JPH0624198A - 立体感を有する化粧材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 絵柄が特有の立体感を有し、意匠性の高い化
粧板を得る。 【構成】 好ましくは凹凸を有する絵柄４を施した基材
５、６上に、透明な合成樹脂層３、及び表面にプリズム
部１ａを形成するプリズムフィルム１を順次積層した化
粧版。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、立体感のある絵柄を有
する化粧材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、化粧材に絵柄を施す方法とし
ては、プラスチック基材、ガラス等に柄印刷したものを
転写あるいはラミネート印刷することが一般的に行われ
ている。また、このような絵柄を有する化粧材に加熱エ
ンボス等により、表面に凹凸を賦型し、化粧材全体に奥
行きを持たせることも行われている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、絵柄を
単に転写あるいはラミネート印刷するだけでは、平面的
な外観しか得られない。また、エンボス等により凹凸を
賦型しても絵柄自体に立体感を持たせることは困難であ
り、意匠性の面においては不十分である。本発明の目的
は、化粧材の意匠性についての上記のような問題を解決
することにあり、具体的には、凹凸を有するあるいは有
しない絵柄に対して視覚的に従来の化粧材が持つ以上の
立体感を持たせることにより意匠性を一層向上させた化
粧材を得ることにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、絵柄を施した基材、及びその上に積層した
透明プリズムフィルムとを有する化粧材を開示する。前
記絵柄が凹凸を有する絵柄であること、及び前記絵柄を
施した基材と前記プリズムフィルムの間にさらに透明層
を有するようにすることは、特に好ましい態様である。

【０００５】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、プリズムフィルムとは、図１に示すように表面
に三角形状の微細な突起を有する透明プリズム部１ａを
そのその長軸方向を互いに平行させて多数列配置したフ
ィルムのことをいう。この三角形状の突起は、プリズム
フィルムを透過する光を屈折させる。一般にプリズムに
入射した入射光線（透過光）Ｌはその入射角度範囲によ
って、その屈折光線がすべてが再帰反射する場合（全反
射）（図２ｂ）、一本の屈折光線として屈折透過する場
合（非分割屈折）（図２ｃ）、あるいは、再帰反射と２
分割屈折透過（Ｌ₁ 、Ｌ₂ ）の双方をとる場合（図２
ａ）があることはよく知られている。すなわち、光源光
の入射角度や観察者の視線の方向によって、プリズムを
透過してくる屈折光は複雑に変化する。

【０００６】本発明は、プリズムの持つ上記の光学的特
性を絵柄を有する化粧材の意匠性の向上の目的で巧みに
利用したものであり、化粧材の絵柄の上に上記のプリズ
ムフィルムを積層することにより、その絵柄に特有の立
体感及び光沢を与えるようにしている。プリズムフィル
ムを透過する光の屈折率は、三角形の頂角の大きさによ
り変化するため、絵柄の立体感は頂角の大きさにより調
節することができる。絵柄の立体感を強調するために
は、頂角を小さくすることが好ましいが、この場合絵柄
の幅は狭くなる。また頂角を大きくすると絵柄の幅は大
きくとれるが、立体感は低減する。視覚的に立体感と意
匠性の双方を満足した化粧材を得るためには、頂角の大
きさは90°〜 130°であることが望ましい。なお、本発
明に用いるプリズムフィルムとしては、例えば特公昭58
-23601号公報及び特開昭62-14410号公報等に開示されて
いるプリズムフィルムをそのまま適用することも可能で
ある。

【０００７】上記のプリズム形状を賦型するには、通常
のエンボス加工法によって透明フィルムをエンボスして
その表面にプリズム部１ａを形成するようにしてもよ
く、また、透明フィルム２を基材として用いその上に表
面物性の優れる透明硬化型樹脂を用いて盛り上げ印刷に
よりプリズム部１ａを形成するようにしてもよい（後述
する図３、図４参照）。特に、盛り上げ印刷の方法とし
て、図４に示すような装置を用いて行うことが好都合で
ある。すなわち、先ずロール凹版10の凹部11に電離放射
線硬化性樹脂12を後記するノゾル塗工装置13により充填
し、ロール凹版10に透明フィルム２を、充填した樹脂12
に接するように押圧ロール15を用いて接触させる。ノズ
ル塗工装置13は、ロール凹版10の回転方向の一定の開口
幅及びロール凹版10の全幅をカバーする幅方向長さを有
するノズル13a 、吐出量の変動や経時変化を緩和するた
めにアキュムレータとしての機能を果たすノズルの途中
の空洞13b 、及びノズル13a に対し電離放射線硬化性樹
脂12を加圧下に送出するための吐出装置（図示しない）
を備えている。

