JP3600145B2 - 作業機械のブレーキ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クレーンや基礎機械を初めとする建設機械等の作業機械のブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような作業機械のブレーキ装置としては、クレーンの吊り荷等の巻上・巻下げを行うウインチドラムに適用されたブレーキ装置がある。
【0003】
図1は、従来の作業機械のブレーキ装置の構成を示す油圧回路図である。一般的なウインチドラムには、ブレーキドラム1が一体に設けられ、このブレーキドラム1にブレーキバンド2が巻かれている。ブレーキバンド2は、一端が静止部3に固定され、他端がブレーキレバー4の一端に取り付けられている。ブレーキレバー4は、支点5を中心に回動し、他端にはブレーキシリンダ6が連結されている。ブレーキレバー4は、ブレーキシリンダ6の伸長動作によって支点5を中心に回動し、復元バネ7の弾性復元力に抗してブレーキバンド2を締める。ブレーキシリンダ6は油圧管8を介してマスタシリンダ9とつながれている。マスタシリンダ9は連結されたブレーキペダル10の操作力を油圧管8を介してブレーキシリンダ6へ伝達する。
【0004】
また、ブレーキレバー4の他端には自動ブレーキ解除シリンダ11と共にブレーキバネ12が取り付けられている。ブレーキバネ12は、弾性復元力によりブレーキレバー4をブレーキバンド2を締める方向に回動させて、ブレーキドラム1に自動ブレーキをかけている。自動ブレーキ解除シリンダ11は、油圧ポンプ13から方向制御弁15および油圧管14を介して圧油の供給を受けることにより、ブレーキバネ12の弾性復元力に抗してブレーキレバー4を回動させ、ブレーキドラム1の自動ブレーキを解除する。方向制御弁15は、油圧ポンプ13から自動ブレーキ解除シリンダ11への圧油の供給ラインと、自動ブレーキ解除シリンダ11へ供給された圧油を油タンク16へ漏出させるラインとを切り換える。
【0005】
このような従来の作業機械のブレーキ装置においては、通常、自動ブレーキ解除シリンダ11は作動しておらず、ブレーキ装置は自動ブレーキのかかった自動ブレーキモードになっている。この自動ブレーキモード時は、ブレーキバネ12の弾性力により回動したブレーキレバー4がブレーキバンド2を締めることによって、ブレーキドラム1に自動ブレーキがかかっている。自動ブレーキは、ウインチドラムの操作レバーが手動で操作され、ウインチドラムが巻上・巻下げ動作をする際に自動的に解除される。
【0006】
油圧ポンプ13からの圧油供給により自動ブレーキ解除シリンダ11が作動されると、ブレーキ装置は自動ブレーキが解除されているフリーモードになる。このフリーモード時に、オペレータによってブレーキペダル10が操作されると、その操作力は、マスタシリンダ9により油圧管8を介してブレーキシリンダ6に油圧力として伝わる。ブレーキシリンダ6は、この油圧力により伸長してブレーキレバー4を回動させ、ブレーキバンド2を締めてブレーキドラム1を制動する。
【0007】
ブレーキドラム1の制動時にブレーキレバー4が受けるブレーキ反力は、ブレーキシリンダ6から油圧管8およびマスタシリンダ9を介してブレーキペダル10へ伝わる。従って、フリーモード時において、オペレータは、このブレーキ反力をペダル反力として感じ取り、ブレーキペダル10の操作力を制御してブレーキドラム1の制動力をコントロールすることが出来る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の作業機械のブレーキ装置においては、自動ブレーキモードとフリーモードとの切り換えは、クレーンの運転室内に設けられた自動ブレーキを解除するスイッチの入切によって行われる。スイッチが入れられて自動ブレーキが解除されると、ブレーキ装置がフリーモードになったことを知らせるランプが点灯する。しかし、オペレータは、吊り荷作業中は吊り荷の方へ視線を投じているため、運転室内のランプの点灯を頻繁に視認することは容易ではない。このため、オペレータは、ランプ点灯の確認を怠りがちになり、現在のブレーキ装置の作動モードを間違えやすい。
【0009】
