JP3589948B2 - 電動アクチュエータで駆動されるバルブ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動アクチュエータで駆動されるバルブの制御装置において、
特に自動復帰機構付きクラッチを備えた電動アクチュエータを駆動する電動モーターの電源を切ることなく、タイマーで設定した時間中は手動で調節したバルブ開度を保持するようなバルブ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電動アクチュエータによるバルブ操作は電動モーターによって行われるが、据付、点検、緊急時などには、手動によるバルブ開度調整操作が必要とされることがある。
【0003】
上記電動アクチュエータを手動で操作するには、安全確保のため一旦電動モーターの駆動を切らないとならないので、電動操作と手動操作の切替を行うクラッチを上記電動モーターと上記電動アクチュエータとの間に設けている。
【0004】
オペレータは、保守、点検、緊急時などの作業の際に、上記クラッチを手動側に切替えてバルブを操作し、上記作業終了後に再び上記クラッチを電動側に切替えるが、作業現場において上記クラッチを手動側から電動側に切替える工程を忘れると電動操作によるバルブ制御が行えず大きな問題となる場合があった。
【0005】
そこで、上で示したような問題を解決するべくクラッチ機構にバネなどを利用して、クラッチを電動側から手動側に(クラッチをOFF)切替えて、手動でのバルブ操作を終えると上記クラッチが自動的に手動側から電動側に(クラッチをON)戻るような自動復帰機構付きクラッチが開発された。図3の左側2つの手順は、上の従来方法を示すものである。
【0006】
しかし、上で示したような自動復帰機構付きクラッチは、手動でのバルブ操作を終えると同時にクラッチが自動的に電動側に(クラッチをON)戻ってしまうため、電動アクチュエータを駆動する電動モーターの電源が入っていると、手動で調節したバルブ開度を保持することができず、開度設定器に設定された目標開度にすぐに戻ってしまう。そこで、据付、点検、緊急時などの作業中は手動で調節したバルブ開度を保持できることが望ましい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上のような要望に沿うための従来手段は、バルブ駆動用電動アクチュエータを駆動する電動モーターの電源を切ることで、バルブ開度を保持するしか方法が無かった。しかし、現場によっては上記電動モーターの電源を切ることが困難な場合が多く、上記電動モーターの電源を切る必要がある場合には上記電動モーターに供給する電源配線を外して導体部分を絶縁テープなどで保護した後に、作業現場周辺に仮置きしながら据付、点検、緊急時などの作業を行っていた。そのため、作業者は上記電源配線によって感電する危険性が高い状況で作業を行わざる得なかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上のような問題点を解決するべく、本発明が提供された。
即ち、請求項1に記載された本発明は,バルブ駆動用電動アクチュエータを駆動する電動モーターと、上記バルブの開度を検出するバルブの開度検出器と、上記バルブの開度を設定する開度設定器と、上記電動モーターと上記電動アクチュエータの間に設けられ、手動で操作される自動復帰機構付きクラッチ手段と、上記バルブ側から上記電動アクチュエータを介して上記電動モーターへ向かって動力を伝達する場合は高抵抗で、且つ上記電動モーターから上記電動アクチュエータを介してバルブ側へ向かって動力を伝達する場合は低抵抗となる動力伝達手段と、上記開度設定器からの目標開度信号と上記バルブ開度検出器からの実開度信号との差に応じた駆動信号を上記電動モーターに出力して、上記バルブの開度を目標開度に調整する制御回路とを具備しているバルブ制御装置において、上記クラッチ手段がオフの状態でバルブの手動操作が行われたことを前提として、タイマーの動作を開始させると共に上記制御回路の作動を停止させ、且つ該タイマーのタイムアップに基づいて上記制御回路の作動を復帰させる手段とを具備してなるバルブ制御装置である。また、請求項2に記載されている発明では、上記手動操作開始の判断が上記開度設定器からの開度目標値が一定の状態下で、上記開度検出器からの検出信号が変化したことにより行われる。更に、請求項3に記載されている発明では、上記タイマーが上記タイムアップ時間の調整が可能に構成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
