JP3289598B2 - 現像剤 - Google Patents

現像剤

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JP3289598B2 JP11849296A JP11849296A JP3289598B2 JP 3289598 B2 JP3289598 B2 JP 3289598B2 JP 11849296 A JP11849296 A JP 11849296A JP 11849296 A JP11849296 A JP 11849296A JP 3289598 B2 JP3289598 B2 JP 3289598B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真、静電記
録、静電印刷等における静電潜像を現像するための現像
剤に関し、さらに詳しくは、安定した流動性と帯電性を
有し、現像耐久性と環境安定性に優れた現像剤に関す
る。本発明の現像剤は、特に、非磁性一成分現像剤とし
て好適である。
【0002】
【従来の技術】電子写真法や静電記録法において、静電
的潜像を可視化する現像剤としては、トナー粒子とキャ
リア粒子とからなる二成分現像剤と、実質的にトナー粒
子のみからなり、キャリアー粒子を使用しない一成分現
像剤が知られている。トナー粒子は、少なくとも結着樹
脂と着色剤とから形成された着色粒子であり、さらに、
流動化剤として、コロイダルシリカ等が独立して添加さ
れていることがある。二成分現像剤においては、一般
に、トナー粒子とキャリア粒子との間の摩擦帯電により
トナー粒子に電荷を付与し、このトナー粒子により静電
潜像を可視化している。二成分現像剤は、画質の良いこ
とから広範囲に用いられている。
【0003】しかしながら、二成分現像剤には、以下の
ような共通の欠点がある。 (1)トナー粒子は、トナー粒子とキャリヤー粒子との
間の相互摩擦により摩擦電荷を受け取るが、長期にわた
り使用していると、キャリヤー粒子の表面にトナー粒子
によるフィルムが形成され、その結果、トナー粒子が充
分な摩擦電荷を獲得できなくなり、カブリ等が発生す
る。 (2)トナー粒子とキャリヤー粒子は、所定範囲の混合
比に調整されていなければならないが、長期間にわたっ
て使用していると、その混合比が変動して所定範囲から
外れてしまい、画質が安定しなくなる。しかも、混合比
の変動を制御することが困難である。 (3)キャリヤー粒子として、一般に、表面を酸化した
鉄粉やガラスビーズが汎用されているが、これらのキャ
リヤー粒子によって感光体の表面が機械的な損傷を受
け、寿命を縮めてしまう。 (4)一定期間使用したら、現像剤を交換する必要があ
るので、メンテナンスが省けない。 (5)トナー粒子の他に大量のキャリヤー粒子が不可欠
になるため、小型化に限界がある。
【0004】そこで、近年、キャリアー粒子を使用しな
い一成分現像剤が開発されている。一成分現像剤のひと
つに、トナー粒子の中に磁性粉を含有させた磁性一成分
現像剤があり、該現像剤を用いた種々の現像法が提案さ
れている(例えば、米国特許第3,909,258号、
米国特許第4,121,931号)。しかしながら、磁
性一成分現像剤には、以下のような欠点がある。 (1)磁性一成分現像剤は、電気抵抗が小さい磁性粉を
多量に含有しているので、帯電量を高くするのが困難で
あり、感光体上の現像剤の像を普通紙等の支持部材へ静
電的に転写することが困難である。特に、多湿の雰囲気
下では、充分な転写性能が得られない。 (2)黒色の磁性粉が多量に含有されるため、トナー粒
子の色が黒色となり、現像剤のカラー化が困難である。 (3)磁性一成分現像剤は、磁性粉を多量に含有してい
るため、二成分現像剤に比較して定着力が低下する。そ
のため、定着器の温度や圧力を高くしなければならず、
ランニングコストが高くなる等の欠点を有する。
【0005】これに対して、非磁性一成分現像剤は、磁
性粉を含有せず、電気抵抗が大きいため、該非磁性一成
分現像剤を用いた現像法が注目を集めている。非磁性一
成分現像剤を用いた現像法としては、例えば、米国特許
第2,895,847号、米国特許第3,152,01
2号、特公昭41−9475号公報、特公昭45−28
77号公報、特公昭54−3624号公報等に記載され
ているタッチダウンまたインプレッション現像に基づく
方法が挙げられる。これらの方法では、従来二成分現像
方式に用いられていた現像剤の内、キャリヤー粒子を除
いたトナー粒子を非磁性一成分現像剤として利用してい
る。非磁性一成分現像剤を用いた現像法では、現像ロー
ル上にトナー粒子の薄層を形成する過程で、トナー粒子
と現像ロールや現像ブレードとの間の摩擦帯電によりト
ナー粒子に電荷を付与し、このトナー粒子により静電潜
像を可視化している。
【0006】しかしながら、非磁性一成分現像剤には、
以下のような欠点がある。 (1)非磁性一成分現像剤を用いた現像法では、非磁性
一成分現像剤の流動性が低いと、該現像剤の供給が不充
分となり、画像がカスレたり、画像濃度が低下する。 (2)非磁性一成分現像剤の帯電性が低いと、カブリが
発生し易くなる。すなわち、非磁性一成分現像剤を用い
た現像法では、トナー粒子と現像ロールや現像ブレード
等との間の摩擦帯電によりトナー粒子に電荷を付与して
いるので、現像剤の帯電能力が大きくないと、カブリが
発生し易くなる。 これに対して、二成分現像剤を用いた現像法では、キャ
リヤー粒子の鉄粉等を磁気ローラーの磁性で強制的に移
動させることができるので、トナー粒子の流動性の低下
による現像剤供給不良への影響は少ない。同様に、磁性
一成分現像剤においても、磁気ローラーにより現像剤自
身を強制的に移動させることができるので、現像剤の供
給不良は、あまり問題にはならない。また、二成分現像
剤や磁性一成分現像剤を用いた現像法では、現像剤を磁
気力により強制的に攪拌することにより帯電させること
ができる。
【0007】非磁性一成分現像剤を用いた現像法におい
ては、トナー粒子には、優れた流動性と、安定した摩擦
帯電性を有し、長期にわたって感光体上のカブリや画像
濃度の低下などが発生せず、高品質の印字が可能である
ことが求められている。トナー粒子の流動性が悪いと、
