JP3592498B2 - 自動車の収納装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小物を収納できるようにした自動車の収納装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車の運転席前方には各種メータ,スイッチ,及びラジオ等を装着するためのインストルメントパネルが配設されている。またこのインストルメントパネルにはステアリングシャフトが挿通されており、該ステアリングシャフトはステアリングコラムカバーで囲まれている。
【0003】
このような自動車において収納ボックスをインストルメントパネルに配置する場合、インストルメントパネルの運転席側部分には上述の各種メータ等が配設されていることから、助手席側部分に該収納ボックスを配置するのが一般的である。
【0004】
上記助手席側に配置された収納ボックスは運転者から遠い位置にあり、運転者にとって使い勝手が悪い。そこで運転席側にも別個の収納ボックスを設けることが要請される。運転席側に設けた収納ボックスの例として実開昭61−105257号公報に記載されたものがあり、これはステアリングコラムカバーの下面に箱体を開閉可能に取付けた構成となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来公報に記載されているようなコラムカバーの下面に箱体を設ける構造の場合、その収納容量が小さく、収納物が限られるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来の状況に鑑みてなされたもので、運転席から容易に開閉操作ができるとともに、収納容量を増大できる自動車の収納装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、運転席前方のインストルメントパネルを挿通するようにステアリングシャフトを配設し、該ステアリングシャフトをコラムチューブにより支持するとともにステアリングコラムカバーで覆った自動車のインストルメントパネルに設けられた収納装置において、上記インストルメントパネルのステアリングコラムカバー下方部分に開口を形成し、該開口の少なくとも一部を上記ステアリングコラムカバーより幅広とするとともに、該開口内に収納部と蓋部とからなる収納ボックスを車両前後方向に回動可能に配設し、該収納ボックスの蓋部により上記開口を開閉可能とし、上記コラムチューブにより支持ブラケットを介して車幅方向に延びる支持パイプを支持し、該支持パイプによりヒンジ軸を介して上記収納ボックスを回動可能に支持するとともに、該収納ボックスのロック機構のストライカを上記支持ブラケットにより支持したことを特徴としている。
【0008】
【発明の作用効果】
本発明に係る自動車の収納装置によれば、インストルメントパネルのステアリングコラムカバー下方部分に開口を形成し、該開口内に収納ボックスを開閉可能に配設したので、運転席前方のステアリングコラムカバー下方のデッドスペースを有効利用して収納ボックスを配置でき、運転席から容易に開閉操作ができ、操作性を向上できる効果がある。
【0009】
またインストルメントパネル内に収納ボックスを配設する構造であるので、上記ステアリングコラムカバー内に収納ボックスを配設するものに比較してボックスの収納容量を増大できる効果がある。
【0010】
さらにまた収納ボックスを収納部と蓋部とからなるものとし、蓋部によりインストルメントパネルの開口を開閉するようにしたので、該収納ボックスを開位置に回動させると収納物も一緒に回動して運転者が出し入れし易い角度状態となり、例えばインストルメントパネルに凹部を設け該凹部を蓋体で開閉するように構成したものに比較して収納物の出し入れが容易であり、操作性を向上できる効果があり、また収納物の落下を防止できる効果がある。
【0011】
また収納ボックスは外部から見えにくい位置にあり、しかもインストルメントパネルの開口は収納ボックスの蓋部により開閉されるので、インストルメントパネルのステアリングコラムカバー下方部分の見栄えを悪化させることはない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図6は、本発明の一実施形態による自動車の収納装置を説明するための図であり、図1,図2はそれぞれ収納装置の断面側面図、図3は支持パイプの配置状態等を示す正面図、図4は収納ボックスを内部から見た斜視図、図5は収納ボックスの組立構造を示す要部断面図、図6は収納ボックスが配設された運転席回りの斜視図である。なお、本実施形態でいう前後,左右とは運転席に着座した状態で見た場合の前後,左右を意味する。
【0013】
図において、1は運転者が着座するフロントシートであり、該シート1の前方には車幅方向に延びるインストルメントパネル2が配設されており、該インストルメントパネル2の下方に位置するフロアパネル3上にはそれぞれアクセルペダル4,ブレーキペダル5,フートレスト6が配設されている。また上記フロントシート1と助手席側フロントシート(不図示)との間にはセレクトレバー7が前後に揺動可能に配設されている。
【0014】
