JP3132514B2 - 木目調化粧シート及び該化粧シートの製造に使用するエンボス版 - Google Patents

木目調化粧シート及び該化粧シートの製造に使用するエンボス版

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JP3132514B2
JP3132514B2 JP03163880A JP16388091A JP3132514B2 JP 3132514 B2 JP3132514 B2 JP 3132514B2 JP 03163880 A JP03163880 A JP 03163880A JP 16388091 A JP16388091 A JP 16388091A JP 3132514 B2 JP3132514 B2 JP 3132514B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は天然木に類似した照りの
移動と立体感を有する化粧シート及び該化粧シートの製
造に使用するエンボス版に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、商品の化粧箱や壁紙、床材等
の内装材、家具、調度品、家電製品等の表面に貼りつけ
てそれらの装飾性を向上させる目的で、プラスチックシ
ート等の基材表面にエンボス加工や印刷を施して、種々
の意匠を付与した化粧シートが用いられてきた。種々の
意匠のなかでも木目模様を印刷して形成した化粧シート
は、プラスチック製の材料や合板等の表面に用いて、合
成樹脂等の素材を天然木のように見せることで装飾性を
大きく向上させるものとして広く用いられている。
【0003】従来、この木目模様を本物の木のように見
せるために、例えば木目印刷層の下層に透明樹脂層を設
けたり、木目模様を盛り上げ印刷を施して立体感を付与
したり、表面にヘアーライン状のエンボスを設け木の繊
維感を表現したものが提案されていた。特に天然木の照
りを表現してより化粧シートの質感を向上させるために
ために、熱可塑性樹脂シートの裏面側に、凹部及び凸部
の幅が1〜1000μmの平行直線群ないし連続する曲
線群、あるいは上記平行直線群と曲線群等からなる微細
な凹凸模様を設け、見る方向により反射光が変化して
(表面の照りが出る)立体感を得ることができる化粧シ
ートが提案されている(特願平1−206449)。ま
た、上記化粧シートを製造するには、上記の線群からな
る溝状凹凸模様に対応する凹凸模様を表面に形成したエ
ンボス版を製造し、該エンボス版を熱可塑性樹脂シート
等の基材シートの表面に加熱押圧して凹凸模様を賦型す
る方法が用いられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の木目調化粧シートは、照りの移動を有するものの、
凹凸模様が幾何的な平行線群からなるために、照りの移
動が周期的に現れたり、人工的な照りの移動となり、天
然木と比較して不自然な感じを与え、意匠的にリアルさ
が不足するものであった。本発明は上記従来技術の欠点
を解決するもので、天然木の表面のようなリアルな照り
の移動を有する木目調化粧シートを提供すること、及び
上記化粧シートを製造に用いるエンボス版を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明木目調化粧シート
は、少なくとも表面及び/又は裏面に凹凸模様が設けら
れた基材シートを有する化粧シートにおいて、上記凹凸
模様が凹部及び凸部の幅が1〜1000μmの、平行直
線群、連続する曲線群、関数曲線のパラメータを順次変
化させて各曲線の間隔が線と直交する方向に滑らかに変
化するように形成したウェーブ状曲線群、上記平行直線
群、曲線群及びウェーブ状曲線群を組み合わせた線群か
ら選ばれた線群からなる溝状凹凸模様と、天然木の組織
を模した凹凸模様との2種類の凹凸模様からなることを
特徴とするものである。又、上記木目調化粧シートにお
いて、基材シートに光輝性顔料を含有する熱可塑性樹脂
シートを用いたり、基材シートの表面側及び/又は裏面
