JP3639950B2 - 衝撃吸収防護柵 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、落石や雪崩等の落下物が保有する落下エネルギーを減衰させ、停止させる落石防護柵、雪崩防護柵、雪崩の発生を予防する雪崩予防柵等の衝撃吸収防護柵に関する。
【0002】
【従来の技術】
落石や雪崩等の落下物から道路や民家等を防護するために、斜面上に落石防護柵、雪崩防護柵を設置し、また雪崩の発生を予防するための雪崩予防柵を設置している。
これらの衝撃吸収防護柵としては、斜面aに所定の間隔を隔てて立設した支柱b間に防護ネットcを張り巡らしたものが知られている(図7参照)。支柱bの斜面a谷側への傾倒を阻止するために斜面a山側と支柱b上部との間をロープd1等で接続し、また山側への傾倒を阻止するために谷側と支柱b上部との間をロープd2等で接続している。
この衝撃吸収防護柵によれば、落石の保有する衝撃エネルギーを張り巡らした防護ネットc及び支柱bの強度で吸収、停止させるものである。また、斜面a上に複数列設置することにより、雪崩の発生を予防するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】
しかしながら従来の衝撃吸収防護柵にあっては、次のような問題点がある。
<イ>防護柵は、落石などの衝撃力が作用したスパンの変形のみで衝撃力を吸収しようとするので、各スパンごとに衝撃力に抵抗できるだけの強度が要求される。したがって、支柱、支持部材、アンカーなども各スパンごとに強固なものを必要とし、不経済なものとなっている。
<ロ>防護ネットは、両端を支柱に架設した複数の水平ロープによって吊り下げられているので、落石等の衝突時には衝突した支柱間のスパンのみでエネルギーを吸収しようとするので、変形量が大きくなるとともに損傷や破損しやすい。
<ハ>防護柵を設置する斜面が平坦であることはまれで、通常は起伏がある。このような現場において、一枚ものの長尺ネットを斜面の起伏に対応させながら設置することが技術的に難しい。また、支柱に高低差がある場合、防護ネットを平行四辺形に張る必要があるが、無理に張るとしわが発生し、受撃性能の低下や景観性悪化の問題がある。
<ニ>落石や雪崩、雪圧がネット面に対して斜めに作用し、防護柵の端支柱の側方控えロープが過度の変形を受けたり切断した場合には、支柱間が長方形で形成されているため、防護柵の面内の変形を抑制するのが困難となり、防護柵全体が容易に破壊する。
<ホ>防護ネットの両端が保持されているため、落石等が衝突するとネットの上下縁がネット中央へ接近するように撓み、受撃面となるべき防護ネットの縦幅が減少する。そのため、次の落石が落下してくると防護ネットの上側または下側を通過してしまい、防護柵としての役目をなさなくなる。
<ヘ>一枚の防護ネットを広い範囲にわたって張設しているので、防護ネットが損傷した場合は、損傷していない箇所も含めてネット一式を交換することになり、不経済である。
<ト>上記ヘを解消するために防護ネットを分割して張り巡らす方法も考えられるが、隣り合う防護ネットの隙間から衝突物の通過を許してしまい、やはり防護柵としての役目をなさなくなる。
【0004】
【発明の目的】
本発明の衝撃吸収防護柵は上記の課題を解決するためになされたもので、局部的に作用する衝撃力や荷重に対し、張り巡らされた衝撃吸収防護柵全体でエネルギーを吸収しつつ、荷重に抵抗する衝撃吸収防護柵を提供することを目的とする。
また本発明は、衝撃力や荷重に抵抗する支持機構を防護柵の両端に集中させ、中間部では簡易なものでよい経済的な衝撃吸収防護柵を提供することを目的とする。
また本発明は、斜面の起伏に対応して簡単にネットを設置できる衝撃吸収防護柵を提供することを目的とする。
また本発明は、落石や雪崩、雪圧がネット面に対して斜めに作用しても、衝撃吸収防護柵の面内の変形に対する抵抗が大きい衝撃吸収防護柵を提供することを目的とする。
また本発明は、防護ネットに落石や雪崩が衝突しても高さの減少が少ない衝撃吸収防護柵を提供することを目的とする。
