JP3593609B2 - 衝撃吸収柵 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衝突物の衝撃を吸収する衝撃吸収柵に関するものである。特に、ポケット式落石防止柵として用いるのに適した衝撃吸収柵に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポケット式落石防止柵aなどでは、山側の法面方向の山側ロープ材fは、一端をアンカーdで法面に固定し、他端を支柱bに取り付けていた。また、金網を張る側の谷側ロープ材gの一端も支柱bに取り付ける。
ここで、上記ロープ材(f、g)の途中に摺動可能な緩衝具を取り付けて、落石などの衝撃を吸収する衝撃吸収柵とすることもある。
図5に従来のポケット式落石防止柵の断面図を示す。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
前記した従来のポケット式落石防止柵または衝撃吸収柵にあっては次のような問題点がある。
<イ>金網に落石などが衝突した場合、その衝撃はロープ材を介して直接、支柱に伝わる。このため、支柱及びその基礎を充分に強固なものにしておく必要がある。
<ロ>ロープ材の途中に緩衝材を介在させた場合、支柱に伝わる衝撃は軽減される。しかし、衝撃が完全になくなるわけではないため、支柱及びその基礎を強固なものにしておく必要がある。
<ハ>支柱及びその基礎を強固なものにしても、ロープ材に引っ張られて支柱頭部が谷側に移動する場合がある。この結果、金網の上端の高さが低くなり、落石が金網を飛び越える危険性が生じる。
【0004】
【本発明の目的】
本発明は上記したような従来の問題を解決するためになされたもので、支柱が移動する方向の力が支柱に作用しにくい衝撃吸収柵を提供することを目的とする。
また、本発明は、衝撃吸収柵の設置時の高さを衝突物が衝突した後も維持できる衝撃吸収柵を提供することを目的とする。
本発明は、これらの目的の少なくとも1つを達成するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の第1の発明は、間隔を置いて立てた支柱と、支柱間方向に張設する横ロープ材と、前記横ロープ材と略直交方向に張設する縦ロープ材と、横ロープ材間に張る網状物と、からなり、前記縦ロープ材と前記横ロープ材を接続し、前記支柱に回転体を取り付け、前記縦ロープ材は前記回転体の回転方向に沿って配置し、地盤に設置した係留具に取り付けることを特徴とする衝撃吸収柵である。
また、第2の発明は、間隔を置いて立てた支柱と、支柱間方向に張設する横ロープ材と、前記横ロープ材と略直交方向に張設する縦ロープ材と、横ロープ材間に張る網状物と、からなり、前記縦ロープ材と前記横ロープ材を接続し、前記支柱に形成した挿通孔に前記縦ロープ材を通し、前記縦ロープ材は地盤に設置した係留具に取り付ける衝撃吸収柵である。
ここで、上記の第1乃至第2の発明において、前記縦ロープ材を摺動可能な端部緩衝具を介して地盤に設置した係留具に取り付けることも可能である。
また、前記横ロープ材間を連結する斜めロープ材であって、前記斜めロープ材の両端を横ロープ材に取り付け、その中間部はその端部を取り付けた横ロープ材より下方に位置する横ロープ材に取り付けた斜めロープ材を配置することも可能である。
【0006】
【本発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0007】
<イ>全体の構成
衝撃吸収柵10は、例えば、法面方向と略直交方向に間隔を置いて立てた支柱1と、支柱間方向に張設する横ロープ材22と、前記横ロープ材と略直交方向に張設する縦ロープ材21と、横ロープ材間に張る網状物3とからなる。
【0008】
<ロ>支柱
支柱1には、円筒形や角柱状の鋼管や鋼材、H型鋼材、山形鋼材など落石防止柵に使用される公知の支柱が使用できる。
支柱1の例えば上端には、回転体12を取り付ける。回転体12としては、滑車又はローラなどが使用できる。
