JP3594064B2 - 現像剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷等における静電潜像を現像するための現像剤に関し、さらに詳しくは、電子写真現像方法において、均一に強く負電荷に帯電し、特に現像剤の特性低下を防止した現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法や静電記録法において、静電的潜像を可視化する現像剤としては、トナー粒子とキャリア粒子とからなる二成分系現像剤、及びトナー粒子のみからなる一成分系現像剤が知られている。
一般に、二成分系現像剤においては、トナー粒子とキャリア粒子との間の摩擦帯電によりトナー粒子に電荷を付与し、このトナー粒子により静電潜像を可視化している。一成分系現像剤においては、現像ロール上にトナー粒子の薄層を形成する過程で、トナー粒子と現像ロールとの間の摩擦帯電によりトナー粒子に電荷を付与し、このトナー粒子により静電潜像を可視化している。
【0003】
トナー粒子には、優れた流動性と、安定した摩擦帯電性を有し、長期にわたって感光体上のカブリや画像濃度の低下などが発生せず、高品質の印字が可能であることが求められている。トナー粒子の流動性が悪いと、クリーニング不良になって感光体上に残留し、カブリを生じたり、トナーフィルミング現象が生じたりする。従来より、トナー粒子の流動性を改善するために、トナー粒子に、疎水性のシリカ、ポリテトラフルオロエチレン微粒子、ポリスチレン微粒子など、種々の無機微粒子や有機微粒子を混合した現像剤が使用されている。しかしながら、従来の無機微粒子あるいは有機微粒子は、帯電性、流動性、印字品質などを充分に満足させるものではなかった。
【0004】
例えば、シリカは、平均粒径が5〜100nmとトナー粒子の平均粒径に比べて非常に小さく、しかも硬度が高いため、トナー粒子とキャリア粒子との間、あるいはトナー粒子と現像ロールとの間の摩擦により、容易にトナー粒子の表面に埋め込まれ、その結果、長期にわたって現像剤の帯電性、流動性等の特性を維持することが困難である。平均粒径が0.1〜2μm程度の無機微粒子をトナー粒子に混合した場合には、摩擦による無機微粒子のトナー粒子表面への埋め込みは生じ難いものの、トナー粒子表面に付着した無機微粒子により、感光体や現像ロールの表面が傷つけられ、印字品質が劣化してしまうという問題がある。
また、従来公知の無機微粒子や有機微粒子をトナー粒子に混合した現像剤は、トナー粒子の感光体表面への付着を防止し、クリーニング性を高めることができるものの、トナー粒子の摩擦帯電能が低下し、長期にわたって現像剤を使用した場合に、画像濃度の低下やカブリが発生するという問題があった。
【0005】
従来、有機微粒子として、トナー粉末に、特定の製法により調製したトナー粉末の平均粒径より小さい平均粒径を有するアクリル系重合体微粉末を混合した現像剤が提案されている(特公平2−3172号公報、特公平4−9299号公報)。これらの重合体微粉末は、(1)過硫酸塩を重合開始剤として用いる方法、(2)水溶性ポリマーを用いる方法、又は(3)通常の乳化重合法により調製されるもの等であり、これを混合した現像剤は、感光体や現像ロールを傷つけることなく、クリーニング不良を防ぎ、現像剤寿命を長くすることができるとされている。しかしながら、本発明者らの検討結果によれば、トナー粉末に、このような重合体微粉末を混合する方法は、現像剤への帯電付与能力については必ずしも満足が得られないことが判明した。すなわち、(1)の方法では、−SO3 − 量の制御が容易でなく、帯電制御が困難であり、また粒径の制御幅が狭い。また、(2)及び(3)の方法では、帯電量の湿度依存性が大きくなる。
【0006】
【課題が解決しようとする課題】
本発明の目的は、トナー粒子に重合体微粒子を混合した現像剤であって、トナー粒子に対して帯電性を長期的に安定して付与し得る重合体微粒子を含有し、長期にわたって安定した流動性と帯電性を有し、感光体カブリの少ない現像耐久性に優れた現像剤を提供することにある。本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、トナー粒子に重合体微粒子を混合した現像剤において、該重合体微粒子として、単量体として(メタ)アクリル酸エステル系単量体を50重量%以上用い、スチレンスルホン酸のアルカリ金属塩を用いたソープフリー重合法により得られる(メタ)アクリル酸エステル系重合体を使用することにより、優れた流動性、クリーニング性を有すると共に、長期にわたって安定した帯電性と流動性を保持し、画像濃度の低下や感光体カブリの抑制された現像剤の得られることを見いだした。この重合体微粒子は、トナー粒子の研磨剤として作用させるためには、通常、トナー粒子より平均粒径が小さいものが使用される。