JP3597788B2 - 木造建物の補強金物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、木造建物の補強金物に関する。すなわち、木造軸組の建築物について、耐震性等の強度を補強する、補強金物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
木造軸組の建築物において、その耐震性等の強度を向上させるための補強構造としては、筋違い,ホールダウン金物,羽子板ボルト等、が代表的に使用されている。
筋違いは、上下の梁や土台と左右の柱とで形成された略縦長ロ字状のエリアについて、上下の左右隅部間に略X字状にクロスして、釘等を用いて取付けられていた。
ホールダウン金物は、左右の柱の端部にボルト等を用いて止着されており、羽子板ボルトは、左右の柱の上端部付近にて使用されていた。
従来は、このような筋違い,ホールダウン金物,羽子板ボルト等により、木造建物について、柱に加わる引き抜き力に耐えうるよう耐震性を向上させると共に、柱や梁等の極部への力の集中を回避して、柱や梁等の座屈を防止し、もって、全体強度の補強,向上が図られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
《各問題点について》
ところで、このような従来例にあっては、次の問題が指摘されていた。まず(1)、特に筋違いについては、上下の左右隅部間に略X字状にクロスして正確に取付けることは容易でなく、熟練を要し、取付け技術により全体強度に差が出る、との指摘があった。
(2)筋違い,ホールダウン金物,羽子板ボルトについては、止着対象となる木製の柱の端部が、これら多くの部材の止着集中により、多くの孔があき裂け目が生じることもある等、止着集中により柱の強度が低下する、柱が弱体化する、との指摘があった。
(3)筋違い,ホールダウン金物,羽子板ボルトは、上下の左右隅部つまり柱の端部において、集中的・競合的・同一箇所に取付け,止着される位置関係にある。
そこで、これらが邪魔し合い,干渉し合うので、各々を正確にしんで取付け止着することが、極めて困難であり、もって、地震等により荷重が加わった場合に、例えばホールダウン金物が損傷し易い、という指摘があった。筋かいが破損すると、木造建物が崩壊してしまう危険も発生する。
【0004】
(4)柱には背割れ(柱の背の上下にわたり、肉厚の半分程度まで食い込んだ割れ目)が、存在していることも多い。
そこで、このような柱にボルト等を用いてホールダウン金物を止着した場合、背割れにボルトが挿入される等により、ホールダウン金物がガタつき、ホールダウン金物の止着が不正確となって、ホールダウン金物が機能しなくなることがあった。
(5)筋違いとしては、木製のものが使用されることが多い。そこで、ひび割れ,虫食い,腐食,乾燥剤の使用,杉や檜等の種類、等々の悪影響を受け、場合によっては、筋違いとしての機能を発揮できないことが、多々あった。
(6)特に大きな揺れの繰り返しに弱い、という指摘があった。すなわち、筋違い,ホールダウン金物,羽子板ボルトを使用した補強構造により、木造建物が全体的に堅く・剛的に組み付けられてしまい、粘り・撓り・柔性に乏しく、大きな揺れの繰り返しにより、損傷,破損,崩壊する危険が、指摘されていた。
【0005】
これら(1),(2),(3),(4),(5),(6)等により、この種従来例の補強構造については、木造建物の全体強度について、バランスが悪く構造的に安定しない等、不安が指摘されていた。
すなわち、従来の筋違い,ホールダウン金物,羽子板ボルト等を使用した木造軸組の建築物の補強構造では、耐震性に問題が存し、柱や梁等への力の極部集中、柱や梁等の座屈の危険が指摘されていた。
【0006】
《本発明について》
本発明の木造建物の補強金物は、このような実情に鑑み上記従来例の課題を解決すべく、発明者の鋭意研究努力の結果なされたものであって、まず、所定の上下の横材,左右の縦材,斜材,中桟材等を備え、枠形状をなすと共に、これらについて、L形アングル金物と角筒金物とを使い分けて使用したこと、を特徴とする。
もって第1に、耐震性が向上し、局部への力の集中が回避され座屈も防止される等、木造建物について、バランスの良い安定した補強構造が得られて、全体強度が向上し、第2に、しかもこれが簡単容易に、施工性にも優れて実現される、木造建物の補強金物を提案すること、を目的とする。
更に、所定の仕口補強プレートを採用したことにより、特に横材の破損が防止され、又、所定の中桟材を採用したことにより、特に斜材の座屈が防止されると共に、縦材と柱との一体性が確保されるようになる、木造建物の補強構造を提案することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
《各請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次のとおりである。すなわち、この木造建物の補強金物は、上下の横材と左右の縦材とで略縦長ロ字状の枠形状をなすと共に、斜材と中桟材が配された一体物よりなる。そして該補強金物は、木造建物の上下の梁や土台と左右の柱とで形成された空間の周縁部に配されると共に、該横材が該梁や該土台に一体的に止着され、該縦材が該柱に一体的に止着される。