ブレーキ装置がフリーモードであるにも関わらず、オペレータが自動ブレーキモードと勘違いしてブレーキペダル10の操作を停止すると、ブレーキドラム1にかかる制動力が無くなってウインチドラムが空回りし、吊り荷が落下するなどして重大事故に繋がる恐れがある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、ブレーキドラムに作用して制動させるブレーキシリンダと、ブレーキドラムを制動させる際にオペレータによって操作されるブレーキペダルと、このブレーキペダルの操作を油圧管を介してブレーキシリンダに伝えるマスタシリンダと、ブレーキドラムに自動ブレーキをかける自動ブレーキ装置と、油圧ポンプから圧油の供給を受けて作動し,自動ブレーキ装置の作動を停止させてブレーキドラムの自動ブレーキを解除する自動ブレーキ解除シリンダとを備えた作業機械のブレーキ装置において、一方の油室が油圧ポンプおよび自動ブレーキ解除シリンダをつなぐ油圧管に配管され、他方の油室がマスタシリンダおよびブレーキシリンダをつなぐ油圧管に配管された複動シリンダを設けたことを特徴とする。
【0011】
このような構成において、油圧ポンプから圧油が供給されて自動ブレーキ解除シリンダにかかる油圧力が上昇すると、複動シリンダの一方の油室へも圧油が流入するため、各油室を仕切るピストンは他方の油室側に押される。ピストンが押されることにより、他方の油室内の圧油はマスタシリンダおよびブレーキシリンダをつなぐブレーキ管路へ流出する。このため、マスタシリンダにかかる油圧力は上昇する。従って、自動ブレーキ解除シリンダにかかる油圧力が上昇するフリーモード時においては、マスタシリンダにかかる油圧力も上昇するのでブレーキペダルの操作に対するペダル反力は強くなり、ブレーキ作動時のブレーキペダルのペダル位置は浅くなる。
【0012】
また、油圧ポンプからの圧油の供給が停止され、自動ブレーキ解除シリンダからタンクへ圧油が戻って自動ブレーキ解除シリンダにかかる油圧力が下降すると、複動シリンダの一方の油室内の圧油も流出してタンクへ戻るため、ピストンは他方の油室側の圧油に押されて一方の油室側へ移動する。このため、ブレーキ管路の圧油が他方の油室に流入してマスタシリンダにかかる油圧力は下降する。従って、自動ブレーキ解除シリンダにかかる油圧力が下降する自動ブレーキモード時においては、マスタシリンダにかかる油圧力も下降するのでブレーキペダルの操作に対するペダル反力は、フリーモード時のペダル反力に比べて弱くなり、ブレーキ作動時のブレーキペダルのペダル位置は深くなる。
【0013】
従って、オペレータは、ブレーキペダルのペダル反力またはブレーキ作動時のペダル位置の違いを体感することにより、ブレーキ装置が現在自動ブレーキモードであるかフリーモードであるかを判別することが出来る。
【0017】
また、本発明は、複動シリンダが、マスタシリンダおよびブレーキシリンダおよびこれらをつなぐ油圧管内の圧油を所定量吸収する油室容量を有していることを特徴とする。
【0018】
このような構成において、複動シリンダは、マスタシリンダ、ブレーキシリンダおよびこれらをつなぐ油圧管内の圧油をペダル反力が大きく変化する所定量吸収する。このため、自動ブレーキモード時のブレーキペダルの操作に対するペダル反力は、フリーモード時のペダル反力に比べて明確に弱くなる。また、自動ブレーキモード時におけるブレーキ作動時のペダル位置は、フリーモード時におけるブレーキ作動時のペダル位置より明らかに深くなる。
【0019】
また、本発明は、複動シリンダが、自動ブレーキを解除させる際に一方の油室にかかる油圧力が、ブレーキドラムを制動させる際に他方の油室にかかる油圧力の最大値より大きく設定されていることを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、フリーモード時において、ブレーキペダルの操作力が最大となって複動シリンダの他方の油室にかかる油圧力が最大値になっても、複動シリンダのピストンが他方の油室側から一方の油室側へ押され続けることはなく、ブレーキ装置はブレーキペダルの操作に応じて正常に作動する。従って、ブレーキペダルの操作力は、その操作力に応じたペダル反力としてブレーキペダルに伝わる。
【0021】
