JP3896531B2 - 取水及び魚道併置型ダム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
従来からダムを構築するときには、魚道を併設することが勧められている。また、本来のダム貯溜水の取水設備として、取水ゲート、制水ゲート等が設けられており、魚道または取水ゲート、制水ゲート等は独自に開発されて来た。本発明は、取水設備と魚道とを備えた取水及び魚道併置型ダムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高堤高のダム(高ダム)の取水設備として、ダム貯溜水の水深が深いことを利用し、貯溜水質を確保する目的で、貯水池の上層(貯水池表面より温水、清水を取水)、中層(冷水、洪水時の濁水対策のため)、下層(洪水時の濁水対策と富栄養化の対策としての取水)の各層より必要に応じ任意の水位から取水する選択取水装置を併設することがある。
【0003】
従来、選択取水装置には直線多段式ゲートや半円形多段式ゲートがある。これらは扉体を鉛直方向に連続に設置してゲートを構成するもので、任意の扉体の間を開放して取水が行えるようになっている。例えば、図25、図26に示すように、堤体1の上端には開閉装置2が2基設けられ、開閉装置2の各ドラム3に巻回されたワイヤ4は垂下されて5段の扉体a,b,c,d,e(以下、a,・・)のうち扉体a,扉体eと接続されている。また、扉体(a,・・)の貯水池側にスクリーン5が張設されている。また、開閉装置2は貯水池側に突出した一対のピア6の上部に設けられ、一対のピア6の内側には戸当り7が形成され、扉体(a,・・)を支持している。なお、符号8は制水ゲート、符号9は保安ゲートである。
【0004】
このようなダムから取水するには、一例として、上層の取水は開閉装置2により扉体全体(a,・・)を降下させる。中層の取水は扉体a,b,c,dを中層取水位置まで下げ、ここから取水する。また、下層の取水は一番下の扉体eを上方へ動かし土木構造物上面と扉体eの下端の空間部より下層取水する。なお、水位が低下する場合は、扉体aを越流水深を一定に保ちながら下げ、上層取水をする。
【0005】
一方、ダムに併設する魚道には、一例として、固定型階段式魚道がある。これは魚道に隔壁を一定間隔に複数設置し、遡上に適した勾配にしたものであり、魚道の水面が階段式形状になる。したがって、魚道の勾配が緩く、高ダムの場合には魚道の通路長が長くなるので設置スペースを十分に確保する。図27に示す魚道は固定型階段式魚道10を使用したものであり、上流側にパワーシュート式魚道11が設けられ、操作室12には制水ゲート8、予備ゲート13を作動させる開閉装置2が設けられている。この魚道はダム貯水池14の水位変動があってもパワーシュート式魚道11の勾配が自動的に変化するので、魚類の遡上を妨げることがない。
このほかダムに設置する魚道として、魚類を収容する搬送ケージをワイヤで吊り下げ、搬送ケージを昇降させて魚類の遡上の支援をする装置(索道式、エレベータ式)等がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、高ダムに魚道設備を備えることは、特願平8−334729号によって提案されているところであるが、この魚道設備は堤体内に固定型階段式魚道を設け、連続してエレベータ式魚道を組み合わせたものである。この魚道設備によれば、貯溜水面の水位変動が大きくても、魚類の遡上、降下を支援することができるものである。
しかしながら、ダム本来の取水設備については、別の箇所の架構によって組み付けるものであるので、魚道設備を各々別々に構築すると工事期間が増長され、工事費用が嵩む等の問題が生じてくる。そこで、取水設備と魚道設備の共通部分を利用し、工事短縮、経費節減を図ろうとするものである。
【0007】
本発明は、高堤高のダムにおける取水及び魚道併置型ダムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ダム堤体の貯水池側に突出するピアを設け、該ピアに支持して魚搬送用ケージを収容し昇降可能な閉断面通路体および開断面通路体をそれぞれ鉛直方向に並設し、
前記閉断面通路体の通路下端はダム下流に開口する堤体内魚道に接続し、上端は前記ピア上に設けた操作室に連絡させ、
前記開断面通路体の通路下端はピア下部のコンクリート基礎床版に固定され、上端は前記操作室に連絡し、前記操作室内に設けた巻上走行装置を介して両者の通路を連絡し、
前記ピアに支持して取水ゲートを併設し、該取水ゲートの取水部の一部流水を前記堤体内魚道に流下させたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、取水ゲートの取水部に、自動定流量装置を介して堤体内魚道の入口に流水を噴出させる呼び水配管を接続すると共に、堤体内魚道の上流側に設けた鋼製減勢工に連絡する導水管を接続したことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、貯水池水面に接する開断面通路体には左右側構面にフローチングブロックを昇降自在に接続させ、フローチングブロックには照明ランプ、フラッシング散水等の集魚装置を搭載させ、また、魚搬送用ケージの下流側側壁扉には水平噴射水の発生装置を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、ダム堤体の貯水池側に突出する一対のピアを設け、該ピア間に取水ゲートを設けると共に、一方のピアに支持して魚搬送用ケージを収容し昇降可能な閉断面通路体を鉛直方向に並設し、該閉断面通路体の通路下端はダム下流に開口する堤体内魚道に接続し、上端は前記ピア上に設けた操作室に連絡させ、
他方のピアに支持して魚搬送用ケージを収容し昇降可能な開断面通路体を鉛直方向に並設し、該開断面通路体の通路下端はピア下部のコンクリート基礎床版に固定され、上端は前記操作室に連絡し、前記操作室内に設けた巻上走行装置を介して両者の通路を連絡し、
前記取水ゲートの直前にL字状壁面を構築すると共にL字状バイパス水路を形成し、該バイパス水路内に前記開断面通路体を収容し、バイパス水路下流端に水位変動に追従する水中ミキサーポンプを配設したことを特徴とする。
【0012】
以上のように、高ダムを対象にした魚道では、高低差に対処することと上流側の水位変動の影響を受けないようにすることで、本案では、堤体内に固定型階段式魚道を設けることで設置スペースを外部地面に求めず、さらにエレベータ式魚道と巻上走行装置を合体することで、上昇、横行、下降という逆U字状の経路を魚搬送用ケージが移動し、変動する高所との往復を可能にしている。また、降下魚用として、上流側にフローチングブロックを配設し、魚搬送用ケージを貯水池水面に停止させた状態で、散水または水平ジェット流により集魚を容易にさせている。
さらに、選択取水設備を併設したことにより、施工の共通部分があるので、互いに重機を共用でき、また、保守点検箇所が隣どうしになるので効率が良くなる。また、魚の誘引に効果のある流れが取水により発生し、温水取水により魚の生態系に適応できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
まず、図1ないし図3を参照して高ダムの概要を説明する。
図1、図2に示すように、高ダムを構成する堤体1の貯水池14側に突出したピア6上部に操作室12が設けられ、その内部に設置した開閉装置2により、取水ゲート15を開閉させるようになっている。
取水ゲート15は図7、図8に示すように、半円形多段式であり、実施例では断面半円形の扉体a,b,c,d(4段)を使用している。取水ゲート15の周囲にはスクリーン架構16が設けられ防塵スクリーン17を設置している。なお、符号16aは保守点検用足場である。
【0014】
また、図4、図5、図7に示すように、堤体1内には取水ゲート15とピア6との内側下部に、下流に向けて配設された利水放流管18が開口され、制水ゲート(修理用ゲート)8が取り付けられている。この制水ゲート8は操作室12内の巻上機2bで作動させる。また、ピア6下部の外側に設けた保安ゲート9は、操作室12に配置した巻上機2cにより昇降される(図10参照)。
そして、利水放流管18の下流側には連続して放流水路19が形成され、利水放流管18と放流水路19の接続部に利水放流設備20が設けられ、主ゲート21、副ゲート22が備えられている。
【0015】
通常、制水ゲート8は操作室12床面下の休止フックにより吊下げられ、取水部下流に設けた利水放流管18および利水放流設備20、放流水路19の保守、点検を行う場合に休止位置より巻下げ、利水放流管18の呑口を閉塞する。
保安ゲート9は、取水部の内外水位差が設計値より大となったときに自動的に開放するゲート9aを内蔵している。内外水位差が規定値になると自動的に閉め切られ設計水位差を維持する。また、符号26は低水位取水ゲートである。
なお、利水放流設備20の保守、点検時に、河川維持用水を確保するため、主・副ゲート21,22を迂回するバイパス管23(図5、図9参照)が並設されている。また、バイパス管23に主・副バルブ24,25が設けられている。なお、図4、図5の符号54は空気管である。
【0016】
