JP3590736B2 - 体内埋め込み具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、留置カテーテルを薬液ポート等と一緒に体内に埋め込む際に利用される体内埋め込み具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば制癌剤等の薬液を投与する場合、注射器や点滴によって血管内に投与すると、薬液が血管を通して体中に循環するため、癌細胞だけでなく正常細胞にもダメージを与えるという問題点があった。
【0003】
このため、経皮的に血管内にカテーテルを挿入し、このカテーテルの先端を癌に侵された臓器への動脈入口に位置させ、薬液が癌に侵された臓器にダイレクトに注入されるようにして、薬液の投与量が少なくても顕著な制癌効果をもたらすようにする試みがなされている。
【0004】
この場合、カテーテルは、その先端を癌に侵された臓器への動脈入口等に配置され、基端を該動脈から取り出して腹部等に埋め込まれる薬液注入ポートに接続されて、薬液注入ポートと一緒に体内に留置される。そして、体外から注射針を薬液注入ポートに刺し込んで制癌剤を注入するようにしている。
【0005】
図13、14には、このような留置カテーテルを薬液注入ポートに接続して、腹部等に埋め込む例が示されている。すなわち、留置カテーテル10は、シース53を通して血管52内に挿入され、その先端を図示しない患部に近い動脈入口等に配置される。また、留置カテーテル10の基端は、血管52に導入されたシース53の基端から取り出され、金属の接続パイプ63を介して、薬液注入ポート61の接続チューブ62に接続される。
【0006】
このとき、接続パイプ63の一端に装着された留置カテーテル10の外周と、接続パイプ63の他端に装着された接続チューブ62の外周とが、縫合糸65で縛り付けられる。また、シース53の基端部の留置カテーテル10が引き出された部分も縫合糸65で縛り付けられる。
【0007】
こうして、留置カテーテル10を薬液注入ポート61の接続チューブ62に接続した後、薬液注入ポート61を皮膚51内に埋設し、手術を終了する。そして、制癌剤等の薬液は、注射器70に入れて、その注射針71を皮膚51を通して薬液注入ポート61に刺し込み、薬液注入ポート61に投与される。その結果、薬液注入ポート61から留置カテーテル10を通して、癌に侵された臓器への動脈入口等に制癌剤がダイレクトに投与される。
【0008】
なお、上記において、シース53を取り外してしまうと、留置カテーテル10を血管52から抜き出す部分で、血管52の孔の内周と留置カテーテル10外周との間に隙間を生じ、出血してしまうという不都合が生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のシース53は、かなり硬い材質のチューブで形成されているので、体内に埋設したときに違和感があり、また、縫合糸で縛り付けても縮径しにくく締付けが不十分になりやすいという問題点があった。
【0010】
したがって、本発明の目的は、留置カテーテルと一緒に体内に埋め込む場合に適した体内埋め込み用シースを利用した体内埋め込み具を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1は、柔軟性があり、先端部側の外径が細く、基端部側の外径が太くなった一体成形のチューブからなり、基端部側の内径が拡径され、内周の小径部と拡径部の少なくとも一方に環状の突起からなる止血部が設けられている体内埋め込み用シースと、前記小径部内周に適合する太さの留置カテーテルと、前記拡径部内周に適合する太さの接続チューブと、一端が前記留置カテーテル内周に適合する太さの縮径部を有し、他端が前記接続チューブ内周に適合する太さの拡径部を有している接続パイプと、前記体内埋め込み用シースの外周を締め付けるクリップとを備えていることを特徴とする体内埋め込み具を提供するものである。
【0012】
上記第1の発明によれば、体内埋め込み用シースが、柔軟性があるため体内に埋め込んでも違和感が少なく、先端が細く基端が太くなっているので、血管に挿入しやすくかつ挿入した状態で血管の孔の内周に密着して出血を防止することができる。更に、内周の少なくとも一箇所に環状の突起からなる止血部を有するので、留置カテーテル等の外周に上記止血部が密着して出血を防止でき、この止血部がチューブに一体に形成されているので、止血部によって柔軟性が損なわれることもない。
