JP3589613B2 - 静電潜像現像用トナー、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電潜像現像用トナー、このトナーを用いた画像形成方法及び画像形成装置に関し、より詳細には、特定の性質を有するポリエステル樹脂を用いた静電潜像現像用トナー、画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、乾式現像法における二成分現像法で使用される現像器のみならず、一成分現像法で使用されるような電荷付与部材との接触頻度が小さい現像器又は電荷付与部材の電荷付与能率が低い現像器においても良好な摩擦帯電特性を示し、印字のにじみや非印字部の地汚れを生じさせないために、電荷受容性の高いトナーが提案されている(例えば、特開平5−72805号公報)。
【0003】
このトナーは、ポリエステル樹脂、着色剤及び帯電制御剤から構成されており、ポリエステル樹脂としては、酸価が15mgKOH/g以下のもの、帯電制御剤としては、以下の式
【化2】
【0004】
(式中、XはCl、Br、SO2NH2 、SO2CH3又はSO2C2H5であり、A+は炭素数8〜16の直鎖又は1個のヘテロ原子によって中断されていてもよい分岐のアルキルアンモニウムである)
を有するクロム錯体化合物が使用されている。
【0005】
上記トナーにおいて、ポリエステル樹脂の酸価を15mgKOH/g以下とするのは、酸価が15mgKOH/g超えると、ポリエステル樹脂に含まれる遊離状態のカルボキシル基が電子受容性を有するため、トナー自身の負帯電性を向上させるものの、クロム錯塩化合物のキレートを分解させやすくし、帯電制御剤としての性能が十分発揮させることができなくなるためである。特に、酸価が25mgKOH/gを超えると、トナーの摩擦帯電量が飽和値に達するまでの時定数が大きくなり、現像器内において十分な帯電量を得ることが困難になる。
【0006】
一方、酸価が10mgKOH/g以下の場合には、クロム錯体化合物が、カルボキシル基の影響によりキレート分解しなくなり、ポリエステル樹脂が有する負極側への帯電容易性との相乗効果により、極めて良好な帯電特性を示すこととなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ポリエステル樹脂の酸価を15mgKOH/g以下とすると、ポリエステル樹脂の有する本来の負帯電性の優位性や耐オフセット性の優位性を拘束することとなり、ポリエステル樹脂の優位な特性を十分発揮させることができないという問題がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、ポリエステル樹脂本来の負帯電性や定着耐オフセット性を維持しつつ、かつ十分な帯電特性が得られ、カブリ、トナー飛散等の問題が生じさせない静電潜像現像用トナーについて鋭意研究を重ねた結果、静電潜像現像用トナーに含有されるポリエステル樹脂の酸価と水酸基価とが、特に高温高湿環境下の帯電特性に密接な関係があること、さらに、ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)を特定の範囲とすることにより、低濃度原稿複写時の画像濃度の低下をより防止することができることを見出し、本発明の完成に到った。
【0009】
すなわち、本発明によれば、ポリエステル樹脂と、クロム錯体化合物からなる負荷電制御剤と正荷電制御剤とを含有してなり、前記ポリエステル樹脂が、15〜33mgKOH/gの酸価と、4〜17mgKOH/gの水酸基価と、5200〜7000の数平均分子量(Mn)とを有し、前記クロム錯体化合物が、式:
【化4】
(式中、XはCl、Br、SO 2 NH 2 、SO 2 CH 3 又はSO 2 C 2 H 5 であり、A + は炭素数8〜16の直鎖又は1個のヘテロ原子によって中断されていてもよい分岐のアルキルアンモニウムである)で表され、負荷電制御剤を、トナー全重量に対して、1〜3重量%含有し、正荷電制御剤を、トナー全重量に対して、0.1〜0.3重量%含有することを特徴とする静電潜像現像用トナーが提供される。
【0010】
また、本発明によれば、上記静電潜像現像用トナーを用いた画像形成方法及び画像形成装置が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の静電潜像現像用トナーは、主としてポリエステル樹脂と、クロム錯体化合物からなる負荷電制御剤と、正荷電制御剤とを含有してなる。
【0012】
本発明の静電潜像現像用トナーに使用されるポリエステル樹脂は、多塩基酸と多価アルコールの重縮合によってエステル結合で連結されているポリマーであり、飽和及び不飽和のいずれも含まれる。ポリエステル樹脂の種類は特に限定されるものではなく、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート等の種々のものが挙げられるが、不飽和ポリエステル樹脂が好ましい。
【0013】