続いて、添付図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0010】
ここに、図1は本発明の実施の形態にかかる制御装置の情報伝達ブロック図、図2は制御回路と設定変更可能なタイマーの動作フロー図、図3は従来手法と本発明手法の一例を併記したフロー図である。
【0011】
図3を参照しつつ、本発明の概略を説明する。バルブを手動で操作する場合に、電動モーターの電源を切ることなく、該電動モーターと電動アクチュエータの間に設けられた自動復帰機構付きクラッチを電動側から手動側に(クラッチをOFF)にし、バルブを手動で操作してバルブ開度を決定する。手動操作が終了すると、上記自動復帰機構付きクラッチは手動側から電動側に(クラッチON)自動的に戻る。しかし、下記で詳細に説明するタイマーが、バルブを手動で操作することによって作動を開始し、該タイマーがタイムアップ時間に達するまでは、電動によるバルブ操作ができなくなっている。したがって、タイマー作動中は、手動によって調節したバルブ開度を保持することが可能となる。以下、本発明の実施形態の詳細な説明を示す。
【0012】
図1に示すように、外部の開度設定器から入力されたバルブの目標開度としてeが設定値入力回路を経てA/D変換器に入り、目標開度信号e1に変換され制御回路に入力される。また、上記バルブの開度検出器の一例としての動作角度フィードバック信号発生器はバルブ入力軸の軸回転角度信号を出力する。動作角度フィードバック信号発生器から出力された電気信号dは、フィードバック入力回路に入力され、更にA/D変換器で実開度信号d1に変換された後、上記制御回路に入力される。上記制御回路では、上記目標開度信号e1と上記実開度信号d1とを比較して、その差に応じた信号aを電動モーター駆動回路に出力する。電動モーターmは、この差に応じた信号によって駆動され、バルブの開度を上記目標開度に調節する。
【0013】
また、この実施の形態では、手動でのバルブ操作を終えると、自動的に上記電動モーター出力軸と上記電動アクチュエータ入力軸を接続する(クラッチがON)機構を備えた従来からの自動復帰機構付きクラッチ(クラッチ手段の一例)が上記電動モーターと上記電動アクチュエータとの間に設けられている。
【0014】
更にこの実施の形態では、タイマーの一例としてタイムアップ時間の設定変更可能なタイマー回路を具備している。上記設定変更可能なタイマー回路は上記制御回路と密接に関係し、上記制御回路の作動をタイムアップ限時時間中停止させ、且つタイムアップ後に上記制御回路を復帰させる機能を有するものである。設定変更可能なタイマー回路の計時開始タイミングについては、後述する。
【0015】
バルブが上記電動モーターmで操作される状態とは、上記自動復帰機構付きクラッチが上記電動モーター出力軸と上記電動アクチュエータ入力軸を接続している(クラッチがON)状態である。したがって、バルブを手動で操作するには自動復帰機構付きクラッチを電動側から手動側に(クラッチがOFF)切替えてからバルブを操作しなければならない。このバルブ操作時には、図1において、上記目標開度信号e1が変化せず、上記電動アクチュエータの入力軸側の上記実開度信号d1が変化する。上記制御回路はこれによりバルブが手動により操作されていると判断することができる。これに対して、単純にバルブが負荷変動を受けた場合には、電動アクチュエータの入力軸側の上記実開度信号d1は変化しない。これは、上記電動アクチュエータにバルブ側から上記電動アクチュエータを介して上記電動モーターへ向かって動力を伝達する場合は高抵抗で、上記電動モーターから上記電動アクチュエータを介してバルブ側へ向かって動力を伝達する場合は低抵抗となる動力伝達手段が併設されているからである。つまり、最終的にバルブ入力軸に動力を伝達する部分のギヤの構成が、例えばウォームギヤ機構のような,高抵抗の伝達手段となっているため、バルブの負荷が変動しただけで電動アクチュエータの入力軸の角度を変化させるのは不可能である。したがって、上記目標開度信号e1の変化無しに、上記電動アクチュエータの入力軸側の上記実開度信号d1が変化する場合を、手動によるバルブ操作がされていると上記制御回路が判断して支障がない。
【0016】
