JP3597154B2 - 電子機器の筐体構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプリント基板の実装が容易で、しかも優れたシールド機能を有する電子機器の筐体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の電子機器の筐体構造として、例えば特開平9−223887号公報に記載されたものが公知である。
【0003】
前記公報の電子機器の筐体構造は、図9ないし図11に示すように、前面が開口する筐体aを有していて、筐体a内の上下面には、筐体a内へ実装するプリント基板bの上下縁をガイドするガイドレールcが左右方向に間隔を存して設置されている。
【0004】
またプリント基板bの前端には、縦方向に長尺な前面板dが取付けられていて、前面板dの一方の側縁部eには、複数のプリント基板bを筐体a内へ実装した際、隣接するプリント基板bに取付けられた前面板dの他方の側縁部fに図11に示すように接触することにより、筐体aの開口部gから電磁波が外部へ漏洩するのを防止する板ばねよりなる弾性体hがスポット溶接されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし前記公報の電子機器の筐体構造では、筐体a内へ複数のプリント基板bを実装した場合、前面板dの側縁部fに設けられた弾性体hが隣接するプリント基板の前面板dを横方向へ押圧するため、すでに実装されているプリント基板bの間に新たにプリント基板bを実装する場合、実装スペースが狭くなっているため、実装スペースが広くなるよう調整しながらプリント基板bを実装しなければならず、プリント基板bの実装作業に手間と時間がかかるなどの問題がある。
【0006】
本発明はかかる従来の問題点を改善するためになされたもので、プリント基板に設けられた前面パネルの横ずれを防止する横ずれ防止手段を設けた電子機器の筐体構造を提供して、プリント基板の実装作業が容易かつ短時間で能率よく行えるようにすることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明の電子機器の筐体構造は、開口部より筐体内に実装自在なプリント基板の前端部に前面パネルを設け、かつ前面パネルの側面に、隣接するプリント基板の前面パネルに当接することにより、各前面パネル間を互いに導通する弾性体よりなるシールド部材を設けた電子機器の筐体構造であって、前面パネルと筐体の間に、シールド部材の弾性により前面パネルが横ずれするのを防止する横ずれ防止手段を設けると共に、開口部より筐体内へプリント基板を実装した際、シールド部材の一端が隣接するプリント基板の前面パネル側面に、そして他端が前記プリント基板のグランドパターンに接触するように前面パネルに前記シールド部材を設けたものである。
【0008】
前記構成により、筐体内に実装されたプリント基板の前面パネルに設けられたシールド部材が、隣接するプリント基板の前面パネルを押圧しても、横ずれ防止手段が前面パネルの横ずれを防止して、各前面パネルの間に所定の実装スペースを確保するため、すでに実装されているプリント基板間の実装スペースに新たなプリント基板を実装する場合でも、実装スペースが広くなるよう調整しながらプリント基板を実装する必要がなく、これによってプリント基板の実装作業が容易、かつ短時間で能率よく行えるようになる。
【0009】
又、前記構成により、電子機器全体のシールド効果がより効率的に得られるようになる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1ないし図4に示す図面を参照して詳述する。
【0018】
図1は電子機器の筐体を示す斜視図、図2は横ずれ防止手段の拡大斜視図、図3はプリント基板の斜視図、図4は筐体内に実装されたプリント基板の横断面である。
【0019】
電子機器の筐体1は、前面が開口する箱形に形成されていて、内部に実装されたプリント基板2より発生される電磁波が外部へ漏洩しないよう全体が金属板により成形されたシールド構造となっている。
【0020】
筐体1内の上面と下面には、筐体1内へ実装するプリント基板2の上下縁をガイドする複数のガイドレール3が左右方向に等間となるよう前後方向に設置されている。
【0021】
プリント基板2には、図示しない電子部品が実装されていると共に、プリント基板2の後端側には、筐体1内へプリント基板2を実装した際、筐体1内の奥に設置されたマザーボードのコネクタ(ともに図示せず)に接続されるコネクタ4が実装されている。
【0022】
またプリント基板2の前端には、縦方向に長尺な前面パネル5がビスなどの固着具8により取付けられている。
【0023】
前面パネル5は図4に示すように、断面がほぼコ字形となっていて、全体が金属板により成形されており、両側板5a,5bの一方5aは、他方5bより長さが長く形成されていて、この長さの長い側板5aと、筐体1の開口部1aに設けられた前縁部1bの間に、前面パネル5の横ずれを防止する横ずれ防止手段6が設けられている。
【0024】