現像剤の供給不良になったり、あるいはクリーニング不
良になって現像剤が感光体上に残留し、カブリを生じた
り、トナーフィルミング現象が生じたりする。従来よ
り、トナー粒子の流動性を改善するために、例えば、ト
ナー粒子に、疎水性のシリカなどの無機微粒子やポリテ
トラフルオロエチレン微粒子、ポリスチレン微粒子など
有機微粒子を独立に添加(外添)する方法が採用されて
いる。しかしながら、従来の無機微粒子または有機微粒
子は、帯電性、流動性、印字品質などを充分に満足させ
るものではなかった。
【0008】例えば、シリカは、平均粒径が5〜100
nmとトナー粒子の平均粒径に比べて非常に小さく、し
かも硬度が高いため、トナー粒子と現像ロールや現像ブ
レード等との間の摩擦により、容易にトナー粒子の表面
に埋め込まれ、その結果、長期にわたって現像剤の帯電
性、流動性等の特性を維持することが困難である。平均
粒径が0.1〜2μm程度の無機微粒子をトナー粒子に
混合した場合には、摩擦による無機微粒子のトナー粒子
表面への埋め込みは生じ難いものの、トナー粒子表面に
付着した無機微粒子により、感光体や現像ロールの表面
が傷つけられ、印字品質が劣化してしまうという問題が
ある。また、従来公知の無機微粒子や有機微粒子をトナ
ー粒子に混合した現像剤は、トナー粒子の感光体表面へ
の付着を防止し、クリーニング性を高めることができる
ものの、トナー粒子の摩擦帯電能が低下し、長期にわた
って現像剤を使用した場合に、画像濃度の低下やカブリ
が発生するという問題があった。
【0009】従来、有機微粒子として、トナー粒子に、
トナー粒子の平均粒径より小さい平均粒径を有するアク
リル系重合体微粉末、アクリル/スチレン系共重合体微
粉末などを混合した現像剤が提案されている(特開昭6
0−186851号公報、特開昭60−186852号
公報、特開昭60−186854号公報)。これらの重
合体微粉末は、平均粒径が0.005〜5μm、好まし
くは0.1〜2μmであり、これを混合した現像剤は、
感光体や現像ロールを傷つけることなく、クリーニング
不良を防ぎ、現像剤寿命を長くすることができるとされ
ている。しかしながら、本発明者らの検討結果によれ
ば、トナー粒子に、このような重合体微粉末を混合する
方法では、現像剤への帯電性付与能力については必ずし
も満足の得られないことが判明した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、安定
した流動性と帯電性とを有し、現像耐久性及び環境安定
性に優れた現像剤を提供することにある。また、本発明
の目的は、優れた流動性とクリーニング性を有すると共
に、長期にわたって安定した流動性と帯電性を保持し、
画像濃度の低下や感光体カブリの抑制された非磁性一成
分現像剤を提供することにある。本発明者らは、前記従
来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、ト
ナー粒子に重合体微粒子と無機微粒子とを混合し、そし
て、該重合体微粒子として、ビニル芳香族炭化水素系重
合体により形成されたコア部(芯)と、(メタ)アクリ
ル酸エステル系重合体により形成されたシェル部(殻)
とを有するコア・シェル型構造を持ち、ソープフリー乳
化重合法により得られた重合体微粒子を使用することに
より、前記目的を達成できることを見いだした。
【0011】本発明で使用する重合体微粒子は、トナー
粒子の研磨剤としても作用させるため、通常、トナー粒
子よりも平均粒径を小さくする。この重合体微粒子は、
残存乳化剤が皆無であるため、帯電性の湿度依存性が小
さいことに加えて、コア・シェル型構造に起因する高帯
電性を有する。本発明の現像剤は、このコア・シェル型
構造の有機微粒子を含有するため、帯電性が改善され、
かつ、長期にわたって帯電性が安定する。また、トナー
粒子に、重合体微粒子のみならず無機微粒子を混合する
ことにより、長期にわたって現像剤の流動性を維持する
ことができる。特に、一次粒子の平均粒径が5〜20n
mの無機微粒子と一次粒子の平均粒径が30〜500n
mの無機微粒子とを併用すると、トナー粒子と現像ロー
ルや現像ブレード等との摩擦によるトナー粒子表面への
無機微粒子の埋没が減少し、現像剤の流動性を長期にわ
たって高水準に維持することができる。さらに、ヘキサ
メチルジシラザンやオクチルシランなどの処理剤で処理
された無機微粒子(例、シリカ微粒子)をトナー粒子と
混合して使用すると、温度や湿度の環境変化によるトナ
ー粒子と現像ロールや現像ブレード等との摩擦帯電量変
化が小さくなることを見いだした。
【0012】本発明は、これらの知見に基づいて完成す
るに至ったものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、トナー粒子、重合体微粒子、及び無機微粒子を必須
成分として含有する現像剤であって、重合体微粒子が、
ビニル芳香族炭化水素系重合体により形成されたコア部
と、(メタ)アクリル酸エステル系重合体により形成さ
れたシェル部とを有し、かつ、ソープフリー乳化重合法
により製造されたコア・シェル型構造の重合体微粒子で
あることを特徴とする現像剤が提供される。
【0014】本発明によれば、以下の好ましい実施態様
が提供される。 (1)重合体微粒子の重量平均粒径が0.005〜5μ
m、好ましくは0.1〜2μmである前記現像剤。 (2)重合体微粒子のコア部が、ビニル芳香族炭化水素
系単量体とスチレンスルホン酸ナトリウムまたはカリウ
ムとを、ラジカル開始剤として水溶性アゾ系化合物を用
いて共重合することにより得られたものである前記現像
剤。 (3)スチレンスルホン酸ナトリウムまたはカリウムの
使用割合が、芳香族炭化水素系単量体100重量部に対
して、0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜1
0重量部である第2項記載の現像剤。 (4)重合体微粒子のコア部とシェル部の割合(重量割
合)が、5:95〜95:5、好ましくは10:90〜
90:10である前記現像剤。 (5)重合体微粒子の配合割合が、トナー粒子100重
量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.