また、本発明は、ブレーキドラムに作用して制動させるブレーキシリンダと、ブレーキドラムを制動させる際にオペレータによって操作されるブレーキペダルと、このブレーキペダルの操作を油圧管を介してブレーキシリンダに伝えるマスタシリンダと、ブレーキドラムに自動ブレーキをかける自動ブレーキ装置と、油圧ポンプから圧油の供給を受けて作動し,自動ブレーキ装置の作動を停止させてブレーキドラムの自動ブレーキを解除する自動ブレーキ解除シリンダとを備えた作業機械のブレーキ装置において、一方の油室が油圧ポンプに配管され、他方の油室がマスタシリンダおよびブレーキシリンダをつなぐ油圧管に配管された複動シリンダと、一方の油室と油圧ポンプとの間の油圧管に設けられた方向制御弁とを備えて構成され、方向制御弁が、自動ブレーキ解除シリンダにかかる油圧力に変化が生じて発生される自動ブレーキ解除信号を検出すると、油圧ポンプの圧油を直接に複動シリンダの一方の油室に供給する側に切り換え、自動ブレーキ解除信号が検出されないと、油圧ポンプから一方の油室への圧油供給を停止させる側に切り換えることを特徴とする。
【0022】
このような構成において、自動ブレーキ解除シリンダにかかる油圧力が上昇して自動ブレーキ解除信号が出力されると、方向制御弁は、油圧ポンプから複動シリンダの一方の油室へ直接に圧油を供給する側に切り換わり、一方の油室に圧油を供給させる。一方の油室に圧油が流入すると、ピストンが他方の油室側に押され、他方の油室内の圧油はマスタシリンダおよびブレーキシリンダをつなぐブレーキ管路へ流出する。このためマスタシリンダにかかる油圧力は上昇する。従って、フリーモード時においては、ブレーキペダルの操作に対するペダル反力は強くなり、ブレーキ作動時のペダル位置は浅くなる。
【0023】
また、自動ブレーキ解除シリンダにかかる油圧力が下降して自動ブレーキ解除信号の出力が停止されると、方向制御弁は、油圧ポンプから一方の油室への圧油の供給経路を遮断する側へ切り換わり、一方の油室への圧油の流入を停止させ、一方の油室内の圧油をタンクへ排出させる。一方の油室内の圧油が流出することにより、ピストンが一方の油室側へ移動し、マスタシリンダおよびブレーキシリンダをつなぐブレーキ管路の圧油が他方の油室に流入する。このため、マスタシリンダにかかる油圧力は下降する。従って、自動ブレーキモード時においては、ブレーキペダルの操作に対するペダル反力は、フリーモード時のペダル反力に比べて弱くなり、ブレーキ作動時のペダル位置は深くなる。
【0024】
また、本発明は、自動ブレーキ解除シリンダにかかる油圧力の上昇を検出すると出音する出音装置を設けたことを特徴とする。
【0025】
このような構成において、自動ブレーキ解除シリンダにかかる油圧力が上昇してフリーモードになると、出音装置は案内音例えば音声を出音する。従って、オペレータは、案内音を聴くことによってブレーキ装置がフリーモードであることを認識することが出来る。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による建設機械のブレーキ装置をクレーンのウインチドラムに適用した一実施形態について説明する。
【0027】
図2は本実施形態による建設機械のブレーキ装置の構成を示す油圧回路図である。なお、同図において図1と同一または相当する部分には同一符号を付して説明する。
【0028】
ウインチドラムに一体に設けられたブレーキドラム1には、ブレーキバンド2が巻かれている。ブレーキバンド2は、一端が静止部3に固定され、他端がブレーキレバー4の一端に取り付けられている。ブレーキレバー4は、リンク形状を成しており、他端にはブレーキシリンダ6が連結されている。ブレーキシリンダ6は、伸長動作によってブレーキレバー4を支点5を中心に回動させ、復元バネ7の弾性復元力に抗してブレーキバンド2を締める。ブレーキシリンダ6は油圧管8を介してマスタシリンダ9とつながれている。マスタシリンダ9はブレーキペダル10と連結されており、オペレータによって操作されたブレーキペダル10の操作力を油圧管8を介してブレーキシリンダ6へ油圧力として伝達する。
【0029】
また、ブレーキレバー4の他端には自動ブレーキ解除シリンダ11と共にブレーキバネ12が取り付けられている。ブレーキバネ12は、弾性復元力によりブレーキレバー4をブレーキバンド2を締める方向に回動させて、ブレーキドラム1に自動ブレーキをかけている。自動ブレーキ解除シリンダ11は、油圧ポンプ13から方向制御弁15および油圧管14を介して圧油の供給を受けて伸長し、ブレーキバネ12の弾性復元力に抗してブレーキレバー4を回動させ、ブレーキドラム1の自動ブレーキを解除する。方向制御弁15は、油圧ポンプ13から自動ブレーキ解除シリンダ11への圧油の供給ラインと、自動ブレーキ解除シリンダ11へ供給された圧油を油タンク16へ漏出させるラインとを切り換える。
