JP3598198B2 - 防腐防かび剤および防腐防かび方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エマルジョン塗料、油性塗料、電着塗料、有機質接着剤、糊料、粘土、インキ、切削油、研削油、木材、皮革、繊維および紙製造時の白水などの各種工業用原材料および製品などが、細菌、酵母、糸状菌、藻類などにより劣化するのを防止するため、また環境衛生維持のための新規な防腐防かび剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明の一方の有効成分である2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール(TBZ)は公知であり、防黴剤として知られており(「防菌防黴剤事典」日本防菌防黴学会、昭和61年8月22日発行)、カンキツ類やバナナの果実の保存時の防かび剤としても知られている。また、他方の有効成分であるクロルヘキシジンジグルコネート(グルコン酸クロルヘキシジンともいう)についても防菌防黴剤として知られている(「防菌防黴剤事典」日本防菌防黴学会、昭和61年8月22日発行)。
【0003】
また、特開昭59−164703号公報には2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールと、クロルヘキシジン塩酸塩を有効成分として含有することを特徴とする防腐防かび剤が記載されている。
【0004】
しかし、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールもしくはその塩と、クロルヘキシジンジグルコネートとを有効成分として含有する混合剤については知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
工業用原材料や製品を、細菌、酵母、かびなどによる劣化から護るためには、各種の微生物の発生を非選択的に、かつ撲滅的に防止しなければならない。ところが、これまで使用されてきた防腐防かび剤は、人畜に対する毒性が強くて使用が規制されたり、使用量を少なくすると効果が弱くなったり、あるいは長期間にわたる残効性に乏しいものが多い。また、これまで防腐又は防かび用として使用されてきた薬剤は、防腐効果と防かび効果の両方の効果を十分に発揮するものが少ない。本発明において用いられる化合物A、化合物Bのいずれも単独ではこのような欠点を有し、単独での使用は必ずしも満足のいくものではない。
【0006】
したがって、本発明は、従来の薬剤に代えて、少量の使用で、工業用原材料や製品などを劣化させる各種微生物の発生、環境中の汚染菌の発生を長期間にわたって防止するための新規な防腐防かび剤および防腐防かび方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような要望に合致した新しい防腐防かび剤を開発するために、多くの薬剤について種々の試験に供して鋭意検討した。その結果、後記の化学構造式(1)で表される2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールもしくはその塩と、化学構造式(2)で表されるクロルヘキシジンジグルコネートとを併用することにより、各種工業用原材料、製品、また環境衛生などのための防腐防かび剤として有用であることを見いだした。
【0008】
すなわち、本発明は、式(1)で表される2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールもしくはその塩(以下、特にことわりのないかぎり2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールもしくはその塩を「化合物A」ともいう)と、式(2)で表されるクロルヘキシジンジグルコネート(以下、特にことわりのないかぎり「化合物B」ともいう)とを有効成分として含有することを特徴とする防腐防かび剤である。
【0009】
【化5】
【0010】
【化6】
【0011】
本発明の防腐防かび剤において、化合物Aと化合物Bとの混合剤は、各種の工業用原材料、製品などが微生物により劣化するのを防止するための防腐防かび有効成分として相乗的に作用する。
【0012】
