JP3856111B2 - プリンタ装置のクリーニング方法及びそれに用いるクリーニングシート - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ装置の印字部及び搬送経路上の部品を清掃するクリーニング方法及びそのためのクリーニングシートの構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、特開平7−114314号公報等において、複写機、ファクシミリ装置或いはプリンタ装置における原稿読取り装置や印字装置等における用紙搬送経路を通過する用紙の紙粉や塵により、前記用紙搬送経路中の搬送ローラや搬送手段の摩擦力が低下したり、汚れが付着するが、その用紙搬送経路には人の手が届き難いため、クリーニングシートを、通常の用紙と同様に搬送させて清掃することが提案されている。この場合に使用するクリーニングシートは、基紙の表面に弱粘着材を塗布した弱粘着層を有するものであり、搬送経路における搬送ローラの搬送力が前記弱粘着材の清掃箇所に対する粘着力より強いことを利用して、強制的にクリーニングシートを搬送させて清掃するというものであった。
【0003】
一方、近年、モバイル化により、情報機器がノート型コンピュータ(パソコン)や携帯情報端末機器のように小型化されたものが普及している。これに伴い、プリンタ装置も携帯に便利な薄型・小型化されたものが要請されていた。
【0004】
このような薄型・小型化されたプリンタ装置においては、その本体ケース内の用紙収容部に、複数枚の用紙(被印字媒体)を積層した状態で収容した用紙パッケージをセットし、前記用紙収容部におけるピックアップローラと分離ブロックとの協働作用により1枚ずつに分離した用紙を、搬送下流側に位置させた印字機構部におけるサーマルヘッドと回転駆動するプラテンとの間に搬送して印字を実行した後、本体ケースの排紙口から排紙するように構成したものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記プリンタ装置では、特に駆動源となる駆動モータの駆動力が弱い場合、また、各部品が小型である場合、前記従来のような駆動モータによる駆動力を使ってクリーニングシートをその粘着力に抗して強制的に搬送させることができないという問題があった。
【0006】
本発明は前記問題を解決すべくなされたものであって、プリンタ装置を適正に清掃できるクリーニング方法及びそれに使用できるクリーニングシートを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明のプリンタ装置のクリーニング方法は、プリンタ装置における本体ケース内に、被印字媒体を収容する用紙収容部と、該用紙収容部に収容された被印字媒体に当接可能な搬送ローラと、前記被印字媒体に印字を行う印字機構部とを備えており、前記搬送ローラ及び印字機構部を、非粘着層部と粘着層部とが隣接して配置され且つ粘着層部が離型紙にて開放可能に覆われてなるクリーニングシートにより清掃する方法であって、前記用紙収容部にクリーニングシートを、その非粘着層部が搬送方向下流側に位置し、且つ粘着層部が搬送方向上流側に位置するようにして配置した後、搬送ローラを駆動して、前記非粘着層部が前記印字機構部の排紙側に露出した状態で搬送ローラを停止し、次いで前記離型紙を除去した後、前記印字機構部の排紙側に露出した前記非粘着層部を引き出すことにより、前記粘着層部が搬送ローラ及び印字機構部を通過するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプリンタ装置のクリーニング方法において、前記印字機構部は、プラテンローラと、付勢手段により前記プラテンローラの外周面に付勢されるペーパーガイド及びサーマルヘッドとから構成されており、前記クリーニングシートを、プラテンローラの外周面と前記ペーパーガイド及びサーマルヘッドの発熱体部との間を通過させるようにしたものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のクリーニング方法に使用するクリーニングシートであって、前記粘着層部は基紙の表裏両面に形成されており、各粘着層部を剥離可能な離型紙にて被覆されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のクリーニングシートにおいて、前記クリーニングシートにおける前記非粘着層部には、当該クリーニングシートであることを示すためのマーク部が付されているものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載のクリーニングシートにおいて、前記クリーニングシートの非粘着層部の前記搬送方向に沿った長さは、前記搬送ローラを停止した際に、前記クリーニングシートの非粘着層部が前記本体ケースの排紙口から所定量突出する長さに設定されているものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を携帯用の小型プリンタ装置に具体化した実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず、本発明に係るプリンタ装置1の概略構造について、図1〜図8を参照しながら説明する。プリンタ装置1は平面視A6サイズ又はA7サイズ程度の大きさで厚みが略1cm 程度あるいはそれ以下の上面開放箱型の本体ケース2を有し、その上面の片側には固定カバー体3を有する。この固定カバー体3の箇所を除く本体ケース2内には感熱紙からなるカットシート状の被印字媒体としての用紙4を複数枚収納した用紙パッケージ5(図3参照)が収容できる用紙収容部6が形成されている。前記固定カバー体3の下面側の近傍には、後に詳述する印字機構部7としてのサーマルヘッド8、プラテンローラ9、ペーパーガイド10及び用紙分離部としてのゴム製のピックアップローラ11及び分離ブロック12等が配置されている。分離ブロック12には、ピックアップローラ11の用紙送り出し方向に対して傾斜した案内係止面121が形成されている。そして、前記用紙収容部6は、本体ケースの側にて回動及びスライド可能な開閉支持手段14を介して開閉可能な蓋体13にて覆われる。
【0013】
蓋体13の回動支点は、図5(a)のロック位置と、図5(b)のロック解除位置との間で本体ケース2の上面に沿ってスライド可能に設けられている。蓋体13は回動支点がロック解除位置にあるときに上下に回動可能である。
【0014】
前記サーマルヘッド8はラインヘッド型であり、ゴム製のプラテンローラ9との間に挟まれて搬送される感熱型の用紙4の搬送方向に直交する方向に延びるライン毎に文字や画像等を印刷することができる。1ライン印刷する際の印刷幅は用紙4の直交方向の用紙幅に略等しく設定されている。サーマルヘッド8及びプラテンローラ9は、A6サイズ又はA7サイズ程度の用紙4の短辺方向の長さを有している。サーマルヘッド8を印刷ヘッドとして用いるのは、被印字媒体として感熱紙を用いることにより、インクやインクリボンの消耗品が不要であり、且つそのための機構を省略でき、プリンタ装置1をコンパクトにできるからである。
【0015】
感熱紙としては、サーマルヘッド8の加熱により発色する発色層を有する感熱発色タイプのものや、加熱により穿孔される穿孔層を基材層上に積層した感熱穿孔タイプのもの等、種々のものを使用できる。
【0016】
前記用紙収容部6の底板6aには、図4に示すように、前記用紙パッケージ5の外面に付された識別用マーク(図示せず)や、後述するクリーニングシート60であることを示すためのマーク部67を検知するためのセンサ部、その一例としての光センサ部6bが設けられており、前記識別用マークやマーク部67の検知結果から用紙収容部6にセットされた用紙パッケージ5内の用紙4のサイズや用紙種類もしくはクリーニングシート60を判別し、プリンタ装置1内の制御装置(マイクロコンピュータ)のメモリに記憶させ、サーマルヘッド8の作動を制御する。
【0017】
また、前記蓋体13には、用紙4の排紙口20から遠い側に用紙4の幅方向に長く形成される等した抜き孔に、蓋体13の内面側から透明板(図示せず)を貼着してなる第1表示部40を設ける(図1参照)。これにより、前記用紙収容部6にセットされた用紙パッケージ5の外面に印刷等された表示マーク部41における用紙4のサイズや用紙種類(例えば、前記感熱紙のタイプ、用紙の色、材質等)などの文字や記号を前記第1表示部40を通して観察できる。
【0018】
また、本体ケース2の用紙収容部6内に用紙パッケージ5をセットして蓋体13にて覆った状態のまま、携帯できるから、嵩張ることがない。該蓋体13の外側から、透明板で覆われた第1表示部40を介して表示マーク部41を見ることができるから、本体ケース2内に塵が侵入して故障の原因になる等の不都合を確実に回避できる。
