JP4788452B2 - エンボス化粧板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
凹凸模様による表面凹凸意匠を有する化粧板の製造方法としては、例えば、(1)基板上にポリエチレン等の熱可塑性樹脂層をエンボス加工時に変形可能な受容層として設けた上で、この上に熱硬化性樹脂塗料を塗布し、加熱して得られる完全硬化状態(或いは不完全硬化状態)の塗膜に対して、塗膜表面からエンボス加工で熱可塑性樹脂層にまでいたる凹凸模様を賦形して化粧板とする方法(例えば、特許文献1参照)が開示されており、また(2)シルクスクリーン印刷による盛り上げ印刷で、インキの厚みを利用して凹凸模様を賦与させて化粧板とする方法が知られている。
また、前記(2)の方法におけるシルクスクリーン印刷による凹凸模様では、凹凸模様の凸部は印刷面が露出し、凹部は基調塗膜面が露出し凹部の基調色と凸部(凹凸模様)の印刷色とのコントラストが影の様に表現されることで奥行き感のある意匠は得られるが、木目柄では導管が太くなり、微細な凹凸感は得られない等、凸部と凹部の境界が不自然に強調されて粗雑な意匠感となり、高級感は得られない、という問題があった。
そして、この公報においては、好ましい態様として、前記上塗塗膜を着色層として形成し、上塗塗膜の熱硬化性樹脂が未だ完全硬化しない間に、上塗塗膜の凹凸模様における凸部上のみに上塗塗膜と別色調のインキ層を形成する、硬化性樹脂エンボス化粧板の製造方法が示されている。
このエンボス化粧板の製造方法によれば、製造過程や使用環境下で凹凸模様が平坦化せず、凹凸模様による凹凸意匠の耐久性が良好であり、かつ化粧板表面の耐久性も良好なエンボス化粧板が得られる。
しかしながら、上塗塗膜の凹凸模様における凸部上のみに、該上塗塗膜と別色調のインキ層(柄印刷層)を形成する方法においては、凸部上から凹部の斜面にインキが流れ込み付着することはあるものの、凹部の底部中心部分に柄付けを強制的に行うことは規定していない。そのため、凸部上に設けられた柄印刷層は、凹部における底部分の基調色層の影響を受けて高意匠性が付与されにくいという問題がある。この問題は、特に木目柄エンボス化粧板において顕著である。
なお、凹凸模様の凹部の底部中心部分に、強制的に柄付けを行う方法としては、ワイピング法が知られているが、基材が鋼板であるグラビア印刷法で柄付けを行うことは知られていない。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)基板上に、完全硬化した熱硬化性樹脂を主体とし、かつ、表面に凹凸模様を有する基調色層が設けられ、さらにその上にグラビアオフセット印刷により柄印刷層が設けられてなるエンボス化粧板であって、前記凹凸模様における凹部の少なくとも一部において、その底部中心部分に前記グラビアオフセット印刷により柄付けが施されていることを特徴とするエンボス化粧板、
(2)凹凸模様における凹部の形状が間口0.2〜1.0mm、深さ10〜25μm、及び凹部壁面の水平面に対する角度45〜90度である上記(1)に記載のエンボス化粧板、
(3)基板と基調色層との間にプライマー層を有する上記(1)又は(2)に記載のエンボス化粧板、
(4)柄印刷層上に透明保護層を有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のエンボス化粧板、
(6)基板が鋼板である上記(1)〜(5)のいずれかに記載のエンボス化粧板、
(7)(A)基板上に直接に、又はプライマー層を有する基板の該プライマー層上に、熱硬化性樹脂を主体とする基調色層形成材料を塗布・乾燥して不完全硬化基調色層を形成する工程、(B)前記不完全硬化基調色層の表面にエンボス版を押圧して、凹部においても前記不完全硬化基調色層が有限の厚みを有する凹凸模様を形成する工程、(C)表面に凹凸模様を有する不完全硬化基調色層に、グラビアオフセット印刷を施し、柄印刷層を形成すると共に、凹凸模様の凹部の少なくとも一部において、その底部中心部分に柄付けを施す工程、及び(D)前記の表面に凹凸模様を有する不完全硬化基調色層を完全硬化させる工程、を有することを特徴とするエンボス化粧板の製造方法、
(8)さらに、(E)柄印刷層上に透明保護層を設ける工程を有する上記(7)に記載のエンボス化粧板の製造方法、
