JP3595808B2 - 電圧発生回路及び該回路を備えた駆動装置 - Google Patents

電圧発生回路及び該回路を備えた駆動装置 Download PDF

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    • H02N2/025Inertial sliding motors

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  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)
  • Inverter Devices (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電圧発生回路及び該回路を備えた駆動装置に関し、詳しくは、容量性負荷の駆動に好適な電圧発生回路及び該回路を備えた駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、圧電素子に鋸波形の電圧を印加して駆動する駆動装置において、圧電素子に鋸波形の電圧を印加する方法としては、次の2つの方法があった。
【0003】
図1は、第1の方法を示す。図1(a)に示すように、波形発生器Wのデジタルアナログ変換器により、例えば8ビット、0−5Vの鋸波形を生成し、それをパワーアンプMに入力し、例えば0−10Vに増幅した駆動用の鋸波形を圧電素子Xに印加する。波形生成器Wを調整することにより、図(b)に示す繰出し波形や、図(c)に示す戻り波形の鋸波形を生成することができる。
【0004】
図2及び図3は、第2の方法を示す。図2に示すように、電源電圧Vを圧電素子Xに印加するために、定電流回路A,Dとスイッチ回路B,Cとを備えた回路を用い、定電流回路A,Dとスイッチ回路B,Cと交互に働かせることで、繰出し波形と戻り波形を生成する。
【0005】
詳しくは、例えば図3(a)に示したデジタル回路を構成し、図3(b)に示したように、端子a,b,c,dに制御信号を入力することにより、繰出し波形と戻り波形を生成する。
【0006】
すなわち、端子aにHi信号を入力し、定電流回路Aを介して圧電素子Xに印加する電圧を徐々に上昇させた後、端子bにHi信号を入力し、スイッチ回路Bを介して圧電素子Xを接地し、圧電素子Xに印加する電圧を急に下げ、符号10,12で示す繰出し波形を生成する。
【0007】
あるいは、端子cにHi信号を入力し、スイッチ回路Cを介して電源電圧Vを圧電素子Xに印加した後、端子dにHi信号を入力し、定電流回路Dを介して接地することにより、符号14,16で示す戻り波形を生成する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
第1の方法では波形発生器WとパワーアンプMが必要であり、第2の方法では定電流回路A,Dやスイッチ回路B,Cが必要であり、回路が複雑になり、コストがかかっていた。また、余分な高調波があるため、駆動に悪影響を与えていた。
【0009】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、簡単な構成で容量性負荷に鋸波形の電圧を印加することができる電圧発生回路及び該回路を備えた駆動装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の電圧発生回路を提供する。
【0011】
電圧発生回路は、容量性負荷の両端に印加する電圧を発生する。電圧発生回路は、誘導性素子及び抵抗素子と、電圧印加手段とを備える。前記誘導性素子及び抵抗素子は、前記容量性負荷に直列に接続され、前記容量性負荷とともに直列共振回路を構成する。前記電圧印加手段は、前記直列共振回路に印加する矩形波形の電圧の周波数をfd、前記直列共振回路の共振周波数をfrとした場合、0 . 4×fr fd . 0×frとすることによって、前記容量性負荷の両端に鋸波形の電圧を印加する。
【0012】
