JP3560877B2 - 静電潜像現像用トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナーに関し、さらに詳しくは、複写機等の画像形成装置に使用される静電潜像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、乾式現像法における二成分現像法で使用される現像器のみならず、一成分現像法で使用されるような電荷付与部材との接触頻度が小さい現像器又は電荷付与部材の電荷付与能率が低い現像器においても、良好な摩擦帯電特性を付与し、印字のにじみや非印字部の地汚れを生じさせないために、電荷受容性の高いトナーが提案されている(例えば、特開平5−72805号公報)。このトナーは、ポリエステル樹脂、着色剤及び帯電制御剤から構成されており、ポリエステル樹脂としては、酸価が15mgKOH/g以下のもの、帯電制御剤としては、以下の式(I)、
【0003】
【化2】
(式中、Xは塩素原子、臭素原子、基SO2NH2、基SO2CH3または基SO2C2H5を示し、Aは、炭素数8〜16の直鎖または1個のヘテロ原子によって中断されていてもよい分岐のアルキルアンモニウムである)で表されるクロム錯体化合物が使用されている。
【0004】
上記トナーにおいて、ポリエステル樹脂の酸価を15mgKOH/g以下とするのは、酸価が15mgKOH/gを超えると、ポリエステル樹脂に含まれる遊離状態のカルボキシル基が電子受容性を有するため、トナー自身の負帯電性を向上させるものの、クロム錯塩化合物のキレートを分解させやすくし、帯電制御剤としての性能を十分発揮させることができなくなるためである。特に、酸価が25mgKOH/gを超えると、トナーの摩擦帯電量が飽和値に達するまでの時定数が大きくなり、現像器内において十分な帯電量を得ることが困難になる。逆に、酸価が10mgKOH/g以下の場合には、クロム錯体化合物がカルボキシル基の影響によりキレート分解しなくなり、ポリエステル樹脂が有する負極側への帯電容易性との相乗効果により、極めて良好な帯電特性を示すこととなる。しかし、ポリエステル樹脂の酸価を15mgKOH/g以下とすると、ポリエステル樹脂の有する本来の負帯電性の優位性や耐オフセット性の優位性を拘束することとなり、ポリエステル樹脂の優位な特性を十分発揮させることができないという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、ポリエステル樹脂本来の負帯電性や定着耐オフセット性を維持しつつ、かつ十分な帯電特性が得られ、カブリやトナー飛散等の問題を生じさせない静電潜像現像用トナーを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、静電潜像現像用トナーに含有されるポリエステル樹脂の酸価と水酸基価が特に高温高湿環境下の帯電特性に密接な関係があること、また、正荷電制御剤を含有させることで、より帯電特性が安定すること、更には、特定の流動化剤粒子をトナー表面に添加混合せしめることで、よりいっそうの効果(低濃度原稿複写時の画像濃度低下防止)を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(4)に存する。
(1) 着色剤とポリエステル樹脂とクロム錯体化合物からなる負荷電制御剤と正荷電制御剤を含有してなり、前記ポリエステル樹脂が、15〜30mgKOH/gの酸価と、4〜17mgKOH/gの水酸基価を有する静電潜像現像用トナーに於いて、上記正荷電制御剤をトナー全重量に対し0.05〜0.5重量部含有してなり、また上記クロム錯体化合物をトナー全重量に対し0.5〜5.0重量部の範囲で含有し、該クロム錯体化合物が、次の式(I)からなり、また上記トナーに、90〜240m2/gの比表面積を有する流動化剤粒子としてのシリカをトナー全重量に対し0.1〜5.0重量部添加混合するとともに、さらに正帯電性粒子としての酸化チタン無機粒子を添加混合せしめたことを特徴とする静電潜像現像用トナー。
【化3】
(式中、Xは塩素原子、臭素原子、基SO 2 NH 2 、基SO 2 CH 3 または基SO 2 C 2 H 5 を示し、Aは、炭素数8〜16の直鎖または1個のヘテロ原子によって中断されていてもよい分岐のアルキルアンモニウムである)で表されるクロム錯体化合物である)
