JP2023096568A - ブレーキ制御装置及びこれを備えたクレーン - Google Patents
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Abstract
【課題】急ブレーキ操作が行われたときにブレーキ応答時間が長くなることを抑制することが可能なブレーキ制御装置及びこれを備えたクレーンを提供する。【解決手段】ブレーキ制御装置10は、油圧ポンプ22と、ウインチドラム11に対するブレーキ力を発生させるブレーキユニット6と、ブレーキ操作が与えられる操作装置7と、ブレーキ操作の操作量に応じてブレーキユニット6に供給される作動油の圧力が調節されるように開閉する電磁比例減圧弁2と、油圧ポンプ22とブレーキユニット6との間に介在する切替弁1,12と、操作装置に急ブレーキ操作が与えられたことを判定する判定条件が満たされた場合にブレーキユニット6が電磁比例減圧弁2を迂回して油圧ポンプ22に接続されるように切替弁1,12を切り替えるコントローラ4と、を備える。【選択図】図2
Description
本開示は、ブレーキ制御装置及びこれを備えたクレーンに関する。
一般に、クレーンは、自走可能な下部走行体と、下部走行体に旋回可能に支持された上部旋回体と、上部旋回体に起伏可能に取り付けられたブームを含む起伏部材と、起伏部材の先端からロープを介して吊り下げられたフックと、ロープの巻き取り及び繰り出しを行うウインチと、を備える。
特許文献1は、ウインチの作動を制御するウインチ制御装置を開示している。このウインチ制御装置は、ウインチと、状態切替弁(状態切替部)と、圧力制御弁と、ブレーキ力調整部と、を備える。圧力制御弁は、ブレーキ力調整部の指令を、油圧に変換する弁である。圧力制御弁は、ウインチがフリー状態のときに(状態切替弁の切替位置がフリー位置のときに)、ブレーキ力を制御(調整)する弁である。圧力制御弁は、例えば電磁比例減圧弁である。ウインチは、ウインチドラムと、モータと、減速機と、クラッチと、を備える。
クラッチは、モータとウインチドラムとの連結の状態(連結の度合い)を切り替える。クラッチは、ウインチドラムの回転に対してブレーキをかける。クラッチは、ハウジングと、クラッチ板と、クラッチシリンダと、スプリングと、を備える。クラッチシリンダは、クラッチ板を押圧可能なピストンと、圧接室と、離間室と、を備える。ブレーキ力調整部の指令に応じて、圧力制御弁の開度が変わり、圧接室の圧力が変わる。圧接室の圧力に応じて、ウインチの(クラッチの)ブレーキ力が変わる。
ところで、圧力制御弁が電磁比例減圧弁である場合、電磁比例減圧弁は、その構造上、静的な圧力の制御を得意とする一方で、大きな流量を供給するような動作には必ずしも向いていない場合がある。また、クラッチ(ブレーキユニット)において十分なブレーキ容量を確保するためには、圧接室及び離間室の受圧面積と、ピストンのストロークと、ピストン容積(受圧面積とストロークの積)と、が大きくなる。従って、オペレータにより急ブレーキ操作が行われたときには、ブレーキユニットにおいて必要とされる作動油の流量(ピストン容量をブレーキ応答時間で割った値)が大きくなる。しかし、電磁比例減圧弁により構成される圧力制御弁による流量制御では、急ブレーキ操作が行われたときにブレーキユニットにおいて必要とされる作動油の流量がブレーキユニットに迅速に供給されない場合がある。この場合、ブレーキ応答時間が長くなることがある。
本開示は、急ブレーキ操作が行われたときにブレーキ応答時間が長くなることを抑制することが可能なブレーキ制御装置及びこれを備えたクレーンを提供することを目的とする。
提供されるブレーキ制御装置は、油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けてウインチドラムに対するブレーキ力を発生させることが可能なブレーキユニットと、前記ブレーキ力を調節するためのブレーキ操作が与えられる操作装置と、前記ブレーキ操作の操作量に応じて前記ブレーキユニットに供給される前記作動油の圧力が調節されるように開閉する電磁比例減圧弁と、前記油圧ポンプと前記ブレーキユニットとの間に介在する切替弁と、前記操作装置に急ブレーキ操作が与えられたことを判定するために予め設定された判定条件が満たされた場合に前記ブレーキユニットが前記電磁比例減圧弁を迂回して前記油圧ポンプに接続されるように前記切替弁を切り替えるコントローラと、を備える。
このブレーキ制御装置では、コントローラは、前記判定条件が満たされた場合に、前記ブレーキユニットが前記電磁比例減圧弁を迂回して前記油圧ポンプに接続されるように(すなわち油圧ポンプとブレーキユニットが電磁比例減圧弁を介さずに接続されるように)切替弁の動作を制御するので、操作装置に急ブレーキ操作が与えられたときにブレーキユニットに対して油圧ポンプの2次圧が迅速に伝達される。従って、このブレーキ制御装置では、急ブレーキ操作が行われたときに電磁比例減圧弁に起因する時間的な影響を受けずに大きな流量の作動油をブレーキユニットに迅速に供給することができる。これにより、急ブレーキ操作が行われたときにブレーキ応答時間が長くなることが抑制される。
前記判定条件は、前記ブレーキ操作の前記操作量が予め設定された閾値である操作量閾値を超えたことを含むことが好ましい。急ブレーキ操作における操作量は、通常、操作装置に与えることが可能な最大操作量又はこれに近い大きな操作量になることが多い。従って、この構成では、コントローラは、操作装置に急ブレーキ操作が与えられたか否かを、ブレーキ操作の操作量と操作量閾値とを比較することにより判定することができる。
前記判定条件は、前記ブレーキ操作の操作速度が予め設定された閾値である操作速度閾値を超えたことを含むことが好ましい。急ブレーキ操作における操作速度は、通常、大きな操作速度になることが多い。従って、この構成では、コントローラは、操作装置に急ブレーキ操作が与えられたか否かを、ブレーキ操作の操作速度と操作速度閾値とを比較することにより判定することができる。
