JP3596907B2 - 温風床暖房装置およびその施工方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、床下に温風を通して部屋全体を暖める暖房装置、およびその床暖房装置を構成するための施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
暖房における健康的且つ経済的な適正温度は22℃といわれており、また快適な暖房環境は頭寒足熱であり、これには床暖房が最適である。床暖房のシステムには、
(1)温水、電熱によるもの
(2)空調機器・加熱機器等で得た温風によるもの
(3)太陽熱を利用したもの
等が知られている。
【0003】
上記(1)としては、例えば断熱床材に溝を設け、その溝の中に給湯管を蓄熱材と共に埋め込んで構成した床暖房装置が実公昭55−51949号公報に示されている。また床板に電気抵抗体等の発熱体を埋設した床暖房装置は周知である。これらの床暖房装置における配管および配線の埋設工事は大掛かりである。
【0004】
次に(2)として、組立式二重床構造を利用した床暖房装置が特開平4−80461号公報、特開平4−80462号公報に示されている。しかしこの床暖房装置は、単に温風を床下空間に循環させ、床板の裏面に直接温風を接触させることによって床板を暖めるもので、二重床を利用するので施工は比較的簡単であるが、蓄熱作用がないため効率的な床暖房ができない。
【0005】
またコンクリート製の床に温風を通す溝を設け、その温風によって空調を行う暖房装置が特開昭62−155452号公報に示されているが、これは床暖房ではなく空調のための温風供給構造であり、施工もコンクリート打ち込み、すなわち湿式施工が必要であるため工事が大掛かりで、既設のビルディングや一般住宅には不向きである。
【0006】
上記(1)・(2)の床暖房装置はいずれもガス・石油・電気等の加熱源が必要であり、温水や電気抵抗発熱体の熱効率はあまりよくない。また配管や発熱体の埋設施工は大掛かりになり、床の配管や発熱体が埋設されている部分には重量物を置けないという問題があった。更に、施工容易な乾式施工が可能な床暖房装置ではなかった。
【0007】
上記(3)の太陽熱利用床暖房は、最小限の補助暖房設備が必要であるもののクリーンで省エネルギーに適った暖房手段である。そのため近時広い範囲で採用されつつある。例えば特公平3−48299号公報に、建物の屋根に太陽熱集熱部を、床下に蓄熱部をそれぞれ備え、太陽熱で暖められた空気を床下に送って蓄熱し、蓄熱部からの放熱によって床暖房するいわゆるソーラーシステムハウスの技術が記載されている。この床暖房はコンクリート床の上に施工されるため湿式施工を必要とするが、床下の蓄熱部に蓄えられる熱を利用するのでその蓄熱部の熱は一晩中徐々に放熱され、真冬の早朝の最も冷え込みが厳しい時でも床の表面は快適な暖かさに保たれる特長があり、更に、床面の温度は常に室温より1ないし2℃高く、その僅かな暖かさで例えば一箇所に座っていられないような不自然な暖まり方にならない利点がある。
【0008】
上記ソーラーシステムハウスの床の施工手順の一例を説明すると、布基礎に囲まれた部分の床下に砕石や砂利を敷き、その上に断熱材(例えば厚さ50mm)を介して土間コンクリート(例えば厚さ150mm)を打ち、約2週間位養生する。コンクリートが固まったのち、該土間コンクリートの上に大引き・根太等から成る床組みを施してコンパネを張ることにより、そのコンパネと土間コンクリートの間に空気流通空間を形成する。別に、温風供給源から温風を導入するチャンバーを室内に設け、このチャンバーと空気流通空間を連通させる。そしてコンパネの上に例えばフローリング等の床仕上げ材を接着張りし、窓際等に沿って床に、上記空気流通空間に通じる吹き出し口を設けるようにする。
