JP2016163437A - 圧電アクチュエーター装置及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】所定の摩擦力で駆動対象物と結合する駆動部材に圧電素子で力を加えて駆動対象物を高速移動させることができる圧電アクチュエーター装置を提供する。【解決手段】インダクター27と抵抗28を直列に接続した圧電素子101にPWM波形の駆動電圧を入力して、圧電アクチュエーター装置100を駆動制御する。圧電アクチュエーター装置100は、インダクタンスL0と抵抗R0の各値を調整して、圧電機械共振と圧電電気共振の各振動の減衰比、振幅、共振周波数をコントロールし、鋸波により近い駆動部材102の応答を誘起して、駆動対象物106の高速化を実現する。【選択図】 図7

Description

本明細書で開示する技術は、圧電素子を利用して駆動対象物を移動させる圧電アクチュエーター装置及びその制御方法に係り、特に、駆動部材を圧電素子で駆動して、駆動部材と所定の摩擦力で結合する駆動対象物を移動させる圧電アクチュエーター装置及びその制御方法に関する。
撮影レンズなどが取り付けられた係合部材を棒状の駆動部材に所定の摩擦力を有するように結合させるとともに、その駆動部材の一方端に圧電素子を固着して構成されたインパクト型圧電アクチュエーターからなる駆動装置が知られている。この種のインパクト型圧電アクチュエーターに矩形波電圧を印加することにより駆動する方法についても提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
特開2001−268951号公報
本明細書で開示する技術の目的は、駆動部材を圧電素子で駆動して、駆動部材と所定の摩擦力で結合する駆動対象物を好適に移動させることができる、優れた圧電アクチュエーター装置及びその制御方法を提供することにある。
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の技術は、
圧電素子とインダクターと電気抵抗を直列に接続した直列接続体と、
前記直列接続体に対して矩形波の駆動電圧を印加する駆動回路と、
前記圧電素子によって駆動され、所定の摩擦力で駆動対象物を結合する駆動部材と、
を具備する圧電アクチュエーター装置である。
本願の請求項2に記載の技術によれば、請求項1に記載の圧電アクチュエーター装置は、前記圧電素子の圧電効果によって、前記駆動電圧に対する前記駆動部材の変位が4階の微分方程式で支配され、前記4階の微分方程式から導出される第1の共振現象及び第2の共振現象を利用して駆動するように構成されている。
本願の請求項3に記載の技術によれば、請求項2に記載の圧電アクチュエーター装置において、前記第1の共振現象は、前記圧電素子による駆動に対して、前記圧電アクチュエーター装置の機械的な共振を主としつつ前記圧電素子の圧電効果による前記直列接続体の電気的な影響を受ける圧電機械共振である。また、前記第2の共振は、電気的な共振を主としつつ前記圧電素子の圧電効果による前記駆動部材の機械振動の影響を受ける圧電電気共振である。
本願の請求項4に記載の技術によれば、請求項2又は3のいずれかに記載の圧電アクチュエーター装置において、前記第1の共振現象は、前記圧電素子の物性値から決定される等価のばね定数と前記駆動部材の質量に基づいて規定される2質点系の機械的な共振周波数を主としつつ前記圧電素子の圧電効果による電気的な影響を受けて下がる共振周波数を持つ。また、前記第2の共振現象は、前記インダクターと前記電気抵抗と前記圧電素子の物性値から決定される静電容量に基づいて規定されるLCR回路の電気的な共振周波数を主としつつ前記圧電素子の圧電効果による機械的な影響を受けて上がる共振周波数を持つ。
本願の請求項5に記載の技術によれば、請求項1乃至4のいずれかに記載の圧電アクチュエーター装置は、前記第1の共振現象及び前記第2の共振現象の共振周波数と共振振動の減衰比が所望する値となるように、前記インダクターのインダクタンス値と電気抵抗の抵抗値を決定するように構成されている。
本願の請求項6に記載の技術によれば、請求項1乃至5のいずれかに記載の圧電アクチュエーター装置は、所望する前記第1の共振現象並びに前記第2の共振現象が得られたときの、前記圧電素子と前記駆動部材と前記駆動対象物を含む駆動部のインピーダンス特性の実測値に基づいて、前記インダクターのインダクタンス値と電気抵抗の抵抗値を決定するように構成されている。
本願の請求項7に記載の技術によれば、請求項3に記載の圧電アクチュエーター装置は、前記圧電機械共振振動と前記圧電電気共振振動の重ね合わせにより、前記矩形波の駆動電圧の印加に対する前記駆動部材の所望な鋸波変位を誘起するように、前記圧電機械共振振動と前記圧電電気共振振動をそれぞれ所望の共振周波数にするための前記インダクターのインダクタンス値と前記電気抵抗の抵抗値を決定するように構成されている。
本願の請求項8に記載の技術によれば、請求項3又は7のいずれかに記載の圧電アクチュエーター装置は、前記圧電機械共振振動の共振周波数と前記圧電電気共振振動の共振周波数の比が1.5乃至3の範囲となるように構成されている。
本願の請求項9に記載の技術によれば、請求項3又は7のいずれかに記載の圧電アクチュエーター装置は、前記圧電機械共振振動の共振周波数と前記矩形波駆動電圧の駆動周波数の比が1乃至1.5の範囲となるように構成されている。
本願の請求項10に記載の技術によれば、請求項3、7乃至9のいずれかのいずれかに記載の圧電アクチュエーター装置は、前記圧電電気共振振動の共振周波数と前記矩形波駆動電圧の駆動周波数の比が1.5乃至4.5の範囲となるように構成されている。
また、本願の請求項11に記載の技術は、
圧電素子とインダクターと電気抵抗を直列に接続した直列接続体に矩形波の駆動電圧を印加して、所定の摩擦力で駆動対象物を結合する駆動部材を前記圧電素子によって駆動する圧電アクチュエーター装置の制御方法であって、
前記圧電素子の圧電効果によって、前記駆動電圧に対する前記駆動部材の変位が4階の微分方程式で支配され、
前記4階の微分方程式から導出される2つの共振現象のうち主となる一方の共振周波数に基づいて前記駆動電圧の矩形波の駆動周波数を制御する制御ステップを有する制御方法である。
本願の請求項12に記載の技術によれば、請求項11に記載の圧電アクチュエーター装置の制御方法の前記制御ステップでは、前記矩形波の駆動周波数と前記4階の微分方程式から導出される2つの共振現象の他方の共振振動の共振を避けるように構成されている。
本明細書で開示する技術によれば、圧電素子を用いて駆動部材を最適な鋸波で変位させて、駆動部材と所定の摩擦力で結合する駆動対象物を高速に移動させることができる、優れた圧電アクチュエーター装置及びその制御方法を提供することができる。
なお、本明細書に記載された効果は、あくまでも例示であり、本発明の効果はこれに限定されるものではない。また、本発明が、上記の効果以外に、さらに付加的な効果を奏する場合もある。
本明細書で開示する技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