05〜5重量部、より好ましくは0.1〜2重量部であ
る前記現像剤。 (6)トナー粒子の体積平均粒径が1〜30μm、好ま
しくは3〜20μmである前記現像剤。
【0015】(7)重合体微粒子の重量平均粒径がトナ
ー粒子の体積平均粒径よりも小さい前記現像剤。 (8)トナー粒子の研磨剤である前記重合体微粒子。 (9)無機微粒子が、一次粒子の平均粒径が5〜20n
mの無機微粒子である前記現像剤。 (10)無機微粒子が、一次粒子の平均粒径が30〜5
00nmの無機微粒子である前記現像剤。 (11)無機微粒子が、一次粒子の平均粒径が5〜20
nmの無機微粒子及び一次粒子の平均粒径が30〜50
0nmの無機微粒子である前記現像剤。 (12)無機微粒子が、表面を疎水化処理したものであ
る前記現像剤。 (13)無機微粒子が、ヘキサメチルジシラザンまたは
オクチルシランで疎水化処理されたものである第12項
記載の現像剤。
【0016】(14)無機微粒子が、シリカである前記
現像剤。 (15)無機微粒子の配合割合が、トナー粒子100重
量部に対して、0.2〜10重量部、好ましくは0.4
〜8重量部、より好ましくは0.6〜4重量部である前
記現像剤。 (16)トナー粒子100重量部に対して、一次粒子の
平均粒径が5〜20nmの無機微粒子を0.1〜5重量
部、好ましくは0.2〜4重量部、より好ましくは0.
3〜2重量部と、一次粒子の平均粒径が30〜500n
mの無機微粒子を0.1〜5重量部、好ましくは0.2
〜4重量部、より好ましくは0.3〜2重量部とを配合
した前記現像剤。 (17)トナー粒子が、球形化度0.8以上の球形粒子
であって、帯電極性が負帯電の着色粒子である前記現像
剤。 (18)トナー粒子が、少なくとも重合性単量体と着色
剤とを含有する単量体組成物を懸濁重合して得られた着
色粒子(重合トナー)である前記現像剤。
【0017】
【発明の実施の形態】重合体微粒子 本発明で使用する重合体微粒子は、特定のコア・シェル
型構造を有するものであって、乳化剤を用いない乳化重
合系(ソープフリー乳化重合法)により作製される。本
発明者らは、理由は定かではないものの、重合体微粒子
がコア・シェル型構造を有し、コア部とシェル部が異な
る誘電率を持つ場合に、該重合体微粒子の持つ帯電量が
高まり、トナー粒子と混合すると、帯電性が長期的に安
定した現像剤の得られることを見いだした。
【0018】重合体微粒子のビニル芳香族炭化水素系重
合体から形成されるコア部に使用されるビニル芳香族炭
化水素系単量体(コア用単量体)としては、例えば、ス
チレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ハ
ロゲン化スチレンなどを挙げることができる。これら
は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて
使用することができる。重合体微粒子の(メタ)アクリ
ル酸エステル系重合体から形成されるシェル部に使用さ
れる(メタ)アクリル酸エステル系単量体(シェル用単
量体)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
ラウリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)ア
クリレート等の不飽和(メタ)アクリル酸エステルを挙
げることができる。
【0019】本発明では、ソープフリー乳化重合法によ
り、コア・シェル型構造の重合体微粒子を製造する。一
般の乳化重合法では、水などの媒体に不溶性のモノマー
を界面活性剤(乳化剤)を用いて乳化させ、水などの媒
体に可溶性の開始剤で重合させている。例えば、スチレ
ンなどの疎水性モノマーを水中に乳化させるには、乳化
剤として、高級アルコールの硫酸塩、アルキルスルホン
酸塩のアニオン活性剤やポリエチレンオキシドのアルキ
ルエーテルの非イオン活性剤などが用いられている。開
始剤としては、水溶性の過硫酸カリウム、過硫酸アンモ
ニウム、あるいはレドックス開始剤などが用いられる。
これに対して、ソープフリー乳化重合法では、乳化剤を
使用せずに、例えば、反応性乳化剤を用いたり、親水性
モノマーの過硫酸塩系開始剤を用いたり、イオン性また
は非イオン性の水溶性モノマーを共重合させたり、水溶
性ポリマーやオリゴマーを共存させたり、分解型乳化剤
を用いたり、あるいは架橋型乳化剤を用いるなどの方法
を採用している。これらのソープフリー乳化重合法は、
当業界に周知の方法であり、本発明では、特定の方法に
限定されない。
【0020】本発明では、コア部を形成するビニル芳香
族炭化水素系重合体のソープフリー乳化重合において、
ビニル芳香族炭化水素系単量体と共に、スチレンスルホ
ン酸ナトリウムまたはカリウムを存在させることが好ま
しい。ソープフリー乳化重合法により重合を行うに際
し、粒子のコロイド的安定性を確保するには、電気的斥
力を付与させるために、何らかの電荷付与剤が必要とな
るが、この電荷付与剤としてスチレンスルホン酸ナトリ
ウムまたはカリウムを使用することが好ましい。スチレ
ンスルホン酸ナトリウムまたはカリウムは、ビニル芳香
族炭化水素系単量体100重量部に対して、通常、0.
