JP3722062B2 - 駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、XY移動ステージ、カメラの撮影レンズ、オーバヘッドプロジェクタの投影レンズ、双眼鏡のレンズ、走査型トンネル電子顕微鏡のプローブ等の駆動に適した駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、撮影レンズ等が取り付けられた係合部材を棒状の駆動部材に所定の摩擦力を有するようにして結合させ、その駆動部材の一方端に圧電素子からなる電気機械変換素子を固着して構成したインパクト型圧電アクチュエータからなる駆動装置が知られている。例えば、図18は、カメラの撮影レンズ位置を調節するための駆動装置の概略構成を示す図である。
【0003】
この図18における駆動装置100は、圧電素子からなる駆動用の電気機械変換素子101と、この電気機械変換素子101により駆動される棒状の駆動部材102と、この駆動部材102に所定の摩擦力で結合された係合部材103と、正逆両方向の駆動電圧を印加することにより電気機械変換素子101を駆動する駆動回路104とを備えている。
【0004】
電気機械変換素子101は、駆動回路104を介して印加される駆動電圧に応じて伸縮するものであり、その正極及び負極間方向である伸縮方向における一方端が位置固定された支持部材105に固着されると共に、その他方端が駆動部材102の軸方向における一方端に固着されたものである。係合部材103は、所定箇所に駆動対象物である撮影レンズLが固着され、駆動部材102上を軸方向に沿って移動可能とされている。
【0005】
駆動回路104は、電気機械変換素子101に矩形波からなる駆動電圧を供給するもので、そのデューティ比を変更することにより係合部材103が位置固定された支持部材105に対し駆動部材102に沿って繰出し方向(電気機械変換素子101から離反する方向)である矢印a1方向と戻り方向(電気機械変換素子101に近接する方向)である矢印a2方向とに移動させるようにしたものである。なお、電気機械変換素子101に印加される駆動電圧は、例えばDC-DCコンバータ等の駆動電源から供給されることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように構成された駆動装置100において、係合部材103の駆動部材102上における駆動速度を増大させるには、電気機械変換素子101に印加される駆動電圧の値を大きくして電気機械変換素子101の伸縮量を増大させるようにすればよい。しかしながら、駆動電圧の値を大きくするには、DC-DCコンバータ等の駆動電源が大型化し、駆動装置の小型化に制約を受けることになると共に、コストアップの要因にもなる。このため、小型化とコストダウンとを図るには、駆動電圧の値を小さくすればよいが、こうした場合は電気機械変換素子101の伸縮量が減少して係合部材103の駆動速度が低下し、さらには駆動電圧の値を小さくし過ぎた場合は駆動不能となる場合も生じ得る。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、駆動速度を低下させることなく小型化とコストダウンとを可能にした駆動装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、対向電極を有する電気機械変換素子と、この電気機械変換素子の一方の電極側に固着された支持部材と、前記電気機械変換素子の他方の電極側に固着された駆動部材と、この駆動部材に所定の摩擦力で係合された係合部材と、前記電気機械変換素子に直列接続されたインダクタンス素子と、この電気機械変換素子及びインダクタンス素子の直列回路に矩形波からなる駆動電圧を印加する駆動回路部と、この駆動回路部を駆動制御することにより前記駆動電圧のデューティ比を変化させて前記電気機械変換素子を伸長方向と縮小方向とで異なる速度で伸縮させることで前記支持部材と前記係合部材とを相対移動させる駆動回路部とを備え、前記インダクタンス素子のインダクタンス値と前記電気機械変換素子の対向電極間に形成される静電容量値とによって定まる電気的共振周波数feが、前記電気機械変換素子に印加される駆動電圧の周波数fdに対し、fe≧(3 / 4)fdの関係を有することを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、インダクタンス素子のインダクタンス値と電気機械変換素子の対向電極間に形成される静電容量値とによって定まる電気的共振周波数feが、電気機械変換素子に印加される駆動電圧の周波数fdに対してfe≧(3 / 4)fdの条件を満足するように設定されるので、電気機械変換素子に印加される駆動電圧は、インダクタンス素子により昇圧されることから電気機械変換素子及びインダクタンス素子の直列回路に印加される駆動電圧の値よりも大きなものとなる。このため、駆動回路部により電気機械変換素子及びインダクタンス素子の直列回路に供給される駆動電圧を必要以上に高くしなくても所定の駆動速度を確保することができるようになる結果、駆動装置の小型化とコストダウンとが可能となる。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1に係るものにおいて、前記駆動回路部が、直流電圧が出力される駆動電源と、この駆動電源と接地との間に接続されるスイッチ回路と、このスイッチ回路を駆動制御することにより前記駆動電源から出力される直流電圧を矩形波の駆動電圧にして前記直列回路に印加するようにする制御信号出力部とを備えたことを特徴としている。
【0011】