上記構成において、RLCの直列回路である直列共振回路は、2次遅れ要素の伝達関数となるので、矩形波形の電圧印加により、前記容量性負荷の両端に鋸波形の電圧が生成するようにすることができる。
【0013】
上記構成によれば、電圧発生回路の部品点数を、従来のものより少なくすることができる。したがって、簡単な構成で容量性負荷に鋸波形の電圧を印加することができる。
【0014】
具体的には、以下のように種々の態様で構成する。
【0015】
好ましくは、前記電圧印加手段が前記直列共振回路に印加する矩形波形の電圧の周波数をfd、前記直列共振回路の共振周波数をfrとした場合、
0.4×fr < fd < 1.0×fr (1)
である。
【0016】
上記構成によれば、容量性負荷の両端に鋸波形の電圧を印加したときに、容量性負荷により所望の動作をさせることができる。
【0017】
より好ましくは、
0.6×fr < fd < 0.8×fr (2)
である。
【0018】
好ましくは、前記電圧印加手段が前記直列共振回路に印加する矩形波形の電圧のデューティ比をDuとした場合、
0.05 < Du < 0.48 (3a)
又は、0.52 < Du < 0.95 (3b)
である。
【0019】
上記構成によれば、容量性負荷の両端に鋸波形の電圧を印加したときに、容量性負荷により所望の動作をさせることができる。
【0020】
より好ましくは、
0.15 < Du < 0.40 (4a)
又は、0.60 < Du < 0.85 (4b)
である。
【0021】
さらに好ましくは、
0.25 < Du < 0.35 (5a)
又は、0.65 < Du < 0.75 (5b)
である。
【0022】
好ましくは、前記容量性負荷のキャパシタンス値をC、前記誘導性素子のインダクタンス値をL、前記抵抗素子の抵抗値をRとした場合、
(1/15)×(L/C)1/2 < R< (L/C)1/2 (6)
である。
【0023】
上記構成によれば、容量性負荷の両端に鋸波形の電圧を印加したときに、容量性負荷により所望の動作をさせることができる。
【0024】
より好ましくは、
(1/10)×(L/C)1/2 < R< (1/1.5)×(L/C)1/2 (7)
である。
【0025】
また、本発明は、上記技術的課題を解決するために、上記各構成の電圧発生回路を備えた、以下の構成の駆動装置を提供する。
【0026】
駆動装置は、容量性負荷である電気機械変換素子と、前記電気機械変換素子の両端に印加する電圧を発生する上記各構成性の電圧発生回路とを備える。前記電気機械変換素子の両端に鋸波形の電圧を印加して、前記電気機械変換素子を、変形する時と元に戻る時の速度を異ならせて動作させることにより、駆動する。
【0027】
電気機械変換素子(例えば、圧電素子、電歪素子、磁歪素子など)の変形(伸縮、ねじれ、せん断など)を利用する種々の駆動装置があるが、上記構成によれば、容量性負荷である電気機械変換素子を用いる駆動装置において、電気機械変換素子の両端に電圧を印加して駆動するための回路構成を簡単にすることができる。
【0028】
上記駆動装置は、種々の態様のものを含む。例えば、以下の構成の駆動装置が含まれる。
【0029】
前記電気機械変換素子の伸縮方向一端に固定された駆動摩擦部材と、
前記駆動摩擦部材に摩擦力で係合する係合部材とを備え、
前記電気機械変換素子の伸長時と収縮時で速度が異なる動作により、前記係合部材が前記駆動摩擦部材に沿って相対的に移動することを特徴とする、請求項5記載の駆動装置。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態として実施例を図4〜図14に基づいて説明する。
【0031】
図4は、実施例の駆動装置の説明図である。
【0032】
図4(a)〜(c)に模式的に示すように、電機機械変換素子である圧電素子の伸縮方向一端が固定部材に固定され、他端に駆動摩擦部材が固定されている。駆動摩擦部材は、圧電素子の伸縮に伴なって、操出し方向と戻り方向とに移動するようになっている。駆動摩擦部材には、移動体が摩擦力によって係合する。
【0033】
