JP3594156B2 - ピックアップローラ清掃治具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、給紙用ピックアップローラの汚れを取り除くピックアップローラ清掃治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印刷装置(例えば、プリンタ、コピー機、印刷機等)の給紙機構では、図5に示すように給紙カセット1に複数枚の用紙3をセットし、この給紙カセット1を給紙機構のカセット装着部5に挿入することで給紙を行う。一般的に給紙カセット1は、挿入方向前部の上面が開口部7となり、用紙3は給紙カセット1の底部に設けた付勢手段9によりこの開口部7へ押し上げられている。また、開口部7から露出した用紙3は、開口部7の前部左右に設けた爪部(図示せず)により、前部左右が上方から押さえられて給紙カセット1内に収容される。
【0003】
一方、印刷装置のカセット装着部5には、装着された給紙カセット1の開口部7に対向する位置にピックアップローラ11を配設してある。ピックアップローラ11は、給紙カセット1が装着されることにより、開口部7に露出した最上層の用紙3に圧接し、用紙取出し方向(図5の時計方向)に回転することで、給紙カセット1内から最上層の用紙3を1枚、印刷装置搬送路側へ取り出す。この際、ピックアップローラ11の回転により、用紙3は左右端が給紙カセット1の爪部を乗り越えて印刷装置内へ進入する。ピックアップローラ11によって所定量印刷装置内に搬送された用紙3は、印刷装置内に設けられた搬送ローラ13により、印刷装置印刷部へと更に搬送される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように構成された給紙機構では、ピックアップローラ11を開口部7から露出した用紙3に圧接して回転させ、ピックアップローラ11と用紙3との摩擦力により給紙カセット1から用紙3を取り出していたため、長期に渡る使用でピックアップローラ11が汚れた場合、ピックアップローラ11と用紙3とに所定の摩擦力が得られなくなり、ピックアップローラ11が空転し、用紙3の取出しが行えなくなる不具合(給紙エラー)が発生した。このような場合、従来では、ピックアップローラ11の汚れを、エタノール等をしみ込ませた布を用いて手で拭き取るのが一般的であったが、ピックアップローラ11が印刷装置の奥側に配設されているため、拭き取り作業が困難となった。また、開閉可能な印刷装置では、ピックアップローラ11を露出させることはできるものの、印刷装置をその都度開閉しなければならず、拭き取り作業が煩雑なものとなった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、給紙機構部に手を挿入せず、しかも、印刷装置を開閉することなくピックアップローラの汚れを取り除くことができるピックアップローラ清掃治具を提供し、汚れ除去の容易化を図ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係るピックアップローラ清掃治具の構成は、給紙カセットの開口部に装着して該給紙カセットと共に印刷装置の給紙機構部に挿入されるピックアップローラ清掃治具であって、給紙カセットの開口部に装着自在な基板と、該基板の上面に設けられ前記給紙機構部のピックアップローラに圧接する汚れ除去手段とを具備し、基板が折り重ね自在に連結された一対の基板からなり、基板の一方の折り重ね面に給紙機構部のピックアップローラに圧接する汚れ除去手段が設けられ、基板の他方に一対の基板を折り重ねた状態で汚れ除去手段を露出させる開口窓が穿設されたことを特徴とするものである。
【0006】
このように構成されたピックアップローラ清掃治具では、給紙カセットにピックアップローラ清掃治具が装着され、この給紙カセットが印刷装置の給紙機構部に挿入されると、印刷装置のピックアップローラがピックアップローラ清掃治具の汚れ除去手段に圧接して回転し、ピックアップローラの外周に付着した汚れが汚れ除去手段によって拭き取られることとなる。また、一対の基板で汚れ除去手段を挟む構造としたので、汚れ除去手段を確実にホルダに保持させることができ、仮に汚れ除去手段が剥離した場合であっても、汚れ除去手段が印刷装置の給紙機構部に巻き込まれる心配がない。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るピックアップローラ清掃治具の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明によるピックアップローラ清掃治具を開いた状態の斜視図、図2は図1に示したピックアップローラ清掃治具を閉じた状態の斜視図、図3は図2に示したピックアップローラ清掃治具を給紙カセットに装着した状態の斜視図である。ピックアップローラ清掃治具(清掃治具)21は、基体をホルダ23により構成してある。ホルダ23は、同一形状の一対の矩形基板25を一辺同士で連結し、この連結部27を境に蝶番状に折り重ねられるようにしてある。
