JP3594707B2 - 化粧シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面は平面であるが、あたかも凹凸模様が存在するかの様に見える、凹凸感のある化粧シートとその製造方法に関する。また、木目の照りの表現も可能な化粧シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、化粧シートはその意匠性を向上させるために、単なる平面的な模様以外に、実際にエンボスで凹凸模様を形成したり、光沢感や光輝性感を付与したり、各種の工夫が試みられている。例えば、木目調の化粧シートにおいては、平面的な印刷柄以外に、天然木の質感をよりリアルに表現する各種の工夫がされてきた。その一つは天然木独特の照り感である。照り感は、木質内部にまで進入した光が、木質繊維の一定の規則性を持つ内部組織に反射され、再び表面に達して放出された結果生ずる。そして、この反射光線が照りとりなり、さらに見る角度によって反射光線の強い部分が移動して照りの移動感となる。
【0003】
そこで、この照り感に対しては、化粧シート内側に或る規則性で光を反射させる微細な凹凸模様からなる反射層を設けて模倣したものが各種試みられている。例えば、実開平5−35394号公報では、表面に光輝性を有する不透明な熱可塑性樹脂フィルムの表面に絵柄層を設けた後、絵柄層の上から特定の線群パターンからなる溝状凹凸模様を形成し、さらに溝状凹凸模様の表面に、凹凸の深さよりも厚くなるように透明樹脂層を設けた化粧シートとし、これを接着剤で化粧基材に貼着した化粧材が開示されている。
【0004】
また、例えば、特公平1−38670号公報では、着色不透明フィルムの表面にパールベタ層と木目模様のインキ層を形成した後、インキ層側に透明樹脂フィルムを熱圧着させると同時に、裏面側よりヘアーライン又は梨地状のエンボス加工を施して、内部に裏面側からの凹凸模様を到達させて、内部凹凸模様を持つ化粧シートが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、化粧シート内部に凹凸模様を形成するには、いずれにしろ、該凹凸模様を挟んで表裏の層が必要であり(例えば、表裏2枚の樹脂フィルム)、製造コスト的にも高価となる。
また、表面に凹凸模様を必要として、それをエンボス等により形成した場合には、化粧シートが実際に使用される段階で、凹凸模様の凹部内部にゴミが溜まりやすく、汚れやすいという問題がある。
【0006】
そこで、本発明では、上記問題を解決し、凹凸感はあるが表面は平面であり汚れにくい化粧シート、また、凹凸感により天然木の照り感を安価に模倣し得る化粧シート、とその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の化粧シートでは上記課題を解決するために、熱可塑性樹脂フィルムの表面側に、少なくとも、光輝性層と、該光輝性層を完全に被覆しない絵柄層を設け、熱可塑性樹脂樹脂フィルムの裏面側に賦形型によるエンボス模様を形成することで、裏面側に形成されるエンボス模様の凹部に対応する表面側部分において、少なくとも前記光輝性層の光線反射率を低下させたことによる、エンボス模様と同調した光輝性層が形成されてなり、且つ少なくとも前記絵柄層及び該絵柄層で被覆されていない部分の光輝性層が成す面側の面が平面である構成とする。また、上記化粧シートにおいて、エンボス模様が、多数の線が略平行な線群からなる万線模様である構成でもある。
【0008】
そして、本発明の化粧シートの製造方法は、熱可塑性樹脂フィルムの表面側に、少なくとも、光輝性層と、該光輝性層を完全に覆わない様に絵柄層を設け、次いで、裏面側を賦形型に、表面側を剛直な板材に向けて、熱圧により裏面側に賦形型でエンボス模様を形成すると同時に、エンボス時の熱圧により、表面側に設けられた、少なくとも光輝性層を流動させて、裏面側に形成されるエンボス模様の凹部に対応する表面側部分における光輝性層の光線反射率を低下させることで、エンボス模様と同調した光輝性層を形成し、且つ前記光輝性層及び絵柄層の面側の面を平面とする様にしたものである。また、上記製造方法において、エンボス模様が、多数の線が略平行な線群からなる万線模様であるものでもある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面に従って本発明の化粧シート及びその製造方法を詳述する。図1は本発明の化粧シート及びその製造方法の一実施例を示す概念図である。