、水路の最も重要な安全施設
であるが、洪水は突発的に起こり、また台風等、洪水時
には、停電を伴う事が多いので、是非とも無人、無動力
化する事が必要である。設置するゲートの参考となるも
のは、例えば、図5に示すように、頭首工に使用される
土砂吐用ゲートがある(特願平1−190345号参
照)。
【0003】このゲート1は、水路2を横断して扉体3
を設け、水路側方に、扉体3の上流側水路と連通する静
水池4と、下流側水路と連通する導水池5とを設置し、
静水池4と導水池5との間にフロート室6を配置して扉
体3と連動するフロート7を収容したものである。フロ
ート室6は、静水池4内の堰の機能を持った注水槽8を
介して上流側水路に通じ、オリフィスの機能をもった流
出口9を介して下流側水路に通じている。また、フロー
ト7内の上部(導水部)は可撓管10により静水池4と連
通している。
【0004】上記の構成によって、上流水位に応じてフ
ロート7内への流入量が増減することを利用して、ゲー
ト1を操作している。すなわち、扉体3が閉じた状態の
とき、上流水位が高くなり流量が過大になるとフロート
7の上昇に連動して扉体3が上昇する。また、上流水位
が低くなればフロート7と共に扉体3が下降して流量を
抑え上流水位を一定に保持するものである。
【0005】また、導水池5の内部の構成を詳しく説明
すると、流出口9は管路によって構成され、管路は導水
池5内において上下方向に分岐して横向きのT字状を呈
し、上方下方に開口している。そして、この管路を貫通
してロッド11が配設され、流出口9の下側分岐路の開口
の下方に位置して弁体12がロッド11に装着され、上側分
岐路に位置してパッキン13がロッド11に装着されてい
る。また、流出口9の上方のロッド11の中間部に下流水
位検知フロート14が取付けられ、さらに、ロッド11の上
端にピン15を固着している。ピン15は側壁に固定したカ
ム機構16によって支持されロッド11の上下動を抑制する
ようになっている。
【0006】カム機構16は、側壁に設けた固定板17に取
付けたカム軸18と、カム軸18に回動自在に設けたカム板
19と、固定板17とカム板19との間に張設しカム板19の位
置を規制するばね20とからなり、カム板19にカム溝19a
を形成して前述したピン15を係合させている。
【0007】洪水時には、ゲート1からの流量が多く下
流水位検知フロート14に働く浮力により、弁体12が上昇
し流出口9が閉塞される。このため、フロート室6内の
水位が上り、フロート7内の水がフロート室6内に移動
し、フロート7の上昇に伴って扉体3が上昇する。そし
てゲート1が開き続け、休止状態になる。その後、洪水
が去り、下流水位検知フロート14が下降すれば流出口9
が開き、フロート室6内の水位が低下し、フロート7も
下降するので、再び、ゲート1を閉じて堰上げを始める
ことができる。
【0008】上記に示した土砂吐用ゲートの他、図6に
示すように、洪水吐用ゲート(特願昭63−32666
9号参照)が余水吐用ゲートに対して最も構造的に参考
になる。このゲート1は、注水槽8の下部に連接した導
水管21がフロート室6を貫通し、導水池5に延びてい
る。フロート室6内に位置する導水管21の中間部には可
撓管10が分岐し、その他端はフロート7の下面に接続さ
れ、フロート7内の導水部と連通している。導水管21の
末端は、フロート室6内に通ずる制御箱22の底面に開口
し、制御箱22の頂面に流出口9が穿たれており、制御箱
22内に内蔵された弁体12が、ロッド11を介して流出口9
の上方の下流水位検知フロート14と連結している。ま
た、ロッド11の上部には前述したピン15およびカム機構
16が設けられている。
【0009】したがって、常時においてはロッド11が下
降して、弁体12によって導水管21の開口部が閉塞され、
流出口9が開放される。また、フロート室6が空の状態
で、フロート7の下部の密閉部が露出しているので、ゲ
ート1は全閉状態を保つが、洪水になれば、弁体12が上