01〜20重量部、好ましくは0.05〜10重量部の
割合で使用することが望ましい。
【0021】本発明では、水溶性開始剤として、従来か
ら使用されているものを使用することができる。これら
の中でも、特に、水溶性アゾ触媒が好ましい。水溶性ア
ゾ触媒としては、例えば、2,2′−アゾビス(2−ア
ミジノプロパン)2塩酸塩、4,4′−アゾビス(4−
シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビス〔2−(5−メチ
ル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕2塩酸
塩、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(1,1−
ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル)プ
ロピオンアミド〕、2,2′−アゾビス〔2−メチル−
N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕等を
挙げることができる。重合条件は、通常のソープフリー
乳化重合法の条件を採用することができる。モノマー濃
度は、通常、3〜50重量%、好ましくは、5〜20重
量%である。反応温度は、通常、5〜95℃である。
【0022】コア・シェル型構造の重合体微粒子を得る
には、例えば、コア用の単量体を重合させた後、シェル
用単量体を反応途中に添加し、シェル重合体を生成させ
る方法、シェル重合体を反応途中に相分離させてコア・
シェル型構造を作る方法などがあるが、単量体の選択の
幅が広いのは、コア用単量体の反応途中にシェル用単量
体を添加する方法である。添加の方法は、一括添加法、
逐次添加法のどちらでもよい。完全なコア・シェル型構
造を作るため、コア部の重合転化率が90%以上の時
が、シェル用単量体の添加時期として好ましい。ソープ
フリー重合法により得られた重合体微粒子は、必要に応
じて、限外ろ過やセラミックスフィルター等の膜ろ過、
遠心分離等により、精製することが好ましい。重合体微
粒子をトナー粒子に添加するには、重合後の後処理とし
て、粉体化を行うことが好ましい。そのために、市販の
乾燥機を使用することができる。市販の乾燥機として
は、例えば、連続瞬間気流式乾燥機(フラッシュジェッ
トドライヤー、セイシン企業製)を挙げることができ
る。コア部とシェル部の割合(重量割合)は、通常、
5:95〜95:5、好ましくは10:90〜90:1
0である。この割合の範囲外であると、実質的にコア・
シェル型構造による効果が小さくなり、所期の目的を達
成することが困難となる。また、コア部にビニル芳香族
炭化水素系重合体、シェル部に(メタ)アクリル酸エス
テル系重合体を配置することにより、強く負電荷に帯電
した重合体微粒子を得ることができる。
【0023】本発明で得られる重合体微粒子は、(1)
完全な球形粒子が得られること、(2)粒径分布の著し
く狭い粒子が得られること、(3)適当かつ所望の粒径
が得られること、(4)残存乳化剤が皆無であるため、
帯電性の湿度依存が小さいこと、等の利点に加えて、コ
ア・シェル型構造に起因する高帯電性を持つ。そのた
め、トナー粒子に混合した場合、トナー粒子の帯電性を
長期的にわたって安定して維持することができ、現像耐
久性に優れた現像剤を得ることができる。
【0024】本発明のコア・シェル型構造の重合体微粒
子は、その平均粒径がトナー粒子の平均粒径よりも小さ
い。重合体微粒子の重量平均粒径は、通常、0.005
〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。重合体微
粒子の重量平均粒径が大きすぎる場合には、トナー粒子
への付着性が弱く、重合体微粒子のトナー粒子からの離
脱が生じ、現像剤の現像耐久性が不十分となり易い。逆
に、重合体微粒子の重量平均粒径が小さすぎると、理由
は定かではないものの、重合体微粒子の帯電性が低下
し、現像剤の耐久性が低下することがある。重合体微粒
子の重量平均粒径は、光散乱法により測定した値であ
る。重合体微粒子の平均粒子径が適度の大きさであるこ
とにより、トナー粒子の研磨剤としても作用し、感光体
等に付着したトナー粒子の研磨除去に効果的である。重
合体微粒子は、トナー粒子100重量部に対して、通
常、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重
量部、より好ましくは0.1〜2重量部の割合で配合す
る。この割合が小さすぎると重合体微粒子の配合による
効果が小さく、過大であっても効果が飽和する。
【0025】無機微粒子 本発明では、トナー粒子の流動性と摩擦帯電性を改善
し、転写性を向上させるために、無機微粒子を配合す
る。無機微粒子は、トナー粒子の研磨剤等としての作用
をも有しており、それによって、感光体上へのトナーフ
ィルムの形成を抑制し、転写性を高めることができる。
本発明で使用する無機微粒子としては、例えば、シリ
カ、チタニア、アルミナ、酸化カルシウム、酸化マグネ
シウム、酸化バリウム、酸化ベリリウム、酸化亜鉛、酸
化スズなどの金属酸化物の微粒子、あるいはこれらの金
属酸化物微粒子の表面を疎水化処理したものを挙げるこ
とができる。特に、疎水化処理剤により疎水化処理した
無機微粒子は、耐湿性が向上し、高湿雰囲気下でも安定
した流動化作用を得ることができる。無機微粒子の配合
割合は、トナー粒子100重量部に対して、通常、0.