【0009】
上記ソーラーシステムハウスによると、冬季の太陽熱と同じ20ないし22℃程度の柔らかい快適な室温が得られ、また家中が冷えきってしまうことがないので、必要があれば補助暖房を併用することによって短時間で十分な室温に上げることが可能である。このことは前述したように、健康的且つ経済的な適正暖房温度が得られ、頭寒足熱の快適な暖房環境にあった暖房システムといえる。また、上記補助暖房は深夜の電力料金の安い時間帯に稼働させて蓄熱することができるので、補助暖房を使用しても少ない恒熱費用で済む利点もある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記太陽熱を利用する床暖房においても以下のような問題点がある。すなわち床下に設けた土間コンクリートを温風熱蓄熱のための蓄熱体に利用するものであるから湿式施工が必須であり、そのため床暖房工事が大掛かりとなり、特に一般住宅や既設のビルディングでは施工期間が長くなるため工事費用が嵩む。また、例えばリフォームによる床暖房工事の場合、既存の床を剥がして蓄熱用の土間コンクリートを打った後、コンクリートが固まるまで数週間ほど養生する必要があり、この間、家中が結露のために、しけて甚だ具合が悪い。
【0011】
そこで床の下に温風熱を蓄熱する蓄熱部を設置し、その蓄熱部の蓄熱材が放散する熱を床に伝えて床暖房するシステムを、簡単且つ短期間で工事可能な乾式工法によって施工できないかという要望が高まっている。
【0012】
本発明は上記の問題点並びに要望に鑑みて成されたもので、床下の蓄熱部が温風の熱をよく蓄熱し、且つその蓄えた熱を効果的に放熱するとともに、その蓄熱部を乾式工法によって簡単且つ短期間に施工できる温風床暖房装置、およびその装置の施工方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の温風床暖房装置は、床組み・土間コンクリートあるいは階層コンクリート等の床構造の上に、下から順に断熱部・蓄熱部・床仕上げ部が積層され、蓄熱部は複数の蓄熱体の配置によって形成された温風通路を有し、該温風通路が温風導入部と温風導出部に通じている構成を特徴とする。また、上記の構成において、断熱部と蓄熱部の間、仕上げ部と蓄熱部の間のいずれか一方または両方に補強部が介在していることを特徴とする。更に、前記温風床暖房装置等に於いて、前記温風通路が前記蓄熱体の周囲を巡って連続形成されており、該蓄熱体が、該温風通路を流れる温風により、その側周面から暖められる構成であることを特徴とする。更には、前記温風床暖房装置等に於いて、前記温風導入部に近接した蓄熱部における温風通路の幅が一般暖房部分の蓄熱部における温風通路の幅よりも広く設定され、又は、壁際や弱暖房部分付近の蓄熱部における温風通路の幅が一般暖房部分の蓄熱部における温風通路の幅よりも狭く設定されていることを特徴とする。また、本発明の温風床暖房装置は、断熱部の上に複数の蓄熱体を配置して温風通路を形成し、温風導入部から該温風通路に温風を供給して該蓄熱体を暖めて該温風を温風導出部から放出し、温風供給時には温風熱と蓄熱体の放熱で床を暖めると共に温風供給停止時には蓄熱体の放熱の持続で床を暖め、温風供給停止後の時間の経過に伴う該蓄熱体の温度降下が該温風導入部内の温度降下に比べてフラットに近い勾配となる蓄熱効果を有することを特徴とする。
【0014】