昇し、流出口9が閉塞され、フロート室6内に上流河川
の水が流入するので、ゲート1が全開し、休止状態とな
るものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の土砂
吐用ゲートは、法令により、一般的に土砂吐用ゲートの
経間を大きくしているために、ゲート1が休止状態にな
った場合に、上流水位が著しく低くなり、フロート7の
密閉部の上端が空中に露出すると、それ以上ゲート1が
開かなくなるので、フロート室6になるべく大量の水を
供給するために、フロート7内の水が移動する構造にし
てある。
【0011】しかしながら、余水吐用ゲートの場合に
は、放水路の底面は掘り込まれ、ゲート1が休止状態に
なった場合の水深は十分に取れるので、フロート7内の
水を使用する必要がなく、したがって、土砂吐用ゲート
は、余水吐用ゲートとしては構造が複雑過ぎると云う問
題があった。
【0012】また、後者の従来技術は、流出口9および
導水管21の開口部の開閉に伴って、弁体12にかかってい
る水圧が変化するので、一気に開閉しないと云う問題が
あった。
【0013】さらに、頭首工の場合には、極めて一部が
取水されるだけで、流量の殆どがゲート1から放流され
るので、ゲート1が休止状態になる時の下流水位は、比
較的に高い。したがって、従来技術においては、下流水
位検知フロート14が、流出口9の上方に装着されてい
る。しかしながら、余水吐用ゲートの場合には、休止状
態に移る直前においては、流量の一部が放水されている
だけであるので、下流水位が極めて低い。したがって、
下流水位検知フロート14の上方に流出口9を設ける必要
があるが、全閉状態において、フロート7の下端は流出
口9よりも高くなければならないので、フロート7の昇
降できる高さが小さく、したがってフロート7が大きく
なり、不経済であると言う問題があった。
【0014】なお、用水路はなるべく多くの耕地に灌漑
するために出来たものであり、山麓に延びていれば、洪
水時には山腹から排水が水路に流入することになる。こ
のため、なるべく多くの水量を放出するために、この箇
所に設置する余水吐用ゲートの放水路の底面と放水路に
接する用水路の底面は、極力、低くするように構成され
る。ところが、この場合、放水路に分岐する余水吐用ゲ
ートの上流水位は、洪水中になって余水吐用ゲートが休
止状態に移る時よりも、洪水が去って余水吐用ゲートが
閉じる時の方が著しく高いので、上流水位にも注目する
ことが必要である。
【0015】本発明は、扉体の制御構造をより簡単に、
小型化させ、応答動作を良くし、また、上流水位および
下流水位を検知して作動する余水吐用ゲートを提供する
ことを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、水路を横断して扉体を設け、該扉体の上
流水路と堰の機能を持った注水槽を介して連通するフロ
ート室を設けると共に、前記上流水路と可撓管を介して
連通するフロートを前記フロート室に収容し、前記フロ
ートと前記扉体とを連動したゲートにおいて、下流水路
に通じる水中に前記フロート室内に連通する制御箱を設
け、該制御箱の頂面に流出口を穿つと共に、底面に上流
水路に通ずる導水管の開口を形成し、前記流出口にロッ
ドを上下動自在に挿通し、前記制御箱内に内蔵した前記
流出口または前記開口を閉じるための弁体を前記ロッド
に取付け、前記制御箱の側方に配した下流水位検知フロ
ートをロッドアームを介してロッドに連結し、前記ロッ
ドの上部に固着したピンを側壁に固定したカム機構に連
結して前記ロッドの上下動を抑制したことを特徴とす
る。なお、流出口の位置を極力低くするのが好適であ
り、また、下流水位検知フロートの位置は調節自在にし
ておくと良い。
【0017】また、上記装置において、ロッドの中間部
位置に、該ロッドを取り囲み上流水路に通ずる上流水位
検知フロート室を設け、該上流水位検知フロート室に収
容した上流水位検知フロートを前記ロッドに取付けたこ