上記インストルメントパネル2のフロントシート1前方にはステアリングシャフト10が斜め下方に延びるように配設されている。該ステアリングシャフト10の上端にはステアリングホイール11が固着されており、下端部はステアリングギヤボックス(不図示)に連結されている。なおこのステアリングシャフト10は上側シャフト10aと下側シャフト10bからなる2分割タイプのもので、両者はユニバーサルジョイント12により連結されている。
【0015】
また上記ステアリングシャフト10の上記上側シャフト10aは車体に固定された円筒状のコラムチューブ13内に挿通され、該コラムチューブ13により回転可能に支持されている。また上記ステアリングシャフト10のインストルメントパネル2から車室内側に突出する部分は大略角筒状のステアリングコラムカバー14により囲まれている。なおこのステアリングコラムカバー14は車体側に固定されている。
【0016】
上記インストルメントパネル2のステアリングコラムカバー14上方,及び左, 右側方部分には、不図示の各種メータ,スイッチ,ラジオ等が配設されている。また上記ステアリングコラムカバー14には不図示のメインスイッチ,ターンシグナルスイッチ等が配設されている。
【0017】
そして上記インストルメントパネル2の上記ステアリングコラムカバー14下方部分には、運転席側から見て凸形状の開口2bが形成されている。該開口2b内には本実施形態の収納装置を構成する収納ボックス20が前後方向に回動可能に配置されており、該収納ボックス20を回動させることにより上記開口2bが開閉されるようなっている。なお、上記開口2bの上部に上記ステアリングコラムカバー14の下端部が位置している。
【0018】
上記収納ボックス20は、上記ユニバーサルジョイント12の近傍に車幅方向に架設された支持パイプ21から延びる.ヒンジブラケット29を介して前後方向に回動可能に支持されている。この支持パイプ21の両端部には該パイプ21を押し潰すことにより平板部21a,21bが形成されており、該右側平板部21aは取付け基準面となる車体パネル22にブラケット23を介してボルト締め固定されている。また左側平板部21bはフロアブレス24にブラケット25を介してボルト締め固定されており、この左側平板部21bのボルト孔は組付け誤差を吸収する長孔21cとなっている。
【0019】
上記支持パイプ21の長手方向中央部には上側シャフト10aに略沿って斜め上下方向に延びる横断面コ字状の支持ブラケット26が固着されており、この支持ブラケット26の途中部分には上記コラムチューブ13に固定された支持部材28がボルト締め固定されている。また上記支持ブラケット26の上端にはストライカ30が固着されている。さらに上記支持パイプ21の両端部には斜め下向きに延びる横断面コ字状の上記ヒンジブラケット29,29が固着されている。
【0020】
上記収納ボックス20は、運転席から見て上記開口2bを閉塞する凸形状の前蓋31と、該前蓋31の左, 右縁に形成された左, 右側壁32,32と、上記前蓋31の下縁に薄肉ヒンジ33により折り曲げに形成された底壁34とから構成されている。上記前蓋31の下部,左, 右側壁32,32及び底壁34により囲まれた空間が収納部42となっている。
【0021】
上記前蓋31はインストルメントパネル2と連続面をなすように形成されており、これにより外観の向上を図るとともに、運転者の脚部との干渉を回避している。また上記インストルメントパネル2の上記開口2b内部分にはヒューズボックス16が配設されており、該収納ボックス20を開くことにより該ヒューズボックス16のメンテナンスが行えるようになっている。
【0022】
上記収納ボックス20は、図1に示すように、矢印A方向に型抜き可能とするために、底壁34を下方に開いた形状(底壁34´参照)に射出成形して形成されたものであり、該底壁34を同図に実線で示すように薄肉ヒンジ33にて折り曲げて上述の収容部42を形成したものである。これにより底壁34を前蓋31等と一体成形し、部品点数の増大を回避している。
【0023】
上記左, 右側壁32の後端縁にはこれに続いて内側に屈曲して延びる横壁32a,32aと、該横壁32aに続いて前方に屈曲して延びる縦壁32b,32bとが一体形成されている。上記左, 右の横壁32aの下端には凹部36が凹設されており、この凹部36内にはヒンジ軸37が挿通されている。このヒンジ軸37は固定部材38内に埋設されており、該固定部材38は上記各ヒンジブラケット29の下端部にボルト締め固定されている。これにより収納ボックス20は前後方向に回動可能となっている。
【0024】
また上記左, 右の縦壁32bの上面には係止部32cが上方に突出形成されている。この係止片部32cは上記支持パイプ21に当接することにより収納ボックス20の回動量を規制しており、収納ボックス20の前蓋31が略水平位置まで開くようになっている(図2参照)。なお、43は上記収納ボックス20の奥壁をなす板状部材であり、車体側に固定されている。
【0025】