そして上記温風床暖房装置の施工を、床構造の上に断熱材を敷設する断熱部施工工程と、その断熱材の上に温風通路を有する蓄熱部を敷設する蓄熱部施工工程と、温風通路を温風導入部に接続する接続部施工工程と、温風通路を温風導出部に接続する接続部施工工程と、蓄熱部の上に床仕上げ材を敷設する仕上げ部施工工程の順に行うことを特徴とする。更には、所定の面積でユニットパネル化されている蓄熱部を前記蓄熱施工工程で敷設することを特徴とする。
【0015】
【作用】
温風発生源から温風導入部に送られてきた温風は蓄熱部の温風通路に流入し、通路内を流れている間に温風の持つ熱が個々の蓄熱体に効率よく伝わり、温風導出部に達して室内その他適宜場所に放出される。床はその下を通る温風の熱と蓄熱体の放熱によって暖められ、しかも温風の供給を停止しても蓄熱体の放熱が持続する。そして温風床暖房装置の施工は、すべて乾式工法で実施することができて工期が短縮される。
【0016】
【実施例】
本発明に係る温風床暖房装置の構成の実施例を図面にしたがって説明する。図1は木造住宅に施工した例の縦断斜視図、図2は床仕上げ材を一部剥がして示した平面図である。大引き・根太等から成る床組み1の上に、断熱部2・温風通路3が形成された蓄熱部4、床仕上げ部5がその順に積層されている。蓄熱部4は、例えばブロック状を成す蓄熱体41が所定面積当たり複数点在配置され、隣合う蓄熱体41の間に温風通路3がほぼネット状に連続形成されている。そして温風通路3の一方は温風導入部6に、他方は温風導出部7に連通している。
【0017】
床組み1の外、土間コンクリートあるいは階層コンクリートの上に根太を置いた床構造にも実施できるのは勿論である。断熱部2としては断熱用建材として一般に用いられているスタイロフォームを張るのが適当である。ロックウールを用いることもできる。蓄熱体41はコンクリートを可とするが、運搬や施工の利便の点では軽量コンクリートが適している。その軽量コンクリートのブロックを蓄熱体41として所定面積当たり複数個相互に間隔を置いて配置することにより、隣合う蓄熱体41間に各蓄熱体41の周囲を巡る温風通路3がネット状に連続形成される。したがって、蓄熱体41はその周囲を紆余曲折しながらゆっくり流れる温風によって側周面から充分に暖められる。
【0018】
上記断熱部2と蓄熱部4の間、床仕上げ部5と蓄熱部4の間のいずれか一方、または両方に補強用のコンパネ(後述の図6に関する説明中の符号14・15を参照)を介在させることもある。
【0019】
図2に示すように、温風導入部6に近接した蓄熱部4Aにおける温風通路3Aの幅は、一般暖房部分の蓄熱部4における温風通路3の幅よりも広い。また、壁際や弱暖房部分付近の蓄熱部4Bにおける温風通路3Bの幅は、一般暖房部分の蓄熱部4における温風通路3の幅より狭い。したがって、温風導入部6に近接する温風通路3Aに入った温風は、その通路3Aに滞留することなく部屋全体の通路に向かって流れていくから、温風導入部6に近い部分の床の温度が異常に高くなることがない。しかも、暖房を余り必要としないところに流れる温風の量は制限されて効率よく供給されるから、個々の蓄熱体41を側周面から暖めるのと相まって、公知の温風床暖房が土間コンクリートを蓄熱体とし、その上面に沿ってただ単に温風が流れるだけで土間コンクリートを暖めるのに比べて蓄熱効率が高い。
【0020】
床仕上げ部5はフローリング等の仕上げ材、あるいはコンパネ(ベニヤ厚板)等の下地板にタイルカーペットを張ったものである。温風導入部6はチャンバー状に設け、例えば屋根に設置した太陽熱集熱器で得た温風を供給する立ち下がりダクト8が接続されている。なお補助暖房器具を付設した場合の温風供給ダクトもこの温風導入部6に接続される。温風導出部7は例えば窓際などに吹き出し口として設けることにより、温風による直接暖房と同時に室内空気の循環に利用できる。9は壁、10は立ち下がりダクト8から出る温風を温風通路3Aに誘導する整流板を示す。