とを特徴とする。
【0018】
【作用】本発明によるゲートは用水路から分岐する放水
路に設置することによって、洪水時以外の状態におい
て、弁体が下降し、制御箱の底面の開口部が閉塞され、
流出口が開放されているので、上流水位が所定の高さ以
下であれば、フロート室が空になって、ゲートは全閉状
態を保ち放流しないようになっている。用水路中の流水
量が増え、上流水位が所定の高さよりも僅かに高くなれ
ば、フロート室内に注水槽から水が流入してフロート室
の水位が上昇する。これにより、ゲートが開いて水を放
流するが、注水槽により上流水位が一定に抑えられるの
で、下流水路への流下量は一定となり、放水路からは余
剰水が捨てられることになる。
【0019】洪水時には、ゲートが開き休止状態(ゲー
トが開き切って空中に静止している状態)になる。以下
にこれを説明する。余剰水量が多くなってゲート下流の
水位が所定の高さになると、フロートにより弁体が上昇
し始める。それと同時に、弁体にかかっていた水圧が減
少し、パッキンにかかっていた水圧も減少する。また、
カム機構のばねの作用で弁体が一気に上昇し、流出口が
閉塞される。その結果、導水管から制御箱を通ってフロ
ート室に上流水路の水が流入し、フロート室の水位が上
昇して上流水路およびフロート内と等しくなり、ゲート
が開き始め休止状態になる。
【0020】ところで、フロートの下部は密閉されてい
るが、その上端の高さは、休止状態において、再び閉じ
る直前の上流水位よりも高くすることはできない。ま
た、フロート室の底面は経済的な理由と土砂の堆積を防
止するために、頭首工や水路の底面よりも、余りに深く
掘り込めない。したがって、ゲートが再び閉じる直前の
上流水位と水路の底面の高低差によって、フロートの上
昇高さが制約されるが、余水吐用ゲートの場合には、な
るべく小さな幅のゲートで、なるべく多く放水するため
に、放水路の底面は極力掘り込むのが普通であるので、
ゲートが閉じる直前の上流水位と放水路の底面の高低差
が十分に大きい。したがって、上流の水路から水を供給
しても、フロートが十分に大きく働いて休止状態にな
る。
【0021】洪水が去り、休止状態からゲートを閉じる
には、ロッドを人為的に押し下げることによる。流出口
の位置は下流水位検知フロートと競合せず、したがっ
て、流出口の位置を十分に低くすることができるので、
フロートの動作範囲を十分大きくすることができる。
【0022】また、上流水位検知フロートを装着したも
のにあって、洪水が去り上流水位が低くなって所定の高
さになると、上流水位検知フロートが露出し、カム機構
の抑制力が逆方向になり弁体が下降し制御箱の底面の開
口部が閉塞される。したがって、ゲートが閉じられ上流
水位が極めて正確に維持される。下流水位検知フロート
の高さが摩擦抵抗の大きさに応じて多少異なるが、ゲー
トが閉じる直前においては、流下水量の殆どが放流され
ている状態であるので、ゲートの下流の水位は極めて高
く、したがって下流水位検知フロートは、全体が水没し
ているので、抑制力の調節には無関係である。
【0023】したがって、上流水路の水位が下がり所定
の高さになると、弁体が一気に下降し、流出口が開放さ
れ、導水管の開口部が閉塞される。これによりフロート
室内の水位が低下し、フロートの密閉部が空中に露出
し、ゲートが閉じて放流を停止することになる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。なお、構造的に、ゲートが樋管に接続される
時には稀にローラーゲートが使用されることがあるが、
経済性の面から通常はラジアルゲートが使用されるの
で、ラジアルゲートを使用したものについて説明する。
【0025】図1および図2に示すように、水路2から
分岐した放水路2aの上流端近くに設けたゲート1は、放
水路2aの底面を極力低くし、水路2の分岐点付近の底面
も同様に掘り込み、ゲート1の動作を容易にしている。
ゲート1の扉体3は円弧状で、放水路2aを全幅にわたっ