図1(a)は、熱プレスに賦形型(賦形シート)Sと、熱可塑性の光輝性層3及び絵柄層4が形成された熱可塑性樹脂フィルム2、及び表面が平面で剛直な板材Pとして鏡面板とを、配置した図である。そして、図1(b)は、熱プレス工程中の熱圧により、光輝性層が流動して、賦形型Sの凸部(化粧シートに形成されるエンボス模様からみれば凹部)に対向した表面側部位の光輝性層が流動して両脇へ流れ、当該部位の光輝性層3が消滅又は少なくなる現象を示す図である。そして、図1(c)は、得られる化粧シート1の断面図を示し、化粧シート1は、熱可塑性樹脂フィルムからなる基材2の表面側に、光輝性層3、絵柄層4、裏面側には、エンボス模様が形成されたものである。そして、光輝性層3は、裏面側のエンボス模様5と同調して、エンボス模様5の凹部に対応する表面部位の光輝性層3は希薄ないし消滅しており、エンボス模様5の凸部に対応する表面部位がエンボス同調光輝性層31となっている。したがって、光輝性層に起因する光線反射率は、光輝性層が希薄となればある程度まで低下し、消滅すればゼロにまで低下する。但し、下の熱可塑性樹脂フィルム自身に起因する光線反射率は残る。
なお、賦形型としての賦形シートSは、基材シートS1上に賦形凹凸模様S2が形成されたものである。
【0010】
先ず、本発明の化粧シートの熱可塑性樹脂フィルム2から説明する。
熱可塑性樹脂フィルム2としては、表面に形成した光輝性層さらには絵柄層をエンボスに同調して流動させることができる程度の可塑性を持つものであれば、透明又は不透明、着色又は未着色、さらに厚みは特に問わない。なお、化粧シートが貼られる下地を隠蔽し、また化粧シートの絵柄層の一つの色を構成する点では、着色不透明なものが好ましい。光輝性層3は、熱可塑性樹脂フィルムの全面に設けたとしても、熱圧による流動化部分では、該樹脂フィルムの色が見えることになるからである。
【0011】
このような熱可塑性樹脂フィルムとしては、通常、着色塩化ビニル樹脂のフィルムが用いられるが、この他にも、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメタアクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリロニトリル等のアクリル樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン−スチレン(ABS)、アクリルスチレン等のスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、酢酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース誘導体、ナイロン6、ナンロン66等のポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート等の樹脂等からなる公知のフィルムが用いられ得る。これらのなかでも、ポリ塩化ビニルは、コスト、印刷適性、エンボスに適した熱可塑性等の点で優れたものの一つである。また、フィルムの厚みは、エンボスによる光輝性層が流動化して模様が形成できる程度とし、模様形成はエンボスの凹凸の高低、凹凸の間隔、熱圧条件、熱圧条件下での樹脂フィルムの流動特性、さらにコスト等によって適宜選択する。例えば、塩化ビニル樹脂製の場合、フィルムの厚みは、0.04〜0.4mm、好ましくは0.06〜0.2mmである。厚すぎると、裏面からのエンボスで表面側の光輝性層を模様化できず、凹凸感が得られない。薄すぎると、強度が低下し光輝性層や絵柄層の印刷適性が得られない。
【0012】
光輝性層3は、通常のインクとは異なる光線反射率により、例えば、木目の照り感を模倣する為のものであり、光反射性で、且つエンボス時にその熱圧により流動化する熱可塑性を有するものであれば良く、光輝性顔料を有する光輝性インクにてグラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷等の公知の印刷手段により全面又は模様をなすパータン状に設ける。