移動体は、鋸波形の電圧を圧電素子に印加して、圧電素子を伸長時と収縮時の速度を異ならせて伸縮させることにより、駆動する。図4(a)、(b)、(c)は、図4(d)に示した操出し波形の電圧を印加したときのA、B、Cにおける状態を、それぞれ示す。
【0034】
図4(d)の区間A−Bにおいて電圧波形が緩やかに上昇するとき、圧電素子は相対的にゆっくり伸び、図4(a)の状態から図4(b)の状態へと変化する。このとき、移動体は、駆動摩擦部材に対して滑ることなく、あるいはほとんど滑ることなく、実質的には駆動摩擦部材とともに一体的に移動する。
【0035】
次に、区間B−Cにおいて電圧波形が急に下降するとき、圧電素子は相対的に急に縮み、駆動摩擦部材は急に初期位置に戻る。このとき、駆動摩擦部材と移動体との間に滑りが生じ、移動体は実質的に移動せず、駆動摩擦部材だけが初期位置に戻る。その結果、移動体は、図(c)に示すように、図(a)の初期位置に対して操出し方向に移動する。
【0036】
このサイクルの繰り返しにより、移動体は駆動摩擦部材に沿って移動する。
【0037】
なお、急な上昇と緩やかな下降とで構成された戻り波形の電圧を圧電素子に印加すれば、移動体は戻り方向に移動する。
【0038】
図5は、実施例の駆動装置20の構成を示す分解斜視図及び組立斜視図である。
【0039】
駆動装置20は、不図示の機器の固定部材(例えば、XY駆動テーブルのベース)に取り付ける固定部材24と、例えば積層形の圧電素子22と、固定部材24に摺動可能に支持される駆動軸26と、不図示の被駆動部材(例えば、XY駆動テーブルのステージ)に結合される駆動ユニット28とを備える。圧電素子22は、その伸縮方向の一方の端面が固定部材24に固着結合され、その伸縮方向の他方の端面には駆動軸26の一方の軸端面が固着結合されている。駆動軸26には、スライダー28c、摩擦部材28b、板ばね28aからなる駆動ユニット28が、摩擦力で係合するようになっている。この駆動装置20は、駆動回路30により、圧電素子22に例えば鋸波形の電圧を印加し、駆動軸26を軸方向に往復振動させ、駆動ユニット28を駆動軸26に沿って所定方向に動かすことができる。
【0040】
つまり、圧電素子22は電機機械変換素子として機能し、駆動軸26は摩擦係合部材として機能し、駆動ユニット28は移動体又は係合部材として機能する。
【0041】
図6は、本実施例の駆動装置20を駆動するための電圧発生回路の説明図である。
【0042】
図6(a)に示したように、直列共振回路Pは、容量性負荷Xと、抵抗素子Rと、誘導素子Lとを直列に接続した回路であり、容量性負荷Xの一方端は接地され、他方端には抵抗素子Rが接続さている。電圧Vdは、容量性負荷Xの他方端の電圧である。Vpは、直列共振回路Pに印加する電圧である。
【0043】
図6(b)及び(c)は、直列共振回路Pにおいて、VpからVdへの伝達特性を示す。図中のfrは、直列共振回路Pの共振周波数を示す。
【0044】
図6(d)は、図6(b)及び(c)中に示した周波数fdの矩形波形の電源電圧Vpを印加したときにおける容量性負荷Xの電圧Vdの波形を示す。この波形は、デューティ比が0.3、周波数がfd=0.7×frのときのものである。
【0045】
図6(b)及び(c)に示した伝達特性の影響で、電源Vpの矩形波形をフーリエ展開したときの2次成分のゲインが1次成分に対して約半分になり、1次成分に対する位相が遅れる。3次以上の成分は、ゲインが大幅に減衰する。そのため、図6(d)に示すように、矩形波形の電源Vpに対する容量性負荷Xの電圧Vdの波形は、略1次、2次成分だけの鋸波形となる。
【0046】
図7は、駆動装置20の回路図を示す。
【0047】
回路は、制御回路Kと、4個のスイッチ素子Q1,Q2,Q3,Q4と、誘導性素子Lと、抵抗素子Rとを含み、容量性負荷X(すなわち、圧電素子22)の両端に電圧を印加する。
【0048】
スイッチ素子Q1〜Q4は、MOS型FETであり、各ゲートは、制御回路Kの端子Sc1〜Sc4にそれぞれ接続され、Hi又はLoの信号が入力される。スイッチ素子Q1,Q3はPチャンネルFETであり、スイッチ素子Q2,Q4はNチャンネルFETである。