【0019】
さらに、蓋体13の回動支点側に近い一側寄り部位に蓋体13の板に切欠き形成した窓部44を設ける一方、本体ケース2の表面個所に光を伝達する複数の透明窓部43、43と、該各透明窓部43、43の下面側(本体ケース2内)に対峙して配置された複数のLEDランプ42a,42bとからなる第2表示部42を設ける(図1、図2及び図5(a)参照)。該第2表示部42では、前記各LEDランプ42a,42bの点灯、消灯、点滅の区別により、プリンタ装置1の電源のON・OFF状態や印刷(印字)時と非印刷(非印字)時との区別等の作動状態を知ることができる。
【0020】
その場合、図1に示すように、後述する排紙口20から排紙される用紙4が蓋体13の表面に重なった状態となったとき、第2表示部42の配置位置を、前記用紙4の幅方向の外側に偏倚した位置にすれば、排紙された用紙4で第2表示部42が隠されることがなく、常時プリンタの作動状態を確認できる。
【0021】
また、前記第1表示部40と第2表示部42とを蓋体13の配置側などの同じ側面に配置されていると、ユーザーがプリンタ装置1の一方向から簡単に2つの表示を同時に観察できて、複数の表示部を探す手間が省ける。
【0022】
前記用紙収容部6のうち、前記印字機構部7に近い側には、ピックアップローラ11と分離ブロック12とが配置されている(図5(a)及び図5(b)参照)。前記用紙収容部6内に収容された用紙パッケージ5は、前記閉止した蓋体13の本体内面側に設けた板バネ等の付勢手段15を介して用紙収容部6の底板6aに向けて付勢される。用紙パッケージ5における積層した用紙4のうち、用紙パッケージ5外に露出した用紙4(最下層の用紙)がピックアップローラ11の上面に当接付勢される。このピックアップローラの回転駆動と分離ブロック12の案内係止面121との協働により、前記最下層の用紙4のみが分離ブロック12の下端とガイド板17との隙間を通過する。該分離ブロック12に隣接してプラテンローラ9が回転可能に設けられ、その外周面に押圧コイルバネ等の付勢手段16によりペーパーガイド10が付勢されている。ピックアップローラ12と案内係止面121により、用紙パッケージ5から1枚だけ分離搬送された用紙4はプラテンローラ9とペーパーガイド10との間に搬送される。ペーパーガイド10は、その断面がプラテンローラ9の外周面に沿うように断面横向き略U字状等の凹湾曲状の摺接面10aに形成されている。
【0023】
前記ペーパーガイド10と、その上方に配置されて回動枢支部Pを中心にして回動可能に配置され、プラテンローラ9の上面の印字位置に接離可能なサーマルヘッド8の下面とにより、前記用紙収容部6から分離搬送された用紙4は横向きU字状に反転させて搬送され、プラテンローラ9の印字位置まで搬送される。サーマルヘッド8により用紙4の上面に印字され、前記分離ブロック12の上面と前記固定カバー体3の端縁との隙間である排紙口20から蓋体13の外側に排紙される構成である(図5(a)参照)。前記サーマルヘッド8はその背面(上面側)にコイルスプリング(付勢手段)19のばね掛け部が係止され、プラテンローラ9側に付勢され、サーマルヘッド8の印字部(発熱体部8a)がプラテンローラ9の上面に当接する。
【0024】
前記プラテンローラ9及びピックアップローラ11の駆動機構は、本体ケース2の長辺に沿う一方の内側面(実施形態では図2に示す用紙4の搬送方向の右側)に配置された駆動モータ22と歯車伝動機構(ギヤ列)23とからなる(図6(b)参照)。プラテンローラ9の直径がピックアップローラ11の直径より大きく、プラテンローラ9の箇所の用紙搬送速度をピックアップローラ11箇所での用紙搬送速度より大きく設定してピックアップローラ11と分離ブロック12との箇所での用紙分離をゆっくり行いプラテンローラ9による用紙搬送、ひいては印字速度を高速化している。そのために、ギヤ列中に互いに対向して回転される一対の回転体を設け、各々の回転面上に突起を設け、一方の回転体をプラテンローラ9に連動させて回転させると、その突起も回転されて他方の回転体の突起に係合して、他方の回転体を遅延させて回転する回転伝動部を設けている。他方の回転体と共に回転されるピックアップローラ11から搬送された用紙4がプラテンローラに到達すると、プラテンローラ9の周速がピックアップローラ11の周速より大きいので、前記回転体の突起を介して駆動連結が解除されてピックアップローラ11が用紙4と連れ回り回動する。
【0025】
次に、本体ケース2の上面開口面を覆うための蓋体13が不用意に開かないようにするためのロック手段について説明する。このロック手段は、蓋体13のロック動作(蓋体13の前進移動)に連動してリリース連動機構により、プラテンローラ9の外周面にペーパーガイド10を押圧すると共にサーマルヘッド8も押圧状態とするものである。このリリース連動機構は、プラテンローラ9の外周部分で用紙詰まりが発生した場合に、当該用紙4を簡単に除去するためのものである。
【0026】
ロック手段の1部品としての合成樹脂製の左右両案内支持ブロック24、24は、左右対称形状であり、図2、図7に示すように、用紙4の搬送方向に長手に形成されている。そして、この各案内支持ブロック24の長手方向の中途部には上下に貫通し、且つ本体ケース2の中央方向に開放される縦案内溝26が形成され、該縦案内溝26と直交して水平方向に連通する抜き窓31が形成されている。案内支持ブロック24の抜き窓31の上方壁部241は、前記蓋体13を本体ケース2の開口面と平行状に閉止方向に移動するとき前記侵入部としてのロック片25が上向きに抜け不能となる第1規制手段として機能する。
【0027】
各案内支持ブロック24の内側面のうち長手方向の中途部には、前記蓋体13の自由端側の左右両側から下向きに突出する侵入部としてのロック片25が上下方向に挿通できる内向き開放状の縦案内溝26が形成されている。また、前記各案内支持ブロック24の外面側には、上下方向の中途部に長手方向に沿う横案内溝27が凹み形成されており、この横案内溝27には作動部材28が前後方向(案内支持ブロック24の長手方向)に移動自在に嵌合している。
【0028】
各作動部材28の外側面には、その移動方向の一端寄り部位に、前記縦案内溝26の間隔を隔てて前後一対の規制ブロック29、30が横向き突出されており、前記案内支持ブロック24の一側面には、前記一対の規制ブロック29、30が横向きに臨み、且つ所定距離だけ前記前後方向に移動可能とする抜き窓31が穿設されている。
【0029】
樹脂バネ体32は、その基端部32bが前記案内支持ブロック24の下端側に連結されており、その樹脂バネ体32の上向き先端部32aは前記縦案内溝26に対して上下方向に嵌合できるように構成されている。そして、蓋体13が後退位置で上方に回動してロック片25が案内支持ブロック24の縦案内溝26から抜け出した状態(これを蓋体13の開き位置いう、図8(c)参照)では、前記作動部材28における一対の規制ブロック29、30の間に前記縦案内溝26が位置するので、樹脂バネ体32の上向き先端部32aが前記一対の規制ブロック29、30の間に上向きに突出して、作動部材28の前後方向の移動を規制できる。従って、この樹脂バネ体32の上向き先端部32aが前記一対の規制ブロック29、30の間に嵌合することにより、前記蓋体13の開き位置でリリース連動機構が不用意に前移動しないようにロック状態に保持できるロック手段となる。
【0030】
他方、前記一方(後側)の規制ブロック30の下面側には、後方に行くに従って上位置となる傾斜面が形成されている。従って、蓋体13を下方に回動させて、ロック片25が縦案内溝26に進入して上向き先端部32aを押下してロックが解除され、作動部材28を前方に移動させた状態(前記規制ブロック30が縦案内溝26の個所まで移動した状態、蓋体13の閉止位置という、図8(a)参照)では、前記傾斜面30aに前記上向き先端部32aが当接して、作動部材28を前方移動位置に保持し、この構成と、付勢手段16、19とにより、後述するリリース連動機構を不用意に後退させないようにロック位置に保持するロック手段となる。
【0031】
リリース連動機構は、前記作動部材28の前端側にピン34及び縦長孔を介して回動可能に連結され、前記プラテンローラ9の回動軸9aに対して回動可能に被嵌する連動リンク体33と、該連動リンク体33に一体的に形成された第1カム体36と第2カム体37とからなる。連動リンク体33の回動に応じて、第1カム体36が前記ペーパーガイド10の適宜前面に接離するとき同時に第2カム体37が前記サーマルヘッド8の適宜下面に接離するように構成されている。
【0032】