光輝性顔料としては、金粉、銀粉、アルミニウム粉、銅粉、真鍮粉等の金属粉や金属薄片、あるいは金属蒸着した合成樹脂フィルムの裁断片等の金属光沢を有する金属光沢顔料や、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗片、塩化酸化ビスマス等の真珠光沢や干渉光沢を有するパール顔料等の公知の光輝性顔料を、表現する意匠感により適宜選択して用いられ得るが、優れた光輝性を得る点では中でも二酸化チタン被覆雲母が好ましい。これらの光輝性顔料を、公知のビヒクルに混合したものを光輝性インクとして使用する。ビヒクルの樹脂は熱可塑性樹脂、或いは熱硬化性樹脂であってもエンボス時に完全硬化しておらずに熱可塑性であることが好ましく、ビニル系、アクリル系、アミノ系、アミノアルキッド系、ポリウレタン系、セルロース系、ブチラール系等の樹脂を用いる。光輝性層の厚さは、通常1〜10μm程度が好ましい。厚すぎると流動化しても、そこに残存する光輝性層により見た目の光輝性の低下がなく、光線反射率のエンボス模様に同調した模様形成ができない。流動化の結果、光輝性層3はエンボス模様と同調した光輝性層31となる。なお、全面形成の場合は、インクからではなく塗液として調整して塗布により形成しても良い。また、光輝性層の樹脂が既に硬化した硬化性樹脂であっても、その厚みが充分に薄い場合には、下の熱可塑性樹脂フィルムの流動に伴って、光輝性層が破壊分断されて内部に落ち込み、エンボス模様と同調した光輝性層とできなくはない。
【0013】
絵柄層4は、天然木の木目模様、或いは大理石、御影石等の石目模様、布目模様、或いは図形、記号等の抽象模様等の各種模様を化粧シートの用途により適宜用いる。絵柄層は、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、アミノアルキッド樹脂、ブチラール樹脂等を用いたビヒクルに、必要に応じて顔料、染料等の着色剤、体質顔料、安定剤、可塑剤等を混合した公知の印刷インクを、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷等の公知の印刷手段により形成する。
絵柄層用のビヒクルも、光輝性層用のビヒクル同様に、エンボス時にその熱圧で流動化させる程度の熱可塑性があれば、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でも良い。但し、本発明では光輝性層が最低限流動化すればよく、絵柄層は流動化しなくても良い。
【0014】
エンボス模様5は、光輝性層3を模様化する際に付随的に化粧シートの裏面に形成される模様であり、模様化した光輝性層3の模様とエンボス模様とは表裏で同調する。従って、光輝性層の形成したい模様に合わせて、エンボス模様の模様を形成する。エンボス模様は、文字、図形、線画等と、化粧シートで表現しようとする、凹凸模様感に合わせて任意である。但し、天然木の照り感を模倣するのであれば、図2及び図3に示す、溝状凹凸模様51のエンボス模様が好ましい。図2は、溝状凹凸模様の断面の拡大図であり、いわゆる万線パターンといわれる、多数の線群からなる線群状のパターンである。本発明では、裏面からのエンボスの影響で表面側の光輝性層を流動化させるものであるから、熱可塑性樹脂フィルム等の厚みによもよるが、同図に示すように溝状凹凸模様は、例えば、溝の深さが3〜100μmで、凸部と凸部との間隔が50〜1000μの形状であり、天然木の照り感の模倣には凸部間隔は、50〜200μm程度が良い。
深さ及び凸部間隔は、線群で一定である必要はなく、後述する図3(d)のような区画を有する場合には区画毎に値を変えたり、あるいは隣接した線間で、少しずつ変化させたりしてもよい。このように形状を変化させることにより、光の反射効果を場所によって微妙に変化させることもできる。
【0015】
図3は、以上のような万線パターンからなる溝状凹凸模様の各種態様を示す平面図である。図3(a)は、ウェーブ状の平行曲線群10からなる万線パターン、図3(b)は複数の区画で異なる方向を有する多数の直線群からなる万線パターン、図3(c)は平行曲線群10と平行直線群11とを組合わせた万線パターン、図3(d)は閉曲線の平行曲線群10からなる万線パータン、図3(e)は、複数の区画で異なる方向を有する平行曲線群からなる万線パターン、図3(f)は、関数曲線の関数パラメータを変化させて各曲線間の間隔が線方向に変化する非平行曲線群12からなる万線パターンを示す。また図3(g)に示す様な、オシロスコープで音声を観測して得られる測定波形を利用した測定曲線群13かなる万線パターン等であってもよい。
上記関数曲線には、例えば正弦波曲線、サイクロイド曲線、楕円関数曲線、ベッセル関数曲線等があり、測定波形には物体の表面粗さを測定してペンレコーダで出力した波形等各種が利用できる。中でも、正弦波曲線等のウェーブ状曲線群によりなる万線パターンは天然木の照りの移動感を現出する基本的なパターンして好ましい。
このように、溝状凹凸模様を形成する線群状のパターンは、隣接した線が有する凹凸が、その深さ及び凹凸間隔を同一に又は微妙に変える線群、またこれらの線群を区画して組合わせることにより、表面側に形成された光輝性層の光の反射模様を演出するものである。