本発明で使用する重合体微粒子は、残存乳化剤が皆無であるため、帯電性の湿度依存性が小さいことに加えて、スチレンスルホン酸のアルカリ金属塩に起因する高帯電性を有する。したがって、本発明の現像剤は、均一に強く負電荷に帯電し、特に現像剤の特性低下が防止されている。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、トナー粒子と重合体微粒子を含有する現像剤において、該重合体微粒子が、単量体として(メタ)アクリル酸エステル系単量体を50重量%以上用い、スチレンスルホン酸のアルカリ金属塩を用いたソープフリー重合法により製造された(メタ)アクリル酸エステル系重合体であることを特徴とする現像剤が提供される。
【0008】
本発明によれば、以下の好ましい実施態様が提供される。
(1)重合体微粒子の重量平均粒径が、0.005〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである前記現像剤。
(2)重合体微粒子が、(メタ)アクリル酸エステル系単量体とスチレンスルホン酸ナトリウムまたはカリウムとを、ラジカル重合開始剤として水溶性アゾ系化合物を用いて共重合することにより得られたものである前記現像剤。
(3)スチレンスルホン酸ナトリウムまたはカリウムの使用割合が、(メタ)アクリル酸エステル系単量体100重量部に対して、0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜10重量部である第(2)項記載の現像剤。
(4)重合体微粒子の配合割合が、トナー粒子100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.1〜2重量部である前記現像剤。
(5)トナー粒子の体積平均粒径が1〜30μm、好ましくは3〜20μmである前記現像剤。
(6)重合体微粒子の重量平均粒径がトナー粒子の体積平均粒径よりも小さい前記現像剤。
【0009】
(7)ソープフリー重合法により、水溶性重合開始剤を用いて、(メタ)アクリル酸エステル系単量体とスチレンスルホン酸ナトリウムまたはカリウムとを共重合させることを特徴とする重合体微粒子の製造方法。
(8)水溶性重合開始剤が水溶性アゾ系化合物である前記製造方法。
(9)スチレンスルホン酸ナトリウムまたはカリウムを、(メタ)アクリル酸エステル系単量体100重量部に対して、0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜10重量部の割合で使用する前記製造方法。
(10)モノマー濃度が3〜50重量%で、反応温度が5〜95℃の条件で反応させる前記製造方法。
(11)重合体微粒子の重量平均粒径を0.005〜5μm、好ましくは0.1〜2μmとする前記製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
本発明で使用する重合体微粒子に使用される(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。
【0011】
本発明では、(メタ)アクリル酸エステル系単量体と共に、他のビニル系単量体を使用することかできる。
本発明で用いることのできる他のビニル系単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸;アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリル酸またはメタクリル酸の誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等の含窒素ビニル化合物;等が挙げられる。これらのビニル系単量体は、単独で用いてもよいし、複数のビニル系単量体を組み合わせて用いてもよい。使用割合は(メタ)アクリル酸エステル系単量体との合計量中、通常は0〜50重量%である。
【0012】
本発明では、当業者には周知のソープフリー重合法により、重合体微粒子を製造する。
【0013】
本発明では、ソープフリー重合において、(メタ)アクリル酸エステル系単量体と共に、スチレンスルホン酸のアルカリ金属塩、例えばスチレンスルホン酸ナトリウムまたはカリウムを存在させる。ソープフリー重合法により重合を行うに際し、粒子のコロイド的安定性を確保するには、電気的斥力を付与させるために、何らかの電荷付与剤が必要となるが、この電荷付与剤としてスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩が作用する。また、この塩は(メタ)アクリル酸エステル系単量体と共重合し、懸濁液の分散安定化に寄与する。スチレンスルホン酸のアルカリ金属塩は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体100重量部に対して、通常、0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜10重量部の割合で使用することが望ましい。