【0021】
本発明に係る温風床暖房装置の主要構成部分である温風通路を持った蓄熱部の具体例について説明する。その蓄熱部は、運搬・施工の利便のため、例えば300ないし600mm角のユニットパネルとして構成されている。該パネルの厚さは約25〜100mm程度である。このユニットパネル化蓄熱部は、図2で説明した一般暖房部用4、温風導入部近傍用4A、そして弱暖房部用4Bの複数種用意するもので、図3はその一般暖房部用のユニット蓄熱部4、図4は温風導入部近傍用ユニット蓄熱部4A、図5は弱暖房部用ユニット蓄熱部4Bの単体の斜視図で、温風導入部近傍用ユニット蓄熱部4Aの温風通路3Aの幅は、一般暖房部用蓄熱部4の温風通路3より広い。弱暖房部用ユニット蓄熱部4Bの温風通路3Bの幅は、一般暖房部用蓄熱部4の温風通路3よりはるかに狭くてスリット状である。一般暖房部用蓄熱部4の温風通路3の幅は例えば30〜100mm程度、温風導入部近傍用ユニット蓄熱部4Aの温風通路3Aの幅は例えば100〜200mm、弱暖房部用ユニット蓄熱部4Bの温風通路3Bの幅は例えば5〜30mmである。
【0022】
上記図3・図4・図5の各ユニット蓄熱部4・4A・4Bは、シート材11の上に蓄熱体として所要の形状大きさのコンクリート片41を、互いに間隔を置いて固着することによって、それぞれ上記大小関係の幅の温風通路3・3A・3Bを形成したものであるが、図1に示すように、プラスチックシート12に真空成形等で複数の凹窩部13を形成し、その凹窩部13にコンクリートを充填固化させて蓄熱体41とすることもできる。その結果温風通路3・3A・3Bは、蓄熱体41を両壁、シート11・12を底とする溝状となるが、ユニット蓄熱部4・4A・4B等を置敷きする際、温風通路の底面となるシート11・12を下にするか上にするかは自由である。
【0023】
図5の弱暖房部用ユニット蓄熱部4Bは、部屋の壁際・隅角あるいは境界部分等に配置するものであるから、位置によってはそのユニットサイズのままでは納まらない場合がある。そのときは図5のように、ちょうど良い大きさに温風通路3Bの位置で切断して用いるもので、温風通路3Bのピッチが細かいのでほぼ適合するサイズのものが得られる。
【0024】
図6は、蓄熱部4とともに、その上面と下面のいずれか一面または両面に積層される補強用コンパネ14・15も蓄熱部4と同様にユニット化したもので、そのユニット化した蓄熱部4とコンパネ14・15は別々に、施工時に重ねてもよいが、1ユニットの重量が許すならば、蓄熱部4とコンパネ14・15を、両者の接触面で接着するか、あるいはその他の手段で固着して一体化した積層ユニットパネルとして構成する。更に仕上げ材5も含めて多層一体化ユニットパネルとすることも可能である。この積層ユニットパネルは、図の一般暖房部用のユニット蓄熱部4のみならず、温風導入部近傍用ユニット蓄熱部4Aおよび弱暖房部用ユニット蓄熱部4Bにも実施できる。
【0025】
以上各図に表れているように、温風通路3・3A・3Bはそれぞれ幅寸法は大小異なっているもののいずれもほぼ格子状に形成されていて、各ユニット蓄熱部4・4A・4Bを敷設すると温風通路3・3A・3Bが相互に連続するようになっている。その温風通路の格子状配列の結果、各ユニット蓄熱部4・4A・4Bの蓄熱体41は、整列点在する形となる。
【0026】