また本発明は、防護ネットが損傷した場合、損傷した箇所のみを交換すればよい衝撃吸収防護柵を提供することを目的とする。
更に本発明は、防護ネットの相互の隙間から落石が通過することがない衝撃吸収防護柵を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的のうち少なくとも一つを達成するようにしたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の衝撃吸収防護柵は、所定の間隔を隔てて立設した支柱間に防護ネットを張り巡らした衝撃吸収防護柵において、支柱上部間に連続して配置した上部水平ロープと、前記上部水平ロープと平行であって、斜面に連続して配置した下部水平ロープと、前記上部水平ロープと下部水平ロープとの間に、正立三角形の三角ネットと逆三角形の三角ネットを連続して組み合わせて形成した防護ネットと、前記下部水平ロープの少なくとも両端に接続する端部アンカーと、からなり、前記上部水平ロープの両端を曲げ下げて下部水平ロープの両端に接続したことを特徴とするものである。
また本発明の衝撃吸収防護柵は、支柱上部と斜面との間を結ぶ控えロープを設け、前記控えロープの一端を支柱上部の開口部を挿通して上部水平ロープに接続したことを特徴とするものである。
また本発明の衝撃吸収防護柵は、上部水平ロープと下部水平ロープとの間に、緩衝機能を有する第1の連結具を介して三角ネットを連結したことを特徴とする。
また本発明の衝撃吸収防護柵は、上部水平ロープに上部筒体を摺動可能に嵌挿し、該上部筒体に控えロープの一端を接続したことを特徴とする。
また本発明の衝撃吸収防護柵は、下部水平ロープの中間を中間アンカーに接続し、中間アンカーのアンカー耐力を端部アンカーのアンカー耐力より低く設定したことを特徴とする。
また本発明の衝撃吸収防護柵は、下部水平ロープに下部筒体を摺動可能に嵌挿し、該下部筒体に中間アンカーを接続したことを特徴とする。
また本発明の衝撃吸収防護柵は、三角ネット同士の隣り合う対向辺の間を第2の連結具を介して連結したことを特徴とする。
また本発明の衝撃吸収防護柵は、上部水平ロープと下部水平ロープとの間に防護ネットを斜面山側に設置し、ネット面が斜面谷側に凸になるように形成したことを特徴とする。
また本発明の衝撃吸収防護柵は、上部水平ロープと下部水平ロープとの間に防護ネットを斜面谷側に設置し、ネット面が斜面山側に凸になるように形成したことを特徴とする。
また本発明の衝撃吸収防護柵は、端部アンカーが、地山に設けた複数のアンカーと、前記各アンカーと下部水平ロープの端部間を接続する複数の分散ロープとにより構成することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態1】
以下、図面を参照しながら本発明に係る一実施の形態について説明する。
【0007】
<イ>衝撃吸収防護柵
図1及び図2に衝撃吸収防護柵1の一例を示す。
衝撃吸収防護柵1は、斜面10に所定の間隔で立設した支柱4と、これら支柱4の上部に沿って架設した上部水平ロープ5と、斜面10に沿って架設した下部水平ロープ6と、これら上部水平ロープ5と下部水平ロープ6に接続した三角ネット3群からなる防護ネット2とで構成されている。
【0008】
<ロ> 支柱
支柱4は鋼材、コンクリート柱等の公知の各種剛性材からなる。
支柱4の下部を基礎コンクリート(プレキャストのコンクリート版)42を敷いた上に設置する。あるいは支柱4の下部をヒンジ43を介在して回転自在、または直接斜面10に回転自在に設置する。
支柱4を回転自在に設置した場合は、支柱4には曲げモーメントが発生せず、軸圧縮力のみが作用し、経済的な断面とすることができる利点がある。
支柱4を三角ネット3の間隔に一致して設置する。
支柱4の下部に下部控えロープ45を取り付け、斜面10に沿って下部控えロープ45の他端を中間アンカー71(端部アンカー7)及びアンカー12に結ぶ。
支柱4を中心にして下部控えロープ45をY字形に張設することによって、支柱4の下部が安定する。