【0008】
該横材としては、寸法が40mm×40mm程度の角筒金物が使用され、又、該縦材,該斜材,該中桟材としては、寸法が40mm×40mm程度のL形アングル金物が使用されている。
該中桟材は、中央横に配される。又、該斜材は、4本の該L形アングル金物が、略X字状にクロスするように2本ずつが上下で直線状に配されると共に、該中桟材を挟んだ上下のものが、上下で左右の向きが逆とされている。
【0009】
そして、下の該横材の左右端部に、それぞれ左右の該縦材や該斜材の下端部が溶接され、上の該横材の左右端部に、それぞれ左右の該縦材や該斜材の上端部が溶接されている。又、該中桟材は、左右端部がそれぞれ左右の該縦材に溶接されると共に、中央部で各該斜材に溶接されている。
【0010】
更に、金属製の仕口補強プレートが、左右の下隅部にそれぞれ介装されており、該仕口補強プレートは、該横材より若干小さ目の幅寸法よりなり、下の該横材の左右端部上に載せられると共に、該縦材の下端と該斜材の下端とが突合わせ・溶込み溶接され、かつその中央付近に形成されたボルト孔に通されるアンカーボルトを利用して、該横材,該土台そして基礎に止着されていること、を特徴とする。
【0011】
《作用について》
本発明は、このようになっているので、次のようになる。この補強金物は、上下2本の横材と左右2本の縦材と斜材とで構成され、略縦長ロ字状の枠形状の一体物よりなる。そして、横材,縦材,斜材は、端部相互間が溶接されており、横材として角筒金物が使用され、縦材および斜材としてL形アングル金物が使用されている。
そして、この補強金物は、木造軸組の建築物の補強用に使用され、木造建物の梁,土台,柱で形成された空間の周端部に配されて、横材が、梁や土台に一体的に止着され、縦材が、柱に一体的に止着される。
【0012】
そこで(1)、この補強金物は枠形状の一体物よりなるので、木造建物の柱,梁,土台への止着が容易で取付け技術によって差が出ず、地震等に際し変形や緩みも少ない。そして、横材が梁や土台を補強し、縦材がホールダウン金物的に機能して柱を補強し、斜材が筋違い的に機能する。そこで地震等に際し、力が柱,梁,土台の局部に集中せずスムーズに流れ、木造建物は安定した耐力を有するようになる。
(2)この補強金物は、横材や縦材が、木造建物の柱,梁,土台に分散止着されているので、従来例の筋違いやホールダウン金物のように、柱の端部に止着が集中せず、止着集中による裂け目発生も防止され、強度低下が回避される。
(3)この補強金物は分散止着されており、柱の端部に止着が集中して邪魔し合い干渉し合うことはなく、横材,縦材,斜材はしんで止着され、地震等により荷重が加わっても損傷,破損しにくく、機能を正確に発揮する。
(4)この補強金物は分散止着されており、柱の端部に止着が集中しないので、柱に背割れが存している場合に、止着が背割れに集中して不確実化することもなく、縦材等は、確実に止着されて機能を発揮する。
(5)この補強金物は金属製よりなるので、ひび割れ,虫食い,腐食,乾燥剤の使用,種類、等々の悪影響を受けることがなく、横材,縦材,斜材が確実に機能を発揮する。
【0013】
(6)そしてこの補強金物は、L形アングル金物つまり粘り・撓み・柔性・伸縮変形性を発揮可能で、止着・一体化も容易なL形アングル金物と、剛性・強度に優れた角筒金物とを、使い分けて使用してなる。すなわち、梁や土台と一体化され力が集中し易い横材としては、角筒金物を採用し、柱と一体化され引張り力や圧縮力が作用する縦材や斜材としては、L形アングル金物を採用してなる。
もって、この補強金物は、横材,縦材,斜材が、木造建物の柱,梁,土台と容易に一体となって働き、木造建物とバランスよく一体化する。従って木造建物は、全体的に硬く剛的となることなく、適度な粘り・撓み・柔性を維持しつつ、補強される。
これら(1),(2),(3),(4),(5),(6)により、この補強金物を採用すると、木造建物について、バランスの良い安定した補強構造が得られ、木造建物の全体強度が向上して、耐震性も向上し、局部への力の集中が回避されて、座屈も防止される。
しかも、この補強金物は、横材,縦材,斜材を組み合わせた枠形状よりなると共に、L形アングル金物と角筒金物を使い分ける簡単な構成よりなり、柱,梁,土台への止着により工事が完了し、施工性にも優れている。
【0014】
更に、この補強金物は、斜材がクロスして配されると共に、下隅部に横材より小さい幅寸法の仕口補強プレートが介装されており、この仕口補強プレートは、縦材の下端と斜材の下端に突合わせ・溶込み溶接されると共に、横材の上に載せられて、土台等にアンカーボルトを利用して止着される。
もって、この補強金物にあっては、特に、上方への引張力が作用した場合において、縦材や斜材は、溶接された仕口補強プレートによって補強されており損傷が防止されると共に、角筒金物よりなる横材が、L形アングル金物よりなる縦材や斜材にめり込んで破損する危険もない。