図1は、本明細書で開示する技術を適用することができる圧電アクチュエーター装置100の構成例を模式的に示した図である。 図2は、駆動回路104の構成例を示した図である。 図3は、図1に示した圧電アクチュエーター装置100の機械モデルを示した図である。 図4Aは、駆動部材102の理想的な鋸波変位と駆動部材102の速度v102と駆動対象物106に加わる摩擦力μNを示した図である。 図4Bは、駆動部材102の変位が理想的な鋸波でない場合の駆動部材の速度波形を例示した図である。 図5は、圧電素子101にPWM波形の電圧を印加した際の実際の駆動部材102の変位x102と速度v102を示した図である。 図6は、他の構成例に係る圧電素子101に駆動電圧を入力する駆動回路104´を示した図である。 図7は、図6に示した駆動回路104´を用いた圧電アクチュエーター装置700の機械モデルを示した図である。 図8は、伝達関数の周波数応答を例示した図である。 図9は、駆動部107のインピーダンス特性の実測値と解析解として求めた周波数応答を含む系の比較を例示した図である。 図10は、圧電アクチュエーター装置700のステップ応答を示した図である。 図11は、図6に示した駆動回路104´を利用した場合の圧電アクチュエーター装置700における駆動部材102の位置及び速度の波形を示した図である。 図12は、図2に示した駆動回路104を利用した場合の圧電アクチュエーター装置100における駆動部材102の位置及び速度の波形を示した図である。 図13は、圧電電気共振成分の周波数が合わないために、圧電機械共振成分の速度低下をキャンセルできない場合の駆動部材102の位置及び速度の波形を示した図である。 図14は、圧電電気共振成分の振幅が大き過ぎるため、その影響で速度低下が発生する場合の駆動部材102の位置及び速度の波形を示した図である。 図15は、図7に示した圧電アクチュエーター装置700のステップ応答と速度を圧電機械共振振動と圧電電気共振振動に成分分解した例を示した図である。 図16は、インダクター27のインダクタンスL0による圧電機械共振周波数と圧電電気共振周波数と、圧電機械共振周波数と圧電電気共振周波数の比を示した図である。 図17は、PWM電圧のフーリエ変換の結果を示した図である。 図18は、デューティー比と圧電機械共振の振幅ψ1と圧電電気共振の振幅ψ2の比、周波数の関係を示した図である。
以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。
図1には、本明細書で開示する技術を適用することができる圧電アクチュエーター装置100の構成例を模式的に示している。
図示の圧電アクチュエーター装置100は、電気機械変換素子である圧電素子101と、圧電素子101により駆動される棒状の駆動部材102と、駆動部材102に所定の摩擦力で結合された係合部材103と、圧電素子101に駆動電圧を印加する駆動回路104を備えている。
圧電素子101は、駆動回路104から印加される駆動電圧に応じて伸縮する作用を有している。圧電素子101は、その伸縮方向における一方端が支持部材105に固着されるとともに、他方端が棒状の駆動部材102の長手方向における一方端に固着されている。支持部材105の絶対位置は固定されているものとする。係合部材103は、所定箇所に駆動対象物106が固着され、駆動部材102上を長手方向(図1中のa方向)に沿って移動可能とされている。支持部材105と圧電素子と駆動部材102で、駆動部107を構成する。
圧電素子101が伸縮すると、駆動部材102が長手方向に移動する。駆動部材102を長手方向に沿って異なる速度で移動させた際に駆動部材102と係合部材103との間に発生する摩擦力の相違を利用して、係合部材103に固着された駆動対象物106を駆動部材102に対して相対的に移動させることができる。すなわち、係合部材103と駆動部材102との間の摩擦力は、駆動部材102が高速で移動するときは小さくなり、低速で移動するときは大きくなる。したがって、駆動部材102の正方向(図1中のa方向)移動は低速で行ない、逆方向移動は高速で行なうことにより、駆動対象物106を駆動部材102に対して正方向に移動させることができる(正方向駆動)。また、駆動部材102の正方向移動時は高速で行ない、逆方向移動時は低速で行なうことにより、駆動対象物106を駆動部材102に対して逆方向に移動させることができる(逆方向駆動)。
要するに、圧電素子101の伸縮作用で駆動部材102を高速と低速の鋸波状に変位させることにより、駆動対象物106を移動させるのが圧電アクチュエーター装置100の動作原理である。
駆動部材102を高速と低速の鋸波状に変位させるために、駆動回路104には、矩形波のPWM(Pulse Width Modulation)波形の駆動電圧を圧電素子101に入力することができるスイッチング回路が用いられる。
図2には、圧電素子101にPWM波形の駆動電圧を入力する駆動回路104の構成例を簡略的に示している。図示の駆動回路104は、一定電圧を出力する電源26とスイッチ21〜24で構成される。スイッチ21とスイッチ24を直列接続した回路とスイッチ22とスイッチ23を直列接続した回路が電源26とグランド間に並列接続され、また、スイッチ21とスイッチ22の間に圧電素子101が装荷されている。
スイッチ21とスイッチ23をオンにするとともに、スイッチ22とスイッチ24をオフにすると、図2中+方向の電圧が圧電素子101に印加される。また、スイッチ21とスイッチ23をオフにするとともに、スイッチ22とスイッチ24をオンにすると、図2中−方向の電圧が圧電素子101に印加される。このようなスイッチ21〜24のオンオフ動作をある一定の周波数(駆動周波数)で繰り返すことにより、圧電素子101への周期的なPWM電圧の印加を実現することができる。図示しない駆動制御回路がスイッチ21〜24のスイッチング動作を制御するものとする。
駆動部107(前述)の共振周波数を利用して、図2に示した駆動回路104が圧電素子101に印加するPWM電圧波形の駆動周波数を調整することにより、駆動部材102の鋸波変位を誘起することができる。このような駆動回路104には、以下の利点(a)、(b)がある。
(a)回路構成が容易で、軽量化、小型化を実現できる。
(b)デューティー比を変更することで、容易に駆動部材102(駆動対象物106)の速度制御が可能である。
図2に示した駆動回路を用いた圧電アクチュエーター装置100の駆動原理について、さらに詳細に説明する。
図3には、図2に示す駆動回路104を用いた圧電アクチュエーター装置100の機械モデルを示している。同図には、各物性の定義を併せて記している。m1は支持部材105の質量、m2は駆動部材102の質量、m3は駆動対象物106の質量、kは圧電素子101のバネ定数、cvは圧電素子101の減衰係数、Fは力、Nは係合部材103の押し当て力、μは駆動部材102と係合部材103の摩擦係数、したがってμNは摩擦力である。
図3に示すように、圧電素子101は、ばね定数k、減衰係数cvのばね−ダンパー系と仮定することができる。この場合、駆動部材102を支配する運動方程式は下式(1)のようになる。但し、F0は圧電素子101に係る発生力、x102は駆動部材102の位置、a102は駆動部材102の加速度、χは摩擦力の符号の条件とする。
また、駆動対象物106を支配する運動方程式は下式(2)のようになる。但し、a106は駆動対象物106の加速度とする。
上記の各式(1)、(2)中の摩擦力の符号の条件χは下式(3)に示す通りとする。但し、v102は駆動部材102の速度、v106は駆動対象物106の速度とする。
上式(3)に示すように、駆動部材102と駆動対象物106の速度差に応じた摩擦力が駆動対象物106に働く。
図4A(A)には、駆動部材102の理想的な鋸波変位を示している。鋸波の変位は、駆動部材102が早く動いている時間tfと、駆動部材102がゆっくり動いている時間tsからなる。また、図4A(B)、(C)にはそのときの駆動部材102の速度v102と駆動対象物106に加わる摩擦力μNをそれぞれ示している。
図4A(A)に示すように、駆動部材102が理想的な鋸波で動き出すと、駆動対象物106には摩擦力μNが加わる。駆動部材102の速度v102よりも駆動対象物の速度v106が遅い場合、駆動対象物106には駆動部材102の速度に追従する方向に摩擦力μNが加わる。反対に、駆動部材102には摩擦力μNが負荷となる。
駆動部材102は図4A(A)に示すように鋸波に変位するので、駆動対象物106がある速度まで動くと、次は反対に駆動対象物106の速度v106が駆動部材102の速度v102より大きくなるため、摩擦力μNが加わる方向が逆転する。