また、本発明は、防腐防かび処理をしようとする素材又は製品を、式(1)で表される2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールもしくはその塩と、式(2)で表されるクロルヘキシジンジグルコネートとで処理することを特徴とする防腐防かび方法を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の防腐防かび剤は、式(1)で表される2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールもしくはその塩と、式(2)で表されるクロルヘキシジンジグルコネートとを有効成分として含有する。2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールの塩としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、乳酸塩などが例示される。これらの塩の中では、ドデシルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。
【0014】
本発明の防腐防かび剤は、化合物Aと化合物Bとを含んでいればよく、例えば次のような方法によって得られる。すなわち、本発明の防腐防かび剤は、前記の2種の有効成分と、適当な担体および補助剤、例えば界面活性剤、結合剤、安定剤などを配合して、常法によって、水和剤、乳剤、液剤、フロアブル剤(ゾル剤)などに製剤化することができる。
【0015】
これらの製剤化した本発明の防腐防かび剤中の有効成分の含有量、すなわち化合物A及びBの含有量の合量は、水和剤、乳剤、液剤、フロアブル剤の場合は、0.1〜90%(重量%、以下同じ。)の範囲で含有することができる。この場合、例えば化合物Aと化合物Bとの混合比は、化合物A(2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールもしくはその塩)を1部(重量部、以下同じ)に対して化合物Bを好ましくは0.01〜100部、特に好ましくは0.5〜5部である。
【0016】
使用できる担体としては、防腐防かび剤に常用されるものであれば、固体または液体のいずれにも使用でき、特定のものに限定されるものではない。
例えば、固体担体としては、鉱物質粉末(カオリン、ベントナイト、クレー、モンモリロナイト、タルク、珪藻土、雲母、バーミキュライト、石こう、炭酸カルシウム、燐灰石、ホワイトカーボン、消石灰、珪砂、硫安、尿素など)、植物質粉末(大豆粉、小麦粉、木粉、タバコ粉、でんぷん、結晶セルロースなど)、アルミナ、珪酸塩、糖重合体、高分散性珪酸、ワックス類、オイル類、などが挙げられる。
【0017】
また、液体担体としては、水、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ベンジルアルコールなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロルベンゼン、クメン、メチルナフタレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロルエチレン、トリクロロフルオルメタン、ジクロロジフルオルメタンなど)、エーテル類(エチルエーテル、エチレンオキシド、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールアセテート、酢酸アミルなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリルなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アルコールエーテル類(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノールなど)、アミン類(エチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、イソブチルアミンなど)、脂肪族または脂環式炭化水素類(n−ヘキサン、シクロヘキサンなど)、工業用ガソリン(石油エーテル、ソルベントナフサなど)および石油留分(パラフィン類、灯油、軽油など)、などが挙げられる。
【0018】
また、液剤、乳剤、水和剤、ゾル剤(フロアブル剤)などの製剤化に対し、乳化、分散、可溶化、湿潤、発泡、拡展などの目的で界面活性剤を使用することができる。このような界面活性剤としては、通常用いられるものであればよく、例えば次に示されるものが挙げられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。
【0019】
非イオン型(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステルなど)
陰イオン型(アルキルスルホサクシネート、アルキルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート、アリールスルホネートなど)
陽イオン型[アルキルアミン塩(ラウリルアミン、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド)など]
両性型[カルボン酸(ベタイン型)、硫酸エステルなど]
【0020】