又、この補強金物は、斜材がクロスして配されると共に、中央横にL形アングル金物を使用した中桟材が配され、縦材および斜材に溶接されている。もってこの補強金物にあっては、このような中桟材の存在により、斜材は、特に、縦材そして柱に受け止められて保持され、強度が確保されて座屈が防止される。又、このような中桟材の存在により、特に、縦材の中央部が柱側へと押圧されて、縦材が柱から離れにくくなり確実に一体的に止着される。
又、この補強金物において、斜材は、L形アングル金物が2本ずつ直線状に配されると共に、上下で左右の向きが逆とされている。そこで、上下間で挟まれた中央横のL形アングル金物の中桟材に対し、端面の収まりが良く、溶接も容易である。又、中桟材との間の力の伝達もスムーズである。
【0015】
【発明の実施の形態】
《図面について》
以下本発明を、図面に示す発明の実施の形態に基づいて、詳細に説明する。図1,図2,図3,図4,図5,図6,図7等は、本発明の実施の形態の説明に供する。
そして図1は、第1例の正面説明図であり、図2は、第2例の正面説明図であり、図3は、第3例の正面説明図である。図4の(1)は、側断面図であり、(2)図は、要部の側断面図である。図5の(1)は、平断面図であり、(2)図は、斜視図である。図6の(1)は、仕口補強プレート等の正面説明図であり、(2)図は、仕口補強プレート等の平面説明図である。
図7は、本発明には属さない参考例の説明に供し、図7の(1)は、ホールダウン金物を併用した例の正面説明図であり、(2)図は、ホールダウン金物を併用した他の例の正面説明図である。
【0016】
《木造建物Aについて》
まず、この補強金物1の補強,取付対象たる木造建物Aについて、概説しておく。木造軸組の建築物たる木造建物Aは、図1,図2,図3等にも示したように、地面に周設されたコンクリート立上がりたる基礎Bの上に、木製の土台Cが、アンカーボルト2更にはスクリューボルト(コーチボルト)3等を用いて、止着,取付け固定されている。
そして周知のごとく、この横の土台Cの上に木製の柱Dが、各々縦に乗せられて取付けられ、各柱Dの上に木製の梁Eが、それぞれ横に乗せられて取付けられている。2階建,3階建の場合は、更に、この梁Eの上に柱Dそして梁Eが、順次乗せられて取付けられる。又、図示例によらず、柱Dとして1,2階共通の通し柱が用いられ、梁Eがこの柱Dに取付けられることもある。
土台Cや柱Dは、例えば105mm×105mm程度の寸法よりなり、梁Eは、例えば105mm×180mm程度の寸法よるなる。木造建物Aつまり木造軸組の建築物は、その構造材として、このような土台C,柱D,梁E等を備えてなる。
木造建物Aの軸組は、概略このようになっている。
【0017】
《補強金物1について》
この補強金物1は、このような木造建物Aについて使用される。すなわち、木製の土台C,柱D,梁E等を備えた木造軸組の建築物について、これを補強すべく用いられる。
そして補強金物1は、図1,図2,図3,図5の(2)図等に示したように、上下の横材4と左右の縦材5とで枠形状をなすと共に、斜材6が配された一体物よりなる。すなわち補強金物1は、2本の横材4と2本の縦材5とで略縦長ロ字状の枠形状をなすと共に、略X字状にクロスして隅部間に配された斜材6を、備えてなる。
横材4,縦材5,斜材6は、鋼その他の金属製よりなると共に、端部相互間が溶接されてなる。下の横材4の左右端部に、それぞれ左右の縦材5や斜材6の下端部が溶接され、上の横材4の左右端部に、それぞれ左右の縦材5や斜材6の上端部が溶接されている。
【0018】
そして、この補強金物1は、使用に際し、木造建物Aの上下の梁Eや土台Cと左右の柱Dとで形成された空間(1階の場合は、上の梁Eと下の土台Cと左右の柱Dとで形成された空間、2階以上の場合は、上下の梁Eと左右の柱Dとで形成された空間)の周縁部に配されると共に、横材4が、梁Eや土台Cに一体的に止着され(1階の場合は、上の横材4が梁Eに止着されると共に、下の横材4が土台Cに止着され、2階以上の場合は、上下の横材4が、それぞれ上下の梁Eに止着される)、縦材5が、柱Dに止着される。
すなわち、図1,図2,図3,図4,図5の(1)図等に示した図示例では、下の横材4は、土台Cに対し、アンカーボルト2やスクリューボルト3にて止着されてなる。左右の縦材5は左右の柱Dに対し、スクリューボルト3等にて止着されてなる。上の横材4は梁Eに対し、貫通ボルト7とナット8等で止着されてなる。なお、図5の(1)図は、図1,図2に示した例の平断面図である。
もって下の横材4は、土台Cに対し一体的に沿い、左右の縦材5は、左右の柱Dに対し一体的に沿い、上の横材4は、梁Eに対し一体的に沿った状態となる。
なお、2階建や3階建の場合、2階部分や3階部分に関して補強金物1が使用される際は、下の横材は、下の梁Eに対し貫通ボルト7とナット8等で止着され、下の梁Eに対して一体的に沿った状態となる。