【0009】
支柱4上部には、控えロープ13が挿通する孔(開口部)41をあけておく(図2参照)。孔41は、支柱4の中心部を小径としたテーパ状に形成し、控えロープ13が滑らかに摺動できるようにするのが好ましい。
控えロープ13を支柱4上部の孔41から上部筒体51(上部水平ロープ5に緩装)に接続し、他端を斜面10の固定点(アンカー12)に接続する。
また上部水平ロープ5には、後述するように防護ネット2を接続しているので、支柱4は、防護ネット2と控えロープ13によって斜面10の山側にも谷側にも傾倒することなく、設置される。
控えロープ13とアンカー12との間に、控えロープ13に設定以上の張力が作用したときに、控えロープ13の摺動を許容する緩衝具13a等を介在してもよい。
【0010】
<ハ> 水平ロープ
水平ロープは、上部水平ロープ5と下部水平ロープ6とがある。
上部水平ロープ5と下部水平ロープ6は、例えば複数(3束)の素線束をより合わせて構成する。複数の素線をより合わせて構成する素線束や、複数の素線束の編成方法等については従来技術と同様である。
上部水平ロープ5を各支柱4の上部に沿って連続して張り渡し、その両端を両側の支柱4の箇所で曲げ下げて、下部水平ロープ6の端部に接続する(図1参照)。
上部水平ロープ5は、各支柱4の箇所に夫々上部筒体51を摺動可能に嵌挿する。上部筒体51には、前記した控えロープ13のほかに三角ネット3の取付ロープ31(三角ネット3を張設するために各頂点に取り付けたロープ)を接続する(図2参照)。
支柱4ごとに控えロープ13と上部筒体51を接続することによって、上部水平ロープ5は各支柱4の上部に沿って連続して架設される。
【0011】
下部水平ロープ6は、上部水平ロープ5とほぼ平行であって斜面10の山側の地盤に沿って連続して配置し、その両端を地盤に固定する。
固定する方法は、例えば下部水平ロープ6の両端を端部アンカー7に接続することによって行う(図1参照)。
下部水平ロープ6の両端以外で、三角ネット3に対応する箇所に下部筒体61を摺動可能に嵌挿する。この下部筒体61と中間アンカー71をロープ62で接続する。
また下部筒体61には、下部控えロープ45や取付ロープ31を接続する。
下部筒体61を中間アンカー71に接続することによって、下部水平ロープ6は、斜面10の山側の地盤に沿って連続して架設される。
【0012】
上部水平ロープ5及び下部水平ロープ6の両端は端部アンカー7によって固定されるが、中間は前記したごとく上部筒体51及び下部筒体61を摺動可能としているため、水平ロープ5、6の中間部は架設方向に拘束されていない。
このため、例えば落石などの衝撃を受けた場合、水平ロープ5、6は荷重方向へはらみ出しながら摺動して両端に荷重を伝える。
上部水平ロープ5の端部は、下部水平ロープ6の端部に接続しているので、下部水平ロープ6の両端には、水平ロープ5、6の中間からの荷重が累積して大きな荷重がかかるため、端部アンカー7のアンカー耐力は、中間アンカー71より高く設定する。
【0013】
<ニ> 防護ネット
上部水平ロープ5と下部水平ロープ6の間に、正立三角形の三角ネット3A(正面から見て頂点が上方で、底辺が水平となった状態の三角ネット3)と逆三角形の三角ネット3B(正面から見て頂点が下方で、底辺が水平となった状態の三角ネット3)を連続して交互に組み合わせて、帯状の防護ネット2を形成する(図1参照)。
取付ロープ31を、上部筒体51及び下部筒体61に夫々接続し、三角ネット3を上部水平ロープ5と下部水平ロープ6の間に張設する。なお、取付ロープ31を取り付けることなく、三角ネット3の各頂点を直接上部筒体51、下部筒体61に接続して張設してもよい。
また、取付ロープ31に、例えばターンバックル等のような調節可能な連結金具を介在し、三角ネット3が斜面10の谷側に凸となるように弛みや張力を調節できるようにしてもよい。
三角ネット3と水平ロープ5,6との間を第1の連結具8で連結し、隣り合う三角ネット3の対向辺同士を第2の連結具9で連結し、防護ネット2を谷側に凸になるように設置する(図1、図2参照)。