この構成によれば、駆動電源から出力される直流電圧がスイッチ回路により矩形波にされて電気機械変換素子とインダクタンス素子との直列回路に印加される。このため、回路構成が複雑化しないことから駆動装置の小型化とコストダウンとが可能となる。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項2に係るものにおいて、前記スイッチ回路が、一方端が前記駆動電源に接続され、他方端が前記直列回路の一方端に接続された第1のスイッチング素子と、一方端が前記直列回路の一方端に接続され、他方端が接地された第2のスイッチング素子と、一方端が前記駆動電源に接続され、他方端が前記直列回路の他方端に接続された第3のスイッチング素子と、一方端が前記直列回路の他方端に接続され、他方端が接地された第4のスイッチング素子とを備え、前記駆動制御手段が、前記制御信号出力部を駆動制御することにより前記第1のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子を導通状態にするときに前記第2のスイッチング素子及び前記第3のスイッチング素子を非導通状態にする一方、前記第2のスイッチング素子及び前記第3のスイッチング素子を導通状態にするときに前記第1のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子を非導通状態にするものであることを特徴としている。
【0013】
この構成によれば、第1,第4のスイッチング素子が導通状態とされ、第2,第3のスイッチング素子が非導通状態とされたとき、駆動電源から電気機械変換素子とインダクタンス素子との直列回路の一方端に正電圧が印加されると共に他方端に負電圧が印加され、第2,第3のスイッチング素子が導通状態とされ、第1,第4のスイッチング素子が非導通状態とされたとき、駆動電源から電気機械変換素子とインダクタンス素子との直列回路の他方端に正の電圧が印加されると共に一方端に負の電圧が印加される。このため、簡単な回路構成で駆動電源の略2倍の駆動電圧が電気機械変換素子とインダクタンス素子との直列回路に印加される結果、駆動装置のより一層の小型化とコストダウンとが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態に係るインパクト型圧電アクチュエータからなる駆動装置の基本構成を概略的に示すブロック図である。この図において、駆動装置10は、駆動部12と、駆動部12を駆動する駆動回路部14と、駆動部12に取り付けられている後述する係合部材30の位置を検出する部材センサ16と、駆動部12の基端に配設された基端センサ18と、駆動部12の先端に配設された先端センサ20と、全体の動作を制御する制御部22とを備えている。
【0015】
図2は、駆動部12の構成例を示す斜視図である。この図において、駆動部12は、素子固定式構造のものであり、支持部材24、電気機械変換素子26、駆動部材28及び係合部材30から構成されている。
【0016】
支持部材24は、電気機械変換素子26及び駆動部材28を保持するものであり、円柱体の軸方向両端部241,242及び略中央の仕切壁243を残して内部を刳り貫くことにより形成された第1の収容空間244及び第2の収容空間245を有している。また、この支持部材24の他方端部242の中心位置に丸孔246が穿設されると共に、仕切壁243の中心位置に丸孔247が穿設されている。
【0017】
電気機械変換素子26は、例えば所定の厚みを有する複数枚の圧電基板を各圧電基板間に図略の電極を介して積層することにより構成したものであり、外面に対向電極である正極(一方の電極)261及び負極(他方の電極)262が設けられたものである。この電気機械変換素子26は、その対向電極間方向である伸縮方向を支持部材24の軸方向と一致させた状態で第1の収容空間244に収納され、一方端面(例えば、正極261側)が第1の収容空間244の一方端部241側端面に固着されている。
【0018】
駆動部材28は、断面丸形状の棒状に形成されたもので、その両端部が支持部材24の他方端部242の丸孔246と仕切壁243の丸孔247とを貫通した状態で第2の収容空間245に軸方向に沿って移動可能に収容されている。また、この駆動部材28は、第1の収容空間244内に突出した端部が電気機械変換素子26の他方端面(例えば、負極262側)に固着されると共に、支持部材24の他方端部242の外部に突出した端部が板ばね32により所定のばね圧で押圧され、電気機械変換素子26側に付勢された状態とされている。このように板ばね32により駆動部材28を付勢するのは、電気機械変換素子26の伸縮動作に基づく駆動部材28の軸方向変位を安定化させるためである。
【0019】
係合部材30は、駆動部材28の軸方向両側に取付部301,301を有する基部302と、両取付部301,301の間に装着される挟み込み部材303とを備えており、基部302が第2の収容空間245内において駆動部材28に遊嵌されると共に、挟み込み部材303が板ばね304により押圧されることにより駆動部材28の周面に接触することで係合部材30が所定の摩擦力で駆動部材28に結合されている。これにより、この係合部材30は、その摩擦力よりも大きな駆動力が係合部材30に作用したときに駆動部材28の軸方向に沿って移動可能となる。なお、この係合部材30には、駆動対象物であるレンズL(図1)が取り付けられる。
【0020】
図3は、駆動回路部14の構成例を示す図である。この図において、駆動回路部14は、直流電圧を出力する駆動電源141と、この駆動電源141と接地との間に接続されたスイッチ回路(駆動回路)142と、このスイッチ回路142を駆動制御することにより駆動電源141から出力される直流電圧を矩形波の駆動電圧にして後述する電気機械変換素子26及びインダクタンス素子34の直列回路38に印加するようにする制御信号出力部(ドライバ)143とから構成されている。
【0021】
この駆動電源141は、一端が接地されたDC-DCコンバータ等により構成されている。また、スイッチ回路142は、駆動電源141から駆動電圧+Vpが供給される接続点aと接地された接続点bとの間に、MOSFETである第1のスイッチング素子Q1を有する第1のスイッチ回路144及びMOSFETである第2のスイッチング素子Q2を有する第2のスイッチ回路145の直列回路が接続されると共に、MOSFETである第3のスイッチング素子Q3を有する第3のスイッチ回路146及びMOSFETである第4のスイッチング素子Q4を有する第4のスイッチ回路147の直列回路が接続されて構成されている。
【0022】
また、制御信号出力部143は、制御部22(図1)から出力される制御信号に応じて第1乃至第4のスイッチ回路144乃至147に供給する駆動パルスである駆動制御信号Sc1,Sc2,Sc3,Sc4を出力するように構成されたものである。本実施形態では、第1乃至第4のスイッチ回路144乃至147を構成する第1乃至第4のスイッチ素子Q1乃至Q4は、それぞれNチャネルFETから構成されており、それぞれのゲートに供給される駆動制御信号Sc1,Sc2,Sc3,Sc4がハイレベルのときにONとなる。
