JP3600086B2 - 駆動用ic、発光素子及び光プリントヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ等の記録ヘッドに用いられる光プリントヘッドに係わり、特に、素子内で時分割駆動を行うことができるように構成された発光素子を駆動するための新規な駆動用ICとそれを用いた光プリントヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光プリントヘッドにおいて用いられる発光素子(アレイ)は、実公平6−48887号公報に示すように、複数の発光部に1対1で対応させて個別電極を素子表面側に設け、各発光部に共通の電極を素子裏側に設けて構成しているので、1つの素子内で時分割駆動することができなかった。時分割駆動することができないので、個別電極を発光部と同数設ける必要があり、発光部の高密度化が進むと、それに対応して個別電極も高密度配置になる結果、駆動用ICとの接続が困難になるという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するため、特開平6−163980号公報において、素子内での時分割駆動が可能な発光素子が提案されている。すなわち、発光素子上の複数の発光部を複数mの群に分け、群毎の発光部に接続するようにm本の共通電極を設け、異なる群に属するm個の発光部に接続した個別電極をn個設けることによってm×n個の発光部を備える発光素子が提案されている。この発光素子によれば、m本の共通電極を時分割的に選択することによって個別電極の数を従来の1/mに削減することができるので、駆動用ICとの接続を容易にすることができる。
【0004】
このような発光素子を従来と同様の駆動用ICを用いて時分割駆動することも可能であるが、この場合、共通電極を時分割的に選択するための駆動回路を別途必要とするので、時分割駆動に適した汎用性のある駆動用ICの開発が望まれている。
【0005】
そこで本願出願人は、上記の点を考慮し、共通電極を時分割的に選択するための駆動回路を内蔵した駆動用ICについて、特開平10−226102号公報にて提案しているが、この公報に示された構成は、群選択用の複数の端子を集合させた端子部をICの中央部に配置しているので、以下の課題が有った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、1つの群選択用端子には、複数(n=96)の発光素子が接続されているが、これらを同時に点灯させた場合と1つのみを点灯させた場合とで発光部の輝度に相違が生じるという第1の問題、1つの群選択用端子に接続された同一の群に属する発光部を同時に点灯させた際に発光部の位置に応じて輝度に相違が生じるという第2の問題が有ることが分かった。その第1の問題は、群選択用端子周辺に存在する内部抵抗に起因する電圧降下量が発光部の点灯数によって変動し、それによって発光部の駆動電圧が変動することが要因であると分かった。また、第2の問題は、群選択用端子と発光部の間の配線抵抗が発光部の位置に応じて相違することが要因であると分かった。
【0007】
そこで本発明は上記の点を考慮し、同一の群に属する発光部の間に生じる輝度差を少なくして、印字ムラを抑制することができる光プリントヘッドを提供することを主な課題とする。また、このような光プリントヘッドに好適な駆動用ICを提供することを課題の1つとする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の駆動用ICは請求項1に記載のように、素子駆動用の複数の出力端子と、該各出力端子と接続した第1駆動部と、複数(m)の群を選択するための複数(m)の群選択用端子と、該各群選択用端子と接続した第2駆動部とを備えた駆動用ICにおいて、前記複数(m)の群選択用端子で構成した端子部を複数組設け、前記第2駆動部を構成する回路と前記端子部を複数箇所に分散して配置したことを特徴とする。
【0009】
本発明の駆動用ICは請求項2に記載のように、請求項1記載の駆動用ICにおいて、前記出力端子と前記群選択用端子を駆動用ICの同一の辺に配置するとともに、群選択用端子の端子部を分散して配置したことを特徴とする。