横ずれ防止手段6は図2に示すように、前面パネル5の一方の側板5aの上下部に突設された舌片状の嵌合突部6aと、筐体1の前縁部1bに形成されたスリット状の嵌合溝6bよりなる。
【0025】
筐体1の前縁部1bは、筐体1の上面板1c及び底板1dの前端部を互いに対向する方向へ折り曲げることにより形成されていて、これら前縁部1bに形成された嵌合溝6bは、筐体1内にプリント基板2を実装した際、前面パネル5の側板5a上下部に突設された嵌合突部6aが嵌入する位置に切欠き形成されている。
【0026】
一方プリント基板2の前端部に取付けられた前面パネル5の一方の側板5aには、前後に離間して互いに平行する一対ないし複数対(実施の形態では2対の場合を図示している)の縦溝5cが上下方向に形成されていると共に、これら縦溝5cにはシールド部材7が嵌着されている。
【0027】
シールド部材7は、筐体1内に実装されたプリント基板2より発生される電磁波が、筐体1の開口部1aより外部へ漏洩するのを防止するためのもので、シールド機能を得るため弾性を有する金属板をほぼ山形に折り曲げることにより形成されており、均一な弾性力を得るため、縦方向に等間隔にスリット7aが形成されている。
【0028】
そしてシールド部材7の稜線7b部分が側板5aに形成された縦溝5cより側板5aの外側面に突出されており、基端部側は、プリント基板2に形成されたグランドパターン部2aに図4に示すように接触されるようになっている。
【0029】
また前面パネル5の上下部には取付け孔5dが穿設されており、前面パネル5の内側には、これら取付け孔5dと合致する位置に筒状のスペーサ9が固着されている。
【0030】
そして前面パネル5の取付け孔5dより各スペーサ9内に挿入したビスなどの固着具10の先端を、筐体1の前縁部1bに形成されたねじ孔1fに螺挿することにより、筐体1に対しプリント基板2が固定できるようになっている。
【0031】
次に前記構成された電子機器の筐体構造の作用を説明する。
【0032】
筐体1内に複数のプリント基板2を実装するに当っては、まずはじめのプリント基板2の上下縁を、所定の位置のガイドレール3に嵌合して、ガイドレール3に沿って筐体1内へ押し込む。
【0033】
プリント基板2の後端に実装されたコネクタが、マザーボードに設けられたコネクタに達したら、さらに前面パネル5を押圧することにより、プリント基板2側のコネクタ4がマザーボード側のコネクタに嵌合されて、プリント基板2とマザーボードが電気的に接続されると共に、前面パネル5の一方の側板5aより突設された横ずれ防止手段6の嵌合突部6aが、筐体1の前縁部1bに形成された嵌合溝6bに嵌合される。
【0034】
以下前記操作を繰返して複数のプリント基板2を筐体1内へ実装するもので、筐体1内へ実装されたプリント基板2の各前面パネル5に設けられたシールド部材7が隣接するプリント基板2の前面パネル5の側面に図4に示すように当接して、自己の弾性により側板5bを横方向へ押圧するが、各前面パネル5は横ずれ防止手段6の嵌合突部6aと嵌合溝6bが互いに嵌合されているため、前面パネル5の横ずれが防止される。
【0035】
これによって各前面パネル5の間には、常に所定の実装スペースが確保されるため、すでに実装されているプリント基板2間の実装スペースに、新たなプリント基板2を実装する場合、実装スペースが広くなるよう調整しながら実装する必要がないため、プリント基板2の実装作業が短時間で容易に行えるようになる。
【0036】
また筐体1内に実装されたプリント基板2が電子機器の輸送中や、使用中に抜け出さないよう、前面パネル5を筐体1に固着具10により固定するが、横ずれ防止手段6により前面パネル5の取付け孔5dと筐体1側のねじ孔1fが位置決めされるので、前面パネル5の固定作業も容易に行えるようになる。
【0037】
さらに筐体1内に実装された複数のプリント基板2の前面パネル5は、各前面パネル5の側面に設けられたシールド部材7の先端側が隣接する前面パネル5に接触され、またシールド部材7の基端側がプリント基板2のグランドパターン2aに接触することにより互いに電気的に導通されると共に、各前面パネル5の間に生じる隙間がシールド部材7によりシールドされるため、電子機器の使用中にプリント基板2から発生する電磁波が筐体1の開口部1aより外部へ漏洩することがないので、高いシールド効果が得られるようになる。
【0038】
一方図5ないし図8に横ずれ防止手段6の変形例を示すもので、次にこれら変形例を説明する。
【0039】
なお前記実施の形態と同一部分は同一符号を付して、その説明は省略する。
【0040】
図5及び図6に示す変形例は、前面パネル5の内面に固着されたスペーサ9の先端に筒状の嵌合凹部6cを、そして筐体1の前縁部1bに形成されたねじ孔1f部分に、通孔6dを有するボス6eを突設したもので、ボス6eは、スペーサ9に形成された嵌合凹部6cに嵌合できる大きさに形成されている。
【0041】
次に前記変形例の作用を説明すると、筐体1内にプリント基板2を実装したら、前面パネル5の上下内面に固着されたスペーサ9の嵌合凹部6cを、筐体1の前縁部1bに固着されたボス6eに嵌合する。
【0042】