このようにして、図2に示す如く、目標開度信号e1が変化しないのに実開度信号d1が変化した場合(即ち、バルブの手動操作が行われたと上記制御回路が判断している場合)には、上記制御回路は図2における信号f1を設定変更可能なタイマー回路に出力し、上記設定変更可能なタイマー回路を作動させる。これと同時に、上記制御回路は目標開度と実開度の差に応じた駆動信号aを電動モーター駆動回路に出力するという動作を停止するモードに入ることによって、電動モーターmによるバルブ操作が停止する。
【0017】
したがって、上記設定変更可能なタイマー回路が作動している間においては、バルブは電動で操作されることが停止し、作業員が安心して手動でバルブ開度を調整することが可能となる。次に、上記設定変更可能なタイマー回路が上記タイムアップ時間に達すると、上記設定変更可能なタイマー回路は図2における信号f2を出力し上記制御回路の作動を再開させる。これにより上記制御回路は、目標開度と実開度の差に応じた駆動信号aを上記電動モーター駆動回路に出力するという通常の動作を再開するモードに入ると同時に、上記設定変更可能なタイマー回路は自身の作動を停止することによって、再び上記電動モーターmによるバルブ制御が再開する。
【0018】
【発明の効果】
本発明は以上述べたように、電動モーターと電動アクチュエータの間に自動復帰機構付きクラッチを設けている場合で、バルブを手動によって操作することによって、設定変更可能なタイマー回路が作動すると共に、制御回路の作動を停止し、電動によるバルブ操作が停止することによって、手動で調節したバルブ開度を設定変更可能なタイマー回路に設定されているタイムアップ時間まで保持することが可能となる。
【0019】
従って、作業者は電動アクチュエータの電動モーターの電源の問題を意識することなく安全に作業でき、図3に示すように電動アクチュエータの電動モーターの電源に関わる作業者の作業工程が簡略化される効果がある。
【0020】
また、上記手動操作開始の判断が上記開度設定器からの開度目標値が一定の状態下で、上記開度検出器からの検出信号が変化したことにより行われるのように構成することにより、手動によるバルブ操作が行われたことを自動的に検知でき便利である。したがって、手動操作が行われたことを検知するセンサを別途設ける必要もない。また、使用しているタイマーがタイムアップ時間調整可能であることから、作業者が行う作業内容に似合ったタイムアップ時間中、手動によって調節したバルブ開度を保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかるバルブ制御装置の情報伝達経路を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態にかかる制御回路と設定変更可能なタイマー回路の動作フロー図。
【図3】従来技術と本発明を利用した場合の作業工程の比較図。
Claims (3)
- バルブ駆動用電動アクチュエータを駆動する電動モーターと、 上記バルブの開度を検出するバルブの開度検出器と、上記バルブの開度を設定する開度設定器と、上記電動モーターと上記電動アクチュエータの間に設けられ、手動で操作される自動復帰機構付きクラッチ手段と、上記バルブ側から上記電動アクチュエータを介して上記電動モーターへ向かって動力を伝達する場合は高抵抗で、且つ上記電動モーターから上記電動アクチュエータを介してバルブ側へ向かって動力を伝達する場合は低抵抗となる動力伝達手段と、上記開度設定器からの目標開度信号と上記バルブ開度検出器からの実開度信号との差に応じた駆動信号を上記電動モーターに出力して、上記バルブの開度を目標開度に調整する制御回路とを具備しているバルブ制御装置において、上記クラッチ手段がオフの状態でバルブの手動操作が行われたことを前提として、タイマーの動作を開始させると共に上記制御回路の作動を停止させ、且つ該タイマーのタイムアップに基づいて上記制御回路の作動を復帰させる手段とを具備してなるバルブ制御装置。
- 上記手動操作開始の判断が、上記開度設定器からの開度目標値が一定の状態下で、上記開度検出器からの検出信号が変化したことにより行われる請求項1記載のバルブ制御装置。
- 上記タイマーが上記タイムアップ時間の調整が可能なタイマーである請求項1若しくは請求項2のいずれかに記載のバルブ制御装置。
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