(9)(C)工程の後に、さらに(E’)柄印刷層上に不完全硬化の透明熱硬化性保護層を設ける工程を有し、かつ(D)工程の代わりに、(D’)不完全硬化基調色層と共に、不完全硬化の透明熱硬化性保護層を完全硬化させる工程を有する上記(7)に記載のエンボス化粧板の製造方法、
(10)(A)工程において、凹凸模様における凹部の形状が、間口0.2〜1.0mm、深さ10〜25μm、及び凹部壁面の水平面に対する角度45〜90度である上記(7)〜(9)のいずれかに記載のエンボス化粧板の製造方法、
(11)(A)工程において、熱硬化性樹脂を主体とする基調色層形成材料における熱硬化性樹脂が、熱硬化性ポリエステル樹脂である上記(7)〜(10)のいずれかに記載のエンボス化粧板の製造方法、及び
(12)基板が鋼板である上記(7)〜(11)のいずれかに記載のエンボス化粧板の製造方法、
を提供するものである。
本発明のエンボス化粧板は、基板上に、完全硬化した熱硬化性樹脂を主体とし、かつ、表面に凹凸模様を有する基調色層が設けられ、さらにその上にグラビアオフセット印刷により柄印刷層が設けられてなるエンボス化粧板であって、前記凹凸模様における凹部の少なくとも一部において、その底部中心部分に前記グラビアオフセット印刷により柄付けが施されていることを特徴とする。
本発明のエンボス化粧板に用いられる基板としては、エンボス加工時の熱、あるいは基調色層やプライマー層形成時の加熱硬化時の熱に耐え得る耐熱性を有するものであればよく、特に制限されず、例えば従来公知の化粧板における各種材料を、用途に応じて適宜採用すればよい。従って、例えば、基板の材料としては、金属系、無機非金属系(セラミックス系、非セラミックス窯業系等)が代表的であるが、この他、木質系、耐熱性が許せば樹脂系等でもよい。
前記熱硬化性樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などが挙げられ、これらの中でスルホン酸塩系の硬化触媒を用いた不飽和ポリエステル樹脂が好適である。また、基調色層に対し、好適なエンボス加工適性を付与する観点から、重量平均分子量が約7000〜10000のポリエステル樹脂とメラミン樹脂とからなる熱硬化性のポリエステル樹脂系塗料を使用することが望ましい。該重量平均分子量がこの範囲にあるとエンボス加工時に硬過ぎたり軟らか過ぎたりしてエンボス加工適性が低下するのを抑制することができる。さらに、この塗料は130〜170℃程度の温度にて硬化反応を開始する物が良い。硬化反応開始温度がこの範囲にあると、エンボス加工時に硬過ぎたり軟らか過ぎたりしてエンボス加工適性が低下するのを抑制することができる。
この基調色層の厚みは、表面に所定の深さの凹部をもつ凹凸模様を有し、かつ該凹部においても基調色層が有限の厚みを有するような厚みであればよく、特に制限はないが、凸部において、通常20〜40μm程度、好ましくは25〜35μmである。
本発明のエンボス化粧板においては、前記基調色層と基板との間に、該基調色層と基板との密着性及び耐食性を高める目的でプライマー層を設けることができる。
このプライマー層は、通常基板に基調色層を施す前に、予め該基板上に形成される。当該プライマー層は、一般に熱硬化性樹脂の完全硬化層として、基板上に形成される。このプライマー層は、通常着色剤を含まず、耐食性を向上させるための防錆顔料を含ませるが、必要に応じ、さらに着色剤を添加して着色プライマー層として形成してもよい。
このように、熱硬化性樹脂の完全硬化層からなるプライマー層を設けることにより、その上に設けられる基調色層の基板に対する密着性が向上し、該基調色層表面の凹凸模様の耐久性が良好となると共に、塩水等による腐食に対する耐食性を向上させることができる。このプライマー層の厚みは、通常1〜10μm程度であり、好ましくは1〜3μmの範囲である。
当該プライマー層の形成材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂を含む公知の硬化性塗料を用途等に応じて適宣採用することができる。特に、代表的には、スルホン酸塩系の硬化触媒を用いた不飽和ポリエステル樹脂が挙げられる。
また、上記防錆顔料としては、リン酸亜鉛系、クロム酸系の顔料が挙げられるが、環境を配慮するとクロム酸系よりもリン酸亜鉛系の方が好ましい。