ポリエステル樹脂を構成する多塩基酸としては、特に限定されるものではなく、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、メサコン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セパシン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ヘット酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、トリメリト酸、無水トリメリト酸、ピロメリト酸、無水ピロメリト酸等が挙げられる。
【0014】
多価アルコールとしては、特に限定されるものではなく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、水素化ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA、ビスフェノールジヒドロキシプロピルエーテル、グリコール、グリセリン等の種々のものが挙げられる。
これら多塩基酸及び多価アルコールの種類は、それぞれ1種でもよいし、2種以上でもよい。
【0015】
本発明においては、ポリエステル樹脂が、15〜33mgKOH/gの酸価(好ましくは15mgKOH/gより大きく、33mgKOH/g以下、さらに好ましくは15mgKOH/gより大きく、25mgKOH/g以下)と、4〜17mgKOH/gの水酸基価(好ましくは4〜11mgKOH/g)とを有する。ここで、酸価とは、ポリエステル樹脂の末端のカルボキシル残基数を意味し、一般に、JIS K0070−1966準拠の方法により測定される値である。水酸基価とは、ポリエステル樹脂の末端の水酸基残基数を意味し、一般に、(JIS K0070−1916準拠の方法により測定される値である。酸価は、ポリエステル樹脂における二塩基酸よりも多塩基酸(例えば、無水トリメリト酸等)の使用割合を増大させる等により大きくすることができる。水酸基価は、アルコール成分の末端基を削減することにより行うことができる。例えば、無水マレイン酸を1〜5%程度、無水トリメリット酸を1〜5%添加することにより、酸価を大きくすることができる。また、テレフタル酸を微量調整することにより、水酸基価を上記の範囲に調整することができる。また、芳香族環を有する多塩基酸及び多価アルコールを用いたポリエステル樹脂は、耐ブロッキング性が良好であり、好ましい。特に、芳香族トリカルボン酸又はその誘導体を含むポリカルボン酸とポリオールとを反応させたポリエステル樹脂が好ましい。
【0016】
また、本発明のポリエステル樹脂は、5200〜7000程度の数平均分子量(Mn)を有する。さらに、5700〜6400程度がより好ましい。一般に、数平均分子量Mnは、単位体積中に分子量Miの分子がNi個存在するとした場合に、Mn=ΣMi・Ni/ΣNiで定義される値であり、氷点降下法、沸点上昇法、浸透圧法、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法等の種々の方法で測定することができる。なかでも、GPC法で測定した数平均分子量であることが好ましい。
一般に、低濃度原稿を長期に渡り複写する(例えば、1%文字面積率の原稿を長期に渡り、FAXモードで複写する)場合、現像器中のトナーの入れ替えが少なくなるため、過攪拌状態のトナーが増加し、その結果、トナー表面の流動化剤粒子が埋没し、トナー本来の流動性を低下させ、静電潜像摺擦時のトナーの供給能低下を招き、複写画像のガサツキ等の不具合を発生させる。しかし、数平均分子量を上記範囲とすることにより、流動化剤粒子の埋没を抑制することができ、複写画像のガサツキを防止することができるとともに、トナーの定着性を損なうことなく、極めて良好な複写画像を得ることができる。
【0017】
本発明のポリエステル樹脂は、通常、有機溶媒中、触媒の存在下、上記原料成分を用いて、脱水縮合反応又はエステル変換反応を行うことにより得られる。この際の反応温度は、例えば、150〜300℃程度である。上記反応を行う際、反応促進を目的に、エステル化触媒、エステル変換触媒、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、酢酸鉛、三酸化アンチモン等を使用することができる。
【0018】
本発明においては、例えば、無水マレイン酸及び無水トリメリット酸を増量して、酸価の比較的大きなポリエステル樹脂を用いることにより、耐オフセット性を向上させることができるとともに、負帯電性を向上させることができる。また、水酸基価の比較的小さいポリエステル樹脂を用いることにより、吸湿性を抑制し、帯電環境安定性を向上、つまり、高温多湿環境下でも帯電安定性を得ることができる。
【0019】
本発明のポリエステル樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が60〜70℃(ASTM D3418−82準拠)であることが好ましい。ガラス転移温度をこの範囲にすることにより、耐ブロッキング性及び/又は耐オフセット性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明のポリエステル樹脂は、4mm降下温度が160〜175℃であることが好ましい(フローテスター等速昇温法、6℃/分、荷重20kg、ダイ1mm×0.5mmφ、CFT500島津製作所製)。4mm降下温度をこの範囲にすることにより、定着性及び/又は耐オフセット性を向上させることができる。