【0049】
スイッチ素子Q1のソースとスイッチ素子Q3のソースとは、それぞれ、接続点aを介して、電源電圧Vccに接続されている。スイッチ素子Q1のドレインは、接続点cを介して、スイッチ素子Q2のドレインに接続されている。スイッチ素子Q3のドレインは、接続点dを介して、スイッチ素子Q4のドレインに接続されている。スイッチ素子Q2のソースとスイッチ素子Q4のソースとは、それぞれ、接続点bを介して、接地されている。
【0050】
接続点cと接続点dの間には、誘導性素子Lと、抵抗素子Rと、容量性負荷Xとが直列に接続され、直列共振回路Pを構成している。
【0051】
次に、制御回路Kの動作について、図8のタイミングチャートを参照しながら説明する。図(a)〜(d)は制御回路Kの端子Sc1〜Sc4の電圧(すなわち、スイッチ素子Q1〜Q4のゲート電圧)を示す。図(e)は、直列共振回路Pの電圧Vpを示し、図(f)は容量性負荷Xの端子間電圧Vdを示す。
【0052】
PチャンネルFETであるスイッチ素子Q1,Q3は、符号11,13で示すLo信号によりオン、すなわち導通状態になり、NチャンネルFETであるスイッチ素子Q2,Q4は、符号12,14で示すHi信号によりオンになる。
【0053】
制御回路は、第1期間T1と第2期間T2からなるサイクルを繰り返す。
【0054】
第1期間T1において、端子Sc1,Sc2はLo、端子Sc3,Sc4はHiとなり、スイッチ素子Q1,Q4がオン、すなわち導通状態、スイッチ素子Q2,Q3がオフ、すなわち遮断状態となる。これにより、直列共振回路Pの接点dがスイッチ素子Q4を介して接地され、接点cはスイッチ素子Q1を介して電源電圧Vccに接続される。したがって、直列共振回路Pの両端電圧Vp(図7において矢印の方向を正とする)は、図8(e)において符号15で示すように+Vccとなる。
【0055】
第2期間T2において、端子Sc1,Sc2はHi、端子Sc3,Sc4はLoとなり、スイッチ素子Q1,Q4がオフ、すなわち遮断状態、スイッチ素子Q2,Q3がオン、すなわち導通状態となる。これにより、直列共振回路Pの接点cがスイッチ素子Q2を介して接地され、接点dはスイッチ素子Q3を介して電源電圧Vccに接続される。したがって、直列共振回路Pの両端電圧Vp(図7において矢印の方向を正とする)は、図8(e)において符号16で示すように−Vccとなる。
【0056】
図8(e)に示したように、直列共振回路Pの両端電圧Vpは矩形波形となり、これに対応する容量性負荷Xの電圧Vdの波形は、例えば図(f)のように鋸波形となる。
【0057】
次に、直列共振回路Pに印加する矩形波形の電圧Vpの周波数fd及びデューティ比Duと、直列共振回路Pの素子の定数について、図9〜図14に基づいて説明する。
【0058】
まず、直列共振回路Pに印加する矩形波形の電圧Vpの周波数fdについて、図9及び図12を参照しながら説明する。
【0059】
図9は、図7の回路において、電圧Vpの矩形波形のデューティ比をDu=0.3、誘導性素子Lのインダクタンス値をL=100μH、抵抗素子Rの抵抗値をR=23Ω、圧電素子Xのキャパシタンス値をC=30nFとしたときに、周波数fdを0.3×frから1.1×frまで変化させたときの圧電素子Xの両端間の電圧Vdの波形を示す。図12は、このときの移動体、すなわち駆動装置20の駆動ユニット28の速度を示す。なお、以下において、frは直列共振回路Pの共振周波数である。
【0060】
図12から分かるように、周波数fdが0.7×frのとき、圧電素子Xの伸長時に移動体が滑る量と、圧電素子Xの収縮時に移動体の滑る量の差が最も大きく、移動体の速度も速くなる。周波数fdが1.0×frのとき、電圧Vdの波形は略正弦波形となり、圧電素子Xの伸長時に移動体が滑る量と、圧電素子Xの収縮時に移動体の滑る量との差がなくなるため、駆動できない。また、周波数fdが0.4×fr以下でも、駆動できない。実用的な周波数fdの範囲は、0.6×fr〜0.8×frである。