【0010】
本発明の駆動用ICは請求項3に記載のように、前記第2の駆動部を構成する回路の間に前記第1の駆動部を構成する回路を配置したことを特徴とする。
【0011】
本発明の発光素子は請求項4に記載のように、素子駆動用の複数の出力端子と、該各出力端子と接続した第1駆動部と、複数(m)の群を選択するための複数(m)の群選択用端子と、該各群選択用端子と接続した第2駆動部とを備え、前記複数(m)の群を選択するための端子で構成した端子部を複数組設けた駆動用ICと1対1の対応関係を持って配置される発光素子であって、前記駆動用ICの前記群選択用端子とワイヤボンド接続される複数(m)のパッド電極からなるパッド電極部を複数組設け、これらのパッド電極部を前記群選択用の端子部と対応して分散して配置したことを特徴とする。
【0012】
本発明の光プリントヘッドは請求項5に記載のように、素子駆動用の複数の出力端子と、該各出力端子と接続した第1駆動部と、複数(m)の群を選択するための複数の群選択用端子と、該各群選択用端子と接続した第2駆動部とを備えた駆動用ICと、この駆動用ICと1対1の対応関係を持って配置される発光素子を備えた光プリントヘッドであって、前記駆動用ICは、前記複数(m)の群選択用端子で構成した端子部を複数組設け、前記発光素子は、前記駆動用ICの前記複数組の端子部と対応する複数組のパッド電極部を設け、前記端子部と前記パッド電極部の対応する端子と電極間をワイヤボンド接続したことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、駆動用ICの回路ブロック図を示し、図2は、図1に示す回路ブロック図のうち、複数ある出力端子DO1〜DO96の1つの出力端子DO1に関係する部分を中心に抽出した要部回路ブロック図である。まず、これらの図を中心に説明する。
【0015】
駆動用IC1は、図1に示すように、素子駆動用(後述する個別電極28用)の複数個(n)の出力端子DOで構成された個別端子部と、各出力端子DOと接続され、これらに対して駆動信号としての所定の電流出力を与える第1駆動部2と、複数の群(m)を選択するための複数(m)の群選択用端子CDを1組とした端子部31を複数(g)組備える共通端子部と、各出力端子CDと接続され、これらを選択的に所定の電源電位、例えば接地電位VSSに切り替える第2駆動部3を備えている。以下、n=96,m=4、g=3の場合を例にとって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0016】
第1駆動部2は、複数(r)のデータ入力端子SI1〜SI4を介して順次与えられるシリアル入力データ信号を一時的に記憶するデータ信号記憶回路4と、このデータ信号記憶回路4から出力されたデータ信号に基づき上記各出力端子DO1〜DO96に駆動信号を出力する駆動回路5と、この駆動回路5に定電流を供給する電流供給回路6と、この第1駆動部2並びに第2駆動部3の各部に所定のタイミング信号を供給するタイミング制御回路7とを備えている。
【0017】
データ信号記憶回路4は、データ入力端子SI1〜SI4からシリアルに入力されるデータ信号をクロック信号CLK1に同期して取り込み、データ出力端子SO1〜SO4からシリアル出力するn×m(384)ビット構成の多入力シフトレジスタ8と、このシフトレジスタ8に取り込まれたデータ信号を、ロード信号LOAD1に基づいてn×m(384)ビット単位に並列に取り込むn×m(384)ビット構成のラッチ回路9とを備えている。シフトレジスタ8から並列に出力されるn×m(384)個のデータ信号はラッチ回路9を介さないで記憶回路10に供給することもできるようにしている。
【0018】
尚、データ信号を複数ビットで構成する場合などにおいては、それに応じてシフトレジスタ8やラッチ回路9等の構成を変更することもでき、例えば、シフトレジスタ8をアドレス指定方式のメモリで構成することもできる。
【0019】