【0023】
このように構成された駆動回路部14における第1のスイッチ回路144及び第2のスイッチ回路145の接続点cと、第3のスイッチ回路146及び第4のスイッチ回路147の接続点dとの間に、圧電素子等からなる電気機械変換素子26及びコイル等からなるインダクタンス素子34が互いに直列接続されてなる直列回路38が接続されてブリッジ回路が構成されている。
【0024】
このように構成された駆動回路部14において、第1のスイッチ回路144及び第4のスイッチ回路147は、電気機械変換素子26及びインダクタンス素子34の直列回路38に対し、その一方側から駆動電圧+Vpを印加して電気機械変換素子26の対向電極261,262間を充電する第1の駆動回路を構成し、第2のスイッチ回路145及び第3のスイッチ回路146は、電気機械変換素子26及びインダクタンス素子34の直列回路38に対し、その他方側から駆動電圧+Vpを印加して電気機械変換素子26の対向電極261,262間を充電する第2の駆動回路を構成することになる。
【0025】
このように、スイッチ回路142と電気機械変換素子26及びインダクタンス素子34の直列回路38とでブリッジ回路を構成した場合、電気機械変換素子26及びインダクタンス素子34の直列回路38には駆動電源141から−Vp〜+Vpの電圧(すなわち、2Vpの電圧)が印加されることになるので、駆動電源141から出力される駆動電圧+Vpは低電圧であっても変位量の大きい駆動装置10を得ることができるという利点がある。
【0026】
図1に戻り、部材センサ16は、係合部材30の移動可能範囲内に配設されており、MRE(Magneto Resistive Effect)素子やPSD(Position Sensitive Device)素子等のセンサにより構成されている。また、基端センサ18及び先端センサ20は、フォトインタラプタ等のセンサにより構成されている。これにより、係合部材30の位置が部材センサ16により検出されることで係合部材30の所定位置への移動制御が可能となる一方、係合部材30の位置が基端センサ18及び先端センサ20で検出されることで係合部材30のそれ以上の移動が禁止される。
【0027】
制御部22は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、処理プログラムや各種データ等が記憶されたROM(Read-Only Memory)、及び、データを一時的に保存するRAM(Random Access Memory)から構成されており、部材センサ16等から入力される信号に基づいて制御信号出力部143に対し所定の制御信号を供給して当該制御信号出力部143から所定のデューティ比の駆動パルスを出力させ、この駆動パルスにより第1の駆動回路と第2の駆動回路とを交互に駆動する。すなわち、制御部22は、制御信号出力部143を駆動制御することにより第1のスイッチ回路144及び第4のスイッチ回路147からなる第1の駆動回路と、第2のスイッチ回路145及び第3のスイッチ回路146からなる第2の駆動回路とを駆動制御する駆動制御手段を構成する。
【0028】
次に、本発明の駆動装置10に適用される駆動回路部14の駆動動作の説明を行うに先立ち、図4乃至図13を参照して電気機械変換素子26に直列接続するインダクタンス素子34を用いない場合の駆動回路部14の原理的な動作説明を行う。すなわち、図4は、駆動回路部14により電気機械変換素子26に印加される駆動電圧であって、電気機械変換素子26の伸縮時の変位波形を鋸歯形状にすることにより支持部材24と係合部材30とを相対移動させることのできるパルス波形の一例を示すものである。ここで、同図(a)は、係合部材30を繰出し方向(電気機械変換素子26から離反する方向)である矢印a1方向(図1)に移動させるための電気機械変換素子26に印加する駆動電圧のパルス波形であり、その駆動電圧の駆動周波数fdが支持部材24及び駆動部材28が固着された状態での電気機械変換素子26の共振周波数fr(例えば、60KHz)の0.7倍(fd=0.7×fr)となるように設定され、デューティ比D(D=B/A)が0.3になるように設定されたものである。
【0029】
また、同図(b)は、係合部材30が戻り方向(電気機械変換素子26に接近する方向)である矢印a2(図1)方向に移動させるための電気機械変換素子26に印加する駆動電圧のパルス波形であり、その駆動電圧の駆動周波数fdが支持部材24及び駆動部材28が固着された状態での電気機械変換素子26の共振周波数frの0.7倍(fd=0.7×fr)となるように設定され、デューティ比D(D=B/A)が0.7になるように設定されたものである。
【0030】
駆動電圧の駆動周波数fd及びデューティ比Dを上記のように設定しているのは、支持部材24及び駆動部材28が固着されている状態での電気機械変換素子26の共振周波数frに対する駆動電圧の周波数fdの比(fd/fr)と係合部材30の移動速度とが図5の特性図に示すような関係を有していること、及び、矩形波からなる駆動電圧のデューティ比Dと係合部材30の移動方向(繰出し方向及び戻り方向)とが図6の特性図に示すような関係を有していることに基づくものである。
【0031】
この図5に示す特性図は、支持部材24及び駆動部材28が固着されている状態での電気機械変換素子26の共振周波数frを異ならせたり、形態(構造)を異ならせたりした4種類(第1乃至第4)の駆動装置10を構成し、これら各駆動装置10について電気機械変換素子26の共振周波数frに対する駆動電圧の周波数fdの比(fd/fr)と係合部材30の移動速度との対応関係を計測したものである。
【0032】
なお、この特性図は、矩形波からなる駆動電圧のデューティ比Dが0.3の場合(係合部材30が繰出し方向に移動する場合)のものであるが、そのデューティ比Dが0.7の場合(係合部材30が戻り方向に移動する場合)は勿論のこと、そのデューティ比Dが0.05〜0.95の範囲内にある場合に略同様の関係を有することが確認されている。
【0033】