床暖房は部屋の構造、位置や向き、あるいは家具その他屋内装置品の置く場所によって必要とする温熱の分布を適正に設定するが、本発明の床暖房装置においては、床板の下の通路を流れる温風の方向や流量を変えることによって上記の適正な温熱の分布が得られるようにしている。例えば図6に示した蓄熱部4と補強用コンパネ14・15のいずれか一方または両方を一体化した積層ユニットパネルの場合、そのユニットパネルの周側面の一部、例えば一側面、二側面または三側面に、温風通路3の端面開口をふさぐように例えば薄板またはテープ16を貼ったパネルを組み合わせて施工するることで温風の流量制御ができる。
【0027】
上記の薄板・テープ16等による通風制御部に代えて、図7に示すように、溝状の温風通路3に嵌めて温風の流れを止めるブロック状のもの17、あるいは通路方向にコ字形をしたカバー状のもの18がある。上記の通風制御部17・18等より短い制御部19は、これを温風通路に嵌めると、それに隣接して温風通路にポケット31ができて、その近くを通る温風の流れが乱れて通風が制限される。また、通路3より狭い幅の通路をもった溝形あるいは筒形の制御部20を通路3に嵌めると、温風の流量が絞られてそこから先の流量が減少する。
【0028】
図8は個々の蓄熱体41に更にスリット42を格子状に形成した蓄熱部4の例で、この格子状スリット42が入っている蓄熱部4の場合は、通路3を横切る仕切り板21の両端を温風通路3の両側のスリット42に差し込むことによて温風の流れを止めることができる。すなわち、図示例はスリット42を仕切り板21の挟持部として利用したものであるが、蓄熱体41にスリットが入っていない蓄熱部の場合は、蓄熱体41の側面に、例えば切込みあるいは複列凸条等の仕切り板挟持部を設ける。
【0029】
上記仕切り板21に適宜大きさの穴を開けておけば温風の流量を制限することが可能である。この仕切り板21をはじめ、上記温風通路3に嵌合する各通風制御部17・18・19・20等は蓄熱効果を持たせるため、コンクリートその他の化学物質製蓄熱材を可とする。また、この蓄熱体41に格子状スリット42を入れた蓄熱部4は、一部の蓄熱体43を所要の幅Wでスリット42のところから切り出して除去することにより、新たに増設温風通路32を設けることができる利点がある。なお、一般暖房部用ユニット蓄熱部4および温風導入部近傍用ユニット蓄熱部4Aの各蓄熱体41に、上記のように格子状スリット42が形成されていると、そのスリット42の中にも温風が流れて蓄熱体41が周囲からだけでなく中からも暖められる。
【0030】
以上説明した各蓄熱部4・4A・4Bの蓄熱体41同士は温風通路3・3A・3Bの底面あるいは天井面を形成するシート材11あるいは12でつながっているが、図9のように、蓄熱体41の下端部相互を温風通路の幅に相当する帯状の連結部材22で連結する場合もある。この蓄熱体41同士を帯状の連結部材22で連結して構成した蓄熱部4は、蓄熱体41同士がシート材11・12等で連結された前述の蓄熱部4・4A・4Bよりも可撓性があり、床の不陸に対する追従性がよい。
【0031】
蓄熱部をユニットパネル化しないで、蓄熱体41を個々に並べて置敷き施工することもできる。その場合の隣合う蓄熱体41の間に温風通路3・3A・3B等を形成する手段としては、図10に示すように、蓄熱体41の隅角が集中する所に板状スペーサー23を置きながら蓄熱体41を置く。また、図11のように各蓄熱体41の下端周縁にフランジ24を形成し、そのフランジ24相互を突き合わせながら蓄熱体41を置くことによって、隣合う蓄熱体41の間に板状スペーサー23、またはフランジ24によって所定の幅に規制された温風通路3・3A・3Bを形成する方法がある。温風通路3・3A・3Bの幅は、スペーサー23の面積、フランジ24の張り出し長さによって設定することができる。
【0032】