この構成により、図5(b)に示すように、蓋体13を開き、本体ケース2の用紙収容部6内に、開封した用紙パッケージ5を用紙4面を下向きにしてセットした後、蓋体13を下向き回動すると、当該蓋体13の下面の板バネ製の付勢手段15(図5(a)参照)により用紙パッケージ5を下向きに押圧するので、積層した用紙4の最下層面のうち先端側がピックアップローラ11の上に押圧される。
【0033】
そして、蓋体13を不用意に開かないようにするための動作(蓋体13を下向き回動させて本体ケース2の開口面と平行状に図5(a)の状態まで前進移動)に連動して下記のようにプラテンローラ9の外周面にペーパーガイド10を押圧すると共にサーマルヘッド8も押圧状態とするものである。
【0034】
図示しないパソコン等からUSB端子や赤外線端子を介して印字指令及び画像データ(印刷データ)をプリンタ装置1に送ると、駆動モータ22が回転駆動し、ピックアップローラ11とプラテンローラ9は同時に回転し始める。ピックアップローラ11の回転により、前記積層された用紙4のうち最下層の用紙4の先端4aが、分離ブロック12に衝突して最下層の用紙4のみが分離されて、分離ブロック12の下面とガイド板17と間に搬送さる。次いで、プラテンローラ9とペーパーガイド10との間に挟持された用紙4は、回転するプラテンローラ9とペーパーガイド10にて挟持搬送されてサーマルヘッド8方向に移動し、用紙4の表面に印字された後、固定カバー体3と前記分離ブロック12の背面との隙間である排紙口20からプリンタ装置1外に排紙できるのである。その場合、用紙4における印字面は蓋体13の表面(外面)と反対側になる。換言すれば、ユーザが蓋体13の表面を見るとき、前記印字面が同じ方向に向いているので、同時に用紙4における印字面を観察できる状態となる。
【0035】
紙ジャムが発生した場合には、まず、本体ケース2の上面と平行状の蓋体13を固定カバー体3から離れる方向に水平移動(後退)させ(図8(a))、蓋体13の回動支点をロック解除位置に移動させる。蓋体13を後退させると、当該蓋体13の左右両側のロック片25、25が各作動部材28の前後一対の規制ブロック29、30の間に嵌まっているので、作動部材28を付勢手段16、19の付勢力に抗して強制的に後退させる。
【0036】
作動部材28の後退位置において蓋体13を上方に回動すると、ロック片25が縦案内溝26から離脱するので、縦案内溝26の下方退避領域に退避していた樹脂バネ体32の上向き先端部32aが、弾性力により前記一対の規制ブロック29、30の間に下方から係合し、作動部材28の後退位置を保持することができる(図8(c)参照)。また、蓋体13を上方に回動させて用紙パッケージ5を交換することもできる。
【0037】
この作動部材28の後退移動に伴って、連動リンク体33はプラテンローラ9の軸9a回りにて図5(b)において反時計回り回動する。この連動リンク体33に設けられた第1カム体36は付勢手段16の付勢力に抗してペーパーガイド10の前面を押してプラテンローラ9の外周面から離す。それと同時に第2カム体37が付勢手段19の付勢力に抗してサーマルヘッド8の下面を上向きに押し上げ、サーマルヘッド8の発熱体部8aがプラテンローラ9の外周面から離れるのである。これにより、プラテンローラ9の外周に巻き付いている用紙4は軽い力でプラテン装置1の外に引き出すことができるのである。そして、ワンタッチでサーマルヘッド8とペーパーガイド10とをプラテンローラ9に対して接離可能であるので、操作性に優れたものとなる。
【0038】
なお、補助ロック手段として、蓋体13の自由端縁に用紙4の搬送方向と直交する幅方向の略中央部等に1乃至複数の係合爪38を前記搬送方向に延びるように設ける一方、前記分離ブロック12には、蓋体13本体ケース2の上面と平行状にして分離ブロック12方向に前進させたとき係止する係止爪39を設けておけば(図5(b)及び図6(a)参照)。蓋体13が薄肉(剛性が小さいもの)であって、当該蓋体13が板バネ状等の押圧手段15による反力で撓み易いものであっても、前記補助ロック手段が押圧手段15による押圧作用部の近傍に位置するから、当該蓋体13の自由端側をしっかりと本体ケース2に閉止固定できるという効果を奏する。
【0039】
次に、本発明に係る印字機構部7及び搬送ローラとしてのピックアップローラ11の箇所の清掃(クリーニング)方法及びそれに使用するクリーニングシート60について説明する。クリーニングシート60は、図9(a)及び図9(b)に示すごとく、前記プリンタ装置1における用紙収容部6に収容できるサイズ(例えばA6またはA7サイズの矩形状の基紙61の表裏両面を、基紙61の長辺方向の一部が非粘着層部60aであり、他の部分が粘着層部60bとするように区画する。基紙61の長辺方向に沿う非粘着層部60aの寸法L1(図9(a)参照)は、当該非粘着層部60aの先端が排紙口20から若干突出した状態で、プラテンローラ9の外周面とペーパーガイド10との間を通過して非粘着層部60aの後端が前記ピックアップローラ11の用紙搬送方向上流側の所定箇所に至るに十分な長さ程度とする(図10参照)。なお、排紙口20から突出した非粘着層部60aの長さは、使用者が摘んでクリーニングシート60を引き出すのに十分な長さを有する。
【0040】
クリーニングシート60における非粘着層部60aは、前記基紙61の表裏両面に接着剤層62を介して表面紙64、64が強固に粘着されて構成されている。他方、粘着層部60bは、前記非粘着層部60aに隣接して形成されており、基紙61の表裏両面に塗布された粘着材層63と、該各粘着材層63を覆う離型紙65とにより構成され、各離型紙65は粘着材層63から簡単に剥離できるように仮貼着されているものである。そして、前記非粘着層部60aにおける両方の表面紙64には所定位置に、クリーニングシートであることを示す標識が印刷等されたマーク部67が付されている(図9(a)参照)。
【0041】
次に、前記クリーニングシート60を使用して、プリンタ装置1における搬送経路及び印字機構部7を清掃する方法について説明する。まず、ユーザーは前記蓋体13を大きく開いて、前記用紙収容部6を開放し、前記用紙パッケージ5に代えて、1枚のクリーニングシート60を前記離型紙65を剥がさない状態で用紙収容部6にセットする。このとき、前記非粘着層部60aを搬送方向下流側、つまりピックアップローラ11に一方の表面紙64が当接するように位置させる。そうすると、必然的に前記粘着層部60bが搬送方向上流側に位置するようにセットされる。次いで蓋体13を前述のようにして閉止させると、蓋体13における付勢手段15の付勢力により、クリーニングシート60の表面紙64の部分がピックアップローラ11に押圧される。そして、用紙収容部6の底板6a側に設けた光センサ6bで前記表面紙64に付されたマーク部67が読取られ、プリンタ装置1の本体ケース2内のマイクロコンピュータ等からなる制御装置が、用紙収容部6にセットされたものがクリーニングシート60であると判断し、以下に記載のクリーニングモードを実行する。
【0042】
この状態で印字作業は実行されず、且つクリーニングシート60の搬送距離を所定の短い距離に限定するように、駆動モータ22が回転駆動されると、ピックアップローラ11が回転駆動して、クリーニングシート60の非粘着層部60aの先端側からプラテンローラ9とペーパーガイド10の間に送られ、次いでプラテンローラ9の回転力により搬送された非粘着層部60aが、サーマルヘッド8の発熱体部8aとプラテンローラとの押圧部を通過し、排紙口20に非粘着層部60aの先端側が露出する。この非粘着層部60aの先端側が排紙口20から若干量だけ露出した状態で、且つ離型紙65(粘着層部60b)の部分がピックアップローラ11の箇所より搬送方向上流側の所定個所にある状態で、駆動モータ22が自動的に停止される(図10の状態参照)。
【0043】
前記非粘着層部60aの表面紙64は通常の印字用の用紙4と同様の摩擦係数のものを使用するものであり、粘着性がないので、前記ピックアップローラ11やプラテンローラ9の外周面やペーパーガイド10の表面に付着することがなく、駆動モータ22を通常の出力にて駆動させることができる。
【0044】
次いで、ユーザーは再度蓋体13を大きく開く。クリーニングシート60の非粘着層部60aが長さL1だけ設けられていることにより(図9(a)参照)、前記用紙収容部6における粘着層部60bはピックアップローラ11よりも搬送方向上流側にあるので、ユーザーはその表裏の離型紙65、65を除去することができる。離型紙65、65を除去した後、再度蓋体13を閉止状態にする。この動作により、上記したように、プラテンローラ9の外周面に対してペーパーガイド10が付勢手段16にて押圧付勢されると共に、サーマルヘッド8の発熱体部8aも前記付勢手段19の付勢力にてプラテンローラ9の外周面方向に押圧される。この状態で前記排紙口20に露出した前記非粘着層部60aはユーザーが指で摘むのに十分な長さだけ突出している。そこで、ユーザーが突出している非粘着層部60aの露出部分を指で摘んで、クリーニングシート60を手で引き出すことにより、前記基紙61の表裏両面の粘着層部60b、60bがピックアップローラ11及びプラテンローラ9とペーパーガイド10の表面を擦りながら通過するので、これらローラ等の部品に付着していた塵や紙粉、発熱体部8aの箇所に付着している感熱紙の色素等の固形物が前記粘着層部60b、60bに吸着されて清掃できるのである。