(2) ポリエステル樹脂が、55〜65℃のガラス転移温度(Tg)を有する請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
(3) ポリエステル樹脂が、0.1〜6.0g/10分のメルトインデックス(MI)を有する請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
(4) 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の静電潜像現像用トナーを用いた画像形成装置。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の静電潜像現像用トナーに配合される着色剤としては、通常トナーに使用されるものであれば特に制限なく利用することができ、例えば、カーボンブラック、磁性粉、ニトロ系、スチルベンアゾ系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、メチン系、チアゾール系、アントラキノン系、イミダミン系、アジン系、オキサアジン系、チアジン系、硫化染料系、インジゴイド系、フタロシアニン系等の有機染料や顔料等が挙げられる。
【0009】
本発明の静電潜像現像用トナーに使用されるポリエステル樹脂は、多塩基酸と多価アルコールの重縮合によってエステル結合で連結されているポリマーであり、飽和及び不飽和のいずれのものも含まれる。ポリエステル樹脂の種類は特に限定されるものではなく、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート等の種々のものが挙げられるが、これらの中でも、特に不飽和ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂を構成する多塩基酸としては、特に限定されるものではなく、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、メサコン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セパシン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ヘット酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。また、多価アルコールとしては、特に限定されるものではなく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、水素化ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA、ビスフェノールジヒドロキシプロピルエーテル、グリコール、グリセリン等の種々のものが挙げられる。なお、これら多塩基酸及び多価アルコールの種類は、それぞれ1種でもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0010】
本発明のポリエステル樹脂は、15〜30mgKOH/gの酸価と、4〜17mgKOH/gの水酸基価とを有する。ここで、酸価とは、ポリエステル樹脂の末端のカルボキシル残基数を意味し、水酸基価とは、ポリエステル樹脂の末端の水酸基残基数を意味する。酸価は、ポリエステル樹脂における二塩基酸よりも多塩基酸(例えば、無水トリメリット酸等)の使用割合を増大させる等により大きくすることができ、水酸基価は、アルコール成分の末端基を削減することにより調整することができる。例えば、無水マレイン酸を1〜5%程度、無水トリメリット酸を1〜5%添加することにより、酸価を大きくすることができる。また、テレフタル酸を微量調整することにより、水酸基価を上記の範囲に調整することができる。また、上記ポリエステル樹脂の中でも、芳香族環を有する多塩基酸及び多価アルコールを用いたポリエステル樹脂は、耐ブロッキング性が良好であるため好ましい。特に、芳香族トリカルボン酸又はその誘導体を含むポリカルボン酸とポリオールとを反応させたポリエステル樹脂がより好ましい。
【0011】
本発明のポリエステル樹脂は、通常、有機溶媒中、触媒の存在下で上記原料成分を用いて、脱水縮合反応又はエステル変換反応を行うことにより得られる。この際の反応温度及び反応時間は、例えば、20〜200℃で、1〜24時間である。上記反応を行う際、反応促進を目的に、エステル化触媒やエステル変換触媒(例えば、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、酢酸鉛、三酸化アンチモン等)を使用することができる。