【0014】
本発明では、水溶性重合開始剤として、従来から使用されているものを使用することができる。これらの中でも、特に、水溶性アゾ触媒が好ましい。水溶性アゾ触媒としては、例えば、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]2塩酸塩、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等を挙げることができる。
重合条件は、通常のソープフリー重合法の条件を採用することができる。モノマー濃度は、通常、3〜50重量%、好ましくは、5〜20重量%である。反応温度は、通常、5〜95℃である。
【0015】
ソープフリー重合法により得られた重合体微粒子は、必要に応じて、限外ろ過やセラミックスフィルター等の膜ろ過、遠心分離等により、精製することが好ましい。重合体微粒子をトナー粒子に添加するには、重合後の後処理として、粉体化を行うことが好ましい。そのために、市販の乾燥機を使用することができる。市販の乾燥機としては、例えば、連続瞬間気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー、セイシン企業製)を挙げることができる。
【0016】
本発明で得られる重合体微粒子は、
(1)完全な球形粒子が得られること、
(2)粒径分布の著しく狭い粒子が得られること、
(3)適当かつ所望の粒径が得られること、
(4)残存乳化剤が皆無であるため、帯電性の湿度依存が小さいこと、
(5)スチレンスルホン酸アルカリ金属塩を変量することにより、コントロールされた帯電量を有すること、
等の利点を持つ。そのため、トナー粒子に混合した場合、トナー粒子の帯電性を長期的に安定して保持することができ、感光体カブリの少ない現像耐久性の優れた現像剤が得られる。
本発明の重合体微粒子は、トナー粒子の研磨剤として使用する場合、平均粒径がトナー粒子の平均粒径よりも小さいことが必要である。重合体微粒子の重量平均粒径は、通常、0.005〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。重合体微粒子の重量平均粒径が大きすぎる場合には、トナー粒子への付着性が弱く、重合体微粒子のトナー粒子からの離脱が生じ、現像剤の現像耐久性が不十分となり易い。逆に、重合体微粒子の重量平均粒径が小さすぎると、理由は定かではないものの、重合体微粒子の帯電性が低下し、現像剤の耐久性が低下することがある。重合体微粒子の重量平均粒径は、光散乱法により測定した値である。
【0017】
本発明の現像剤は、トナー粒子100重量部に対して、重合体微粒子を、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.1〜2重量部の割合で混合することにより得ることができる。この割合が小さすぎると、重合体微粒子の配合による効果が小さく、過大であっても、効果が飽和する。本発明の重合体微粒子は、所望により、疎水性シリカ等の他の添加剤と併用することができる。
トナー粒子としては、特に限定されず、例えば、重合法により製造したもの、混練、粉砕により製造したもの、コア・シェル型のもの等、通常のものを使用することができる。代表的なトナー粒子としては、結着樹脂として、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを用いたものを挙げることができる。トナー粒子としては、着色剤や磁性材料などを含有するものを用いることができる。トナー粒子には、パラフィン、ワックスなどの各種添加剤を配合してもよい。トナー粒子の体積平均粒径は、通常、1〜30μm、好ましくは3〜20μmである。トナー粒子の平均粒径を体積平均粒径として測定する理由は、トナー粒子が磁性粉などの比重の大きな添加剤を含有する場合、重量平均粒径では実際の平均粒径を反映しなくなる場合があるためである。トナー粒子の体積平均粒径は、コールターカウンター法により測定した値である。
本発明の現像剤は、一成分系現像剤として、あるいは二成分系現像剤として使用することができる。また、本発明の現像剤を適用するための電子写真現像装置や感光体の種類、クリーニング方法などは、特に限定されない。
【0018】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
物性の評価方法は、以下のとおりである。
(1)画像濃度(ID)の測定法
画像濃度(ID)の評価は、マクベス反射濃度計を用い、「黒べた部」を測定することにより行った。
(2)ブローオフ帯電量の測定法