【0016】
溝状凹凸模様等のエンボス模様5の形成は、図1(a)に示す如く、エンボス模様と逆凹凸形状の賦形凹凸模様S2を有する賦形型Sを用いた平圧式又は円圧式のエンボス加工によって行う。但し、エンボスの主目的である、光輝性層3を流動化させてエンボス模様と同調した光輝性層31の模様を形成すべく、回転を遅くすれば円圧式でもよいが、平圧式の方が長時間、熱圧を加えられている点で好ましい。なお、エンボスは、化粧シートの表面側には金属の鏡面盤の如き平面で剛直な板材を当接し、裏面側に賦形型を当接する。
賦形型Sはエンボス模様が形成できるものであれば、金属、ゴム、樹脂、無機物等特に材料は限定されないが、後述する様な、樹脂の基材シートS1上に電離放射線硬化性樹脂の賦形凹凸模様S2を設けた賦形シートSを利用できる。
【0017】
エンボスの熱圧条件は、表面側の光輝性層3を流動化させエンボス模様5に同調した模様を形成できる程度とし、使用する熱可塑性樹脂フィルム及び光輝性層、必要により絵柄層の、各層の材料構成と熱圧時の流動性によって適宜選択する。裏面のエンボスによって、表面側の光輝性層にエンボスに同調した模様が形成される理由は定かではないが、おそらく図1(b)に示すように、賦形型Sが熱可塑性樹脂フィルム2に入り込んだ部分では、エンボスにより熱可塑性樹脂フィルム2の構成材料が矢印Fで示される方向に流動し、それにつられて表面側の光輝性層3も流動していくものと思われる。もしも、光輝性層3が厚く硬質の膜であれば、光輝性層3は流動化せずにそのまま残り、下層の熱可塑性樹脂フィルム2のみが流動化するであろうから、光輝性層3がエンボス模様と同調した光輝性層31となるには、該光輝性層3は熱可塑性であることが好ましい。従って、光輝性顔料を分散している樹脂分が熱圧時に熱可塑性を示せばよい。また、光輝性層3の流動化が不充分であれば、光輝性層3は単に薄くなる程度で、その光輝感の減少は少なく、見た目に区別できる程度の模様が形成されない。流動が完全であれば、光輝性層3は完全に消失した部分が発生し明確な模様が形成される。ただ、エンボス模様と同調した光輝性層31の模様は、少なくともそれが判別できる程度のものであればよく、流動の程度は、目的とする意匠効果との兼ね合いで決めれば良い。図1(b)の右側の図は、図1(a)右側の全面が光輝性層3であったものが、賦形型Sによってエンボス模様と同調した光輝性層31となった状態の平面図を示す。
【0018】
以上の説明からも分かる様に、エンボスの熱圧条件は、一般に、化粧シートを構成する材料、特に熱可塑性樹脂フィルム、光輝性層の加熱時の流動性が良ければ、温度及び圧力ともに低くても良い。熱可塑性樹脂フィルムが厚ければエンボスの凹凸の高低差は高い方が良く、エンボスの凸部と凸部の間隔が少なすぎると流動が起こりにくい。また、加熱加圧時間を長くすればより流動しやすい。また、温度を高くすれば圧力は低くても良い。従って、エンボスの熱圧条件は、使用する材料の厚みを含む特性、エンボス模様によって適宜決めればよい。例えば、熱可塑性樹脂フィルムに0.08〜0.1mm厚の塩化ビニル樹脂フィルムを用いて、熱可塑性樹脂をビヒクルとしたインクで光輝性層及び絵柄層を形成し、エンボス版の凹凸の高低差を30〜50μm、凸部と凸部との間隔を100〜200μmとすれば、平圧式のエンボスで、加熱温度は140〜160℃、圧力は10〜20kg/m、加熱加圧時間は30〜60分程度である。
【0019】
以上説明した様に、本発明では柄の明暗による疑似的な遠近感により凹凸感を模倣、演出するものであり、特に光輝性層はその独特の光輝感により、その光線反射率に高低で凹凸感を演出し易い。また、これと類似のことが、例えば、熱可塑性樹脂フィルムの色と絵柄層の色との関係を、前者は暗色に後者は明色として、絵柄層をエンボスと同調して流動化させ模様化すれば、エンボスと同調した絵柄層と、露出した熱可塑性樹脂フィルムとの色の対比によって、弱いながらも遠近感、ひいては凹凸感を演出することもできる。これらは、目的とする意匠効果により適宜使い分ければ良い。
【0020】
なお、本発明の化粧シートはそのまま用いてもよいが、その表面に、さらに、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等による透明樹脂層を塗工形成し形成し、表面保護層、光沢層、あるいは光沢感を落とした光沢調整層とすることもできる。また、透明樹脂層は、エンボス加工前に全面に形成しておいてもよく、光輝性層を内層の模様とできる。