【0012】
本発明においては、例えば、無水マレイン酸及び無水トリメリット酸を増量して、酸価の比較的大きなポリエステル樹脂を用いることにより、耐オフセット性を向上させることができるとともに、負帯電性を向上させることができる。また、水酸基価の比較的小さいポリエステル樹脂を用いることにより、吸湿性を抑制し、帯電環境安定性を向上、つまり、高温多湿環境下でも帯電安定性を得ることができる。
【0013】
また、本発明のポリエステル樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が55〜65℃及び/又はメルトインデックス(MI)が0.1〜6.0g/10分であることが好ましい。これらの値をこの範囲にすることにより、耐ブロッキング性及び/又は耐オフセット性を向上させることができる。
【0014】
上記ポリエステル樹脂は、トナー全重量に対して、80〜95重量部程度、特に、85〜90重量部程度含有することが好ましい。
【0015】
本発明におけるクロム錯体化合物からなる負荷電制御剤としては、前記の式(I)で表されるクロム錯体化合物が挙げられる。ここで、「ヘテロ原子」としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が例示されるが、「炭素数8〜16の直鎖のアルキルアンモニウム」としては、例えば、+NH3C12H25、+NH3C14H29等が挙げられる。また、「炭素数8〜16の1個のヘテロ原子によって中断されていてもよい分岐のアルキルアンモニウム」としては、例えば、+NH3C3H6OC(C2H5)HC4H9、+NH3C3OCH2C(C2H5)HC4H9等が挙げられる。
【0016】
本発明の静電潜像現像用トナーにおいては、クロム錯体化合物は、トナー全重量に対して、0.5〜5.0重量部程度、特に、1〜3重量部程度含有することが好ましい。
【0017】
本発明の静電潜像現像用トナーには、さらに正荷電制御剤が含有される。ここで使用することができる正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、ピリジニウム塩、アンモニウム塩、又はこれらのレーキ化合物等が挙げられる。
【0018】
正荷電制御剤は、トナー全重量に対して、0.05〜0.5重量部程度、特に、0.1〜0.3重量部程度含有することが好ましい。
【0019】
本発明の静電潜像現像用トナーにおいては、トナー表面に比表面積が90〜240m2/gの範囲にある流動化剤粒子を担持する。そのような流動化剤粒子としては、例えば、シリカ微粉末等のシリカ、酸化アルミニウム微粉末等の酸化アルミニウム、ポリフルオロエチレン(商品名テフロン)、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデン、酸化セリウム、炭化ケイ素等が挙げられるが、特にシリカ微粉末が好ましい。流動化剤粒子の比表面積が90m2/gより小さいと、トナー粒子間及びトナーキャリア間に介在する流動化剤粒子及びエアーが少なくなり、スペーサー効果が薄れ、流動化剤粒子量を増すと凝集が発生し、白斑が生じることがある。一方、流動化剤粒子の比表面積が240m2/g超では、スペーサー効果はより増加するが、凝集性が増し白斑が生じることがある。
【0020】
流動化剤粒子としては、例えば、AEROSIL R976S(110)、同R974(170)、同R812S(220)(以上、日本アエロジル社製)、WACKER HDK H3004(200)、同HDK H2000(140)(以上、ワッカー社製)、TS−530、TS−720、TG−811(以上、キャボット社製)等の市販品を有利に使用することができる(カッコ内の数字は比表面積である)。
【0021】
上記流動化剤粒子は、トナー全重量に対して、0.1〜3.0重量部程度、特に、0.3〜1.0重量部程度担持させることが好ましい。また、流動化剤粒子と正帯電性粒子を併用する場合には、トナー全重量に対して、0.1〜5.0重量部程度、特に、0.3〜4.0重量部程度の流動化剤粒子を担持させることが好ましい。なお、流動化剤粒子の配合量が、上記範囲より少ないとトナーおよびデベロッパーの流動性低下による黒ベタガサツキが生じることがあり、上記範囲より多いと凝集による黒ベタ部の白斑が生じることがある。
【0022】