【０００８】次いで、透明フィルム２がロール凹版10に
接している間に（具体的には図４において押圧ロール15
と送りロール16との間に位置している時期）に、電離放
射線照射装置14により電離放射線を照射してロール凹版
10の内部にある電離放射線硬化性樹脂12を透明フィルム
２に密着せしめる。すなわち、電離放射線硬化性樹脂12
が透明フィルム２とロール凹版10の凹部11の間に保持さ
れている状態で電離放射線を照射して硬化させる。

【０００９】この際の硬化度合いは少なくとも電離放射
線硬化性樹脂12の流動性を失わせかつ透明フィルム２と
の密着性を生じる程度であればよい。照射装置14を通過
した後、透明フィルムをロール凹版10から剥離する。こ
れにより、硬化した電離放射線硬化性樹脂12が透明フィ
ルム２と一体となって、凹部11から離脱され、それによ
り電離放射線硬化性樹脂からなるプリズム部１ａを有す
るプリズムフィルム１を得ることができる。

【００１０】なお、ここで用いるプリズムフィルム１を
形成すべき透明フィルム２の材料としては、アクリル、
ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル等の透
明な合成樹脂からなる厚さ６〜２００μｍ程度のフィル
ムを用いることが好ましい。図４において、17は乾燥機
を示しており、溶剤タイプの電離放射線硬化性樹脂を素
材として使用する場合に、溶剤の乾燥のために用いられ
る。また特に図示しないが、電離放射線照射装置を凹版
の内部側に設けることもでき、それ単独であるいは外部
側の電離放射線照射装置と共同で電離放射線の照射を行
うようにしてもよい。

【００１１】ロール凹版は、クロムメッキした銅、鉄等
の金属、ガラス、石英等のセラミックス、シリコーン樹
脂等の合成樹脂等を用いて適宜の手法により円筒体を作
り、その表面に電子彫刻、エッチング、サンドブラス
ト、電鋳等の手法により所定の凹凸を形成する。次に、
絵柄を施す基材としては、化粧材に所望の強度を付与す
るものであれば、特に限定されるものではなく、絵柄印
刷に用いるインキ等を考慮し、任意のものを選択するこ
とができる。また、フィルム又はシート状のものでも板
状のものでもよく、また透明なものでも不透明なもので
もよい。例えば、フィルム又はシート状の場合、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビ
ニル、ポリエチレン等のフィルムを用いることができ
る。板状のものとしては、例えば電気亜鉛メッキ鋼板、
アルミニウム板等の金属板、木質板、陶磁器板、セメン
ト板、硝子板等の窯業系板、等を用いることができる。

【００１２】化粧材の絵柄としては、平面的なものでも
よいが、凹凸を有し立体的なものの方が意匠性に優れる
ので、盛り上げ印刷、発泡性インキ印刷あるいはエンボ
ス加工等により絵柄に凹凸を賦型することが好ましい。
化粧材に施す絵柄模様としては、特に限定されないが、
公知の各種木目、石目、布目等の天然物等の凹凸形状を
模写したもの、あるいは、文字記号、万線、各種の抽象
模様、各種艶消し表面、鏡面光沢等に対応した模様が挙
げられる。色彩についても特に限定されるものではない
が、明度・彩度の高い色彩を用いた方が、プリズムフィ
ルムによる意匠効果が高い。また、ガラスに貼る仕様の
化粧シート等全体が透明なものについては、絵柄自体も
着色透明のものとすることが好ましい。

【００１３】プリズムフィルムと化粧材の絵柄の間に必
要に応じて設ける透明層としては、透明なアクリル板、
ハポリカーボネート等の合成樹脂、硝子等の任意の材質
のものを用いることができ、また透明であれば着色され
たものであってもよい。なお透明層の厚さは通常２５〜
２００μｍ位いが好ましく、用いる材質の屈折率に応じ
て適宜選択する。また、透明層の接着に用いる接着剤に
ついても透明層と同様に透明なものを用いる。

【００１４】上記の材料を用いて、本発明の化粧材を製
造するには、通常以下のような方法による。先ず、基材
上に絵柄を施した後、必要に応じてその上に接着剤を塗
工しアクリル板等の合成樹脂を載置密着させる。この上
に、別途ロール凹版を用いて作製した電離放射線硬化性
樹脂からなるプリズム部を有するプリズムフィルムを該
プリズム部を外側にして積層することにより、本発明の
化粧材を得る。