【0013】
また、上記体内埋め込み具の使用に際しては、まず、接続パイプの一端を留置カテーテルの端部内周に挿入し、接続パイプの他端を接続チューブの端部内周に挿入することにより、接続パイプを介して、留置カテーテルと接続チューブとを連結される。その状態で留置カテーテルの端部をシースの小径部に挿入し、接続チューブの端部をシースの拡径部に挿入することにより、留置カテーテルの外周、若しくは、接続チューブの外周が、止血部によってシールされる。また、シースの外周をクリップで締付けることにより、シース内周と接続チューブ又は留置カテーテルの外周との間もシールすることができる。この場合、クリップを用いることにより、縫合糸で縛るよりも簡単かつ迅速に締付けることが可能となる。
【0014】
更に、前記体内埋め込み用シースの基端部側の内周に前記止血部を設けた場合には、血管の孔の内周に基端部外周を密着させた際に、基端部が内側へ締め付けられることとなり、基端部内周に設けた止血部が、留置カテーテル外周に効果的に密着せしめられ、止血できるとともに、留置カテーテルが不用意にズレることなく、しっかりと固定させられることとなる。
【0015】
本発明の第2は、前記第1の発明において、前記接続パイプの一端を前記留置カテーテルの端部内周に挿入し、前記接続パイプの他端を前記接続チューブの端部内周に挿入して、前記留置カテーテルと前記接続チューブとを連結し、その状態で前記留置カテーテルの端部を前記シースの小径部に挿入し、前記接続チューブの端部を前記シースの拡径部に挿入したとき、前記接続パイプの縮径部に対応する位置に、前記体内埋め込み用シースの小径部の止血部が設けられ、前記接続パイプの拡径部に対応する位置に、前記体内埋め込み用シースの拡径部の止血部が設けられるように構成した体内埋め込み具を提供するものである。
【0016】
上記第2の発明によれば、小径部に留置カテーテルの端部を配置し、薬液注入ポート等に連結された径の大きい接続チューブの端部を拡径部に配置することにより、留置カテーテルの外周は小径部内周の止血部でシールされ、接続チューブの外周は拡径部内周の止血部でシールされる。したがって、留置カテーテルと、それより外径の大きい接続チューブとを止血しつつ接続することができ、かつ、各止血部に対応した位置に接続パイプが存在するので、止血が確実になされる。
【0017】
本発明の第3は、前記第1又は第2の発明において、前記体内埋め込み用シースの内周の拡径部に設けられた止血部の外周を、前記クリップにより締め付けた体内埋め込み具を提供するものである。
【0018】
上記第3の発明によれば、縫合糸で縛るよりも簡単かつ迅速に、シース内周と接続チューブとの間をシールして固定することができ、かつ、止血がより確実になされる。
【0019】
本発明の第4は、前記第1〜3の発明のいずれかにおいて、前記接続パイプには、縮径部と拡径部の境界部にフランジ部が形成されている体内埋め込み具を提供するものである。
【0020】
上記第4の発明によれば、接続パイプで接続された部分を埋め込み用シース内に挿入すると、接続パイプのフランジ部が軸孔の拡径部の奥壁に係合する。
【0021】
なお、本発明の好ましい態様においては、体内埋め込み用シースにカテーテルガイド用の芯線が予め挿入されていることが好ましい。これによって、芯線をシースの端部から突出させておき、カテーテルの端部を芯線の外周に被せて、芯線をガイドにしてシース内部に挿入できるので、カテーテルをシース内に容易に挿入することができる。なお、カテーテルの端部がシース内に挿入されたら、前記芯線を引き抜く。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1には、体内埋め込み用シースの参考例が示されている。
【0023】
この体内埋め込み用シース100は、例えばポリウレタン、シリコン、軟質ポリ塩化ビニル、軟質ポリアミド等の柔軟性のある樹脂を一体成形した樹脂チューブで全体を構成している。この場合の樹脂には、特にエーテル系ポリウレタンが柔軟性、耐久性が高く好適である。
【0024】
シース100の先端部外周101は先細テーパ状をなし、基部寄り部分外周102は次第に拡径するテーパ状をなしている。また、基端面にはフランジ部103が形成され、その内側に縮径部104が形成されている。