又、このような補強金物1は、木造建物Aのすべての横材4と縦材5間に使用する必要はなく、従来の筋違い,ホールダウン金物,羽子板ボルトを使用する箇所があってもよい。つまり、この補強金物1とこれらとを、混在使用することも勿論可能である。
【0019】
そして、この補強金物1では、横材4,縦材5,斜材6として、L形アングル金物9や角筒金物10が、使用されている。L形アングル金物9と角筒金物10とが、その撓みと剛性の性質に応じ使い分けて使用されている。なお、平板金物材は、圧縮力および曲げに対して弱わ過ぎ、使用されない。
L形アングル金物9は、断面略L字状をなす山形鋼製よりなり、例えば、40mm×40mm×5mm程度の寸法のものが、使用される(肉厚5mm)。そして、粘り・撓み・柔性・伸縮変形性を発揮可能であり、撓み易いと共に復元力がある。
これに対し角筒金物10は、断面略ロ字状をなす角形鋼製よりなり、例えば40mm×40mm×2.3mm程度の寸法のものが使用される(肉厚2.3mm)。そして、L形アングル金物9に比し、はるかに剛性・強度に優れる半面、粘り・撓み・柔性・伸縮変形性はあまり期待できない。
いずれにしても、L形アングル金物9や角筒金物10は、木造建物A側の木製の梁E,柱D,土台C等に止着され、一体化されて使用されることに鑑み、上記寸法のものが使用される。つまり極力、寸法や肉厚を小さく設定することにより、過度の剛性・強度を抑制しつつ、木製の梁E,柱D,土台C等の動きに合わせた働らきをするよう、設定される。
【0020】
この補強金物1では、横材4,縦材5,斜材6として、このようなL形アングル金物9や角筒金物10を、その性質に応じ、使い分けて採用してなる。
すなわち、横材4として角筒金物10が使用され、縦材5および斜材6としてL形アングル金物9が使用されている。
補強金物1は、まずこのような構成よりなる。
【0021】
《補強金物1の他の構成について》
まず、中桟材11について述べる。図1,図2,図3,図5の(2)図等に示したように、この補強金物1では、斜材6が、略X字状にクロスして配されると共に、更に、金属製の中桟材11が、中央横に配されている。
中止めたる中桟材11は、縦材5および斜材6に溶接されると共に、L形アングル金物9が使用されている。中央横に配されたこの中桟材11は、左右の端部が、それぞれ左右の縦材5に溶接されると共に、中央部で、各斜材6に溶接されている。
【0022】
次に、仕口補強プレート12について述べる。図6の(1)図,(2)図に示したように、この補強金物1では、斜材6が略X字状にクロスして配されると共に、更に、金属製の仕口補強プレート12が、左右の下隅部に介装されている(図6では、左隅部のもののみが図示されている)。
そして仕口補強プレート12は、縦材5の下端と斜材6の下端とに溶接されると共に、下の横材4の上に載せられ、アンカーボルト2を利用して土台Cそして基礎Bに止着されている。つまり仕口補強プレート12は、土台C上に一体化された横材4の左右の端部上に、それぞれ載せられており、幅40mmの横材4より若干小さ目の幅寸法よりなる(つまり図6の(2)図では、図面上の上下方向がこの幅寸法となる)。
縦材5の下端と斜材6の下端は、この横材4上に載せられると共に、内側に位置する仕口補強プレート12に対し、突合わせ・溶込み溶接されている。
又、この仕口補強プレート12は、中央付近に形成されたボルト孔14に通されるアンカーボルト2にて、横材4,土台C,基礎B等に止着されている。
【0023】
次に、本発明には属さない参考例のホールダウン金物13について述べる。図3に示した例の補強金物1では、更に、ホールダウン金物13が併用されており、ホールダウン金物13が、縦材5を介し左右の柱Dの上下端部に、計4個それぞれ止着されている。
そして各ホールダウン金物13は、図7の例では更に、アンカーボルト2や貫通ボルト7を利用して、横材4を介し、土台Cそして基礎B又は梁Eに止着されている。
すなわち、図1,図2の例では、ホールダウン金物13は使用されていないのに対し、図3の例では、ホールダウン金物13が使用されている。つまり、ホールダウン金物13は必須的ではないが、横材4,縦材5,斜材6等の寸法等の仕様その他の条件により、適宜必要に応じ、より一層の強度向上をめざして併用されることもある。
【0024】
そしてホールダウン金物13は、図3の例では、縦材5のボルト孔を介し、柱Dの端部に対し、貫通ボルト7とナット8にて止着されている。
図7の(1)図の1階の例では、このような柱Dへの止着に加え、更にアンカーボルト2を利用して止着が行われている。8は止着用のナットである。更に、図7の(2)図の2階の例では、柱Dへの止着に加え、貫通ボルト7を利用して止着が行われている。
【0025】
《作用等について》
本発明に係る木造建物Aの補強金物1は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
この補強金物1は、上下2本の横材4と、左右2本の縦材5と、略X字状にクロスして配された斜材6と、で構成された一体物よりなり、略縦長ロ字状の枠形状をなす。