さらに、防錆顔料に加えて着色剤を添加する場合に着色剤としては、例えば酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、酸化鉄、黄鉛、酸化クロム、群青、メタリック顔料、パール顔料等を用いることができる。
そして、本発明の特徴である、前記凹凸模様における凹部の少なくとも一部において、その底部中心部分に前記グラビアオフセット印刷により強制的に柄付けが施されている。
前記柄印刷層形成用の塗料としては、以下に示すバインダー樹脂及び着色剤を含むものを用いることができる。バインダー樹脂としては、例えば、前記基調色層の説明において列記した様な、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂が表面物性等の点で好ましい。また、着色剤としては公知の着色剤、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、酸化鉄、黄鉛、酸化クロム、群青、メタリック顔料、パール顔料等を用いることができる。
この柄印刷層の厚みは、通常1〜10μm程度、好ましくは1〜3μmである。
本発明においては、表面に凹凸模様を有する基調色層上に、グラビアオフセット印刷により柄印刷層を設ける際に、該凹凸模様の凹部の少なくとも一部において、その底部中心部分に柄付けが効果的に行われるように、凹部の形状を、間口が0.2〜1.0mm(従来の1.5〜2倍程度)、深さが10〜25μm、及び凹部壁面の水平面に対する角度が45〜90度を有する形状にすることが好ましい。凹部をこのような形状にすることによって、良好な凹凸感を付与し得ると共に、グラビアオフセット印刷により、該凹部の底部中心部分に、容易に柄付けを行うことができる。
なお、本発明においては、凹凸模様の凹部全てが、底部中心部分に柄付がなされている必要はなく、柄付けがなされた凹部と柄付けがなされていない凹部とが、適当な割合で混在していてもよい。
凹凸模様の凹部における基調色層は有限の厚みを有し、その厚みは、耐食性などの観点から、通常5〜30μm程度、好ましくは10〜20μmである。
これらの凹凸模様の中で、特に木目模様が好ましい。天然木材板が有する木目導管溝をできる限り忠実に再現して、質感、高級感、意匠性を高めたエンボス化粧板は、建築物内装材、家具、家電製品のキャビネット表面材等に多用されている。
この透明保護層は、それを構成する材料として熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などを用いることができるが、機能及び生産性などの観点から、熱硬化性樹脂が好ましい。
この熱硬化性樹脂は、公知の樹脂を適宣採用すればよく、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂等を用いることができる。また、透明保護層にはその透明性を損なわない範囲内で、シリカ微粒子等の公知の艶消剤を添加して適度な艶に調整してもよいし、また公知の着色剤で適宣の色調に着色してもよい。さらに、必要に応じその他の公知の添加剤等を、適宣添加してもよい。例えば、銀イオン担持ゼオライト粒子等の抗菌剤等を添加することができる。
当該透明保護層の厚みとしては特に制限はなく、用途に応じて適宣選定されるが、通常1〜25μm程度、耐候性・加工性を必要とする用途においては1〜5μmの範囲がより好ましい。また、透明保護層の厚みが厚くなるほど、透明保護層の下となる凹凸模様は内部凹凸模様として感じられ、内部凹凸模様の意匠にもできる。なお、透明保護層で凹凸模様の凹凸形状を完全に埋め尽くしてもよい(内部凹凸模様となる)。
図1で示されるエンボス化粧板10は、プライマー層2を有する基板1の該プライマー層2上に、完全硬化した熱硬化性樹脂を主体とする、表面に凹凸模様を有する基調色層3が設けられ、さらにその上に、グラビアオフセット印刷により柄印刷層4が設けられており、そして、この柄印刷層4は、凹凸模様の凹部における傾斜面及び底部にも設けられている。この柄印刷層4上には、さらに透明保護層5が形成されている。