例えば、回転体12の下半分を支柱の内部に挿入して、回転体の軸を支柱の上端で支持する。滑車を使用する場合は、溝の深さを配置するロープ材より深くしておくことが望ましい。なお、回転体12に配置するロープ材の脱落を防止するために、回転体の外側に公知の脱落防止材(図示せず)を設置することもできる。
なお、回転体12は支柱の途中又は下端付近にも取り付けることができる。
支柱1の下端は、アンカー又はコンクリート基礎などの公知の方法で法面に固定する。
なお、支柱1に支持ロープ材23を取り付けて、支柱1を固定することも可能である。支持ロープ材23は、下記の縦ロープ材21を係留する係留具5に係留することも可能である。この場合、支持ロープ材23を係留する係留具を別個に設置する必要がない。
図2に、衝撃吸収柵10の平面図を示す。
支柱1は、衝撃吸収柵10の高さを確保するために使用される。
【0009】
<ハ>縦ロープ材
縦ロープ材21は、法面方向に張設する、例えばワイヤーロープなどである。
縦ロープ材21の山側の端部は、端部緩衝具41を介して係留具5に係留する。なお、端部緩衝具41を使用しないで、直接、縦ロープ材21を係留具5に係留することもできる。
係留具5には公知のロックアンカーなどを使用する。
端部緩衝具41は、縦ロープ材21に引張力が生じた場合に摺動してエネルギーを吸収する金具である。例えば、ロープ材を対向する板材で挟持するような公知の緩衝具が使用できる。
縦ロープ材21は、支柱の回転体12の回転方向に沿って配置する。例えば回転体12として滑車を使用する場合は、滑車の溝に沿って配置する。
【0010】
<ニ>横ロープ材
横ロープ材22は、支柱間方向に張設する、例えばワイヤーロープなどである。支柱間方向とは、支柱が並んでいる方向をいい、縦ロープ材と略直交する方向である。
横ロープ材22は、縦ロープ材21に例えば交差部緩衝具42を介して取り付ける。横ロープ材22の端部は、例えば端部緩衝具などを介して係留具で法面に固定する。
交差部緩衝具42は、ロープ材に引張力が生じた場合に摺動してエネルギーを吸収する金具である。例えば、対向する3枚の板材間に交差するロープ材を1本づつ挟み、板材をボルトで締付けるような公知の緩衝具が使用できる。
横ロープ材22は、網状物3を吊るための吊りロープとして使用できる。
網状物3は、横ロープ材22間を衝突物が通過するのを防ぐために設置する。
【0011】
<ホ>斜めロープ材
斜めロープ材24は、横ロープ材間を上下方向に連結するロープ材である。
図3に、斜めロープ材24を配置した場合の衝撃吸収柵10の正面図を示す。
斜めロープ材24の両端は、例えば平行緩衝具43を介して横ロープ材22に取り付ける。そして、端部を取り付けた横ロープ材より下方に位置する横ロープ材に、その斜めロープ材24の中間部を平行緩衝具43を介して取り付ける。中間部の取り付けに使用する平行緩衝具43は1つでも、2つでもよい。正面図でみる斜めロープ材の形状は、中間部に使用する平行緩衝具が1つの場合は三角形状、2つの場合は台形状となる。
ここで、平行緩衝具43は、ロープ材に引張力が生じた場合に摺動してエネルギーを吸収する金具である。例えば、並置したロープ材を対向する板材で挟持するような公知の緩衝具が使用できる。
斜めロープ材24は、引張力が生じると水平になろうとする。この結果、斜めロープ材24の中間部を取り付けた横ロープ材は上方に引き上げられ、衝突前後において横ロープ材の高さの変化が少なくなる。
なお、横ロープ材22に斜めロープ材24を取り付ける場合に、平行緩衝具43を使用しなくてもよい。また、一部で使用するだけでもよい。平行緩衝具43を使用しなくても、横ロープ材が下方に下がるのを低減する効果は得ることができる。
【0012】
<ヘ>作用
衝突物が衝撃吸収柵10の網状物3に衝突すると、網状物3と横ロープ材22とは谷側に押し出される。そして、横ロープ材22を接続した縦ロープ材21に引張力が生じる。
縦ロープ材21を配置した回転体12が回転するため、支柱1には谷側方向の力はほとんど作用しない。支柱1に作用する主な力は、支柱を法面に押し付ける方向の力である。