【0021】
さらに、本発明におけるクロム錯体化合物からなる負荷電制御剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、式
【化3】
(式中、XはCl、Br、SO2NH2 、SO2CH3又はSO2C2H5であり、A+は炭素数8〜16の直鎖又は1個のヘテロ原子によって中断されていてもよい分岐のアルキルアンモニウムである)
で表されるクロム錯体化合物が挙げられる。
【0022】
ここで、「ヘテロ原子」としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。なかでも、酸素原子が好ましい。
「炭素数8〜16の直鎖のアルキルアンモニウム」としては、例えば、+NH3C12H25、+NH3C14H29等が挙げられる。
「炭素数8〜16の1個のヘテロ原子によって中断されていてもよい分岐のアルキルアンモニウム」としては、例えば、+NH3C3H6OC(C2H5)HC4H9、+NH3C3H6OCH2C(C2H5)HC4H9等が挙げられる。
【0023】
本発明の静電潜像現像用トナーにおいては、ポリエステル樹脂は、トナー全重量に対して、80〜95重量%程度、さらに、85〜90重量%程度含有することが好ましい。また、クロム錯体化合物は、トナー全重量に対して、0.5〜5重量%程度、さらに、1〜3重量%程度含有することが好ましい。
【0024】
また、本発明の静電潜像現像用トナーには、さらに正荷電制御剤が含有されている。ここで使用することができる正荷電制御剤として、例えば、ニグロシン系染料、ピリジニウム塩、アンモニウム塩又はこれらのレーキ化合物等が挙げられる。正電荷制御剤は、トナー全重量に対して、0.05〜0.5重量%程度、さらに、0.1〜0.3重量%程度含有することが好ましい。
【0025】
本発明の静電潜像現像用トナーは、さらに流動化剤粒子を含有していていることが好ましい。ここで使用することができる流動化剤粒子としては、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等が挙げられる。なかでも、シリカが好ましい。これらの流動化剤粒子は、例えば、比表面積が90〜240m2/g(BET法)程度、より100〜220m2/g程度、さらに110〜220m2/g程度であることが好ましい。流動化剤粒子は、トナー全重量に対して、0.1〜3.0重量%程度、さらに、0.3〜1.0重量%程度含有することが好ましい。
一般に、トナーへの流動性付与はスペーサ効果によるものであるため、トナー粒子間にエアーを介在させることが好ましい。よって、流動化剤粒子の比表面積を上記の範囲とすることにより、エアーの介在を十分に付与して十分なスペーサ効果を得ることができ、低濃度原稿複写時においても、トナーの流動性を損なわない。また、流動化剤粒子同士の凝集を抑制して、複写画像に白斑等の悪影響を防止することができる。
【0026】
本発明の静電潜像現像用トナーは、上記の成分の他に、通常、トナーに使用することができる定着離型剤、着色剤、分散剤、磁性粉等の添加剤を含有していてもよい。また、ポリエステル樹脂以外の樹脂を併用してもよい。
定着離型剤としては、例えば、モンタン酸エステルワックス、カルナバワックス等の天然ワックス、高圧法ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系ワックス、シリコーン系ワックス、フッ素系ワックス等が挙げられる。
【0027】
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、磁性粉、ニトロ系、スチルベンアゾ系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、メチン系、チアゾール系、アントラキノン系、イミダミン系、アジン系、オキサアジン系、チアジン系、硫化染料系、インジゴイド系、フタロシアン系等の有機染料や顔料等が挙げられる。
【0028】
分散剤としては、金属石鹸、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
磁性粉としては、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、マンガン等の金属又はこれらの合金、二酸化クロム、三二酸化鉄、フェライト等の金属酸化物等が挙げられる。
【0029】
樹脂としては、スチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、アクリル樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、スチレン−アクリル−無水マレイン酸共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0030】