【0008】
折り重ねたホルダ23は、長手方向の寸法が用紙3(図5参照)の幅方向(用紙搬送方向に直交する用紙辺の方向)の寸法と同一に形成してある。従って、ホルダ23は、長手方向を給紙カセット1の幅方向に配置して、給紙カセット1の開口部7に装着できるようになっている。ホルダ23の基板25は、例えば透明アクリル板、所定の剛性を有する防水処理をした厚紙等により形成することができる。
【0009】
ホルダ23は、一対の基板25を開いた状態で、一方の基板25の重ね合わせ面に汚れ除去手段27を設けてある。汚れ除去手段27としては、クリーニング溶液(例えばエタノール等)をしみ込ませた例えばティシュペーパー又は布等を用いることができる。具体的には、セイコー電子工業(株)製クリーニングティッシュCH−98を2つ折りにした物を使用することができる。汚れ除去手段27の大きさ、数、取付け位置は、ホルダ23を装着した給紙カセット1を、印刷装置側給紙機構部に装着した際、印刷装置側ピックアップローラ11(図5参照)に対応するように設定してある。本実施形態では、印刷装置側給紙機構部に設けられたピックアップローラ11が二つの場合を例に説明する。従って、汚れ除去手段27も二つとなっている。
【0010】
ホルダ23の他方の基板には、基板同士を折り重ねた際、汚れ除去手段27に対応する位置で開口窓29を形成してある。従って、ホルダ23は、基板25を折り重ねることにより、開口窓29から汚れ除去手段27を露出させた状態となる。
【0011】
ホルダ23には一方の長辺の両端に切欠31を形成してあり、切欠31はホルダ23が給紙カセット1の爪部33に係止可能となるように作用する。なお、爪部33の形状により切欠31を形成せずにホルダ23の係止が可能なものであれば、切欠31は省略するものであってもよい。
【0012】
また、汚れ除去手段27は、ホルダ23に対して着脱自在に設けるものであってもよい。即ち、汚れ除去手段27は、後述の作用により、ピックアップローラ11に接触して汚れを拭き取ることとなるが、その際、汚れた汚れ除去手段27のみを取り外し、新規の汚れ除去手段27を張り替え可能とすれば、汚れ除去手段27のみの廃棄でホルダ23は再使用が可能となる。なお、汚れ除去手段27をホルダ23に対して張り替え自在とする手段としては、例えば、接着と剥離とを繰り返し行える所謂マジックテープ(登録商標)等を用いることができる。
【0013】
また、ホルダ23の上面には、印刷装置側搬送ローラ13(図5参照)に対応した位置に摩擦低減手段37を張り付けてある。摩擦低減手段37としては、例えば、表面摩擦係数の小さいテープ(例えば、日東電工(株)製ニトフロン粘着テープNo.903UL(厚さ0.08mm))を用いることができる。これにより、ホルダ23が印刷装置給紙機構部に誤って進入してしまった場合においても、搬送ローラ13による搬送力を低下させ、搬送を防止することができる。
【0014】
次に、このように構成された清掃治具21の作用を説明する。
図4は印刷装置に装着状態の給紙カセットに対するピックアップローラの動作状態を示す説明図である。清掃治具21は、基板25を折り重ねた状態で、給紙カセット1の開口部7にセットする。清掃治具21は、前端左右を給紙カセット1の爪部33の下方に挿入して、給紙カセット1へのセットを行う。
【0015】
次いで、清掃治具21をセットした給紙カセット1を給紙機構のカセット装着部5に挿入する。
印刷装置の運転方法は、印刷装置により種々に異なるものであり、ここでは、その一例として、印刷データ送出可能状態を示す不図示のONLINEランプ、その解除を行うONLINEボタン、テスト印刷を行うTESTボタン、給紙を行うFEEDボタン等を有しているものを例に説明するが、同様の作用が達成されるものであれば、この例による動作に限定されるものではない。
【0016】
先ず、印刷装置のONLINEランプが点灯している場合には、ONLINEボタンを押下してONLINEランプを消し、ONLINE状態を解除する。
次いで、TESTボタン又はFEEDボタンを押下して、給紙モードとする。これにより、上方に退避状態のピックアップローラ11は、下方に下降し清掃治具21の開口窓29に露出した汚れ除去手段27に回転しながら圧接する。
【0017】
ピックアップローラ11の回転は、一般的に2〜20秒継続され、これにより、ピックアップローラ11の表面に付着した汚れは、汚れ除去手段27によって拭き取られることとなる。