縦ロープ材21は、端部緩衝具41を介して係留具5に接続している。このため、縦ロープ材21に生じた引張力は、支柱に伝達されることなく端部緩衝具41まで伝わる。そして、端部緩衝具41内を縦ロープ材21が摺動することにより、縦ロープ材21に伝達した衝撃は吸収される。
【0013】
【その他の実施の形態】
支柱1の上端に回転体を配置する代わりに、支柱の例えば上端部付近に挿通孔11を形成する。挿通孔11は、支柱の略軸直交方向に貫通する孔である。
挿通孔11の孔の大きさは、前記縦ロープ材21の直径より大きくし、縦ロープ材21が中でスムーズに移動できる大きさとする。挿通孔11内面に潤滑材を塗布する、ローラ又は滑車などを内部に設置する等して縦ロープ材21と挿通孔11の摩擦を低減することもできる。
なお、挿通孔11の形状は、円筒形、角筒形などの形状とすることができる。
図4に、挿通孔を形成した衝撃吸収柵10の斜視図を示す。
【0014】
【本発明の効果】
本発明の衝撃吸収柵は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>縦ロープ材及び横ロープ材と支柱は連結されておらず、縦ロープ材は支柱の回転体又は挿通孔に通してあるだけである。このため、衝突物の衝撃は支柱が移動する方向にはほとんど伝わらない。この結果、支柱及び支柱の基礎を簡略化できる。
<ロ>ロープ材が受けた衝撃によって支柱が移動又は変形又は転倒しない。このため、衝撃吸収柵の高さを衝突前後で維持できる。この結果、衝突後も衝突前と同様に落石などの衝突物が衝撃吸収柵を飛び越すのを防ぐことができる。
<ハ>各横ロープ材を上方に引き上げるための斜めロープ材を設置できる。この場合、衝突後も横ロープ材が下方に垂れ下がりにくい。この結果、衝突後も衝突前と同様に落石などの衝突物が衝撃吸収柵を飛び越すのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の衝撃吸収柵の実施例の支柱付近の拡大斜視図
【図2】衝撃吸収柵の実施例の平面図
【図3】斜めロープ材を取り付けた衝撃吸収柵の実施例の正面図
【図4】支柱に挿通孔を形成したその他の実施例の支柱付近の拡大斜視図
【図5】従来のポケット式落石防止柵の断面図
【符号の説明】
1・・・支柱
10・・衝撃吸収柵
11・・挿通孔
12・・回転体
21・・縦ロープ材
22・・横ロープ材
24・・斜めロープ材
3・・・網状物
41・・端部緩衝具
42・・交差部緩衝具
43・・平行緩衝具
5・・・係留具

Claims (4)

  1. 間隔を置いて立てた支柱と、
    支柱間方向に張設する横ロープ材と、
    前記横ロープ材と略直交方向に張設する縦ロープ材と、
    横ロープ材間に張る網状物と、からなり、
    前記縦ロープ材と前記横ロープ材を接続し、
    前記支柱に回転体を取り付け、
    前記縦ロープ材は前記回転体の回転方向に沿って配置し、地盤に設置した係留具に取り付けることを特徴とする、
    衝撃吸収柵。
  2. 間隔を置いて立てた支柱と、
    支柱間方向に張設する横ロープ材と、
    前記横ロープ材と略直交方向に張設する縦ロープ材と、
    横ロープ材間に張る網状物と、からなり、
    前記縦ロープ材と前記横ロープ材を接続し、
    前記支柱に形成した挿通孔に前記縦ロープ材を通し、
    前記縦ロープ材は地盤に設置した係留具に取り付ける、
    衝撃吸収柵。
  3. 前記縦ロープ材を摺動可能な端部緩衝具を介して地盤に設置した係留具に取り付けることを特徴とする、
    請求項1乃至2記載の衝撃吸収柵。
  4. 前記横ロープ材間を連結する斜めロープ材であって、
    前記斜めロープ材の両端を横ロープ材に取り付け、その中間部はその端部を取り付けた横ロープ材より下方に位置する横ロープ材に取り付けた斜めロープ材を配置することを特徴とする、
    請求項1乃至3記載の衝撃吸収柵。
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