一方、図2で示されるエンボス化粧板10’は、プライマー層2を有する基板1の該プライマー層2上に、完全硬化した熱硬化性樹脂を主体とする、表面に凹凸模様を有する基調色層3’が設けられ、さらにその凸部上に、グラビアオフセット印刷により柄印刷層4’が設けられている。この場合、基調色層の表面に形成された凹凸模様の凹部には柄印刷層は設けられていない。そして、柄印刷層4’が設けられ、かつ表面に凹凸模様を有する基調色層3’上には、さらに透明保護層5’が形成されている。
図1で示されるエンボス化粧板10における凹凸模様の凹部6と、図2で示されるエンボス化粧板10’における凹凸模様の凹部6’の形状を比べると、凹部6の方が凹部6’よりも深さが浅く、かつ間口が広い。このような形状の凹部6を有することにより、グラビアオフセット印刷により柄印刷層4を形成する際に、凹部の底部及び傾斜壁面部にも柄印刷層を形成し得ることが分かる。
本発明のエンボス化粧板の製造方法は、下記に示す(A)工程、(B)工程、(C)工程、及び(D)工程を有することを特徴とする。
[(A)工程]
この工程は、基板上に直接に、又はプライマー層を有する基板の該プライマー層上に、熱硬化性樹脂を主体とする基調色層形成材料を塗布・乾燥して不完全硬化基調色層を形成する工程である。
当該(A)工程においては、基板上に直接基調色層形成材料を塗布・乾燥して、不完全硬化基調色層を形成してもよいが、プライマー層を有する基板の該プライマー層上に、不完全硬化基調色層を形成することが、前述の理由により好ましい。
プライマー層の形成は、基板上にプライマー層形成材料を、例えばロールコート、フローコート、スプレーコートなどの公知の塗工法、グラビアオフセット印刷、シルクスクリーン印刷などの公知の印刷法により塗布後加熱処理し、不完全硬化又は完全硬化状態とすることにより、行うことができる。
前記硬化性塗料の塗布は、例えばロールコート、フローコート、スプレーコートなどの公知の塗工法、グラビアオフセット印刷、シルクスクリーン印刷などの公知の印刷法により行うことができる。
この工程は、前記不完全硬化基調色層の表面にエンボス版を押圧して、凹部においても前記不完全硬化基調色層が有限の厚みを有する凹凸模様を形成する工程である。
当該(B)工程において用いられるエンボス版としては、不完全硬化基調色層の表面に押圧することにより、凹部の形状が間口0.2〜1.0mm、深さ10〜25μm及び凹部壁面に対する角度45〜90度である凹凸模様を形成し得るものが用いられる。
前記エンボス版としては、平版のものでもよいが、ロール状のもの、すなわちエンボスロールの方が、連続生産性、及び広い面積にわたって連続した凹凸模様を賦形できる点で好ましい。またエンボス加工時の温度条件は、不完全硬化状態とした基調色層の、樹脂組成や硬化の進行度等による柔軟性、賦形する凹凸模様の凹部深さ等にもよるが、例えば、エンボス版に実用的なエンボスロールを用いる場合で凹凸模様を賦形するのに適した賦形直前の基調色層の温度を、130〜180℃程度とするのが望ましい。基調色層の温度がこの温度範囲より低くなると、硬化度合いが低く、粘着性が高くなるため、エンボス版で加圧しても、凹凸模様が賦形され難くなり、逆に版に塗膜が取られる場合がある。一方、基調色層の温度がこの温度範囲よりも高くなると、今度は硬化反応が進みすぎてこれにより基調色層の軟化度合いが低下し、柔軟性が低下する為にエンボス版で加圧しても、凹凸模様が賦形され難くなる。
また、基調色層の表面に形成される凹凸模様における凸部の天面の面積が広い場合、該天面にさらに細かな凹凸を付けることで、エンボス版を基調色層に圧着時の版離れを良くすることができる。
この工程は、表面に凹凸模様を有する不完全硬化基調色層に、グラビアオフセット印刷を施し、柄印刷層を形成すると共に、凹凸模様の凹部の少なくとも一部において、その底部中心部分に柄付けを施す工程である。
当該(C)工程においては、表面に凹凸模様を有する不完全硬化基調色層上に設けられる柄印刷層は、凸部上のみならず、該凹凸模様の凹部の少なくとも一部において、その底部中心部分に柄付けを効果的に施すために、ゴムロールを介してグラビア印刷するグラビアオフセット印刷により形成される。
前記凹部の柄付けにおいては、底部中心部分のみならず、底部全面あるいは傾斜壁面にも柄付けを行ってもよいし、柄付けされた凹部と柄付けされない凹部とが混在していてもよい。
[(D)工程]
この工程は、前記の表面に凹凸模様を有する不完全硬化基調色層を完全硬化させる工程である。