この横材4,縦材5,斜材6は、金属製よりなり、端部相互間が溶接されており、L形アングル金物9と角筒金物10とが、その性質に応じ使い分けて使用されている(図1,図2,図3,図5の(1)図等を参照)。すなわち、横材4として角筒金物10が使用され、縦材5および斜材6としてL形アングル金物9が使用されている。
そして、この補強金物1は、木造軸組の建築物の補強金物1として使用され、木造建物Aの上下の梁Eや土台Cと左右の柱Dとで形成された空間の周縁部に配されると共に、上下の横材4が、木造建物Aの上下の木製の梁Eや土台Cに、一体的に止着され、左右の縦材5が、木造建物Aの左右の木製の柱Dに、一体的に止着される(図1,図2,図3を参照)。
【0026】
そこで(1)、この補強金物1は、枠形状をなす一体物よりなるので(特に図5の(2)図を参照)、木造建物A側の柱D,梁E,土台Cへの止着,取付けは容易であり、取付け技術によって差が出ることが少ないと共に、取付け後において、地震等に際し変形や緩みも少ない。
そして横材4は、一体的に止着された木造建物Aの梁Eや土台Cを補強する。縦材5は、上下に連続したホールダウン金物的に機能して、一体的に止着された木造建物Aの柱Dを補強し、柱Dが土台Cや基礎B(更に2階の場合は梁E)から引き抜かれないようにする。斜材6は、従来の筋違い的に機能する。
これらにより、この補強金物1は、柱D,梁E,土台C等の木造建物A全体を、補強する(図1,図2,図3を参照)。そこで地震等に際し、力が木造建物Aの柱D,梁E,土台Cの局部に集中することはなく、加わった力がスムーズに流れ、もって、木造建物Aが安定した耐力を有するようになる。
【0027】
(2)、この補強金物1は、横材4や縦材5が、木造建物Aの柱D,梁E,土台Cに対し、分散して止着されている(図1,図2,図3を参照)。そこで、この種従来例の筋違いやホールダウン金物のように、柱Dの端部に止着が集中することはなく、柱Dの端部に止着集中による裂け目が発生することも防止される等、柱Dの強度低下が回避される。
(3)、この補強金物1は、横材4や縦材5が、木造建物A側の柱D,梁E,土台Cに分散止着されており、柱Dの端部に競合的に止着が集中して、邪魔し合い干渉し合うことはない(図1,図2,図3を参照)。そこで、横材4,縦材5(,勿論斜材6)等は正確にしんで止着されるので、地震等により荷重が加わっても損傷,破損しにくく、それぞれの機能を正確に発揮する。
(4)、この補強金物1は、横材4や縦材5が、木造建物A側の柱D,梁E,土台Cに分散止着されており、柱Dの端部に止着が集中することはない(図1,図2,図3を参照)。そこで、柱Dに背割れが存している場合に、止着が背割れに集中して止着が不確実化することもなく、縦材5等は、背割れの影響を受けることが少なく、確実に止着されてその機能を発揮する。
(5)、この補強金物1は、鋼製等の金属製よりなる。そこで、ひび割れ,虫食い,腐食,乾燥剤の使用,種類、等々の悪影響を受けることはなく、横材4,縦材5,斜材6は、確実にその機能を発揮する。
【0028】
(6)、そして、この補強金物1は、L形アングル金物9つまり粘り・撓み・柔性・伸縮変形性を発揮可能で撓み易いと共に復元力もあり、止着・一体化も容易なL形アングル金物9と、剛性・強度に優れた角筒金物10とを、その性質に応じ使い分けて使用してなる(図1,図2,図3を参照)。
すなわち、木造建物A側の梁Eや土台Cと一体化され、力が集中し易いことが多い横材4としては、角筒金物10を採用し、かつ、木造建物A側の柱Dと一体化される等、引張り力や圧縮力が作用することが多い縦材5や斜材6としては、L形アングル金物9を採用してなる。
もって、この補強金物1は、横材4,縦材5,斜材6が、木造建物A側の柱D,梁E,土台Cと、容易に一体となって働くようになり、木造建物Aとバランスよく一体化する。つまり木造建物Aは、全体的に硬く剛的に組み付けられてしまうことはなく、適度な粘り・撓み・柔性を維持しつつ、補強される。
【0029】
これら(1),(2),(3),(4),(5),(6)等により、この補強金物1を採用すると、木造建物Aについて、バランスの良い安定した補強構造が得られ、全体強度が大きく向上する。そこで、木造建物Aの柱D,梁E,土台Cについて、引き抜き力に耐え耐震性が向上し、局部への力の集中が回避され、座屈も防止される。
しかも、この補強金物1は、横材4,縦材5,斜材6を組み合わせた枠形状よりなり、取り扱いが容易であると共に、L形アングル金物9と角筒金物10を使い分けた、簡単な構成よりなる。そして、木造建物A側の柱D,梁E,土台Cに止着することにより、工事が完了し、施工性にも優れている。
【0030】
更に、図6に示したように、この木造建物Aの補強金物1は、斜材6が略X字状にクロスして配されると共に、左右の下隅部に金属製の仕口補強プレート12が、それぞれ介装されており、この仕口補強プレート12は、縦材5の下端と斜材6の下端とに溶接されて横材4の上に載せられ、木造建物A側の土台Cそして基礎Bに、アンカーボルト2を利用して止着されている。