本発明の静電潜像現像用トナーにおいては、流動化剤粒子とともにトナー表面に、さらに正帯電性粒子を担持させる。この正帯電性粒子としては、酸化チタン無機粒子がある。例えば、AEROSIL T805、同P25(以上、日本アエロジル社製)、STT−30A(チタン工業社製)等の市販品を有利に使用することができる。
【0023】
上記正帯電性粒子は、トナー全重量に対して、0.01〜2.0重量部程度、特に、0.03〜1.0重量部程度担持させることが好ましい。なお、正帯電性粒子の配合量が、0.01重量部より少ないと捕捉効果が十分でない場合があり、2.0重量部より多いと流動化剤粒子の流動性効果を妨げてしまうことがある。
【0024】
本発明の静電潜像現像用トナーは、上記の成分の他に、通常、トナーに使用することができる定着離型剤、分散剤、磁性粉等の添加剤を含有していてもよい。また、ポリエステル樹脂以外の樹脂を併用してもよい。
【0025】
定着離型剤としては、例えば、モンタン酸エステルワックス、カルナバワックス等の天然ワックス、高圧法ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系ワックス、シリコーン系ワックス、フッ素系ワックス等が挙げられる。
【0026】
分散剤としては、金属石鹸、ポリエチレングリコール等が例示される。磁性粉としては、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、マンガン等の金属又はこれらの合金、二酸化クロム、三二酸化鉄、フェライト等の金属酸化物等が例示される。
【0027】
併用可能な樹脂としては、スチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、アクリル樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、スチレン−アクリル−無水マレイン酸共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が例示される。
【0028】
なお、本発明の静電潜像現像用トナーは、公知の方法、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、メカノミル、Q型ミキサー等の気流混合機の混合可能な装置により混合し、2軸混練機、1軸混練機等の装置により、70〜180℃程度の温度にて溶融混練し、得られた混練物を冷却固化し、固化物をジェットミル等のエアー式粉砕機により粉砕する方法により製造することができる。粉砕は、トナー粒子が5〜25μm程度、特に、7〜15μm程度の粒径になるように行うことが好ましい。
【0029】
【作用】
本発明では、特定の比表面積を有する流動化剤粒子(例えば、比表面積90〜240m2/gのシリカ)をトナー表面に添加混合することで、特にトナー低印字複写においても良好な結果が得られる。また、上記流動化剤粒子とともに正帯電性粒子を添加混合することにより、流動化剤粒子の凝集による白斑発生を抑制できるため一層好ましい。
【0030】
一般に、通常複写(6%文字濃度原稿で連続複写)では、現像器中のトナーは、チャージアップする前に消費され、かつトナー表面の流動化剤粒子も埋没する以前に消費されることにより、次なるトナーが補給される。従って、トナーの入れ替えが適度に行われ、安定した帯電量を維持できると同時にデベロッパーの流動性が低下することなく、画像濃度の維持および黒ベタのガサツキも発生しない。これに対し、低印字複写(1%文字濃度原稿で連続複写)では、現像器中のトナーの入れ替えが少なくなるため、過撹拌状態のトナーが増し、トナーのチャージアップが促進される。同時に当初トナーの表面に添加混合し、担持せしめた流動化剤粒子は、過撹拌状態になるとトナー表面への埋没が発生し、延いてはデベロッパーの流動性が低下することで、感光体静電潜像へのトナーの供給能が低下する。従って、高帯電トナーが増加し、デベロッパーの流動性低下による相乗的悪影響により、画像濃度低下や黒ベタのガサツキといった不具合が生じることになる。
【0031】
本発明の流動化剤粒子が前記比表面積範囲で良好な理由として、以下の理由が考えられる。
1.流動性の作用として、トナー粒子間及びデベロッパー(トナーとキャリア間)でスペーサーとして働く。