また、液剤、乳剤、水和剤、ゾル剤(フロアブル剤)などの製剤化に対し、pH調整の目的で酸及びアルカリを使用することができる。このような酸、アルカリとしては、例えば次に示されるものが挙げられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。
【0021】
無機酸(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸など)
有機酸(乳酸、クエン酸、グリコール酸、グルコン酸、アルキルベンゼンスルホン酸など)
アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなど)
【0022】
また、これらの他に、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アラビアゴム、キサンタンガム、ポリビニルアセテート、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ソーダなどの各種補助剤を使用することができる。更に必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤などのような安定化剤を適量加えることができる。
【0023】
本発明の防腐防かび剤は、以下に示すような特徴を有する。
まず、第1に、本発明の防腐防かび剤は、アスペルギルス属、ペニシリウム属、クラドスポリウム属、グリオクラジウム属、オーレオバシジウム属、ケトミウム属等の糸状菌、細菌、酵母などの各種微生物の発生を非選択的にかつ撲滅的に阻止することができる。したがって、防腐防かび剤としての用途が幅広い。第2に、少ない薬量でも強力な防腐防かび効果を発揮し得る。第3に、少ない薬量でも高い防腐防かび効果を長期にわたって発揮し得る。第4に、人畜毒性などの問題が少ない。第5に、工業用原材料や製品に散布、噴霧、塗布、混入などの種々の方法で使用できるが、一般的な防腐防かび剤の使用方法に従えば、いずれの方法で用いても工業用原材料や製品に悪影響を与えることはない。
【0024】
本発明の防腐防かび剤は上記のような特徴を有しているので、次に例示するような種々の工業用原材料や製品の防腐防かび剤として、幅広く使用することができる。
(1) 水性または油性塗料の製造工程中、貯蔵中および使用時における細菌、糸状菌、酵母などの生育による腐敗問題および塗装後の塗装面における糸状菌の生育による汚染障害の防止。
(2) カゼイン、ポリビニルアルコール、でんぷんなどの接着剤または糊料などの細菌、糸状菌、酵母などの生育による腐敗問題および塗工接着面における糸状菌の汚染障害の防止。
(3) 湿潤パルプおよびチップなどの製紙用原料の保存中における細菌、糸状菌、酵母などの生育による品質劣化障害の防止。
(4) 木材、合板、竹材、皮革などの加工品および材料などへの糸状菌の生育による汚染および品質劣化障害の防止。
(5) 天然繊維、合成繊維およびこれらの混紡製品、材料などへの細菌、糸状菌、酵母の生育による汚染および品質劣化障害の防止。
(6) 合成エマルジョンまたはエマルジョンタックスなどへの細菌、糸状菌、酵母の生育による品質劣化障害の防止。
(7) コンクリート混和剤などにおける細菌、糸状菌、酵母の生育による品質劣化障害の防止。
(8) 作動油剤などにおける細菌、糸状菌、酵母の生育による品質劣化障害の防止。
(9) プラスチック、ゴムなどにおける細菌、糸状菌、酵母の生育による品質劣化障害の防止。
(10) 抄紙工程中の主に細菌、糸状菌、藻類によるスライム障害のコントロール剤。
(11) 環境中での細菌、糸状菌、酵母による汚染に対する衛生維持。
【0025】
また、本発明の防腐防かび剤は、次のように使用される。例えば、上記のようにして製剤化した各種の製剤をそのまま、あるいは水もしくは適当な有機溶媒で希釈して、(1)各種工業用原材料中にまたは製造工程中にあるいは製品に添加する方法、(2)各種工業用原材料や製品の表面にまたは環境中に塗布または噴霧する方法、(3)各種工業用原材料や製品を本発明の防腐防かび剤の希釈溶液中に浸漬する方法など、これまで一般に行われてきた防腐防かび剤の使用方法または環境殺菌剤の使用方法にしたがって各種の方法により使用することができ、何ら特定の方法のみに限定されるものではない。
【0026】
上記のように本発明の防腐防かび剤を用いて添加、塗布、噴霧、浸漬等する際の防腐防かび剤の有効成分濃度、すなわち化合物A及びBの濃度は、発生を防止しようとするカビ等の種類、適用しようとする工業用原材料や製品または環境条件などにより適宜調節することができるが、一般的に好ましくは10〜20000ppm、特に好ましくは30〜1000ppmである。
【0027】
