JP3589132B2 - 感熱転写用色素、及びこれを用いた転写用シート並びにインク - Google Patents

感熱転写用色素、及びこれを用いた転写用シート並びにインク Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は感熱転写記録、特に色素転写型感熱転写記録用に使用されるチアゾールダイマーアゾ系色素及びこれを用いた感熱転写記録用シート、並びに感熱転写用インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
色素転写型感熱転写記録は、ベースフィルム上に熱移行性の色素を含む色材層を有する感熱転写シートと、色素受容層を表面に有する受像シートを重ね合わせ、感熱転写シートを加熱して感熱転写シート中の色素を受像シートに転写することにより記録を行う記録方法である。本記録方法は加熱エネルギーの大きさにより色素の転写量を制御し、階調表現ができるため、ビデオプリンターなどのフルカラー画像記録用に応用されている。
【0003】
色素転写型感熱転写記録においては、転写シート及び転写シート用のインキ組成物に用いられる色素が転写記録のスピード、記録物の画質、保存安定性などに大きな影響を与えるので非常に重要である。その為、このような色素としては、以下のような条件を満たすことが必要である。
▲1▼熱記録ヘッドの作動条件で容易に昇華及び/または熱拡散すること。
▲2▼熱記録ヘッドの作動条件で熱分解しないこと。
▲3▼色再現上、好ましい色相を有すること。
▲4▼分子吸光係数が大きいこと。
▲5▼熱、光、湿気、薬品などに対して安定であること。
▲6▼合成が容易なこと。
▲7▼インク化適性が優れていること。
▲8▼安全性上問題のないこと。
感熱転写記録用の色素としては、既に多くの色素が提案され、一部実用化されているが、上述の条件を十分に満たす色素は少なく、優れた性能を有する色素の開発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は係る事情に鑑み成されたものであって、色素転写型感熱転写記録用の色素として、優れた性能を有する色素及びそれを使用した感熱転写シート、並びに感熱転写用インクを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するため種々検討した結果、チアゾールダイマーアゾ系色素により、記録濃度が高い紫色〜緑色の記録物が得られることを見出し本発明に到達した。即ち本発明の要旨は、下記一般式(I)
【0006】
【化2】
Figure 0003589132
【0007】
(式中、X及びYは各々独立して、水素原子または任意の置換基を表し、Arは置換基を有していても良い芳香環を表す。)で示される感熱転写用チアゾールダイマーアゾ系色素及びこれを用いた感熱転写用シート並びに感熱転写用インクに存する。
感熱転写用アゾ色素としてはモノチアゾール系の色素が既に知られているが、本発明の色素は、チアゾール環を2個有することにより、吸光度が高く、記録濃度が高く、感熱転写用色素として優れた性能を有している。
本発明色素は単独で用いると紫乃至緑色の高濃度の記録物が得られ、また、ブラック用色素の成分として用いた場合も、高濃度の転写記録物が得られる。
【0008】
【発明の実施の態様】
以下、本発明につき詳細に説明する。
前記一般式(I)で示される本発明の記録材料において、Xは好ましくはNRで示される基である。R及びRは、各々独立して水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、フェニル基又はシクロアルキル基を表す。あるいはR及びRはそれらが結合している窒素原子と一緒に複素5員環もしくは複素6員環を形成しても良い。R、Rが、アルキル基を示す場合、具体的には、エチル、i−プロピル、n−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル等の炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。アルケニル基を示す場合としては、具体的には、ビニル、アリル、プロペニル等の上記のアルキル基と同じ炭素数で少なくとも1つの2重結合を有するアルケニル基が挙げられる。これらアルキル基又はアルケニル基は置換基として炭素数1〜8のアルキル基若しくはアルコキシ基、ハロゲン原子、アシルオキシ基、ヒドロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、弗素置換アルキル基等を有していてもよい。
【0009】
置換アルキル基としては、置換アルキル基の全体の炭素数として、2〜25、中でも2〜20であるのがよく、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ置換アルキル基;ベンジル基、p−クロロベンジル基、2−フェニルエチル基等のフェニル置換アルキル基;2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−(n)プロポキシエチル基、2−(iso)プロポキシエチル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)エチル基、3−メトキシプロピル基、2−メトキシプロピル基、4−メトキシブチル基、3−メトキシブチル基、2,3−ジメトキシプロピル基、2,2−ジメトキシエチル基等のアルコキシ置換アルキル基;2−(2−メトキシエトキシ)エチル基、2−(2−エトキシエトキシ)エチル基、2−(2−(n)プロポキシエトキシ)エチル基、2−(2−(n)ブトキシエトキシ)エチル基、2−{2−(2−エチルヘキシルオキシ)エトキシ}エチル基等のアルコキシアルコキシ置換アルキル基;2−フェネチルオキシエチル基、2−ベンジルオキシエチル基等のアラルキルオキシ置換アルキル基;2−アセチルオキシエチル基、2−プロピオニルオキシエチル基、2−トリフルオロアセチルオキシエチル基等のアシルオキシ置換アルキル;2−メトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基等のアルコキシカルボニル置換アルキル基;フルフリル基、テトラヒドロフルフリル基等のヘテロ環置換アルキル基;2−アリルオキシエチル基等のアルケニルオキシ置換アルキル基;2−フェノキシエチル基、2−(p−クロロフェノキシ)エチル基等のアリールオキシ置換アルキル基等が挙げられる。