このようして駆動部材102の鋸波変位が繰り返されると、最終的には、摩擦力μNによる運動量は保存されるので、1周期の中で摩擦力μNが+方向に加わる時間と−方向に加わる時間は同じになる筈である。つまり、1周期で見た場合、上式(2)、(3)より、駆動対象物106は、v102−v106≧0となる時間t1と、v102−v106<0となる時間t2が等しくなるように、速度v106で等速に(駆動部材102の長手方向に)移動することが分かる(図4(B)を参照のこと)。t1は駆動対象物106にプラスの摩擦力が加わっている時間、t2は駆動対象物106にマイナスの摩擦力が加わっている時間である。
この考え方は、駆動部材102が高速のときと低速のときの両方の期間で駆動対象物106(係合部材103)が駆動部材102に対して滑る理論である。t1とt2の時間が等しくなることがない場合には、駆動対象物106は駆動部材102に固着するようになる。一般的には、両方の時間t1、t2で滑る理論で考えた方が、駆動対象物106に大きな加速度a106を与えることができるので、高い速度v106を実現できる。したがって、以下では、両方の時間t1、t2で滑る理論に基づいて説明する。また、もし重力などの負荷が駆動対象物106に加わる場合は、上式(2)の左辺にその負荷の項が加わるため、それに伴って運動量が釣り合う速度位置は上下方向にシフトする。
t1とt2の時間が等しくなる駆動対象物106の速度v106をできるだけ大きくするためには、以下の3つの速度向上要因(a1)〜(a3)が必要である。
(a1)駆動部材102が早く動いている時間tfとゆっくり動いている時間tsの差分をできるだけ大きくする。
(a2)時間tsでの駆動部材102の最高速度(v102,p)をできるだけ大きくする。
(a3)時間tsで、駆動部材102が最高速度(v102,p)近辺となる時間をできるだけ長くする。
時間tfとtsの差分をできるだけ大きくすれば、その分時間t1とt2が一定となる速度v106を大きくすることができる。また、時間tfとtsの差分が大きくても、ts間での速度が安定しなければ、速度が出ない(言い換えれば、駆動部材103の変位は、綺麗な鋸波形であることが好ましい)。
図4Bには、駆動部材102の変位が理想的な鋸波でない場合の駆動部材102の速度波形を例示している。図4B(A)に示す駆動部材102の速度波形の場合、ts間での最高速度(v102,p)は高くても、その期間があまりに短い。その結果として、安定点である駆動対象物106の速度v106は低くなる。また、図4B(B)に示す駆動部材102の速度波形の場合、時間tfとtsの差分が大きくても、駆動部材102の最高速度(v102,p)が低い。その結果として、安定点である駆動対象物106の速度v106は低くなってしまう。
図4A(A)には駆動部材102の理想的な鋸波変位を示した。しかしながら、実際の駆動部材102は上式(1)に示される振動系である。このため、駆動部材102の速度v102が一定となるような理想的な鋸波で変位することはない。
図5(A)、(B)には、PWM波形の駆動電圧により圧電素子101に発生する力(発生力)Fと、実際の駆動部材102の変位x102と速度v102をそれぞれ示している。但し、図5(B)には、駆動部材102と摩擦力で結合された駆動対象物106の速度v106も併せて示している。図示の例は、上式(1)〜(3)を解き、図2に示した駆動回路104を用いた場合の駆動部材102の駆動波形を意図的に作成した波形である。圧電素子101に矩形波電圧を印加することにより、駆動部材102は上式(1)に示すように減衰振動波形を示す。1周期分の振動後、電圧印加を切り換えると、駆動部材102は反対方向に動く。このため、図5(A)に示すように、駆動部材102は鋸波状の変位を示すことになる。このとき、駆動対象物106の速度v106を決める時間tsの速度を見ると、参照番号501と502で示す2つ山を持つ形状となる。参照番号503で示す、この2つ山501、502の中腹は、図4B(A)を参照しながら説明した通り、速度の釣り合い位置を下げてしまう。このため、図2に示す駆動回路104を用いた圧電アクチュエーター装置100における駆動対象物106の速度v106を低下させる要因となる。
圧電アクチュエーター装置100の速度低下を改善する方法として、例えば、圧電素子101に印加する矩形波電圧の駆動周波数を低くして、時間tsを長くすることが考えられる。しかしながら、図5(B)で示した腹503における速度低下が顕著になり、上述した速度向上要因(a2)と(a3)に反するため、駆動対象物106の速度v106は低下する。反対に、この腹503における速度低下を抑えるために矩形波電圧の駆動周波数を高くして、山501と502同士を近づけると、今度は時間tsが短くなり、上述した速度向上要因(a1)に反するため、駆動対象物106の速度v106は低下する。
また、山501と502の高さをできるだけ合わせた方が、速度向上要因(a3)より、駆動部材102の最高速度(v102,p)を長くすることができるので理想的である。山501と502の高さは、振動の減衰と摩擦力に依存する。振動の減衰は、圧電素子101の物性や駆動部材102の質量に依存するため、容易には変更できない。摩擦力による調節は、上式(1)より負荷を増やして振幅を調節することになるので、全体的な振幅が低下し、速度向上要因(a2)に反することになるので、効率的でない。
したがって、図2に示す駆動回路104を用いた圧電アクチュエーター装置100では、駆動部材102の鋸波の変位をこれ以上最適化することは困難であり、駆動効率の面で課題がある。駆動対象物106の高速駆動を実現するためには、圧電素子101を大型化し、圧電素子101の発生力や変位を上げればよいが、その分消費電力が増える。圧電アクチュエーター装置100をカメラの撮像レンズや双眼鏡のレンズなど携帯機器における光学系の駆動源として利用する場合、圧電アクチュエーター装置100や駆動回路104の小型化、軽量化、低消費電力化は不可欠である。
このため、圧電アクチュエーター装置100を大型化せず、駆動部材102の最適な鋸波変位を誘起し、高速且つ低消費電力での駆動を実現する技術が求められる。
図6には、他の構成例に係る圧電素子101に駆動電圧を入力する駆動回路104´を示している。図2に示した駆動回路104との相違点は、圧電素子101の両端にインダクター27と抵抗28を直列に接続している点である。図示しない駆動制御回路がスイッチ21〜24のスイッチング動作を制御するものとする。
なお、インダクター27と抵抗28は、インダクター素子や抵抗素子などの回路部品である必要はない。例えば、内部インダクタンスや内部抵抗を利用して、インダクター27と抵抗28を構成することができる。あるいは、合成インダクタンスや合成抵抗を用いて、図6と等価な回路を構成するようにしてもよい。
図6に示す駆動回路104´を用いた場合の、圧電アクチュエーター装置100の支配方程式について説明する。図7には、図6に示した駆動回路104´を用いた圧電アクチュエーター装置700の機械モデルを、駆動回路104´の等価回路とともに示している(但し、図1に示した圧電アクチュエーター装置100と同一の部材については同一の参照番号で示している)。同図には、各物性の定義を併せて記している。R0は抵抗28の抵抗値、L0はインダクター27のインダクタンス、V0は電源26の印加電圧、V1は圧電素子101の端子間電圧、i0は駆動回路104´を流れる電流値である。
ここで、近似のために、支持部材105は駆動部材102に比べて十分に大きいものとし、圧電素子101の質量は十分に小さいものとし、圧電素子101に加わる発生力は駆動部材102に加わるものとする。また、駆動部材102は質量m2の剛体とする。また、図7に示した以外の機械的、電気的負荷は無視する。実際は、他の負荷や駆動部材102の弾性変形が存在するため、以下で説明するよりもさらに複雑な系となる点に留意されたい。