【0025】
更に、シース100の軸心には、留置カテーテル10が挿通される軸孔105が形成されている。軸孔105の内周の一部、この実施形態では基部寄り部分に環状の突起からなる止血部106が形成されている。したがって、留置カテーテル10を挿入すると、止血部106が留置カテーテル10の外周に密着して、留置カテーテル10外周とシース100内周との隙間がシールされ、その部分からの血液の漏洩が防止されるようになっている。
【0026】
なお、体内埋め込み用シース100の各部の大きさは特に限定されず、適用個所や用途に応じて適宜定めればよいが、一般的であって、シースの柔軟性を効果的に発揮させるには、シース100の長さLが50〜150mm程度、中間部の外径aが1.5〜5mm程度、基端部の最大径bが4〜8mm程度、内径cが0.5〜3mm程度、中間部の壁厚dは0.5〜2mm程度が良い。
【0027】
この体内埋め込み用シース100は、図2に示すように、使用に際して留置カテーテル10の挿入をガイドするための芯線107が予め挿入されていることが好ましい。芯線107は、その後端部に屈曲部107aを有し、シース100から抜け落ちてしまうことを防止している。また、芯線107は、体内埋め込み用シース100よりもやや長く、屈曲部107aをシース100の基端部に係合させた状態で、芯線107の先端がシース100の先端部から突出するようになっている。
【0028】
留置カテーテル10を挿入する際には、まず、芯線107の先端を留置カテーテル10の端部に挿入し、次いで芯線107をガイドにして、留置カテーテル10の端部をシース100の軸孔105に挿入し、その後、芯線107を引き抜けばよい。
【0029】
図10には本発明に用いられる留置カテーテルの一例が示されている。
【0030】
この留置カテーテル10は、例えばウレタン、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコン等の合成樹脂、あるいは超弾性合金等からなるチューブ状のカテーテル本体11を有する。カテーテル本体11の基端部には、芯線12をシールしながら挿入できる導入口部13が装着されている。芯線12としては、超弾性合金、ステンレス等の線材や、ガイドワイヤ等が使用できる。
【0031】
カテーテル本体の内周及び/又は外周には、カテーテル本体11に対する芯線12の滑り性を向上させたり、あるいは後述する親カテーテルに対するカテーテル本体11の滑り性を向上させるため、親水性樹脂がコーティングされていることが好ましい。
【0032】
カテーテル本体11の先端部の内部には、カテーテル本体11よりも剛性が高いコイル状の線材14が挿入されている。線材14としては、この実施例の場合人体の体温付近で超弾性を示すように形状記憶処理した形状記憶合金が用いられているが、ステンレス等の他の金属線や、剛性の高いFRP線材などを用いることもできる。コイル状線材14の自由時の外径は、対象とする血管等の留置部位の内径A(図12(a)参照)よりも十分に大きな径である。また、カテーテル本体11に内挿された状態において、カテーテル本体11をも上記留置部位の内径Aより大きな外径Bのコイル状に屈曲させている。一方、線材14は超弾性を有しており、カテーテル本体11は樹脂チューブよりなるので両者がしなやかに変形し得て、親カテーテル55の内径C(図12(a)参照)に入り込んで、血管等に挿入できるようになっている。なお、カテーテル本体11の最先端には、環状の造影チップ15が装着されている。
【0033】
カテーテル本体11の線材14の基端から所定距離だけ基部よりに離れた周壁には、スリット状の開口21が形成されている。この開口21は、内部に液圧がかかったときには開き、内部に液圧がかからないときには閉じるようになっている。それによって、薬液の注入時には開き、それ以外のときには血液等の体液が開口21からカテーテル本体11内に流入しないようになっている。
【0034】
この留置カテーテル10の使用に際しては、図11に示すように、まず、周知のセルディンガー法により、シース53(この場合のシース53は従来から用いられているカテーテル挿入用の通常のシース)を経皮的に血管(大腿部動脈)52内に挿入する。次に、シース53の基端に設けた導入口部54を通して、親カテーテル55を挿入する。更に、親カテーテル55の基端に設けた導入口部56を通して、図示しないガイドワイヤを挿入し、ガイドワイヤの先端を血管の目的とする箇所に到達させた後、ガイドワイヤに沿って親カテーテル55の先端を押し進めて上記箇所に到達させ、ガイドワイヤを引き抜く。