【0030】
また、油圧管8と油圧管14とは、複動シリンダ17を介して油圧管18a,18bによってつながれている。複動シリンダ17は、ピストン17pによって仕切られた2つの油室17a,17bを有し、一方の油室17aが油圧管18aによって油圧管14へ配管され、他方の油室17bが油圧管18bによって油圧管8へ配管されている。また、複動シリンダ17の各油室17a,17bの油室容量は、マスタシリンダ9、ブレーキシリンダ6および油圧管8内の圧油を、ブレーキペダル10の操作時に発生するペダル反力が大きく変化するまで吸収できる所定容量に設定されている。複動シリンダ17は、自動ブレーキ解除シリンダ11にかかる油圧力の変化を検出し、ブレーキ管路の容積を制御してマスタシリンダ9にかかる油圧力を制御する油圧制御装置を構成している。ここで、ブレーキ管路の容積は、油圧管8,18b,油室17bの各容積の和に相当する。
【0031】
このような本実施形態による作業機械のブレーキ装置においては、通常、自動ブレーキ解除シリンダ11は作動しておらず、ブレーキ装置は自動ブレーキのかかった自動ブレーキモードになっている。この自動ブレーキモードは、ブレーキバネ12の弾性力により回動したブレーキレバー4がブレーキバンド2を締めることによって、ブレーキドラム1に自動ブレーキがかかっている状態である。
【0032】
自動ブレーキモードにおいては、自動ブレーキ解除シリンダ11への圧油の供給が行われないため、自動ブレーキ解除シリンダ11にかかる油圧力は極めて低く、自動ブレーキ解除シリンダ11へつながっている複動シリンダ17の油室17a内の油圧力も極めて低い。このため、ピストン17pが、ブレーキ管路側の圧油に押されて図3に示す矢印Aの向きに移動し、油室17bの油室容量が増加する。油室17bの油室容量が増加すると、マスタシリンダ9、ブレーキシリンダ6および油圧管8内の圧油のうち前述した所定量の圧油が油圧管18bを介して油室17bに吸収され、ブレーキ管路の油圧力は減少する。つまり、ブレーキ管路の容積が増加する分、ブレーキ管路の油圧力は減少し、マスタシリンダ9にかかる油圧力も減少する。従って、自動ブレーキモード時は、ブレーキ作動時のブレーキペダル10のペダル位置は深くなり、オペレータによってブレーキペダル10が操作されても、その操作力がブレーキシリンダ6を作動させる油圧力として働くことは殆どなく、ブレーキペダル10へのペダル反力も殆ど発生しない。
【0033】
なお、自動ブレーキモードにおいて、自動ブレーキは、ウインチドラムの操作レバーが手動で操作されてウインチドラムが巻上・巻下げ動作をする際に自動的に解除されるので、通常の吊り荷作業を行う場合は、いちいち自動ブレーキ解除シリンダ11を作動させて自動ブレーキを解除する必要はない。
【0034】
しかし、掘削工事などに用いられるクレーンにおいては、吊り上げたクラムシェルバケットなどの工具を自由落下させる場合等に、任意に自動ブレーキを解除することがある。自動ブレーキが解除されている場合、ブレーキドラム1の制動はオペレータのブレーキペダル10の操作によってコントロールされる。
【0035】
油圧ポンプ13から圧油が供給されて自動ブレーキ解除シリンダ11が伸長すると、ブレーキレバー4はブレーキバネ12の弾性復元力に抗して回動し、ブレーキドラム1の自動ブレーキを解除する。このとき、ブレーキ装置は、自動ブレーキのかかっていないフリーモードとなる。
【0036】
このフリーモードにおいては、油圧ポンプ13から自動ブレーキ解除シリンダ11に圧油が供給されると共に、油圧管18aを介して複動シリンダ17の油室17aへも圧油が流入する。このため、ピストン17pが、図4に示す矢印Bの向きに押されて、油室17bの油室容量は減少する。油室17bの油室容量が減少すると、油室17b内の圧油が油圧管18bへ流出し、ブレーキ管路の油圧力は増加する。つまり、ブレーキ管路の容積が減少する分、ブレーキ管路の油圧力は増加し、マスタシリンダ9にかかる油圧力も上昇する。従って、フリーモード時は、ブレーキ作動時のブレーキペダル10のペダル位置は浅くなり、オペレータによってブレーキペダル10が操作されると、その操作力はマスタシリンダ9により油圧管8を介してブレーキシリンダ6に油圧力として伝わる。ブレーキシリンダ6は、この油圧力により伸長してブレーキレバー4を回動させ、ブレーキバンド2を締めてブレーキドラム1を制動する。