圧電素子101は、電気⇔機械の相互変換を行なうデバイスである。圧電素子101の電気応答と機械応答の関係は、以下の圧電方程式(4)、(5)で支配されることが知られている。但し、Sは圧電素子101の歪み、sEは圧電素子101のコンプライアンス、Tは圧電素子101に発生する(又は印加される)応力、dは圧電定数、Eは電場とする。また、Dは電束密度、εTは圧電素子101の誘電率とする。
圧電素子101が積層型である場合を考えると、E、S、D、Tはそれぞれ下式(6)のように定義することができる。但し、qは電荷、Apは圧電素子101の断面積、lは圧電素子101の1層の厚さとする。
無負荷状態の圧電素子101は、圧電定数d[m/V]に従って変形する。このことから、圧電素子101に係る発生力F0は下式(7)のように定義することができる。
したがって、上式(4)は、上式(6)、(7)より、下式(8)に示す通りとなる。但し、nは圧電素子101の積層数、lpは圧電素子101の変位とする。
上式(8)は、圧電素子101に電圧を印加した際の発生力F0に対して、負荷Fを加えたものが実際の圧電素子101の変位lpになるということを意味している。実際の圧電素子101は、例えば積層型の場合の電極のない部分などの負荷により、圧電定数dから計算される理論値と変位が異なることが多い。この時の定常時での実際の変位lpを下式(9)のように定義する。
図7に示す圧電アクチュエーター装置700の過渡応答では、駆動部材102の加速度、圧電素子101の減衰や駆動対象物106との摩擦力は、圧電素子101に対して負荷となる。したがって、上式(8)中の力Fは下式(10)のように考えることができる。
上式(10)より、上式(8)は下式(11)を導くことができる。ここで、ばね定数kと減衰係数cvは一定値とする。
次に、上記の圧電方程式(4)、(5)を連立させると、下式(12)に示す通りとなる。
上式(6)を用いて上式(12)を変形すると、下式(13)に示す通りとなる。
上式(13)より、図7(又は図6)に示す駆動回路104´の支配方程式(14)を導出することができる。
ここで、下式(15)を用いて上式(11)、(14)を整理すると、それぞれ下式(16)、(17)に示す通りとなる。
さらに、上式(7)、(16)、(17)を用いて整理すると、下式(18)に示すような4階の微分方程式が得られる。
上式(18)が、図7に示した圧電アクチュエーター装置700の支配方程式となる。すなわち、圧電素子101に印加する駆動電圧V0に対する駆動部材102の変位xが4階の微分方程式(18)で支配される。後述するように、この支配方程式(18)から2次振動波形が2つでき、2つの共振点を持つ。2つの共振周波数(fn1、fn2)を解析解で求めることができるとともに、実測できる。
また、L0=0、R0=0とした場合、上記の支配方程式(18)から、上式(1)と同じ式が得られることが分かる。したがって、圧電アクチュエーター装置700の支配方程式が上記したような(駆動部材102の変位xの)4階の微分方程式(18)となり2つの共振現象が出現するのは、インダクター27と抵抗28を直列接続した圧電素子101に対して駆動電圧を印加するという新規の構成(図6又は図7を参照のこと)によってもたらされるものである。
また、支持部材105、圧電素子101、駆動部材102からなる駆動部107についての支配方程式の場合、摩擦力項を考えないので、下式(19)に示す通りとなる。
以下では、圧電アクチュエーター装置700の共振周波数を中心に説明する。摩擦力項は、一定値であり、駆動部材102の応答の負荷となるため、振幅には影響を及ぼすものの、周波数応答やステップ応答の共振、波形形状には影響を及ぼさないということができる。したがって、以下では、摩擦力項を含まない上式(19)をベースに説明する。
続いて、図7に示す圧電アクチュエーター装置700の周波数応答について説明する。
上式(19)の各係数は物性値を組み合わせた定数であることから、下式(20)のように一般化する。
上式(20)をラプラス変換すると、下式(21)に示す通りとなる。また、その伝達関数P(s)は下式(22)で表すことができる。
上式(22)の分母=0とする以下の4次方程式(23)は、フェラーリの法則(周知)により一般解を解くことができる。その一般解を下式(24)に示す。但し、γ1、γ2は4次方程式の実数項、δ1、δ2は4次方程式の虚数項とする。
また、sの解が上式(24)ではなく、虚数解をとらない場合は、圧電アクチュエーター装置700の原理となる共振振動を利用できないこととなるため、効果を表すことができない。
上式(24)より、上式(22)で伝達関数P(s)は、下式(25)のように変換することができる。但し、ωn1、ωn2は本システムの固有円振動数であり、ζ1、ζ2は本システムの減衰係数である。
上式(25)から、圧電アクチュエーター装置700は2次システムの掛け合わせとなることが分かる。圧電アクチュエーター装置700の正弦波入力に対する周波数応答は、ゲイン|P(jω)|と位相遅れ∠P(jω)によって表すことができる。そのゲインは、下式(26)、(27)に示す通りとなる。
したがって、図7に示す圧電アクチュエーター装置700は、2次システムのゲイン特性を2つ足し合わせた応答となる。(=fn1
図8には、上式(22)で示した伝達関数の周波数応答の例を示している。同図に示すように、2つの共振周波数ωn1/2π(=fn1)、ωn2/2π(=fn2)を持つ系となることが分かる。これらの共振周波fn1、fn2は、上式(22)に示す伝達関数の分母=0の4次方程式を解くことで、解析解として導くことができる。
実測では、駆動部107のインピーダンス特性を取ることで、この2つの共振周波数を容易に計測することができる。図9には、駆動部107のインピーダンス特性の実測値と、上式(22)より求めた周波数応答計算値との比較を例示している。実測の場合、上記の理論式では考慮していない駆動部材102と支持部材105の共振特性が影響するので周波数が若干異なるが、インピーダンス特性の極小値が上式(25)に示すωn1/2π、ωn2/2πとほぼ同等となることが分かる。
一方の共振周波数fn1(但し、fn1<fn2)は、2質点系の共振周波数(√k/m2)よりも小さくなり、圧電アクチュエーター装置700の機械的な共振周波数を主とし、それに圧電素子101の圧電効果による電気的な影響を受けて周波数が下がる機械共振である。単なる「機械共振」は、圧電アクチュエーター装置700の駆動部107の機械的な共振を主とするものである。この機械共振に、圧電素子101の圧電効果によって圧電アクチュエーター装置700の電気回路の影響を受けた上記の共振現象のことを、以下では「圧電機械共振」と呼ぶことにする。
また、他方の共振周波数fn2(但し、fn1<fn2)は、LCR回路の共振周波数(√1/L00)よりも大きくなり、電気的な共振周波数を主とし、それに圧電素子101の圧電効果による機械的な影響を受けて周波数が上がる電気共振である。但し、L0は駆動回路104´で圧電素子101に直列接続されたインダクター27のインダクタンスである、C0は圧電素子101の物性値から計算される静電容量のことを指している。単なる「電気共振」は、圧電アクチュエーター装置700の電気回路での共振を主とするものである。この電気共振に、圧電素子101の圧電効果によって生じる圧電アクチュエーター装置700(駆動部107)の機械振動の影響を受けた上記の共振現象のことを、以下では「圧電電気共振」と呼ぶことにする。
図7に示した圧電アクチュエーター装置700では、矩形波電圧が圧電素子101に印加されると、上記の機械共振と電気共振が相互に関連した共振現象を利用して駆動部材102を変位させる。
各固有円振動数ωn1、ωn2は、それぞれk、cv、m2、L0、C0、R0の関数であり、これらのうちどの物性値が変化しても、変化する値である。このように、図7に示す圧電アクチュエーター装置700は、圧電効果により電気共振と機械共振が相互に関連した装置であるということができる。このような相互作用的な共振現象は、インダクター27と抵抗28を直列接続した圧電素子101に対して駆動電圧を印加するという新規の構成(図6又は図7を参照のこと)によってもたらされるものである。