これによって前面パネル5の側板5aより突出されたシールド部材7により隣接するプリント基板2の前面パネル5が横方向へ押圧されても、嵌合突部6cに嵌合するボス6eにより前面パネル5の横ずれが防止されるため、前記実施の形態と同様な作用効果が得られるようになると共に、前面パネル5の取付け孔5dよりスペーサ9内に挿入した固着具10の先端をボス6eの通孔6dを介してねじ孔1fに螺挿することにより、前記実施の形態と同様、筐体1に対しプリント基板2を固定することができる。
【0043】
また図7及び図8に示す横ずれ防止手段6の変形例は、前面パネル5の取付け孔5d近傍にピン孔6gを、そして筐体1の前縁部1bに、前記ピン孔6gに嵌挿するピン6hを突設したもので、この変形例の場合、前面パネル5の上下端が筐体1の前縁部1bに密着するので、前縁部1bにねじ孔6iを有するボス6jを固着して、前記実施の形態及び図5及び図6に示す変形例で使用した固着具10により、前面パネル5を筐体1に固定できるようにしている。
【0044】
次に前記変形例の作用を説明すると、筐体1内にプリント基板2を実装したら、前面パネル5の上下部に形成されたピン孔6gを、筐体1の前縁部1bに突設されたピン6hに嵌合する。
【0045】
これによって前面パネル5の側板5aより突出されたシールド部材7により隣接するプリント基板2の前面パネル5が横方向へ押圧されても、ピン孔6gに嵌合するピン6hにより前面パネル5の横ずれが防止されるため、前記実施の形態と同様な作用効果が得られるようになると共に、前面パネル5の取付け孔5dに挿入した固着具10の先端をボス6jのねじ孔6iに螺挿することにより、前記実施の形態と同様、筐体1に対しプリント基板2を固定することができる。
【0046】
【発明の効果】
本発明は以上詳述したように、開口部より筐体内に実装自在なプリント基板の前端部に設けられた前面パネルの側面に、隣接するプリント基板の前面パネルに当接することにより、各前面パネル間を互いに導通する弾性体よりなるシールド部材を設けると共に、前面パネルと筐体の間に、シールド部材の弾性により前面パネルが横ずれするのを防止する横ずれ防止手段を設けると共に、開口部より筐体内へプリント基板を実装した際、シールド部材の一端が隣接するプリント基板の前面パネル側面に、そして他端が前記プリント基板のグランドパターンに接触するように前面パネルに前記シールド部材を設けたことから、筐体内に実装されたプリント基板の前面パネルに設けられたシールド部材が、隣接するプリント基板の前面パネルを押圧しても、横ずれ防止手段が前面パネルの横ずれを防止して、各前面パネルの間に所定の実装スペースを確保するため、すでに実装されているプリント基板間の実装スペースに新たなプリント基板を実装する場合でも、実装スペースが広くなるよう調整しながらプリント基板を実装する必要がなく、これによってプリント基板の実装作業が容易、かつ短時間で能率よく行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態になる電子機器の筐体構造を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態になる電子機器の筐体構造に設けられた横ずれ防止手段の斜視図
【図3】本発明の実施の形態になる電子機器の筐体構造に使用するプリント基板の斜視図
【図4】本発明の実施の形態になる電子機器の筐体構造により実装されたプリント基板の横断面図
【図5】本発明の実施の形態になる電子機器の筐体構造に設けられた横ずれ防止手段の変形例を示す斜視図
【図6】本発明の実施の形態になる電子機器の筐体構造に設けられた横ずれ防止手段の変形例を示す横断面図
【図7】本発明の実施の形態になる電子機器の筐体構造に設けられた横ずれ防止手段の変形例を示す斜視図
【図8】本発明の実施の形態になる電子機器の筐体構造に設けられた横ずれ防止手段の変形例を示す横断面図
【図9】従来の電子機器の筐体構造を示す斜視図
【図10】従来の電子機器の筐体構造に使用するプリント基板を示す斜視図
【図11】従来の電子機器の筐体構造に使用するプリント基板を示す横断面図
【符号の説明】
1 筐体
1a 開口部
2 プリント基板
6 横ずれ防止手段
6a 嵌合突部
6b 嵌合溝
6c 嵌合凹部
6e ボス
6g ピン孔
6h ピン
7 シールド部材

Claims (1)

  1. 開口部より筐体内に実装自在なプリント基板の前端部に前面パネルを設け、かつ前記前面パネルの側面に、隣接するプリント基板の前面パネルに当接することにより、前記各前面パネル間を互いに導通する弾性体よりなるシールド部材を設けた電子機器の筐体構造であって、
    前記前面パネルと前記筐体の間に、前記シールド部材の弾性により前記前面パネルが横ずれするのを防止する横ずれ防止手段を設けると共に、
    前記開口部より前記筐体内へ前記プリント基板を実装した際、前記シールド部材の一端が隣接するプリント基板の前面パネル側面に、そして他端が前記プリント基板のグランドパターンに接触するように前記前面パネルに前記シールド部材を設けたことを特徴とする電子機器の筐体構造。
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