【0014】
<ホ> 三角ネット
三角ネット3は、ロープ(ワイヤロープ)、PC鋼線、PC鋼より線、炭素繊維等の線材を交差して編成したネットで、全体の形状を略正三角形状または略二等辺三角形状に形成する。
三角ネット3の周辺は枠ロープ32で枠を形成し、内側はロープ33を左右に斜めに張り渡して菱形の網目を形成する。枠ロープ32は、ロープ33より太く形成する。
菱形の網目としたので、落石15等の衝撃を受けると菱形が広がって、大きく四角に撓み変形して衝撃エネルギーを減衰する。
左右のロープ33、33の交差部(菱形の交差部)は、締結治具等で固定するか、ロープ33を相互に編み込んでロープ33の相互の移動を拘束する。
あるいは交差部においてロープ33が相互に摺動可能なように、交差部に公知のクロス緩衝金具35を取り付けて衝撃エネルギーを吸収する機能を付加することもできる(図1参照)。
クロス緩衝金具35を取り付けることによって、落石15が衝突した場合にロープ33がクロス緩衝金具35において摺動し、衝撃エネルギーをより一層効果的に吸収することがことができる。
【0015】
<ヘ> 第1の連結具
第1の連結具8は、例えば三角ネット3と水平ロープ5,6にまたがって巻き付けるコイル部材を使用できる。コイル部材8を巻きつけて連結することにより連結機能だけでなく、コイル部材8の弾性変形による緩衝効果を併有させることができる。
また第1の連結具8は、ワイヤクリップ等を三角ネット3と水平ロープ5,6にまたがって取り付けて連結してもよい。
要は、第1の連結具8は、三角ネット3の一辺と、上部水平ロープ5または下部水平ロープ6とを連結する連結機能を有するものであればよい。
【0016】
<ト> 第2の連結具
第2の連結具9は、例えば連結金具や接続ロープ(ワイヤロープ)等である。接続ロープを用いる場合には,三角ネット3の枠ロープ32に引っ掛けてワイヤクリップで固定する。
接続ロープ9で三角ネット3の隣り合う対向辺をつなぐことによって、三角ネット3同士の間隔が一定以上広がらない。
また接続ロープ9でつなぐことによって、一つの三角ネット3に落石11等が衝突した場合、その衝撃エネルギーは接続ロープ9を介して隣接する三角ネット3へ順次伝達され、その結果、衝撃エネルギーは分散されて吸収される。
なお、第2の連結具9は接続ロープに限らず、三角ネット3の隣り合う対向辺をつなぐものであれば、例えばコイル部材やワイヤクリップ等の連結具を用いてもよい。
【0017】
【作用】
次に、以上のように構成した衝撃吸収防護柵1に落石15が衝突した場合の衝撃吸収作用について説明する。
【0018】
<イ>落石15等が三角ネット3に衝突すると、三角ネット3は落石15等を包み込むように変形して受け止める。
三角ネット3は、第1の連結具8で水平ロープ5、6に連結されており、三角ネット3に作用した衝撃は第一の連結具8により水平ロープ5、6に伝わるとともに、第二の連結具9により隣接する三角ネット3に次々に伝達される。
このとき、水平ロープ5、6は、夫々上部筒体51、下部筒体61と相互に摺動可能のため、水平ロープ5、6に伝わった衝撃は、そのまま水平ロープ5、6の両端に伝わり、最終的に端部アンカー7に伝わる。端部アンカー7はアンカー耐力を大きく設計しているので、この衝撃を問題なく吸収することができる。
衝撃力や荷重に抵抗する支持機構を衝撃吸収防護柵1の両端に集中させたことにより、中間部では簡易な支持機構でよく、経済的なものとすることができる。
また、水平ロープ5、6が上部筒体51、下部筒体61と相互に摺動可能であることにより、衝撃を支柱4間のスパンで吸収することなく、衝撃吸収防護柵1全体で吸収するので、変形量が小さいものとなる。
【0019】
<ロ>また落石15等が三角ネット3に衝突すると、三角ネット3が変形し、これによって三角ネット3と三角ネット3の間隔が広がろうとする。
従来のように防護ネット2を分割しただけでは変形に伴い、分割した箇所が開き、落石15等が通過しやすい。