また、高ダムには取水ゲート15のほか、魚道が設けられているのでその概要を図1ないし図3に基づいて説明する。
【0017】
図1、図2に示すように、堤体1内に断面矩形状の固定型階段式魚道10が形成され、階段式魚道10の魚道入口は高ダム下流の減勢工27の上流側に位置し、減勢工27の導流壁にある角度を持って堤体1内に進入している。また、減勢工27の下流に副ダム28が設けられトンネル部に水流が形成される。なお、階段式魚道10を円形内張り鋼管で形成することで施工費を抑えることができる。また、階段式魚道10には平行して呼び水用配管29を配設し、魚道入口で呼び水を吐出させる。
【0018】
また、魚道入口近傍には魚道用制水ゲート30が設けられ、さらに上流で水路(魚道)を弯曲させ、上流に向かって直線上の水路を形成させている。さらに水路は、2か所の弯曲部を経て堤体1内の中央下部に配した集魚槽31に連絡されている。また、この階段魚道は一定間隔で隔壁32を設け、魚道勾配は魚の遡上に適した角度とし、全長にわたって天井に一定間隔で照明ライト33が設置されている。集魚槽31の上流側は、取水ゲート15に並設した搬送用円形通路(閉断面通路体)34の下部の基礎コンクリートに形成した垂直通路35(図4参照)と連絡されている。すなわち、円形通路34および垂直通路35は、図2、図7(a)に示すように、取水ゲート15の内側内部の中心部に位置して鉛直に設けられ、通路内を魚搬送用ケージ36が昇降するようになっている。なお、階段式魚道10の円形通路34下部に至るルートは堤体強度を勘案し決定される。
【0019】
図1、図4に示すように、垂直通路35の下部側面には集魚槽31が設けられ、集魚槽31に対向して鋼製減勢工37が設置されている。そして、円形通路34の上端は操作室12内に開口している。
【0020】
図2、図3、図10に示すように、操作室12は貯水池側に突出し、床面はダム天端標高と同一レベルとし、その下部に取水ゲート15と、ケージ36の搬送用案内架構(開断面通路体)38が並設され、鉛直に取り付けられている。また、操作室12には巻上走行装置39が設けられている。巻上走行装置39はケージ36の巻き上げ機を載置した台車41と、台車41下のケージ36を円形通路34および案内架構38の中心間を移動するのに必要なレール40とを備えている。また、案内架構38は堤体1下部まで延長され、水面に当たる箇所にフローチングブロック(浮体)42が水位に追従して自由に取り付けられている。
【0021】
次に、取水ゲート15およびその周辺の細部を説明する。
図4、図6、図7(a)に示すように、一対のピア6間に内側から順に最上段の扉体a、中間部の扉体b,c、最下段の扉体dが重なり、各扉体のローラー43を堤体1に埋設されたレール44に係合させている。
図4、図6に示すように、取水ゲート15の最上段の扉体aの呑口(取水盤)45は水理的に良好な流れを創成するベルマウス形状(周壁が外側(遠心方向)に屈曲した円弧状)とし、この場合、最低水位L.W.Lから取水盤45までが取水深hとなる。常にこの取水深hを保持しながら水位変動に取水ゲート15が追従する。また、最上段の扉体aには取水盤下部の左右に滑車46を設け、この外側に最下段の扉体d(ピン47)に係合する吊り上げフック48が設けられ、吊り上げフック48には自動嵌脱用カウンターウエイト49が設けられている。
【0022】
また、図6に示すように、各扉体に上段補剛桁50、下段補剛桁51が形成され、下段補剛桁51の下部には水密ゴム52が取り付けられている。
通常は、最上段の扉体aの下段補剛桁51に中間部の扉体bの上段補剛桁50が引っ掛けられ、さらにその中間部の扉体bの下段補剛桁51に次の中間部の扉体cの上段補剛桁50が引っ掛けられる。さらにその中間部の扉体cの下段補剛桁51に最下段の扉体dの上段補剛桁50が引っ掛けられ、全体形状としてすだれ状に配置される。
図6、図7(b)に示すように、水密は、最下段の扉体dの下端水密ゴム52が基礎コンクリートに埋設した戸当り53に接触した状態で、各扉体の間は扉体間水密ゴム52a、側部水密ゴム52b、戸当り側部水密ゴム52c,戸当り53a、戸溝間閉塞板53bにより保たれる。
【0023】
次に、魚道およびその周辺の細部を説明する。
ケージ36は鋼板により製作され、図14ないし図17に示すように、上・下流面に相当する両側壁に円弧状の側壁扉54を設け、側壁扉54の開閉装置55がケージ上部架構に2基設けられている。また、ケージ上部架構には、散水装置56、集魚用ランプ57、プーリー58を設け、また下流側壁扉54には水平ジェット噴射用配管59を設けている。
【0024】
集魚槽31は図4に示すように一定の長さに設けられ、階段式魚道10を遡上してきた魚の集合と休息を取るための場所としている。
図4,図18に示すように、集魚槽31の上面両側に形成した縁道に、追い込み装置60の一対のレール61が設けられている。追い込み装置60の台車62には、追い込み網63を集魚槽31の水中に入れる差し込み装置64を載置している。
【0025】
円形通路34の内部は鉛直荷重、水圧荷重および地震時荷重に対し安全な構造にされている。すなわち、図7、図8に示すように、常時満水位より高い位置(スクリーン架構16の上部)に鋼床板65をピア6間に架設し、円形通路34の上部を支持し、円形通路34の中間部には、左右のピア6に各々渡設し、取水流の流れを乱さないように流線形状のへん平断面を持つ鋼製連結部材66によって円形通路34を固定している。
なお、鋼床板65は取水ゲート15、制水ゲート8の保守、点検用足場を兼用する。
円形通路34の後方(水流に対し下流側)には、外周を内張り鋼板で垂直面を形成し、その下流側端部を接続した左右対称の整流板67を設け、この内部は鉄筋コンクリートまたは内張り鋼板にジーベルを溶接しコンクリートを充填した構造とする。また、前述したように、円形通路34の下部は基礎コンクリートで固定されている。
【0026】
取水ゲート15に並設した案内架構38は、立設した4本の主柱を備え、鋼管を使用したトラス構造となっており、この内部をケージ36が上下移動するようになっている。
図22に示すように、案内架構38の架構上流面の両側主柱には魚用人工水路68の引っ掛け軌条69を溶接し、また、案内架構38の架構左右面の両側主柱にはフローチングブロック42の接続用の案内軌条70を溶接している。
架構上流面の両側主柱には、へん平形円管38aを水平連結材として使用し、また、案内架構38の内側中央に左右に軌条71を設け、ケージ36の上下移動の安定を図っている。また、架構上流面の内側の左右に魚誘導網72を取り付けている。
【0027】
図1,図2,図5,図9に示すように、堤体1内には監査廊73が設けられており、監査廊73の縁側に自動定流量装置74を設け、隣接して利水放流設備20が設けられている。
自動定流量装置74は取水ゲート15内の取水部下流側に開口する供給管75(図4参照)と接続され、内部にはポンプ76、流量設定弁、シリンダ、圧力調整弁が併置され、自動定流量装置74からの流出水は導水管77により鋼製減勢工37に接続され、また、導水管77は鋼製減勢工37に貫入する手前で分岐して呼び水用配管29に接続している。
【0028】
図9、図13に示すように、導水管77は、高さ方向に4〜5段の箱形室78を形成した鋼製減勢工37の最下段箱形室78の左岸側側壁を貫通し、先端は右岸側側壁近傍まで延び、端部は閉塞している。
図12、図13に示すように、箱形室78に貫入した導水管77は円周方向には上下左右その中間位置にオリフィス孔79を設けている。
鋼製減勢工37は図11に示すように、円弧状側壁80を有し、最下段箱形室78の天井部は縦横の一定ピッチにオリフィス孔79を開けた阻流板81が取り付けられ(図11(a)参照)、さらに、その上の阻流板81には1/2ピッチ交互にずらした位置にオリフィス孔79を配している(図11(b)参照)。このように、オリフィス孔79を1/2ピッチずらして阻流板81が複数取り付けられている。なお、阻流板81の縁部に水抜き孔82が開けられている。
【0029】
フローチングブロック42は鋼製の浮体構造にされ、図19ないし図21に示すように、案内架構38の案内軌条70に、フローチングブロックに取り付けた引っ掛け金物83で上下動自在に接続されている。これにより、フローチングブロック42は水位変動に追従し水面上に位置される。
フローチングブロック42にはその上面に集魚用ランプ57、水中ポンプ84が設けられ、フローチングブロック42に設けた枝部材85は水平に回動自在な片持ちトラス架構とし、フラッシング状散水を行う散水管86が支持され、散水位置を変えることが可能である。
フローチングブロック42下流側に設けた魚侵入防止金網87(図19参照)は案内架構38と堤体1間に迷入する魚類の進入防止と塵埃の巻き込みを防止するために設けている。
【0030】
次に、取水ゲート15の作用を説明する。
i)上層取水(貯水面からの清澄水・温水を取水する)
通常、取水ゲート15は貯水面から規定の取水深hを差引いた位置に最上段の扉体aの呑口45面を保ち、前述の如く各々扉体(a,b,c,d)の下段補剛桁51に上段補剛桁50を引っ掛け「すだれ状」に配置し、最下段の扉体d下端は底部コンクリート面に埋設された戸当り53に接触している。