【0061】
したがって、周波数fdは、
0.4×fr < fd < 1.0×fr (8)
であることが好ましい。
より好ましくは、
0.6×fr < fd < 0.8×fr (9)
である。
【0062】
次に、直列共振回路Pに印加する矩形波形の電圧のデューティ比Duについて、図10及び図13を参照しながら説明する。
【0063】
図10は、図7の回路において、電圧Vpの周波数をfd=0.7×fr、誘導性素子Lのインダクタンス値をL=100μH、抵抗素子Rの抵抗値をR=23Ω、圧電素子Xのキャパシンタンス値をC=30nFとしたとき、電圧Vpの矩形波形のデューティ比Duを0.05から0.95まで変化させたときの圧電素子Xの両端間の電圧Vdの波形を示す。図13は、このときの移動体の速度を示す。
【0064】
図13から分かるように、デューティ比がDu=0.3のとき移動体の操出し方向の速度が最も速くなり、デューティ比がDu=0.7のとき移動体の戻り方向の速度が最も速くなる。デューティ比がDu=0.5前後(すなわち、0.48≦Du≦0.52)のときは、図10(d)に示したように電圧Vdは略正弦波形となり、駆動できない。デューティ比がDu=0.05、Du=0.95のときは、図10(a),(g)に示したように電圧Vdの電圧差が大幅に減衰し、移動体が滑らなくなるため、駆動できない。図13から分かるように、実用的なデューティ比Duの範囲は、0.15〜0.40、0.60〜0.85であり、より好ましくは、0.25〜0.35、0.65〜0.75である。
【0065】
したがって、デューティ比Duについては、
0.05 < Du < 0.95 (10)
であることが、好ましい。
より好ましくは、
0.15 < Du < 0.4 (11a)
又は、0.6 < Du < 0.85 (11b)
である。
さらに好ましくは、
0.25 < Du < 0.35 (12a)
又は、0.65 < Du < 0.75 (12b)
である。
【0066】
次に、直列共振回路Pの素子の定数の設定について、図11及び図14を参照しながら説明する。
【0067】
圧電素子Xに印加する鋸波形の電圧Vdの周波数は、直列共振回路Pに印加する矩形波形の電圧Vpの周波数fdと等しくなり、式(8)又は式(9)のように、直列共振回路Pの共振周波数frに対して係数を乗じた値とすることができる。共振周波数frは、直列共振回路Pの誘導性素子Lのインダクタンス値Lと圧電素子Xのキャパシンタンス値Cにより決まる。そこで、直列共振回路Pの抵抗素子Rの抵抗値Rについて検討した。
【0068】
図11は、図7の回路において、電圧Vpの周波数をfd=0.7×fr、電圧Vpの矩形波形のデューティ比をDu=0.3、誘導性素子Lのインダクタンス値をL=100μH、圧電素子Xのキャパシタンス値をC=30nFとしたとき、抵抗素子Rの抵抗値Rを、R=(1/20)√(L/C)からR=(1/0.5)√(L/C)まで変化させたときの圧電素子Xの両端間の電圧Vdの波形を示す。図14は、このときの移動体の速度を示す。
【0069】
図14から分かるように、抵抗値がR=(1/2.5)√(L/C)で移動体の速度は最も速い。抵抗値がR=(1/20)√(L/C)、R=(1/0.5)√(L/C)では、駆動できない。R=(1/15)√(L/C)とR=√(L/C)との間で駆動可能であった。実用的な抵抗値Rの範囲は、(1/10)√(L/C) 〜 (1/1.5)√(L/C)である。
【0070】
したがって、直列共振回路Pの素子の定数L,C,Rについては、
(1/15)×(L/C)1/2 < R < (L/C)1/2 (13)
であることが好ましい。
より好ましくは、
Figure 0003595808
である。
【0071】
以上説明したように、図9〜図12から、駆動装置20は、圧電素子22又はに鋸波形の電圧Vdを印加したときに駆動できることが分かる。圧電素子22又はには、図7及び図8に示した直列共振回路Pを含む構成の簡単な電圧発生回路により、鋸波形の電圧を印加することができる。