本発明では、隣接する三角ネット3の対向辺同士を第2の連結具で連結しているので、三角ネット3と三角ネット3との間隔が一定以上広がったりすることはなく、衝突物が通過するようなことはない。
また、一つの三角ネット3に落石15等が衝突した場合、その衝撃エネルギーは第2の連結具9を介して隣接する三角ネット3へ順次伝達されることになり、伝達される際に衝撃エネルギーは分散されて吸収される。
【0020】
<ハ>三角ネット3を斜面10の谷側に凸状に張設しているので、落石衝撃力または雪圧が作用したとき、三角ネット3はさらに斜面10の谷側にはらみだし、三角ネット3上方では支柱4の軸方向に、三角ネット3下方では斜面方向に三角ネット3が変形する。
これにより支柱4には軸方向力が大きくなり、斜面10の谷側の控えアンカー力が減少する。
また、三角ネット3下方では斜面10の谷側に向けた反力が増大し、中間アンカー71の引き抜き力よりせん断力が支配的となる。中間アンカー71のせん断力に対する補強をすれば、小さい引き抜き抵抗力で十分である。
【0021】
<ニ>大きな落石15等で三角ネット3が大きく損傷した場合は、連結部を解除して、損傷した三角ネット3を簡単に交換することができる。
【0022】
【発明の実施の形態2】
実施の形態1では、三角ネット3を水平ロープ5、6に第1の連結具8で連結したが、三角ネット3のロープ33を延長して上部水平ロープ5と下部水平ロープ6の夫々のより部51、61に編み込んで接続してもよい(図4参照)。
また、三角ネット3のロープ33を延長し、水平ロープ5、6で折り返してからワイヤクリップで固定してもよい。
【0023】
【発明の実施の形態3】
斜面10の起伏に合わせて衝撃吸収衝撃吸収防護柵1を設置する必要がある。三角ネット3を正三角形、二等辺三角形に形成し、正立三角形の三角ネット3Aと逆三角形の三角ネット3Bを組み合わせるにあたって、同種の三角ネット3を連続して組み合わせたり、交互に組み合わせることによって斜面10の起伏に合った防護ネット2を得ることができる。
図5(a)は二等辺三角形の三角ネット3を組み合わせた例を示し、図5(b)は二等辺三角形と正三角形の三角ネット3を組み合わせた例を示す。
また、衝撃吸収衝撃吸収衝撃吸収防護柵1は一つの平面で構成する必要はなく、樹木の位置や斜面10の起伏を考慮して支柱4の位置を上下にずらすことも可能である。
【0024】
【発明の実施の形態4】
下部水平ロープ6の両端を固定する端部アンカー7は、斜面10に複数のアンカー73、73を設置して構成してもよい(図3)。
端部アンカー7は、リング状の集合具72、複数のアンカー73、複数の緩衝具74及び複数のロープ(ワイヤロープ)75,76からなる。
集合具72に上部水平ロープ5、下部水平ロープ6、取付ロープ31夫々の端部を接続し、さらに複数本のロープ75を接続する。複数本のロープ75の他端は夫々緩衝具74を介してアンカー73に接続する。
アンカー73を設置する箇所は、上部水平ロープ5、下部水平ロープ6、取付ロープ31に加わる荷重を分散する方向である。図3では3箇所となっているが、これに限定されない。
荷重はアンカー73に分散して作用するので、比較的アンカ−耐力の小さなアンカー73でよく、例えばワイヤロープをナス形に折り曲げてアンカーヘッド73aを形成したワイヤロープアンカー等を使用することができる。
また、一つのロープ75に大きな荷重がかかっても、緩衝具74が吸収することによって、隣り合うロープ75へ荷重が移動し、荷重が次々と分散するので、一つのアンカーのみに荷重が集中してアンカーが引き抜けることなく、効果的に吸収することができる。
【0025】
【発明の実施の形態5】
これまでの実施の形態では,斜面10の山側に防護ネット2を配置し、谷側に控えロープ13を設けたが、これとは逆に、防護ネット2を斜面10の谷側に配置し、山側に控えロープ13を設けることも考えられる(図6)。
防護ネット2を斜面10の谷側に配置したこと以外は、全て実施の形態1と同じであるので説明を省略する。
【0026】
防護ネット2を斜面10山側に凸になるように谷側に配置したことにより、次のような衝撃吸収作用がある。
【0027】