【0045】
本発明によるクリーニング方法では、搬送ローラ(ピックアップローラ11)や前記印字機構部7に粘着層部を通過させるに際して、クリーニングシート60の強制搬送のために従来のように駆動モータを作動させないから、搬送ローラや印字機構部7の部品に粘着層部にその粘着力で強固に付着した場合にも、駆動モータに過負荷が作用するというような不都合が発生しない。従って、小型の携帯用のプリンタ装置等のように用紙搬送用の駆動力が小さいプリンタ装置についても、狭い搬送経路に配置された各構成部品を確実且つ安全に清掃できる。
【0046】
なお、クリーニングシート60における非粘着層部60aとして、前記基紙61のみであっても良く、その場合にはマーク部67は基紙61の表裏面の少なくともいずれか一方に付すと良い。また、本発明に係るプリンタ装置の印字機構はサーマルヘッドばかりでなく、他の形式のものであっても良い。
【0047】
本実施形態では、用紙収容部6にセットされたものがクリーニングシート60であると判断すると、クリーニングモードが実行されるが、このクリーニングモードは、プリンタ装置1が接続されるパーソナルコンピュータ等の外部装置からの指令により実行されるようにしても良い。また、プリンタ装置1にクリーニングモード実行のためのスイッチを設けても良い。
【0048】
【発明の効果】
以上に詳述したように、請求項1に記載の発明のプリンタ装置のクリーニング方法は、プリンタ装置における本体ケース内に、被印字媒体を収容する用紙収容部と、該用紙収容部に収容された被印字媒体に当接可能な搬送ローラと、前記被印字媒体に印字を行う印字機構部とを備えており、前記搬送ローラ及び印字機構部を、非粘着層部と粘着層部とが隣接して配置され、且つ粘着層部が離型紙にて開放可能に覆われてなるクリーニングシートにより清掃する方法であって、前記用紙収容部にクリーニングシートをその非粘着層部が搬送方向下流側に位置し、且つ粘着層部が搬送方向上流側に位置するようにして配置した後、搬送ローラを駆動して、前記非粘着層部が前記印字機構部の排紙側に露出した状態で搬送ローラを停止し、次いで前記離型紙を除去した後、前記印字機構部の排紙側に露出した前記非粘着層部を引き出すことにより、前記粘着層部が搬送ローラ及び印字機構部を通過するようにしたことを特徴とするものである。
【0049】
このようなクリーニング方法を採用することにより、前記非粘着層部が前記印字機構部の排紙側に露出するまでは、搬送ローラの駆動力でクリーニングシートを搬送するから、狭い搬送経路であっても、確実にクリーニングシートを搬送でき、また、非粘着層部を印字機構の排紙側に露出するまで、離型紙を除去しないから、用紙収容部内に粘着層部が付着してブレーキになることもない。清掃部として機能する粘着層部が搬送ローラ及び印字機構部を通過させるときには、駆動力を使用しないから、駆動モータなどの駆動源に過負荷を作用させないで安全に清掃できるという効果を奏する。
【0050】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプリンタ装置のクリーニング方法において、前記印字機構部は、プラテンローラと、付勢手段により前記プラテンローラの外周面に付勢されるペーパーガイド及びサーマルヘッドとから構成されており、前記クリーニングシートを、プラテンローラの外周面と前記ペーパーガイド及びサーマルヘッドの発熱体部との間を通過させるようにしたものである。
【0051】
このように搬送手段としても機能するプラテンローラの外周面に付勢手段にて押圧されているペーパーガイドやサーマルヘッドとの狭い隙間に対して、前記非粘着層部のみを搬送すれば、その後は離型紙を除去して粘着層部が露出状態となったクリーニングシートを手動にて引き出すだけの簡単な操作で、狭い箇所の塵や紙粉等を容易に除去できるという効果を奏する。
【0052】
他方、請求項3に記載の発明は、請求項1または2のクリーニング方法に使用するクリーニングシートであって、前記粘着層部は基紙の表裏両面に形成されており、各粘着層部を剥離可能な離型紙にて被覆されていることを特徴とするものであるから、クリーニングシートの保存状態で粘着層部が露出せず、塵が粘着層部に付着して清掃能力が低下しないという効果を奏する。
【0053】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のクリーニングシートにおいて、前記クリーニングシートにおける前記非粘着層部には、当該クリーニングシートであることを示すためのマーク部が付されているものであるから、プリンタ装置にクリーニングシートをセットしたときには、制御手段が通常の用紙と同じ印字作業を実行することが防止出来るし、ユーザーもクリーニングシートであることを容易に確認できるという効果を奏する。
【0054】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載のクリーニングシートにおいて、前記クリーニングシートの非粘着層部の前記搬送方向に沿った長さは、前記搬送ローラを停止した際に、前記クリーニングシートの非粘着層部が前記本体ケースの排紙口から所定量突出する長さに設定されているので、クリーニングシートから離型紙を剥離した後にクリーニングシートを引き出す際に、ユーザーが非粘着層部の本体ケースより突出した部分を容易に把持することができ、簡単にクリーニングシートを引き出すことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願のプリンタ装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本体ケースの概略平面図である。
【図3】用紙パッケージの斜視図である。
【図4】本体ケースにおけるピックアップローラ部の斜視図である。
【図5】(a)はプリンタ装置の側断面図、(b)は蓋体を開いた状態の本体ケースの左側部位の断面図である。
【図6】(a)は印字機構部の拡大側面図、(b)は歯車伝動機構の側面図である。
【図7】ロック手段及びリリース連動機構の部品の分解斜視図である。
【図8】(a)は蓋体の閉止状態でプラテンロックにペーパーガイド及びサーマルヘッドが押圧している状態の断面図、(b)は蓋体の後退位置でペーパーガイド及びサーマルヘッドのリリース状態を示す断面図、(c)は蓋体の回動可能状態を示す断面図である。
【図9】(a)はクリーニングシートの斜視図、(b)はクリーニングシートの要部拡大断面図である。
【図10】クリーニングシートの非粘着層部が排紙口20に露出し、離型紙を除去して引き出す状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 プリンタ装置
2 本体ケース
4 被印字媒体としての用紙
5 用紙パッケージ
7 印字機構部
8 サーマルヘッド
8a 発熱体部
9 プラテンローラ
10 ペーパーガイド
11 ピックアップローラ
12 分離ブロック
13 蓋体
16、19 付勢手段
20 排紙口
60 クリーニングシート
60a 非粘着層部
60b 粘着層部
61 基紙
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ装置の印字部及び搬送経路上の部品を清掃するクリーニング方法及びそのためのクリーニングシートの構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、特開平7−114314号公報等において、複写機、ファクシミリ装置或いはプリンタ装置における原稿読取り装置や印字装置等における用紙搬送経路を通過する用紙の紙粉や塵により、前記用紙搬送経路中の搬送ローラや搬送手段の摩擦力が低下したり、汚れが付着するが、その用紙搬送経路には人の手が届き難いため、クリーニングシートを、通常の用紙と同様に搬送させて清掃することが提案されている。この場合に使用するクリーニングシートは、基紙の表面に弱粘着材を塗布した弱粘着層を有するものであり、搬送経路における搬送ローラの搬送力が前記弱粘着材の清掃箇所に対する粘着力より強いことを利用して、強制的にクリーニングシートを搬送させて清掃するというものであった。