当該(D)工程においては、例えば熱風加熱、遠赤外線加熱などの公知の加熱方式により、通常150〜250℃程度、好ましくは200〜230℃程度の温度で加熱処理して、前記の不完全硬化基調色層を完全硬化させる。この際、プライマー層が不完全硬化の場合はこのプライマー層、及び該不完全硬化基調色層上に設けられた柄印刷層も同時に完全硬化させる。
本発明においては、このようにして得られたエンボス化粧板の表面に、前述の理由から、所望により、透明保護層を設けることができる。
この透明保護層の形成には、該透明保護層を構成する樹脂の種類により、下記の(E)工程又は(E’)工程を設ける二つの方法がある。
この工程は、前記(D)完全硬化工程の後に、柄印刷層上に透明保護層を設ける工程である。
当該(E)工程は、透明保護層を構成する樹脂が、例えば、2液混合型硬化性樹脂、熱可塑性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂である場合に適用される。
前記熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、アイオノマー樹脂などが挙げられ、電離放射線硬化性樹脂としては、例えばアクリル系のものなどを挙げることができる。
当該(E)工程においては、前記の熱可塑性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂を含む塗工液を、例えばロールコート、フローコート、スプレーコートなどの公知の塗工法、グラビアオフセット印刷、シルクスクリーン印刷などの公知の印刷法により、柄印刷層上に塗布後、熱可塑性樹脂の場合には、乾燥処理することにより透明保護層を形成することができ、一方、電離放射線硬化性樹脂の場合には、乾燥処理したのち、紫外線や電子線を照射することにより透明保護層を形成することができる。
この工程は、透明保護層を構成する樹脂が、熱硬化性樹脂である場合に適用される工程であって、前記(C)柄印刷層形成工程の後に、柄印刷層上に不完全硬化の透明熱硬化性保護層を設ける工程である。
そして、この場合、前記(D)工程の代わりに、(D’)不完全硬化基調色層と共に、不完全硬化の透明熱硬化性保護層を完全硬化させる工程を施す。この際、プライマー層が不完全硬化の場合はこのプライマー層、及び該不完全硬化基調色層上に設けられた柄印刷層も同時に完全硬化させる。これにより、表面に透明保護層が設けられた本発明のエンボス化粧板が得られる。
これらの二つの方法を比較した場合、生産性の面から、後者の方法、すなわち(E’)工程を設ける方法が、インラインで一環して行うことができるので好適である。
本発明のエンボス化粧板は、表面に凹凸模様を有し、該凹凸模様の凹部の少なくとも一部において、その底部中心部分に柄付けが効果的に施されることにより、凹部の柄抜けがなく、高意匠性を有している。
本発明のエンボス化粧板の用途については特に制限はなく、用途に応じた基板の材質や形状、その他構成を採用することで、各種用途に使用することができる。例えば、壁面、天井等の建築物の内外装材、自動車、電車、航空機、船舶等の乗物内装材、扉、手摺、敷居、鴨居等の建具、電気製品等のキャビネット、家具類等に好適に用いられる。
実施例1
図1の断面図に示すエンボス化粧板10を、以下のようにして作製した。
まず、基板1として厚み0.6mmの鉄−亜鉛合金系めっき鋼板(シルバーアロイ)の表面側に、一般的な熱硬化性ポリエステル樹脂系プライマーをロールコート法により、乾燥時の厚みが2μmになるように塗布後、加熱乾燥して完全硬化状態のプライマー層2を形成した。次いで、重量平均分子量8000のポリエステル樹脂を用いた熱硬化性ポリエステル樹脂系のブラウン系塗料をカーテンフローコータにより、乾燥時の厚みが35μmとなるように塗布後、塗膜温度160℃で加熱乾燥して、不完全硬化基調色層3を形成した。
引き続き、金属ロールの表面に凸状の柄模様を施したエンボスロールを温度130℃の前記不完全硬化基調色層の表面から押圧して、該不完全硬化基調色層の表面に、凹部6を有する凹凸模様を賦形した。
この凹凸模様は、凹部の形状が間口0.6mm、深さ15μm及び凹部壁面の水平面に対する角度50度であって、基調色層の厚みが凸部で35μm、凹部で20μmの木目板表面の導管模様である。