側に光輝性層を設けることができる。また、本発明エン
ボス版は、凹部及び凸部の幅が1〜1000μmの、平
行直線群、連続する曲線群、関数曲線のパラメータを順
次変化させて各曲線の間隔が線と直交する方向に滑らか
に変化するように形成したウェーブ状曲線群、上記平行
直線群、曲線群及びウェーブ状曲線群を組み合わせた線
群から選ばれた線群からなる溝状凹凸模様と、天然木の
組織を模した凹凸模様との2種類の凹凸模様が表面に形
成されていることを特徴とするものである。
【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。図1は本発明化粧シートの基材シートに設け
た凹凸模様の1例を示す平面図であり、図2は本発明化
粧シートの1例を示す部分縦断面図である。図1及び図
2に示すように、本発明木目調化粧シート1は、少なく
とも表面及び/又は裏面に凹凸模様2が設けられた基材
シート3を有する化粧シートにおいて、上記凹凸模様3
が溝状凹凸模様4と、天然木の組織を模した凹凸模様5
との2種類の凹凸模様から構成されている(図1)。化
粧シート1には、図2に示すように、光輝性層6が基材
シート3の凹凸模様2面に設けられ、表面側に艶調整層
7、導管印刷層8を設け、裏面側に絵柄印刷層9を設け
た透明プラスチックシート10の裏面側に上記基材シー
ト3の凹凸模様側を接着剤11を用いて貼り合わせて形
成されている。
【0007】凹凸模様2は基材シート3の表面に設けて
も、表面と裏面の両面及び裏面の何れに設けてもよい。
ただし裏面に設けた場合は、基材シート3に透明又は半
透明の材質を用い、木目調化粧シート1の表面側から凹
凸模様2が見えるようにする必要がある。また、溝状凹
凸模様4と天然木の組織を模した凹凸模様5は、基材シ
ート3の同じ面でも異なる面に設けてもどちらでもよ
い。
【0008】上記の溝状凹凸模様4は、化粧シート1に
照り外観を現出させるために設けるもので、図1に示す
凹凸模様4を形成する線群は連続するウェーブ状の曲線
群からなり、全円周の1/4の弧を隣接する弧の凸方向
が交互に逆向きになるように連結した曲線を平行移動し
て配列した平行曲線群である。上記の平行曲線群として
は、正弦波曲線、サイクロイド曲線、楕円関数曲線、ベ
ッセル関数曲線、円弧等の曲線単位を連結したものを複
数本互いに平行移動して配列したもの等がある(図5
(a))。また溝状凹凸模様4として、上記の平行曲線
群以外に、図5(b)〜(e)に示すようなパターンを
使用することができる。閉曲線の倍率を拡大及び/又は
縮小したものを重ねた閉曲線群のパターン(c)、
(d)、平行曲線群12と平行直線群13を適宜組み合
わせてなる線群のパターン(b)、又は関数曲線をその
関数パラメーターを変化させて各曲線間の間隔が線と直
交する方向に滑らかに変化するウェーブ状曲線群(e)
等からなるものである。図5(d)に示したパターン
は、輪郭線に囲まれた各領域内にそれぞれの平行曲線群
を有する線群の集合体であり、且つ該輪郭線及び平行曲
線群の形状又は線方向が各輪郭線領域毎に異なるように
形成された例である。また、図5(e)に示す線群16
は、2つの正弦波曲線17、18の波長、位相、周期及
びY座標の各パラメーター差をN等分した式で表される
曲線の各パラメータを0、1…N−1、Nとした場合に
示されるN+1本の曲線から形成されているウェーブ状
の曲線群である。
【0009】ウェーブ状曲線群溝が光源や観察者の方向
によって光沢部分が移動する原理は図9に示すように、
ウェーブ状曲線溝31のウェーブが正弦曲線(S1 、S
2 、S3 、・・・Sn )で光源32が化粧シートに対し
て固定であり平行光束である場合について説明すると、
入射した光線34が正弦曲線S3 の入射点A3 で反射す
る光線33は反射の法則により(入射点の方線35に対
する)入射角と反射角が等しくなる方向に反射される。
一方、該曲線溝31は場所により法線方向が異なるた
め、観察者の視線方向により、反射の法則を満たすべき
場所が変わる。即ち、観察方向−1から見ると、A3
分が反射の法則(入射角θ=反射角θ)を満たし最も光