この図5に示す特性図からも明らかなように、fd/frの値が0.3乃至1.5の範囲内にある場合には、一部領域で移動速度の落ち込みがあるとはいうものの係合部材30が実質的に移動可能となる一方、fd/frの値が0.3に満たない場合及び1.5を超える場合には係合部材30が移動不能となる。従って、電気機械変換素子26の共振周波数frに対する駆動電圧の周波数fdは、図4に示すものだけではなく必要に応じて0.3×fr<fd<1.5×frの範囲内で適宜設定することができる。なお、fd/frの値が0.6乃至1.2の範囲内にある場合には、第1乃至第4のすべての駆動装置10について十分動作可能となる。
【0034】
また、図6に示す特性図は、矩形波からなる駆動電圧のデューティ比Dと係合部材30の移動方向(繰出し方向及び戻り方向)との対応関係を計測したものである。この図から明らかなように、デューティ比Dが0.05乃至0.45の範囲内(0.05<D<0.45)にあるときには、係合部材30は繰出し方向に移動し、デューティ比Dが0.55乃至0.95の範囲内(0.55<D<0.95)にあるときには、係合部材30は戻り方向に移動する。従って、デューティ比Dは、図4に示すものだけではなく必要に応じて0.05<D<0.45又は0.55<D<0.95の範囲内で適宜設定することができる。
【0035】
なお、支持部材24及び駆動部材28が固着された状態での電気機械変換素子26の共振周波数frは、次の数式により求めたものである。
【0036】
【数1】
Figure 0003722062
【0037】
この数1におけるfr-oは電気機械変換素子26の両電極261,262間におけるフリー共振周波数(電気機械変換素子26自体の電極間方向における共振周波数)、mpは電気機械変換素子26の質量、mfは駆動部材28の質量をそれぞれ表わしている。なお、支持部材24の質量は、共振系における電気機械変換素子26の共振周波数frに関係するが、支持部材24の質量は電気機械変換素子26及び駆動部材28の各質量mp,mfを加算したものに比べて十分大きな値を有しており、共振周波数frに与える影響は小さいので演算パラメータとして考慮する必要はない。また、係合部材30は、電気機械変換素子26の共振時には駆動部材28に対して滑りを生じて実質的に共振系の要素として考慮する必要はないので、上記数1の演算パラメータとしては含まれていない。
【0038】
図7は、電気機械変換素子26に印加される駆動回路部14からの駆動電圧のパルス波形と、電気機械変換素子26の伸縮による変位との対応関係を示す図で、同図(a)は図4(a)に示す駆動電圧が印加された場合であり、同図(b)は図4(b)に示す駆動電圧が印加された場合をそれぞれ示している。なお、電気機械変換素子26の伸縮による変位波形は、レーザードップラー振動計により測定したものを概略的に示したものである。
【0039】
このように、電気機械変換素子26に図4(a)に示す駆動電圧が印加された場合は電気機械変換素子26の変位波形が緩慢な立ち上がり部Cと急峻な立ち下がり部Dとを有する鋸歯形状となり、電気機械変換素子26に図4(b)に示す駆動電圧が印加された場合は電気機械変換素子26の変位波形が急峻な立ち上がり部Eと緩慢な立ち下がり部Fとを有する鋸歯形状となっていることが確認された。
【0040】
すなわち、電気機械変換素子26の変位が図7(a)に示すような緩慢な立ち上がり部Cを有する波形を呈するとき(すなわち、電気機械変換素子26が緩やかに伸長するとき)は、係合部材30が駆動部材28と共に繰出し方向に移動し、電気機械変換素子26の変位が図7(a)に示すような急峻な立下り部Dを有する波形を呈するとき(すなわち、電気機械変換素子26が急激に縮小するとき)は、駆動部材28が戻り方向に移動しても係合部材30は駆動部材28上をスリップして略同位置に留まることになる。このため、図7(a)に示す駆動電圧が電気機械変換素子26に繰り返し印加されることで、係合部材30は繰出し方向に間欠的に移動することになる。
【0041】
また、電気機械変換素子26の変位が図7(b)に示すような急峻な立ち上がり部Eを有する波形を呈するとき(すなわち、電気機械変換素子26が急激に伸長するとき)は、駆動部材28が繰出し方向に移動しても係合部材30は駆動部材28上をスリップして略同位置に留まることになり、電気機械変換素子26の変位が図7(b)に示すような緩慢な立下り部Fを有する波形を呈するとき(すなわち、電気機械変換素子26が緩やかに縮小するとき)は、係合部材30が駆動部材28と共に戻り方向に移動することになる。このため、図7(b)に示す駆動電圧が電気機械変換素子26に繰り返し印加されることで、係合部材30は戻り方向に間欠的に移動することになる。
【0042】
このように、例えば図4(a),(b)に示す駆動電圧が電気機械変換素子26に印加された場合、電気機械変換素子26の変位波形が鋸歯形状となるのは次のような理由による。つまり、矩形波は基本波である正弦波と複数次の高調波とからなるものであるが、駆動電圧の駆動周波数fdが電気機械変換素子26の共振周波数frに対して0.3倍よりも大きく1.5倍よりも小さいとき(0.3×fr<fd<1.5×fr)、系における電気機械変換素子26の共振周波数frの影響を受けて矩形波を形成している高調波成分のうち3次以上の高次の高調波のゲインが大きく減衰し、電気機械変換素子26に印加される駆動電圧が実質的に基本波と2次高調波とからなる波形(鋸歯形状の波形)を有するものとなるからである。
【0043】
すなわち、図8に示すような矩形波の駆動電圧(例えば、駆動周波数fdが電気機械変換素子26の共振周波数frに対して0.3倍よりも大きく1.5倍よりも小さいもの)の1パルス分の成分は、フーリエ変換することにより図9に示すような基本波f1に対してf2,f3,…,fnの複数次の高調波を有するものとして表わすことができる。一方、支持部材24及び駆動部材28が固着された状態での電気機械変換素子26の共振特性は、図10に示すように、図9の3次高調波f3以上の周波数領域ではゲインが大きく減衰したものとなる。
【0044】