上下の水位変動につれて扉体aは,堤体貯水面側に設けた水位計を介し開閉装置2の運転により規定の取水深hを保ち乍ら変動に追従し計画取水量を呑口(取水盤)45より取水する。
ii) 中層、下層取水
中層取水の場合は貯水池水深の中間位置まで扉体aの呑口45を下げ、中層位置での貯溜水を取水する。
下層取水の場合は底部コンクリート面より所要高さ迄、「すだれ状」になっている一連の扉体(a,b,c,d)を巻上げ、扉体dの底部より取水する。
【0031】
取水ゲート15を常時満水位以上のレベルに巻き上げて保守点検を行う場合は、図6に示すように、カウンターウエイト49を人力で嵌方向にセットし最上段扉体aを巻下げ、最下段扉体dの上部に設けたピン47に自動的に嵌合させ、扉体(a,b,c,d)を一括たばねた状態で保守レベルの床面迄巻上げ保守点検を行う。
保守点検終了後通常の取水位置に扉体(a,b,c,d)を移動する場合は、カウンターウエイト49を脱方向にセットしてから巻下げ、最下段扉体dの下端が底部コンクリート面に着床すれば、吊り上げフック48が嵌脱機構によりピン47から外れることになる。
ピン47から吊り上げフック48が外れた後にワイヤ4を巻上げてゆくと、最下段扉体dは着床しており、最上段扉体aは中間の扉体b,cを吊り下げたまま上昇し、所要のレベルで停止して規定量の取水を行うことができる。
【0032】
従来の半円形または直線多段式ゲートの場合、最上段ゲート呑口直上に整流板を設け取水時に発生する空気吸込を防止しているが、本案では、呑口中心位置に円形通路構造物を配することにより、かかる空気吸込み現象を回避することができる。
また、円形通路構造物の後方に整流板を対称に設けることにより、水流を利水放流管18の呑口に円滑に誘導することができる。
【0033】
次に、高ダム用魚道装置の作用を説明する。
本案は遡上・降下魚の移動障害となる高ダムに魚類の搬送設備を設け、堤体内の階段式魚道10を遡上した魚をケージ36に確実に収客、上流貯水池に解放する。また降下魚は集魚・誘導の手段を有するフローチングブロック42を介してケージ36内に誘われ、搬送手段により堤体内魚道の集魚槽31に解放され、階段式魚道10の流れに沿ってダム下流に流下させる。
【0034】
階段式魚道10には鋼製減勢工37により遡上・降下魚に適した流速と良好な水理的流れを作り、一方、魚道入口には魚類の向流性を刺戟し、遡上能力をより高めるため、魚道に平行し流速の大きい流水を呼び水として呼び水用配管29より流出させる。
これらの流水は取水ゲート15の取水部から導水し、貯水上層の温水が自動定流量装置74(特願平8−334729号参照)に流入する。温水は自動定流量装置74の導水管77より必要流量が流下される。温水流は魚の生態系に最も適しており、冷水の取水を避けるために温水取水設備を別に設けることもない。
【0035】
鋼製減勢工37では、導水管77のオリフィス孔79から圧力水が噴出され、噴出した流水は直上の阻流板81に設けたオリフィス孔79から流出し、さらに直上の阻流板81のオリフィス孔79を通過し、漸次減勢され最上段水面では静水面となり、静水が周囲側壁の切欠き部から落下する。そして、階段式魚道10を通過してダム堤外に流出する。
【0036】
貯水池側では、フローチングブロック42のフラッシュ状の散水により、遡上魚に対してケージ36内から貯水池14側に誘い出す効果があるが、散水管86の位置を変え、案内架構38上流面にフラッシュ状の散水を行い、降下魚を誘引させ、貯水池14からケージ36内への誘導と集魚を行うことができる。夜間時、集魚用ランプ57を併用する。
また、ケージ36の下流側側壁に設けた水平ジェット噴射用配管59から噴出するジェット流は、降下魚をケージ36内に集める効果があり、ケージ上部にある散水装置56と集魚用ランプ57も同様の効果がある。
【0037】
次に、遡上魚の収容と搬送手順について説明する。
まず、遡上魚は魚道入口の呼び水用配管29から噴射した呼び水に誘引され、堤体内階段式魚道10を遡上する。階段式魚道10では天井の照明ライト33により遊泳を促し、集魚槽31と円形通路34に連通する垂直通路35下部を遊泳、滞留しているものとする。
このとき、自動定流量装置74により、取水ゲート15取水部から温水を流入させ、減勢工37上部からの落下水による流れと呼び水が常に作られている。
このような状況の中で、ケージ36を着床し、下流側側扉54を引上げ、集魚槽31と交通出来る状態とする。追い込み装置60は集魚槽31の下流側位置に配置され、追い込み網63を引き上げておく。
【0038】
一定時間経過後、追い込み網63を水中に入れ、台車62を上流側位置まで走行させる。そして、下流側側扉54を閉め、遡上魚をケージ36内に強制収容する。
収容後は巻上走行装置39により、ケージ36を操作室12まで引上げ、台車41を横行させて案内架構38中心位置で停止させる。次にケージ36を引下げ貯水池水面に一致させて停止し、上流側側扉54を引上げ貯水池14と交通させる。
【0039】
ケージ36内の魚はフローチングブロック42の散水管86から噴射した散水により刺戟され、ケージ36から貯水池14側へと移動する。このとき、魚用人工水路68を案内架構38に接続させれば遡上魚をより遠方に、アバー(防塵装置)を越えて上流側に移動させることができる。このサイクル操作を繰返すことにより遡上魚の上流への移動が可能である。
一定時間経過後、上流側側壁扉54を閉め切ることになるが、その時期に降下魚が遊泳していれば、ケージ36内に降下魚を収容することになる。
一定時間経過後は前述の手順の逆でケージ36を円形通路34の下方底部まで移動し、遡上魚の収容に備える。このとき、ケージ36内に降下魚が収容されていれば、降下魚は集魚槽31に放流される。
【0040】
次に、降下魚の収容と搬送手順について説明する。
搬送手順を説明する前に案内架構38に接続したフローチングブロック42からフラッシュ散水が貯水面に落下しており、貯水池水面に合せ停止させたケージ36の前面水域に降下魚が遊泳、集魚しているものとする。なお、夜間ならば併設された集魚用ランプ57も点灯させている。
次に、上流側壁扉54を開け、散水し、かつ、下流側側壁扉54の水平ジェット噴射用配管59から水平噴流を噴出させる。夜間ならば集魚用ランプ57を点灯する。この状態を一定時間続けることにより、より一層魚類を刺戟し、ケージ36内に誘引できる。
【0041】
一定時間経過後、上流側側壁扉54を閉め切り、降下魚を収容したままケージ36を巻上げ、操作室12内を移動させ、円形通路34内を降下させて下方底面に着床させる。そして、ケージ36の下流側側壁扉54を吊り上げ、流れのある集魚槽31に魚を解放する。そして、降下魚は堤体内階段式魚道10を通って堤外下流に移動する。このサイクル操作を繰返すことにより降下魚の下流への移動が可能である。
さらに、一定時間経過後に下流側側壁扉54を閉め切ることになるが、その時期に遡上魚が遊泳していれば、ケージ36内に遡上魚を収容することになる。
このケージ36は手順により案内架構38を降下させ貯水池水面に停止、上流側側壁扉54を引上げる。このとき、遡上魚を収容していれば遡上魚は貯水池に解放されることになる。
【0042】
また、通常の取水設備に設ける足場16aと鋼床版65とにより、諸ゲートの保守、点検に充分な広さが確保でき、同時に、鋼床版65、連結部材66によって、円形通路34を堅固にさせている。
また、円形通路34下流に、内部を鉄筋コンクリートまたはジーベルを溶接した鋼板にコンクリートを充填した構造とした整流板67を設けることにより、取水流の流れを良好にすると共に円形通路34の剛性を高め、水流方向の地震時荷重に対し強度を確保できる。
【0043】
また、円形通路34下部からダム本体減勢工27の始点まで堤体内を貫通した階段式魚道10を設けているので、堤体外に、遡上に適した勾配でダム頂までつづら折りに構築するコンクリート製魚道よりも魚道長さが著しく短縮され、魚道の施工費が低減できる。なお、前述したように、内筒形状の内張り鋼管を連続に組み付けて堤体内魚道を構成することで、土木施工費が低減できる。
【0044】
実施例の高ダムでは、案内架構38の内部にケージ36を昇降させることにより、貯水池水面の水位変動が非常に大きな場合、例えば約22mの場合でも対応できるものであり、従来よりも対応巾が大きくとれることである。
また従来方式のセクター式魚道(図27参照)で水位変動に追従しようとすると、堤体に変動巾プラス余裕高に相当する高さの魚道水路を設ける必要があり、水路高さの如何によっては堤体強度に影響をあたえるものである。よって、設定変動幅はおのずから制限を受ける。本案の優位性がここにある。
【0045】
また、本案では、自動定流量装置74を設け、貯水池14の水位変動があっても、設定流量を一定に流下させ、この圧力水を鋼製減勢工37を介し堤体内階段式魚道10を流下させ、かつ、呼び水として利用している。
さらに、自動定流量装置74へは、取水ゲート15の取水部より温水を導水することができるので、冷水による魚の遊泳力を低下させることを防いでいる。
【0046】
取水装置と魚道装置をダムに併設する場合、実施例では、取水ゲート15の取水部と魚道の上流側構造物を1ブロック区画(通常、幅15m,横継ぎ目の間隔)内に設置するので、各々を単独で据え付ける場合よりも本体打設スケジュールへの影響は小さいという利点がある。また、堤体上流側に突出する装置形状が1か所のみとなるので周囲の景観を乱すことなく、景観設計となる。