2.スペーサー効果としては粒子径も大きく作用するが、いかに接触点を減少できるか、言い換えればエアーを導入できるか否かがポイントである。従って、流動化剤粒子の比表面積が重要となる(表面エネルギ一的代替物性と考えられる)。なお、流動化剤粒子がスペーサー機能を発揮するには、一次粒子に近い状態が好ましいと考えられる。
【0032】
また、本発明において流動化剤粒子とともに、さらに正帯電性粒子を添加混合することにより、流動化剤粒子の凝集による白斑発生を抑制できる理由は、負帯電凝集粒子と正帯電性粒子が帯電することで、トナーもしくはキャリア表面に捕捉されるためであると考えられる。
【0033】
【実施例】
以下に、実施例および比較例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに制約されるものではない。
【0034】
実施例1
<成分> 配合量(重量部)
ポリエステル樹脂1 100
(酸価25、水酸基価11;三洋化成工業社製)
負荷電制御剤 1.5
(Aizen Spilon Black TRH;保土谷化学工業社製)
正荷電制御剤(ボントロンNO9;オリエント化学社製) 0.2
カーボンブラック(MA−77;三菱化学社製) 5
ポリプロピレン(ビスコール550P;三洋化成工業社製) 2
【0035】
上記各成分を混合し、二軸押出機にて溶融混練後、冷却粉砕し、粒径8μmのトナーを得た。そのトナーに流動化剤粒子シリカ(AEROSIL R976S;日本アエロジル社製)を0.5重量部と正帯電性粒子(AEROSIL T805;日本アエロジル社製)を0.2重量部添加し、本発明トナーを得た。
【0036】
実施例2
ポリエステル樹脂、正荷電制御剤、流動化剤粒子および正帯電性粒子として、以下のとおりのものを用いる以外は実施例1と同様にして本発明トナーを得た。
<成分> 配合量(重量部)
ポリエステル樹脂2 100
(酸価20、水酸基価17;三洋化成工業社製)
正荷電制御剤(ボントロンNO4;オリエント化学社製) 0.2
流動化剤粒子 0.5
(AEROSIL R974;日本アエロジル社製)
正帯電性粒子 0.2
(AEROSIL P25;日本アエロジル社製)
【0037】
実施例3
ポリエステル樹脂、正荷電制御剤、流動化剤粒子および正帯電性粒子として、以下のとおりのものを用いる以外は実施例6と同様にして本発明トナーを得た。
<成分> 配合量(重量部)
ポリエステル樹脂3 100
(酸価15、水酸基価4;三洋化成工業社製)
正荷電制御剤(ボントロンP51;オリエント化学社製) 0.2
流動化剤粒子 0.3
(AEROSIL R812S;日本アエロジル社製)
正帯電性粒子(STT−30A;チタン工業社製) 0.2
【0038】
実施例4
流動化剤粒子および正帯電性粒子として、以下のとおりのものを用いる以外は実施例1と同様にして本発明トナーを得た。
<成分> 配合量(重量部)
流動化剤粒子 4.0
(HDK H3004;WACKER社製)
正帯電性粒子 0.2
(AEROSIL T805;日本アエロジル社製)
【0039】
比較例1
ポリエステル樹脂、正荷電制御剤、流動化剤粒子および正帯電性粒子として、以下のとおりのものを用いる以外は実施例1と同様にして比較品トナーを得た。
<成分> 配合量(重量部)
ポリエステル樹脂4 100
(酸価32、水酸基価18;三洋化成工業社製)
正荷電制御剤(ボントロンNO9;オリエント化学社製) 0.2
流動化剤粒子(比表面積50m2/g) 5.0
(AEROSIL RX50;日本アエロジル社製)
正帯電性粒子 0.2
(AEROSIL T805;日本アエロジル社製)
【0040】
比較例2
流動化剤粒子および正帯電性粒子としてとして、以下のとおりのものを用いる以外は実施例1と同様にして本発明トナーを得た。
<成分> 配合量(重量部)
流動化剤粒子(比表面積80m2/g) 1.0
(AEROSIL MOX80;日本アエロジル社製)
正帯電性粒子 0.2
(AEROSIL T805;日本アエロジル社製)
【0041】
比較例3
ポリエステル樹脂、正荷電制御剤、流動化剤粒子および正帯電性粒子としてとして、以下のとおりのものを用いる以外は実施例1と同様にして比較品トナーを得た。
<成分> 配合量(重量部)
ポリエステル樹脂5 100
(酸価10、水酸基価13;三洋化成工業社製)
正荷電制御剤(ボントロンNO4;オリエント化学社製) 0.2
流動化剤粒子(比表面積300m2/g) 0.1
(AEROSIL 300;日本アエロジル社製)
正帯電性粒子(STT−30A;チタン工業社製) 0.2