このため、電気機械変換素子26に図8に示す矩形波の駆動電圧を印加すると、電気機械変換素子26の変位波形(振動波形)は3次以上の高調波f3,…,fn成分が大きく減衰されたものとなり、図11に示すように実質的に基本波f1及び第2高調波f2成分のみを有するものとなる。この図11に示す成分を有する電気機械変換素子26の変位波形はフーリエ逆変換することにより求めることができ、図12に示すような鋸歯形状を呈するものとなる。
【0045】
また、駆動電圧のデューティ比のある値を境にして係合部材30の移動方向が繰出し方向と戻り方向間で反転するのは、そのデューティ比に対応して基本波に対する2次高調波の位相がずれ、基本波と2次高調波とからなる鋸歯波形における立ち上がり部と立ち下がり部の各傾斜が変化することになるからである。すなわち、デューティ比Dが0.05<D<0.45の範囲内にあるときには、2次高調波の位相のずれが大きくなって緩慢な立ち上がり部と急峻な立ち下がり部を有する鋸歯波形となることから係合部材30は繰出し方向に移動し、デューティ比Dが0.55<D<0.95の範囲内にあるときには、2次高調波の位相のずれが小さくなって急峻な立ち上がり部と緩慢な立ち下がり部を有する鋸歯波形となることから係合部材30は繰出し方向に移動する。
【0046】
因みに、図13(a)に示すように、駆動電圧の駆動周波数fdが電気機械変換素子26の共振周波数frの0.1倍(fd=0.1×fr)となるように設定し、駆動電圧のデューティ比が0.3になるように設定した場合、電気機械変換素子26の変位は矩形波における立ち上がり部の後の平坦部と立ち下がり部の後の平坦部にリンギングが生じるのみで鋸歯波形とはならず、係合部材30は停止したままであった。また、図13(b)に示すように、駆動電圧の駆動周波数fdが電気機械変換素子26の共振周波数frの0.1倍(fd=0.1×fr)となるように設定し、駆動電圧のデューティ比が0.7になるように設定した場合、電気機械変換素子26の変位は図13(a)の場合と同様に矩形波における立ち上がり部の後の平坦部と立ち下がり部の後の平坦部にリンギングが生じるのみで鋸歯波形とはならず、係合部材30は停止したままであった。
【0047】
次に、図14を参照して電気機械変換素子26にインダクタンス素子34を直列接続した本発明の駆動装置10の動作説明を行う。すなわち、この図14は、図3に示す駆動回路部14の制御信号出力部143から出力されて各スイッチ素子Q1〜Q4に印加される駆動パルス(駆動制御信号)と、電気機械変換素子26に印加される駆動電圧の波形とを示す図である。この図14に示す電気機械変換素子26に印加される駆動電圧は、直列接続されたインダクタンス素子34により矩形波が変形されたものであり(すなわち、インダクタンス素子34が存在しない場合は矩形波となる。)、その駆動周波数fdが支持部材24及び駆動部材28の固着された状態での電気機械変換素子26の共振周波数frに対し、0.7倍に設定されると共に、繰出し方向における波形についてはデューティ比Dが0.3に設定され、戻り方向の波形についてはデューティ比Dが0.7に設定されたものである。この駆動電圧が電気機械変換素子26に印加されることで係合部材30は繰出し方向と戻り方向とに移動することになる。
【0048】
なお、本実施形態では、電気機械変換素子26として対向電極間の静電容量Cが約100nFのものを用いると共に、インダクタンス素子34としてインダクタンス値Lが約8μHのものを用いたものである。
【0049】
この図14に示すように、駆動装置10の駆動時には、制御信号出力部143からハイレベルの駆動制御信号Sc1,Sc4がスイッチ素子Q1,Q4に入力されるときには、ローレベルの駆動制御信号Sc2,Sc3がスイッチ素子Q2,Q3に入力され、ローレベルの駆動制御信号Sc1,Sc4がスイッチ素子Q1,Q4に入力されるときには、ハイレベルの駆動制御信号Sc2,Sc3がスイッチ素子Q2,Q3に入力される。
【0050】
制御信号出力部143から上記のような駆動制御信号Sc1,Sc4及びSc2,Sc3が繰り返し出力されることにより、スイッチ素子Q1,Q4及びスイッチ素子Q2,Q3が所定の周期で交互にON,OFFを繰り返すことになる。すなわち、スイッチ素子Q1,Q4がONのときには電気機械変換素子26は+Vpよりも大きな電圧が印加され、スイッチ素子Q2,Q3がONのときには電気機械変換素子26は−Vpよりも小さな電圧が印加されることになる結果、電気機械変換素子26には見掛け上、電源電圧Vpの2倍(2Vp)以上の電圧が印加されたことになり、係合部材30の移動速度を速くすることができて駆動装置10を効果的に動作させることができる。なお、駆動電圧のデューティ比Dが0.3に設定された駆動パルスでは係合部材30は繰出し方向に移動し、駆動電圧のデューティ比Dが0.7に設定された駆動パルスでは係合部材30は戻り方向に移動する。
【0051】
このように、電気機械変換素子26に電源電圧Vpの2倍(2Vp)以上の電圧が印加されるのは、電源電圧がインダクタンス素子34の電磁誘導作用により昇圧されるためである。但し、電源電圧が昇圧される割合はインダクタンス素子34のインダクタンス値が大きくなるのに応じて大きくなるが、本発明では電気機械変換素子26の変位波形が鋸歯形状あるいは鋸歯形状に近似した形状になる必要があるため、単に駆動電圧が大きくなっただけでは電気機械変換素子26が正常に駆動しない場合も生じる。電気機械変換素子26の変位波形が鋸歯形状あるいは鋸歯形状に近似した形状になるようにするには、電気機械変換素子26に印加される駆動電圧の波形が重要な要素となることから、係合部材30の移動速度を速くするための最適のインダクタンス値が存在することになる。
【0052】
図15は、このインダクタンス素子34のインダクタンス値と、電気機械変換素子26に印加される駆動電圧の波形との関係を示す図である。ここでは、駆動電圧のデューティ比Dが0.3に設定された場合(すなわち、繰出し方向の場合)のみを示しており、(a)はインダクタンス値が0μHの場合(すなわち、インダクタンス素子34が存在しない場合)、(b)はインダクタンス値が2μHの場合、(c)はインダクタンス値が8μHの場合、(d)はインダクタンス値が32μHの場合、(e)はインダクタンス値が120μHの場合である。
【0053】