【0010】
、Rがシクロアルキル基を示す場合は、具体的にはシクロペンチル、シクロヘキシル等の炭素数5〜10のシクロアルキル基が挙げられ、これらのシクロアルキル基は炭素数6以下程度のアルキル基等の置換基を有していても良い。
、Rがフェニル基を示す場合としては、フェニル基或いは置換基として炭素数1〜8の直鎖状及び分岐鎖状のアルキル基;炭素数1〜8の直鎖状及び分岐鎖状のアルコキシ基;弗素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等のハロゲン原子;トリフルオロメチル基等の弗素原子により置換された炭素数1〜8のアルキル基等で置換されたフェニル基が挙げられる。
及びRはそれらが結合している窒素原子と一緒に複素環を形成する場合、具体的には、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環及びチオモルホリン環等が挙げられ、これらは更に置換されていても良い。
【0011】
、Rとして好ましくは、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基;ハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシ基、アシルオキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アリルオキシ基等で置換された炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基;テトラヒドロフリル基で置換された炭素数5〜10のアルキル基;アリル基;シクロヘキシル基;フェニル基;炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシ基、弗素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基等で置換されたフェニル基等が挙げられる。
【0012】
、Rが置換フェニル基である場合、置換基は1〜3個の範囲で任意の置換基が組み合わされていてもよい。
特に好ましい R、Rとしては、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、置換基としてアルコキシ基、ハロゲン原子、フェニル基、アシルオキシ基を有している炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基である。
【0013】
前記一般式(I)において、Yは好ましくはNRで示される基である。
及びRは、各々独立して水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、アルケニル基、フェニル基、シクロアルキル基、COR 基又はCOOR 基(R及びRは置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のフェニル基又はシクロアルキル基を表す。)を表す。
【0014】
〜Rが、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、フェニル基、置換フェニル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基を示す場合の具体例は、上記RあるいはRで例示したと同様の基が挙げられる。
、Rとして好ましくは、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状及び分岐鎖状のアルキル基;炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アリルオキシ基等で置換された炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基;テトラヒドロフリル基で置換された炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキルカルボニル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。特に好ましくは、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキルカルボニル基である。
【0015】
前記一般式(I)において、Arはジアゾ成分残基であって、置換されていても良いフェニル基、ナフチル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、イソチアゾリル基、ピラゾリル基、チアジアゾリル基、チエニル基、ベンゾチアゾリル基又はベンゾイソチアゾリル基を表す。
Arが置換されていても良いフェニル基を示す場合は、下記一般式(III)で示される基が好ましい。
【0016】
【化3】
Figure 0003589132
【0017】
(式中、R〜R11は水素原子、置換されていても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていても良いフェノキシ基、アルケニル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、COOR12基、CONR1314基、SO15基、SONR1617基、COR18基,SO19基、N=N−Ar’基又は−CH=C(A)B基を表す。但し、A及びBはシアノ基又はCOOR12基を表し、更にA,Bはそれらが結合している炭素原子と共同して芳香環を形成しても良い。Ar’は芳香環を表し、R13、R14、R16、R17、R18は水素原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いフェニル基を表し、R12、R15、R19は置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いフェニル基を表す。)。