<イ>落石15が防護ネット2に衝突する場合、落石15が防護ネット2のネット面と形成する角度θ(図6(a)参照)は、山側に配置した防護ネット2に衝突する場合の角度θ1(図6(c)参照)に比べて小さい角度である。
落石15が防護ネット2のネット面と形成する角度が直角の場合、防護ネット2に対して最も大きな衝撃力が発生し、角度が小さくなるほど衝撃力が小さくなる。
落石15が防護ネット2に対して斜めに衝突し、即ち小さい角度θで衝突するので、防護ネット2には大きい衝撃力が発生することはなく,衝突後は落石15は防護ネット2のネット面に沿って下方に誘導されるか、斜面10の地盤に誘導され、地盤に衝突してエネルギーを減衰し、防護ネット2と斜面10との接続部で停止する(図6(b)参照)。または、防護ネット2と斜面10との隙間を通過して谷側で停止するようにしてもよい。
したがって、支柱4に作用する軸方向力および斜面10の山側の控えロープ13に作用する引張り力も小さくなり、アンカー12の引き抜き抵抗力も小さくてよい。
【0028】
<ロ>防護ネット2と斜面10の角度α(図6(a)参照)が小さいため、雪崩が発生した場合でも、単位面積当たりの雪圧が小さくなり、支柱4に作用する軸方向力および斜面山側の控えロープ13に作用する引張り力も小さくなり、アンカー12の引き抜き抵抗力も小さくてよい。
【0029】
<ハ>道路の路側に設置しても張出量が小さく、落石15または雪圧によって防護ネット2が道路の建築限界を犯すことがない。
【0030】
【発明の効果】
本発明の衝撃吸収防護柵は、以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>上下の水平ロープの間に、三角ネットを組み合わせて配置し、上下の水平ロープと三角ネットを第1の連結具を介して連結し、三角ネット同士を第2の連結具を介して連結したので、落石の衝突等局部的に作用する衝撃力や荷重に対し、上下の水平ロープ及び連結部を介して力が伝達してエネルギーを分散し、張り巡らされた防護ネット全体でエネルギーを吸収することができる。
<ロ>衝撃力や荷重に抵抗する支持機構を衝撃吸収防護柵の両端に集中させるようにしたので、中間部では簡易なものでよく、経済的な衝撃吸収防護柵を提供することができる。
<ハ>衝撃吸収防護柵を設置する斜面に起伏がある場合や、支柱に高低差がある場合でも、三角ネットを組み合わせて防護ネットを形成するので、斜面の起伏や支柱の高低差に応じて防護ネットを張ることができる。
<ニ>支柱間が長方形のネットで形成することなく、三角ネットで形成しているため、落石や雪崩、雪圧がネット面に対して斜めに作用しても、衝撃吸収防護柵の面内の変形に対する抵抗が大きい衝撃吸収防護柵とすることができる。
<ホ>三角ネットを組み合わせて防護ネットを形成してなるから、三角ネットが損傷した場合、損傷した三角ネットのみを交換する等、修復時は三角ネット単位での交換が可能であり、経済的であるとともに維持管理が容易である。
<ヘ>防護ネットを上下の水平ロープに接続しているので、落石や雪崩が衝突してもネットの幅の減少が少ない衝撃吸収防護柵とすることができる。
<ト>防護ネットを斜面山側に凸となるように谷側に設置した場合は、落石の衝突する方向と防護ネット面とで形成する角度は小さくなるので、大きい衝撃力が発生することはない。したがって、衝突後の落石は、防護ネットまたは斜面に誘導されてエネルギーを減衰し、斜面上で停止する。また、支柱に作用する軸方向力および斜面山側の控えロープに作用する引張り力も小さくなり、アンカーの引き抜き抵抗力も小さくてよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の衝撃吸収防護柵を示す斜視図。
【図2】本発明の衝撃吸収防護柵の側面図。
【図3】(a)は、下部水平ロープの固定装置を示す説明図。(b)は、緩衝具の他の例を示す説明図。
【図4】三角ネットを上下の水平ロープに接続する他の例を示す説明図。
【図5】(a)は、二等辺三角形の三角ネットを組み合わせた防護ネットの説明図。(b)は、二等辺三角形と正三角形の三角ネットを組み合わせた防護ネットの説明図。