本発明に係る温風床暖房装置の蓄熱効果に関する実験を図2および図12について説明する。温風導入部6の近傍Aと、温風導入部6から離れた複数箇所の温風導出部7すなわち吹き出し口の近傍B・C・Dにおける各蓄熱体の側面、および温風導入部6の中にそれぞれ温度センサーを取付け、また、室内温度を測る温度計を設置し、午前11時頃より、ストーブで作り出される温風(温度49.8℃、風速1.2m/s)を送風ファンによって温風導入部6に送り始めた。そして上記A〜Dの4点、および温風導入部6内・室内の計6点の温度をハイブリットレコーダーによって翌朝7時までリアルタイムで計測した。詳しくは、温風発生源として太陽熱集熱装置を設置した場合の平均集熱時間である約5時間温風を送り続けたのち16時頃送風を止め、その後、部屋を開けることがないようにして自然の状態で上記各点の温度を1時間ごとに測った。
【0033】
図12がその温度計測の結果を示す特性図である。aは温風導入部6の近傍Aの温度、b・c・dは温風導入部6から離れた複数箇所の温風導出部7の近傍B・C・Dの温度、eは温風導入部6内の温度、fは室温を示す。温風を送っている間、各点の蓄熱体の温度は上昇し30℃近くを示した。
【0034】
温風の供給を停止した16時以降19時にかけて温風導入部内温度eは急速に下がるものの、その間の温風導入部近傍Aおよび温風導出部近傍B・C・Dの各蓄熱体の温度a〜dは、上記下がり勾配が急峻な温風導入部内温度eに比べてほぼフラットな勾配の特性になっており、これにより上記各点の蓄熱体は30℃前後を維持している。すなわち蓄熱効果を確実に保っていることが理解される。この場合、蓄熱体の蓄熱効果が少なければ、温風導入部内温度eの特性と同じように急激に下がるはずである。19時以降蓄熱体の温度は、放熱により漸次時間の経過とともに下降していくが、蓄熱部の下に断熱部が積層されているので、朝方室外の気温が最も低くなる頃でも蓄熱体は略20℃を維持し、室温は就寝に適当な20℃に保たれていた。
【0035】
本発明に係る温風床暖房装置の施工は図13の流れ図に示す手順によって行われる。その具体例を図14を参照して説明すると、木造新築の場合は基礎そして床組み1を施工した後、あるいは土間コンクリート打ちと根太取付けの後、コンクリート建築の場合はそのコンクリートスラブの上に根太材を配置した後コンパネ25を張り、その上に断熱部施工としてスタイロフォーム等の断熱材2を敷設し、更にその上に蓄熱部補強用コンパネ15を張る。リフォーム工事の場合は床板を剥がし、露出した根太、または取り替えた新しい根太の上に上記の断熱部施工をする。寒冷地では、床組み1の下にスタイロフォーム等の断熱材26を張る。あるいは床組み1にロックウール等の断熱材を充填することによって床下面の断熱性を強化する。
【0036】
次いで蓄熱部施工として、上記コンパネ15の上に温風通路3を有する蓄熱部4を敷設する。蓄熱部4の敷設は、例えばコンクリート面内装工事等で一般に用いられているコンクリート用接着剤を使用してコンパネ15に固着する。蓄熱部4は単に置くだけのこともある。寒冷地における施工の場合、蓄熱部4の側周面が壁などに接する所には、通路3を流れる温風が室外に漏出しないように発泡ウレタン27等のシール材を充填する必要がある。
【0037】
敷設が済んだ蓄熱部4の上に床仕上げ部補強用のコンパネ14を張りつけ、温風導入部6を形成しているチャンバーの箱壁(コンパネ製)28と上記床仕上げ部補強用コンパネ14とをビス止め等で接合することによって、温風通路3と温風導入部6との連通接続を行う。
【0038】