この図から明らかなように、電気機械変換素子26に印加される駆動電圧の値はインダクタンス素子34のインダクタンス値が大きくなるのに応じて大きくなるが、係合部材30の移動速度が最も速くなるのは図15(c)のインダクタンス値が8μHの場合であることが確認された。
【0054】
この事実に基づき種々確認した結果、電気機械変換素子26の静電容量Cとインダクタンス素子34のインダクタンス値Lとにより決定される電気的共振周波数fe(fe=1/(2π√(LC)))が電気機械変換素子26に印加される駆動電圧の周波数fdの略3/4以上(fe≧(3/4)fd)のときにアクチュエータとして確実に動作し、この電気的共振周波数feが電気機械変換素子26に印加される駆動電圧の周波数fdの略3倍(fe=3fd)のときに係合部材30の移動速度が最大となることが明らかとなった。
【0055】
図16は、駆動回路部14の別の構成例を示す図である。この図において、図3に示す駆動回路部14の構成要素と同一の構成要素については同一の参照符号を付与することで詳細な説明を省略する。すなわち、図16に示す駆動回路部14’は、駆動電源141に対して第1のスイッチ回路148と第2のスイッチ回路149とが直列に接続され、電気機械変換素子26及びインダクタンス素子34の直列回路38が第2のスイッチ回路149に対して並列に接続されて構成されたものである。
【0056】
すなわち、第1のスイッチ回路148は、PチャネルのMOSFETである第1のスイッチング素子Q11と、この第1のスイッチング素子Q11をON/OFF制御するバイポーラトランジスタである第2のスイッチング素子Q12とを含んで構成される一方、第2のスイッチ回路149がNチャネルのMOSFETである第3のスイッチング素子Q13を含んで構成されたもので、制御部22(図1)から出力される制御信号に基づいて制御信号出力部150から出力される駆動制御信号Sc12が第1のスイッチ回路148の第2のスイッチング素子Q12に供給されると共に、駆動制御信号Sc13が第2のスイッチ回路149の第3のスイッチング素子Q13に供給されることで第1,第2のスイッチ回路148,149を駆動制御するようにしたものである。
【0057】
この駆動回路部14’では、駆動制御信号Sc12が短時間だけ出力されて第1のスイッチ回路148が短時間だけ閉じられると(すなわち、第1のスイッチング素子Q11がONされると)、その間に第1のスイッチ回路148を介して電気機械変換素子26の対向電極261,262間が急速に充電される一方、駆動制御信号Sc12の出力が停止されることで第1のスイッチ回路148が開かれて(すなわち、第1のスイッチング素子Q11がOFFされて)一定時間が経過した後に駆動制御信号Sc13が短時間だけ出力されて第2のスイッチ回路149が短時間だけ閉じられると(すなわち、第3のスイッチング素子Q13がONされると)、電気機械変換素子26の対向電極261,262間に充電されていた電荷が急激に放電される。
【0058】
すなわち、電気機械変換素子26は、第1のスイッチ回路148がONされてから第2のスイッチ回路149がONされるまでの間に駆動電圧が印加されたのと実質的に同様の状態となる。このため、第1のスイッチ回路148が一定の周期でON/OFFされ、第2のスイッチ回路149が第1のスイッチ回路148に対して一定の遅れ時間でON/OFFされることで、電気機械変換素子26の対向電極261,262間にはインダクタンス素子34により昇圧された駆動電源141の駆動電圧+Vpよりも大きな値を有する矩形波に近似した波形の駆動電圧が所定の周期で繰り返し印加された状態となる。
【0059】
この場合、電気機械変換素子26に印加される駆動電圧のデューティ比Dが0.05よりも大きく0.45よりも小さな範囲内(0.05<D<0.45)にあるときには駆動パルスは係合部材30が電気機械変換素子26から離反する方向に移動する繰出し波形となり、駆動電圧のデューティ比Dが0.55よりも大きく0.95よりも小さな範囲内(0.55<D<0.95)にあるときには駆動パルスは係合部材30が電気機械変換素子26に接近する方向に移動する戻り波形となる。このように駆動回路部14’を構成した場合でも、図3に示す駆動回路部14の場合と同様に電気機械変換素子26を駆動することができる。
【0060】
なお、駆動部12は、図2に示すような素子固定式構造のものではなく、例えば、図17に示すような自走式構造のものであっても上記の駆動回路部14,14’により駆動することができる。図17(a)は自走式構造の駆動部12の分解斜視図であり、図17(b)はその正面図である。
【0061】
すなわち、この図17に示す駆動部12’は、位置固定される係合部材(ベース部材)40と移動部材42とから構成されている。係合部材40は、基板44と、基板44の略中央位置に所定の間隔をおいて対向配置され、板ばね等の弾性部材46,48により取り付けられた一対の狭持部材50,52と、基板44の左右両端部に取り付けられた一対のガイド部材54,56とを備えている。各ガイド部材54,56の外側面には、回転自在の複数のボール部材58,60が取り付けられている。
【0062】
移動部材42は、駆動体63と、この駆動体63に一体に取り付けられた移動体65とから構成されている。駆動体63は、支持部材67、電気機械変換素子69及び駆動部材71から構成されている。支持部材67は、電気機械変換素子69及び駆動部材71を保持するものであり、直方体の軸方向両端部671,672及び略中央の仕切壁673を残して刳り貫くことにより形成された第1の収容空間674及び第2の収容空間675を有している。この第1の収容空間674には、電気機械変換素子69がその伸縮方向を支持部材67の軸方向と一致させて収容されている。また、第2の収容空間675には、駆動部材71が軸方向に移動可能に収容されている。
【0063】
電気機械変換素子69は、図2に示すものと同様に構成されたものであり、その伸縮方向(積層方向)である一方端面(例えば、正極側)が第1の収容空間674の一方端部671側端面に固着されている。駆動部材71は、支持部材67の左右両側に膨出する膨出部711が中央部に一体形成され、この膨出部711が第2の収容空間675に位置すると共に、仕切壁673に形成された貫通孔を介して第1の収容空間674内に突出した端部は電気機械変換素子69の他方端面(例えば、負極側)に固着され、支持部材67の他方端部672に形成された貫通孔を介して第2の収容空間675の外部に突出した端部は自由端とされている。