印刷装置は、所定時間(10〜20秒)経過後、用紙3が搬送されないことを検出し、給紙アラームを発する。この状態で、給紙アラームを解除し(例えば、カバー等を開閉してアラームを解除し)、再びTESTボタン等を押下してピックアップローラ11を回転させ、この動作を2〜3回繰り返して行う。
【0018】
以上の動作を繰り返した後、印刷装置から給紙カセット1を抜き取り、給紙カセット1から清掃治具21を取り外して、ピックアップローラ11の清掃を終了する。
【0019】
このように、本発明による清掃治具21によれば、汚れ除去手段27を設けた清掃治具21を給紙カセット1に装着自在とし、給紙カセット1を印刷装置に装着することにより、汚れ除去手段27にピックアップローラ11が圧接して回転するようにしたので、印刷装置の奥側に手を入れてピックアップローラ11を拭くことなく、ピックアップローラ11の汚れを除去することができる。また、清掃治具21を給紙カセット1に装着してピックアップローラ11に圧接させることができるので、印刷装置をその都度開閉する煩雑な作業もなくなる。
この結果、ピックアップローラ11の清掃を極めて容易に行うことができるようになる。
【0020】
また、一対の基板25で汚れ除去手段27を挟む構造としたので、汚れ除去手段27を確実にホルダ23に保持させることができ、仮に汚れ除去手段27が剥離した場合であっても、汚れ除去手段27が印刷装置の給紙機構部に巻き込まれる心配がない。
【0021】
更に、一般的に、印刷装置を開放した際には、ピックアップローラ11の回転は強制的に停止されるため、ピックアップローラ11の全周を均等に長時間清掃することが困難であるが、本発明による清掃治具21を用いれば、印刷装置運転状態のままピックアップローラ11の外周を清掃し続けることができるので、ピックアップローラ11の汚れを確実に除去することができる。
【0022】
なお、上述した清掃治具21では、一対の基板25を折り重ね自在に連結してホルダ23を構成し、一対の基板25の間に汚れ除去手段27を挟み込み、汚れ除去手段27を開口窓29から露出する構造としたが、清掃治具21は、一つの基板25のみに汚れ除去手段27を露出状態で設けて構成するものであってもよい。
このように構成した清掃治具によれば、上述の清掃治具21と同様容易且つ確実にピックアップローラ11の汚れを取り除くことができるとともに、清掃治具を容易に製作することができ、製造コストを安価なものにすることができる。
【0023】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係るピックアップローラ清掃治具によれば、ピックアップローラ清掃治具を給紙カセットに装着し、給紙カセットを印刷装置の給紙機構部に装着することで、汚れ除去手段に回転状態のピックアップローラを圧接させることができ、印刷装置の奥側に手を入れることなく、ピックアップローラの汚れを除去することができる。また、印刷装置を開放しないため、印刷装置運転状態のままピックアップローラを清掃し続けることができ、ピックアップローラの汚れを確実に除去することができる。この結果、ピックアップローラの清掃を極めて容易に且つ確実に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるピックアップローラ清掃治具を開いた状態の斜視図である。
【図2】図1に示したピックアップローラ清掃治具を閉じた状態の斜視図である。
【図3】図2に示したピックアップローラ清掃治具を給紙カセットに装着した状態の斜視図である。
【図4】印刷装置に装着状態の給紙カセットに対するピックアップローラの動作状態を示す説明図である。
【図5】従来技術を説明する給紙機構及び給紙カセットの断面側面図である。
【符号の説明】
1 給紙カセット
7 開口部
21 ピックアップローラ清掃治具
23 ホルダ
25 基板
27 汚れ除去手段
29 開口窓
Claims (2)
- 給紙カセットの開口部に装着して該給紙カセットと共に印刷装置の給紙機構部に挿入されるピックアップローラ清掃治具であって、給紙カセットの開口部に装着自在な基板と、前記基板の上面に設けられ前記給紙機構部のピックアップローラに圧接する汚れ除去手段とを具備し、
前記基板が折り重ね自在に連結された一対の基板からなり、前記基板の一方の折り重ね面に前記給紙機構部のピックアップローラに圧接する前記汚れ除去手段が設けられ、前記基板の他方に前記一対の基板を折り重ねた状態で前記汚れ除去手段を露出させる開口窓が穿設されたことを特徴とするピックアップローラ清掃治具。 - 前記汚れ除去手段が前記基板に着脱自在に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のピックアップローラ清掃治具。
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