て横断し、一対のアーム23の先端に固着され、アーム23
の中程に固着された水平な主軸24が、一対の主軸受25に
回動自在に保持されている。
【0026】また、アーム23の下流端近くにレール26が
直角に固着され、これにカウンターウエイト27が、重さ
と高さが調節自在となるように装着されている。なお、
休止状態においては、アーム23の下流端近くが、下方か
らストッパー28に支持され、水平に姿勢を保つようにな
っている。さらに、主軸24から上流に向けて、フロート
アーム29が突き出し、その先端には、インボリュート面
を持った溝29a が切られている。
【0027】フロートアーム29の先端の溝に緩く嵌合さ
れたローラー30を介してフロート7が懸垂され、フロー
ト室6内に収納されている。
【0028】水路2の放水路2aの分岐点より上流の、水
路2の底面が掘り込まれていない区域と静水池4とを連
通し、静水池4内の水面よりも僅かに下方に、上向きに
開口するように堰の機能を持った注水槽8を設置し、注
水槽8の下部はパイプを介してフロート室6内に開口し
ている。
【0029】また、静水池4内の水中に開口する導水管
21がフロート室6を貫通して導水池5に延びており、そ
の中間部のフロート室6内に臨んだ部分から可撓管10が
分岐し、可撓管10の他端はフロート7の上部の導水部7a
内に開口している。また、フロート7の下部は密閉さ
れ、密閉部7bが形成されている。
【0030】フロート室6の下流に、ゲート1の下流の
放水路2aに通ずる導水池5内に、開閉制御装置31の制御
箱22が設けられ、その底面に導水管21の末端の横向きの
T字状の上端が開口し、また制御箱22の中程の部分に通
水管32が開口し、その他端はフロート室6内に開口して
いる。また、弁体12が内蔵され、頂面に流出口9が穿た
れている。
【0031】弁体12はロッド11に固着され、ロッド11の
下部には、導水管21の下方の開口部を閉塞するパッキン
13が固着されている。また、ロッド11の上部には軸受33
が挿通され、ロッド11を摺動自在に支持すると共に、ロ
ッド11の軸の向きを規制している。軸受33より上方には
ロッド11からピン15が突設され、側壁に固定したカム機
構16と連係し、ピン15はカム軸18に回動自在に支持され
たカム板19のカム溝19a に嵌合されている。また、カム
板19に突出したアーム部34の先端と固定板17の最寄りの
位置との間にばね20を張設している。
【0032】また、ロッド11の下端に、側方に延びる二
又ロッド(ロッドアーム)35が装着され、これに一対の
下流水位検知フロート14が調節自在に装着されるので、
流出口9の位置は下流水位検知フロート14の動作に関係
なくどの位置にも設置することができ、十分に低くされ
ている。また流出口9の上方に、連通管36を介して静水
池4に通ずる上流水位検知フロート室37が設けられ、ロ
ッド11がその底面を貫通し、ロッド11に上流水位検知フ
ロート室37内に収納された上流水位検知フロート38が装
着されている。ロッド11の貫通部分には、シール39が施
されている。
【0033】次に、フロート姿勢保持装置40について説
明する。フロート室6の上流側の中心線上に鉛直に立て
られた支柱41に摺動自在に保持された一対の軸受42が、
フロート7に鉛直に立てられた腕金43に固着され、一対
の軸受42の高さは、前記のローラー30を中心にして、上
下対称となっている。
【0034】次に、構成の詳細について説明する。フロ
ート7内とフロート室6内の水位が同じであれば、ゲー
ト1が最後まで開いて休止状態となるように、カウンタ
ーウエイト27の重さが調節され、その高さは、全閉に近
い状態において、水圧に抗して開くように、適当に低く
されている。
【0035】開閉制御装置31は、上流水位が所定の高さ
になった時に弁体12が下降するように、カム軸18とばね
20の距離が調節され、また下流水位が所定の高さになっ
た時に弁体12が上昇するように、下流水位検知フロート