2〜10重量部、好ましくは0.4〜8重量部、さらに
好ましくは0.6〜4重量部である。この配合割合が小
さすぎると配合による効果が小さく、大きすぎるとトナ
ー粒子の現像ロールや現像ブレードに対する摩擦帯電性
が低下し、カブリを生じ易くなる。
【0026】無機微粒子は、一次粒子の平均粒子径が5
〜500nmの範囲のものが用いられる。ここで、一次
粒子とは、個々の単位粒子に分離した状態の粒子をい
い、その平均粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡(T
EM)写真像から求めることができる。本発明では、一
次粒子の平均粒子径が5〜20nmの無機微粒子及び/
または一次粒子の平均粒子径が30〜500nmの無機
微粒子を用いることが好ましく、両者を併用することが
より好ましく、疎水化処理した両者を併用することが最
も好ましい。小粒子径の無機微粒子は、一次粒子の平均
粒子径が5〜20nm、好ましくは7〜17nmのもの
である。この平均粒子径が5nm未満では、無機微粒子
がトナー粒子に埋め込まれ易くなり、画像形成を繰り返
すに従って、トナー粒子の流動性が低下する。この平均
粒子径が20nmを越えると、トナー粒子の流動性が不
十分になることがある。小粒子径の無機微粒子は、トナ
ー粒子100重量部に対して、通常、0.1〜5重量
部、好ましくは0.2〜4重量部、より好ましくは0.
3〜2重量部の割合で使用する。この配合割合が小さす
ぎると、トナー粒子に十分な流動性を付与することが難
しくなり、画像濃度が低下したり、カブリを生じ易くな
る。この配合割合が大きすぎると、トナー粒子の摩擦帯
電性が低下したり、感光体を傷つけて、転写性が悪くな
ったり、トナーから離脱した無機微粒子が感光体に付着
したりするおそれが生じる。
【0027】大粒子径の無機微粒子は、一次粒子の平均
粒子径が30〜500nm、好ましくは30〜300n
mのものである。大粒子径の無機微粒子を単独で用いて
も、本発明では、有機微粒子を併用しているため、トナ
ー粒子の流動性を確保することができるが、小粒子径の
無機微粒子と併用することが好ましい。この平均粒子径
が30nm未満であると、トナー粒子に対する研磨作用
が低下し、逆に、大きすぎるとトナー粒子からの離脱が
起こり易くなり、トナー粒子の流動性が低下したり、感
光体へ付着するおそれが生じる。大粒子径の無機微粒子
は、トナー粒子100重量部に対して、通常、0.1〜
5重量部、好ましくは0.2〜4重量部、より好ましく
は0.3〜2重量部の割合で使用する。この配合割合が
小さすぎると、トナー粒子に対する研磨性が低下し、逆
に、大きすぎると、トナー粒子の摩擦帯電性が低下した
り、感光体を傷つけて、転写性が悪くなったり、トナー
から離脱した無機微粒子が感光体に付着したりするおそ
れが生じる。
【0028】本発明では、無機微粒子として、シリカ微
粒子が好ましく、そのなかでも、特に、コロイダルシリ
カ(気相法で製造されるシリカ微粒子)が好ましく用い
られる。このコロイダルシリカとしては、オクチルシラ
ンやヘキサメチルジシラザンなどの疎水化剤により表面
を疎水化処理したものが好ましい。さらに、一次粒子の
平均粒子径が30〜500nm、好ましくは30〜30
0nmのシリカ微粒子0.1〜5重量部、好ましくは
0.2〜4重量部、より好ましくは0.3〜2重量部、
及び一次粒子の平均粒子径が5〜20nm、好ましくは
7〜17nmのシリカ微粒子0.1〜5重量部、好まし
くは0.2〜4重量部、より好ましくは0.3〜2重量
部を併用することが好ましい。また、無機微粒子とし
て、小粒子径のものと大粒子径のものを併用すると、例
えば、感光体として電荷輸送層(感光体層)を設けた有
機感光体を使用する場合に、トナー粒子に対する流動性
を付与すると共に、感光体層に対する適度の研磨作用を
有するため、画像の欠落を防ぐことができる。
【0029】無機微粒子の疎水化処理に使用する疎水化
処理剤としては、前記オクチルシランやヘキサメチルジ
シラザン以外に、例えば、オクチルトリメトキシシラ
ン、シリコーンオイル、オクチルトリクロルシラン、デ
シルトリクロルシラン、ノニルトリクロルシラン、(4
−イソプロピルフェニル)トリクロルシラン、(4−t
−ブチルフェニル)トリクロルシラン、ジペンチルジク
ロルシラン、ジヘキシルジクロルシラン、ジオクチルジ
クロルシラン、ジノニルジクロルシラン、ジデシルジク
ロルシラン、ジドデシルジクロルシラン、(4−t−ブ
チルフェニル)オクチルジクロルシラン、デセニルジク
ロルシラン、ジノネニルジクロルシラン、ジ−2−エチ
ルヘキシルジクロルシラン、ジ−3,3−ジメチルペン
チルジクロルシラン、トリヘキシルクロルシラン、トリ
オクチルクロルシラン、トリデシルクロルシラン、ジオ
クチルメチルクロルシラン、オクチルジメチルクロルシ
ラン、(4−イソプロピルフェニル)ジエチルクロルシ
ランなどを挙げることができる。疎水化処理は、常法に
よって、無機微粒子と疎水化処理剤とを高温で反応させ
ることにより行うことができる。
【0030】トナー粒子 トナー粒子としては、特に限定されず、結着樹脂、着色
剤、及びその他の特性改良剤を含有する公知の着色粒子
を使用することができる。結着樹脂としては、例えば、
スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン・アクリル
系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン
−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂などを挙げ
ることができる。スチレン系単量体としては、例えば、
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチル
スチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチル
スチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシル
スチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニル
スチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシル
スチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレ
ン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等
を挙げることができる。
【0031】アクリル系単量体としては、アクリル酸、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−
ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、
アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリ
ル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリ
ル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリ
ル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリ
ル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタク
リル酸プロピル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリ
ル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2
−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリ
ル酸2−クロルエチル、メタクリル酸フェニル、メタク
リル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルア
ミノエチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、
アクリルアミドなどを挙げることができる。これらの単
量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わ
せて使用することができる。スチレン系単量体とアクリ
ル系単量体とを共重合させて得られる共重合体が好まし
い。
【0032】着色剤としては、例えば、カーボンブラッ
ク、ニグロシン染料、アニリンブルー、カルコオイルブ
ルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポ
ンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルーク
ロライド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーン
オクサレート、ランプブラック、ローズベンガル等を挙
げることができる。トナー粒子には、パラフィン、ワッ
クスなどの各種添加剤を配合してもよい。例えば、オフ
セット防止剤として、低軟化点のポリオレフィン、高融
点パラフィンワックス、シリコーンワニス、脂肪酸エス
テル類またはその部分けん化物、脂肪酸アミド系化合
物、高級アルコールなどを添加することができる。ま
た、荷電制御剤として、金属錯体系染料、ニグロシン染
料、アンモニウム塩系化合物などを添加することができ
る。また、トナー粒子には、所望により磁性粉を添加し
てもよい。
【0033】トナー粒子を製造する方法としては、予め
重合により製造した結着樹脂と着色剤、その他の添加剤
を溶融混練した後、粉砕し、分級する方法、懸濁重合に
より着色剤等を含有する着色重合体粒子(重合トナー)
を製造する方法など、一般的な方法を採用することがで
きる。これらの中でも、懸濁重合法による重合トナーが
球形で粒子径の揃った粒子として得られるため、特に好
ましい。懸濁重合法によりトナー粒子を製造するには、
少なくとも重合性単量体と着色剤を含有する組成物を、
無機分散剤を添加した水相中、あるいは無機分散剤及び
0.001〜0.1重量%の界面活性剤を添加した水相
中に投入し、高剪断力攪拌機で攪拌して微小な液滴を造
粒し、その際に油溶性開始剤を混合した後、昇温して重
合させる。重合トナー中の着色剤の分散性を上げるため
に、高分子鎖の一部に極性基を導入した分散助剤を着色
剤の半量程度添加して重合を行うことができる。また、
着色剤以外に、帯電制御剤やワックスとポリエチレン、
ポリプロピレン等の低分子量物などのオフセット防止剤
などを必要に応じて混合して懸濁重合することができ
る。
【0034】トナー粒子の体積平均粒径は、通常1〜3
0μm、好ましくは2〜20μm、より好ましくは3〜
10μmである。トナー粒子の平均粒径を体積平均粒径
として測定する理由は、トナー粒子が比重の大きな添加
剤を含有する場合、重量平均粒径では実際の平均粒径を
反映しなくなる場合があるためである。トナー粒子の体
積平均粒径は、コールターカウンター法により測定した
値である。また、本発明で使用するトナー粒子は、球形
度が0.8以上の球形粒子であることが好ましく、懸濁
重合法によれば、球形で、粒度分布がシャープなトナー
粒子を容易に得ることができる。本発明の現像剤は、通
常、非磁性一成分系現像剤として使用するが、所望によ
り、磁性粉を含有する磁性一成分現像剤として、あるい
はキャリアー粒子と共に二成分系現像剤として使用する
こともできる。また、本発明の現像剤を適用するための
電子写真現像装置や感光体の種類、クリーニング方法な
どは、特に限定されない。
【0035】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明
をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例
のみに限定されるものではない。物性の評価方法は、以
下のとおりである。 (1)画像濃度(ID)の測定法 画像濃度(ID)の評価は、マクベス反射濃度計を用
い、「黒べた部」を測定することにより行った。 (2)ブローオフ帯電量の測定法 重合体微粒子の帯電量は、パウダーテック(株)社製キ
ャリヤー(TEFV150/250)59.7gと重合
体微粒子0.3gを秤量し、容積200ccのSUS製
ポットに入れ、30分間、150回転/分の回転により
摩擦帯電させ、東芝ケミカル社製ブローオフメーター
で、窒素ガス1kg/cm2の圧力でブローオフし、帯
電量を測定した。 (3)感光体カブリの測定法 感光体上のカブリトナー粒子を透明粘着テープで採取
し、白紙上に張り付け、光反射率Rfを測定した。一
方、白紙上に透明粘着テープだけを張り付けて、光反射
率Rbを測定した。光反射率は、白色度計(日本電色工
業(株)製NDW−1D)を用いて測定した。感光体カ
ブリ(BG)は、次式により求めた。 BG=Rb−Rf (4)転写後残留トナー量(転写残)の測定法 感光体上の転写後に残留したトナー粒子を透明粘着テー
プで採取し、白紙上に張り付け、光反射率Rtを測定し
た。光反射率は、白色度計(日本電色工業(株)製ND
W−1D)を用いて測定した。透明粘着テープだけを張
り付けて測定した光反射率Rbから、次式を用いて転写
後残留トナー量(TR)を求めた。 TR=Rb−Rt
【0036】[参考例1]重合体微粒子Aの調製 攪拌機、還流冷却管、温度計、分液ロートを取り付けた
3Lの四ツ口フラスコに、イオン交換水2000g、ス
チレン20g、及びスチレンスルホン酸ナトリウム0.