【0037】
また、ブレーキペダル10が操作されてマスタシリンダ9からブレーキシリンダ6へ伝わる油圧力は、油圧管8から油圧管18bを介して複動シリンダ17の油室17bへも伝わる。しかし、油室17aにかかる油圧力が油室17bにかかる油圧力の最大値よりも大きく設定されているため、たとえブレーキペダル10が最深位置まで踏み込まれても、マスタシリンダ9より伝わる油圧力がピストン17pを図3に示す矢印Aの向きに移動させる力として働くことはない。従って、マスタシリンダ9からの油圧力は、正常にブレーキシリンダ6へ伝わる。また、ブレーキドラム1の制動時にブレーキレバー4が受けるブレーキ反力も、ブレーキシリンダ6から油圧管8およびマスタシリンダ9を介してブレーキペダル10へ正常に伝わる。
【0038】
このようなフリーモード時においては、オペレータは、ブレーキ反力をペダル反力として感じ取り、自身の感覚でブレーキペダル10の操作力を制御してブレーキドラム1の制動力をコントロールする。つまり、ブレーキモードをフリーモードにした際の作業は、熟練度が要求されることになる。
【0039】
以上説明したように、ブレーキペダル10のペダル反力は、従来のブレーキ装置においては自動ブレーキモードおよびフリーモードの何れの作動モードにおいてもほぼ同じ強さであったが、本実施形態によるブレーキ装置においては作動モードによって変化する。従って、本実施形態による作業機械のブレーキ装置によれば、ブレーキペダル10の操作時に発生するペダル反力またはブレーキ作動時のブレーキペダル10のペダル位置の違いを体感することによって、オペレータは、現在のブレーキモードが自動ブレーキモードであるかフリーモードであるかを認識することが出来る。この結果、オペレータは、運転室の外部に視線を投じたまま作業を行っても、ブレーキモードを勘違いしてブレーキ操作を誤ることが無くなり、作業の安全性は向上する。
【0040】
また、複動シリンダ17が、マスタシリンダ9、ブレーキシリンダ6および油圧管8内の圧油を、ブレーキペダル10の操作時に発生するペダル反力が大きく変化するまで吸収する。このため、自動ブレーキモード時のブレーキペダル10の操作に対するペダル反力は、フリーモード時のペダル反力に比べて明らかに弱くなり、自動ブレーキモード時におけるブレーキ作動時のペダル位置は、フリーモード時におけるブレーキ作動時のペダル位置より明らかに深くなる。従って、オペレータは、このようなペダル反力またはペダル位置の明らかな違いを体感することによって、現在のブレーキモードが自動ブレーキモードであるかフリーモードであるかを確実に認識することが出来る。
【0041】
本実施形態においては、油圧制御装置である複動シリンダ17を油圧管8と油圧管14との間に設け、油圧管14を介して複動シリンダ17へ圧油を供給する構成としたが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、油圧管8と油圧ポンプ13との間に複動シリンダ17を設け、油圧ポンプ13から直接複動シリンダ17へ圧油を供給する構成としてもよい。
【0042】
以下に、本発明による作業機械のブレーキ装置をクレーンのウインチドラムに適用した他の実施形態について説明する。
【0043】
図5は本実施形態による作業機械のブレーキ装置の構成を示す油圧回路図である。なお、同図において図2と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0044】
本実施形態においては、図2に示した、複動シリンダ17を介して油圧管8と油圧管14とをつないでいた構成が除かれ、替わりに、方向制御弁である切換弁19および複動シリンダ17を介して油圧管8と油圧ポンプ13とをつなぐ油圧管20が設けられてブレーキ装置は構成されている。その他の構成については、前述した実施形態における図2に示された構成と同様である。
【0045】