なお、本発明の静電潜像現像用トナーは、公知の方法、例えば、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ、メカノミル、Q型ミキサ等の気流混合機等の混合可能な装置により混合し、2軸混練機、1軸混練機等の装置により、70〜180℃程度の温度にて溶融混練し、得られた混練物を冷却固化し、固化物をジェットミル等のエアー式粉砕機により粉砕する方法によって製造することができる。粉砕は、トナー粒子が5〜25μm程度の径、さらに、7〜15μm程度の径になるように行うことが好ましい。
【0031】
また、本発明における画像形成方法は、上記トナーと用いる限り、特に限定されるものではなく、通常、トナーを用いて画像を形成する方法、例えば、電子写真法や静電印刷法等として一般に知られている方法又はこれに準じた方法であれば、どのような方法であってもよい。具体的には、感光体に静電荷像を形成し、上記のトナーを用いて静電荷像を現像してトナー像を形成し、感光体上のトナー像を転写材へ転写し、転写された転写材上のトナー像を定着させて定着画像を形成する方法等が挙げられる。
【0032】
さらに、本発明における画像形成装置は、上記のような画像形成方法を実現することができる装置で、上記トナーを用いる限り、どのような装置であってもよく、例えば、複写機、プリンター、ファクシミリ又はこれらの複合体等が挙げられる。
【0033】
以下に、本発明の静電潜像現像用トナーの実施例について説明する。
実施例1
表1に示したように、ポリエステル樹脂1(酸価25、水酸基価11、数平均分子量6000、三洋化成工業(株)製)100重量部、負荷電制御剤(Aizen Spilon Black TRH、保土谷化学工業(株)製)1.5重量部、正荷電制御剤(ボントロンN09、オリエント化学(株)製)0.2重量部、カーボンブラック(MA−77 三菱化学(株)製)5重量部、ポリプロピレン(ビスコール550P、三洋化成工業(株)製)2重量部を混合し、二軸押出機にて溶融混練後、冷却粉砕し、粒径8μmのトナーを得た。
得られたトナーに流動化剤粒子であるシリカ(R976S、日本アエロジル社製)を0.5重量部添加し、実施例1のトナーを得た。
【0034】
実施例2
ポリエステル樹脂2(酸価20、水酸基価17、数平均分子量5800、三洋化成工業(株)製)100重量部、正荷電制御剤(ボントロンN04、オリエント化学(株)製)0.2重量部、流動化剤粒子であるシリカ(R974、日本アエロジル社製)0.5重量部を用いる以外は実施例1と同様の方法で実施例2のトナーを得た。
【0035】
実施例3
ポリエステル樹脂3(酸価15、水酸基価4、数平均分子量6400、三洋化成工業(株)製)100重量部、正荷電制御剤(ボントロンP51、オリエント化学(株)製)0.2重量部、流動化剤粒子であるシリカ(R812S、日本アエロジル社製)0.3重量部を用いる以外は実施例1と同様の方法で実施例3のトナーを得た。
【0036】
実施例4
流動化剤粒子であるシリカ(HDK H3004 ワッカー社製)0.7重量部を用いる以外は実施例1と同様の方法で実施例4のトナーを得た。
【0037】
比較例1
ポリエステル樹脂4(酸価32、水酸基価18、数平均分子量5000、三洋化成工業(株)製)100重量部、正荷電制御剤(ボントロンN09、オリエント化学(株)製)0.2重量部、流動化剤粒子であるシリカ(RX50、日本アエロジル社製)4.0重量部を用いる以外は実施例1と同様の方法で比較例1のトナーを得た。
【0038】
比較例2
ポリエステル樹脂5(酸価10、水酸基価13、数平均分子量4700、三洋化成工業(株)製)100重量部、正荷電制御剤(ボントロンN04、オリエント化学(株)製)0.2重量部、流動化剤粒子であるシリカ(300、日本アエロジル社製)0.1重量部を用いる以外は実施例1と同様の方法で比較例2のトナーを得た。
【0039】
比較例3
ポリエステル樹脂6(酸価20、水酸基価3、数平均分子量7200、三洋化成工業(株)製)100重量部、正荷電制御剤(ボントロンP51、オリエント化学(株)製)0.2重量部、流動化剤粒子であるシリカ(R812、日本アエロジル社製)0.3重量部を用いる以外は実施例1と同様の方法で比較例3のトナーを得た。
【0040】
比較例4
ポリエステル樹脂7(酸価25、水酸基価12、数平均分子量75000、三洋化成工業(株)製)100重量部、正荷電制御剤(ボントロンN09、オリエント化学(株)製)0.2重量部、流動化剤粒子であるシリカ(HDK H3004、ワッカー社製)0.3重量部を用いる以外は実施例1と同様の方法で比較例4のトナーを得た。
【0041】
上記で得られた実施例1〜4及び比較例1〜4のトナーについて、画像濃度、Q/M、トナー飛散について評価した。これらの評価は、シャープ(株)製デジタル複写機AR−405を用い、高温高湿(35℃、85%)環境下における実写試験によって行った。また、黒ベタガサツキについて評価した。この評価は、上記と同じ複写機を用い、高温高湿(20℃、65%)環境下における実写試験によって行った。なお、通紙は8.5インチ×11インチのネコサ紙を用いた。
【0042】