【0042】
比較例4
ポリエステル樹脂、正荷電制御剤、流動化剤粒子および正帯電性粒子としてとして、以下のとおりのものを用いる以外は実施例1と同様にして比較品トナーを得た。
<成分> 配合量(重量部)
ポリエステル樹脂6 100
(酸価20、水酸基価3;三洋化成工業社製)
正荷電制御剤(ボントロンP51;オリエント化学社製) 0.2
流動化剤粒子(比表面積260m2/g) 0.3
(AEROSIL R812;日本アエロジル社製)
正帯電性粒子 0.2
(AEROSIL T805;日本アエロジル社製)
【0043】
試験例
以上の実施例1〜4および比較例1〜4で得られたトナーについて、トナー特性を評価した。実施例1〜4および比較例1〜5の結果を表1に示す。
【0044】
1.画像濃度、黒ベタ・ガサツキ、黒ベタ部白斑、トナー飛散、ブローオフ帯電量:シャープ株式会社製デジタル複写機AR−405を用い、高温・高湿(35℃、85%)環境下にて実写試験を行い、以下の項目について評価した。なお、通紙は、8.5インチ×11インチのネコサ紙を用いた。
【0045】
(1)画像濃度:
8万枚の実写試験(6%原稿使用)を通じて、1.35以上を〇、1.35未満を×とした。測定機はMacbeth社製PROCESS MEASUREMENTS RD914型を使用した。
【0046】
(2)黒ベタ・ガサツキ:
2万枚の実写試験(1%原稿使用)を通じて、目視により判定した。
<判定基準>
ガサツキ なし;〇(下地の紙が見えない)
若干あり;△(下地の紙が一部見える)
あり;×(下地の紙が所々見える)
【0047】
(3)黒ベタ部白斑(凝集シリカによる)
2万枚の実写試験(1%原稿使用)を通じて、目視により判定した。
<判定基準>
白斑 なし;〇(黒ベタ部に白斑なし)
若干あり;△(黒ベタ部に白斑1〜5個あり)
あり;×(黒ベタ部に白斑6個以上あり)
【0048】
(4)トナー飛散:
8万枚の実写試験(6%原稿使用)を通じて、複写機内の汚れを目視により判定した。
【0049】
(5)ブローオフ帯電量:
8万枚の実写試験(6%原稿使用)を通じて、現像器より現像剤を採取し測定した。測定機は東芝ケミカル社製ブローオフ粉体帯電量測定装置TB−200を使用した。
【0050】
2.定着耐オフセット性の評価:シャープ株式会社製デジタル複写機AR−405の定着部を温度可変に改造し、低温側オフセット発生温度140℃以下を〇、高温側オフセット発生温度220℃以上を〇とし、これ以外を×と評価した。なお、通紙は、8.5インチ×11インチのネコサ紙を用いた。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリエステル樹脂本来の負帯電性や定着耐オフセット性を維持しつつ、クロム錯体の帯電特性も十分に引き出されるため、耐オフセット性に優れ、トナーの低印字複写においても長期にわたり高濃度で黒ベタのガサツキがなく、地肌カブリがなく、トナー飛散のない良好な複写画像を形成する静電潜像現像用トナーが提供される。
Claims (4)
- 着色剤とポリエステル樹脂とクロム錯体化合物からなる負荷電制御剤と正荷電制御剤を含有してなり、前記ポリエステル樹脂が、15〜30mgKOH/gの酸価と、4〜17mgKOH/gの水酸基価を有する静電潜像現像用トナーに於いて、上記正荷電制御剤をトナー全重量に対し0.05〜0.5重量部含有してなり、また上記クロム錯体化合物をトナー全重量に対し0.5〜5.0重量部の範囲で含有し、該クロム錯体化合物が、次の式(I)からなり、また上記トナーに、90〜240m2/gの比表面積を有する流動化剤粒子としてのシリカをトナー全重量に対し0.1〜5.0重量部添加混合するとともに、さらに正帯電性粒子としての酸化チタン無機粒子を添加混合せしめたことを特徴とする静電潜像現像用トナー。
- ポリエステル樹脂が、55〜65℃のガラス転移温度(Tg)を有する請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
- ポリエステル樹脂が、0.1〜6.0g/10分のメルトインデックス(MI)を有する請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の静電潜像現像用トナーを用いた画像形成装置。
Priority Applications (4)
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