駆動回路5は、ラッチ回路9が出力するn×m(384)個のデータ信号から、n個単位にデータ信号を順次選択して出力する第1の選択回路11Aと、この第1の選択回路11Aの出力に基づいて前記出力端子DO1〜DO96を介して一定の電流を出力するn(96)ビット構成の第1のドライブ回路12Aを基本的な構成として備えている。駆動回路5は、この基本構成に加えて、必要に応じて、データ補正に対応するための補正データをn×m(384)個記憶するための補正データ記憶回路10と、この補正データ記憶回路10から出力されるn×m(384)個の補正データ信号から、 n個単位に補正データ信号を順次選択して出力する補正データ用の第2の選択回路11Bと、この補正データ用の選択回路11Bの出力に基づいて増加減した電流値の出力を前記出力端子DO1〜DO96を介して駆動信号として出力するn(96)ビット構成の補正用の第2のドライブ回路12Bを備えることができる。
【0020】
記憶回路10は、 複数(S)ビット(例えば3ビット構成)で構成される補正データを、データ信号に対応してn×m(384)個記憶することができるように、例えばS×n×mビット構成のラッチ回路で構成することができる。そして、各補正データ記憶回路10に対する補正データの書き込みは、シフトレジスタ8から並列に供給されるn×m個単位の信号に基づいて行われるようになっている。
【0021】
補正データ記憶回路10の書き込みは、前もって行うことができる。すなわち、記憶回路10のみを書き込み状態としてシフトレジスタ8を介して補正データの各ビットを記憶する作業を複数(S=3)回繰り返すことによって行うことができる。
【0022】
ドライブ回路12は、図2に示すように、1つの出力端子DOに対してそれぞれ電流出力が異なる4つの電流増幅器12a〜12dを1組として、それを出力端子DOと同数備えて構成されている。電流供給回路6から電流が供給される4つの電流増幅器12a〜12dは、個々にその作動状態を制御することによって、合計出力電流を4mAをベースとして3〜5mA程度の範囲で変更できるようにしている。
【0023】
選択回路11は、時分割駆動を行うために前記ラッチ回路9や補正データ記憶回路10に記憶されたn×m個分のデータや補正データを、n個単位に選択してm回取り出すための回路で、複数の論理ゲート回路によって構成されている。この選択回路11は、タイミング制御回路7の一部を構成する分割タイミング信号発生回路14によってゲートの開閉が制御される。
【0024】
この分割タイミング信号発生回路14は、時分割のタイミング(前記選択回路の選択タイミング)を規定するように外部から供給される制御信号の1つである外部信号DIVSEL1,2に基づいて、分割タイミング信号(DIV1〜4)を生成するための回路で、論理ゲート回路を組み合わせて構成することができる。このように、分割タイミング発生回路14は、少数の外部信号DIVSEL1,2に基づいて4つの分割タイミング信号(DIV1〜4)を生成するので、外部と接続する制御信号の端子の数を削減してICの小型化を図ることができるとともに、ワイヤボンド配線などの外部配線数を削減することができる。
【0025】
次に、図2を参照して1つの出力端子DO1を中心にデータの流れについて説明する。ラッチ回路9に記憶された1つのIC分のデータ(384個のオン/オフデータ)は、分割タイミング信号DIV1〜4が順次Hレベルに切り替わることによって、その分割タイミング信号DIV1〜4と接続されたアンドゲート回路のみが開く結果、その間に選択的に出力される。図2に示す例では、1つのIC内部の1から4番目のデータが順次ドライブ回路12の駆動に用いられる。また、補正データ記憶回路10に記憶された3ビット構成の補正データも同様に、分割タイミング信号DIV1〜4が順次Hレベルに切り替わることによって3個一組のアンドゲート回路が開く結果、その間に選択的に出力される。補正データ記憶回路10の出力は、ドライブ回路12に供給され、3つの電流増幅器12b〜12dを選択的に動作させる。
【0026】