沢を発する。尚、正弦曲線は周期関数の為Aから1周期
はなれた他のA3 相当部分(A3 ′、A3 ′′)も同様
に光沢を発する。更に該正弦波を平行移動させた他の曲
線溝S1 、S2 のA3 相当部(A1 、A2 )、A3 ′相
当部(A1 ′、A2 ′)、A3 ′′相当部(A1 ′′、
2 ′′)も同様に光沢を発する。故に観察方向−1か
ら見ると曲線と直交する方向37の縦解状A(A1 ・・
・AN )、A′(A1 ′・・・AN′)、A′′
(A1 ′′・・・AN ′′)領域のみ光沢を発する。
又、観察方向−2(入射角θ′=反射角θ′)から見た
場合、上記と同様の原理により光沢部分は縦解状領域
B、B′、B′′に移動する。又、観察方向−3(入射
角θ′′=反射角θ′′)から見ると、同様の原理によ
り縦解状領域C、C′、C′′に光沢部分が移動する。
上記の線群からなる溝状凹凸模様4は、図6に示すよう
に凸部14の幅:d1 と凹部15の幅:d2 が1〜10
00μmである凹凸形状をなすものである。また凹部の
深さは通常1〜100μm程度で、より好ましくは5〜
30μmである。更に、凹部の深さは単一なものではな
く区画した各領域毎に深さを適宜配分して規則的(段階
的)に異ならしめることにより、該領域によって照り感
が微妙に変化する照り外観を現出させることができる。
特に、根瘤杢(木目板中の渦巻状、斑点状の模様)の照
りの再現には(C)、(D)のパターンが良好である。
【0010】本発明において用いる天然木の組織を模し
た凹凸模様5は、木目板表面を構成する要素の形、配列
等を模した凹凸で有ればよい。この木を構成する要素と
は、例えば、導管要素、(せん孔、せん孔板)導管、仮
導管、繊維状仮導管、柔細胞ストランド、真正木繊維、
放射柔細胞、及びそれらを組み合わせたものである。上
記の天然木の組織は、木の種類(例えば広葉樹と針葉
樹、又は樹種)、切断面(木口面、柾目面、板目面等)
によりその形状は種々のものがある。本発明で用いる天
然木を模した凹凸模様5は木目調化粧シート1の目的に
応じて上記の中から適宜選択した模様を模して用いるこ
とができる。特に広葉樹は構成要素の種類が多く、各要
素の形、配列等が複雑であり樹種に大きく変化に富むた
めに、広葉樹の導管やミズフ等の組織を模した凹凸模様
がより好ましい。尚、導管とは樹木において水分の通導
作用をつかさどる細胞群であり、典型的には多数の円筒
ないしはそれに近い形をした細胞(導管要素)が軸方向
に連続して合体し、文節をもった不確定の長さの管状の
構造を形成しているものであり、各細胞は軸方向に接合
部の壁の殆ど全部、又は一部を消失している。上記接続
部分をせん孔板と言い、消失してできた孔の部分をせん
孔と呼ぶ。せん孔には、単せん孔及び、階段せん孔、網
状せん孔、マオウ型せん孔等の多孔せん孔等がある。
又、導管の横断面形状は放射方向に長い楕円形を示すこ
とが多く、完全な円形というのは少ない。また、導管の
直径は木の種類により、また同一種であっても部分によ
り差が認められたりする。例えば樹種がミズナラの場
合、導管の直径は100〜300μm(分布数は4〜9
mm2 )程度、せん孔は単せん孔であり、長さ0.3 〜0.5
mm、壁厚み2.5〜4μm程度である。。又、ミズフと
は、放射柔細胞等の放射方向に走る組織の断面であり斑
点状模様を呈する。図7は天然木の組織を模した凹凸模
様の1例を示す部分断面図であり、図7に示すように天
然木の組織を模した模様5は、天然木目板表面から型取
りした木細胞の繊維状組織、ミズフ、導管、及びそれら
の切断面の凹凸等が挙げられる。本発明は、上記の溝状
凹凸模様4と天然木の組織を模した凹凸模様5との2つ
の凹凸模様を組み合わせたところに大きな特徴がある。
【0011】本発明化粧シート1に用いる基材シート3
は特に制約されるものではなく、化粧シート1の用途等
に応じて材質、厚さ等を適宜選定することができる。例
えば熱可塑性樹脂シートとしてポリ塩化ビニル、セルロ
ース樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリエステ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリカーボネ
ート、ポリビニルアルコール、ポリアミド等があり、又
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂放射線硬化性樹脂
等を用いることもできる。基材シート3の厚さは0.05
〜0.2mmの範囲が取り扱いが容易であり好ましい。
【0012】また、図2に示すように本発明木目調化粧
シート1では、光輝性を付与するために基材シート3の
表面側に光輝性層6を設けることができる。光輝性層6
は基材シート3の裏面側又は両面に設けてもよい。また
図示しないが、化粧シートに光輝性を与えるために基材
シート3に光輝性顔料を含有する熱可塑性樹脂シートを
用いてもよい。光輝性層6は、金属の蒸着や光輝性顔料
を含有するインキ(光輝性インキ又はパールインキと呼
ぶ)のベタ印刷又はパターン印刷によって形成すること
ができてる。蒸着に使用する金属はアルミニウム、クロ
ム、銅等の常用のものでよい。光輝性インキや熱可塑性
樹脂シートに用いる光輝性顔料の具体的な例を挙げれ
ば、パール顔料と称するもの、具体的には貝殻の内側
の部分や真珠を粉砕したもの、マイカの微粒子に酸化チ
タン又は酸化鉄を焼き付けたもの、金属粉、具体的に
は銅、アルミニウム、真鍮、青銅、金、銀等の好ましく
は1〜120μmの微粒子、蒸着されたプラスチック
フィルムの破片、例えばポリエチレンテレフタレートフ
ィルムに上記のような金属(通常はアルミニウム)を蒸
着して粉砕したもの(銀色粉)、蒸着ののち透明な黄色
塗装を行って粉砕したもの(金色粉)等がある。光輝性
層6を形成するためには、ビヒクルとしてビヒクルとし
てビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトロセルロース、
アミノアルキッド樹脂、ブチラール樹脂等を使用し、上
記の光輝性顔料を分散してインキを用い、基材シート・
上にグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の
公知の印刷手段を用いて形成する。また基材シートに熱
可塑性樹脂シートを用いて、熱可塑性樹脂に光輝性顔料
を含有せしめる場合には、熱可塑性樹脂に上記顔料を練
り込んでシート化すればよい。この場合光輝性顔料は樹
脂に対して5〜30重量%の添加が好ましい。
【0013】本発明化粧シート1は図1に示すように艶
調整層7、導管印刷層8、絵柄印刷層9等を設けてもよ
い。導管印刷層8は天然木目の導管溝模様を再現するた
めのパターン印刷層である。導管印刷層8は艶消し状に
形成することもでき、例えば艶消し剤として粒径が0.
1〜10μmの炭酸カルシウム、シリカ、タルク、クレ
イ、シラスバルーン等の粉末を用い、インキに対して1
〜20重量%添加して印刷することで艶消し状に形成で
きる。艶調整層7で光沢感を出して、導管印刷層8を艶
消し状に形成することで、導管模様が窪んで見える所謂
グロスマット効果が得られ、天然木に極めて似た木目感
が得られる。
【0014】絵柄印刷層9は、化粧シートにおいて賦与
しようとする意匠内容によって適宜選定することができ
る。絵柄印刷層9の意匠として例えば木目の年輪の断面
模様等の絵柄、木目板全体の基本色調を与える全面ベタ
の着色等が挙げられる。絵柄印刷層9は、上記の溝状凹
凸模様4と同調させることにより、より意匠性に優れた
木目調外観を現出させることができる。例えば柾目木材
面の照りを忠実に再現するためには、木目模様の絵柄印
刷層がウェーブ状曲線群からなる凹凸模様の流れ方向
(縦方向)と交差するように形成するとよい。より好ま
しくは凹凸模様と絵柄印刷層が略直交するように交差さ
せて設けることである。
【0015】上記の艶調整層7導管印刷層8や絵柄印刷
層9は該印刷層はビヒクルに可塑剤、着色剤等を添加し
たインキ又は塗料を用いてグラビア印刷、フレキソ印
刷、シルクスクリーン印刷等で形成される。上記ビヒク
ルとしては、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、
酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、アミノアルキッ
ド樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン系樹脂、エボキシ系
樹脂等の合成樹脂、或いは塩化ゴム等のゴム誘導体等を
使用する。また、電離放射線硬化性樹脂を使用すること
もできる。
【0016】透明プラスチックシート10は、塩化ビニ
ル系、アクリル系、ウレタン系、アクリル系、エポキシ
系、ポリカーボネート等の樹脂からなる透明又は半透明
のシートを用いることができる。該シートの厚みは20
〜200μm程度、好ましくは50〜100μm程度で
ある。接着剤11は公知のドライラミネート法で使用す
る透明な接着剤であり、例えば酢酸ビニル等のエマルジ
ョン系、アクリル系、ウレタン系等の接着剤が使用でき
る。化粧シート1は透明プラスチックシート10と上記
の凹凸模様2を形成した基材シート1のどちらかに接着
剤11を塗工し、乾燥させた後、両シートを重ね合わせ
圧着して一体化させる。又、本発明の化粧シートの態様
としては図8のような構成をとることもできる。図8に
示す木目調化粧シート1は基材シート3に透明プチスチ
ックシート10を用い、その裏面側に溝状凹凸模様4と
天然木の組織を模した凹凸模様5の凹凸模様2を設け、
該凹凸模様2側に絵柄印刷層9、光輝性層6が順次設け
られている。
【0017】次に本発明木目調化粧シートの製造方法に
ついて説明する。本発明木目調化粧シート1は、先ず上
記の2種類の凹凸模様に対応する凹凸を賦型したエンボ
ス版を製造し、次いで、該エンボス版表面の凹凸形状に
対応した凹凸模様を化粧シート1を構成する基材シート
3に賦型して得られる。図3は本発明エンボス版の1実
施例を示す部分縦断面図である。本発明エンボス版21
は凹部及び凸部の幅が1〜1000μmの、平行直線
群、連続する曲線群、関数曲線のパラメータを順次変化
させて各曲線の間隔が線方向に滑らかに変化するように
形成したウェーブ状曲線群、上記平行直線群、曲線群及
びウェーブ状曲線群を組み合わせた線群から選ばれた線
群からなる溝状凹凸模様4と、天然木の組織を模した凹
凸模様5との2種類の凹凸模様が表面に形成されている
ものである。即ち、上記の2種類の凹凸模様は上記化粧
シート1の凹凸模様2に対応した凹凸模様で有ればよ
い。
【0018】本発明エンボス版21を製造するには、実
際の木の組織を撮影した写真原版から(必要に応じ縮
小、拡大を行い)公知の光蝕刻法、レジストを形成して
エッチングする方法、実際の木の組織から型取りして電
鋳により形成する電鋳法等の製版手段を用いて、エンボ
ス版基材に凹凸模様を形成する。エンボス版基材の材質
は亜鉛、銅、真鍮、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼等
の金属板、硝子や、セラミックス、エポキシ樹脂、ジア
リルフタレート樹脂等の合成樹脂等が使用できる。通常
は版への冷却、伝熱性、耐久力、加工の容易さ等の点か
ら、鉄心円筒の表面に銅メッキし、該銅層に凹凸模様を
形成し、更に該凹凸模様上にクロムメッキした構成が好
ましく、エンボス版基材の厚みは通常行われる範囲等で
よい。また、本発明エンボス版21は平版状でも円筒状
のどちらでもよいが、円筒状に形成するとエンボスシー
トを連続的に製造する場合、基材シートに熱可塑性樹脂
を用いて連続的に凹凸模様を形成できるため好ましい。
【0019】基材シート3に凹凸模様2を設けるには、
従来公知の平版プレス機、ロールエンボス機等の各種プ
レス機械に上記エンボス版21を装着し、基材シート3
を加熱、加圧下で当接させる。次に、基材シート3に必
要な層(例えば光輝性層等)を印刷加工して設け、加熱
エンボス加工により表面側及び/又は裏面側に上記の方
法で凹凸模様を設ける。尚、上記の印刷加工とエンボス
加工の順序は何方を先に行ってもよい。或いは亦、特開
昭57−87312号公報、特開平2−131175号