さらに、設置施工されるべき両者の各要素が1区画に集中し、内側から外側へと各要素を順序よく据え付けることにより、荷役重機の移動距離も短く、足場等も近距離での転用が可能であり、作業効率が良く安全面に留意しながら作業を進めれば据え付け工費は低減できる。
【0047】
通常、魚道には魚類の生態系に適した水温の流水を流出させる必要があるが、本案では、両装置を組み合わせることにより、取水部から上層の温水を魚道に導水することができ、別途の温水取水装置が不要となる。
本案では、操作室に両装置の開閉装置2、巻上搬送装置39が配置され、堤体上流面には取水ゲート15、円形通路34、案内架構38が隣接しており、また、堤体下部には、利水放流設備20と自動定流量装置74、堤体内魚道上流端には鋼製減勢工37、追い込み装置60が隣接設置されているので、これらの集中管理ができ、保守、点検が容易になる。
【0048】
次に、一対のピア6間に取水部を配し、両側に円形通路34と鉛直通路(案内架構38)を配置した高ダムについて図23、図24を参照して説明する。
ピア6間には、直線多段式ゲートを設け、扉体(a,b,・・)をすだれ状に作動させる。ピア6の左岸(図面上、上部位置)にはピア内部に円形通路34が形成され、集魚槽31、階段式魚道10が連絡されている。また、ピア6の右岸(図面上、下部位置)には側壁に沿って鉛直通路88(案内架構38)が設けられている。なお、追い込み装置等、上記実施例と共通に設置可能なものは説明を省略する。
【0049】
図23、図24に示すダムに共通してピア6の左岸にフローチングブロック42が設けられ、装備した水中ポンプ84、散水管86によりフラッシング散水をして降下魚を誘引させる。また、集魚用ランプ57も取り付けられている。
【0050】
図23に示すように、ピア6の上流面は中央に取水口スクリーン17が設けられ、全体として一面構造になっている。そして、取水口スクリーン17上流面に沿い、右岸上流面に対向するL型コンクリート面89を構成し、取水口の取水水流に直角な方向にバイパス用の流れを創成している。L型コンクリート面89は高さ方向に数か所連結部材89aによって堤体1と結合されている。
バイパス水路90はピア側壁とL型コンクリート面89で形成し、水路出口にフローチングブロック91を設け、フローチングブロック91に水中ミキサーポンプ92を搭載している。水中ミキサーポンプ92を作動させることにより、バイパス水路90に水流が発生する。
【0051】
バイパス水路90には、ケージ36を昇降させるための鉛直通路88が交差し、鉛直通路88の貯水池水面に位置した箇所にケージ36が定置される。ケージ36は上・下流側側壁扉54を引き上げ、ケージ36内を流水が通過するようになっている。そして、下流側側壁扉54位置にケージ36の可動に支障とならぬ位置に魚の散逸を防ぐための金網93を鉛直通路に沿って取り付けている。
【0052】
このバイパス水路90の流れは降下魚を確実にケージ36内に捕捉しておくためのもので、一定時間経過後、降下魚は金網93の前面に集合することになり、上・下流側側壁扉54を閉め切り、ケージ36内に魚を収容する。その後、巻上走行装置39により円形通路34に搬送される。
この場合、降下魚は流れに沿って降下して行くと考えられるため、下流側側壁扉54には水平ジェット流用配管は設けない。
この取水口スクリーン17を通過する流れと直角方向に設けるバイパス水路90の組み合わせは降下魚をより確実に降下させる効果がある。
【0053】
一方、L型コンクリート面89を構築せずに、図24に示すように、ピア6側壁に案内架構38を設け、案内架構38の主柱と堤体1にレール94を設けてフローチングブロック95を昇降自在に配置し、フローチングブロック95の上流側に整流用側鋼板96を取り付けて略L状のバイパス水路90を形成する。この場合、水中ミキサーポンプ92はフローチングブロック95の堤体側に搭載し水中に位置させる。
景観上からすると、図24に示す魚道の方が堤体上流面からの突出部分が小さく堤体上流面になじんだ形状となる。
さらに、案内架構38が構築の都合により、ピアより離れる場合は、堤体から側鋼板を延設し、案内架構38の主柱と連結する。また、案内架構38の長さは水位変動の低位までであるので、重量負担が少なく移動設置はそれほど困難ではない。また、バイパス水路90の入口は取水口から離れるので、整流用側鋼板96を延長するか、バイパス水路90を省略するようにする。
【0054】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したものであり、一対のピア間(堤体標準横継ぎ目間隔、例えば15m程度に相当する)に取水装置および魚道装置を設置するので、堤体の他ブロック打設スケジュールに影響を与えることなくダム完成期日に合わせ独自の施工計画が組める。
また、取水装置および魚道装置が併設されるので、据え付け用重機の高能率の運用、足場等近い距離の移動可能で、作業性が良く、施工費を低減できる。また、装置完成後は、両者が1か所に配置されているので、保守、点検等の集中管理ができる。
さらに、堤体上流面より突出する構造物が1か所のみとなるので周辺土木構造形状に合致でき景観設計となる。
【0055】
取水ゲートの基礎コンクリートおよび足場と円形通路の支持部材が共通化され、剛性強度を高くすることができ、また、取水部呑み口から表層取水した温水を自動定流量装置により、堤体内の魚道に流下することができるので、水温が低くて魚の遊泳能力が低下することを防止できる。
また、取水部呑み口に隣接して魚収容の搬送ケージを貯水面に合わせ、停止し待機させるので、降下魚を集魚、誘引用装置を作動させケージに収容することのほか、取水の流れを降下魚に作用させ、降下魚をケージに収容し易くさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による取水及び魚道併置型ダムの側断面図である。
【図2】図1に示すダムの上面図である。
【図3】図1に示すダムの正面図である。
【図4】図1に示すダムの取水及び魚道の要部を示す側断面図である。
【図5】図4の右側連続部を示す側断面図である。
【図6】取水ゲートの扉体の上端を示す要部側面図である。
【図7】(a),(b)により取水ゲートおよび円形通路を示した断面図である。
【図8】取水ゲート上部の平面図である。
【図9】ダム内部の集魚槽および利水放流設備の平面図である。
【図10】ダムの操作室の平面図である。
【図11】鋼製減勢工の阻流板の上部下部のオリフィス孔の位置の違いを(a)、(b)により示した平面図である。
【図12】鋼製減勢工の側断面図である。
【図13】鋼製減勢工の正面図である。
【図14】魚搬送用のケージの側面図である。
【図15】魚搬送用のケージの下流側側壁扉に備えた水平ジェット噴射用配管の正面図である。
【図16】図15に示す水平ジェット噴射用配管の上面図である。
【図17】図15に示す水平ジェット噴射用配管の側面図である。
【図18】ダムに構築した魚道の断面図である。
【図19】図18に示す案内架構の平面図である。
【図20】案内架構に備えたフローチングブロックの側面図である。
【図21】案内架構に備えたフローチングブロックの正面図である。
【図22】案内架構および人工水路の上面図である。
【図23】取水ゲートと円形通路の位置を変えたダムの変形例を示す断面図である。
【図24】図23に示すダムのバイパス水路の変形例を示す断面図である。
【図25】従来の選択取水装置の断面図である。
【図26】図25の装置の上面図である。
【図27】従来のセクター式魚道の斜視図である。
【符号の説明】
1 ダム堤体
6 ピア
10 堤体内魚道(階段式魚道)
12 操作室
14 貯水池
15 取水ゲート
29 呼び水用配管
33,86 集魚装置
34 閉断面通路体(円形通路)
36 魚搬送用ケージ
37 鋼製減勢工
38 開断面通路体(案内架構)
39 巻上走行装置
42 フローチングブロック
54 下流側側壁扉
59 水平噴射水の発生装置
74 自動定流量装置
77 導水管
89 L字状壁面
90 バイパス水路
92 水中ミキサーポンプ
【発明の属する技術分野】
従来からダムを構築するときには、魚道を併設することが勧められている。また、本来のダム貯溜水の取水設備として、取水ゲート、制水ゲート等が設けられており、魚道または取水ゲート、制水ゲート等は独自に開発されて来た。本発明は、取水設備と魚道とを備えた取水及び魚道併置型ダムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高堤高のダム(高ダム)の取水設備として、ダム貯溜水の水深が深いことを利用し、貯溜水質を確保する目的で、貯水池の上層(貯水池表面より温水、清水を取水)、中層(冷水、洪水時の濁水対策のため)、下層(洪水時の濁水対策と富栄養化の対策としての取水)の各層より必要に応じ任意の水位から取水する選択取水装置を併設することがある。
【0003】