重合体微粒子の帯電量は、パウダーテック(株)社製キャリヤー(TEFV150/250)59.7gと重合体微粒子0.3gを秤量し、容積200ccのSUS製ポットに入れ、30分間、150回転/分の回転により摩擦帯電させ、東芝ケミカル社製ブローオフメーターで、窒素ガス1kg/cm2 の圧力でブローオフし、帯電量を測定した。
(3)感光体カブリの測定法
感光体上のカブリトナー粒子を透明粘着テープで採取し、白紙上に張り付け、光反射率Rfを測定した。一方、白紙上に透明粘着テープだけを張り付けて、光反射率Rbを測定した。光反射率は、白色度計(日本電色工業(株)製NDW−1D)を用いて測定した。感光体カブリ(BG)は、次式により求めた。
BG=Rb−Rf
【0019】
[参考例1]重合体微粒子Aの製造
撹拌機、還流冷却管、温度計、分液ロートを取り付けた3Lの四ツ口フラスコに、イオン交換水2000g、メチルメタクリレート200g、及びスチレンスルホン酸ナトリウム0.2gを加えて、攪拌した。次いで、この混合液を80℃に加温した後、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]の1%溶液300gを分液ロートよりフラスコ内に添加し、反応を開始した。イオン交換水20gを分液ロートに添加し、分液ロートを洗浄した。反応を7時間行った段階で、重量法により重合転化率を測定したところ、98%に到達していた。このようにして、得られた重合体微粒子の粒子径を光散乱法(大塚電子製LPA300/23100)により求めたところ、重量平均粒径が520nmで、数平均粒径が500nmであった。
この重合体微粒子を限外膜ろ過(旭化成製UFモジュールACV−3050)により、水相の電気伝導度が50μsになるまで精製処理を行った。その後、ロータリーエバポレーターにて水を蒸発させた後、50℃の真空乾燥機中で1昼夜乾燥させた。その後、乳鉢にて重合体微粒子を1次粒子にまで解砕し、重合体微粒子Aを調節した。
【0020】
[参考例2]重合体微粒子Bの製造
スチレンスルホン酸ナトリウムの量を0.6gとしたほかは参考例1と同様にして重合体微粒子を得た。この重合体微粒子の粒子径を光散乱法(大塚電子製LPA3000/3100)により求めたところ、重量平均粒径が420nmで、数平均粒径が400nmであった。
その後の処理、解砕も参考例1と同様にして、重合体微粒子Bを調製した。
【0021】
[参考例3]重合体微粒子Cの製造
スチレンスルホン酸ナトリウムの量を1.0gとしたほかは参考例1と同様にして重合体微粒子を得た。この重合体微粒子の粒子径を光散乱法(大塚電子製LPA3000/3100)により求めたところ、重量平均粒径が280nmで、数平均粒径が260nmであった。
その後の処理、解砕も参考例1と同様にして、重合体微粒子Cを調製した。
【0022】
[参考例4]重合体微粒子Dの製造
撹拌機、還流冷却管、温度計、分液ロートを取り付けた3Lの四ツ口フラスコに、イオン交換水2000g、及びメチルメタクリレート200gを加えて、攪拌した。次いで、この混合液を80℃に加温した後、1%過硫酸カリウム(和光純薬製)溶液100gを分液ロートよりフラスコ内に添加し、反応を開始した。反応を7時間行った段階で、重量法により重合転化率を測定したところ、98%に到達していた。このようにして得られた重合体微粒子の粒子径を光散乱法(大塚電子製LPA3000/3100)により求めたところ、重量平均粒径が400nmで、数平均粒径が380nmであった。
この重合体微粒子を限外膜ろ過(旭化成製UFモジュールACV−3050)により、水相の電気伝導度が50μsになるまで精製処理を行った。次いで、ロータリーエバポレーターにて水を蒸発させた後、50℃の真空乾燥機中で1昼夜乾燥させた。その後、乳鉢にて重合体微粒子を1次粒子まで解砕した。このようにして、ポリメチルメタクリレートからなる重合体微粒子Dを調製した。
【0023】
[参考例5]重合体微粒子Eの製造
1%過硫酸カリウム溶液の量を200gとしたほかは参考例4と同様にして重合体微粒子を得た。この重合体微粒子の粒子径を光散乱法(大塚電子製LPA3000/3100)により求めたところ、重量平均粒径が500nmで、数平均粒子形が480nmであった。
その後の処理、解砕も参考例4と同様にして、重合体微粒子Eを調製した。
【0024】
[実施例1]現像剤の製造例1
<トナー粒子の製造>
スチレン70重量部、メタクリル酸ブチル30重量部、カーボンブラック(商品名プリンテックス150T、デグサ社製)8重量部、Cr系染料(商品名ボントロンS−34、オリエント化学工業社製)0.5重量部、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2重量部を、室温でボールミルを用いて分散し、均一混合液を得た。この混合液を、りん酸カルシウム5重量部を微細に分散させた蒸留水350部中に添加し、分散液を得た。