もって特に、地震等に際し上方への引張力が作用した場合において、下の横材4、つまり角筒金物10よりなり肉厚が2mmから3mm程度と極めて薄い横材4が、上の縦材5や斜材6の下端にめり込んで破損する事態は、介装された仕口補強プレート12により、回避される。更に、縦材5や斜材6も、仕口補強プレート12に溶接されており補強されているので、その損傷が防止される。
【0031】
又、図1,図2,図3に示したように、この木造建物Aの補強金物1は、斜材6が略X字状にクロスして配されると共に、中央横に金属製の中桟材11が配されており、中桟材11は、L形アングル金物9が使用され、縦材5および斜材6に溶接されている。
もって斜材6は、特に、中桟材11を介して縦材5そして柱Dに、確りと受け止められ保持されており、強度が確保され座屈は防止される。又、中桟材11により、縦材5の中央部が柱D側へと押圧されており、縦材5が柱Dから離れにくく、両者の一体的止着性が向上する。
【0032】
なお、図3,図7の木造建物Aの補強金物1は、ホールダウン金物13が併用されており、ホールダウン金物13が、左右の柱Dの上下端部に止着されている。
もって柱Dが、より強力に補強され、地震等に際し、柱Dが土台Cや梁Eから引き抜かれることも防止される。
【0033】
《その他》
なお第1に、この補強金物1を使用した場合における、木造建物Aの浮き上がり防止について、補足しておく。
地震や台風等により、上方への引張力が木造建物Aに作用した際は、木造建物Aの基礎Bに固定されたアンカーボルト2が、補強金物1の下の横材4を、木造建物Aの土台C上に一体的に押さえ込んで固定する。
そこで、この横材4と一体の補強金物1の縦材5が、止着され一体化された木造建物Aの柱Dの浮き上がりを防止する。これと共に、この縦材5と一体の補強金物Aの上の横材4が、止着され一体化された木造建物Aの梁Eの浮き上がりを防止する。
このようにして、浮き上がろうとする木造建物Aの柱Dは、補強金物Aの横の縦材5と上の梁Eにて押さえ込まれ、もって、その浮き上がりは防止される。
【0034】
なお第2に、L形アングル金物9の止着・一体化の容易性等の利点について、補足しておく。
L形アングル金物9は、L字状をなす1枚板なので、あらかじめボルト孔を穿設しておくことにより、スクリューボルト3等を用い、容易かつ正確に、木造建物A側の木製の柱D等に止着可能である。
これに比し角筒金物10は、断面略ロ字状をなすので、予めボルト孔を、対向する2箇所に穿設しておくことを要すると共に、貫通ボルト7等を用い、厳格を止着作業を要する。
更にL形アングル金物9は、角筒金物10に比し、内部結露のおそれがなく、錆び止め剤の全体塗布も容易であり、止着までの取り扱いも場所を取らず容易であり、角筒金物10より肉厚が厚いので溶接部の強度が強い、等々の利点がある。
【0035】
第3に、図1,図2,図3に示したように、この補強金物1では、L形アングル金物9を使用した斜材6について、上下で向きが逆とされており、中桟材11との位置関係が楽に設定できるという利点がある。
すなわち、この補強金物1では、斜材6として、4本のL形アングル金物9が使用されており、略X字状をなすように2本ずつが上下に直線状に配されると共に、中桟材11を挟んだ上下のものが、左右の向きを逆に設定されている。 もって、中桟材11に対する端面の収まりが良く、中桟材11との溶接も容易であり、上下の中桟材11間の力の伝達もスムーズである、等々の利点がある。
【0036】
なお第4に、補強金物1の下の横材4が、土台Cにめり込む危険を確実に防止しておくためには、下の横材4と土台Cとの間に、プレートを介装しておくとよい。
すなわち、木造建物Aの上部の荷重や地震等に基づき、補強金物1の下の横材4については、下方への押圧力が作用することがある。そこでこの場合、補強金物1の横材4の木造建物Aが土台Cへのめり込み防止策としては、土台Cとの間に金属製のプレートを介装しておくことが、考えられる。
【0037】
なお第5に、図1に示した例と図2に示した例とは、補強金物1を木造建物Aの土台C等に止着するアンカーボルト2の位置が、相違している。
まず図2の例において、アンカーボルト2は、補強金物1の縦材5の直下付近において、下の横材4を、木造建物Aの土台Cそして基礎Bに止着している。なお、縦材5はL形アングル金物よりなるので、その下端で囲まれた直下付近の空間エリアと利用しつつ、アンカーボルト2を用いて、横材4の端部を土台C等に止着可能である。
そして、このようにアンカーボルト2が縦材5の直下付近に位置させたことにより、地震や台風等により上方への引張力が作用した場合に、これに抗して、浮き上がろうとする柱Dそして縦材5を、下方に効果的に押さえ込んで、浮き上がり防止に寄与できる利点がある。
【0038】
これに対し図1の例において、アンカーボルト2は、補強金物1の下の横材4を、図2の例より中央寄りの位置において、木造建物Aの土台C等に止着している。