【0021】
また、本発明の化粧シート及びその製造方法に使用し得る賦形型である賦形シートSとして、基材シートS1に賦形凹凸模様S2を形成する方法としては、エンボス加工、サンドブラスト加工、ヘアライン加工、あるいは基材シート中へのマット剤の練り込みや、マット剤を含有した塗液の塗布等による方法や、或いは、特開平2−131175号公報や、特願平3−336271号公報に開示されている様な方法で形成すれば良い。
すなわち、前記公報に開示されている方法では、賦形凹凸模様S2の凹凸形状と逆の凹凸形状を有するロール凹版に電離放射線硬化性樹脂液を充填し、これに基材シートS1を重ねて、重ねたまま紫外線や電子線等の電離放射線を基材シート側から照射して(ロール凹版がガラス等で透明な場合はロール凹版の内側からも可能)、電離放射線硬化性樹脂液を硬化させ、その後、基材シートをロール凹版から剥離することにより、硬化した電離放射線硬化性樹脂液が所望の凹凸形状を有する賦形シートを得ることができる。
【0022】
図4は上記方法で電離放射線硬化性樹脂液で賦形シートSを製造する装置の一例を示した概念図である。
同図において、71は形成する賦形凹凸模様S2と逆形状(すなわち凹凸形状7と同形状)の凹部72が設けられたロール凹版、73は電離放射線硬化性樹脂液、Sは基材シート、74はロール凹版に当接して基材シートSをロール凹版71に圧接する押圧ロール、75は基材シートSの走行を支えるガイドロール、76は剥離ロール、77a及び77bは電離放射線硬化性樹脂液を硬化するための電離放射線照射装置、S2は電離放射線硬化性樹脂液の硬化物として基材シートS1上に形成した賦形凹凸模様、Sは賦形凹凸模様S2を基材シートS1上に有する賦形シート、78は電離放射線硬化性樹脂液の塗工装置である。
【0023】
ロール凹版71は円筒状の版材であり、これに所望の賦形凹凸模様S2の形状と逆形状の凹部72を設けるには、円筒状の版材に直接旋盤加工したり、電鋳法で形成したミルによるミル加工等で切削する方法、電鋳法、あるいはフォトエッチング法等により行う。
ロール凹版の材質としては、銅、クロム、鉄等の金属、NBR、エポキシ樹脂、エボナイト等の合成樹脂、ガラス等のセラミックス等が使用できる。また、ロール凹版の大きさは特に限定されるものではい。なお、図示はしないがロール凹版は駆動装置に接続されており軸芯の回りに矢印方向に回転駆動され、基材シートの走行速度と同期する周速で回転させる。
【0024】
なお、基材シートS1としては、基材シート側から電離放射線を照射する場合は電離放射線透過性の材料であればよく、又はロール凹版側から照射する場合は、金属箔の様な電離放射線不透過性のものでも構わない。電離放射線透過性の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド等の厚さ10〜300μm程度、好ましくは20〜100μm程度であり、中でも2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが強度、耐熱性等の点で適している。
【0025】
また、賦形凹凸模様S2を形成する電離放射線硬化性樹脂としては、アクリルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、シリコーンアクリレート等からなる公知の電離放射線硬化性樹脂が使用できる。特に、エンボス時の熱圧に耐えうる強度を持たせる点で、多官能モノマーを主成分とする高架橋密度となるものを用いる。また、エンボス後の賦形シートの離型性を良好なものとするために、シリコーンオイル等の離型剤を全体量の0.5〜20重量%添加したものが良い。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の化粧シートとその製造方法を、具体的な実施例で説明する。
【0027】
着色塩化ビニルフィルム(理研ビニル工業(株)製、W−500、厚み0.1mm、可塑剤23phr)の片面に、塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂のパールインクで光輝性層を全面に、さらにその上に、光輝性層が一部露出する様に塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂のインクで木目柄の絵柄層を、グラビア印刷により形成して、中間シートとした。