従来、選択取水装置には直線多段式ゲートや半円形多段式ゲートがある。これらは扉体を鉛直方向に連続に設置してゲートを構成するもので、任意の扉体の間を開放して取水が行えるようになっている。例えば、図25、図26に示すように、堤体1の上端には開閉装置2が2基設けられ、開閉装置2の各ドラム3に巻回されたワイヤ4は垂下されて5段の扉体a,b,c,d,e(以下、a,・・)のうち扉体a,扉体eと接続されている。また、扉体(a,・・)の貯水池側にスクリーン5が張設されている。また、開閉装置2は貯水池側に突出した一対のピア6の上部に設けられ、一対のピア6の内側には戸当り7が形成され、扉体(a,・・)を支持している。なお、符号8は制水ゲート、符号9は保安ゲートである。
【0004】
このようなダムから取水するには、一例として、上層の取水は開閉装置2により扉体全体(a,・・)を降下させる。中層の取水は扉体a,b,c,dを中層取水位置まで下げ、ここから取水する。また、下層の取水は一番下の扉体eを上方へ動かし土木構造物上面と扉体eの下端の空間部より下層取水する。なお、水位が低下する場合は、扉体aを越流水深を一定に保ちながら下げ、上層取水をする。
【0005】
一方、ダムに併設する魚道には、一例として、固定型階段式魚道がある。これは魚道に隔壁を一定間隔に複数設置し、遡上に適した勾配にしたものであり、魚道の水面が階段式形状になる。したがって、魚道の勾配が緩く、高ダムの場合には魚道の通路長が長くなるので設置スペースを十分に確保する。図27に示す魚道は固定型階段式魚道10を使用したものであり、上流側にパワーシュート式魚道11が設けられ、操作室12には制水ゲート8、予備ゲート13を作動させる開閉装置2が設けられている。この魚道はダム貯水池14の水位変動があってもパワーシュート式魚道11の勾配が自動的に変化するので、魚類の遡上を妨げることがない。
このほかダムに設置する魚道として、魚類を収容する搬送ケージをワイヤで吊り下げ、搬送ケージを昇降させて魚類の遡上の支援をする装置(索道式、エレベータ式)等がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、高ダムに魚道設備を備えることは、特願平8−334729号によって提案されているところであるが、この魚道設備は堤体内に固定型階段式魚道を設け、連続してエレベータ式魚道を組み合わせたものである。この魚道設備によれば、貯溜水面の水位変動が大きくても、魚類の遡上、降下を支援することができるものである。
しかしながら、ダム本来の取水設備については、別の箇所の架構によって組み付けるものであるので、魚道設備を各々別々に構築すると工事期間が増長され、工事費用が嵩む等の問題が生じてくる。そこで、取水設備と魚道設備の共通部分を利用し、工事短縮、経費節減を図ろうとするものである。
【0007】
本発明は、高堤高のダムにおける取水及び魚道併置型ダムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ダム堤体の貯水池側に突出するピアを設け、該ピアに支持して魚搬送用ケージを収容し昇降可能な閉断面通路体および開断面通路体をそれぞれ鉛直方向に並設し、
前記閉断面通路体の通路下端はダム下流に開口する堤体内魚道に接続し、上端は前記ピア上に設けた操作室に連絡させ、
前記開断面通路体の通路下端はピア下部のコンクリート基礎床版に固定され、上端は前記操作室に連絡し、前記操作室内に設けた巻上走行装置を介して両者の通路を連絡し、
前記ピアに支持して取水ゲートを併設し、該取水ゲートの取水部の一部流水を前記堤体内魚道に流下させたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、取水ゲートの取水部に、自動定流量装置を介して堤体内魚道の入口に流水を噴出させる呼び水配管を接続すると共に、堤体内魚道の上流側に設けた鋼製減勢工に連絡する導水管を接続したことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、貯水池水面に接する開断面通路体には左右側構面にフローチングブロックを昇降自在に接続させ、フローチングブロックには照明ランプ、フラッシング散水等の集魚装置を搭載させ、また、魚搬送用ケージの下流側側壁扉には水平噴射水の発生装置を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、ダム堤体の貯水池側に突出する一対のピアを設け、該ピア間に取水ゲートを設けると共に、一方のピアに支持して魚搬送用ケージを収容し昇降可能な閉断面通路体を鉛直方向に並設し、該閉断面通路体の通路下端はダム下流に開口する堤体内魚道に接続し、上端は前記ピア上に設けた操作室に連絡させ、
他方のピアに支持して魚搬送用ケージを収容し昇降可能な開断面通路体を鉛直方向に並設し、該開断面通路体の通路下端はピア下部のコンクリート基礎床版に固定され、上端は前記操作室に連絡し、前記操作室内に設けた巻上走行装置を介して両者の通路を連絡し、
前記取水ゲートの直前にL字状壁面を構築すると共にL字状バイパス水路を形成し、該バイパス水路内に前記開断面通路体を収容し、バイパス水路下流端に水位変動に追従する水中ミキサーポンプを配設したことを特徴とする。
【0012】
以上のように、高ダムを対象にした魚道では、高低差に対処することと上流側の水位変動の影響を受けないようにすることで、本案では、堤体内に固定型階段式魚道を設けることで設置スペースを外部地面に求めず、さらにエレベータ式魚道と巻上走行装置を合体することで、上昇、横行、下降という逆U字状の経路を魚搬送用ケージが移動し、変動する高所との往復を可能にしている。また、降下魚用として、上流側にフローチングブロックを配設し、魚搬送用ケージを貯水池水面に停止させた状態で、散水または水平ジェット流により集魚を容易にさせている。
さらに、選択取水設備を併設したことにより、施工の共通部分があるので、互いに重機を共用でき、また、保守点検箇所が隣どうしになるので効率が良くなる。また、魚の誘引に効果のある流れが取水により発生し、温水取水により魚の生態系に適応できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
まず、図1ないし図3を参照して高ダムの概要を説明する。
図1、図2に示すように、高ダムを構成する堤体1の貯水池14側に突出したピア6上部に操作室12が設けられ、その内部に設置した開閉装置2により、取水ゲート15を開閉させるようになっている。
取水ゲート15は図7、図8に示すように、半円形多段式であり、実施例では断面半円形の扉体a,b,c,d(4段)を使用している。取水ゲート15の周囲にはスクリーン架構16が設けられ防塵スクリーン17を設置している。なお、符号16aは保守点検用足場である。
【0014】
また、図4、図5、図7に示すように、堤体1内には取水ゲート15とピア6との内側下部に、下流に向けて配設された利水放流管18が開口され、制水ゲート(修理用ゲート)8が取り付けられている。この制水ゲート8は操作室12内の巻上機2bで作動させる。また、ピア6下部の外側に設けた保安ゲート9は、操作室12に配置した巻上機2cにより昇降される(図10参照)。
そして、利水放流管18の下流側には連続して放流水路19が形成され、利水放流管18と放流水路19の接続部に利水放流設備20が設けられ、主ゲート21、副ゲート22が備えられている。
【0015】
通常、制水ゲート8は操作室12床面下の休止フックにより吊下げられ、取水部下流に設けた利水放流管18および利水放流設備20、放流水路19の保守、点検を行う場合に休止位置より巻下げ、利水放流管18の呑口を閉塞する。
保安ゲート9は、取水部の内外水位差が設計値より大となったときに自動的に開放するゲート9aを内蔵している。内外水位差が規定値になると自動的に閉め切られ設計水位差を維持する。また、符号26は低水位取水ゲートである。
なお、利水放流設備20の保守、点検時に、河川維持用水を確保するため、主・副ゲート21,22を迂回するバイパス管23(図5、図9参照)が並設されている。また、バイパス管23に主・副バルブ24,25が設けられている。なお、図4、図5の符号54は空気管である。
【0016】
また、高ダムには取水ゲート15のほか、魚道が設けられているのでその概要を図1ないし図3に基づいて説明する。
【0017】
図1、図2に示すように、堤体1内に断面矩形状の固定型階段式魚道10が形成され、階段式魚道10の魚道入口は高ダム下流の減勢工27の上流側に位置し、減勢工27の導流壁にある角度を持って堤体1内に進入している。また、減勢工27の下流に副ダム28が設けられトンネル部に水流が形成される。なお、階段式魚道10を円形内張り鋼管で形成することで施工費を抑えることができる。また、階段式魚道10には平行して呼び水用配管29を配設し、魚道入口で呼び水を吐出させる。
【0018】
また、魚道入口近傍には魚道用制水ゲート30が設けられ、さらに上流で水路(魚道)を弯曲させ、上流に向かって直線上の水路を形成させている。さらに水路は、2か所の弯曲部を経て堤体1内の中央下部に配した集魚槽31に連絡されている。また、この階段魚道は一定間隔で隔壁32を設け、魚道勾配は魚の遡上に適した角度とし、全長にわたって天井に一定間隔で照明ライト33が設置されている。集魚槽31の上流側は、取水ゲート15に並設した搬送用円形通路(閉断面通路体)34の下部の基礎コンクリートに形成した垂直通路35(図4参照)と連絡されている。すなわち、円形通路34および垂直通路35は、図2、図7(a)に示すように、取水ゲート15の内側内部の中心部に位置して鉛直に設けられ、通路内を魚搬送用ケージ36が昇降するようになっている。なお、階段式魚道10の円形通路34下部に至るルートは堤体強度を勘案し決定される。