前記ブレーキ制御装置のモードをフリーモードとブレーキモードとの間で切り替えるためのモード切替弁をさらに備え、前記切替弁は、前記油圧ポンプと前記ブレーキユニットとの間において前記モード切替弁と並列的に配置された第2切替弁であり、前記第2切替弁は、前記コントローラからの指令信号に対する応答性が前記モード切替弁よりも高い電磁切替弁であってもよい。この構成では、2つの切替弁(モード切替弁と第2切替弁)が油圧回路において並列的に配置されることにより、モード切替弁によるフリーモードとブレーキモードとの切り替え動作と、急ブレーキ時の迅速な対応と、がさらにスムーズに行われる。
提供されるクレーンは、機体と、前記機体に起伏可能に取り付けられた起伏部材と、前記起伏部材から垂れ下がるロープの巻き取り及び繰り出しを行うためのウインチドラムと、前記ウインチドラムに対するブレーキ力を調節することが可能な上述したブレーキ制御装置と、を備える。このクレーンでは、急ブレーキ操作が行われたときにブレーキ応答時間が長くなることを抑制することができる。
本開示によれば、急ブレーキ操作が行われたときにブレーキ応答時間が長くなることを抑制することが可能なブレーキ制御装置及びこれを備えたクレーンが提供される。
以下、図面に基づいて、本開示の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本開示の実施形態に係るクレーン100を示す側面図である。図1に示すように、クレーン100は、自走可能な下部走行体101と、下部走行体101上に軸回りに旋回可能に支持された上部旋回体103と、上部旋回体103に起伏可能に取り付けられた起伏部材と、起伏部材の先端からロープRを介して吊り下げられたフック105と、上部旋回体103に取り付けられたガントリ107と、ウインチドラム11と、を備える。下部走行体101及び上部旋回体103は、機体の一例である。図1に示すクレーン100では起伏部材がブーム104により構成されるが、起伏部材は、ブーム104の先端に取り付けられる図略のジブをさらに含んでいてもよい。また、クレーン100は、ガントリ107に代えてマストを備えたものであってもよい。
ウインチドラム11は、フック105に繋がるロープRを巻き取り又は繰り出すことにより、フック105に吊り荷作業のための昇降動作を行わせる。ロープRは、ウインチドラム11から繰り出されて起伏部材の先端を経由し、その起伏部材の先端から垂れ下がるように配置されてフック105を吊り下げている。フック105には吊り荷106が吊り下げられる。ウインチドラム11は、その回転軸と上部旋回体103の幅方向とが一致するように配置されている。本実施形態では、ウインチドラム11は、上部旋回体103に支持されているが、ブーム104に支持されていてもよい。
図2に示すように、クレーン100は、メインポンプ21と、ウインチモータ23と、ウインチ制御弁24と、ウインチ操作装置25と、減速機28と、をさらに備える。
メインポンプ21は、例えばエンジンなどの駆動源(図示省略)により駆動されることにより作動油を吐出する。
ウインチモータ23は、ウインチドラム11を回転駆動させるための油圧モータである。本実施形態では、ウインチモータ23は、メインポンプ21から作動油の供給を受けて回転する出力軸23aを有する。ウインチモータ23は、第1ポート及び第2ポートを有し、これらの一方のポートへの作動油の供給を受けることにより当該一方のポートに対応する方向に出力軸23aが回転するとともに他方のポートから作動油を排出するように作動する。
ウインチ制御弁24は、メインポンプ21とウインチモータ23との間に介在し、ウインチモータ23を駆動するための作動油をメインポンプ21からウインチモータ23の第1ポート及び第2ポートの一方に択一的に導いて当該ウインチモータ23に供給される作動油の方向を制御するとともに、ウインチモータ23に供給される作動油の流量を制御する。ウインチ制御弁24は、第1パイロットポート及び第2パイロットポートを有する。
ウインチ操作装置25は、ウインチ操作レバー25aと、パイロット弁25b(リモコン弁)と、を有する。ウインチ操作レバー25aは、当該ウインチ操作レバー25aに対してオペレータからウインチ操作が与えられることによりその向きに回動する。パイロット弁25bは、図示されていないパイロットポンプに接続される入口ポートと、一対の出口ポートと、を有する。当該一対の出口ポートは、パイロットラインを介してウインチ制御弁24の第1パイロットポート及び第2パイロットポートにそれぞれ接続されている。パイロット弁25bは、第1,第2パイロットポートのうち、ウインチ操作レバー25aに与えられるウインチ操作の向きに対応するパイロットポートに対してウインチ操作の大きさに対応したパイロット圧が前記パイロットポンプから供給されることを許容するように開弁する。なお、前記パイロットポンプは、後述するコントロールポンプ22であってもよく、コントロールポンプ22とは別のポンプであってもよい。
ウインチ制御弁24は、第1,第2パイロットポートの何れにもパイロット圧が入力されないときは中立位置(図2の中央位置)に保持される。この中立位置では、メインポンプ21とウインチモータ23との間が遮断されてセンターバイパスラインが開通することによりメインポンプ21からの作動油がセンターバイパスラインを通じてそのままタンク27に戻る。
ウインチ制御弁24は、第1パイロットポートに一定以上のパイロット圧が供給されるとそのパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置から第1駆動位置(図2の上側位置)にシフトする。この第1駆動位置では、メインポンプ21からの作動油が前記ストロークに対応した流量でウインチモータ23の第1ポートに供給されるとともに、第2ポートから作動油が排出される。これにより、ウインチモータ23の出力軸23aが第1方向に回転する。排出された作動油はタンク27に戻る。
