JP2002256517A - 落石吸収装置と吸収方法 - Google Patents
落石吸収装置と吸収方法Info
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Abstract
との距離の変化が少なく、後続する落石を正確に捕獲し
てエネルギーを吸収することができる、落石吸収装置と
吸収方法を提供することを目的とする。 【解決手段】落石の衝撃を吸収するための面状の吸収体
と、長尺材の上端と下端付近に、中心軸の横断方向に貫
通したガイド孔を開口したガイド支柱2と、一端を一定
の引張り力でスライドする制動装置5を介して地上に固
定した、スライドワイヤ3とで構成する。面状吸収体が
受ける落下のエネルギーを、スライドワイヤ3のスライ
ドによって吸収する。
Description
エネルギーを吸収する装置とその方法に関するものであ
る。
その後の被害を防ぐために各種の装置が開発されてい
る。例えば図8に示すように、斜面に設置した2本の支
柱cの間を支持ロープaで連結し、衝撃を吸収する面状
吸収体bは、支持ロープaによって支持して支柱c間に
直接取り付ける構造が知られている。支柱cと地表面と
はブレーキ装置d付きの控えワイヤeで連結してある。
この構造は、面状吸収体bの端部は支柱cに直接取り付
けてある。そのために、落石が発生して面状吸収体bに
衝突した場合に、該当する吸収体bだけが大きく谷側に
後退する。その後に該当する吸収体bを固定した支柱c
が傾斜し、この支柱cの傾斜が控えワイヤeを谷側へ引
き出し、控えワイヤeに設けたブレーキ装置dの拘束力
で支柱cの傾斜を拘束する構造である。すなわち、落下
のエネルギーは、支柱cの傾斜を介して吸収するメカニ
ズムを採用している。
の落石吸収装置にあっては、次のような問題点がある。 <イ>面状吸収体bの両端は、両側の支柱cに固定して
あり、隣接するスパンの面状吸収体bもまた、その両端
を両側の支柱cに固定した、相互に独立した構造であ
る。 <ロ>そのために岩石の落下時には、まず岩石を受け止
めた面状吸収体bのみが、隣接する面状吸収体bとは独
立して後退する。そのために面状吸収体bの上下の間
隔、すなわち上下の幅が縮小する。 <ハ>その結果、図8に示すように、面状吸収体bの下
縁と、地面との距離が大きく離れることになる。 <ニ>岩石などが落下した場合には1個だけに限らず、
その後続いて大小の岩石が落下してくる場合が多い。そ
の場合に、図8に示すように、面状吸収体bの下縁と地
面との距離が離れていると、後続する岩石fなどがその
間隔を潜って通過してしまい、斜面の下の道路や民家な
どに被害を与える可能性がある。 <ホ>落石のエネルギーによって支柱cが谷側に倒れ
る。この支柱cの倒れを、控えワイヤeによって抑える
ことでエネルギーを吸収する方法である。したがって支
柱cの基礎は、確実な支点として作用させる必要があ
り、強固な構造が要求されるが、足場の悪い斜面での基
礎の工事はきわめて能率が悪く、危険でもある。 <ヘ>落下のエネルギーによって支柱cが谷側へ倒れる
から、支柱cの上部へ当たった落石は回転運動によって
支柱を駆け上ってしまい、谷側へ落下しやすい。
解決するためになされたもので、落石が発生しても面状
吸収体の下縁と地表面との距離の変化が少なく、後続す
る落石を正確に捕獲してエネルギーを吸収することがで
きる、落石吸収装置と吸収方法を提供することを目的と
する。
するために、本発明の落石吸収装置は、落石の衝撃を吸
収するための面状の吸収体と、長尺材の上端と下端付近
に、中心軸の横断方向に貫通したガイド孔を開口したガ
イド支柱と、一端を、一定の引張り力でスライドする制
動装置を介して地上に固定した、スライドワイヤとで構
成し、ガイド孔を貫通させたスライドワイヤによって面
状吸収体を支持して構成した、落石吸収装置を特徴とし
たものである。
撃を吸収するための面状の吸収体を、スライドワイヤを
介して支柱によって支持し、面状吸収体が受ける落石の