続いて、図7に示す圧電アクチュエーター装置700の応答について説明する。
実際に圧電素子101に形波電圧を印加した際の、駆動部材102の応答について考える。上式(20)より、x=eλtとおくと、下式(28)に示す通りとなる。但し、λは微分方程式の特性解である。この場合の特性方程式は下式(29)である。
上式(29)は上式(23)と同じなので、その解は下式(30)に示す通りとなる。
したがって、上式(28)の一般解は下式(31)になる。但し、Cs、Ds、Es、Fsは微分方程式の一般解の係数である。
上式(30)が虚数解とならない場合は、圧電アクチュエーター装置700の原理となる共振振動を利用できないこととなるため、効果を表すことができない。
矩形波駆動を考えた場合は、初期条件を下式(32)のように設定すればよい。
よって、上式(31)中の微分方程式の一般解の係数Cs、Ds、Es、Fsは、下式(33)、(34)のように導出することができる
したがって、上式(31)で示した矩形波応答は下式(35)に示す通りとなる。
上式(35)を下式(36)のようにも表すことができる。但し、ψ1、ψ2は微分方程式xの振動振幅、φ1、φ2は微分方程式の振動位相、ν1、ν2は微分方程式の位相条件であり、それぞれ下式(37)に示す通りとなる。
上式(36)の右辺第1項は圧電機械共振を表し、第2項は圧電電気共振を表す。
また、上式(36)を微分すると、速度vは下式(38)に示す通りとなる。但し、ψ3、ψ4は微分方程式vの振動振幅、φ3、φ4は微分方程式vの振動位相、ν3、ν4は微分方程式vの位相条件であり、それぞれ下式(39)に示す通りとなる。
図10(A)には、上式(36)より得られる圧電アクチュエーター装置700(図7を参照のこと)のステップ応答(駆動部材102の変位)を示している。但し、各定数の値を、k=50000000[N/m]、cv=2[N・s/m]、m2=8×10-4[kg]、R0=5[Ω]、L0=40[μH]、A=3.5、B=3×10-7とする。
図10(B)には、上式(36)の右辺第1項を第1の成分、第2項を第2の成分とし、駆動部材102の変位を第1の成分と第2の成分に分けて、それぞれの成分の減衰とともに示している。第1の成分は、圧電機械共振の振動に相当し、大きな主振動を有する。第2の成分は、圧電電気共振の振動に相当し、小さい振動である。圧電機械共振の共振周波数fn1は28.6kHz、圧電電気共振の共振周波数fn2は63.9kHzである。そして、第1の成分と第2の成分、すなわち圧電機械共振の振動と圧電電気共振の振動を足し合わせたものが、図10(A)に示す、圧電アクチュエーター装置700としての(すなわち、駆動部材102の)ステップ応答となる。
また、上式(38)より、圧電アクチュエーター装置700(駆動部材102)の速度も、同様に、2つの振動の重ね合わせになる。この振動の角周波数は、位置、速度ともにδ1、δ2となる。δ1、δ2は、上式(25)より、下式(40)である。したがって、減衰比ζが小さければ、それぞれ固有円振動数ωn1、ωn2とほぼ等しくなる。
また、上式(36)より、PWMの印加電圧の切り替えタイミングでの位置、速度、加速度、加加速度から次の応答を計算し、さらにPWMの切り替えによる応答を計算していけば、PWM駆動時の応答を解析解として導くことができる。
また、上述した駆動部材102の支配方程式(18)で摩擦力項を考慮した場合、上式(32)の初期条件を下式(41)とおけば、摩擦力項を考慮した場合でも一般解を導出することができる。
図11(A)、(B)には、図6に示した駆動回路104´を利用した場合の圧電アクチュエーター装置700における駆動部材102の位置及び速度の波形をそれぞれ示している。図11に示す波形は、上式(36)、(38)から得られる圧電アクチュエーター装置700の応答波形の解析解である。図11(B)では、第1の成分と第2の成分の速度を足し合わせたものが、駆動部材120の速度となる。また、図12(A)、(B)には、図11との比較として、図2に示した駆動回路104を利用した場合の圧電アクチュエーター装置700における駆動部材102の位置及び速度の波形をそれぞれ示している。図12に示す波形は、上式(1)から得られる圧電アクチュエーター装置700の応答波形の解析解である。摩擦力項は考慮していない。各図ともに、PWM駆動周波数とデューティー比は各条件で最適となるように調整しており、横軸は1周期分で正規化している。但し、各定数の値を、k=20000000[N/m]、cv=8[N・s/m]、m2=1×10-4[kg]、R0=4.5[Ω]、L0=31[μH]、A=1.3、B=8×10-8とする。
図12(B)を参照すると、前述したように、駆動対象物106の速度を決めるts間の速度は、参照番号1201、1202で示すように2つの山からなる波形形状となる。図12(B)に示す例では、山1201と山1202の高さも合っていないので、速度低下要因となる。前述したように、図2に示す駆動回路104を用いた場合、2つの山の高さを調整するのは難しい。
これに対し、図11(B)を参照すると、図6に示した駆動回路104´を用いた圧電アクチュエーター装置700では、下記(b1)、(b2)を実現している。
(b1)2つの山1101、1102の高さが同じである。
(b2)ts間で高速を維持する時間が長い。
図11(B)と図12(B)に示した各波形を比較すると、速度が釣り合う位置である駆動対象物106の速度は、図11の方が約2倍も速くなっていることが分かる。また、図11(A)と図12(A)で駆動部材102の位置の変化(変位)を比較すると、図11(A)の方が、急峻な変位(tf間)と緩やかな変位(ts間)がともにほぼ一定速度(傾きの変化が小さい)であり、明らかに鋸波に近い波形を示している。上記の2点(b1)、(b2)は、圧電素子101を図6に示した駆動回路104´を用いて駆動することに依拠する。この理由について、以下で説明する。
(b1)2つの山の高さが同じであることについて
図7に示す圧電アクチュエーター装置700の応答の減衰は、上式(25)で示される減衰比ζ1、ζ2によって決めることができる。これらの減衰比ζ1、ζ2は、ともにk、cv、m2、L0、C0、R0の関数であることが上式(19)より分かる。したがって、図7に示す圧電アクチュエーター装置700では、主振動である圧電機械共振の振動に関しても、圧電素子101の減衰係数cvだけでなく、圧電素子101に直列に接続されたインダクタンスL0と抵抗R0によって調整することが可能となる。よって、インダクタンスL0と抵抗R0の各値を調整するだけで、図11(B)に示したように2つの山1101、1102の高さを同じにすることが容易であり、駆動対象物106の高速化を実現することができる。
(b2)ts間で高速を維持する時間が長いことについて
前述したように、上式(36)、(38)から、図7に示す圧電アクチュエーター装置700の位置及び速度の応答は、2つの振動波形の重ね合わせとなる。図11(B)では、第1の成分と第2の成分の成分毎の速度も示した。第1の成分は角周波数δ1を持つ圧電機械共振の振動であり、第2の成分は角周波数δ2を持つ圧電電気共振の振動である。圧電機械共振に関する第1の成分のみを見れば、図12(B)(若しくは図5(b))と同様に2つの山1111、1112を持つ波形となり、これではts間で駆動部材102の高速を維持することができず、結果として駆動対象物106の速度を上げることができない。これに対し、図11(B)に示す例では、圧電電気共振に関する第2の成分が存在する。この第2の成分は、第1の成分の2番目の山1112以降の速度低下を相殺する方向に振動が働いて、速度低下をキャンセルするという効果がある。その結果として、ts間で駆動部材102の高速を維持することができるので、その分だけ駆動対象物106の速度を上げることができる。