ウインチ制御弁24は、第2パイロットポートに一定以上のパイロット圧が供給されるとそのパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置から第2駆動位置(図2の下側位置)にシフトする。この第2駆動位置では、メインポンプ21からの作動油が前記ストロークに対応した流量でウインチモータ23の第2ポートに供給されるとともに、第1ポートから作動油が排出される。これにより、ウインチモータ23の出力軸23aが第2方向に回転する。排出された作動油はタンク27に戻る。
減速機28は、ウインチモータ23の出力軸23aとウインチドラム11との間に介在してウインチモータ23の動力をウインチドラム11に伝達するためのものである。減速機28は、例えば遊星歯車機構によって構成されている。減速機28のキャリア軸には、後述するブレーキユニット6におけるプレート6eが接続されている。
クレーン100は、ブレーキ制御装置10を備える。図2に示すように、ブレーキ制御装置10は、コントロールポンプ22と、ブレーキユニット6と、ブレーキ操作装置7と、操作量センサ5と、モード切替弁1と、電磁比例減圧弁2と、緊急ブレーキ切替弁3と、リリーフ弁9と、コントローラ4と、を備える。
コントロールポンプ22は、例えばエンジンなどの駆動源(図示省略)により駆動されることにより作動油を吐出する。コントロールポンプ22は、本開示における油圧ポンプの一例である。
ブレーキユニット6は、コントロールポンプ22から吐出される作動油の供給を受けてウインチドラム11に対するブレーキ力を発生させることが可能なように構成される。
ブレーキユニット6は、ウインチモータ23の動力がウインチドラム11に伝達されるクラッチオン状態と、ウインチドラム11がウインチモータ23から切り離されてウインチドラム11の自由回転を許容するクラッチオフ状態との間で切り替え動作可能に構成されている。
ブレーキユニット6は、ピストン6aと、バネ6dと、インナープレート及びアウタープレートを含む複数のプレート6eと、これらを収容するユニットケース6fと、を有する。ユニットケース6f内は、ポジティブクラッチ室6bと、ネガティブクラッチ室6cと、複数のプレート6eが配置されたプレート室と、に区画されている。ピストン6aは、その軸方向にユニットケース6fに対して変位することが可能である。前記軸方向は、ピストン6aが複数のプレート6eに近づく方向又はピストン6aが複数のプレート6eから遠ざかる方向である。
ピストン6aが前記軸方向に移動することにより、ブレーキユニット6の状態が、前記クラッチオン状態(ブレーキがかかる状態)と、前記クラッチオフ状態(ブレーキが解除される状態)と、の間で切り替わる。具体的には、ピストン6aは、複数のプレート6eに近づく方向に移動することにより、複数のプレート6eにおけるインナープレートとアウタープレートが接するように複数のプレート6eに押圧力を加える。その結果、ブレーキユニット6の状態がクラッチオン状態となる。一方、ピストン6aが複数のプレート6eから遠ざかる方向に移動することにより、インナープレートとアウタープレートが離間する。その結果、ブレーキユニット6の状態がクラッチオフ状態となる。バネ6dは、ブレーキユニット6の状態がクラッチオン状態になる方向、すなわちピストン6aが複数のプレート6eに近づく方向にピストン6aを付勢する。
本実施形態では、ポジティブクラッチ室6bの圧力とネガティブクラッチ室6cの圧力とが同じ場合には、バネ6dの付勢力によりブレーキユニット6の状態がクラッチオン状態になる。一方、ネガティブクラッチ室6cの圧力がポジティブクラッチ室6bの圧力よりも大きくなり、かつ、これらの差圧に起因して発生する力(すなわちピストン6aを複数のプレート6eから遠ざける方向の力)がバネ6dの付勢力よりも大きくなると、ブレーキユニット6の状態がクラッチオフ状態になる。
ブレーキ操作装置7は、ウインチドラム11に対するブレーキ力を調節するためのブレーキ操作がオペレータによって与えられる。ブレーキ操作装置7は、本開示における操作装置の一例である。ブレーキ操作装置7は、操作部材としてのブレーキペダル7a(フットペダル)を有する。
操作量センサ5は、ブレーキ操作装置7のブレーキペダル7aに対してオペレータによるブレーキ操作(ペダル操作)が与えられると、当該ペダル操作の操作量を検出し、検出した操作量に応じた検出信号であるブレーキ検出信号をコントローラ4に入力する。
モード切替弁1は、コントロールポンプ22とブレーキユニット6との間に介在する。モード切替弁1は、コントロールポンプ22とブレーキユニット6が電磁比例減圧弁2を介して接続される第1状態(図2の右側位置)と、コントロールポンプ22とブレーキユニット6が電磁比例減圧弁2を迂回して(電磁比例減圧弁2を介さずに)接続される第2状態(図2の左側位置)とを切り替える。本実施形態では、モード切替弁1の状態が第1状態であるときには、コントロールポンプ22、電磁比例減圧弁2、モード切替弁1、及びブレーキユニット6がこの順に接続される。モード切替弁1の状態が第2状態であるときには、コントロールポンプ22、モード切替弁1、及びブレーキユニット6がこの順に接続され、コントロールポンプ22とモード切替弁1との間に電磁比例減圧弁2が介在しない。モード切替弁1は、本開示に係る切替弁の一例である。
モード切替弁1は、コントローラ4からのモード指令信号に応じて、第1状態と第2状態とを切り替える電磁切替弁である。具体的には、本実施形態では、モード切替弁1のソレノイドが非励磁状態であるときには、モード切替弁1の状態は第2状態(図2の左側位置)となり、モード切替弁1のソレノイドが励磁状態であるときには、モード切替弁1の状態は第1状態(図2の右側位置)となる。