このような構成において、通常、自動ブレーキ解除シリンダ11は作動しておらず、ブレーキ装置は自動ブレーキのかかった自動ブレーキモードになっている。自動ブレーキモードにおいては、切換弁19は19a側になっており、複動シリンダ17へ圧油は供給されず、ブレーキ管路の油圧力は一定に保たれている。
【0046】
油圧ポンプ13から圧油が供給され、自動ブレーキ解除シリンダ11が作動してフリーモードになった際には、自動ブレーキ解除信号が出力される。自動ブレーキ解除信号を検出した切換弁19は、19b側に切り換わってポートを開き、油圧ポンプ13から複動シリンダ17への圧油の供給経路を開通させる。油圧ポンプ13より圧油の供給を受けて複動シリンダ17のピストン17pが油室17a側から油室17b側へ移動すると、ブレーキ管路の容積が減少し、マスタシリンダ9にかかる油圧力は上昇する。このため、ブレーキ作動時のブレーキペダル10のペダル位置は、自動ブレーキモード時のペダル位置より浅くなる。また、ブレーキペダル10の操作に対するペダル反力も、自動ブレーキモード時のペダル反力に比べて強くなる。
【0047】
自動ブレーキ解除シリンダ11の作動が停止され、再び自動ブレーキモードになると、自動ブレーキ解除信号の出力は停止される。自動ブレーキ解除信号の出力が停止すると、切換弁19は、再び19a側に切り換わり、複動シリンダ17への圧油の供給経路を遮断する。このため、ピストン17pは油室17b側から油室17a側へ移動し、ブレーキ管路の容積は増加する。従って、マスタシリンダ9にかかる油圧力は下降し、ブレーキ作動時のブレーキペダル10のペダル位置は、自動ブレーキモード時のペダル位置に戻る。また、ブレーキペダル10の操作に対するペダル反力も、自動ブレーキモード時の強さに戻る。ここで、切換弁19および複動シリンダ17は、自動ブレーキ解除シリンダ11にかかる油圧力の変化を検出し、ブレーキ管路の容積を制御してマスタシリンダ9にかかる油圧力を制御する油圧制御装置を構成している。
【0048】
このように方向制御弁である切換弁19を備え、油圧ポンプ13から直接複動シリンダ17へ圧油を供給する構成とした本実施形態においても、ブレーキペダル10の操作時に発生するペダル反力またはブレーキ作動時のブレーキペダル10のペダル位置の違いを体感することによって、オペレータは、現在のブレーキモードが自動ブレーキモードであるかフリーモードであるかを認識することが出来、前述した第1の実施形態と同様な作用・効果が奏される。
【0049】
さらに、上記各実施形態において、自動ブレーキ解除シリンダ11にかかる油圧力の上昇を検出すると、例えば、「只今、ブレーキモードはフリーモードです。」等の音声案内を所定間隔で出音する出音装置を設けてブレーキ装置を構成してもよい。このような構成にした場合、オペレータは、ブレーキペダル10のペダル反力やペダル位置の違いを体感するのに加えて、聴覚によっても現在のブレーキモードを認識することが出来る。この結果、オペレータは、現在のブレーキモードをより確実に認識することが出来、作業の安全性はより向上する。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、フリーモード時は、自動ブレーキ解除シリンダにかかる油圧力の上昇に応じてマスタシリンダにかかる油圧力も上昇するため、ブレーキペダルの操作に対するペダル反力は強くなる。また、ブレーキが作動する際のブレーキペダルのペダル位置は浅くなる。一方、自動ブレーキモード時は、自動ブレーキ解除シリンダにかかる油圧力の下降に応じてマスタシリンダにかかる油圧力も下降するため、ブレーキペダルの操作に対するペダル反力はフリーモード時のペダル反力に比べて弱くなる。また、ブレーキが作動する際のブレーキペダルのペダル位置はフリーモード時のペダル位置に比べて深くなる。
【0051】
従って、オペレータは、ブレーキペダルのペダル反力またはブレーキ作動時のペダル位置の違いを体感することにより、ブレーキ装置が現在自動ブレーキモードであるかフリーモードであるかを判別することが出来る。この結果、オペレータは、運転室の外側に視線を投じたまま作業をしてもブレーキ操作を誤ることが無くなり、作業の安全性は向上する。
【0052】