つまり、図7に示す圧電アクチュエーター装置700は、上式(36)、(38)により成り立つ圧電機械共振と圧電電気共振の2つの振動が重ね合わさった駆動部材102の応答を利用するものである。すなわち、図7に示す圧電アクチュエーター装置700は、駆動回路104´に組み込んだインダクタンスL0と抵抗R0の各値を調整することで、圧電機械共振と圧電電気共振の各振動の減衰比、振幅、共振周波数をコントロールすることができる。したがって、上記2点(b1)、(b2)の理由により、インダクタンスL0と抵抗R0の各値を調整して圧電機械共振と圧電電気共振の各振動の減衰比、振幅、共振周波数を適正にすることで、(図2に示した駆動回路104を用いた場合よりも)鋸波により近い駆動部材102の応答を誘起して、駆動対象物106の高速化を実現することができる。
電気と機械が相互に作用する圧電効果を利用した圧電機械共振と圧電電気共振という2つの共振現象を利用できれば、駆動回路104´は図6に示した構成に限定されない。基本的には、圧電素子101に対してインダクター27が直列に接続されている必要がある。抵抗28を直列しなくても、圧電電気共振を利用することができる。
ちなみに、圧電素子101に直列接続するインダクターと抵抗を並列接続すると、支配方程式は4階ではなく3階の微分方程式となり、2つの共振現象が現れないので、図11(B)に示したような効果を得ることはできなくなる。また、圧電素子101に対してインダクター又は抵抗のいずれかを並列接続すると、電圧が適切に分配されないので、所望する効果を得ることはできない。これらの駆動回路104の変形例については、効果が得られないことを確認済みである。
図7に示す圧電アクチュエーター装置700においても、インダクタンスL0と抵抗R0の各値の設定によっては、高速化を実現できない場合がある。そこで、以下では、高速化を実現できない悪い例を挙げて、インダクタンスL0と抵抗R0の各値の設定方法について示す。
悪い例として、下記の2点(c1)、(c2)が挙げられる。
(c1)圧電電気共振成分の周波数が合わず、圧電機械共振成分の速度低下をキャンセルできない。
(c2)圧電電気共振成分の振幅が大き過ぎるため、その影響で速度低下が発生する。
(c1)圧電電気共振成分の周波数が合わず、圧電機械共振成分の速度低下をキャンセルできないことについて
図13(A)、(B)には、圧電電気共振成分の周波数が合わないために、圧電機械共振成分の速度低下をキャンセルできない場合の駆動部材102の位置及び速度の波形をそれぞれ示している。但し、各定数の値を、k=20000000[N/m]、cv=8[N・s/m]、m2=1×10-4[kg]、R0=7[Ω]、L0=31[μH]、A=1.3、B=8×10-8とする。また、矩形波駆動電圧V0の駆動周波数を53.1[kHz]、そのデューティー比を0.67とする。この場合の圧電機械共振(第1の成分)の共振周波数fn1は67.2[kHz]、圧電電気共振(第2の成分)の共振周波数fn2は225.4[kHz]となる。図13に示すように、駆動部材102の速度の圧電機械共振成分(第1の成分)は2つの山1301、1302を持つ波形となるが、圧電電気共振成分(第2の成分)は圧電機械共振(第1の成分)の山1302の波形による速度低下をキャンセルせず、反対に速度低下を促進する方向に働いている。したがって、図11(B)に示したような圧電電気共振成分で速度低下をキャンセルするという効果を発揮することができない。
これは、圧電機械共振と圧電電気共振のそれぞれの振動数δ1、δ2の関係(減衰比が小さい場合はそれぞれの固有円振動数ωn1、ωn2の関係)に依拠する。図13に示す例では、ωn1/ωn2=3.3程度であり、これでは圧電機械共振振動と圧電電気共振振動がうまく重なり合わない。つまり、ωn1/ωn2=1.5〜3程度にしておかなければ、圧電機械共振の速度低下を圧電電気共振でキャンセルすることはできない。
(c2)圧電電気共振成分の振幅が大き過ぎるため、その影響で速度低下が発生することについて
図14(A)、(B)には、圧電電気共振成分の振幅が大き過ぎるため、その影響で速度低下が発生する場合の駆動部材102の位置及び速度の波形をそれぞれ示している。但し、各定数の値を、k=20000000[N/m]、cv=8[N・s/m]、m2=1×10-4[kg]、R0=5[Ω]、L0=30[μH]、A=1.3、B=8×10-8とする。また、矩形波駆動電圧V0の駆動周波数を43[kHz]、そのデューティー比を0.71とする。この場合の圧電機械共振(第1の成分)の共振周波数fn1は54.6[kHz]、圧電電気共振(第2の成分)の共振周波数fn2は133.9[kHz]となる。図14に示すように、圧電電気共振成分(第2の成分)の振幅が大きくなっている。この場合の圧電電気共振成分(第2の成分)の波形では、圧電機械共振(第1の成分)の2つの山を持つ波形の速度低下をキャンセルすることはできているものの、参照番号1401で示す、圧電電気共振成分(第2の成分)が持つ腹の低下が顕著となる。その結果として、駆動部材102の高速を維持することができず、駆動対象物106の速度は悪化する。
要するに、図11に示したような圧電電気共振成分で速度低下をキャンセルするという効果を発揮するためには、圧電機械共振と圧電電気共振の周波数と振幅を適切に調整する必要がある。
ここで、圧電素子101に印加する矩形波駆動電圧V0の駆動周波数の設定について説明する。
図15(A)、(B)には、図7に示した圧電アクチュエーター装置700(駆動部材102)のステップ応答と速度を圧電機械共振振動と圧電電気共振振動に成分分解した例をそれぞれ示している。但し、初速度、初加速度、初加加速度が0とする。また、各定数の値を、k=50000000[N/m]、cv=2[N・s/m]、m2=8×10-4[kg]、R0=5[Ω]、L0=28[μH]、A=3.5、B=3×10-7とする。また、この場合の圧電機械共振(第1の成分)の共振周波数fn1は31.1[kHz]、圧電電気共振(第2の成分)の共振周波数fn2は68.0[kHz]である。
前述の通り、第1の成分(圧電機械共振)が主振動で、第2の成分(圧電電気共振)が第1の成分を補助する振動として利用するため、第1の成分に着目する。
第2の成分が第1の成分を補助するという効果を発揮するためには、図11に示すように、山1101、1102の2つの山を持つ波形にすることで、時間tsを長くすることができる。このため、2つ山1101、1102のタイミングに同期して駆動電圧V0の切り替えを行なう必要がある。また、反対の駆動電圧V0の切り替えは、駆動部材102の理想に近い鋸波変位を実現するためには、速度分布ができるだけ線形的に切り替わるように、速度0付近での切り替えが最適と考えられる。
第1の成分の1回目のMAX値の時間tpmaxと1回目のMIN値の時間tpminはそれぞれ下式(42)に示す通りとなる。
このとき、第1の成分の減衰比ζ1が小さく、初速度、初加速度、初加加速度が0ならば、上式(25)より、下式(43)が言える。
一般には、実際のPWM応答は初速度、初加速度、初加加速度が0ではないため、その位相をφsとおけば、第1の成分の1回目のMAX値の時間tpmaxと1回目のMIN値の時間tpminはそれぞれ下式(44)で近似される。
同様に、速度についても、第1の成分の減衰比ζ1が小さければ、第1の成分の1回目のMAX値の時間tpmaxと1回目のMIN値の時間tpminは、それぞれ下式(45)で近似される。
図11に示したような圧電電気共振成分で速度低下をキャンセルするという効果を発揮するためには、前述の通り、第1の成分は2つの山を持つ波形にする必要がある。したがって、PWMで駆動電圧V0を長い時間加える方の電圧(長時間電圧)の切り替えタイミングは、(駆動部材102の)速度のMIN値を超えて、且つ、速度がマイナスの間とするべきである。要するにtvminからtpminの幅で長時間電圧を切り替えるべきである。このとき、電圧の切り替えタイミングでの速度はマイナスであるので、短時間電圧の位相φsはマイナスとなる。