この際、エンボスロール内部に冷却水を循環し、さらにエンボスロール表面に冷水をかけて冷却し、エンボスロールの温度が100℃以上にならないように調整した。
前記柄印刷層の形成に引き続き、柄印刷層が施された基調色層全面にグラビアオフセット印刷にて、熱硬化性アクリル樹脂系の透明塗料を、乾燥厚みが2μmとなるように施し、透明保護層5を形成した。
最後に、塗膜温度220℃で焼付け乾燥・硬化を行い、各層の熱硬化性樹脂を完全硬化させることにより、所望のエンボス化粧板を製造した。
このエンボス化粧板の凹凸模様部分を、光学顕微鏡を用いて観察したところ、凹部の底部分及び傾斜壁面に柄付けが施されていることが確認された。
前記エンボス化粧板は、凹部の柄抜けがなく、木目柄の高意匠性を有するものであった。
図2の断面図に示されるエンボス化粧板10’を、以下のようにして作製した。
まず、実施例1と同様にして、基板1上に完全硬化状態のプライマー層2を形成したのち、その上に不完全硬化基調色層3’を形成した。
引き続き、金属ロールに凸状の柄模様を施したエンボスロールを、温度130℃〜150℃の範囲で制御しながら、前記不完全硬化基調色層の表面から押圧して、該不完全硬化基調色層の表面に、凹部6’を有する凹凸模様を賦形した。
この凹凸模様は、凹部の形状が間口0.3mm、深さ20μm及び凹部壁面の水平面に対する角度70度であって、基調色層の厚みが凸部で35μm、凹部で15μmの木目板表面の導管模様である。
この際、エンボスロール内部に冷却水を循環し、さらにエンボスロール表面に冷水をかけて冷却して、エンボスロールの温度が100℃以上にならないように調整した。
前記柄印刷層の形成に引き続き、柄印刷層が施された基調色層全面にグラビアオフセット印刷にて、熱硬化性アクリル樹脂系の透明塗料を、乾燥厚みが2μmとなるように施し、透明保護層5’を形成した。
最後に、塗膜温度220℃で焼付け乾燥・硬化を行い、各層の熱硬化性樹脂を完全硬化させることにより、所望のエンボス化粧板を製造した。
このエンボス化粧板の凹凸模様部分を、光学顕微鏡を用いて観察したところ、凹部の底部分には柄付けがなされておらず、また一部の凹部の傾斜壁面に柄付けされていることが認められた。
前記エンボス化粧板は、凹部の柄抜けにより、実施例1のものに比べて意匠性の低い木目柄のものであった。
2 プライマー層
3、3’ 基調色層
4、4’ 柄印刷層
5、5’ 透明保護層
6、6’ 凹部
7 ゴム胴
10、10’ エンボス化粧板
Claims (5)
- (A)基板上に直接に、又はプライマー層を有する基板の該プライマー層上に、熱硬化性樹脂を主体とする基調色層形成材料を塗布・乾燥して不完全硬化基調色層を形成する工程、(B)前記不完全硬化基調色層の表面にエンボス版を押圧して、凹部においても前記不完全硬化基調色層が有限の厚みを有する凹凸模様を形成する工程、(C)表面に凹凸模様を有する不完全硬化基調色層に、グラビアオフセット印刷を施し、柄印刷層を形成すると共に、凹凸模様の凹部の少なくとも一部において、その底部中心部分に柄付けを施す工程、及び(D)前記の表面に凹凸模様を有する不完全硬化基調色層を完全硬化させる工程、を有するエンボス化粧板の製造方法であって、
(B)工程において、凹凸模様における凹部の形状が、間口0.2〜1.0mm、深さ10〜25μm、及び凹部壁面の水平面に対する角度45〜90度であるエンボス化粧板の製造方法。 - さらに、(E)柄印刷層上に透明保護層を設ける工程を有する請求項1に記載のエンボス化粧板の製造方法。
- (C)工程の後に、さらに(E’)柄印刷層上に不完全硬化の透明熱硬化性保護層を設ける工程を有し、かつ(D)工程の代わりに、(D’)不完全硬化基調色層と共に、不完全硬化の透明熱硬化性保護層を完全硬化させる工程を有する請求項1に記載のエンボス化粧板の製造方法。
- (A)工程において、熱硬化性樹脂を主体とする基調色層形成材料における熱硬化性樹脂が、熱硬化性ポリエステル樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のエンボス化粧板の製造方法。
- 基板が鋼板である請求項1〜4のいずれかに記載のエンボス化粧板の製造方法。
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