また、自動ブレーキ解除シリンダにかかる油圧力の上昇を検出すると出音する出音装置を設けた場合、フリーモードになると、例えば音声等が出音される。従って、オペレータは、出音された案内音を聴くことによってブレーキ装置がフリーモードであることを認識することが出来る。この結果、オペレータは、ブレーキペダルの操作感覚に加え、聴覚によってもブレーキの作動モードを認識することが出来、ブレーキの作動モードをより確実に認識できて、作業の安全性はより向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の作業機械のブレーキ装置の構成を示す油圧回路図である。
【図2】本発明の一実施形態による作業機械のブレーキ装置の構成を示す油圧回路図である。
【図3】本発明の一実施形態による作業機械のブレーキ装置における自動ブレーキモード時のシリンダの動きを概略的に示す油圧回路図である。
【図4】本発明の一実施形態による作業機械のブレーキ装置におけるフリーモード時のシリンダの動きを概略的に示す油圧回路図である。
【図5】本発明の他の実施形態による作業機械のブレーキ装置の構成を示す油圧回路図である。
【符号の説明】
1…ブレーキドラム
2…ブレーキバンド
4…ブレーキレバー
6…ブレーキシリンダ
8,14,18a,18b,20…油圧管
9…マスタシリンダ
10…ブレーキペダル
11…自動ブレーキ解除シリンダ
12…ブレーキバネ
13…油圧ポンプ
17…複動シリンダ
19…切換弁
Claims (5)
- ブレーキドラムに作用して制動させるブレーキシリンダと、前記ブレーキドラムを制動させる際にオペレータによって操作されるブレーキペダルと、このブレーキペダルの操作を油圧管を介して前記ブレーキシリンダに伝えるマスタシリンダと、前記ブレーキドラムに自動ブレーキをかける自動ブレーキ装置と、油圧ポンプから圧油の供給を受けて作動し,前記自動ブレーキ装置の作動を停止させて前記ブレーキドラムの自動ブレーキを解除する自動ブレーキ解除シリンダとを備えた作業機械のブレーキ装置において、
一方の油室が前記油圧ポンプおよび前記自動ブレーキ解除シリンダをつなぐ油圧管に配管され、他方の油室が前記マスタシリンダおよび前記ブレーキシリンダをつなぐ油圧管に配管された複動シリンダを設けたことを特徴とする作業機械のブレーキ装置。 - 前記複動シリンダは、前記マスタシリンダおよび前記ブレーキシリンダおよびこれらをつなぐ油圧管内の圧油を所定量吸収する油室容量を有していることを特徴とする請求項1に記載の作業機械のブレーキ装置。
- 前記複動シリンダは、前記自動ブレーキを解除させる際に前記一方の油室にかかる油圧力が、前記ブレーキドラムを制動させる際に前記他方の油室にかかる油圧力の最大値より大きく設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作業機械のブレーキ装置。
- ブレーキドラムに作用して制動させるブレーキシリンダと、前記ブレーキドラムを制動させる際にオペレータによって操作されるブレーキペダルと、このブレーキペダルの操作を油圧管を介して前記ブレーキシリンダに伝えるマスタシリンダと、前記ブレーキドラムに自動ブレーキをかける自動ブレーキ装置と、油圧ポンプから圧油の供給を受けて作動し,前記自動ブレーキ装置の作動を停止させて前記ブレーキドラムの自動ブレーキを解除する自動ブレーキ解除シリンダとを備えた作業機械のブレーキ装置において、
一方の油室が前記油圧ポンプに配管され、他方の油室が前記マスタシリンダおよび前記ブレーキシリンダをつなぐ油圧管に配管された複動シリンダと、前記一方の油室と前記油圧ポンプとの間の油圧管に設けられた方向制御弁とを備えて構成され、
前記方向制御弁は、前記自動ブレーキ解除シリンダにかかる油圧力に変化が生じて発生される自動ブレーキ解除信号を検出すると、前記油圧ポンプの圧油を直接に前記複動シリンダの一方の油室に供給する側に切り換え、前記自動ブレーキ解除信号が検出されないと、前記油圧ポンプから前記一方の油室への圧油供給を停止させる側に切り換えることを特徴とする作業機械のブレーキ装置。 - 前記自動ブレーキ解除シリンダにかかる油圧力の上昇を検出すると出音する出音装置を設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の作業機械のブレーキ装置。
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