14の高さが調節されている。また、流出口9の大きさ
は、ゲート1の開閉速度を考慮して、十分に大きくさ
れ、さらに注水槽8の大きさは、越流水深の変化による
水位の変動を考慮して、十分に大きくされている。ま
た、フロート7の密閉部7bの上端の高さは、ゲート1が
休止状態から全閉状態に移る時の水路2の上流側の水位
と一致するようになっている。
【0036】次に、作用について説明する。水路2水位
が、設計水位以下であれば、弁体12が下降して流出口9
が開放され、一方、注水槽8からの流入がないので、フ
ロート室6が空になり、フロート7の密閉部7bが空中に
露出しているので、ゲート1が全閉しており、ロッド11
が上流水位検知フロート室37の底面を貫通する部分には
シール39が施され、また、導水管21の開口部も弁体12に
より閉塞されているので、常時は放水路2aに放流される
水量は全くない。
【0037】水路2の流量が設計流量以上になり、水路
2の水位が高くなれば、注水槽8からフロート室6内に
水が流入し、フロート室6の水位が上昇するので、ゲー
ト1が開いて、余剰量が放水路2aに放水され、したがっ
て水路2の流下量が一定以下に抑えられる。
【0038】下流水位検知フロート14の高さが調節され
ているので、水路2の水位が所定の高さになると、下流
水位検知フロート14に働く浮力により、ばね20の抵抗に
抗して、弁体12が上昇を始める。
【0039】それと同時に、弁体12に働いていた上向き
の水圧が減少するが、同時にパッキン13に働いていた下
向きの力も減少するので、その影響は相殺される。ま
た、弁体12が上昇するにつれて、ばね20の抵抗が減少す
るので、弁体12が一気に上昇して、導水管21の開口部が
開放され、流出口9が閉塞される。
【0040】したがって、水路2の水が、静水池4と導
水管21を通じてフロート室6内に流入し、フロート室6
内の水位が、フロート7内の水位と等しくなるので、ゲ
ート1が開き始める。その結果、水路2の水位が低下す
るが、フロート7内とフロート室6内の水位が共に低下
するので、ゲート1は開き続け、扉体3が空中に飛び出
し、アーム23がストッパー28に圧着されて、ゲート1は
休止状態となる。
【0041】したがって、水路2の下流に流下する流量
が、著しく減少するので、水路2の下流において、山腹
から洪水が流入しても、水路2は安全である。流量が減
少し、水路2の水位が低下しても、密閉部7bの上端の高
さが、十分に低くされているので、密閉部7bが露出し
て、洪水中にゲート1が閉じることはない。
【0042】洪水が去り、見回りを終えて、再び水路2
の流量を増加させる場合には、ロッド11を人為的に押し
下げればゲート1が閉じるが、流出口9の位置が十分に
低くされているので、フロート7の密閉部7bは最後まで
水没せず、ゲート1は全閉する。その後において、手を
離してもゲート1は開かないので、上流水位検知フロー
ト38がなくても相当な価値がある。
【0043】本実施例においては、上記の通りに、下流
水位検知フロート14の高さを調節するので、摩擦抵抗の
大きさによって、下流水位検知フロート14の高さが違っ
て来るが、ゲート1が閉じる直前には、流量の大半が放
流されるので、放水路2aの水位は高く、したがって下流
水位検知フロート14は全体が水没している。したがっ
て、下流水位検知フロート14の高さは、閉じる時の水位
に影響がないので、閉じる時の水位の調節を先に行なえ
ば、調節は一回で終わる。
【0044】洪水が終わりに近付いて、水路2の水位が
低下すると、徐々に、上流水位検知フロート38が空中に
露出し、水位が所定の高さまで低下すると、弁体12が下
降し始め、弁体12に働いていた上向きの水圧が減少して
も、パッキン13によって影響が相殺され、また、ばね20
の作用があるので、一気に弁体12が下降し、導水管21の
開口部が閉塞され、流出口9が開放されて、フロート室
6内の水位が低下し、フロート7の密閉部7bが空中に露
出して、その重さによってゲート1が閉じ始めるが、流