【0035】
次に、親カテーテル55の基端に設けた導入口部56を通して、留置カテーテル10を挿入し、留置カテーテル10の基端に設けた導入口部13を通して、芯線12を挿入する。そして、芯線12によって剛性を持たせながら留置カテーテル10を親カテーテル55内に押し込む。
【0036】
図12(a)に示すように、親カテーテル55内に挿入された留置カテーテル10の先端部は、カテーテル本体11内部のコイル状の線材14が波形に伸ばされて、親カテーテル55内を通過する。
【0037】
そして、同図(b)に示すように、親カテーテル55を引いて留置カテーテル10の先端を押し出すと、留置カテーテル10の先端は、親カテーテル55の内径に制約されて押し縮められた状態から、元の自由状態のコイル径に弾性復帰し、血管52の内壁にしなやかに押圧される。
【0038】
こうして、留置カテーテル10の先端が血管52の目的とする個所に固定されたら、同図(c)に示すように、親カテーテル55を抜き取って留置カテーテル10のみを留置する。
【0039】
この状態で、図11に示す芯線12を抜き取り、留置カテーテル10の導入口部13を切離して、シース53も抜き取ってしまい、血管52から留置カテーテル10の基端部が突出した状態にする。
【0040】
次いで、留置カテーテル10の基端部に、図2に示した方法で、体内埋め込み用シース100の先端部を被せ、留置カテーテル10をガイドにしてシース100を前方にスライドさせて、図3に示すように、体内埋め込み用シース100を血管52に挿入する。
【0041】
これによって、体内埋め込み用シース100のテーパ状に拡径する基部寄り部分外周102が血管52の孔の内周に密着し、血管52の孔とシース100との隙間から血液が漏洩することが防止される。また、図1に示したように、留置カテーテル10の外周は、体内埋め込み用シース100の内周の止血部106に密着して、留置カテーテル10の外周と体内埋め込み用シース100内周との隙間もシールされる。更に、体内埋め込み用シース100は、柔軟性を有しているので、血管52に沿って柔らかに屈曲し、埋め込んだ際の違和感を軽減することができる。
【0042】
更に、図4に示すように、体内埋め込み用シース100の縮径部104に縫合糸110を縛り付けることにより、シース100が留置カテーテル10の外周に押圧されて、両者を一体化することができる。なお、縮径部104は、拡径された基部寄り部分外周102とフランジ部103とに挟まれて環状の凹部をなしているので、縫合糸110を縛り付けやすく、しかも外れにくくなっている。
【0043】
なお、留置カテーテル10の端部は、図13に示したような薬液注入ポート61の接続チューブ62と連結し、図14と同様な態様で、これらを体内に埋め込むことができる。
【0044】
図5は、上記体内埋め込み用シース100の縮径部104及びフランジ部103に、他のチューブを接続するための接続具を取付けた状態を示している。この接続具110は、図示しないヒンジ部を介して半割状に分割される構造をなし、それらの内側にはチューブ挿通孔111が形成され、チューブ挿通孔111は留置カテーテルの端部が配置される縮径部111aと、薬液ポート等の接続チューブの端部が挿入される拡径部111bとを有している。更に、縮径部111aの端部には、シース100の縮径部104及びフランジ部103が嵌合する嵌合凹部111cが形成されている。このように、シース100の縮径部104及びフランジ部103に嵌合させることにより、各種の部品をワンタッチで確実に取付けることが可能となる。なお、上記接続具110の代わりに、エア抜き用の止血弁や、ルアーロック等を取付けることもできる。
【0045】
図6〜8には本発明による体内埋め込み具の一実施形態が示されている。
【0046】
図6に示すように、この体内埋め込み具は、体内埋め込み用シース120と、先端部を図12(d)に示したような態様で血管の所定個所に配置される留置カテーテル10と、薬液ポートに連結された接続チューブ62と、留置カテーテル10及び接続チューブ62を連結する接続パイプ130とを備えている。
【0047】