【0019】
図1、図4に示すように、垂直通路35の下部側面には集魚槽31が設けられ、集魚槽31に対向して鋼製減勢工37が設置されている。そして、円形通路34の上端は操作室12内に開口している。
【0020】
図2、図3、図10に示すように、操作室12は貯水池側に突出し、床面はダム天端標高と同一レベルとし、その下部に取水ゲート15と、ケージ36の搬送用案内架構(開断面通路体)38が並設され、鉛直に取り付けられている。また、操作室12には巻上走行装置39が設けられている。巻上走行装置39はケージ36の巻き上げ機を載置した台車41と、台車41下のケージ36を円形通路34および案内架構38の中心間を移動するのに必要なレール40とを備えている。また、案内架構38は堤体1下部まで延長され、水面に当たる箇所にフローチングブロック(浮体)42が水位に追従して自由に取り付けられている。
【0021】
次に、取水ゲート15およびその周辺の細部を説明する。
図4、図6、図7(a)に示すように、一対のピア6間に内側から順に最上段の扉体a、中間部の扉体b,c、最下段の扉体dが重なり、各扉体のローラー43を堤体1に埋設されたレール44に係合させている。
図4、図6に示すように、取水ゲート15の最上段の扉体aの呑口(取水盤)45は水理的に良好な流れを創成するベルマウス形状(周壁が外側(遠心方向)に屈曲した円弧状)とし、この場合、最低水位L.W.Lから取水盤45までが取水深hとなる。常にこの取水深hを保持しながら水位変動に取水ゲート15が追従する。また、最上段の扉体aには取水盤下部の左右に滑車46を設け、この外側に最下段の扉体d(ピン47)に係合する吊り上げフック48が設けられ、吊り上げフック48には自動嵌脱用カウンターウエイト49が設けられている。
【0022】
また、図6に示すように、各扉体に上段補剛桁50、下段補剛桁51が形成され、下段補剛桁51の下部には水密ゴム52が取り付けられている。
通常は、最上段の扉体aの下段補剛桁51に中間部の扉体bの上段補剛桁50が引っ掛けられ、さらにその中間部の扉体bの下段補剛桁51に次の中間部の扉体cの上段補剛桁50が引っ掛けられる。さらにその中間部の扉体cの下段補剛桁51に最下段の扉体dの上段補剛桁50が引っ掛けられ、全体形状としてすだれ状に配置される。
図6、図7(b)に示すように、水密は、最下段の扉体dの下端水密ゴム52が基礎コンクリートに埋設した戸当り53に接触した状態で、各扉体の間は扉体間水密ゴム52a、側部水密ゴム52b、戸当り側部水密ゴム52c,戸当り53a、戸溝間閉塞板53bにより保たれる。
【0023】
次に、魚道およびその周辺の細部を説明する。
ケージ36は鋼板により製作され、図14ないし図17に示すように、上・下流面に相当する両側壁に円弧状の側壁扉54を設け、側壁扉54の開閉装置55がケージ上部架構に2基設けられている。また、ケージ上部架構には、散水装置56、集魚用ランプ57、プーリー58を設け、また下流側壁扉54には水平ジェット噴射用配管59を設けている。
【0024】
集魚槽31は図4に示すように一定の長さに設けられ、階段式魚道10を遡上してきた魚の集合と休息を取るための場所としている。
図4,図18に示すように、集魚槽31の上面両側に形成した縁道に、追い込み装置60の一対のレール61が設けられている。追い込み装置60の台車62には、追い込み網63を集魚槽31の水中に入れる差し込み装置64を載置している。
【0025】
円形通路34の内部は鉛直荷重、水圧荷重および地震時荷重に対し安全な構造にされている。すなわち、図7、図8に示すように、常時満水位より高い位置(スクリーン架構16の上部)に鋼床板65をピア6間に架設し、円形通路34の上部を支持し、円形通路34の中間部には、左右のピア6に各々渡設し、取水流の流れを乱さないように流線形状のへん平断面を持つ鋼製連結部材66によって円形通路34を固定している。
なお、鋼床板65は取水ゲート15、制水ゲート8の保守、点検用足場を兼用する。
円形通路34の後方(水流に対し下流側)には、外周を内張り鋼板で垂直面を形成し、その下流側端部を接続した左右対称の整流板67を設け、この内部は鉄筋コンクリートまたは内張り鋼板にジーベルを溶接しコンクリートを充填した構造とする。また、前述したように、円形通路34の下部は基礎コンクリートで固定されている。
【0026】
取水ゲート15に並設した案内架構38は、立設した4本の主柱を備え、鋼管を使用したトラス構造となっており、この内部をケージ36が上下移動するようになっている。
図22に示すように、案内架構38の架構上流面の両側主柱には魚用人工水路68の引っ掛け軌条69を溶接し、また、案内架構38の架構左右面の両側主柱にはフローチングブロック42の接続用の案内軌条70を溶接している。
架構上流面の両側主柱には、へん平形円管38aを水平連結材として使用し、また、案内架構38の内側中央に左右に軌条71を設け、ケージ36の上下移動の安定を図っている。また、架構上流面の内側の左右に魚誘導網72を取り付けている。
【0027】
図1,図2,図5,図9に示すように、堤体1内には監査廊73が設けられており、監査廊73の縁側に自動定流量装置74を設け、隣接して利水放流設備20が設けられている。
自動定流量装置74は取水ゲート15内の取水部下流側に開口する供給管75(図4参照)と接続され、内部にはポンプ76、流量設定弁、シリンダ、圧力調整弁が併置され、自動定流量装置74からの流出水は導水管77により鋼製減勢工37に接続され、また、導水管77は鋼製減勢工37に貫入する手前で分岐して呼び水用配管29に接続している。
【0028】
図9、図13に示すように、導水管77は、高さ方向に4〜5段の箱形室78を形成した鋼製減勢工37の最下段箱形室78の左岸側側壁を貫通し、先端は右岸側側壁近傍まで延び、端部は閉塞している。
図12、図13に示すように、箱形室78に貫入した導水管77は円周方向には上下左右その中間位置にオリフィス孔79を設けている。
鋼製減勢工37は図11に示すように、円弧状側壁80を有し、最下段箱形室78の天井部は縦横の一定ピッチにオリフィス孔79を開けた阻流板81が取り付けられ(図11(a)参照)、さらに、その上の阻流板81には1/2ピッチ交互にずらした位置にオリフィス孔79を配している(図11(b)参照)。このように、オリフィス孔79を1/2ピッチずらして阻流板81が複数取り付けられている。なお、阻流板81の縁部に水抜き孔82が開けられている。
【0029】
フローチングブロック42は鋼製の浮体構造にされ、図19ないし図21に示すように、案内架構38の案内軌条70に、フローチングブロックに取り付けた引っ掛け金物83で上下動自在に接続されている。これにより、フローチングブロック42は水位変動に追従し水面上に位置される。
フローチングブロック42にはその上面に集魚用ランプ57、水中ポンプ84が設けられ、フローチングブロック42に設けた枝部材85は水平に回動自在な片持ちトラス架構とし、フラッシング状散水を行う散水管86が支持され、散水位置を変えることが可能である。
フローチングブロック42下流側に設けた魚侵入防止金網87(図19参照)は案内架構38と堤体1間に迷入する魚類の進入防止と塵埃の巻き込みを防止するために設けている。
【0030】
次に、取水ゲート15の作用を説明する。
i)上層取水(貯水面からの清澄水・温水を取水する)
通常、取水ゲート15は貯水面から規定の取水深hを差引いた位置に最上段の扉体aの呑口45面を保ち、前述の如く各々扉体(a,b,c,d)の下段補剛桁51に上段補剛桁50を引っ掛け「すだれ状」に配置し、最下段の扉体d下端は底部コンクリート面に埋設された戸当り53に接触している。
上下の水位変動につれて扉体aは,堤体貯水面側に設けた水位計を介し開閉装置2の運転により規定の取水深hを保ち乍ら変動に追従し計画取水量を呑口(取水盤)45より取水する。
ii) 中層、下層取水
中層取水の場合は貯水池水深の中間位置まで扉体aの呑口45を下げ、中層位置での貯溜水を取水する。
下層取水の場合は底部コンクリート面より所要高さ迄、「すだれ状」になっている一連の扉体(a,b,c,d)を巻上げ、扉体dの底部より取水する。
【0031】
取水ゲート15を常時満水位以上のレベルに巻き上げて保守点検を行う場合は、図6に示すように、カウンターウエイト49を人力で嵌方向にセットし最上段扉体aを巻下げ、最下段扉体dの上部に設けたピン47に自動的に嵌合させ、扉体(a,b,c,d)を一括たばねた状態で保守レベルの床面迄巻上げ保守点検を行う。
保守点検終了後通常の取水位置に扉体(a,b,c,d)を移動する場合は、カウンターウエイト49を脱方向にセットしてから巻下げ、最下段扉体dの下端が底部コンクリート面に着床すれば、吊り上げフック48が嵌脱機構によりピン47から外れることになる。
ピン47から吊り上げフック48が外れた後にワイヤ4を巻上げてゆくと、最下段扉体dは着床しており、最上段扉体aは中間の扉体b,cを吊り下げたまま上昇し、所要のレベルで停止して規定量の取水を行うことができる。