上記床仕上げ部補強用コンパネ14の上に、仕上げ部施工として例えばフローリング材等の仕上げ床板5を直接接着する。または、タイルカーペット等の床表装材を張ることもある。そして仕上げ床板5および補強用コンパネ14の所定位置に温風通路3に通じる吹き出し口7を開け、該口7に縁金具を取付けて吹き出し口7すなわち温風導出部と温風通路3の連通接続を終わる。
【0039】
以上は本発明施工方法の一例を示すもので、寒冷地以外では、最下層の断熱材26を省略できる。断熱材2の上下のコンパネ15・25も、その断熱材2および蓄熱部4の強度が十分であれば省略可能である。
【0040】
【発明の効果】
本発明に係る温風床暖房装置は、床構造の上に、下から順に断熱部・蓄熱部・床仕上げ部が積層され、蓄熱部は複数の蓄熱体の配置によって形成された温風通路を有し、該温風通路が温風導入部と温風導出部に通じている。また、上記の構成において、断熱部と蓄熱部の間、仕上げ部と蓄熱部の間のいずれか一方または両方に補強部が介在している構成であるから、床下に供給される温風は各蓄熱体の周囲を巡りながら順当に流れ、しかも蓄熱体の温風との接触面積が大きくて蓄熱効率が高い。更に床仕上げ部または蓄熱部、あるいは床仕上げ部と蓄熱部の両方が補強されるので、床仕上げ部および蓄熱部自体の強度について特に考慮する必要がなくて、床仕上げ部には従来一般に用いられている材料を使用できる。蓄熱部を構成する材料も蓄熱効果に優れたものを自由に選べる効果がある。
【0041】
また、本発明に係る温風床暖房装置の施工方法は、蓄熱部の施工として、予め蓄熱材料で造った複数の蓄熱体を置敷き等で敷設することによって温風通路を形成するするものであるから、全施工を終始乾式工法で実施することができる。したがって、コンクリート打ちおよびその養生で床下を大幅に改造したり周囲を汚すことがなく容易に短期間で施工でき、既設住宅においても少ない費用で施工できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明温風床暖房装置の一部の縦断斜視図。
【図2】本発明温風床暖房装置の床仕上げ部の一部剥がした平面図。
【図3】一般暖房部用ユニット蓄熱部の斜視図。
【図4】温風導入部近傍用ユニット蓄熱部の斜視図。
【図5】弱暖房部用ユニット蓄熱部の斜視図。
【図6】多層一体構造としたユニット蓄熱部の縦断斜視図。
【図7】ユニット蓄熱部における通風制御部の各実施例を示す斜視図。
【図8】ユニット蓄熱部における通風制御部の他の実施例と、温風通路の増設手段を示す斜視図。
【図9】蓄熱部の他の実施例を示す斜視図。
【図10】蓄熱体の変形例の斜視図。
【図11】蓄熱体の他の変形例を示す斜視図。
【図12】蓄熱効果の実験結果を示す特性図。
【図13】本発明温風床暖房装置の施工方法の流れ図。
【図14】本発明施工方法の実施例をしめす床の縦断面図。
【符号の説明】
1 床組み
2 断熱部
3 温風通路
4 蓄熱部
41 蓄熱体
5 床仕上げ部
6 温風導入部
7 温風導出部
8 温風供給ダクト
14・15 補強部
16・17・18・19・20・21 通風制御部
Claims (9)
- 断熱部の上に複数の蓄熱体を配置して温風通路を形成し、温風導入部から該温風通路に温風を供給して該蓄熱体を暖めて該温風を温風導出部から放出し、温風供給時には温風熱と蓄熱体の放熱で床を暖めると共に、温風供給停止時には蓄熱体の放熱の持続で床を暖め、温風供給停止後の時間の経過に伴う該蓄熱体の温度降下が該温風導入部内の温度降下に比べてフラットに近い勾配となる蓄熱効果を有することを特徴とする温風床暖房装置。