次に、第2駆動部3について説明する。第2駆動部3は、端子部31を構成する1組の出力端子CD1〜CD4の内の1つを選択的に所定電位、この例では接地電位VSSに切り替えるための回路で、前記分割タイミング信号DIV1〜4に同期したタイミングをコモンドライブ回路32に与えることによって、出力端子CD1〜CD4の出力状態を切り替える構成としている。各コモンドライブ回路32は、端子部31と1対1の対応関係で設けられており、各端子部31の同一の出力端子CDを同時に選択する構成としている。尚、各コモンドライブ回路32は分割タイミング信号DIV1〜4以外にも、前記選択回路11の選択タイミングに同期した他の信号を用いて出力端子CD1〜CD4を切り変える構成とすることもできる。
【0027】
図3は、上記の駆動用IC1を備えて構成した光プリントヘッド20の一例を示す要部平面図である。この光プリントヘッド20は、絶縁性の長尺基板21の上に複数、例えばL=20個の発光素子22を一列に配列し、この発光素子22の片側に隣接させて駆動用IC1を発光素子22と1対1で対応させて一列に配列している。この例では、駆動用IC1を発光素子22の片側に配列しているが、駆動用IC1を発光素子22の両側に配列する場合は、発光素子22と駆動用IC1を1対2の対応関係で配列すれば良い。発光素子22と駆動用IC1間には、両者を接続するための配線23が施される。配線23としては、金線等のワイヤボンド線による直接接続構造、中継用のパターンを介在したワイヤボンド線による間接的接続構造を用いることができるが、高密度のフレキシブル配線を異方性導電接着剤を用いて接続する構造を用いることもできる。
【0028】
基板21の上には、信号用、電力供給用の複数本の配線パターン24を発光素子22の配列方向に沿って延びるように形成している。駆動用IC1と配線パターン24の間には、前記配線23と同様の配線25を設けている。
【0029】
発光素子22は、その上面に複数(m×n=384)個の発光部26をその長手方向に沿って一列に例えば1200DPI(Dot/Inch)の密度(解像度)で配列している。そして、この複数の発光部26は、時分割駆動できるようにそれぞれが独立して形成されており、群単位に時分割駆動できるように、複数mの群に区分けしている。この例では、発光部26の1,5,9番目を第1の群、2,6,10番目を第2の群というように、発光部26の配置順序を示す番号を4で割った場合の余りの数に基づいて4つの群に区分けした場合を例示している。
【0030】
そして、発光素子22は、第1の群に属する発光部26に共通に接続した共通電極27−1と、第2の群に属する発光部26に共通に接続した共通電極27−2、共通電極27−3、並びに共通電極27−4の4本(M=4)の共通電極27を発光素子の長手方向に沿って設けるとともに、異なる群に属する発光部26、この例では隣接する4つの発光部26に接続した96個(N=96)の個別電極28を同方向に配列して設けている。
【0031】
駆動用IC1は、図3に示すように、発光素子22と対向する辺に複数の出力端子DOと、複数の出力端子CDを配置している。出力端子CDは、出力端子CD1〜CD4を1組とする端子部31を両端と中央部の3個所に分散して配置している。出力端子DOは、端子部31の間に出力端子DOを半数ずつに区分けして配置している。各端子部31は、その出力端子CD1〜CD4を、発光素子22の共通電極27−1〜27−4にワイヤボンド線を用いて接続している。
【0032】
このように、駆動用IC1の出力端子CD1〜CD4と発光素子22の共通電極27−1〜27−4間の接続を複数(g)個所、この例では3個所で行なうので、共通電極を介して駆動用IC1に流れる電流を分散、この例では3個所に分散することができる。このように電流を分散してその電流値を約1/3に低減するため、駆動用ICの内部抵抗、特にコモンドライブ回路32の内部抵抗に起因する電圧降下量の削減を図ることができ、発光部に加わる電圧が発光数の変動とともに変動する率を抑制して発光量の変動を抑制することができる。また、発光素子22内部の共通電極27の配線距離を短縮して配線抵抗を低減することにより、共通電極27へのワイヤボンド点からの距離に応じた光量低下を抑制することができる。よって、光量変動を抑制した光プリントヘッドを提供することができる。