【0072】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。
【0073】
例えば、本発明は、電気機械変換素子を固定する素子固定タイプの駆動装置に限らず、係合部材を固定するタイプのものや、駆動摩擦部材を固定するタイプのもの、自走式のものなど、電気機械変換素子を用いた種々のタイプの駆動装置に広く適用することができる。
【0074】
また、本発明の電圧発生回路は、上記の種々のタイプの駆動装置に限らず、例えば特開2001−322099号公報に開示されたマイクロポンプの圧電素子の駆動なども適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例の第1の方法の説明図である。
【図2】従来例の第2の方法の説明図である。
【図3】従来例の第2の方法の説明図である。
【図4】本発明の実施例の駆動装置の説明図である。
【図5】本発明の実施例の駆動装置を示す分解斜視図及び組立斜視図である。
【図6】電圧発生回路の説明図である。
【図7】本発明の実施例の電圧発生回路を示す電気回路図である。
【図8】図7の電気回路における動作のタイミングチャート及び電圧波形図である。
【図9】周波数を変えたときの電圧波形図である。
【図10】デューティ比を変えたときの電圧波形図である。
【図11】抵抗素子の定数を変えたときの電圧波形図である。
【図12】周波数を変えたときの移動体の速度を示すグラフである。
【図13】デューティ比を変えたときの移動体の速度を示すグラフである。
【図14】素子の定数を変えたときの移動体の速度を示すグラフである。
【符号の説明】
20 駆動装置
22 圧電素子(容量性負荷、電気機械変換素子)
26 駆動軸(駆動摩擦部材)
28 駆動ユニット(移動体、係合部材)
K 制御回路(電圧印加手段、電圧発生回路)
L 誘導性素子(電圧発生回路)
P 直列共振回路(電圧発生回路)
Q1〜Q4 スイッチ素子(電圧印加手段、電圧発生回路)
R 抵抗素子
X 圧電素子(容量性負荷、電気機械変換素子)

Claims (4)

  1. 容量性負荷の両端に印加する電圧を発生する電圧発生回路であって、
    前記容量性負荷に直列に接続され、前記容量性負荷とともに直列共振回路を構成する、誘導性素子及び抵抗素子と、
    前記直列共振回路に矩形波形の電圧を印加する電圧印加手段とを備え、
    前記電圧印加手段は、前記直列共振回路に印加する矩形波形の電圧の周波数をfd、前記直列共振回路の共振周波数をfrとした場合、
    . 4×fr fd . 0×fr
    とすることによって、前記容量性負荷の両端に鋸波形の電圧を印加することを特徴とする、電圧発生回路。
  2. 前記電圧印加手段が前記直列共振回路に印加する矩形波形の電圧のデューティ比をDuとした場合、
    0.05 < Du < 0.48
    又は、0.52 < Du < 0.95
    であることを特徴とする、請求項1記載の電圧発生回路。
  3. 前記容量性負荷のキャパシタンス値をC、前記誘導性素子のインダクタンス値をL、前記抵抗素子の抵抗値をRとした場合、
    (1/15)×(L/C)1/2 < R< (L/C)1/2
    であることを特徴とする、請求項1記載の電圧発生回路。
  4. 容量性負荷である電気機械変換素子と、
    前記電気機械変換素子の両端に印加する電圧を発生する請求項1〜のいずれか一つに記載の電圧発生回路とを備え、
    前記電圧発生回路の電圧印加手段が、前記直列共振回路に印加する矩形波形の電圧の周波数をfd、前記直列共振回路の共振周波数をfrとした場合、
    . 4×fr fd . 0×fr
    とすることによって、前記電気機械変換素子の両端に鋸波形の電圧を印加して、前記電気機械変換素子を、変形する時と元に戻る時の速度を異ならせて動作させることにより駆動することを特徴とする、駆動装置。
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