5gを加えて、撹拌した。次いで、この混合液を80℃
に加温した後、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−
(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]の1%溶
液300gを分液ロートよりフラスコ内に添加し、反応
を開始した。イオン交換水20gを分液ロートに添加
し、分液ロートを洗浄した。反応を7時間行った段階
で、重量法により重合転化率を測定したところ、98%
に到達していた。次に、分液ロート中にメチルメタクリ
レート180gを仕込み、15分間かけて反応液中に滴
下した。その後、3時間反応を続けたところ、反応転化
率は、97%に到達していた。このようにして、コア・
シェル型構造の重合体微粒子を得た。重合体微粒子の粒
子径を光散乱法(大塚電子製LPA3000/310
0)により求めたところ、重量平均粒径が450nm
で、数平均粒径が440nmであった。この重合体微粒
子を限外膜ろ過(旭化成製UFモジュールACV−30
50)により、水相の電気伝導度が50μSになるまで
精製処理を行った。その後、ロータリーエバポレーター
にて水を蒸発させた後、50℃の真空乾燥機中で1昼夜
乾燥させた。その後、乳鉢にて重合体微粒子を1次粒子
にまで解砕した。このようにして、コア・シェル型構造
の重合体微粒子Aを調製した。この重合体微粒子Aのブ
ローオフ帯電量は、−520Q/mであった。
【0037】[参考例2]重合体微粒子Bの調製 攪拌機、還流冷却管、温度計、分液ロートを取り付けた
3Lの四ツ口フラスコに、イオン交換水2000g、ス
チレン60g、及びスチレンスルホン酸ナトリウム0.
5gを加えて、撹拌した。次いで、この混合液を80℃
に加温した後、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−
(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]の1%溶
液300gを分液ロートよりフラスコ内に添加し、反応
を開始した。イオン交換水20gを分液ロートに添加
し、分液ロートを洗浄した。反応を7時間行った段階
で、重量法により重合転化率を測定したところ、97%
に到達していた。次に、分液ロート中にメチルメタクリ
レート140gを仕込み、15分間かけて反応液中に滴
下した。その後、3時間反応を続けたところ、反応転化
率は、97%に到達していた。このようにして、コア・
シェル型構造の重合体微粒子を得た。重合体微粒子の粒
子径を光散乱法(大塚電子製LPA3000/310
0)により求めたところ、重量平均粒径が440nm
で、数平均粒径が430nmであった。この重合体微粒
子を限外膜ろ過(旭化成製UFモジュールACV−30
50)により、水相の電気伝導度が50μSになるまで
精製処理を行った。その後、ロータリーエバポレーター
にて水を蒸発させた後、50℃の真空乾燥機中で1昼夜
乾燥させた。その後、乳鉢にて重合体微粒子を1次粒子
にまで解砕した。このようにして、コア・シェル型構造
の重合体微粒子Bを調製した。この重合体微粒子Bのブ
ローオフ帯電量は、−450Q/mであった。
【0038】[参考例3]トナー粒子の調製 スチレン70重量部、メタクリル酸ブチル30重量部、
カーボンブラック(商品名プリンテックス150T、デ
グサ社製)8重量部、Cr系染料(商品名ボントロンS
−34、オリエント化学工業社製)0.5重量部、2,
2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2
重量部を、室温でボールミルを用いて分散し、均一混合
液を得た。この混合液を、りん酸カルシウム5重量部を
微細に分散させた蒸留水350重量部中に添加し、分散
液を得た。上記分散液を、pH9以上の条件下にロータ
ーステーター型ホモミキサーにより高剪断撹拌を行い、
単量体を含む混合液を水相中に微細な液滴として分散さ
せた。次に、この水分散液を、撹拌機、温度計、窒素導
入管、還流冷却管を装着した1Lの4つ口フラスコに入
れ、65℃で4時間、撹拌下に重合を行った。このよう
にして得られた重合体の分散液を、酸洗浄、水洗浄を十
分に行ったあと、分離、乾燥し、着色粒子であるトナー
粒子を得た。このようにして得られたトナー粒子のコー
ルターカウンター法(コールター社製コールターカウン
ターTA−II)により測定した体積平均粒径は、6.
8μmであった。
【0039】[実施例1]参考例3で調製したトナー粒
子100重量部に、参考例1で調製したコア・シェル型
構造の重合体微粒子A0.3重量部と、ヘキサメチルジ
シラザンで疎水化処理を行ったシリカ微粒子(一次粒子
の平均粒子径=15nm)1.0重量部を加え、ヘンシ
ェルミキサーを用いて混合し、現像剤を得た。市販の電
子写真方式のプリンタにより、上記で得た現像剤を用い
て20000枚の印字を行ったところ、初期の印字品質
は良好であり、20000枚の印字もかなり良好であっ
た。
【0040】[実施例2]参考例3で調製したトナー粒
子100重量部に、参考例1で調製したコア・シェル型
構造の重合体微粒子A0.3重量部と、ヘキサメチルジ
シラザンで疎水化処理を行ったシリカ微粒子(一次粒子
の平均粒子径=40nm)1.0重量部を加え、ヘンシ
ェルミキサーを用いて混合し、現像剤を得た。市販の電
子写真方式のプリンタにより、上記で得た現像剤を用い
て20000枚の印字を行ったところ、初期の印字品質
は良好であり、20000枚の印字もかなり良好であっ
た。
【0041】[実施例3]参考例3で調製したトナー粒
子100重量部に、参考例1で調製したコア・シェル型
の重合体微粒子A0.3重量部と、ヘキサメチルジシラ
ザンで疎水化処理を行った一次粒子の平均粒子径15n
mのシリカ微粒子0.5重量部と、ヘキサメチルジシラ
ザンで疎水化処理を行った一次粒子の平均粒子径40n
mのシリカ微粒子0.5重量部とを入れ、ヘンシェルミ