衝撃を、面状吸収体を支持したスライドワイヤの、谷側
へのスライドによって吸収して行う、落石吸収方法を特
徴としたものである。
の落石吸収装置と吸収方法の実施例について説明する。
体1を使用する。この面状吸収体1の幅は、2本の支柱
の間の幅に等しく構成する。あるいは、2本の支柱2間
の幅ではなく、少なくとも3本以上の支柱2の間隔より
も長い幅に設定する。面状の吸収体1としては、一般に
は金網が知られている。その他、図7に示すような、多
数の環状部材11を相互にからめて面状吸収体1を形成
することもできる。その場合には多数の環状部材11は
相互に密着することなく、一定の間隔を介してからまっ
ているから、落石を吸収する機能が高い。
長尺材で構成する。ただし本発明の装置に使用するガイ
ド支柱2は、その上端と下端付近に、中心軸の横断方向
に貫通したガイド孔21を開口する。この貫通ガイド孔
21に後述するスライドワイヤ3を貫通させ、落下のエ
ネルギーを吸収する際には、スライドワイヤ3をスライ
ドさせる構造である。
り渡す、吸収体支持ワイヤ4に取り付けて支持させる。
面状吸収体1の幅を、少なくとも3本のガイド支柱2の
間隔よりも長い幅に設定した場合には、吸収体支持ワイ
ヤ4の長さも、少なくとも3本のガイド支柱2の間隔よ
りも長く形成する。ワイヤ4は、接続継手で連続すれば
いくらでも延長することができる。
イヤ3で連結する。このスライドワイヤ3は、後述する
ように、面状吸収体1に落石のエネルギーが作用した場
合に、そのエネルギーによって谷側へスライドする機能
を果たす。したがって、従来の構造のような、単に支柱
2を支持するための控えのワイヤとはその機能をまった
く異にする。
置5に取り付ける。この制動装置5は、2枚の鋼板51
の間にワイヤを挟持し、2枚の鋼板51に相互に接近す
る力を与えて構成する。例えばバネ機能を備えたような
薄く弾性の大きいバネ鋼板51と基盤52とをボルト5
3で接合し、その2枚の鋼板51、52の間にスライド
ワイヤ3と挟んでおけば、スライドワイヤ3に一定以上
の引張り力が作用した場合のみスライドワイヤ3がスラ
イドする機構を達成することができる。この制動装置5
自体は地上に固定してあり、移動することがない。スラ
イドワイヤ3を直接に制動装置5で拘束することもでき
るが、図4の実施例に示すようにスライドワイヤ3の端
にリングを形成し、このリングを貫通してU字状に折り
返した拘束ワイヤ53の両端を制動装置5の基盤52の
裏表両面で拘束することも可能である。
持。 一連の面状吸収体1を3本以上の支柱2で支持するに
は、まずスライドワイヤ3の他端を支柱2のガイド孔を
貫通させる。そして、支柱2のガイド孔を貫通させたこ
のスライドワイヤ3の端と、吸収体支持ワイヤ4の中間
とを固定する。このように、本発明の装置では、面状吸
収体1は支柱2間で独立しているものでなく、かつ支柱
2で支持するのではない。複数の支柱2間に渡る一連の
連続した面状吸収体1の中間を、吸収体支持ワイヤ4を
介してスライドワイヤ3によって支持するものである。
なお実際には施工中、その後の支柱2の転倒を防止する
ための控えのワイヤを配置するが、図では発明の要旨を
明確にするために省略している。
込む。面状吸収体1は前記したように複数の支柱2にわ
たる一連の幅を備えており、かつ支柱2に固定していな
い。そのために1スパンの面状吸収体1に落石が飛び込
んでも、隣接するスパン、その次のスパンの連続する吸
収体1が谷側に押し出そうとする。そのエネルギーによ
って、それまで弛んでいたスライドワイヤ3は、直線に
なるまで谷側へスライドする。その後、スライドワイヤ
3は制動装置5の抵抗に抗して一定の距離までスライド
するので、この際の制動抵抗が落下のエネルギーを吸収
する。すなわち本発明の装置は、長い幅の面状吸収体1
が、スライドワイヤ3のスライドの抵抗を受けながら、
全体で谷側に後退することによって、全体でエネルギー
を吸収する機能を果たすものである。
ると同時に下のスライドワイヤ3が弛む。そのために、