すなわち、このアンカーボルト2は、縦材5の下端や斜材6の下端を避け、下の横材4を、中央寄りの端部において、木造建物Aの土台Cそして基礎Bに対して止着している。そして、この図1の例の利点は、アンカーボルト2の位置が、縦材5や斜材6の下端を避けているので、アンカーボルト2の止着作業が容易である点にある。
【0039】
【発明の効果】
《本発明の特徴について》
本発明に係る木造建物の補強金物は、以上説明したように、まず、所定の上下の横材,左右の縦材,斜材,中桟材等を備え、枠形状をなすと共に、これらについて、L形アングル金物と角筒金物とを使い分けて使用したこと、を特徴とする。もって、次の効果を発揮する。
【0040】
《第1の効果について》
第1に、耐震性が向上し、局部への力の集中が回避され、座屈も防止される等、木造建物について、バランスの良い安定した補強構造が得られ、全体強度が向上する。
すなわち(1)、まず、この補強金物は、枠形状をなす一体物よりなるので、前述したこの種従来例の筋違いのように、取付け技術により、木造建物の全体強度に差が出ることはない。
そしてこの補強金物は、縦材が、従来のホールダウン金物的に機能し、一体的に止着された木製の柱を補強してその座屈を防止し、横材が、一体的に止着された木製の梁や土台を補強して引き抜きを防止し、斜材が、従来の筋違い的に機能して柱,梁,土台そして木造建物全体を補強する。
又、この補強金物は、枠形状をなす一体物よりなると共に、上下,左右が木造建物の柱,梁,土台に一体的に添いつつ止着されているので、地震等に際し、前述したこの種従来例の筋違い,ホールダウン金物,羽子板ボルトのように、変形や緩みも少ない。
これらにより地震時等において、力が木造建物の木製の柱,梁,土台の局部に集中することなく、スムーズに流れ、又、例え斜材が損傷するようなことがあっても、残りの溶接された縦材,横材,中桟材にて、木造建物の崩壊の危険は回避される等、木造建物が安定した耐力を有するようになる。
【0041】
(2)、次に、この補強金物は、一体的な枠形状をなすと共に、縦材や横材が、木造建物側の梁,土台,柱に分散して止着される。すなわち、筋違い,ホールダウン金物,羽子板ボルトを使用した、前述したこの種従来例のように、柱の端部等に止着が集中することはない。
もって、この補強金物を使用した場合、木造建物の柱の端部に、止着集中による裂け目が生じることはなく、止着により柱の強度が低下することは、回避される。
(3)、この補強金物は、このように分散止着されており、前述したこの種従来例の筋違い,ホールダウン金物,羽子板ボルトのように、柱の端部に集中的・競合的・同一箇所に止着されることにより、互いに邪魔し合い,干渉し合って、正確にしんで止着されなくなることは、発生しない。
もって、この補強金物を使用した場合、その横材,縦材,斜材は、正確にしんで止着されるので、地震等により荷重が加わっても、損傷,破損しにくく、例えば、縦材が従来のホールダウン金物的機能を、斜材が従来の筋違い的機能を、それぞれ確実に発揮する。
【0042】
(4)、この補強金物は、縦材や横材が、木造建物の梁,土台,柱等に分散して止着される。そこで、柱に背割れが存している場合において、前述したこの種従来例のように、ホールダウン金物の止着用のボルトが、背割れに集中的に挿入される等により、ガタつき等が発生し止着が不確実化して、ホールダウン金物の機能が阻害されることは少ない。
この補強金物を使用した場合、分散止着により、背割れの影響を受けることは少なく、縦材は、確実にホールダウン金物的機能を発揮する。
(5)、この補強金物は、鋼製等の金属製よりなる。もって、前述したこの種従来例の木製の筋違いのように、ひび割れ,虫食い,腐食,乾燥剤の使用,杉や檜等の種類、等々の悪影響を受けることはない。この補強金物を使用した場合、斜材は、確実に筋違い的機能を発揮する。
【0043】
(6)、この補強金物は、粘り・撓み・柔性・伸縮変形性を発揮可能で、止着一体化も容易なL形アングル金物と、剛性・強度に優れた角筒金物とを、その性質に応じ使いわけてなる。
すなわち、木造建物側の梁や土台と一体化され力が集中しやすく、剛性・強度が要求されることが多い横材としては、角筒金物を採用すると共に、他方、引張り力や圧縮力が作用しやすく、粘り,撓み,柔性を備えていることが通常望ましい、柱と一体化される縦材や斜材としては、L形アングル金物を採用してなる。
もって、この補強金物を使用した場合、補強金物が木造建物とバランス良く一体化するようになり、木造建物側の梁,土台,柱等と、補強金物側の横材,縦材,斜材等とが、容易に一体となって働くようになる。
そこで、前述したこの種従来例のように、木造建物が補強構造により、全体的に堅く剛的に組み付けられてしまうことは回避され、木造建物は、適度な粘り・撓み・柔性を維持しつつ、補強される。そこで木造建物は、大きな揺れの繰り返しに際しても、損傷,破損,崩壊の危険が少なくなる。
【0044】
これら(1),(2),(3),(4),(5),(6)により、本発明に係る木造建物の補強金物は、バランスの良い安定した補強構造が得られ、木造建物の全体強度が大きく向上する。