電磁比例減圧弁2は、後述するフリーモードにおいて、ブレーキ操作(ペダル操作)の操作量に応じてブレーキユニット6に供給される作動油の圧力が調節されるように開閉する。具体的には、本実施形態では、コントローラ4は、ブレーキ操作(ペダル操作)の操作量に応じて電磁比例減圧弁2にブレーキ指令信号を出力し、電磁比例減圧弁2は、コントローラ4からのブレーキ指令信号に応じて、ブレーキユニット6のポジティブクラッチ室6bに供給される作動油の圧力が調節されるように開閉する。
電磁比例減圧弁2は、その構造上、大きな流量を供給するような動作には必ずしも向いていない。その理由の一つとしては、例えば、電磁比例減圧弁2において作動油が流れる流路の断面積が、モード切替弁1において作動油が流れる流路の断面積及び緊急ブレーキ切替弁3において作動油が流れる流路の断面積よりも小さいことが挙げられる。
緊急ブレーキ切替弁3は、コントロールポンプ22からの作動油がネガティブクラッチ室6cに供給されることを許容する供給位置(図2の右側位置)と、ネガティブクラッチ室6c内の作動油がネガティブクラッチ室6cからタンク27に排出されることを許容する排出位置(図2の左側位置)とに切り替え可能に構成されている。本実施形態では、緊急ブレーキ切替弁3は、電磁弁(電磁切替弁)によって構成されている。本実施形態では、緊急ブレーキ切替弁3のソレノイドは通常時には図2に示すように励磁状態であり、緊急ブレーキ切替弁3のスプールは供給位置にセットされている。モード切替弁1の状態が第1状態(ソレノイドが励磁状態)のときに、例えば断線などの故障が発生して電磁比例減圧弁2の2次圧が低下した場合、コントローラ4は、緊急ブレーキ切替弁3を非励磁の状態に切り替える。これにより、緊急ブレーキ切替弁3のスプールは、供給位置から排出位置に切り替わり、ネガティブクラッチ室6cはタンク27に接続される。これにより、ウインチドラム11に対するブレーキ力が発生した状態、すなわちウインチドラム11に対するブレーキがかかった状態となる。ブレーキ制御装置10は、電磁比例減圧弁2の2次圧を検出する図略の圧力センサをさらに備えていてもよく、コントローラ4は、当該圧力センサから入力される圧力検出信号と、前記ブレーキ検出信号と、に基づいて、断線などの故障が発生したか否かを判定してもよい。
モード切替弁1の状態が第2状態(ソレノイドが非励磁状態)であるときには、ポジティブクラッチ室6b及びネガティブクラッチ室6cの両方にコントロールポンプ22の2次圧に対応する圧力が供給されるので、バネ6dの付勢力によりブレーキユニット6の状態がクラッチオン状態になる。以下では、モード切替弁1の状態が第2状態(ソレノイドが非励磁状態)であるときのブレーキ制御装置10のモードをブレーキモードと称することがある。
このブレーキモードでは、ウインチドラム11に対するブレーキ力が常に発生した状態、すなわちウインチドラム11に対するブレーキがかかった状態(クラッチオン状態)となる。このクラッチオン状態では、ウインチモータ23の動力がウインチドラム11に伝達される。従って、ウインチ操作レバー25aに与えられるオペレータによるウインチ操作に応じて、ウインチドラム11がウインチモータ23の動力により回転し、ロープRの巻き取り又は繰り出しが行われる。
モード切替弁1の状態が第1状態(ソレノイドが励磁状態)であるときには、電磁比例減圧弁2の2次圧がポジティブクラッチ室6bに印加される。以下では、モード切替弁1の状態が第1状態(ソレノイドが励磁状態)であるときのブレーキ制御装置10のモードをフリーモードと称することがある。
このフリーモードでは、電磁比例減圧弁2からの出力に応じてポジティブクラッチ室6bの圧力とネガティブクラッチ室6cの圧力とのバランスが変化し、ピストン6aがその軸方向にユニットケース6fに対して変位する。ブレーキ操作の操作量に応じたブレーキ検出信号が操作量センサ5からコントローラ4に入力されると、コントローラ4は、ブレーキ検出信号に応じたブレーキ指令信号を電磁比例減圧弁2に出力し、電磁比例減圧弁2は、コントローラ4から入力されるブレーキ指令信号に応じた2次圧を出力する。すなわち、電磁比例減圧弁2は、ブレーキ操作の操作量に応じた2次圧を出力する。具体的には、電磁比例減圧弁2は、ブレーキ操作の操作量が大きくなるほど大きな2次圧を出力する。電磁比例減圧弁2の出力(2次圧)が大きくなるとウインチドラム11に対するブレーキ力も大きくなり、ウインチドラム11に対するブレーキがかかった状態となる。電磁比例減圧弁2の出力(2次圧)が小さくなるとウインチドラム11に対するブレーキ力も小さくなり、ウインチドラム11に対するブレーキが解除された状態となる。従って、オペレータは、フリーモードにおいて、ブレーキ操作の操作量を調節することにより、ウインチドラム11に対してブレーキをかけた状態とブレーキを解除した状態とを切り替えることができる。フリーモードにおいてブレーキが解除された状態では、吊り荷106は自重によって自由落下することが可能になる。この自由落下の速度はブレーキペダル7aの操作量に応じて増減可能である。
クレーン100は、モード切替スイッチ30をさらに備えていてもよい。モード切替スイッチ30は、ブレーキ制御装置10のモードをブレーキモードとフリーモードとの間で切り替えるためのスイッチである。モード切替スイッチ30は、例えばクレーンのキャブ内に設けられることによりオペレータによって操作可能に構成されている。