【0003】
一方、近年、モバイル化により、情報機器がノート型コンピュータ(パソコン)や携帯情報端末機器のように小型化されたものが普及している。これに伴い、プリンタ装置も携帯に便利な薄型・小型化されたものが要請されていた。
【0004】
このような薄型・小型化されたプリンタ装置においては、その本体ケース内の用紙収容部に、複数枚の用紙(被印字媒体)を積層した状態で収容した用紙パッケージをセットし、前記用紙収容部におけるピックアップローラと分離ブロックとの協働作用により1枚ずつに分離した用紙を、搬送下流側に位置させた印字機構部におけるサーマルヘッドと回転駆動するプラテンとの間に搬送して印字を実行した後、本体ケースの排紙口から排紙するように構成したものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記プリンタ装置では、特に駆動源となる駆動モータの駆動力が弱い場合、また、各部品が小型である場合、前記従来のような駆動モータによる駆動力を使ってクリーニングシートをその粘着力に抗して強制的に搬送させることができないという問題があった。
【0006】
本発明は前記問題を解決すべくなされたものであって、プリンタ装置を適正に清掃できるクリーニング方法及びそれに使用できるクリーニングシートを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明のプリンタ装置のクリーニング方法は、プリンタ装置における本体ケース内に、被印字媒体を収容する用紙収容部と、該用紙収容部に収容された被印字媒体に当接可能な搬送ローラと、前記被印字媒体に印字を行う印字機構部とを備えており、前記搬送ローラ及び印字機構部を、非粘着層部と粘着層部とが隣接して配置され且つ粘着層部が離型紙にて開放可能に覆われてなるクリーニングシートにより清掃する方法であって、前記用紙収容部にクリーニングシートを、その非粘着層部が搬送方向下流側に位置し、且つ粘着層部が搬送方向上流側に位置するようにして配置した後、搬送ローラを駆動して、前記非粘着層部が前記印字機構部の排紙側に露出した状態で搬送ローラを停止し、次いで前記離型紙を除去した後、前記印字機構部の排紙側に露出した前記非粘着層部を引き出すことにより、前記粘着層部が搬送ローラ及び印字機構部を通過するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプリンタ装置のクリーニング方法において、前記印字機構部は、プラテンローラと、付勢手段により前記プラテンローラの外周面に付勢されるペーパーガイド及びサーマルヘッドとから構成されており、前記クリーニングシートを、プラテンローラの外周面と前記ペーパーガイド及びサーマルヘッドの発熱体部との間を通過させるようにしたものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のクリーニング方法に使用するクリーニングシートであって、前記粘着層部は基紙の表裏両面に形成されており、各粘着層部を剥離可能な離型紙にて被覆されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のクリーニングシートにおいて、前記クリーニングシートにおける前記非粘着層部には、当該クリーニングシートであることを示すためのマーク部が付されているものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載のクリーニングシートにおいて、前記クリーニングシートの非粘着層部の前記搬送方向に沿った長さは、前記搬送ローラを停止した際に、前記クリーニングシートの非粘着層部が前記本体ケースの排紙口から所定量突出する長さに設定されているものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を携帯用の小型プリンタ装置に具体化した実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず、本発明に係るプリンタ装置1の概略構造について、図1〜図8を参照しながら説明する。プリンタ装置1は平面視A6サイズ又はA7サイズ程度の大きさで厚みが略1cm 程度あるいはそれ以下の上面開放箱型の本体ケース2を有し、その上面の片側には固定カバー体3を有する。この固定カバー体3の箇所を除く本体ケース2内には感熱紙からなるカットシート状の被印字媒体としての用紙4を複数枚収納した用紙パッケージ5(図3参照)が収容できる用紙収容部6が形成されている。前記固定カバー体3の下面側の近傍には、後に詳述する印字機構部7としてのサーマルヘッド8、プラテンローラ9、ペーパーガイド10及び用紙分離部としてのゴム製のピックアップローラ11及び分離ブロック12等が配置されている。分離ブロック12には、ピックアップローラ11の用紙送り出し方向に対して傾斜した案内係止面121が形成されている。そして、前記用紙収容部6は、本体ケースの側にて回動及びスライド可能な開閉支持手段14を介して開閉可能な蓋体13にて覆われる。
【0013】
蓋体13の回動支点は、図5(a)のロック位置と、図5(b)のロック解除位置との間で本体ケース2の上面に沿ってスライド可能に設けられている。蓋体13は回動支点がロック解除位置にあるときに上下に回動可能である。
【0014】
前記サーマルヘッド8はラインヘッド型であり、ゴム製のプラテンローラ9との間に挟まれて搬送される感熱型の用紙4の搬送方向に直交する方向に延びるライン毎に文字や画像等を印刷することができる。1ライン印刷する際の印刷幅は用紙4の直交方向の用紙幅に略等しく設定されている。サーマルヘッド8及びプラテンローラ9は、A6サイズ又はA7サイズ程度の用紙4の短辺方向の長さを有している。サーマルヘッド8を印刷ヘッドとして用いるのは、被印字媒体として感熱紙を用いることにより、インクやインクリボンの消耗品が不要であり、且つそのための機構を省略でき、プリンタ装置1をコンパクトにできるからである。
【0015】
感熱紙としては、サーマルヘッド8の加熱により発色する発色層を有する感熱発色タイプのものや、加熱により穿孔される穿孔層を基材層上に積層した感熱穿孔タイプのもの等、種々のものを使用できる。
【0016】
前記用紙収容部6の底板6aには、図4に示すように、前記用紙パッケージ5の外面に付された識別用マーク(図示せず)や、後述するクリーニングシート60であることを示すためのマーク部67を検知するためのセンサ部、その一例としての光センサ部6bが設けられており、前記識別用マークやマーク部67の検知結果から用紙収容部6にセットされた用紙パッケージ5内の用紙4のサイズや用紙種類もしくはクリーニングシート60を判別し、プリンタ装置1内の制御装置(マイクロコンピュータ)のメモリに記憶させ、サーマルヘッド8の作動を制御する。
【0017】
また、前記蓋体13には、用紙4の排紙口20から遠い側に用紙4の幅方向に長く形成される等した抜き孔に、蓋体13の内面側から透明板(図示せず)を貼着してなる第1表示部40を設ける(図1参照)。これにより、前記用紙収容部6にセットされた用紙パッケージ5の外面に印刷等された表示マーク部41における用紙4のサイズや用紙種類(例えば、前記感熱紙のタイプ、用紙の色、材質等)などの文字や記号を前記第1表示部40を通して観察できる。
【0018】
また、本体ケース2の用紙収容部6内に用紙パッケージ5をセットして蓋体13にて覆った状態のまま、携帯できるから、嵩張ることがない。該蓋体13の外側から、透明板で覆われた第1表示部40を介して表示マーク部41を見ることができるから、本体ケース2内に塵が侵入して故障の原因になる等の不都合を確実に回避できる。
【0019】
さらに、蓋体13の回動支点側に近い一側寄り部位に蓋体13の板に切欠き形成した窓部44を設ける一方、本体ケース2の表面個所に光を伝達する複数の透明窓部43、43と、該各透明窓部43、43の下面側(本体ケース2内)に対峙して配置された複数のLEDランプ42a,42bとからなる第2表示部42を設ける(図1、図2及び図5(a)参照)。該第2表示部42では、前記各LEDランプ42a,42bの点灯、消灯、点滅の区別により、プリンタ装置1の電源のON・OFF状態や印刷(印字)時と非印刷(非印字)時との区別等の作動状態を知ることができる。
【0020】
その場合、図1に示すように、後述する排紙口20から排紙される用紙4が蓋体13の表面に重なった状態となったとき、第2表示部42の配置位置を、前記用紙4の幅方向の外側に偏倚した位置にすれば、排紙された用紙4で第2表示部42が隠されることがなく、常時プリンタの作動状態を確認できる。
【0021】