公報等で開示されている様な、凹版のセル内に紫外線又
は電子線硬化型塗料を充填し、基材シートを該充填凹版
上に被覆させて電子線又は紫外線を照射し、該塗料を硬
化と同時に接着させた後、該基材シート及びそれと接着
した硬化塗料を離型して基材シート上に凹凸模様状の硬
化塗料層を形成する方法によってもよい。
【0020】本発明木目調化粧シート1は、裏面側を被
貼着体に接着することにより、美麗な化粧合板を得るこ
とができる。該化粧シート1を貼着させ得る被貼着体と
しては、通常化粧材の基材として使用するものであれば
如何なるものでもよい。その具体例としては、薄葉紙、
晒クラフト紙、チタン紙、リターン紙、板紙、ビニル壁
紙原反、石膏ボード紙等の紙類、木、合板、パーチクル
ボード等の木質基材、石膏ボード、石膏スラグボード等
の石膏系基材、鉄板、亜鉛メッキ鋼板、塩化ビニルゾル
塗装鋼板、銅板、アルミニウム板等の金属板等が挙げら
れる。
【0021】図4に本発明エンボス版の他の例を示す。
本発明エンボス版は、図4に示すように化粧シート1に
おいて凹部として形成される部位を、凸部としてではな
く凹部22として形成することもできる(凹エンボス
版)。そして、この凹エンボス版を用いて木目調化粧シ
ートを製造する際には、プラスチックシート等の表面に
本発明エンボス版21を加熱加圧して賦型フィルムを一
度製造し、未硬化の熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹
脂等の表面に上記賦型フィルを接触させた状態で硬化さ
せた後、賦型フィルムを剥離することで、表面にエンボ
ス版21の表面形状と同様な形状の樹脂層からなる基材
シートを得ることができる。
【0022】次に、具体的実施例を挙げて本発明を更に
詳細に説明する。 実施例1 (1)エンボス版の製造 全円周の1/4の弧を隣接する弧の凸方向が交互に逆向
きになるように連結させてなるウェーブ状の曲線を作図
した縞模様と、導管及びミズフを有するナラ柾目を撮影
して得た木肌模様を重ね焼きした原版から、光蝕刻法に
より銅板を腐食して、縞模様に対応する凹部の深さが1
5μm、凸部の幅が30μmの微細凹凸模様と、木肌模
様に対応する凹部の深さが15μmの微細凹凸模様の2
種類の微細凹凸模様が形成されたロールエンボス版を得
た。 (2)化粧シートの製造 厚さ0.08mmのブラウン色に着色された塩化ビニルシー
ト(理研ビニル製:可塑剤12.5phr.)の表面
に、パールインキ(諸星インキ製:VWパール 9:1 15
%)を用いてスクリーン線数が40線/cm、版深が6
0μmのグラビアベタ版を用いてベタ印刷を行い、更に
該ベタ印刷の表面に印刷用インキ(昭和インク製:化
X)を用いて木目模様を印刷した。次に、ベタ印刷と木
目印刷を施した塩化ビニルシートの木目印刷の上から2
種類の微細凹凸模様を形成したロールエンボス版を用
い、加熱ドラム温度160°C、エンボスロール温度6
0°C、シート送り速度10 m/min、の条件でエンボス
加工を施して塩化ビニルシートの表面に凹凸模様を形成
してエンボスシートを得た。他方、厚さ0.08mmの透明
な塩化ビニルシート(理研ビニル製:可塑剤12.5p
hr.)の表面に、艶調整インキ(昭和インク製:WP
No.18)を用いてベタ印刷を行い、更に該ベタ印刷の表
面に艶消し印刷インキ(昭和インク製:G&M導管)に
て導管柄を印刷し、該シートの裏面側に上記のエンボス
シートの微細凹凸模様を形成した面と積層させドライラ
ミネート法により(2液型ウレタン系透明接着剤、塗布
量5μm/ドライ)2枚のシートを貼り合わせて化粧シ
ートを得た。
【0023】
【発明の効果】本発明木目調化粧シートは、少なくとも
表面及び/又は裏面に凹凸模様が設けられた基材シート
を有する化粧シートにおいて、上記凹凸模様が凹部及び
凸部の幅が1〜1000μmの、平行直線群、連続する
曲線群、関数曲線のパラメータを順次変化させて各曲線
の間隔が線方向に滑らかに変化するように形成したウェ
ーブ状曲線群、上記平行直線群、曲線群及びウェーブ状
曲線群を組み合わせた線群から選ばれた線群からなる溝