面状吸収体1に衝突した落石は、下方へ誘導されること
になり、落石の回転によって面状吸収体1を乗り越えて
谷側へ飛び出すことを防止できる。
受け止めた1スパンだけが独立して変形するのではな
く、長い一連の吸収体の全体でエネルギーを吸収する構
造である。そのために従来の構造のように、1スパンの
面状吸収体1だけが大きく変形することがないから、面
状吸収体1の下縁と、地表面との間隔が大きく開くこと
がない。したがって、後続する落石を取り逃がすことが
なく、確実に捕獲することができ、斜面の下方の道路や
民家に落石が転がり出る心配がまったくない。
上説明したように面状吸収体を支持するスライドワイヤ
の谷側へのスライドによって、吸収体が受けるエネルギ
ーを吸収する構造である。 <イ>そのために従来の構造のように、1スパンの面状
吸収体1だけが大きく変形することがなく、面状吸収体
1の下縁と、地表面との間隔が大きく開くことがない。
したがって、後続する落石を取り逃がすことがなく、確
実に捕獲して、斜面の下方の道路や民家に落石が転がり
出る心配がまったくない。 <ロ>支柱2はスライドワイヤ3のスライド状態を支持
するだけで、落石のエネルギーを直接に受ける構造では
ないから、簡易な構造の物を利用することができる。 <ハ>面状吸収体は、落石を受け入れるスパンの隣接す
るスパンのみならず、さらにその外側のスパンも谷側に
押し出される。その上、スライドワイヤの長さ次第で押
し出し量に制限がない。そのためにきわめて大きいエネ
ルギーを有する落石も、確実に捕獲して停止させること
ができる。 <ニ>従来の類似の装置のように落石のエネルギーを支
柱を介して吸収するメカニズムではない。そのためにた
とえ落石が直接支柱に衝突して支柱が破損しても、面状
吸収体の押し出し量が増加するだけで、エネルギー吸収
能力の低下は生じない。
た場合の実施例の説明図。
状態の説明図。
実施例の説明図。
図。
Claims (5)
- 【請求項1】落石の衝撃を吸収するための面状の吸収体
と、 長尺材のガイド支柱と、 一端を、一定の引張り力でスライドする制動装置を介し
て地上に固定した、スライドワイヤとで構成し、 支柱で支持したスライドワイヤによって、面状吸収体を
支持して構成した、 落石吸収装置。 - 【請求項2】落石の衝撃を吸収するための面状の吸収体
と、 長尺材の上端と下端付近に、中心軸の横断方向に貫通し
たガイド孔を開口したガイド支柱と、 面状吸収体の上縁と下縁に取り付けた吸収体支持ワイヤ
と、 一端を、一定の引張り力でスライドする制動装置を介し
て地上に固定した、スライドワイヤとで構成し、 一連の面状吸収体は、少なくとも3本以上の支柱の間隔
よりも長い幅のものとして一体に形成し、 吸収体支持ワイヤを複数本の支柱で支持するに際し、 スライドワイヤの他端を支柱のガイド孔を貫通させ、 一連の連続した面状吸収体の中間点を、吸収体支持ワイ
ヤを介して、ガイド孔を貫通させたスライドワイヤによ
って支持して構成した、 落石吸収装置。 - 【請求項3】面状の吸収体は、 多数の環状部材を相互にからめて形成した、 請求項1記載の、落石吸収装置。
- 【請求項4】制動装置は、 2枚の鋼板の間にワイヤを挟持し、 2枚の鋼板に相互に接近する力を与えて構成した、 請求項1記載の、落石吸収装置。
- 【請求項5】落石の衝撃を吸収するための面状の吸収体
を、スライドワイヤを介して支柱によって支持し、 面状吸収体が受ける落石の衝撃を、 面状吸収体を支持したスライドワイヤの、谷側へのスラ
イドによって吸収して行う、 落石吸収方法。
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- 2001-03-01 JP JP2001057284A patent/JP4560223B2/ja not_active Expired - Fee Related
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