【図6】(a)は防護ネットを斜面谷側に張設した本発明の衝撃吸収防護柵の側面図。(b)は落石が停止した状態を示す説明図。(c)は斜面山側に張設した防護ネットに落石が衝突する場合を示す説明図。
【図7】従来の衝撃吸収防護柵を示す説明図。
【符号の説明】
1・・・衝撃吸収防護柵
2・・・防護ネット
3・・・三角ネット
4・・・支柱
5・・・上部水平ロープ
51・・上部筒体
6・・・下部水平ロープ
61・・下部筒体
7・・・端部アンカー
70・・中間アンカー
73・・アンカー
8・・・第1の連結具
9・・・第2の連結具
10・・斜面
Claims (10)
- 所定の間隔を隔てて立設した支柱間に防護ネットを張り巡らした衝撃吸収防護柵において、
支柱上部間に連続して配置した上部水平ロープと、
前記上部水平ロープと平行であって、斜面に連続して配置した下部水平ロープと、
前記上部水平ロープと下部水平ロープとの間に、正立三角形の三角ネットと逆三角形の三角ネットを連続して組み合わせて形成した防護ネットと、
前記下部水平ロープの少なくとも両端に接続する端部アンカーと、からなり、
前記上部水平ロープの両端を曲げ下げて下部水平ロープの両端に接続したことを特徴とする、
衝撃吸収防護柵。 - 請求項1に記載する衝撃吸収防護柵において、支柱上部と斜面との間を結ぶ控えロープを設け、前記控えロープの一端を支柱上部の開口部を挿通して上部水平ロープに接続したことを特徴とする、衝撃吸収防護柵。
- 請求項1または請求項2に記載する衝撃吸収防護柵において、上部水平ロープと下部水平ロープとの間に、緩衝機能を有する第1の連結具を介して三角ネットを連結したことを特徴とする、衝撃吸収防護柵。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載する衝撃吸収防護柵において、上部水平ロープに上部筒体を摺動可能に嵌挿し、該上部筒体に控えロープの一端を接続したことを特徴とする、衝撃吸収防護柵。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載する衝撃吸収防護柵において、下部水平ロープの中間を中間アンカーに接続し、中間アンカーのアンカー耐力を端部アンカーのアンカー耐力より低く設定したことを特徴とする、衝撃吸収防護柵。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載する衝撃吸収防護柵において、下部水平ロープに下部筒体を摺動可能に嵌挿し、該下部筒体に中間アンカーを接続したことを特徴とする、衝撃吸収防護柵。
- 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載する衝撃吸収防護柵において、三角ネット同士の隣り合う対向辺の間を第2の連結具を介して連結したことを特徴とする、衝撃吸収防護柵。
- 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載する衝撃吸収防護柵において、上部水平ロープと下部水平ロープとの間に防護ネットを斜面山側に設置し、ネット面が斜面谷側に凸になるように形成したことを特徴とする、衝撃吸収防護柵。
- 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載する衝撃吸収防護柵において、上部水平ロープと下部水平ロープとの間に防護ネットを斜面谷側に設置し、ネット面が斜面山側に凸になるように形成したことを特徴とする、衝撃吸収防護柵。
- 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載する衝撃吸収防護柵において、端部アンカーが、地山に設けた複数のアンカーと、前記各アンカーと下部水平ロープの端部間を接続する複数の分散ロープとにより構成することを特徴とする、衝撃吸収防護柵。
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