上記分散液を、pH9以上の条件下にローターステーター型ホモミキサーにより高剪断攪拌を行い、単量体を含む混合液を水相中に微細な液滴として分散させた。次に、この水分散液を、攪拌機、温度計、窒素導入管、還流冷却管を装着した1Lの4つ口フラスコに入れ、65℃で4時間、攪拌下に重合を行った。
このようにして得られた重合体の分散液を、酸洗浄、水洗浄を十分に行ったあと、分離、乾燥し、着色粒子であるトナー粒子を得た。このようにして得られたトナー粒子のコールターカウンター法(コールター社製造コールターカウンターTA−II)により測定した体積平均粒径は、6.8μmであった。
<現像剤の製造>
トナー粒子100重量部に、参考例1で調製した重合体微粒子Aを0.3重量部と、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理を行ったシリカ微粒子1.0重量部とを加え、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、現像剤を得た。
<評価>
市販の電子写真方式のプリンタにより、上記で得た現像剤を用いて20000枚の印字を行ったところ、初期から印字品質を保ち、良好な結果を得た。
【0025】
[実施例2]現像剤の製造例2
<現像剤の製造>
実施例1で得られたトナー粒子100重量部に、参考例2で調製した重合体微粒子Bを0.3重量部と、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理を行ったシリカ微粒子1.0重量部とを加え、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、現像剤を得た。
<評価>
市販の電子写真方式のプリンタにより、上記で得た現像剤を用いて20000枚の印字を行ったところ、初期から印字品質を保ち、良好な結果を得た。
【0026】
[実施例3]現像剤の製造例3
<現像剤の製造>
実施例1で得られたトナー粒子100重量部に、参考例3で調製した重合体微粒子Cを0.3重量部と、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理を行ったシリカ微粒子1.0重量部とを加え、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、現像剤を得た。
<評価>
市販の電子写真方式のプリンタにより、上記で得た現像剤を用いて20000枚の印字を行ったところ、初期から印字品質を保ち、良好な結果を得た。
【0027】
[比較例1]現像剤の製造例4
<現像剤の製造>
実施例1で得られたトナー粒子100重量部に、参考例4で調製した重合体微粒子Dを0.3重量部と、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理を行ったシリカ微粒子1.0重量部を加え、ヘンシェルミキサーで混合し、現像剤を得た。
<評価>
市販の電子写真方式のプリンタにより、上記で得た現像剤を用いて20000枚の印字を行ったところ、初期の印字品質は良好であったが、印字を重ねるとともにカブリが増加した。
【0028】
[比較例2]現像剤の製造例5
<現像剤の製造>
実施例1で得られたトナー粒子100重量部に、参考例5で調製した重合体微粒子Eを0.3重量部と、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理を行ったシリカ微粒子1.0重量部を加え、ヘンシェルミキサーで混合し、現像剤を得た。
<評価>
市販の電子写真方式のプリンタにより、上記で得た現像剤を用いて20000枚の印字を行ったところ、初期の印字品質は良好であったが、印字を重ねるとともにカブリが増加した。
以上の結果を表1にまとめて表示する。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、現像剤の帯電性が長期的に安定に保持でき、感光体カブリの増加しない、現像耐久性に優れた現像剤が提供される。本発明の現像剤は、トナー粒子に対して帯電性を長期的に安定して付与し得る重合体微粒子を含有し、長期にわたって安定した流動性と帯電性を示す。本発明の現像剤は、感光体を傷つけにくく、トナーのフィルミング現象が抑制され、クリーニング性にも優れている。
Claims (1)
- トナー粒子と重合体微粒子とを含有する現像剤において、該重合体微粒子が、単量体として(メタ)アクリル酸エステル系単量体を50重量%以上用い、スチレンスルホン酸のアルカリ金属塩を用いたソープフリー重合により製造された(メタ)アクリル酸エステル系重合体であることを特徴とする現像剤。
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