(1)Q/Mは、8万枚の実写試験(6%原稿使用)を通じて、現像器より現像剤を採取し測定した。この際使用した測定機は東芝ケミカル(株)製のブローオフ粉体帯電量測定装置TB−200であった。
(2)画像濃度は、8万枚の実写試験(6%原稿使用)を通じて、1.35以上を○、1.35未満を×とした。この際使用した測定機はMacbeth 社製のPROCESS MEASUREMENTSRD914型であった。
(3)トナー飛散は、8万枚の実写試験(6%原稿使用)を通じて、複写機内の汚れを目視して判定した。汚れが殆どない場合を○、汚れありの場合を×とした。
(4)黒ベタガサツキは、2万枚の実写試験(1%原稿使用)を通じて、目視にて判定した。ガサツキなしを○(下地の紙が見えない)、若干ありを△(下地の紙が一部見える)、ガサツキありを×(下地の紙が所々見える)とした。
【0043】
さらに、上記の各トナーについて、定着耐オフセット性についても評価した。この評価は、シャープ(株)製デジタル複写機AR−405定着部を温度可変に改造して使用し、低温側オフセット発生温度140℃以下を○とし、高温側オフセット発生温度220℃以上を○とした。なお、通紙は8.5インチ×11インチのネコサ紙を用いた。
これらの結果を表2に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリエステル樹脂とクロム錯体化合物からなる負荷電制御剤と正荷電制御剤とを含有してなり、ポリエステル樹脂が、15〜33mgKOH/gの酸価と、4〜17mgKOH/gの水酸基価と、5200〜7000の数平均分子量(Mn)とを有するため、クロム錯体化合物からなる負荷電付与剤の荷電付与特性を阻害せず、トナーの帯電特性を安定させ、特に、高温高湿環境下においても長期にわたり地肌カブリがなく高濃度でトナー飛散がなく、耐オフセット性の良好な負帯電性の静電潜像現像用トナーを得ることができるとともに、トナーの低印字複写モードにおいても、長期にわたり地肌カブリ、高濃度での黒ベタのガサツキがなく、トナー飛散のない良好な複写画像を得ることができる静電潜像現像用トナーを提供することが可能となる。
【0047】
また、ポリエステル樹脂が、60〜70℃のガラス転移温度(Tg)を有する場合には、耐ブロッキング性を向上させることができる。
さらに、ポリエステル樹脂が、160〜175℃の4mm降下温度(フローテスター等速昇温法)有する場合には、定着性及び/又は耐オフセット性をより向上させることができる。
【0048】
また、本発明におけるトナーがさらに流動化剤粒子を含有してなる場合には、トナー中への流動化剤粒子を埋没させずに流動化粒子の本来の機能を十分果たさせることができ、複写画像のガサツキを防止することができるとともに、トナーの定着性を向上させることができ、良好な複写画像を得ることができる。
特に、流動化剤粒子が、トナー全量に対し、0.1〜3.0重量%添加混合されてなる場合又は90〜240m2/gの比表面積を有するシリカである場合には、トナー粒子間にエアーを十分に介在させて十分なスペーサ効果を得ることができ、低濃度原稿複写時においても、トナーの流動性を損なわずに、極めて良好な複写画像を得ることができる。
【0049】
さらに、本発明の静電潜像現像用トナーを用いることにより、上記のように極めて良好な画像を形成することができる。
しかも、本発明の静電潜像現像用トナーを用いることにより、従来から一般に使用されてきたものを適用しながら、極めて良好な複写画像を形成することができる画像形成装置を提供することが可能となる。
Claims (6)
- ポリエステル樹脂と、クロム錯体化合物からなる負荷電制御剤と正荷電制御剤とを含有してなり、
前記ポリエステル樹脂が、15〜33mgKOH/gの酸価と、4〜17mgKOH/gの水酸基価と、5200〜7000の数平均分子量(Mn)とを有し、
前記クロム錯体化合物が、式:
で表され、
負荷電制御剤を、トナー全重量に対して、1〜3重量%含有し、
正荷電制御剤を、トナー全重量に対して、0.1〜0.3重量%含有する
ことを特徴とする静電潜像現像用トナー。 - ポリエステル樹脂が、60〜70℃のガラス転移温度(Tg)を有する請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
- ポリエステル樹脂が、160〜175℃の4mm降下温度(フローテスター等速昇温法)を有する請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
- さらに、90〜240m 2 /gの比表面積を有するシリカである流動化剤粒子を、トナー全重量に対して、0.1〜3.0重量%含有してなる請求項1〜3のいずれか1つに記載の静電潜像現像用トナー。
- 請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電潜像現像用トナーを用いて画像を形成することからなる画像形成方法。
- 請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電潜像現像用トナーを用いた画像形成装置。
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