【0032】
従来の半円形または直線多段式ゲートの場合、最上段ゲート呑口直上に整流板を設け取水時に発生する空気吸込を防止しているが、本案では、呑口中心位置に円形通路構造物を配することにより、かかる空気吸込み現象を回避することができる。
また、円形通路構造物の後方に整流板を対称に設けることにより、水流を利水放流管18の呑口に円滑に誘導することができる。
【0033】
次に、高ダム用魚道装置の作用を説明する。
本案は遡上・降下魚の移動障害となる高ダムに魚類の搬送設備を設け、堤体内の階段式魚道10を遡上した魚をケージ36に確実に収客、上流貯水池に解放する。また降下魚は集魚・誘導の手段を有するフローチングブロック42を介してケージ36内に誘われ、搬送手段により堤体内魚道の集魚槽31に解放され、階段式魚道10の流れに沿ってダム下流に流下させる。
【0034】
階段式魚道10には鋼製減勢工37により遡上・降下魚に適した流速と良好な水理的流れを作り、一方、魚道入口には魚類の向流性を刺戟し、遡上能力をより高めるため、魚道に平行し流速の大きい流水を呼び水として呼び水用配管29より流出させる。
これらの流水は取水ゲート15の取水部から導水し、貯水上層の温水が自動定流量装置74(特願平8−334729号参照)に流入する。温水は自動定流量装置74の導水管77より必要流量が流下される。温水流は魚の生態系に最も適しており、冷水の取水を避けるために温水取水設備を別に設けることもない。
【0035】
鋼製減勢工37では、導水管77のオリフィス孔79から圧力水が噴出され、噴出した流水は直上の阻流板81に設けたオリフィス孔79から流出し、さらに直上の阻流板81のオリフィス孔79を通過し、漸次減勢され最上段水面では静水面となり、静水が周囲側壁の切欠き部から落下する。そして、階段式魚道10を通過してダム堤外に流出する。
【0036】
貯水池側では、フローチングブロック42のフラッシュ状の散水により、遡上魚に対してケージ36内から貯水池14側に誘い出す効果があるが、散水管86の位置を変え、案内架構38上流面にフラッシュ状の散水を行い、降下魚を誘引させ、貯水池14からケージ36内への誘導と集魚を行うことができる。夜間時、集魚用ランプ57を併用する。
また、ケージ36の下流側側壁に設けた水平ジェット噴射用配管59から噴出するジェット流は、降下魚をケージ36内に集める効果があり、ケージ上部にある散水装置56と集魚用ランプ57も同様の効果がある。
【0037】
次に、遡上魚の収容と搬送手順について説明する。
まず、遡上魚は魚道入口の呼び水用配管29から噴射した呼び水に誘引され、堤体内階段式魚道10を遡上する。階段式魚道10では天井の照明ライト33により遊泳を促し、集魚槽31と円形通路34に連通する垂直通路35下部を遊泳、滞留しているものとする。
このとき、自動定流量装置74により、取水ゲート15取水部から温水を流入させ、減勢工37上部からの落下水による流れと呼び水が常に作られている。
このような状況の中で、ケージ36を着床し、下流側側扉54を引上げ、集魚槽31と交通出来る状態とする。追い込み装置60は集魚槽31の下流側位置に配置され、追い込み網63を引き上げておく。
【0038】
一定時間経過後、追い込み網63を水中に入れ、台車62を上流側位置まで走行させる。そして、下流側側扉54を閉め、遡上魚をケージ36内に強制収容する。
収容後は巻上走行装置39により、ケージ36を操作室12まで引上げ、台車41を横行させて案内架構38中心位置で停止させる。次にケージ36を引下げ貯水池水面に一致させて停止し、上流側側扉54を引上げ貯水池14と交通させる。
【0039】
ケージ36内の魚はフローチングブロック42の散水管86から噴射した散水により刺戟され、ケージ36から貯水池14側へと移動する。このとき、魚用人工水路68を案内架構38に接続させれば遡上魚をより遠方に、アバー(防塵装置)を越えて上流側に移動させることができる。このサイクル操作を繰返すことにより遡上魚の上流への移動が可能である。
一定時間経過後、上流側側壁扉54を閉め切ることになるが、その時期に降下魚が遊泳していれば、ケージ36内に降下魚を収容することになる。
一定時間経過後は前述の手順の逆でケージ36を円形通路34の下方底部まで移動し、遡上魚の収容に備える。このとき、ケージ36内に降下魚が収容されていれば、降下魚は集魚槽31に放流される。
【0040】
次に、降下魚の収容と搬送手順について説明する。
搬送手順を説明する前に案内架構38に接続したフローチングブロック42からフラッシュ散水が貯水面に落下しており、貯水池水面に合せ停止させたケージ36の前面水域に降下魚が遊泳、集魚しているものとする。なお、夜間ならば併設された集魚用ランプ57も点灯させている。
次に、上流側壁扉54を開け、散水し、かつ、下流側側壁扉54の水平ジェット噴射用配管59から水平噴流を噴出させる。夜間ならば集魚用ランプ57を点灯する。この状態を一定時間続けることにより、より一層魚類を刺戟し、ケージ36内に誘引できる。
【0041】
一定時間経過後、上流側側壁扉54を閉め切り、降下魚を収容したままケージ36を巻上げ、操作室12内を移動させ、円形通路34内を降下させて下方底面に着床させる。そして、ケージ36の下流側側壁扉54を吊り上げ、流れのある集魚槽31に魚を解放する。そして、降下魚は堤体内階段式魚道10を通って堤外下流に移動する。このサイクル操作を繰返すことにより降下魚の下流への移動が可能である。
さらに、一定時間経過後に下流側側壁扉54を閉め切ることになるが、その時期に遡上魚が遊泳していれば、ケージ36内に遡上魚を収容することになる。
このケージ36は手順により案内架構38を降下させ貯水池水面に停止、上流側側壁扉54を引上げる。このとき、遡上魚を収容していれば遡上魚は貯水池に解放されることになる。
【0042】
また、通常の取水設備に設ける足場16aと鋼床版65とにより、諸ゲートの保守、点検に充分な広さが確保でき、同時に、鋼床版65、連結部材66によって、円形通路34を堅固にさせている。
また、円形通路34下流に、内部を鉄筋コンクリートまたはジーベルを溶接した鋼板にコンクリートを充填した構造とした整流板67を設けることにより、取水流の流れを良好にすると共に円形通路34の剛性を高め、水流方向の地震時荷重に対し強度を確保できる。
【0043】
また、円形通路34下部からダム本体減勢工27の始点まで堤体内を貫通した階段式魚道10を設けているので、堤体外に、遡上に適した勾配でダム頂までつづら折りに構築するコンクリート製魚道よりも魚道長さが著しく短縮され、魚道の施工費が低減できる。なお、前述したように、内筒形状の内張り鋼管を連続に組み付けて堤体内魚道を構成することで、土木施工費が低減できる。
【0044】
実施例の高ダムでは、案内架構38の内部にケージ36を昇降させることにより、貯水池水面の水位変動が非常に大きな場合、例えば約22mの場合でも対応できるものであり、従来よりも対応巾が大きくとれることである。
また従来方式のセクター式魚道(図27参照)で水位変動に追従しようとすると、堤体に変動巾プラス余裕高に相当する高さの魚道水路を設ける必要があり、水路高さの如何によっては堤体強度に影響をあたえるものである。よって、設定変動幅はおのずから制限を受ける。本案の優位性がここにある。
【0045】
また、本案では、自動定流量装置74を設け、貯水池14の水位変動があっても、設定流量を一定に流下させ、この圧力水を鋼製減勢工37を介し堤体内階段式魚道10を流下させ、かつ、呼び水として利用している。
さらに、自動定流量装置74へは、取水ゲート15の取水部より温水を導水することができるので、冷水による魚の遊泳力を低下させることを防いでいる。
【0046】
取水装置と魚道装置をダムに併設する場合、実施例では、取水ゲート15の取水部と魚道の上流側構造物を1ブロック区画(通常、幅15m,横継ぎ目の間隔)内に設置するので、各々を単独で据え付ける場合よりも本体打設スケジュールへの影響は小さいという利点がある。また、堤体上流側に突出する装置形状が1か所のみとなるので周囲の景観を乱すことなく、景観設計となる。
さらに、設置施工されるべき両者の各要素が1区画に集中し、内側から外側へと各要素を順序よく据え付けることにより、荷役重機の移動距離も短く、足場等も近距離での転用が可能であり、作業効率が良く安全面に留意しながら作業を進めれば据え付け工費は低減できる。
【0047】
通常、魚道には魚類の生態系に適した水温の流水を流出させる必要があるが、本案では、両装置を組み合わせることにより、取水部から上層の温水を魚道に導水することができ、別途の温水取水装置が不要となる。
本案では、操作室に両装置の開閉装置2、巻上搬送装置39が配置され、堤体上流面には取水ゲート15、円形通路34、案内架構38が隣接しており、また、堤体下部には、利水放流設備20と自動定流量装置74、堤体内魚道上流端には鋼製減勢工37、追い込み装置60が隣接設置されているので、これらの集中管理ができ、保守、点検が容易になる。
【0048】
次に、一対のピア6間に取水部を配し、両側に円形通路34と鉛直通路(案内架構38)を配置した高ダムについて図23、図24を参照して説明する。