PWMで駆動電圧V0を短い時間加える方の電圧(短時間電圧)は、図15で速度が下降している位置で切り替えることができれば、前述のように、速度分布ができるだけ線形的に切り替えられる。したがって、短時間電圧の切り替えタイミングはtvmax〜tvminで、できるだけ速度が0になるように設定すればよい。この切り替えタイミングで短時間電圧を与えれば、次の長時間電圧での位相φsはプラスにもマイナスにもなりうるが、速度0近辺のため短時間電圧の位相φsは小さいと考えられる。したがって、位相φsを考慮すれば、PWM印加電圧V0の長時間電圧と短時間電圧は、それぞれ下式(46)、(47)のように設定すればよいと言える。
したがって、PWM印加電圧V0の周期Td、駆動周波数fdはそれぞれ下式(48)、(49)に示す通りとなる。
上式(49)から、PWM印加電圧V0の駆動周波数fdは、圧電機械共振の共振周波数fn1の1/1.5〜1倍に設定すればよいことが分かる。
続いて、圧電電気共振周波数の設定について説明する。
図7に示した圧電アクチュエーター装置700を高速化できない悪い例(c1)、(c2)を挙げて、上記で説明した通り、圧電電気共振周波数は、主振動である圧電機械共振の速度低下をキャンセルさせることができ、且つ、その振幅は圧電機械共振よりも十分に小さくする必要がある。
図16(A)には、インダクター27のインダクタンスL0による圧電機械共振周波数と圧電電気共振周波数を示している。また、図16(B)には圧電機械共振周波数と圧電電気共振周波数の比を示している。
図16(A)に示すように、圧電機械共振周波数fn1は、インダクタンスを上げるとどこまでも周波数が低下していく。これに対し、圧電電気共振周波数fn2は、途中である値に漸近していくことが分かる。圧電機械共振周波数と圧電電気共振周波数の比でみると、図16(B)に示すように、ある点で最小を取り、その後は上昇していくことが分かる。図11に示したような圧電電気共振成分で速度低下をキャンセルするという効果を発揮するためには、圧電電気共振周波数fn2と圧電機械共振周波数fn1の関係は、前述の通り、両周波数の割合fn1/fn2は1.5〜3倍程度が望ましい。
続いて、圧電機械共振と圧電電気共振の振幅の関係について説明する。
圧電電気共振振動は、圧電機械共振振動に大きな影響を与えない必要がある。したがって、圧電機械共振の振幅ψ1は、圧電電気共振の振幅ψ2よりも十分に大きい必要がある。
圧電機械共振と圧電電気共振それぞれの振幅ψ1、ψ2は、圧電素子101への入力であるPWM電圧との共振に関係がある。図17には、PWM電圧のフーリエ変換の結果を示している。同図中の横軸は長時間電圧のデューティー比であり、0.6〜0.8で確認している。また、縦軸はフーリエ変換の測定周波数/駆動周波数=1で正規化している。図17に示すように、デューティーが3分の2のときは、測定周波数が駆動周波数の3倍のフーリエ変換の振幅が0になることが分かる。また、デューティーが4分の3のときは、測定周波数が4駆動周波数の倍のフーリエ変換の振幅が0になることが分かる。つまり、短時間電圧の周期を持つ周波数は振幅を持たないことが分かる。また、駆動周波数の整数倍以外の駆動周波数では振幅を持たない。
図18には、デューティー比と圧電機械共振の振幅ψ1と圧電電気共振の振幅ψ2の比、周波数の関係を示している。圧電電気共振周波数/駆動周波数=3では、図17に示したようにフーリエ変換で振幅を持つ周波数である。図18に示すように、圧電電気共振成分の振幅は圧電電気共振周波数/駆動周波数=3でψ2/ψ1のピークを持っており、その大きさは図17に示したフーリエ変換の振幅と相関がある。また、デューティー比が3分の2では、フーリエ変換の振幅が0のため、図18では圧電電気共振周波数/駆動周波数=3の位置で振幅の上昇がないことが分かる。
したがって、圧電電気共振振動の振幅を抑えるためには、PWM駆動電圧と圧電電気共振振動の共振は避けるべきである。
以上を要約すると、圧電機械共振周波数/駆動周波数=1〜1.5と、圧電電気共振周波数/圧電機械共振周波数=1.5〜3より、圧電電気共振周波数/駆動周波数=1.5〜4.5の範囲に設定するとよいと考えられる。また、この範囲の中で、PWM駆動電圧のフーリエ変換で振幅を持つ周波数に圧電電気共振周波数を近づけないことが、図11に示したような圧電電気共振成分で速度低下をキャンセルするという効果を発揮する上での範囲となる。
本明細書で開示する上記技術を図7に示した圧電アクチュエーター装置700に実際に適用する際は、インピーダンス波形の取得により、圧電機械共振周波数及び圧電電気共振周波数を観測し、上記の範囲に入るようにインダクター27のインダクタンスL0と、抵抗28の抵抗値R0を調整すればよい。
さらに、もし圧電素子101の物性などがすべて明らかな場合は、上式(25)、(36)、(38)より共振周波数やPWM応答の解析解を導出し、圧電機械共振成分の減衰比が0.1〜0.15程度で、駆動部材102のピーク速度が高くなるように最適化すれば、より厳密にインダクタンスL0と抵抗値R0の最適解を導くことが可能である。さらに摩擦力項を考慮すれば、被駆動部材の厳密な速度も含めたさらなる厳密解を得ることができる。
要するに、図7に示した圧電アクチュエーター装置700によれば、圧電素子101に対して直列に接続したインダクター27のインダクタンス値L0や抵抗28の抵抗値R0を変更するだけで、駆動部材102の変位を最適な鋸波に誘起することができる。そして、駆動部材102が最適な鋸波で変位することで、所定の摩擦力で結合する駆動対象物106を高速に移動させることができる。
図7に示した圧電アクチュエーター装置700は、図2に示したようなスイッチング回路21〜24からなる駆動回路104に対して、図6に示すようにインダクター27と抵抗28を圧電素子101に直列に挿入するだけで実現することができる。すなわち、図6に示す駆動回路104´の実装が容易であり、圧電アクチュエーター装置700の小型化、軽量化に貢献することができる。
また、図7に示した圧電アクチュエーター装置700によれば、圧電素子101の形状を変えずに駆動対象物106の高速化を実現することができるので、圧電アクチュエーター装置700の小型化、軽量化を実現することができる。
以上、特定の実施形態を参照しながら、本明細書で開示する技術について詳細に説明してきた。しかしながら、本明細書で開示する技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
本明細書で開示する技術に係る圧電アクチュエーター装置は、例えばカメラの撮影レンズ位置の調節、オーバー・ヘッド・プロジェクターの投影レンズ位置の調節、双眼鏡(若しくは望遠鏡、顕微鏡)のレンズ位置の調節、XY移動ステージの移動などに利用することができる。
要するに、例示という形態により本明細書で開示する技術について説明してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本明細書で開示する技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
なお、本明細書の開示の技術は、以下のような構成をとることも可能である。
(1)圧電素子とインダクターと電気抵抗を直列に接続した直列接続体と、
前記直列接続体に対して矩形波の駆動電圧を印加する駆動回路と、
前記圧電素子によって駆動され、所定の摩擦力で駆動対象物を結合する駆動部材と、
を具備する圧電アクチュエーター装置。
(2)前記圧電素子の圧電効果によって、前記駆動電圧に対する前記駆動部材の変位が4階の微分方程式で支配され、前記4階の微分方程式から導出される第1の共振現象及び第2の共振現象を利用して駆動する、
上記(1)に記載の圧電アクチュエーター装置。