【0033】
この実施形態に係る光プリントヘッドの回路構成例は、図4に示す通りであるが、これ以外の回路構成とすることもできる。
【0034】
次に、上記した基本実施形態に若干の変更を加えた場合の実施形態を、図5〜図8を参照して説明する。図5〜図7は、図3に示す基本実施形態との相違点を説明するために必要な要部(駆動用IC1と発光素子22)の平面図である。
【0035】
まず図5は、図3に示す実施形態と発光素子22の構造が一部相違する点を除いて実質的に同一の実施形態を示している。この図に示すように、発光素子22として、共通電極27(図示せず)へのワイヤボンド用パッド電極27WBと個別電極28を一列に配列したものを用いている。ここで、共通電極は、発光素子22の表面にパッド電極27WBと離間して配置しても良いし、多層配線化することによって素子内部に配置しても良い。そして、4つの共通電極に各々接続した4つのパッド電極27WBを1組としてパッド電極部を構成し、このパッド電極部を駆動用IC1の端子部31と対向して配置している。このように、パッド電極27WBを駆動用IC1の出力端子CD1〜CD4と1対1に対応させて配置しているので、個別電極28へのワイヤボンド作業と共通電極へのワイヤボンド作業を同じ装置を用いて同時作業で行なうことができ、組立て作業性を高めることができる。
【0036】
尚、図3には示していなかったが、駆動用ICのコモンドライブ回路32は、図5に示すように、端子部31の配列に対応して駆動用ICの両端と中央部に分散して配置している。また、駆動用IC1のドライブ回路12は、コモンドライブ回路32の間に分散して配置している。このように、駆動用IC1の主たる発熱源となるコモンドライブ回路32を分散して配置しているので、その発熱がドライブ回路12に与える影響を低減することができる。ドライブ回路12が受ける影響としては、熱ムラによる動作バラツキ(駆動電流のバラツキ)や、熱膨張によって基板21と駆動用IC間に発生する応力による動作バラツキ(駆動電流のバラツキ)などあり、これらが上記構成によって抑制される。
【0037】
駆動用IC1は、図5に示す構成以外にも図6に示すように、端子部31とコモンドライブ回路32をICの両端に配置する構成とすることもできる。この場合、ICの端子部32の配列変更に対応して発光素子22のパッド電極27WBの配置も変更している。このようにすることによって、図5に示す実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0038】
図7は、端子部31のみを分散した実施形態を示している。この実施形態に係る駆動用IC1のブロック図は図8に示す通りである。これらの図に示すように、この実施形態は、コモンドライブ回路32を複数の端子部31に共通に接続した例を示している。ここで、駆動用IC1は、コモンドライブ回路32を駆動用IC1の長手方向の中央部に配置しているので、駆動用IC1の一方の端に配置する場合に比べて、内部配線長を半分程度に短縮することができ、内部配線抵抗に起因する光量バラツキを低減することができる。
【0039】
尚、発光素子22はL個(20個)であるので、ヘッド20全体の発光部26の数は、L×M×N=20×4×96=7680個となる。
【0040】
次に、上記駆動用IC1の動作を含めた上記光プリントヘッド20の動作について、以下簡単に説明する。尚、記憶回路10に記憶すべき補正データは、発光素子22の各発光部26の光量を均一にするために、各発光部26に対応して予め求めた光量補正データが用いられ、これらのデータは、既に記憶回路10に記憶されているものとする。
【0041】
20番目の駆動用IC1のデータ入力端子SI1〜SI4にデータ信号(7680個)がr個単位に順次与えられ、これがクロック信号CLK1に同期して順次各駆動用IC1の多入力シフトレジスタ8に取り込まれる。ここで、各データ入力端子SI1〜SI4に与えられるデータ信号は、入力端子SI1に1,5,9番目のデータ、入力端子SI2に2,6,10番目のデータというように、予め発光素子の4つの群に対応した形態に振り分けられて入力される。1つの駆動用IC1のシフトレジスタ8への入力が終わると、その出力端子SO1〜4を介して、隣に位置する駆動用IC1のシフトレジスタ8にデータ信号が与えられる。このように、データ信号を多入力するので、1入力の場合に比べてデータ入力の時間を大幅に短縮することができる。