モード切替スイッチ30は、オペレータによるフリーモード操作を受けると、フリーモード信号をコントローラ4に入力し、コントローラ4は、モード切替弁1の状態が第1状態(図2の右側位置)になるようにモード切替弁1の動作を制御する。これにより、ブレーキ制御装置10のモードがフリーモードに切り替えられる。一方、モード切替スイッチ30は、オペレータによるブレーキモード操作を受けると、ブレーキモード信号をコントローラ4に入力し、コントローラ4は、モード切替弁1の状態が第2状態(図2の左側位置)になるようにモード切替弁1の動作を制御する。これにより、ブレーキ制御装置10のモードがブレーキモードに切り替えられる。
リリーフ弁9は、コントロールポンプ22に接続された吐出ライン(コントロールポンプ22から作動油が吐出される吐出ライン)の圧力が所定の値を超えると、作動油の少なくとも一部をタンク27に流すように開弁する。
インナープレートとアウタープレートとの間に生じる摩擦に起因する複数のプレート6eの焼き付きを防止するために、図2に示すように、ブレーキユニット6は、冷却油がプレート室に供給されるように構成されている。
コントローラ4は、MPUなどの演算処理装置と、メモリと、を含むコンピュータを備える。コントローラ4は、ブレーキ操作装置7に急ブレーキ操作が与えられたことを判定するために予め設定された判定条件が満たされた場合にモード切替弁1が第1状態から第2状態に切り替わるようにモード切替弁1の動作を制御する。
本実施形態では、判定条件は、ブレーキ操作の操作量が予め設定された閾値である操作量閾値を超えたという条件(第1判定条件)である。急ブレーキ操作における操作量は、通常、ブレーキ操作装置7のブレーキペダル7aに与えることが可能な最大操作量又はこれに近い大きな操作量になることが多い。従って、本実施形態では、コントローラ4は、ブレーキペダル7aに急ブレーキ操作が与えられたか否かを、ブレーキ操作の操作量と操作量閾値とを比較することにより判定することができる。
図3は、本実施形態に係るブレーキ制御装置10において、ブレーキ操作の操作量とクラッチ圧との関係の一例を示すグラフである。図3では、横軸は、最大操作量を100としたときにブレーキペダル7aに対して与えられるブレーキ操作の操作量(ペダル操作量)の割合(単位:%)であり、縦軸は、クラッチ圧(単位:MPa)である。クラッチ圧は、ブレーキユニット6のポジティブクラッチ室6bに供給される圧力である。図3においてクラッチ圧は実線で示されている。図3において破線で示される横向きの直線は、ウインチドラム11の回転を停止させるのに十分なブレーキ力を発生させることができるクラッチ圧のレベルを示している。図3において一点鎖線で示される縦向きの直線は、操作量閾値を示している。
図3に示すように、ペダル操作量が操作量閾値以下である場合、クラッチ圧は、電磁比例減圧弁2の2次圧に対応する値であり、ペダル操作量に応じて次第に増加し、ペダル操作量がある値以上では一定値(電磁比例減圧弁2の2次圧の最大値)となる。電磁比例減圧弁2は、その構造上、静的な圧力の制御を得意とする一方で、圧力を迅速に増加させたり、大きな流量を供給したりするような動作には必ずしも向いていない。
ペダル操作量が操作量閾値を超えた場合、すなわち前記判定条件が満たされた場合、コントローラ4は、モード切替弁1が第1状態から第2状態に切り替わるようにモード切替弁1の動作を制御する。これにより、コントロールポンプ22とブレーキユニット6のポジティブクラッチ室6bが電磁比例減圧弁2を介さずに接続され、クラッチ圧は、コントロールポンプ22の2次圧に対応する値に切り替わる。図3に示すように、コントロールポンプ22の2次圧は、ウインチドラム11の回転を停止させるのに十分なブレーキ力を発生させることができる圧力である。本実施形態では、コントロールポンプ22の2次圧は、電磁比例減圧弁2の2次圧の最大値よりも大きな圧力である。図3に示すように、モード切替弁1が第1状態から第2状態に切り替わると、クラッチ圧が電磁比例減圧弁2の2次圧からコントロールポンプ22の2次圧に迅速に増加する。
ペダル操作量が操作量閾値以下であるときには、電磁比例減圧弁の2次圧は、ペダル操作量の増加に応じて比例的に増加し、ペダル操作量が操作量閾値に達する前にウインチドラム11の回転を停止させるのに十分なブレーキ力を発生させることができるクラッチ圧(吊り荷が下降しないように停止させることができるクラッチ圧)になる。
ペダル操作量が緩やかに増加するような場合、図3に示すようにクラッチ圧は、電磁比例減圧弁2の2次圧の最大値に達した状態からコントロールポンプ22の2次圧に切り替わる。この場合、クラッチ圧の急増はあまりない。
一方、オペレータがブレーキペダル7aを速く深く踏み込むような急ブレーキ操作を行う場合、ペダル操作の開始とほぼ同時にペダル操作量は操作量閾値を超え、モード切替弁1は第1状態から第2状態に切り替わる。これにより、ブレーキ操作装置7のブレーキペダル7aに急ブレーキ操作が与えられたときにブレーキユニット6に対してコントロールポンプ22の2次圧が迅速に伝達される。従って、急ブレーキ操作が行われたときに電磁比例減圧弁2に起因する時間的な影響を受けずに大きな流量の作動油をブレーキユニット6のポジティブクラッチ室6bに迅速に供給することができる。これにより、急ブレーキ操作が行われたときにブレーキ応答時間が長くなることが抑制される。
次に、図4を参照しながら、本実施形態に係るブレーキ制御装置10の動作について説明する。図4は、コントローラ4による演算処理の一例を示すフローチャートである。
ブレーキ制御装置10のモードがブレーキモードに設定されているとき、すなわちモード切替弁1の状態が第2状態であるときに、コントローラ4は、モード切替スイッチ30に対してオペレータによる操作が与えられたか否かを判定する(ステップS1)。モード切替スイッチ30からフリーモード信号が入力されると(ステップS1においてYES)、コントローラ4は、モード切替弁1の状態が第2状態から第1状態に切り替わるように(すなわちモード切替弁1のソレノイドが励磁状態となるように)、モード切替弁1の動作を制御してブレーキ制御装置10のモードをフリーモードに切り替える(ステップS2)。