好ましいフェニル基の置換基としては、R〜R11の1又は2個がニトロ基、アルコキシ基、−N=NAr’基、S015基、CONR1314基から選ばれる基であり、他が水素原子である。
Arが置換されていても良いナフタレン系ジアゾ成分残基である場合は、下記一般式(IV)で表される基が好ましい。
【0018】
【化4】
Figure 0003589132
【0019】
(式中、R20〜R25は水素原子、置換されていても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていても良いフェノキシ基、アルケニル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、COOR12基、CONR1314基、SO15基、SONR1617基、COR18基,SO19基又は−CH=C(A)B基を表す。但し、A及びBはシアノ基又はCOOR12基を表し、更にA,Bはそれらが結合している炭素原子と共同して芳香環を形成しても良い。R13、R14、R16、R17、R18は水素原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いフェニル基を表し、R12、R13、R19は置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いフェニル基を表す。)。
好ましいナフチル基の置換基としては水素原子あるいはニトロ基が挙げられる。
Arが置換されていても良いチアゾリル基を示す場合、下記一般式(V)で示される基が好ましい。
【0020】
【化5】
Figure 0003589132
【0021】
(式中、R26は水素原子、置換されていても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、ハロゲン原子を表し、R27は水素原子、ホルミル基、ニトロ基、COOR12基、SONR1617基又は−CH=C(A)B基を表す。但し、A及びBはシアノ基、COOR12基を表し、更にA,Bはそれらが結合している炭素原子と共同して芳香環を形成しても良い。R12は置換されていても良いアルキル基、置換されていてもよいフェニル基を表し、R16及びR17は水素原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いフェニル基を表す)。
好ましい置換基としては、水素原子、ニトロ基、ホルミル基、ハロゲン原子である。
Arが置換されていても良いイミダゾリル基を表わす場合は、下記一般式(VI)で示される基が好ましい。
【0022】
【化6】
Figure 0003589132
【0023】
(式中、R28は水素原子、置換されていても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基を表す)。
Arが置換されていても良いイソチアゾリル基を表す場合は、下記一般式(VII)で表される基が好ましい。
【0024】
【化7】
Figure 0003589132
【0025】
(式中、R29は水素原子、置換されていても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、ハロゲン原子を表す)。
Arが置換されていても良いピラゾリル基を表す場合は、下記一般式(VIII)で表される基が好ましい。
【0026】
【化8】
Figure 0003589132
【0027】
(式中、R30は水素原子、置換されていても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、ハロゲン原子を表し、R31は水素原子、置換されていても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基を表す)。
Arが置換されていても良いチアジアゾリル基を表す場合は、下記一般式(IX)で表される基が好ましい。
【0028】
【化9】
Figure 0003589132
【0029】
(式中、R32は水素原子、置換されていても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、ハロゲン原子、SR33基、SOR34基又はSO35を表す。但し、R33〜R35は置換されていても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す)。
32として好ましくはSO35基である。
Arが置換されていても良いチアジアゾリル基を示す場合は、下記一般式(X)
で表される基が好ましい。
【0030】
【化10】
Figure 0003589132
【0031】
(式中、R36は水素原子、置換されていても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、ハロゲン原子、SR33基、SOR34基又はSO35を表す。但し、R33〜R35は置換されていても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す)。
36として好ましくは置換されていても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基である。
Arが置換されていても良いチエニル基を示す場合は、下記一般式(XI)
で表される基が好ましい。
【0032】
【化11】
Figure 0003589132
【0033】