【0064】
移動体65は、平板部651と、平板部651の左右両側に下方に伸びる側壁部652,653が形成されると共に、各側壁部652,653の内側に摺動部材654,655が形成されたもので、移動部材42における支持部材67の上面にねじ部材656により固定されている。
【0065】
このように構成された移動部材42は、駆動部材71の膨出部711が係合部材40の一対の挟持部材50,52間に移動可能に挟持されることで係合部材40に組み付けられることになる。すなわち、係合部材40が図2の係合部材30に対応するものであり、この係合部材40が駆動部材71に対して所定の摩擦力で結合され、駆動部12’が構成されることになる。
【0066】
この駆動部12’では、駆動回路部14,14’から例えば図4(a)に示す波形を有する駆動電圧が電気機械変換素子69及びインダクタンス素子34の直列回路34(図3)に印加されて電気機械変換素子69が緩やかに伸長すると、駆動部材71が静止した状態で支持部材67が係合部材40の一方側に移動し、その後に電気機械変換素子69が急激に縮小すると、支持部材67が静止した状態で駆動部材71が狭持部材50,52による摩擦力に打ち勝って係合部材40の一方側に移動する。この繰り返し動作により支持部材67が移動体65と共に、係合部材40の一方側に間欠的に移動することになる。
【0067】
また、駆動回路部14,14’から例えば図4(b)に示す波形を有する駆動電圧が電気機械変換素子69及びインダクタンス素子34の直列回路34(図3)に印加されて電気機械変換素子69が急激に伸長すると、支持部材67が静止した状態で駆動部材71が狭持部材50,52による摩擦力に打ち勝って係合部材40の他方側に移動し、その後に電気機械変換素子69が緩やかに縮小すると駆動部材71が静止した状態で支持部材67が係合部材40の他方側に移動する。この繰り返し動作により支持部材67が移動体65と共に、係合部材40の他方側に間欠的に移動することになる。
【0068】
本発明の実施形態に係る駆動装置は、上記のように、電気機械変換素子及びインダクタンス素子の直列回路に矩形波からなる駆動電圧を印加するようにしているので、電気機械変換素子に印加される駆動電圧はインダクタンス素子により昇圧されることから電気機械変換素子及びインダクタンス素子の直列回路に印加される駆動電圧の値よりも大きなものとなる。このため、電気機械変換素子及びインダクタンス素子の直列回路に供給される駆動電圧を必要以上に高くしなくても所定の駆動速度を確保することができるようになる結果、駆動装置の小型化とコストダウンとを図ることができるようになる。
【0069】
なお、本発明は、上記実施形態のものに限定されるものではなく、種々の変形態様を必要に応じて採用することが可能である。例えば、図3に示す駆動回路部14の場合では、第2,第4のスイッチング素子Q2,Q4と接地との間に所定の抵抗値を有する抵抗素子を接続する回路構成とすることができる。また、スイッチング素子としてMOSFETを用いるようにしているが、バイポーラトランジスタを用いたりすることも可能である。
【0070】
また、インダクタンス素子34は、電気機械変換素子26,69とは独立して形成したものに限らず、例えば電気機械変換素子26,69の対向電極の何れか一方の電極面あるいは両方の電極面に線状導体を印刷して形成することにより電気機械変換素子26,69と一体に構成したものであってもよい。さらに、インダクタンス素子34は、上記実施形態のような8μHのものに限るものではなく、電気機械変換素子26,69の電気特性等に対応して最適の値のものを選択するようにすればよい。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、対向電極を有する電気機械変換素子と、電気機械変換素子の一方の電極側に固着された支持部材と、電気機械変換素子の他方の電極側に固着された駆動部材と、駆動部材に所定の摩擦力で係合された係合部材と、電気機械変換素子に直列接続されたインダクタンス素子と、電気機械変換素子及びインダクタンス素子の直列回路に矩形波からなる駆動電圧を印加する駆動回路部と、駆動回路部を駆動制御することにより駆動電圧のデューティ比を変化させて電気機械変換素子を伸長方向と縮小方向とで異なる速度で伸縮させることで支持部材と係合部材とを相対移動させる駆動制御手段とを備え、インダクタンス素子のインダクタンス値と電気機械変換素子の対向電極間に形成される静電容量値とによって定まる電気的共振周波数feが、電気機械変換素子に印加される駆動電圧の周波数fdに対し、fe≧(3 / 4)fdの関係を有するようにしているので、駆動速度を低下させることなく小型化とコストダウンとを図ることができる駆動装置が実現可能となる。
【0072】
また、請求項2の発明によれば、駆動回路部は、直流電圧が出力される駆動電源と、駆動電源と接地との間に接続されるスイッチ回路と、スイッチ回路を駆動制御することにより駆動電源から出力される直流電圧を矩形波の駆動電圧にして直列回路に印加するようにする制御信号出力部とを備えているので、簡単な回路構成で矩形波の駆動電圧を電気機械変換素子とインダクタンス素子との直列回路に供給することができる駆動装置が実現可能となる。
【0073】
また、請求項3の発明によれば、スイッチ回路は、一方端が駆動電源に接続され、他方端が直列回路の一方端に接続された第1のスイッチング素子と、一方端が直列回路の一方端に接続され、他方端が接地された第2のスイッチング素子と、一方端が駆動電源に接続され、他方端が直列回路の他方端に接続された第3のスイッチング素子と、一方端が直列回路の他方端に接続され、他方端が接地された第4のスイッチング素子とを備え、駆動制御手段は、制御信号出力部を駆動制御することにより第1のスイッチング素子及び第4のスイッチング素子を導通状態にするときに第2のスイッチング素子及び第3のスイッチング素子を非導通状態にする一方、第2のスイッチング素子及び第3のスイッチング素子を導通状態にするときに第1のスイッチング素子及び第4のスイッチング素子を非導通状態にするものであるので、簡単な回路構成で駆動電源の略2倍の駆動電圧が電気機械変換素子とインダクタンス素子との直列回路に印加されるようになる結果、一層の小型化とコストダウンとを図ることができる駆動装置が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る駆動装置の全体構成を概略的に示す図である。