また、前記第1表示部40と第2表示部42とを蓋体13の配置側などの同じ側面に配置されていると、ユーザーがプリンタ装置1の一方向から簡単に2つの表示を同時に観察できて、複数の表示部を探す手間が省ける。
【0022】
前記用紙収容部6のうち、前記印字機構部7に近い側には、ピックアップローラ11と分離ブロック12とが配置されている(図5(a)及び図5(b)参照)。前記用紙収容部6内に収容された用紙パッケージ5は、前記閉止した蓋体13の本体内面側に設けた板バネ等の付勢手段15を介して用紙収容部6の底板6aに向けて付勢される。用紙パッケージ5における積層した用紙4のうち、用紙パッケージ5外に露出した用紙4(最下層の用紙)がピックアップローラ11の上面に当接付勢される。このピックアップローラの回転駆動と分離ブロック12の案内係止面121との協働により、前記最下層の用紙4のみが分離ブロック12の下端とガイド板17との隙間を通過する。該分離ブロック12に隣接してプラテンローラ9が回転可能に設けられ、その外周面に押圧コイルバネ等の付勢手段16によりペーパーガイド10が付勢されている。ピックアップローラ12と案内係止面121により、用紙パッケージ5から1枚だけ分離搬送された用紙4はプラテンローラ9とペーパーガイド10との間に搬送される。ペーパーガイド10は、その断面がプラテンローラ9の外周面に沿うように断面横向き略U字状等の凹湾曲状の摺接面10aに形成されている。
【0023】
前記ペーパーガイド10と、その上方に配置されて回動枢支部Pを中心にして回動可能に配置され、プラテンローラ9の上面の印字位置に接離可能なサーマルヘッド8の下面とにより、前記用紙収容部6から分離搬送された用紙4は横向きU字状に反転させて搬送され、プラテンローラ9の印字位置まで搬送される。サーマルヘッド8により用紙4の上面に印字され、前記分離ブロック12の上面と前記固定カバー体3の端縁との隙間である排紙口20から蓋体13の外側に排紙される構成である(図5(a)参照)。前記サーマルヘッド8はその背面(上面側)にコイルスプリング(付勢手段)19のばね掛け部が係止され、プラテンローラ9側に付勢され、サーマルヘッド8の印字部(発熱体部8a)がプラテンローラ9の上面に当接する。
【0024】
前記プラテンローラ9及びピックアップローラ11の駆動機構は、本体ケース2の長辺に沿う一方の内側面(実施形態では図2に示す用紙4の搬送方向の右側)に配置された駆動モータ22と歯車伝動機構(ギヤ列)23とからなる(図6(b)参照)。プラテンローラ9の直径がピックアップローラ11の直径より大きく、プラテンローラ9の箇所の用紙搬送速度をピックアップローラ11箇所での用紙搬送速度より大きく設定してピックアップローラ11と分離ブロック12との箇所での用紙分離をゆっくり行いプラテンローラ9による用紙搬送、ひいては印字速度を高速化している。そのために、ギヤ列中に互いに対向して回転される一対の回転体を設け、各々の回転面上に突起を設け、一方の回転体をプラテンローラ9に連動させて回転させると、その突起も回転されて他方の回転体の突起に係合して、他方の回転体を遅延させて回転する回転伝動部を設けている。他方の回転体と共に回転されるピックアップローラ11から搬送された用紙4がプラテンローラに到達すると、プラテンローラ9の周速がピックアップローラ11の周速より大きいので、前記回転体の突起を介して駆動連結が解除されてピックアップローラ11が用紙4と連れ回り回動する。
【0025】
次に、本体ケース2の上面開口面を覆うための蓋体13が不用意に開かないようにするためのロック手段について説明する。このロック手段は、蓋体13のロック動作(蓋体13の前進移動)に連動してリリース連動機構により、プラテンローラ9の外周面にペーパーガイド10を押圧すると共にサーマルヘッド8も押圧状態とするものである。このリリース連動機構は、プラテンローラ9の外周部分で用紙詰まりが発生した場合に、当該用紙4を簡単に除去するためのものである。
【0026】
ロック手段の1部品としての合成樹脂製の左右両案内支持ブロック24、24は、左右対称形状であり、図2、図7に示すように、用紙4の搬送方向に長手に形成されている。そして、この各案内支持ブロック24の長手方向の中途部には上下に貫通し、且つ本体ケース2の中央方向に開放される縦案内溝26が形成され、該縦案内溝26と直交して水平方向に連通する抜き窓31が形成されている。案内支持ブロック24の抜き窓31の上方壁部241は、前記蓋体13を本体ケース2の開口面と平行状に閉止方向に移動するとき前記侵入部としてのロック片25が上向きに抜け不能となる第1規制手段として機能する。
【0027】
各案内支持ブロック24の内側面のうち長手方向の中途部には、前記蓋体13の自由端側の左右両側から下向きに突出する侵入部としてのロック片25が上下方向に挿通できる内向き開放状の縦案内溝26が形成されている。また、前記各案内支持ブロック24の外面側には、上下方向の中途部に長手方向に沿う横案内溝27が凹み形成されており、この横案内溝27には作動部材28が前後方向(案内支持ブロック24の長手方向)に移動自在に嵌合している。
【0028】
各作動部材28の外側面には、その移動方向の一端寄り部位に、前記縦案内溝26の間隔を隔てて前後一対の規制ブロック29、30が横向き突出されており、前記案内支持ブロック24の一側面には、前記一対の規制ブロック29、30が横向きに臨み、且つ所定距離だけ前記前後方向に移動可能とする抜き窓31が穿設されている。
【0029】
樹脂バネ体32は、その基端部32bが前記案内支持ブロック24の下端側に連結されており、その樹脂バネ体32の上向き先端部32aは前記縦案内溝26に対して上下方向に嵌合できるように構成されている。そして、蓋体13が後退位置で上方に回動してロック片25が案内支持ブロック24の縦案内溝26から抜け出した状態(これを蓋体13の開き位置いう、図8(c)参照)では、前記作動部材28における一対の規制ブロック29、30の間に前記縦案内溝26が位置するので、樹脂バネ体32の上向き先端部32aが前記一対の規制ブロック29、30の間に上向きに突出して、作動部材28の前後方向の移動を規制できる。従って、この樹脂バネ体32の上向き先端部32aが前記一対の規制ブロック29、30の間に嵌合することにより、前記蓋体13の開き位置でリリース連動機構が不用意に前移動しないようにロック状態に保持できるロック手段となる。
【0030】
他方、前記一方(後側)の規制ブロック30の下面側には、後方に行くに従って上位置となる傾斜面が形成されている。従って、蓋体13を下方に回動させて、ロック片25が縦案内溝26に進入して上向き先端部32aを押下してロックが解除され、作動部材28を前方に移動させた状態(前記規制ブロック30が縦案内溝26の個所まで移動した状態、蓋体13の閉止位置という、図8(a)参照)では、前記傾斜面30aに前記上向き先端部32aが当接して、作動部材28を前方移動位置に保持し、この構成と、付勢手段16、19とにより、後述するリリース連動機構を不用意に後退させないようにロック位置に保持するロック手段となる。
【0031】
リリース連動機構は、前記作動部材28の前端側にピン34及び縦長孔を介して回動可能に連結され、前記プラテンローラ9の回動軸9aに対して回動可能に被嵌する連動リンク体33と、該連動リンク体33に一体的に形成された第1カム体36と第2カム体37とからなる。連動リンク体33の回動に応じて、第1カム体36が前記ペーパーガイド10の適宜前面に接離するとき同時に第2カム体37が前記サーマルヘッド8の適宜下面に接離するように構成されている。
【0032】
この構成により、図5(b)に示すように、蓋体13を開き、本体ケース2の用紙収容部6内に、開封した用紙パッケージ5を用紙4面を下向きにしてセットした後、蓋体13を下向き回動すると、当該蓋体13の下面の板バネ製の付勢手段15(図5(a)参照)により用紙パッケージ5を下向きに押圧するので、積層した用紙4の最下層面のうち先端側がピックアップローラ11の上に押圧される。
【0033】
そして、蓋体13を不用意に開かないようにするための動作(蓋体13を下向き回動させて本体ケース2の開口面と平行状に図5(a)の状態まで前進移動)に連動して下記のようにプラテンローラ9の外周面にペーパーガイド10を押圧すると共にサーマルヘッド8も押圧状態とするものである。
【0034】