次に、コントローラ4は、操作量センサ5から入力される検出信号に基づいて、ブレーキ操作装置7のブレーキペダル7aに与えられるブレーキ操作の操作量が操作量閾値を超えたか否かを判定する(ステップS3)。ブレーキ操作の操作量が操作量閾値以下である場合(ステップS3においてNO)、モード切替弁1の状態は第1状態に維持される(ステップS5)。なお、ステップS3及びステップS5の処理が繰り返し行われているときに、フリーモードがブレーキモードに切り替わると、コントローラ4は、図4に示す処理を終了する。
一方、ブレーキ操作の操作量が操作量閾値を超えた場合(ステップS3においてYES)、コントローラ4は、モード切替弁1が第1状態から第2状態に切り替わるように(すなわちモード切替弁1のソレノイドが非励磁状態となるように)、モード切替弁1の動作を制御する(ステップS4)。
図5は、本実施形態の変形例1に係るブレーキ制御装置10において、ブレーキ操作の操作速度とクラッチ圧との関係の一例を示すグラフである。この変形例1に係るブレーキ制御装置10では、判定条件が図3に示すブレーキ制御装置10の判定条件と異なる。変形例1に係るブレーキ制御装置10のその他の構成は、図2に示すブレーキ制御装置10と同様である。以下、変形例1について図2及び図5を参照して説明する。
変形例1では、判定条件は、ブレーキ操作の操作速度が予め設定された閾値である操作速度閾値を超えたという条件(第2判定条件)である。急ブレーキ操作における操作速度(すなわち急ブレーキ操作においてブレーキペダル7aを踏み込むペダル操作スピード)は、通常、大きな操作速度になることが多い。従って、この変形例1では、コントローラ4は、ブレーキ操作装置7のブレーキペダル7aに急ブレーキ操作が与えられたか否かを、ブレーキ操作の操作速度と操作速度閾値とを比較することにより判定することができる。具体的には、例えば、オペレータが操作量閾値を超えるようなブレーキ操作を行ったつもりでも、実際にはブレーキペダル7aに対して十分な踏み込みがなされていない場合もあり得る。この場合、前記判定条件が第1判定条件(操作量閾値を用いた条件)であると、モード切替弁1の状態は第1状態のまま維持される。一方、この変形例1では、前記判定条件が第2判定条件(操作速度閾値を用いた条件)であるので、操作量が操作量閾値を超えていなくても、ペダル操作速度が操作速度閾値を超えれば、モード切替弁1の状態が第1状態から第2状態に切り替わる。従って、変形例1における第2判定条件は、オペレータが瞬時にブレーキをきかせたい場面でオペレータが行うことが多いブレーキ操作(速いペダル操作)に、より対応した条件となる。よって、変形例1では急ブレーキ操作が与えられたか否かをより適切に判定することができる。
この変形例1では、コントローラ4は、第2判定条件が満たされた場合にモード切替弁1が第1状態から第2状態に切り替わるようにモード切替弁1の動作を制御する。
図5では、横軸は、ブレーキ操作の操作速度(ペダル操作スピード)を示し、縦軸は、クラッチ圧(単位:MPa)である。クラッチ圧は、ブレーキユニット6のポジティブクラッチ室6bに供給される圧力である。図5において破線で示される折れ線は、モード切替弁1の状態(第1状態又は第2状態)を示している。図5において一点鎖線で示される縦向きの直線は、操作速度閾値を示している。
図5に示すように、ペダル操作速度が操作速度閾値以下である場合、クラッチ圧は、電磁比例減圧弁2の2次圧に対応する値、すなわちペダル操作量に応じた値になる。
一方、ペダル操作速度が操作速度閾値を超えた場合、すなわち第2判定条件が満たされた場合、コントローラ4は、モード切替弁1が第1状態から第2状態に切り替わるようにモード切替弁1の動作を制御する。これにより、コントロールポンプ22とブレーキユニット6のポジティブクラッチ室6bが電磁比例減圧弁2を介さずに接続され、クラッチ圧は、コントロールポンプ22の2次圧に対応する値に切り替わる。図5に示すように、モード切替弁1の状態が第1状態から第2状態に切り替わると、クラッチ圧が電磁比例減圧弁2の2次圧からコントロールポンプ22の2次圧(図5におけるポンプ圧)に迅速に増加する。
図6は、本実施形態の変形例2に係るブレーキ制御装置10の油圧回路及びコントローラ4を示す図である。この変形例2に係るブレーキ制御装置10は、切替弁12(急ブレーキ時専用切替弁12)と、逆止弁8と、をさらに備える点で、図2に示すブレーキ制御装置10と相違する。変形例2に係るブレーキ制御装置10のその他の構成は、図2に示すブレーキ制御装置10と同様である。急ブレーキ時専用切替弁12は、本開示における切替弁(第2切替弁)の一例であり、コントロールポンプ22とブレーキユニット6との間に介在する。
図2に示すブレーキ制御装置10では、モード切替弁1は、フリーモードとブレーキモードとを切り替える役割と、ブレーキペダル7aに急ブレーキ操作が与えられたときにコントロールポンプ22の2次圧をブレーキ制御装置10のポジティブクラッチ室6bに迅速に供給する役割と、を兼ねている。一方、この変形例2では、上記2つの役割は、モード切替弁1と急ブレーキ時専用切替弁12とで分担されている。すなわち、モード切替弁1は、フリーモードとブレーキモードとを切り替える役割を担い、急ブレーキ時専用切替弁12は、ブレーキペダル7aに急ブレーキ操作が与えられたときにコントロールポンプ22の2次圧をブレーキ制御装置10のポジティブクラッチ室6bに迅速に供給する役割を担う。