【図2】 図1に示す駆動装置の駆動部の構成例を示す斜視図である。
【図3】 図1に示す駆動装置の駆動回路部の構成例を示すブロック図である。
【図4】 図3に示す駆動回路部により形成される駆動パルスの波形を示す図で、(a)はデューティ比が0.3になるように設定されたもの、(b)はデューティ比が0.7になるように設定されたものである。
【図5】 図1に示す駆動装置におけるfd/frと係合部材の移動速度との関係を示す図である。
【図6】 図1に示す駆動装置における駆動電圧のデューティ比と係合部材の移動速度との関係を示す図である。
【図7】 図1に示す駆動装置の電気機械変換素子に印加される駆動電圧と、電気機械変換素子の伸縮による変位波形との関係を示す図で、(a)は駆動電圧のデューティ比が0.3になるように設定された場合のもの、(b)は駆動電圧のデューティ比が0.7になるように設定された場合のものである。
【図8】 電気機械変換素子に印加する矩形波からなる駆動電圧を示す図である。
【図9】 図8に示す駆動電圧をフーリエ変換することにより求めた基本波及び高調波成分を示す図である。
【図10】 支持部材及び駆動部材が固着された状態での電気機械変換素子の共振特性を示す図である。
【図11】 図10に示す共振特性を有する電気機械変換素子に図8に示す駆動電圧を印加した場合の基本波及び高調波成分を示す図である。
【図12】 図11に示す基本波及び高調波成分をフーリエ逆変換することにより求めた電気機械変換素子の変位波形を示す図である。
【図13】 本発明の範囲外の駆動周波数を有する駆動電圧と電気機械変換素子の伸縮による変位波形との関係を示す図で、(a)は駆動電圧のデューティ比が0.3になるように設定したもの、(b)は駆動電圧のデューティ比が0.7になるように設定したものである。
【図14】 図3に示す駆動回路部の動作説明をするためのタイミングチャートである。
【図15】 図3に示す駆動回路の電気機械変換素子に直列接続されるインダクタンス素子のインダクタンス値を変更したときの駆動電圧の波形を示す図で、(a)はインダクタンス素子を用いないときの波形、(b)はインダクタンス値が2μHのときの波形、(c)はインダクタンス値が8μHのときの波形、(d)はインダクタンス値が32μHのときの波形、(e)はインダクタンス値が120μHのときの波形をそれぞれ示すものである。
【図16】 図1に示す駆動装置における駆動回路部の別の構成例を示すブロック図である。
【図17】 図1に示す駆動装置における駆動部の別の構成例を示す図で、(a)はその分解斜視図、(b)はその正面図である。
【図18】 従来例の駆動装置の構成を概略的に示す図である。
【符号の説明】
10 駆動装置
12,12’ 駆動部
14,14’ 駆動回路
22 制御部(駆動制御手段)
24,67 支持部材
26,69 電気機械変換素子
28,71 駆動部材
30,40 係合部材
34 インダクタンス素子
36 駆動電源
38 直列回路
141 駆動電源
142 スイッチ回路
143 制御信号出力部
144,148 第1のスイッチ回路
145,149 第2のスイッチ回路
146 第3のスイッチ回路
147 第4のスイッチ回路
Q1,Q11 第1のスイッチング素子
Q2,Q12 第2のスイッチング素子
Q3,Q13 第3のスイッチング素子
Q4 第4のスイッチング素子

Claims (3)

  1. 対向電極を有する電気機械変換素子と、この電気機械変換素子の一方の電極側に固着された支持部材と、前記電気機械変換素子の他方の電極側に固着された駆動部材と、この駆動部材に所定の摩擦力で係合された係合部材と、前記電気機械変換素子に直列接続されたインダクタンス素子と、この電気機械変換素子及びインダクタンス素子の直列回路に矩形波からなる駆動電圧を印加する駆動回路部と、この駆動回路部を駆動制御することにより前記駆動電圧のデューティ比を変化させて前記電気機械変換素子を伸長方向と縮小方向とで異なる速度で伸縮させることで前記支持部材と前記係合部材とを相対移動させる駆動制御手段とを備え、前記インダクタンス素子のインダクタンス値と前記電気機械変換素子の対向電極間に形成される静電容量値とによって定まる電気的共振周波数feが、前記電気機械変換素子に印加される駆動電圧の周波数fdに対し、fe≧(3 / 4)fdの関係を有することを特徴とする駆動装置。
  2. 前記駆動回路部は、直流電圧が出力される駆動電源と、この駆動電源と接地との間に接続されるスイッチ回路と、このスイッチ回路を駆動制御することにより前記駆動電源から出力される直流電圧を矩形波の駆動電圧にして前記直列回路に印加するようにする制御信号出力部とを備えたことを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
  3. 前記スイッチ回路は、一方端が前記駆動電源に接続され、他方端が前記直列回路の一方端に接続された第1のスイッチング素子と、一方端が前記直列回路の一方端に接続され、他方端が接地された第2のスイッチング素子と、一方端が前記駆動電源に接続され、他方端が前記直列回路の他方端に接続された第3のスイッチング素子と、一方端が前記直列回路の他方端に接続され、他方端が接地された第4のスイッチング素子とを備え、前記駆動制御手段は、前記制御信号出力部を駆動制御することにより前記第1のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子を導通状態にするときに前記第2のスイッチング素子及び前記第3のスイッチング素子を非導通状態にする一方、前記第2のスイッチング素子及び前記第3のスイッチング素子を導通状態にするときに前記第1のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子を非導通状態にするものであることを特徴とする請求項2記載の駆動装置。
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