ピア6間には、直線多段式ゲートを設け、扉体(a,b,・・)をすだれ状に作動させる。ピア6の左岸(図面上、上部位置)にはピア内部に円形通路34が形成され、集魚槽31、階段式魚道10が連絡されている。また、ピア6の右岸(図面上、下部位置)には側壁に沿って鉛直通路88(案内架構38)が設けられている。なお、追い込み装置等、上記実施例と共通に設置可能なものは説明を省略する。
【0049】
図23、図24に示すダムに共通してピア6の左岸にフローチングブロック42が設けられ、装備した水中ポンプ84、散水管86によりフラッシング散水をして降下魚を誘引させる。また、集魚用ランプ57も取り付けられている。
【0050】
図23に示すように、ピア6の上流面は中央に取水口スクリーン17が設けられ、全体として一面構造になっている。そして、取水口スクリーン17上流面に沿い、右岸上流面に対向するL型コンクリート面89を構成し、取水口の取水水流に直角な方向にバイパス用の流れを創成している。L型コンクリート面89は高さ方向に数か所連結部材89aによって堤体1と結合されている。
バイパス水路90はピア側壁とL型コンクリート面89で形成し、水路出口にフローチングブロック91を設け、フローチングブロック91に水中ミキサーポンプ92を搭載している。水中ミキサーポンプ92を作動させることにより、バイパス水路90に水流が発生する。
【0051】
バイパス水路90には、ケージ36を昇降させるための鉛直通路88が交差し、鉛直通路88の貯水池水面に位置した箇所にケージ36が定置される。ケージ36は上・下流側側壁扉54を引き上げ、ケージ36内を流水が通過するようになっている。そして、下流側側壁扉54位置にケージ36の可動に支障とならぬ位置に魚の散逸を防ぐための金網93を鉛直通路に沿って取り付けている。
【0052】
このバイパス水路90の流れは降下魚を確実にケージ36内に捕捉しておくためのもので、一定時間経過後、降下魚は金網93の前面に集合することになり、上・下流側側壁扉54を閉め切り、ケージ36内に魚を収容する。その後、巻上走行装置39により円形通路34に搬送される。
この場合、降下魚は流れに沿って降下して行くと考えられるため、下流側側壁扉54には水平ジェット流用配管は設けない。
この取水口スクリーン17を通過する流れと直角方向に設けるバイパス水路90の組み合わせは降下魚をより確実に降下させる効果がある。
【0053】
一方、L型コンクリート面89を構築せずに、図24に示すように、ピア6側壁に案内架構38を設け、案内架構38の主柱と堤体1にレール94を設けてフローチングブロック95を昇降自在に配置し、フローチングブロック95の上流側に整流用側鋼板96を取り付けて略L状のバイパス水路90を形成する。この場合、水中ミキサーポンプ92はフローチングブロック95の堤体側に搭載し水中に位置させる。
景観上からすると、図24に示す魚道の方が堤体上流面からの突出部分が小さく堤体上流面になじんだ形状となる。
さらに、案内架構38が構築の都合により、ピアより離れる場合は、堤体から側鋼板を延設し、案内架構38の主柱と連結する。また、案内架構38の長さは水位変動の低位までであるので、重量負担が少なく移動設置はそれほど困難ではない。また、バイパス水路90の入口は取水口から離れるので、整流用側鋼板96を延長するか、バイパス水路90を省略するようにする。
【0054】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したものであり、一対のピア間(堤体標準横継ぎ目間隔、例えば15m程度に相当する)に取水装置および魚道装置を設置するので、堤体の他ブロック打設スケジュールに影響を与えることなくダム完成期日に合わせ独自の施工計画が組める。
また、取水装置および魚道装置が併設されるので、据え付け用重機の高能率の運用、足場等近い距離の移動可能で、作業性が良く、施工費を低減できる。また、装置完成後は、両者が1か所に配置されているので、保守、点検等の集中管理ができる。
さらに、堤体上流面より突出する構造物が1か所のみとなるので周辺土木構造形状に合致でき景観設計となる。
【0055】
取水ゲートの基礎コンクリートおよび足場と円形通路の支持部材が共通化され、剛性強度を高くすることができ、また、取水部呑み口から表層取水した温水を自動定流量装置により、堤体内の魚道に流下することができるので、水温が低くて魚の遊泳能力が低下することを防止できる。
また、取水部呑み口に隣接して魚収容の搬送ケージを貯水面に合わせ、停止し待機させるので、降下魚を集魚、誘引用装置を作動させケージに収容することのほか、取水の流れを降下魚に作用させ、降下魚をケージに収容し易くさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による取水及び魚道併置型ダムの側断面図である。
【図2】図1に示すダムの上面図である。
【図3】図1に示すダムの正面図である。
【図4】図1に示すダムの取水及び魚道の要部を示す側断面図である。
【図5】図4の右側連続部を示す側断面図である。
【図6】取水ゲートの扉体の上端を示す要部側面図である。
【図7】(a),(b)により取水ゲートおよび円形通路を示した断面図である。
【図8】取水ゲート上部の平面図である。
【図9】ダム内部の集魚槽および利水放流設備の平面図である。
【図10】ダムの操作室の平面図である。
【図11】鋼製減勢工の阻流板の上部下部のオリフィス孔の位置の違いを(a)、(b)により示した平面図である。
【図12】鋼製減勢工の側断面図である。
【図13】鋼製減勢工の正面図である。
【図14】魚搬送用のケージの側面図である。
【図15】魚搬送用のケージの下流側側壁扉に備えた水平ジェット噴射用配管の正面図である。
【図16】図15に示す水平ジェット噴射用配管の上面図である。
【図17】図15に示す水平ジェット噴射用配管の側面図である。
【図18】ダムに構築した魚道の断面図である。
【図19】図18に示す案内架構の平面図である。
【図20】案内架構に備えたフローチングブロックの側面図である。
【図21】案内架構に備えたフローチングブロックの正面図である。
【図22】案内架構および人工水路の上面図である。
【図23】取水ゲートと円形通路の位置を変えたダムの変形例を示す断面図である。
【図24】図23に示すダムのバイパス水路の変形例を示す断面図である。
【図25】従来の選択取水装置の断面図である。
【図26】図25の装置の上面図である。
【図27】従来のセクター式魚道の斜視図である。
【符号の説明】
1 ダム堤体
6 ピア
10 堤体内魚道(階段式魚道)
12 操作室
14 貯水池
15 取水ゲート
29 呼び水用配管
33,86 集魚装置
34 閉断面通路体(円形通路)
36 魚搬送用ケージ
37 鋼製減勢工
38 開断面通路体(案内架構)
39 巻上走行装置
42 フローチングブロック
54 下流側側壁扉
59 水平噴射水の発生装置
74 自動定流量装置
77 導水管
89 L字状壁面
90 バイパス水路
92 水中ミキサーポンプ
Claims (4)
- ダム堤体の貯水池側に突出するピアを設け、該ピアに支持して魚搬送用ケージを収容し昇降可能な閉断面通路体および開断面通路体をそれぞれ鉛直方向に並設し、
前記閉断面通路体の通路下端はダム下流に開口する堤体内魚道に接続し、上端は前記ピア上に設けた操作室に連絡させ、
前記開断面通路体の通路下端はピア下部のコンクリート基礎床版に固定され、上端は前記操作室に連絡し、前記操作室内に設けた巻上走行装置を介して両者の通路を連絡し、
前記ピアに支持して取水ゲートを併設し、該取水ゲートの取水部の一部流水を前記堤体内魚道に流下させたことを特徴とする取水及び魚道併置型ダム。 - 取水ゲートの取水部に、自動定流量装置を介して堤体内魚道の入口に流水を噴出させる呼び水配管を接続すると共に、堤体内魚道の上流側に設けた鋼製減勢工に連絡する導水管を接続したことを特徴とする請求項1記載の取水及び魚道併置型ダム。
- 貯水池水面に接する開断面通路体には左右側構面にフローチングブロックを昇降自在に接続させ、フローチングブロックには照明ランプ、フラッシング散水等の集魚装置を搭載させ、また、魚搬送用ケージの下流側側壁扉には水平噴射水の発生装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の取水及び魚道併置型ダム。
- ダム堤体の貯水池側に突出する一対のピアを設け、該ピア間に取水ゲートを設けると共に、一方のピアに支持して魚搬送用ケージを収容し昇降可能な閉断面通路体を鉛直方向に並設し、該閉断面通路体の通路下端はダム下流に開口する堤体内魚道に接続し、上端は前記ピア上に設けた操作室に連絡させ、
他方のピアに支持して魚搬送用ケージを収容し昇降可能な開断面通路体を鉛直方向に並設し、該開断面通路体の通路下端はピア下部のコンクリート基礎床版に固定され、上端は前記操作室に連絡し、前記操作室内に設けた巻上走行装置を介して両者の通路を連絡し、
前記取水ゲートの直前にL字状壁面を構築すると共にL字状バイパス水路を形成し、該バイパス水路内に前記開断面通路体を収容し、バイパス水路下流端に水位変動に追従する水中ミキサーポンプを配設したことを特徴とする取水及び魚道併置型ダム。
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