- 床構造の上に、下から順に断熱部・蓄熱部・床仕上げ部が積層され、蓄熱部は、複数の蓄熱体の配置によって形成された温風通路を有し、該温風通路が温風導入部と温風導出部に通じる様に構成された温風床暖房装置において、前記温風導入部に近接した蓄熱部における温風通路の幅が一般暖房部分の蓄熱部における温風通路の幅よりも広く設定され、又は、壁際や弱暖房部分付近の蓄熱部における温風通路の幅が一般暖房部分の蓄熱部における温風通路の幅よりも狭く設定されていることを特徴とする温風床暖房装置。
- 床構造の上に、下から順に断熱部・蓄熱部・床仕上げ部が積層され、蓄熱部は、複数の蓄熱体の配置によって形成された温風通路を有し、該温風通路が温風導入部と温風導出部に通じる様に構成された温風床暖房装置において、前記温風導入部に近接した蓄熱部における温風通路の幅が一般暖房部分の蓄熱部における温風通路の幅よりも広く設定されていると共に、前記温風通路の所定位置に、温風の流れを制限ないし遮断する薄板、テープ状部材、ブロック状部材、カバー状部材、溝形状部材、筒形状部材若しくは仕切板の何れかを設けたことを特徴とする温風床暖房装置。
- 床構造の上に、下から順に断熱部・蓄熱部・床仕上げ部が積層され、蓄熱部は、複数の蓄熱体の配置によって形成された温風通路を有し、該温風通路が温風導入部と温風導出部に通じる様に構成された温風床暖房装置において、壁際や弱暖房部分付近の蓄熱部における温風通路の幅が一般暖房部分の蓄熱部における温風通路の幅よりも狭く設定されていると共に、前記温風通路の所定位置に、温風の流れを制限ないし遮断する薄板、テープ状部材、ブロック状部材、カバー状部材、溝形状部材、筒形状部材若しくは仕切板の何れかを設けたことを特徴とする温風床暖房装置。
- 床構造の上に、下から順に断熱部・蓄熱部・床仕上げ部が積層され、蓄熱部は、複数の蓄熱体の配置によって形成された温風通路を有し、該温風通路が温風導入部と温風導出部に通じる様に構成された温風床暖房装置において、前記温風導入部に近接した蓄熱部における温風通路の幅が一般暖房部分の蓄熱部における温風通路の幅よりも広く設定されていると共に、前記温風通路の所定位置に、温風の流れを制限ないし遮断して温風の方向や流量を変える様に通風を制御する部材を設置したことを特徴とする温風床暖房装置。
- 請求項1又は2記載の温風床暖房装置において、前記温風通路の所定位置に、温風の流れを制限ないし遮断して温風の方向や流量を変える様に通風を制御する部材を設置したことを特徴とする温風床暖房装置。
- 床構造の上に、下から順に断熱部・蓄熱部・床仕上げ部が積層され、蓄熱部は、複数の蓄熱体の配置によって形成された温風通路を有し、該温風通路が温風導入部と温風導出部に通じる様に構成された温風床暖房装置において、前記温風通路の所定位置に、温風の流れを制限ないし遮断する仕切板を設けると共に、前記蓄熱体に仕切板を挟持する挟持部を設けることを特徴とする温風床暖房装置。
- 請求項3記載の温風床暖房装置において、前記温風通路の所定位置に、温風の流れを制限ないし遮断する仕切板を設けると共に、前記蓄熱体に、温風が流れると共に前記仕切板の挟持部となるスリットが形成されたことを特徴とする温風床暖房装置。
- 床構造の上に断熱材を敷設する断熱部施工工程と、その断熱材の上に温風通路を有する蓄熱部を敷設する蓄熱部施工工程と、温風通路を温風導入部に接続する接続部施工工程と、温風通路を温風導出部に接続する接続部施工工程と、蓄熱部の上に床仕上げ材を敷設する仕上げ部施工工程と、から成る温風床暖房装置の施工方法において、所定の面積でユニットパネル化されている蓄熱部を前記蓄熱施工工程で敷設することを特徴とする温風床暖房装置の施工方法。
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