上記左, 右の縦壁32bの内面には上下一対の突起部40a,40bが間隔をあけて形成されており、該突起部40a,40bにより上記底壁34の左, 右先端縁が挟持されている。これは、図5(a)に示すように、底壁34を折り曲げる際にその先端部分を押し込むことにより上記突起部40a,40b間に嵌合挟持させるもので、これにより底壁34の先端部分のばたつきを防止している。また上記底壁34の両端縁にはボス部34aが一体に突出形成されており、該ボス部34aに挿入したビス41を縦壁32bにねじ込むることにより底壁34は左, 右側壁32に固定されている(図5(b)参照)。
【0026】
上記前蓋31の上縁部には凹部31aが車室側に開口するように凹設されており、該凹部31a内には上記ストライカ30に係脱可能に係合するロック機構45が配設されている。このロック機構45は、凹部31a内に回動可能に、かつ図1に実線で示す位置に回動付勢して配設されたノブ46を手前に引くことにより係止爪46aと上記ストライカ30との係合が外れてロックが解除され、前蓋31を閉めることにより自動的にロックされるようになっている。また上記支持ブラケット26の上端部には凹部31aの裏面に当接するゴム部材47が取付けられており、該ゴム部材47によりロック時の衝撃を緩和している。
【0027】
上記ノブ46は、図3に示すように、ステアリングシャフト10の軸線Bに対して車幅方向の右側に少しずれた位置に配置されており、これにより運転者が手をハンドル11等に当たることなくスムーズにノブ46に掛けることができるようになっている。
【0028】
次に本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態の収納装置によれば、インストルメントパネル2のステアリングコラムカバー14下方部分に開口2bを形成し、該開口2bに収納ボックス20を開閉可能に配設したので、収納ボックス20をステアリングコラムカバー14下方のデッドスペースを有効利用して配置でき、姿勢を変えることなく運転席から容易に開閉操作ができる。
【0029】
また上記収納ボックス20をインストルメントパネル2に配設したので、従来のコラムカバーに収納ボックスを設けた場合に比べて収納容量を大きく設定することができる。
【0030】
また上記収納ボックス20を、収容部と蓋部とで構成し、これらが全体として回動するように構成したので、該収納ボックス20を開くと収容物も一緒に取出易い角度位置に回動することとなり、収納物の出し入れ操作が容易であり、操作性が良く、また収納物がこぼれ落ちることもない。ちなみに、インストルメントパネル側に凹部を形成し、該凹部を蓋部材で開閉するように構成した場合には、蓋部材を開いたときに収容物が取出易い角度位置に移動することはない。
【0031】
また上記収納ボックス20を、底壁34を開いた形状に射出成形し、該底壁34を折り曲げて側壁32と結合することにより収容部42を形成したので、射出成形時の金型が複雑になることがなく、また底壁を別部品とし、これを側壁に結合するものに比較して部品点数,組立工数を削減でき、コストを低減できる。
【0032】
また上記収納ボックス20をステアリングコラムカバー14下方に配置したので、該収納ボックス20は外方から見え難い位置にあり、また開口2bは収納ボックスで確実に閉じられるので、見栄えの悪化を招くことはなく、また運転者の脚部が干渉することもない。
【0033】
さらに上記インストルメントパネル2内の開口2b内の収納ボックス20により開閉される部分にヒューズボックスを配置したので、収納ボックス20を開いくことによりヒューズボックスのメンテナンスを容易に行うことができ、作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による自動車の収納装置の断面側面図(図3のI−I線断面図)である。
【図2】上記収納装置の断面側面図(図3のII−II線断面図)である。
【図3】上記収納装置の運転席から見た正面図である。
【図4】上記収納装置を構成する収納ボックスの内側から見た斜視図である。
【図5】上記収納ボックスの断面図(図4のVa−Va線,Vb−Vb線線断面図)である。
【図6】上記収納ボックスが配設されたインストルメントパネルの斜視図である。
【符号の説明】
1 フロントシート(運転席)
2 インストルメントパネル
2b 開口
10 ステアリングシャフト
14 ステアリングコラムカバー
20 収納ボックス
31 前蓋(蓋部)
42 収納部

Claims (1)

  1. 運転席前方のインストルメントパネルを挿通するようにステアリングシャフトを配設し、該ステアリングシャフトをコラムチューブにより支持するとともにステアリングコラムカバーで覆った自動車のインストルメントパネルに設けられた収納装置において、上記インストルメントパネルのステアリングコラムカバー下方部分に開口を形成し、該開口の少なくとも一部を上記ステアリングコラムカバーより幅広とするとともに、該開口内に収納部と蓋部とからなる収納ボックスを車両前後方向に回動可能に配設し、該収納ボックスの蓋部により上記開口を開閉可能とし、上記コラムチューブにより支持ブラケットを介して車幅方向に延びる支持パイプを支持し、該支持パイプによりヒンジ軸を介して上記収納ボックスを回動可能に支持するとともに、該収納ボックスのロック機構のストライカを上記支持ブラケットにより支持したことを特徴とする自動車の収納装置。
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