ついで、上記中間シートの裏面側には、エンボス用の賦形凹凸模様として溝状凹凸模様(深さ50μm、凸部間隔100μmで正弦波状の平行曲線群からなる万線パターン)を有する賦形シートを当て、表面側には金属製の鏡面板を当て、熱プレスにより中間シート裏面にエンボスを形成し、それと同時に表面側の光輝性層を流動させて、エンボス模様と同調した光輝性層の模様を形成した。熱プレス条件は、温度140℃、プレス圧20kg/m、プレス時間40分で昇温後、冷却して圧力開放し、賦形シートを剥離して本発明の化粧シートを得た。
【0028】
なお、用いた賦形シートは図4に示す装置にて以下の様に製造して用意した。上記賦形凹凸模様と逆凹凸形状を有するロール凹版に、電離放射線硬化性樹脂液(大日本インキ工業(株)製 C2−107−3)を充填した後、基材シートとして厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人(株)製 HP−7)を当接した状態で紫外線を照射して樹脂液を硬化させた後、基材シートを剥離して、所望の賦形凹凸模様を有する賦形シートとした。照射条件は160W/cm×2灯、ラインスピード15m/minとした。
【0029】
【発明の効果】
本発明の化粧シートによれば、以下の効果を奏する。
▲1▼表面が平面であるが、あたかも凹凸がある様な凹凸感が得られる。
▲2▼また、凹凸模様を万線模様とすれば、天然木の照り感を模倣した意匠表現ができる。
▲3▼照り感を一枚の樹脂フィルムで模倣できるので、安価に製造できる。
▲4▼凹凸感はあるが表面凹凸が無いので、表面凹部にゴミが溜まり汚れることが無い。また、表面が汚れても凹部のゴミで無いので簡単に汚れが落とせる。
▲5▼
また、本発明の化粧シートの製造方法によれば、上記効果を奏する化粧シートを容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートを説明する概念図。(a)は熱プレス前の状態の化粧シートの断面図。(b)は熱プレス中にエンボス模様に同調して光輝性層が模様化する様子を示す断面図。(c)は本発明の化粧シートの一実施例の断面図。
【図2】本発明の化粧シートで用い得るエンボス模様としての溝状凹凸模様の拡大断面図。
【図3】本発明の化粧シートに用い得るエンボス模様としての溝状凹凸模様の各種例を示す平面図。
【図4】本発明の化粧シートのエンボスの形成に使用し得る賦形シートの製造装置の概念図。
【符号の説明】
1 化粧シート
2 熱可塑性樹脂フィルム
3 光輝性層
31 エンボス模様と同調した光輝性層
4 絵柄層
5 エンボス模様
51 溝状凹凸模様
10 平行曲線群
11 平行直線群
12 非平行曲線群
13 測定曲線群
71 ロール凹版
72 凹部
73 電離放射線硬化性樹脂液
74 押圧ロール
75 ガイドロール
76 剥離ロール
77a,77b 電離放射線照射装置
78 塗工装置
F 熱圧による材料の流れ
P 板材、金属製鏡面板
S 賦形シート
S1 基材シート
S2 賦形凹凸模様

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムの表面側に、少なくとも、光輝性層と、該光輝性層を完全に被覆しない絵柄層を設け、熱可塑性樹脂樹脂フィルムの裏面側に賦形型によるエンボス模様を形成することで、裏面側に形成されるエンボス模様の凹部に対応する表面側部分において、少なくとも前記光輝性層の光線反射率を低下させたことによる、エンボス模様と同調した光輝性層が形成されてなり、且つ少なくとも前記絵柄層及び該絵柄層で被覆されていない部分の光輝性層が成す面側の面が平面であることを特徴とする化粧シート。
  2. エンボス模様が、多数の線が略平行な線群からなる万線模様であることを特徴とする請求項1記載の化粧シート。
  3. 熱可塑性樹脂フィルムの表面側に、少なくとも、光輝性層と、該光輝性層を完全に覆わない様に絵柄層を設け、次いで、裏面側を賦形型に、表面側を剛直な板材に向けて、熱圧により裏面側に賦形型でエンボス模様を形成すると同時に、エンボス時の熱圧により、表面側に設けられた、少なくとも光輝性層を流動させて、裏面側に形成されるエンボス模様の凹部に対応する表面側部分における光輝性層の光線反射率を低下させることで、エンボス模様と同調した光輝性層を形成し、且つ少なくとも前記絵柄層及び該絵柄層で被覆されていない部分の光輝性層が成す面側の面を平面とすることを特徴とする化粧シートの製造方法。
  4. エンボス模様が、多数の線が略平行な線群からなる万線模様であることを特徴とする請求3記載の化粧シートの製造方法。
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