【0042】
1ライン分のデータ入力が終了すると、ロード信号LOAD1が、所定時間Hレベルに保持され、各IC1のシフトレジスタ8に保持されたn×m個のデータ信号の取り込みが行われる。この時、ロード信号LOAD1の立ち下がり時点でラッチ回路9が選択(ラッチ)されるので、シフトレジスタ8に取り込まれたn×m個のデータ信号がラッチ回路9に一斉に入力されて記憶される。
【0043】
ロード信号LOAD1がHレベルからLレベルに切り替わった直後に、外部信号DIVSEL1,2が共にLレベルに保持され、分割タイミング発生回路14が出力する分割タイミング信号のDIV1のみがLレベルからHレベルに切り替わる。その直後に発光のタイミングを示す外部ストローブ信号(反転STB)がHレベルから所定期間Lレベルに保持され、その関に発光素子の選択的な発光が行われる。
【0044】
外部信号DIVSEL1,2の組み合わせを変更することにより、分割タイミング信号のDIV2のみをHレベルに切り替えることができ、同様に順次DIV3、DIV4のみをHレベルに切り替えることができる。
【0045】
この分割タイミングDIV1〜4の切り替わりによって、選択回路11がラッチ回路9や記憶回路10から選択して出力するデータ信号の位置が順次切り替わる。例えば分割タイミングDIV1によって、1番目、5番目、…7677番目のデータが選択され、分割タイミングDIV2によって、2番目、6番目、…7678番目のデータが選択される。
【0046】
これらのデータ(必要に応じて3ビットの補正データが付加される)がドライブ回路12に与えられる。ドライブ回路12は、データ信号やそれに付加された補正データに基づいて、4つの電流増幅器12a〜12dを選択的に作動させてその出力電流を出力端子DOを介して発光素子22の各個別電極28に供給する。
【0047】
全ての発光素子22の個別電極28にデータ信号や補正データに応じた電流が供給可能な状態となるが、4分の1の発光部26のみが共通電極27を介して接地されているので、この例では4個置きの発光部26のみがストローブ信号(反転STB)のLレベル期間に選択的に発光する。ここで、第2の駆動部3が、図1に示すように、複数の端子部31に対応してコモンドライブ回路32を備えることにより、コモンドライブ回路32に流れる電流値を低減し、内部抵抗に起因する不必要な電圧降下を低減するすることができる。また、第2駆動部3が、複数組の端子部31を備え、それを分散して配置しているので、IC内部の配線抵抗を低減することができる。同様に、発光素子22もパッド電極部を複数箇所に分散して配置しているので、発光素子内部の配線経路及び抵抗を低減することができる。
【0048】
上記のような、4分の1ずつの切り替えによる時分割駆動によって1ライン分の選択的な発光を行い、これを順次繰り返すことによって、1画面分の露光を行うことができる。
【0049】
上記のように、素子内時分割駆動に対応した発光素子22を駆動するための各駆動用IC1が、群を単位とするタイミングに同期して動作する第2駆動部3を内蔵し、この駆動用IC1によって対応した発光素子22の時分割駆動を行う構成としているので、負荷の分散を図ることができる。よって、時分割駆動を行うための第2駆動部3に加わる最大負荷は、対応する発光素子22の1つの群に属する発光部26の数に基づき決定できる。その結果、従来のダイナミック駆動方式のように時分割駆動用(共通電極選択用)の専用ICを用いて全ての発光素子を対象とした時分割駆動を行う場合に比べて、時分割駆動用の回路に加わる負荷を大幅に低減することができる。
【0050】
そして、駆動用IC1の第2駆動部3は、小電流を制御することができる小型回路で構成することができ、駆動用IC1を従来のスタテック方式用のICと同等の形状で構成することができるので、全体的な回路構成の小型化を達成することができる。