(3)前記第1の共振現象は、前記圧電素子による駆動に対して、前記圧電アクチュエーター装置の機械的な共振を主としつつ前記圧電素子の圧電効果による前記直列接続体の電気的な影響を受ける圧電機械共振であり、前記第2の共振は、電気的な共振を主としつつ前記圧電素子の圧電効果による前記駆動部材の機械振動の影響を受ける圧電電気共振である、
上記(2)に記載の圧電アクチュエーター装置。
(4)前記第1の共振現象は、前記圧電素子の物性値から決定される等価のばね定数と前記駆動部材の質量に基づいて規定される2質点系の機械的な共振周波数を主としつつ前記圧電素子の圧電効果による電気的な影響を受けて下がる共振周波数を持ち、
前記第2の共振現象は、前記インダクターと前記電気抵抗と前記圧電素子の物性値から決定される静電容量に基づいて規定されるLCR回路の電気的な共振周波数を主としつつ前記圧電素子の圧電効果による機械的な影響を受けて上がる共振周波数を持つ、
上記(2)又は(3)のいずれかに記載の圧電アクチュエーター装置。
(5)前記第1の共振現象及び前記第2の共振現象の共振周波数と共振振動の減衰比が所望する値となるように、前記インダクターのインダクタンス値と電気抵抗の抵抗値を決定する、
上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の圧電アクチュエーター装置。
(6)所望する前記第1の共振現象並びに前記第2の共振現象が得られたときの、前記圧電素子と前記駆動部材と前記駆動対象物を含む駆動部のインピーダンス特性の実測値に基づいて、前記インダクターのインダクタンス値と電気抵抗の抵抗値を決定する、
上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の圧電アクチュエーター装置。
(7)前記圧電機械共振振動と前記圧電電気共振振動の重ね合わせにより、前記矩形波の駆動電圧の印加に対する前記駆動部材の所望な鋸波変位を誘起するように、前記圧電機械共振振動と前記圧電電気共振振動をそれぞれ所望の共振周波数にするための前記インダクターのインダクタンス値と前記電気抵抗の抵抗値を決定する、
上記(3)に記載の圧電アクチュエーター装置。
(8)前記圧電機械共振振動の共振周波数と前記圧電電気共振振動の共振周波数の比が1.5乃至3の範囲である、
上記(3)又は(7)のいずれかに記載の圧電アクチュエーター装置。
(9)前記圧電機械共振振動の共振周波数と前記矩形波駆動電圧の駆動周波数の比が1乃至1.5の範囲である、
上記(3)又は(7)のいずれかに記載の圧電アクチュエーター装置。
(10)前記圧電電気共振振動の共振周波数と前記矩形波駆動電圧の駆動周波数の比が1.5乃至4.5の範囲である、
上記(3)、7乃至9のいずれかに記載の圧電アクチュエーター装置。
(11)圧電素子とインダクターと電気抵抗を直列に接続した直列接続体に矩形波の駆動電圧を印加して、所定の摩擦力で駆動対象物を結合する駆動部材を前記圧電素子によって駆動する圧電アクチュエーター装置の制御方法であって、
前記圧電素子の圧電効果によって、前記駆動電圧に対する前記駆動部材の変位が4階の微分方程式で支配され、
前記4階の微分方程式から導出される2つの共振現象のうち一方の共振周波数に基づいて前記駆動電圧の矩形波の駆動周波数を制御する制御ステップを有する制御方法。
(12)前記制御ステップでは、前記矩形波の駆動周波数と前記4階の微分方程式から導出される2つの共振現象の他方の共振振動の共振を避ける、
上記(11)に記載の制御方法。
100、700…圧電アクチュエーター装置、101…圧電素子
102…駆動部材、103…係合部材、104、104´…駆動回路
105…支持部材、106…駆動対象物

Claims (12)

  1. 圧電素子とインダクターと電気抵抗を直列に接続した直列接続体と、
    前記直列接続体に対して矩形波の駆動電圧を印加する駆動回路と、
    前記圧電素子によって駆動され、所定の摩擦力で駆動対象物を結合する駆動部材と、
    を具備する圧電アクチュエーター装置。
  2. 前記圧電素子の圧電効果によって、前記駆動電圧に対する前記駆動部材の変位が4階の微分方程式で支配され、前記4階の微分方程式から導出される第1の共振現象及び第2の共振現象を利用して駆動する、
    請求項1に記載の圧電アクチュエーター装置。
  3. 前記第1の共振現象は、前記圧電素子による駆動に対して、前記圧電アクチュエーター装置の機械的な共振を主としつつ前記圧電素子の圧電効果による前記直列接続体の電気的な影響を受ける圧電機械共振であり、前記第2の共振は、電気的な共振を主としつつ前記圧電素子の圧電効果による前記駆動部材の機械振動の影響を受ける圧電電気共振である、
    請求項2に記載の圧電アクチュエーター装置。
  4. 前記第1の共振現象は、前記圧電素子の物性値から決定される等価のばね定数と前記駆動部材の質量に基づいて規定される2質点系の機械的な共振周波数を主としつつ前記圧電素子の圧電効果による電気的な影響を受けて下がる共振周波数を持ち、
    前記第2の共振現象は、前記インダクターと前記電気抵抗と前記圧電素子の物性値から決定される静電容量に基づいて規定されるLCR回路の電気的な共振周波数を主としつつ前記圧電素子の圧電効果による機械的な影響を受けて上がる共振周波数を持つ、
    請求項2又は3のいずれかに記載の圧電アクチュエーター装置。
  5. 前記第1の共振現象及び前記第2の共振現象の共振周波数と共振振動の減衰比が所望する値となるように、前記インダクターのインダクタンス値と電気抵抗の抵抗値を決定する、
    請求項1乃至4のいずれかに記載の圧電アクチュエーター装置。
  6. 所望する前記第1の共振現象並びに前記第2の共振現象が得られたときの、前記圧電素子と前記駆動部材と前記駆動対象物を含む駆動部のインピーダンス特性の実測値に基づいて、前記インダクターのインダクタンス値と電気抵抗の抵抗値を決定する、
    請求項1乃至5のいずれかに記載の圧電アクチュエーター装置。
  7. 前記圧電機械共振振動と前記圧電電気共振振動の重ね合わせにより、前記矩形波の駆動電圧の印加に対する前記駆動部材の所望な鋸波変位を誘起するように、前記圧電機械共振振動と前記圧電電気共振振動をそれぞれ所望の共振周波数にするための前記インダクターのインダクタンス値と前記電気抵抗の抵抗値を決定する、
    請求項3に記載の圧電アクチュエーター装置。
  8. 前記圧電機械共振振動の共振周波数と前記圧電電気共振振動の共振周波数の比が1.5乃至3の範囲である、
    請求項3又は7のいずれかに記載の圧電アクチュエーター装置。
  9. 前記圧電機械共振振動の共振周波数と前記矩形波駆動電圧の駆動周波数の比が1乃至1.5の範囲である、
    請求項3又は7のいずれかに記載の圧電アクチュエーター装置。
  10. 前記圧電電気共振振動の共振周波数と前記矩形波駆動電圧の駆動周波数の比が1.5乃至4.5の範囲である、
    請求項3、7乃至9のいずれかに記載の圧電アクチュエーター装置。
  11. 圧電素子とインダクターと電気抵抗を直列に接続した直列接続体に矩形波の駆動電圧を印加して、所定の摩擦力で駆動対象物を結合する駆動部材を前記圧電素子によって駆動する圧電アクチュエーター装置の制御方法であって、
    前記圧電素子の圧電効果によって、前記駆動電圧に対する前記駆動部材の変位が4階の微分方程式で支配され、
    前記4階の微分方程式から導出される2つの共振現象のうち主となる一方の共振周波数に基づいて前記駆動電圧の矩形波の駆動周波数を制御する制御ステップを有する制御方法。
  12. 前記制御ステップでは、前記矩形波の駆動周波数と前記4階の微分方程式から導出される2つの共振現象の他方の共振振動の共振を避ける、
    請求項11に記載の制御方法。
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