出口9が十分に低くされているので、最後まで密閉部7b
は水没せず、一方,閉じるにつれて導水部7a内に水が流
入するので、ゲート1が全閉して放水が止まり送水が開
始される。
【0045】一対の軸受42の平面位置が、支柱41により
規制されているので、フロート7の位置とあらゆる方向
の傾きが規制される。また、ゲート1の開閉に伴って、
フロートアーム29とローラー30の間の摩擦抵抗のため
に、フロートアーム29により、上下流方向の力がフロー
ト7に加えられるが、軸受42がローラー30を中心にして
対称に配置されているので、軸受42と支柱41の間の摩擦
力は最小限度で済む。
【0046】
【発明の効果】本発明は以上のように構成したものであ
るので、注水槽の位置によって上流水位を決め、余剰の
水を放流するゲートとすることができる。また、流出口
の位置と下流水位検知フロートとの位置は互いに側方に
配置したので、下流水位検知フロートの昇降動作範囲に
影響されず流出口の位置を十分に低くすることができ
る。これにより、フロートの下降距離を大きくすること
ができ、したがってフロートを十分に小さくできる。
【0047】洪水時には、カム機構によりゲートを素早
く休止状態にすることができ、また、休止状態からは、
人為的にカム機構を操作し、簡単にゲートを閉じること
ができる。また、上流水位検知フロートを装着したこと
により、上流水位が低くなって所定の高さになると、カ
ム機構と協働して自動的にゲートを閉じ所定の高さの上
流水位に維持することができる。また、必要に応じて、
自動的に堰上げを再開することもできるという利点があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例の余水吐用ゲートの側断面
図である。
【図2】図1に示す余水吐用ゲートの平面図である。
【図3】図1に示す余水吐用ゲートのカム機構の側面図
である。
【図4】図1に示す余水吐用ゲートの下流水位検知フロ
ートの側断面図である。
【図5】従来の土砂吐用ゲートの側断面図である。
【図6】従来の洪水吐用ゲートの側断面図である。
【符号の説明】
1 ゲート 2 水路 3 扉体 6 フロート室 7 フロート 8 注水槽 9 流出口 10 可撓管 11 ロッド 12 弁体 14 下流水位検知フロート 15 ピン 16 カム機構 21 導水管 22 制御箱 35 ロッドアーム 37 上流水位検知フロート室 38 上流水位検知フロート

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水路を横断して扉体を設け、該扉体の上
    流水路と堰の機能を持った注水槽を介して連通するフロ
    ート室を設けると共に、前記上流水路と可撓管を介して
    連通するフロートを前記フロート室に収容し、前記フロ
    ートと前記扉体とを連動したゲートにおいて、下流水路
    に通じる水中に前記フロート室内に連通する制御箱を設
    け、該制御箱の頂面に流出口を穿つと共に、底面に上流
    水路に通ずる導水管の開口を形成し、前記流出口にロッ
    ドを上下動自在に挿通し、前記制御箱内に内蔵した前記
    流出口または前記開口を閉じるための弁体を前記ロッド
    に取付け、前記制御箱の側方に配した下流水位検知フロ
    ートをロッドアームを介してロッドに連結し、前記ロッ
    ドの上部に固着したピンを側壁に固定したカム機構に連
    結して前記ロッドの上下動を抑制したことを特徴とする
    余水吐用ゲート。
  2. 【請求項2】 ロッドの中間部位置に、該ロッドを取り
    囲み上流水路に通ずる上流水位検知フロート室を設け、
    該上流水位検知フロート室に収容した上流水位検知フロ
    ートを前記ロッドに取付けたことを特徴とする請求項1
    記載の余水吐用ゲート。
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