【0051】
また、時分割駆動を行う構成でありながら、1ライン分のデータ信号を一度の処理作業で入力することができるので、従来の回路で行なっていたような分割数と同じ回数にわたって繰り返しデータ信号を入力する処理が不要となる。特に、群の数(m)とデータ入力端子数(r)を同じに設定しているので、群単位に予めデータを振り分けてデータ入力を行なうことができ、データ入力処理等を容易に実行することができる。また、時分割数を増加させても、その分割数よりも少数の制御信号の供給線を利用して時分割用のタイミング(分割タイミング信号)を発生させるようにしているので、ICの端子数や組立て作業数の削減を図ることができる。
【0052】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、発光部の間に生じる輝度差を少なくすることができる。よって、印字ムラを抑制する光プリントヘッドを提供することができる。また、このような光プリントヘッドに好適な駆動用ICや発光素子を提供することができる。また、時分割駆動に対応した発光素子を駆動するに適した汎用性のある駆動用ICを提供することができる。また、光プリントヘッドの組立て作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本実施形態に係る駆動用ICの回路ブロック図である。
【図2】図1の要部を示す回路ブロック図である。
【図3】本発明の基本実施形態に係る光プリントヘッドの要部平面図である。
【図4】同実施形態の光プリントヘッドの回路ブロック図である。
【図5】他の実施形態の要部平面図である。
【図6】他の実施形態の要部平面図である。
【図7】他の実施形態の要部平面図である。
【図8】他の実施形態に係る駆動用ICの回路ブロック図である。
【符号の説明】
1 駆動用IC
2 第1駆動部
3 第2駆動部
4 データ信号記憶回路
5 駆動回路
11 選択回路
Claims (5)
- 素子駆動用の複数の出力端子と、該各出力端子と接続した第1駆動部と、複数(m)の群を選択するための複数(m)の群選択用端子と、該各群選択用端子と接続した第2駆動部とを備えた駆動用ICにおいて、前記複数(m)の群選択用端子で構成した端子部を複数組設け、前記第2駆動部を構成する回路と前記端子部を複数箇所に分散して配置したことを特徴とする駆動用IC。
- 前記出力端子と前記群選択用端子を駆動用ICの同一の辺に配置するとともに、群選択用端子の端子部を分散して配置したことを特徴とする請求項1記載の駆動用IC。
- 前記第2の駆動部を構成する回路の間に前記第 1 の駆動部を構成する回路を配置したことを特徴とする請求項1あるいは2記載の駆動用IC。
- 素子駆動用の複数の出力端子と、該各出力端子と接続した第1駆動部と、複数(m)の群を選択するための複数(m)の群選択用端子と、該各群選択用端子と接続した第2駆動部とを備え、前記複数(m)の群を選択するための端子で構成した端子部を複数組設けた駆動用ICと 1 対1の対応関係を持って配置される発光素子であって、前記駆動用ICの前記群選択用端子とワイヤボンド接続される複数(m)のパッド電極からなるパッド電極部を複数組設け、これらのパッド電極部を前記群選択用の端子部と対応して分散して配置したことを特徴とする発光素子。
- 素子駆動用の複数の出力端子と、該各出力端子と接続した第1駆動部と、複数(m)の群を選択するための複数の群選択用端子と、該各群選択用端子と接続した第2駆動部とを備えた駆動用ICと、この駆動用ICと 1 対1の対応関係を持って配置される発光素子を備えた光プリントヘッドであって、前記駆動用ICは、前記複数(m)の群選択用端子で構成した端子部を複数組設け、前記発光素子は、前記駆動用ICの前記複数組の端子部と対応する複数組のパッド電極部を設け、前記端子部と前記パッド電極部の対応する端子と電極間をワイヤボンド接続したことを特徴とする光プリントヘッド。
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