また、本発明の防腐防かび方法は、防腐防かび処理をしようとする素材又は製品を、化合物Aと、化合物Bとで処理することを特徴とする。化合物Aと、化合物Bとで処理するとは、化合物Aと化合物Bとが、防腐防かび処理をしようとする素材もしくは製品上で、または素材もしくは製品中で混在する状態とすることを意味する。処理に際しては、上記の如く化合物Aと化合物Bとを混合して1つの製剤とし、これを塗布、噴霧等することが好ましい。また、化合物Aまたは化合物Bのいずれか一方を含む薬剤から両方を含むように使用直前に混合して処理してもよい。さらに、化合物Aと化合物Bとを別個に製剤化し、それぞれを別々に添加、塗布、噴霧、浸漬等に用いることも本発明の防腐防かび方法に含まれる。なお、別々に塗布、噴霧等を行う場合には、同時に又は速やかに連続して行うことが望ましい。
【0028】
【実施例】
以下に実施例を若干挙げるが、有効成分の配合割合、補助成分およびその添加量などは、以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0029】
なお、実施例において部とあるのはすべて重量部を表し、化合物Aは特にことわらないかぎり、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールそのもの(以下の実施例、比較例でも同じ)を、そして化合物Bはクロルヘキシジンジグルコネートの20%水溶液を使用する。
【0030】
【実施例1】
(フロアブル剤)
化合物A 10部、化合物B 50部(有効成分10部)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 2部、キサンタンガム 0.2部および水 37.8部をボールミルに入れ、4時間粉砕混合して、有効成分20%を含むフロアブル剤を得る。
【0031】
【実施例2】
(水和剤)
化合物A 5部、化合物B 25部(有効成分5部)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.5部、ラウリルサルフェート 7部、ホワイトカーボン25部およびクレー 37.5部を混合粉砕して、有効成分10%を含む水和剤を得る。
【0032】
【実施例3】
(乳剤)
化合物A(ドデシルベンゼンスルホン酸塩) 1部、化合物B 5部(有効成分1部)、ジメチルスルホキシド 49部、メチルイソブチルケトン 40部およびソルポール900A(東邦化学工業(株)製の乳化剤の商品名)5部を混合溶解して、有効成分2%を含む乳剤を得る。
【0033】
【実施例4】
(液剤)
化合物A 0.1部、化合物B 0.5部(有効成分0.1部)、グリコール酸1.0部および水 98.4部を混合溶解して、有効成分0.2%を含む液剤を得る。
【0034】
【比較例1】
(フロアブル剤)
化合物A 10部、塩酸クロルヘキシジン 10部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 2部、キサンタンガム 0.2部および水 77.8部をボールミルに入れ、4時間粉砕混合して有効成分20%を含むフロアブル剤を得る。
【0035】
【比較例2】
(水和剤)
化合物A 5部、塩酸クロルヘキシジン 5部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.5部、ラウリルサルフェート 7部、ホワイトカーボン 25部およびクレー 57.5部を混合粉砕して、有効成分10%を含む水和剤を得る。
【0036】
次に、本発明の防腐防かび剤としての有用性を示すために試験例を示す。
<試験例1 エマルジョン塗料のかび抵抗性試験>
試験方法はJIS Z 2911の方法に準じて行った。すなわち、酢酸ビニルエマルジョン白色塗料に実施例1に準じて調製したフロアブル剤を表1に示すような所定の有効成分濃度となるように加え、そしてホモジナイザーで30秒間撹拌混合し、塗料を調製する。
【0037】
なお、化合物Aは、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールを用いた(以下の試験例も同じ)。
得られた塗料液に直径12.5cmの大きさのろ紙(東洋濾紙No2)を浸漬して試料を均一につけ、そして室温で48時間風乾する。この場合、塗膜の厚さが均一で、かつろ紙に付着した塗料の重さがろ紙の重さの90〜110%になるように調製する。このろ紙を直径3cmの大きさの円形試験片とし、試験片1個について200mlの容量のビーカーを1個用意し、それに水200mlを入れて20℃に保ち、その中に試験片を18時間浸漬し、その試験片を取り出して室温に2時間つるし、さらに乾燥器(80〜85℃)の中につるす。2時間後に試験片を取り出してペトリ皿の寒天培地(組成:ぶどう糖 40g、ペプトン 10g、寒天 25gおよび精製水 1000ml)の培養面の中央に張りつけ、そしてアスペルギルス ニゲル、ペニシリウム フニクロスム、クラドスポリウム クラドスポリオイデス、グリオクラジウム ビレンス、オーレオバシジウム プルランスの混合胞子懸濁液を培地面および試験片のうえに均等に噴霧接種する。