体内埋め込み用シース120は、基本的には図1〜5に示したものと同様な構造をなしているが、軸孔105の先端部側が小径部105aをなし、基端部側が拡径部105bをなし、小径部105a内周及び拡径部105b内周のそれぞれに、環状の突起からなる止血部106a、106bが形成されている。小径部105aは、留置カテーテル10が適合する内径をなし、拡径部105bは、接続チューブ62が適合する内径をなしている。
【0048】
接続パイプ130は、留置カテーテル10の内周に圧入できる外径の第1端部131と、接続チューブ62の内周に圧入できる外径の第2端部132と、それらの境界部に設けられたフランジ部133とを有している。
【0049】
図7に示すように、この体内埋め込み具は、更に体内埋め込み用シース120の外周を締め付けるためのクリップ140を有している。この実施形態の場合、クリップ140は、合成樹脂で一体成形されたバンド状の部材からなり、該部材の中間部にはヒンジ部141が設けられ、ヒンジ部141の両側には円弧状の腕部142,143が設けられている。
【0050】
一方の腕部142は、途中から内周側142a及び外周側142bの2つの腕部に分かれ、それらの間に係合溝144が形成されている。更に、腕部142の外周側142bの内側には多数の鋸刃状凹凸からなる第1係合部145が形成されている。
【0051】
他方の腕部143には、前記腕部142の係合溝144に差込まれるように、円弧状に伸びた係合部146が形成されている。この係合部146の外周側には前記第1係合部145に係合する第2係合部147が形成されている。
【0052】
この体内埋め込み具の使用方法について説明すると、まず図12に示したような操作によって、留置カテーテル10の先端を血管の所定個所に配置して固定させた状態で、図2に示すような方法で、留置カテーテル10の基部側を体内埋め込み用シース120にその先端側から挿入させる。
【0053】
次に、接続パイプ130の拡径部132を、薬液ポート等に接続された接続チューブ62の先端に挿入し、接続パイプ130の小径部131を留置カテーテル10の基端部に挿入することにより、接続パイプ130を介して、留置カテーテル10と接続チューブ62とを接続する。
【0054】
続いて、この接続パイプ130で接続された部分を埋め込み用シース120内に挿入すると、接続パイプ130のフランジ部133が軸孔105の拡径部105bの奥壁に係合し、接続チューブ62端部が拡径部105b内周に配置され、留置カテーテル10端部が小径部105a内周に配置される。そして、それぞれの止血部106a,106bが留置カテーテル10、接続チューブ62の外周に圧接されて止血がなされる。
【0055】
更に、埋め込み用シース120の縮径部104の外周に、図7に示したクリップ140を、図9に示すような態様で装着し、クリップ140の係合溝144に係合部146を挿入し、係合溝144の第1係合部145に係合部146の第2係合部147を係合させてクリップ140を締付固定する。なお、図9は、埋め込み用シース120のフランジ部103を省略して示している。
【0056】
図8は、こうして留置カテーテル10、接続チューブ62を接続した埋め込み用シース120を血管52内に挿入配置した状態を示す。すなわち、シース120の基部寄り部分外周102が血管52の孔の内周に密着して血液の漏洩が防止され、シース120は自身の柔軟性により血管52に沿って屈曲し、留置カテーテル10を違和感なく血管52内に挿入させることできる。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の体内埋め込み具を構成する体内埋め込み用シースによれば、柔軟性があるため、体内に埋め込んでも違和感が少なく、先端が細く基端が太くなっているので、血管に挿入しやすくかつ挿入した状態で血管の孔の内周に密着して出血を防止することができる。また、内周の少なくとも一箇所に環状の突起からなる止血部を有するので、留置カテーテル等の外周に上記止血部が密着して出血を防止でき、この止血部がチューブに一体に形成されているので、止血部によって柔軟性が損なわれることもない。
【0058】