すなわち、筋違い,ホールダウン金物,羽子板ボルトを使用した、前述したこの種従来例に比し、木造建物について、柱に加わる引き抜き力に耐えることができる等、耐震性が向上すると共に、柱や梁の局部への力の集中が回避され、柱等の座屈も防止される。
【0045】
《第2の効果について》
第2に、しかもこれは簡単容易に、施工性にも優れて実現される。すなわち、この木造建物の補強金物は、横材,縦材,斜材を組み合わせた枠形状よりなると共に、L形アングル金物と角筒金物とを使い分けるという、簡単な構成よりなる。
もって、取付けが楽であり、上述した第1の点が、容易に施工性に優れて実現される。しかも、木造建物の梁,土台,柱に止着することにより工事が完了し、前述したこの種従来例のように、筋違い,ホールダウン金物,羽子板ボルトの配設,止着に手間取ることもなく、これら面からも、施工性に優れており、工事の安全性が向上すると共に、工事時間も短縮化される。
【0046】
《更なる効果について》
更に、この補強金物は、所定の仕口補強プレートを採用したことにより、特に、横材の破損が防止される。
すなわち、地震等に起因して上方への引張力が作用した場合、下位の横材が上位の縦材の下端や斜材の下端にめり込む事態は、仕口補強プレートが介在することにより回避され、横材の破損は確実に防止される。
【0047】
又、この補強プレートは、所定の中桟材を採用したことにより、特に、斜材の座屈が防止されると共に、縦材と柱との一体性が確保される等、一段と性能がアップする。
すなわち、斜材は中桟材を介し、縦材そして木造建物の柱に確りと受け止められ保持されており、筋違い的に機能する斜材の強度が確保され、斜材の座屈は防止される。これと共に、中桟材により縦材の中央部が柱側へと押圧されており、もって、縦材が柱から離れにくく、両者間の一体性が向上する。
又、この補強プレートは、L形アングル金物よりなる斜材について、直線状をなす上下で左右の向きを逆としたことにより、特に、端面の中桟材との収まりが良く、溶接が容易であると共に、力の伝達もスムーズである。
【0048】
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る木造建物の補強金物について、発明の実施の形態の説明に供し、第1例の正面説明図である。
【図2】同発明の実施の形態の説明に供し、第2例の正面説明図である。
【図3】同発明の実施の形態の説明に供し、第3例の正面説明図である。
【図4】同発明の実施の形態の説明に供し、(1)は、側断面図であり、(2)図は、要部の側断面図である。
【図5】同発明の実施の形態の説明に供し、(1)は、平断面図であり、(2)図は、斜視図である。
【図6】同発明の実施の形態の説明に供し、(1)は、仕口補強プレート等の正面説明図であり、(2)図は、仕口補強プレート等の平面説明図である。
【図7】本発明には属さない参考例の説明に供し、(1)は、ホールダウン金物をアンカーボルトを利用して、土台等に止着した例の正面説明図であり、(2)図は、ホールダウン金物をボルトを利用して、梁に止着した例の正面説明図である。
【符号の説明】
1 補強金物
2 アンカーボルト
3 スクリューボルト
4 横材
5 縦材
6 斜材
7 貫通ボルト
8 ナット
9 L形アングル金物
10 角筒金物
11 中桟材
12 仕口補強プレート
13 ホールダウン金物
14 ボルト孔
A 木造建物
B 基礎
C 土台
D 柱
E 梁
Claims (1)
- 木造軸組の建築物の補強金物であって、上下の横材と左右の縦材とで略縦長ロ字状の枠形状をなすと共に、斜材と中桟材が配された一体物よりなり、木造建物の上下の梁や土台と左右の柱とで形成された空間の周縁部に配されると共に、該横材が該梁や該土台に一体的に止着され、該縦材が該柱に一体的に止着され、
該横材としては、寸法が40mm×40mm程度の角筒金物が使用され、又、該縦材,該斜材,該中桟材としては、寸法が40mm×40mm程度のL形アングル金物が使用されており、
該中桟材は、中央横に配され、又、該斜材は、4本の該L形アングル金物が、略X字状にクロスするように2本ずつが上下で直線状に配されると共に、該中桟材を挟んだ上下のものが、上下で左右の向きが逆とされており、
下の該横材の左右端部に、それぞれ左右の該縦材や該斜材の下端部が溶接され、上の該横材の左右端部に、それぞれ左右の該縦材や該斜材の上端部が溶接され、又、該中桟材は、左右端部がそれぞれ左右の該縦材に溶接されると共に、中央部で各該斜材に溶接されており、
更に、金属製の仕口補強プレートが、左右の下隅部にそれぞれ介装されており、該仕口補強プレートは、該横材より若干小さ目の幅寸法よりなり、下の該横材の左右端部上に載せられると共に、該縦材の下端と該斜材の下端とが突合わせ・溶込み溶接され、かつその中央付近に形成されたボルト孔に通されるアンカーボルトを利用して、該横材,該土台そして基礎に止着されていること、を特徴とする木造建物の補強金物。
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