状凹凸模様と、天然木の組織を模した凹凸模様との2種
類の凹凸模様からなる構成を採用したことにより、従来
の単なる凹凸模様に平行曲線群を用いた化粧シートと比
較して、よりリアルな天然木の表面に類似した化粧シー
トを得ることができる効果を有する又、上記木目調化粧
シートにおいて、基材シートに光輝性顔料を含有する熱
可塑性樹脂シートを用いたり、基材シートの裏面側及び
/又は裏面側に光輝性層を設けた場合、上記の照りの移
動に加えて光輝性により化粧シートに、より天然木に近
いリアルな意匠感を与えることができる。また、本発明
エンボス版は、凹部及び凸部の幅が1〜1000μm
の、平行直線群、連続する曲線群、関数曲線のパラメー
タを順次変化させて各曲線の間隔が線方向に滑らかに変
化するように形成したウェーブ状曲線群、上記平行直線
群、曲線群及びウェーブ状曲線群を組み合わせた線群か
ら選ばれた線群からなる溝状凹凸模様と、天然木の組織
を模した凹凸模様との2種類の凹凸模様が表面に形成し
た構成により、上記の木目調化粧シートを確実に製造す
ることができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明木目調化粧シートの凹凸模様の1例を示
す平面図である。
【図2】本発明木目調化粧シートの1例を示す部分縦断
面図である。
【図3】本発明エンボス版の1例を示す部分縦断面図で
ある。
【図4】本発明エンボス版の他の例を示す部分縦断面図
である。
【図5】木目調化粧シートに設けられた溝状凹凸模様の
態様を示す平面図である。
【図6】木目調化粧シートに設けられた溝状凹凸模様の
一部を示す断面図である。
【図7】木目調化粧シートに設けられた天然木の組織を
模した凹凸模様の1例を示す断面図である。
【図8】本発明木目調化粧シートの他の態様を示す部分
縦断面図である。
【図9】ウエーブ状曲線群溝が光源や観察者の方向によ
って光沢部分が移動して見える原理を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 木目調化粧シート 2 凹凸模様 3 基材シート 4 溝状凹凸模様 5 天然木の組織を模した凹凸模様 6 光輝性層 21 エンボス版
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B44C 1/24 B41C 1/00 B44C 3/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも表面及び/又は裏面に凹凸模様
    が設けられた基材シートを有する化粧シートにおいて、
    上記凹凸模様が凹部及び凸部の幅が1〜1000μm
    の、平行直線群、連続する曲線群、関数曲線のパラメー
    タを順次変化させて各曲線の間隔が線と直交する方向に
    滑らかに変化するように形成したウェーブ状曲線群、上
    記平行直線群、曲線群及びウェーブ状曲線群を組み合わ
    せた線群から選ばれた線群からなる溝状凹凸模様と、天
    然木の組織を模した凹凸模様との2種類の凹凸模様から
    なることを特徴とする木目調化粧シート。
  2. 【請求項2】基材シートが光輝性顔料を有する熱可塑性
    樹脂シートである請求項1記載の木目調化粧シート。
  3. 【請求項3】基材シートの表面側及び/又は裏面側に光
    輝性層が設けられている請求項1〜2記載の木目調化粧
    シート。
  4. 【請求項4】凹部及び凸部の幅が1〜1000μmの、
    平行直線群、連続する曲線群、関数曲線のパラメータを
    順次変化させて各曲線の間隔が線と直交する方向に滑ら
    かに変化するように形成したウェーブ状曲線群、上記平
    行直線群、曲線群及びウェーブ状曲線群を組み合わせた
    線群から選ばれた線群からなる溝状凹凸模様と、天然木
    の組織を模した凹凸模様との2種類の凹凸模様が表面に
    形成されていることを特徴とするエンボス版。
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