【0038】
ペトリ皿に蓋をして28±2℃の恒温器で培養し、その3日後、7日後および14日後に試験片上のかびの生育状態を下記の基準により調査した。
なお、対照区の薬剤として、化合物A又はBをそれぞれ単独で有効成分として配合した薬剤を実施例1に、比較区の薬剤として比較例1にそれぞれ準じて調製して供試した。その結果は表1のとおりである。
【0039】
調査基準
3 試験片または試料の接種した部分に菌糸の発育が認められない。
2 試料片または試料の接種した部分に認められる菌糸の発育部分の面積は、全面積の1/3をこえない。
1 試料片または試料の接種した部分に認められる菌糸の発育部分の面積は、全面積の1/3をこえる。
【0040】
【表1】
【0041】
<試験例2 エマルジョン塗料の現場試験>
実施例1に準じて調製したフロアブル剤の所定量を酢酸ビニルエマルジョン白色塗料中に加え、充分に混合して塗料液とする。この塗料液をコンクリート壁面に塗布し、3か月後、6か月後および12か月後にかびの発生を下記の基準により調査した。
【0042】
なお、対照区の薬剤として、化合物A又はBをそれぞれ単独で有効成分として配合した薬剤を実施例1に、比較区の薬剤として比較例1にそれぞれ準じて調製して、供試した。その結果は表2のとおりである。
【0043】
調査基準
3 かびの発生が認められない。
2 かびの発生が認められ、その面積は、全面積の1/3をこえない。
1 かびの発生が認められ、その面積は、全面積の1/3をこえる。
【0044】
【表2】
【0045】
<試験例3 でんぷん糊のかび抵抗性試験>
タピオカでんぷん 15部および実施例2に準じて調製した水和剤および実施例3に準じて調製した乳剤を表3に示すような所定の有効成分濃度となるように加えた水溶液 85部を200ml容量のフラスコに入れ、かきまぜながら70℃とし、ついで徐々に冷却しながらでんぷん糊を調製する。それを200ml容量のビーカーに入れ、その中にかびの混合胞子液(アスペルギルス ニゲル、ペニシリウム シトリナム、クラドスポリウム クラドスポリオイデス、ケトミウム グロボスム)を1ml噴霧する。ビーカーにアルミホイルで蓋をし温度28±2℃、湿度95〜99%の恒温恒湿器で培養する。1週間ごとにかび抵抗性の程度を試験例1と同様基準により評価した。
【0046】
なお、対照区の薬剤として、化合物A又はBをそれぞれ単独で有効成分として配合した薬剤を実施例2および実施例3に、比較区の薬剤として比較例2にそれぞれ準じて調製して、供試した。その結果は表3のとおりである。
【0047】
【表3】
【0048】
<試験例4 カゼインの防腐効果試験>
カゼイン 10部および実施例2に準じて調製した水和剤および実施例3に準じて調製した乳剤を表4に示すような所定の有効成分濃度となるように加えた水溶液 88部およびアンモニア水2部を200ml容量のフラスコに入れ、かきまぜながら80℃とし、ついで徐々に冷却しながらカゼイン溶液を調製する。それを200ml容量のビーカーに入れ、その中にカゼインの劣化品(細菌数が108個/mlのもの)を0.1ml添加する。ビーカーにアルミホイルで蓋をし温度30℃の恒温器で培養する。10日後及び20日後にカゼイン溶液1mlを取り出し、寒天平板希釈法で1ml中の生菌数を測定した。
【0049】
なお、対照区の薬剤として、化合物A又はBをそれぞれ単独で有効成分として配合した薬剤を実施例2および実施例3、比較区の薬剤として比較例2にそれぞれ準じて調製して、供試した。その結果は表4のとおりである。
【0050】
【表4】
【0051】
<試験例5 床の防腐防かび効果試験>
実施例4に準じて調製した液剤を、水で10倍に希釈した後、床面に100ml/m2噴霧し1日後、2日後及び3日後にスタンプアガーにより菌を採取した後、寒天平板上で培養し、菌の有無を下記の基準により調査した。
【0052】
なお、対照区の薬剤として、化合物A又はBをそれぞれ単独で有効成分として配合した薬剤を実施例4、比較区の薬剤として比較例1にそれそれに準じて調製して、供試した。その結果は表5のとおりである。
【0053】
調査基準
− 菌の発生が認められない。
+ 菌の発生が認められる。
【0054】
【表5】
【0055】
【発明の効果】
本発明の防腐防かび剤または防腐防かび方法によれば、少量の防腐防かび剤の使用で、工業用原材料や製品などを劣化させる各種微生物の発生、環境中の汚染菌の発生を長期間にわたって防止することができる。しかも本発明の防腐防かび剤は従来の防腐防かび剤の成分であるクロルヘキシジン塩酸塩に比べ、本発明の防腐防かび成分であるグルコン酸クロルヘキシジンが液剤化できるため、広範囲に使用できる。
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