また、本発明の体内埋め込み具によれば、接続パイプの一端を留置カテーテルの端部内周に挿入し、接続パイプの他端を接続チューブの端部内周に挿入して、留置カテーテルと接続チューブとを連結し、その状態で留置カテーテルの端部をシースの小径部に挿入し、接続チューブの端部をシースの拡径部に挿入することにより、留置カテーテルの外周は小径部内周の止血部でシールされ、接続チューブの外周は拡径部内周の止血部でシールすることができる。更に、シースの外周をクリップで締付けることにより、縫合糸で縛るよりも簡単かつ迅速に、シース内周と接続チューブ又は留置カテーテルの外周との間をシールして固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】体内埋め込み用シースの参考例を示す断面図である。
【図2】同体内埋め込み用シースに芯線を挿入しておき、この芯線をガイドにして留置カテーテルを挿入する状態を示す説明図である。
【図3】同体内埋め込み用シースを血管内に導入した状態を示す模式断面図である。
【図4】同体内埋め込み用シースの基端部外周を縫合糸で縛り付けた状態を示す説明図である。
【図5】同体内埋め込み用シースに接続具を取付けた状態を示す説明図である。
【図6】本発明による体内埋め込み具の一実施形態を示す断面図である。
【図7】同体内埋め込み具に用いられるクリップの一例を示す平面図である。
【図8】同体内埋め込み具を用いて留置カテーテルと接続チューブとを接続し、血管内に導入した状態を示す模式断面図である。
【図9】同体内埋め込み具のクリップでシースを締め付ける状態を示す斜視図である。
【図10】本発明で用いられる留置カテーテルの一例を示す一部切欠き側面図である。
【図11】同留置カテーテルを経皮的に血管内に挿入する状態を示す説明図である。
【図12】親カテーテルを通して同留置カテーテルを血管内に挿入し、薬液を流出させる手順を示す説明図である。
【図13】留置カテーテルを薬液注入ポートに接続する従来方法の一例を示す斜視図である。
【図14】従来の方法で接続された留置カテーテル及び薬液注入ポートを体内に埋設した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 留置カテーテル
52 血管
61 薬液注入ポート
62 接続チューブ
100、102 体内埋め込み用シース
101 先端部外周
102 基部寄り部分外周
103 フランジ部
104 縮径部
105 軸孔
105a 小径部
105b 拡径部
106,106a、106b 止血部
130 接続パイプ
131 縮径部
132 拡径部
133 フランジ部
140 クリップ
141 ヒンジ部
142,143 腕部
144 係合溝
145 第1係合部
146 係合部
147 第2係合部

Claims (4)

  1. 柔軟性があり、先端部側の外径が細く、基端部側の外径が太くなった一体成形のチューブからなり、基端部側の内径が拡径され、内周の小径部と拡径部の少なくとも一方に環状の突起からなる止血部が設けられている体内埋め込み用シースと、前記小径部内周に適合する太さの留置カテーテルと、前記拡径部内周に適合する太さの接続チューブと、一端が前記留置カテーテル内周に適合する太さの縮径部を有し、他端が前記接続チューブ内周に適合する太さの拡径部を有している接続パイプと、前記体内埋め込み用シースの外周を締め付けるクリップとを備えていることを特徴とする体内埋め込み具。
  2. 前記接続パイプの一端を前記留置カテーテルの端部内周に挿入し、前記接続パイプの他端を前記接続チューブの端部内周に挿入して、前記留置カテーテルと前記接続チューブとを連結し、その状態で前記留置カテーテルの端部を前記シースの小径部に挿入し、前記接続チューブの端部を前記シースの拡径部に挿入したとき、前記接続パイプの縮径部に対応する位置に、前記体内埋め込み用シースの小径部の止血部が設けられ、前記接続パイプの拡径部に対応する位置に、前記体内埋め込み用シースの拡径部の止血部が設けられるように構成した請求項1記載の体内埋め込み具。
  3. 前記体内埋め込み用シースの内周の拡径部に設けられた止血部の外周を、前記クリップにより締め付けた請求項1又は2記載の体内埋め込み具。
  4. 前記接続パイプには、縮径部と拡径部の境界部にフランジ部が形成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の体内埋め込み具。
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