図示しないパソコン等からUSB端子や赤外線端子を介して印字指令及び画像データ(印刷データ)をプリンタ装置1に送ると、駆動モータ22が回転駆動し、ピックアップローラ11とプラテンローラ9は同時に回転し始める。ピックアップローラ11の回転により、前記積層された用紙4のうち最下層の用紙4の先端4aが、分離ブロック12に衝突して最下層の用紙4のみが分離されて、分離ブロック12の下面とガイド板17と間に搬送さる。次いで、プラテンローラ9とペーパーガイド10との間に挟持された用紙4は、回転するプラテンローラ9とペーパーガイド10にて挟持搬送されてサーマルヘッド8方向に移動し、用紙4の表面に印字された後、固定カバー体3と前記分離ブロック12の背面との隙間である排紙口20からプリンタ装置1外に排紙できるのである。その場合、用紙4における印字面は蓋体13の表面(外面)と反対側になる。換言すれば、ユーザが蓋体13の表面を見るとき、前記印字面が同じ方向に向いているので、同時に用紙4における印字面を観察できる状態となる。
【0035】
紙ジャムが発生した場合には、まず、本体ケース2の上面と平行状の蓋体13を固定カバー体3から離れる方向に水平移動(後退)させ(図8(a))、蓋体13の回動支点をロック解除位置に移動させる。蓋体13を後退させると、当該蓋体13の左右両側のロック片25、25が各作動部材28の前後一対の規制ブロック29、30の間に嵌まっているので、作動部材28を付勢手段16、19の付勢力に抗して強制的に後退させる。
【0036】
作動部材28の後退位置において蓋体13を上方に回動すると、ロック片25が縦案内溝26から離脱するので、縦案内溝26の下方退避領域に退避していた樹脂バネ体32の上向き先端部32aが、弾性力により前記一対の規制ブロック29、30の間に下方から係合し、作動部材28の後退位置を保持することができる(図8(c)参照)。また、蓋体13を上方に回動させて用紙パッケージ5を交換することもできる。
【0037】
この作動部材28の後退移動に伴って、連動リンク体33はプラテンローラ9の軸9a回りにて図5(b)において反時計回り回動する。この連動リンク体33に設けられた第1カム体36は付勢手段16の付勢力に抗してペーパーガイド10の前面を押してプラテンローラ9の外周面から離す。それと同時に第2カム体37が付勢手段19の付勢力に抗してサーマルヘッド8の下面を上向きに押し上げ、サーマルヘッド8の発熱体部8aがプラテンローラ9の外周面から離れるのである。これにより、プラテンローラ9の外周に巻き付いている用紙4は軽い力でプラテン装置1の外に引き出すことができるのである。そして、ワンタッチでサーマルヘッド8とペーパーガイド10とをプラテンローラ9に対して接離可能であるので、操作性に優れたものとなる。
【0038】
なお、補助ロック手段として、蓋体13の自由端縁に用紙4の搬送方向と直交する幅方向の略中央部等に1乃至複数の係合爪38を前記搬送方向に延びるように設ける一方、前記分離ブロック12には、蓋体13本体ケース2の上面と平行状にして分離ブロック12方向に前進させたとき係止する係止爪39を設けておけば(図5(b)及び図6(a)参照)。蓋体13が薄肉(剛性が小さいもの)であって、当該蓋体13が板バネ状等の押圧手段15による反力で撓み易いものであっても、前記補助ロック手段が押圧手段15による押圧作用部の近傍に位置するから、当該蓋体13の自由端側をしっかりと本体ケース2に閉止固定できるという効果を奏する。
【0039】
次に、本発明に係る印字機構部7及び搬送ローラとしてのピックアップローラ11の箇所の清掃(クリーニング)方法及びそれに使用するクリーニングシート60について説明する。クリーニングシート60は、図9(a)及び図9(b)に示すごとく、前記プリンタ装置1における用紙収容部6に収容できるサイズ(例えばA6またはA7サイズの矩形状の基紙61の表裏両面を、基紙61の長辺方向の一部が非粘着層部60aであり、他の部分が粘着層部60bとするように区画する。基紙61の長辺方向に沿う非粘着層部60aの寸法L1(図9(a)参照)は、当該非粘着層部60aの先端が排紙口20から若干突出した状態で、プラテンローラ9の外周面とペーパーガイド10との間を通過して非粘着層部60aの後端が前記ピックアップローラ11の用紙搬送方向上流側の所定箇所に至るに十分な長さ程度とする(図10参照)。なお、排紙口20から突出した非粘着層部60aの長さは、使用者が摘んでクリーニングシート60を引き出すのに十分な長さを有する。
【0040】
クリーニングシート60における非粘着層部60aは、前記基紙61の表裏両面に接着剤層62を介して表面紙64、64が強固に粘着されて構成されている。他方、粘着層部60bは、前記非粘着層部60aに隣接して形成されており、基紙61の表裏両面に塗布された粘着材層63と、該各粘着材層63を覆う離型紙65とにより構成され、各離型紙65は粘着材層63から簡単に剥離できるように仮貼着されているものである。そして、前記非粘着層部60aにおける両方の表面紙64には所定位置に、クリーニングシートであることを示す標識が印刷等されたマーク部67が付されている(図9(a)参照)。
【0041】
次に、前記クリーニングシート60を使用して、プリンタ装置1における搬送経路及び印字機構部7を清掃する方法について説明する。まず、ユーザーは前記蓋体13を大きく開いて、前記用紙収容部6を開放し、前記用紙パッケージ5に代えて、1枚のクリーニングシート60を前記離型紙65を剥がさない状態で用紙収容部6にセットする。このとき、前記非粘着層部60aを搬送方向下流側、つまりピックアップローラ11に一方の表面紙64が当接するように位置させる。そうすると、必然的に前記粘着層部60bが搬送方向上流側に位置するようにセットされる。次いで蓋体13を前述のようにして閉止させると、蓋体13における付勢手段15の付勢力により、クリーニングシート60の表面紙64の部分がピックアップローラ11に押圧される。そして、用紙収容部6の底板6a側に設けた光センサ6bで前記表面紙64に付されたマーク部67が読取られ、プリンタ装置1の本体ケース2内のマイクロコンピュータ等からなる制御装置が、用紙収容部6にセットされたものがクリーニングシート60であると判断し、以下に記載のクリーニングモードを実行する。
【0042】
この状態で印字作業は実行されず、且つクリーニングシート60の搬送距離を所定の短い距離に限定するように、駆動モータ22が回転駆動されると、ピックアップローラ11が回転駆動して、クリーニングシート60の非粘着層部60aの先端側からプラテンローラ9とペーパーガイド10の間に送られ、次いでプラテンローラ9の回転力により搬送された非粘着層部60aが、サーマルヘッド8の発熱体部8aとプラテンローラとの押圧部を通過し、排紙口20に非粘着層部60aの先端側が露出する。この非粘着層部60aの先端側が排紙口20から若干量だけ露出した状態で、且つ離型紙65(粘着層部60b)の部分がピックアップローラ11の箇所より搬送方向上流側の所定個所にある状態で、駆動モータ22が自動的に停止される(図10の状態参照)。
【0043】
前記非粘着層部60aの表面紙64は通常の印字用の用紙4と同様の摩擦係数のものを使用するものであり、粘着性がないので、前記ピックアップローラ11やプラテンローラ9の外周面やペーパーガイド10の表面に付着することがなく、駆動モータ22を通常の出力にて駆動させることができる。
【0044】
次いで、ユーザーは再度蓋体13を大きく開く。クリーニングシート60の非粘着層部60aが長さL1だけ設けられていることにより(図9(a)参照)、前記用紙収容部6における粘着層部60bはピックアップローラ11よりも搬送方向上流側にあるので、ユーザーはその表裏の離型紙65、65を除去することができる。離型紙65、65を除去した後、再度蓋体13を閉止状態にする。この動作により、上記したように、プラテンローラ9の外周面に対してペーパーガイド10が付勢手段16にて押圧付勢されると共に、サーマルヘッド8の発熱体部8aも前記付勢手段19の付勢力にてプラテンローラ9の外周面方向に押圧される。この状態で前記排紙口20に露出した前記非粘着層部60aはユーザーが指で摘むのに十分な長さだけ突出している。そこで、ユーザーが突出している非粘着層部60aの露出部分を指で摘んで、クリーニングシート60を手で引き出すことにより、前記基紙61の表裏両面の粘着層部60b、60bがピックアップローラ11及びプラテンローラ9とペーパーガイド10の表面を擦りながら通過するので、これらローラ等の部品に付着していた塵や紙粉、発熱体部8aの箇所に付着している感熱紙の色素等の固形物が前記粘着層部60b、60bに吸着されて清掃できるのである。
【0045】
本発明によるクリーニング方法では、搬送ローラ(ピックアップローラ11)や前記印字機構部7に粘着層部を通過させるに際して、クリーニングシート60の強制搬送のために従来のように駆動モータを作動させないから、搬送ローラや印字機構部7の部品に粘着層部にその粘着力で強固に付着した場合にも、駆動モータに過負荷が作用するというような不都合が発生しない。従って、小型の携帯用のプリンタ装置等のように用紙搬送用の駆動力が小さいプリンタ装置についても、狭い搬送経路に配置された各構成部品を確実且つ安全に清掃できる。