急ブレーキ時専用切替弁12は、コントローラ4からの指令信号に対する応答性がモード切替弁1よりもさらに高い電磁切替弁である。フリーモードとブレーキモードとを切り替える役割のために、モード切替弁1のスプールのサイズ及びコイルのサイズは、急ブレーキ時専用切替弁12のスプールのサイズ及びコイルのサイズよりも大きい。急ブレーキ時専用切替弁12は、急ブレーキ時の対応に特化された構造を有し、コントローラ4からの指令信号に対する応答性がモード切替弁1よりもさらに高められている。これらの切替弁1,12が油圧回路において並列的に配置されることにより、モード切替弁1によるフリーモードとブレーキモードとの切り替え動作と、急ブレーキ時の迅速な対応と、が図2に示すブレーキ制御装置に比べてさらにスムーズになる。
切替弁12は、コントロールポンプ22とブレーキユニット6のポジティブクラッチ室6bとの間において、モード切替弁1と並列的に配置されている。切替弁12とポジティブクラッチ室6bとを接続するラインには、逆止弁8が配置されている。逆止弁8は、切替弁12からポジティブクラッチ室6bに向かう作動油の流れを許容する一方で、ポジティブクラッチ室6bから切替弁12に向かう作動油の流れを阻止する。切替弁12のソレノイドが非励磁状態(図6の左側位置、第1状態)のときには、切替弁12は、タンク27に接続されている。切替弁12のソレノイドが励磁状態(図6の右側位置、第2状態)のときには、切替弁12は、コントロールポンプ22とブレーキユニット6のポジティブクラッチ室6bとが電磁比例減圧弁2を介さずに接続されるように切り替わる。逆止弁8は、切替弁12が非励磁状態のときにポジティブクラッチ室6bがタンク27に連通しないようにすることでポジティブクラッチ室6bの圧力がタンク27の圧力になることを防止する。
コントローラ4は、前記判定条件が満たされた場合にコントロールポンプ22とブレーキユニット6のポジティブクラッチ室6bが電磁比例減圧弁2を介さずに接続されるように切替弁12を切り替える。これにより、ブレーキ操作装置7のブレーキペダル7aに急ブレーキ操作が与えられたときにブレーキユニット6に対してコントロールポンプ22の2次圧が、図2に示すブレーキ制御装置10よりもさらに迅速に伝達される。その結果、急ブレーキ操作が行われたときにブレーキ応答時間が長くなることがさらに抑制される。なお、変形例2では、判定条件は、第1判定条件及び第2判定条件の何れであってもよい。
[変形例]
本開示は、以上説明した実施形態に限定されない。本開示は、例えば次のような形態を含む。
本開示は、以上説明した実施形態に限定されない。本開示は、例えば次のような形態を含む。
(A)判定条件について
前記実施形態では、判定条件は、ブレーキ操作の操作量が操作量閾値を超えたこと(第1判定条件)であり、前記実施形態の変形例1では、判定条件は、ブレーキ操作の操作速度が操作速度閾値を超えたこと(第2判定条件)であるが、本開示に係る判定条件は、第1判定条件と第2判定条件の両方を含み、コントローラは、第1判定条件が満たされ、かつ、第2判定条件が満たされた場合に、前記ブレーキユニットが前記電磁比例減圧弁を迂回して前記油圧ポンプに接続されるように前記切替弁を切り替えるように構成されていてもよい。具体的には、コントローラは、第1判定条件が満たされ、かつ、第2判定条件が満たされた場合に、図2の油圧回路ではモード切替弁1が第1状態から第2状態に切り替わるようにモード切替弁1の動作を制御してもよく、図6の油圧回路では急ブレーキ時専用切替弁12が第1状態から第2状態に切り替わるように急ブレーキ時専用切替弁12の動作を制御してもよい。このように判定条件が第1判定条件と第2判定条件の両方を含む場合には、判定条件が第2判定条件である場合に比べて、急ブレーキ操作が与えられたか否かをより適切に判定することができる。具体的には、例えば吊り荷106が自重によって自由落下しているときに、吊り荷106の落下動作を停止させるための急ブレーキ操作ではなく吊り荷106の落下速度を減少させるためのブレーキ操作をオペレータが行う場合がある。このような場合において、例えば、ブレーキ操作の操作量が操作量閾値を超えていなくても(第1判定条件が満たされていなくても)、ブレーキ操作の操作速度が操作速度閾値を超えたとき(第2判定条件が満たされたとき)には、切替弁の状態が第1状態から第2状態に切り替わる。この場合、吊り荷106の落下動作を停止させるための急ブレーキがかかり、この急ブレーキは、オペレータの感覚に合わないことがある。一方、判定条件が第1判定条件と第2判定条件の両方を含む場合、第1判定条件及び第2判定条件の両方が満たされた場合にのみ切替弁の状態が第1状態から第2状態に切り替わる。これにより、急ブレーキ操作が与えられたか否かの判定がオペレータの感覚により近いものとなる。
前記実施形態では、判定条件は、ブレーキ操作の操作量が操作量閾値を超えたこと(第1判定条件)であり、前記実施形態の変形例1では、判定条件は、ブレーキ操作の操作速度が操作速度閾値を超えたこと(第2判定条件)であるが、本開示に係る判定条件は、第1判定条件と第2判定条件の両方を含み、コントローラは、第1判定条件が満たされ、かつ、第2判定条件が満たされた場合に、前記ブレーキユニットが前記電磁比例減圧弁を迂回して前記油圧ポンプに接続されるように前記切替弁を切り替えるように構成されていてもよい。具体的には、コントローラは、第1判定条件が満たされ、かつ、第2判定条件が満たされた場合に、図2の油圧回路ではモード切替弁1が第1状態から第2状態に切り替わるようにモード切替弁1の動作を制御してもよく、図6の油圧回路では急ブレーキ時専用切替弁12が第1状態から第2状態に切り替わるように急ブレーキ時専用切替弁12の動作を制御してもよい。このように判定条件が第1判定条件と第2判定条件の両方を含む場合には、判定条件が第2判定条件である場合に比べて、急ブレーキ操作が与えられたか否かをより適切に判定することができる。具体的には、例えば吊り荷106が自重によって自由落下しているときに、吊り荷106の落下動作を停止させるための急ブレーキ操作ではなく吊り荷106の落下速度を減少させるためのブレーキ操作をオペレータが行う場合がある。このような場合において、例えば、ブレーキ操作の操作量が操作量閾値を超えていなくても(第1判定条件が満たされていなくても)、ブレーキ操作の操作速度が操作速度閾値を超えたとき(第2判定条件が満たされたとき)には、切替弁の状態が第1状態から第2状態に切り替わる。この場合、吊り荷106の落下動作を停止させるための急ブレーキがかかり、この急ブレーキは、オペレータの感覚に合わないことがある。一方、判定条件が第1判定条件と第2判定条件の両方を含む場合、第1判定条件及び第2判定条件の両方が満たされた場合にのみ切替弁の状態が第1状態から第2状態に切り替わる。これにより、急ブレーキ操作が与えられたか否かの判定がオペレータの感覚により近いものとなる。