【００１５】その際に、プリズムフィルムのプリズムの
長軸の方向と絵柄の方向とを適宜変えることにより、異
なった視覚感を生じさせることができる。従って、実際
の化粧材を製造するに際しては絵柄に応じてプリズムの
長軸の方向を適宜選択し、最も意匠性の高い視覚感を生
じさせる方向を選択すればよい。ちなみに、絵柄として
木目模様を用いる場合には、木目の走る方向とプリズム
の長軸方向とを一致もしくは略一致させた場合に、木目
の繊維感、照り（光沢）が再現できることが実験的に実
証されている。

【００１６】なお、透明層の存在は必ずしも必須でない
が、透明層を設けた場合には、透明層の存在により、絵
柄とプリズムとの距離をある程度隔離することが可能と
なり、絵柄を透過又は反射してきた光線の屈折量が大き
くなるため、より絵柄の立体感が増長される。さらに、
以上の説明では、プリズムフィルムのプリズム部が絵柄
層のある面とは逆の面となる場合について説明したが、
化粧材の特性として表面の平滑性が特に求められるよう
な場合には、プリズムフィルムを反転させ、プリズム部
と絵柄層とが対面するように積層させてもほぼ同様な視
覚効果が得られることは容易に理解されよう。

【００１７】

【実施例】本発明を実施例により説明する。図３は制作
された化粧板の模式的断面図を示している。最初に前記
図４に示したと同様な装置を用いて、プリズムフィルム
１を作製した。すなわち、ロール凹版10の凹部11に電離
放射線硬化性樹脂樹脂12をノズル塗工装置13により充填
し、ロール凹版10に透明フィルム２（厚さ75μｍ）を、
充填させた樹脂にも接するように押圧ロール15を用いて
接触させた。透明フィルム２がロール凹版10に接してい
る間に電離放射線装置14を用いて電離放射線を照射し、
樹脂を硬化させた。なお巻き取り速度は20m/min とし
た。

【００１８】次いで、基材として、電気亜鉛メッキ鋼板
６の表面に両面易接着性のＰＥＴ（ポリエチケレンテレ
フタレート）５を積層したものを用意し、該基材のＰＥ
Ｔ側に柄印刷４を蒸着処理をし、さらにその上かＰＥＴ
をラミネートした。この基材上に接着剤を塗工し、透明
アクリル板３（厚さ４mm）を積層した。更に上記のプリ
ズムフィルム１の透明フィルム面２に接着剤を3g／ドラ
イ塗工した後、アクリル板３上に積層し、本発明の化粧
材を得た。

【００１９】なお、本実施例において使用した材料及び
機器は以下の通りである。 電離放射線硬化性樹脂─セイカビーム 903-16 （大日精
化製） ロール凹版 ─版深25μ、先端角110 °施版 電離放射線照射装置 ─オゾン有の高圧水銀灯─160w/c
m 2 灯 透明フィルム ─H7W 75μ（帝人製）（両面易接
着） 電気亜鉛メッキ鋼板 ─ジンコール（新日鉄製） 接着剤 ─R-99（ポリエステル系）（東レ
製）

【００２０】

【発明の効果】本発明の化粧材は、プリズムフィルムの
有する光源からの入射角及び観察者の視線の角度によっ
て複雑に変化する屈折作用、光線の二分割化、全反射の
組合せによる固有の立体感を有するだけでなく、長軸方
向を平行に配置して多数形成された微少プリズム群の持
つ繊維状の光沢も加わって、化粧材に施された絵柄に応
じた特有の意匠効果を示す。すなわち、絵柄が木目の場
合は、立体感に加えいわゆる「照り」とよばれる天然木
の光沢に近い外観を示し、布帛等の繊維状のものである
場合は、布の持つ光沢が得られ、特に編み目には絹の様
なつやを持つ外観が得られる。また絵柄が大理石の場合
は、大理石の持つ質感を再現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 プリズムフィルムの表面を拡大した図。

【図２】 プリズムの光の屈折状態を説明する図。

【図３】 本発明による化粧材の断面図。

【図４】 本発明の実施に用いるのに好適なフィルム製
造装置を示す図。

【符号の説明】

１─プリズムフィルム、１ａ─プリズム部、２─基材フ
ィルム、３─透明アクリル板、４─絵柄、５─ＰＥＴ、
６─電気亜鉛メッキ鋼板、10─ロール凹版、11─凹部、
12─電離放射線硬化性樹脂、13─ノズル塗工装置、14─
電離放射線照射装置、15─押圧ロール、16─送りロー
ル、17─乾燥機

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 絵柄を施した基材、及びその上に積層し
   た透明プリズムフィルムとを有する化粧材。
2. 【請求項２】 前記絵柄が凹凸を有する絵柄であること
   を特徴とする、請求項１記載の化粧材。
3. 【請求項３】 前記絵柄を施した基材と前記プリズムフ
   ィルムの間に、さらに透明層を有することを特徴とす
   る、請求項１又は２記載の化粧材。