キサーを用いて混合し、現像剤を得た。市販の電子写真
方式のプリンタにより、上記で得た現像剤で20000
枚の印字を行ったところ、20000枚印字後も初期の
印字品質を保ち、良好な結果を得た。また、温度30
℃、湿度80%(HH環境)、及び温度10℃、湿度2
0%(LL環境)の環境下での印字品質は、共に良好な
ものであった。
【0042】[実施例4]参考例3で調製したトナー粒
子100重量部に、参考例1で調製したコア・シェル型
の重合体微粒子A0.3重量部と、オクチルシランで疎
水化処理を行った一次粒子の平均粒子径15nmのシリ
カ微粒子0.5重量部と、オクチルシランで疎水化処理
を行った一次粒子の平均粒子径40nmのシリカ微粒子
0.5重量部とを入れ、ヘンシェルミキサーを用いて混
合し、現像剤を得た。市販の電子写真方式のプリンタに
より、上記で得た現像剤で20000枚の印字を行った
ところ、20000枚印字後も初期の印字品質を保ち、
良好な結果を得た。また、温度30℃、湿度80%(H
H環境)、及び温度10℃、湿度20%(LL環境)の
環境下での印字品質は、共に良好なものであった。
【0043】[実施例5]参考例3で調製したトナー粒
子100重量部に、参考例1で調製したコア・シェル型
の重合体微粒子A0.3重量部と、ジメチルシランで疎
水化処理を行った一次粒子の平均粒子径15nmのシリ
カ微粒子0.5重量部と、ジメチルシランで疎水化処理
を行った一次粒子の平均粒子径40nmのシリカ微粒子
0.5重量部とを入れ、ヘンシェルミキサーを用いて混
合し、現像剤を得た。市販の電子写真方式のプリンタに
より、上記で得た現像剤で20000枚の印字を行った
ところ、20000枚印字後も初期の印字品質を保ち、
良好な結果を得た。また、温度30℃、湿度80%(H
H環境)、及び温度10℃、湿度20%(LL環境)の
環境下での印字品質は、共に良好なものであった。
【0044】[実施例6]参考例3で調製したトナー粒
子100重量部に、参考例2で調製したコア・シェル型
の重合体微粒子B0.3重量部と、ヘキサメチルジシラ
ザンで疎水化処理を行った一次粒子の平均粒子径15n
mのシリカ微粒子0.5重量部と、ヘキサメチルジシラ
ザンで疎水化処理を行った一次粒子の平均粒子径40n
mのシリカ微粒子0.5重量部とを入れ、ヘンシェルミ
キサーを用いて混合し、現像剤を得た。市販の電子写真
方式のプリンタにより、上記で得た現像剤で20000
枚の印字を行ったところ、20000枚印字後も初期の
印字品質を保ち、良好な結果を得た。また、温度30
℃、湿度80%(HH環境)、及び温度10℃、湿度2
0%(LL環境)の環境下での印字品質は、共に良好な
ものであった。
【0045】[比較例1]参考例3で調製したトナー粒
子100重量部に、参考例1で調製したコア・シェル型
の重合体微粒子A0.3重量部を入れ、ヘンシェルミキ
サーを用いて混合し、現像剤を得た。市販の電子写真方
式のプリンタにより、上記で得た現像剤で印字を行った
ところ、画像濃度が低く、かすれた印字となった。ま
た、温度30℃、湿度80%(HH環境)、及び温度1
0℃、湿度20%(LL環境)の環境下でも画像濃度が
低く、感光体への転写残が多かった。
【0046】[比較例2]参考例3で調製したトナー粒
子100重量部に、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処
理を行った一次粒子の平均粒子径15nmのシリカ微粒
子0.5重量部、及びヘキサメチルジシラザンで疎水化
処理を行った一次粒子の平均粒子径40nmのシリカ微
粒子0.5重量部とを入れ、ヘンシェルミキサーを用い
て混合し、現像剤を得た。市販の電子写真方式のプリン
タにより、上記で得た現像剤で印字を行ったところ、カ
ブリが大きく印字品質は不良で使用に耐えないものであ
った。また、温度30℃、湿度80%(HH環境)、及
び温度10℃、湿度20%(LL環境)の環境下でもカ
ブリ及び感光体への転写残が多かった。これらの結果を
一括して表1に示す。
【0047】
【表1】 (脚注) HMDS=ヘキサメチルジシラザン
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、現像剤の流動性及び帯
電性が長期的に安定に保持でき、現像耐久性及び環境安
定性に優れた現像剤を提供することができる。本発明の
現像剤は、トナー粒子による感光体上へのフィルミング
現象が抑制され、クリーニング性にも優れている。本発
明の現像剤は、特に非磁性一成分現像剤として好適であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−44051(JP,A) 特開 平7−140700(JP,A) 特開 昭62−39877(JP,A) 特開 平6−110246(JP,A) 特開 平1−257856(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トナー粒子、重合体微粒子、及び無機微
    粒子を必須成分として含有する現像剤であって、重合体
    微粒子が、ビニル芳香族炭化水素系重合体により形成さ
    れたコア部と、(メタ)アクリル酸エステル系重合体に
    より形成されたシェル部とを有し、かつ、ソープフリー
    乳化重合法により製造されたコア・シェル型構造の重合
    体微粒子であることを特徴とする現像剤。
  2. 【請求項2】 無機微粒子が、一次粒子の平均粒径が5
    〜20nmの無機微粒子及び/または一次粒子の平均粒
    径が30〜500nmの無機微粒子である請求項1記載
    の現像剤。
  3. 【請求項3】 無機微粒子が、表面を疎水化処理したも
    のである請求項1または2記載の現像剤。
  4. 【請求項4】 無機微粒子が、シリカである請求項1な
    いし3のいずれか1項に記載の現像剤。
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