【0046】
なお、クリーニングシート60における非粘着層部60aとして、前記基紙61のみであっても良く、その場合にはマーク部67は基紙61の表裏面の少なくともいずれか一方に付すと良い。また、本発明に係るプリンタ装置の印字機構はサーマルヘッドばかりでなく、他の形式のものであっても良い。
【0047】
本実施形態では、用紙収容部6にセットされたものがクリーニングシート60であると判断すると、クリーニングモードが実行されるが、このクリーニングモードは、プリンタ装置1が接続されるパーソナルコンピュータ等の外部装置からの指令により実行されるようにしても良い。また、プリンタ装置1にクリーニングモード実行のためのスイッチを設けても良い。
【0048】
【発明の効果】
以上に詳述したように、請求項1に記載の発明のプリンタ装置のクリーニング方法は、プリンタ装置における本体ケース内に、被印字媒体を収容する用紙収容部と、該用紙収容部に収容された被印字媒体に当接可能な搬送ローラと、前記被印字媒体に印字を行う印字機構部とを備えており、前記搬送ローラ及び印字機構部を、非粘着層部と粘着層部とが隣接して配置され、且つ粘着層部が離型紙にて開放可能に覆われてなるクリーニングシートにより清掃する方法であって、前記用紙収容部にクリーニングシートをその非粘着層部が搬送方向下流側に位置し、且つ粘着層部が搬送方向上流側に位置するようにして配置した後、搬送ローラを駆動して、前記非粘着層部が前記印字機構部の排紙側に露出した状態で搬送ローラを停止し、次いで前記離型紙を除去した後、前記印字機構部の排紙側に露出した前記非粘着層部を引き出すことにより、前記粘着層部が搬送ローラ及び印字機構部を通過するようにしたことを特徴とするものである。
【0049】
このようなクリーニング方法を採用することにより、前記非粘着層部が前記印字機構部の排紙側に露出するまでは、搬送ローラの駆動力でクリーニングシートを搬送するから、狭い搬送経路であっても、確実にクリーニングシートを搬送でき、また、非粘着層部を印字機構の排紙側に露出するまで、離型紙を除去しないから、用紙収容部内に粘着層部が付着してブレーキになることもない。清掃部として機能する粘着層部が搬送ローラ及び印字機構部を通過させるときには、駆動力を使用しないから、駆動モータなどの駆動源に過負荷を作用させないで安全に清掃できるという効果を奏する。
【0050】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプリンタ装置のクリーニング方法において、前記印字機構部は、プラテンローラと、付勢手段により前記プラテンローラの外周面に付勢されるペーパーガイド及びサーマルヘッドとから構成されており、前記クリーニングシートを、プラテンローラの外周面と前記ペーパーガイド及びサーマルヘッドの発熱体部との間を通過させるようにしたものである。
【0051】
このように搬送手段としても機能するプラテンローラの外周面に付勢手段にて押圧されているペーパーガイドやサーマルヘッドとの狭い隙間に対して、前記非粘着層部のみを搬送すれば、その後は離型紙を除去して粘着層部が露出状態となったクリーニングシートを手動にて引き出すだけの簡単な操作で、狭い箇所の塵や紙粉等を容易に除去できるという効果を奏する。
【0052】
他方、請求項3に記載の発明は、請求項1または2のクリーニング方法に使用するクリーニングシートであって、前記粘着層部は基紙の表裏両面に形成されており、各粘着層部を剥離可能な離型紙にて被覆されていることを特徴とするものであるから、クリーニングシートの保存状態で粘着層部が露出せず、塵が粘着層部に付着して清掃能力が低下しないという効果を奏する。
【0053】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のクリーニングシートにおいて、前記クリーニングシートにおける前記非粘着層部には、当該クリーニングシートであることを示すためのマーク部が付されているものであるから、プリンタ装置にクリーニングシートをセットしたときには、制御手段が通常の用紙と同じ印字作業を実行することが防止出来るし、ユーザーもクリーニングシートであることを容易に確認できるという効果を奏する。
【0054】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載のクリーニングシートにおいて、前記クリーニングシートの非粘着層部の前記搬送方向に沿った長さは、前記搬送ローラを停止した際に、前記クリーニングシートの非粘着層部が前記本体ケースの排紙口から所定量突出する長さに設定されているので、クリーニングシートから離型紙を剥離した後にクリーニングシートを引き出す際に、ユーザーが非粘着層部の本体ケースより突出した部分を容易に把持することができ、簡単にクリーニングシートを引き出すことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願のプリンタ装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本体ケースの概略平面図である。
【図3】用紙パッケージの斜視図である。
【図4】本体ケースにおけるピックアップローラ部の斜視図である。
【図5】(a)はプリンタ装置の側断面図、(b)は蓋体を開いた状態の本体ケースの左側部位の断面図である。
【図6】(a)は印字機構部の拡大側面図、(b)は歯車伝動機構の側面図である。
【図7】ロック手段及びリリース連動機構の部品の分解斜視図である。
【図8】(a)は蓋体の閉止状態でプラテンロックにペーパーガイド及びサーマルヘッドが押圧している状態の断面図、(b)は蓋体の後退位置でペーパーガイド及びサーマルヘッドのリリース状態を示す断面図、(c)は蓋体の回動可能状態を示す断面図である。
【図9】(a)はクリーニングシートの斜視図、(b)はクリーニングシートの要部拡大断面図である。
【図10】クリーニングシートの非粘着層部が排紙口20に露出し、離型紙を除去して引き出す状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 プリンタ装置
2 本体ケース
4 被印字媒体としての用紙
5 用紙パッケージ
7 印字機構部
8 サーマルヘッド
8a 発熱体部
9 プラテンローラ
10 ペーパーガイド
11 ピックアップローラ
12 分離ブロック
13 蓋体
16、19 付勢手段
20 排紙口
60 クリーニングシート
60a 非粘着層部
60b 粘着層部
61 基紙
Claims (5)
- プリンタ装置における本体ケース内に、被印字媒体を収容する用紙収容部と、該用紙収容部に収容された被印字媒体に当接可能な搬送ローラと、前記被印字媒体に印字を行う印字機構部とを備えており、
前記搬送ローラ及び印字機構部を、非粘着層部と粘着層部とが隣接して配置され且つ粘着層部が離型紙にて開放可能に覆われてなるクリーニングシートにより清掃する方法であって、
前記用紙収容部にクリーニングシートを、その非粘着層部が搬送方向下流側に位置し、且つ粘着層部が搬送方向上流側に位置するようにして配置した後、搬送ローラを駆動して、前記非粘着層部が前記印字機構部の排紙側に露出した状態で搬送ローラを停止し、
次いで前記離型紙を除去した後、前記印字機構部の排紙側に露出した前記非粘着層部を引き出すことにより、前記粘着層部が搬送ローラ及び印字機構部を通過するようにしたことを特徴とするプリンタ装置のクリーニング方法。 - 前記印字機構部は、プラテンローラと、付勢手段により前記プラテンローラの外周面に付勢されるペーパーガイド及びサーマルヘッドとから構成されており、前記クリーニングシートを、プラテンローラの外周面と前記ペーパーガイド及びサーマルヘッドの発熱体部との間を通過させることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ装置のクリーニング方法。
- 請求項1または2のクリーニング方法に使用するクリーニングシートであって、前記粘着層部は基紙の表裏両面に形成されており、各粘着層部を剥離可能な離型紙にて被覆されていることを特徴とするクリーニングシート。
- 前記クリーニングシートにおける前記非粘着層部には、当該クリーニングシートであることを示すためのマーク部が付されていることを特徴とする請求項3に記載のクリーニングシート。
- 前記クリーニングシートの非粘着層部の前記搬送方向に沿った長さは、前記搬送ローラを停止した際に、前記クリーニングシートの非粘着層部が前記本体ケースの排紙口から所定量突出する長さに設定されていることを特徴トする請求項3または請求項4に記載のクリーニングシート。
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