(B)切替弁について
上述した具体例では、モード切替弁1及び急ブレーキ時専用切替弁12のそれぞれは、ソレノイドが非励磁状態であるときに当該切替弁の状態が前記第2状態となり、ソレノイドが励磁状態であるときに当該切替弁の状態が第1状態となるように構成されているが、モード切替弁1及び急ブレーキ時専用切替弁12の少なくとも一方は、ソレノイドが非励磁状態であるときに当該切替弁の状態が前記第1状態となり、ソレノイドが励磁状態であるときに当該切替弁の状態が第2状態となるように構成されていてもよい。
上述した具体例では、モード切替弁1及び急ブレーキ時専用切替弁12のそれぞれは、ソレノイドが非励磁状態であるときに当該切替弁の状態が前記第2状態となり、ソレノイドが励磁状態であるときに当該切替弁の状態が第1状態となるように構成されているが、モード切替弁1及び急ブレーキ時専用切替弁12の少なくとも一方は、ソレノイドが非励磁状態であるときに当該切替弁の状態が前記第1状態となり、ソレノイドが励磁状態であるときに当該切替弁の状態が第2状態となるように構成されていてもよい。
1 :モード切替弁
2 :電磁比例減圧弁
3 :緊急ブレーキ切替弁
4 :コントローラ
5 :操作量センサ
6 :ブレーキユニット
7 :ブレーキ操作装置
7a :ブレーキペダル
8 :逆止弁
10 :ブレーキ制御装置
11 :ウインチドラム
12 :電磁切替弁
22 :コントロールポンプ
100 :クレーン
101 :下部走行体
103 :上部旋回体
104 :ブーム
R :ロープ
2 :電磁比例減圧弁
3 :緊急ブレーキ切替弁
4 :コントローラ
5 :操作量センサ
6 :ブレーキユニット
7 :ブレーキ操作装置
7a :ブレーキペダル
8 :逆止弁
10 :ブレーキ制御装置
11 :ウインチドラム
12 :電磁切替弁
22 :コントロールポンプ
100 :クレーン
101 :下部走行体
103 :上部旋回体
104 :ブーム
R :ロープ
Claims (5)
- 油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けてウインチドラムに対するブレーキ力を発生させることが可能なブレーキユニットと、
前記ブレーキ力を調節するためのブレーキ操作が与えられる操作装置と、
前記ブレーキ操作の操作量に応じて前記ブレーキユニットに供給される前記作動油の圧力が調節されるように開閉する電磁比例減圧弁と、
前記油圧ポンプと前記ブレーキユニットとの間に介在する切替弁と、
前記操作装置に急ブレーキ操作が与えられたことを判定するために予め設定された判定条件が満たされた場合に前記ブレーキユニットが前記電磁比例減圧弁を迂回して前記油圧ポンプに接続されるように前記切替弁を切り替えるコントローラと、を備えるブレーキ制御装置。 - 前記判定条件は、前記ブレーキ操作の前記操作量が予め設定された閾値である操作量閾値を超えたことを含む、請求項1に記載のブレーキ制御装置。
- 前記判定条件は、前記ブレーキ操作の操作速度が予め設定された閾値である操作速度閾値を超えたことを含む、請求項1又は2に記載のブレーキ制御装置。
- 前記ブレーキ制御装置のモードをフリーモードとブレーキモードとの間で切り替えるためのモード切替弁をさらに備え、
前記切替弁は、前記油圧ポンプと前記ブレーキユニットとの間において前記モード切替弁と並列的に配置された第2切替弁であり、
前記第2切替弁は、前記コントローラからの指令信号に対する応答性が前記モード切替弁よりも高い電磁切替弁である、請求項1~3の何れか1項に記載のブレーキ制御装置。 - 機体と、
前記機体に起伏可能に取り付けられた起伏部材と、
前記起伏部材から垂れ下がるロープの巻き取り及び繰り出しを行うための前記ウインチドラムと、
前記ウインチドラムに対するブレーキ力を調節することが可能な請求項1~4の何れか1項に記載のブレーキ制御装置と、を備えるクレーン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021212417A JP2023096568A (ja) | 2021-12-27 | 2021-12-27 | ブレーキ制御装置及びこれを備えたクレーン |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
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JP2021212417A Pending JP2023096568A (ja) | 2021-12-27 | 2021-12-27 | ブレーキ制御装置及びこれを備えたクレーン |
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Country | Link |
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2021
- 2021-12-27 JP JP2021212417A patent/JP2023096568A/ja active Pending
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