(式中、R37は水素原子、置換されていても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、COOR40基、COR41基を表し、R38は水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し、R39は水素原子、置換されていても良い直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、COOR40基、COR41基、ホルミル基又は−CH=C(A)B基を表す。但し、A及びBはシアノ基又はCOOR40基を表し、更にA,Bはそれらが結合している炭素原子と共同して芳香環を形成しても良い。R40、R41は置換されていても良い直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換されていても良いフェニル基をを表す)。
Arが置換されていても良いベンゾチアゾリル基を示す場合は、下記一般式(XII)で表される基が好ましい。
【0034】
【化12】
Figure 0003589132
【0035】
(式中、R42〜R45は水素原子、置換されていても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、COOR40基、COR41基を表す。但し、R40、R41は置換されていても良い直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換されていても良いフェニル基をを表す)。
好ましくはR42からR45の少なくとも1つがハロゲン原子で他が水素原子である。
Arが置換されていても良いベンゾイソチアゾリル基を示す場合は、下記一般式(XIII)で表される基が好ましい。
【0036】
【化13】
Figure 0003589132
【0037】
(式中、R46〜R49は水素原子、置換されていても良い直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、COOR40基、COR41基を表す。但し、R40、R41は置換されていても良い直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換されていても良いフェニル基をを表す)。
【0038】
前記一般式(I)で示されるジアゾールダイマーアゾ系色素は、例えば、ArNH(式中Arは一般式(1)と同じ意味を有す。)で示される芳香族アミンを常法に従ってジアゾ化し、下記一般式(II)で示されるチアゾールダイマー
【0039】
【化14】
Figure 0003589132
【0040】
(式中、X,Yは一般式(I)と同じ意味を有す。)と常法によりカップリング反応させることにより得られる。
前記一般式(I)で示される本発明の感熱転写用色素の具体例を下記表−1に示すが、本発明は表−1の色素に限定されるものではない。
【0041】
【表1】
Figure 0003589132
【0042】
【表2】
Figure 0003589132
【0043】
【表3】
Figure 0003589132
【0044】
【表4】
Figure 0003589132
【0045】
本発明の感熱転写シートは、色材層に前記一般式(I)で表される色素を含有するものである。また、前記一般式(I)で示される色素を他の構造の色素と併用してもよい。
本発明の感熱転写シートに上記の色素を用いて色材層を形成する場合、その方法は特に限定されないが、通常、色素を結着剤とともに媒体中に溶解あるいは微粒子状に分散させることによりインクを調製し、該インクを基材としてベースフィルムに塗布、乾燥することにより感熱転写シートを作製することができる。
【0046】
インクの調製のための結着剤としては、セルロース系、アクリル酸系、澱粉系、エポキシ系などの水溶性樹脂及びアクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボオネート、ポリエーテルスルホン、ポリビニルブチラール、エチルセルロース、アセチルセルロース、ポリエステル、AS樹脂、フェノキシ樹脂などの有機溶剤に可溶性の樹脂をあげることができる。インク中の結着剤と色素の使用比率は重量比で、1:2〜2:1の範囲が適当である。
【0047】
インク調製のための媒体としては水の他に、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレンなどの塩素系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどの有機溶剤をあげることができる。
インク中には上記の成分の他に、必要に応じて有機、無機の非昇華性微粒子、分散剤、帯電防止剤、消泡剤、酸化防止剤、粘度調製剤などを添加することができる。
【0048】
転写シート作成のためのインクを塗布する基材(ベースフィルム)としては、コンデンサー紙、グラシン紙のような薄葉紙、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミドのような耐熱性の良好なプラスチックのフィルムが挙げられる。ベースフィルムの厚さとしては通常3〜50μmの範囲が使用できる。
【0049】
ベースフィルムのうちポリエチレンテレフタレートフィルムが機械的強度、耐溶剤性、経済性などを考慮すると特に有利である。しかし、場合によってはポリエチレンテレフタレートフィルムは必ずしも耐熱性が十分でなく、サーマルヘッドの走行性が不十分であるので色材層の反対面に潤滑剤、滑性の高い耐熱性微粒子、界面活性剤及び結着剤などを含む耐熱性樹脂層を設けることにより、サーマルヘッドの走行性を改良したものを用いることができる。このうち、潤滑剤としては、たとえばアミノ変性シリコーン化合物、カルボキシ変性シリコーン化合物等が挙げられ、耐熱性微粒子としては、シリカ等の微粒子、結着剤としてはアクリル系樹脂等が挙げられる。
【0050】
インクをベースフィルムに塗布する方法としては、グラビアコーター、リバースロールコーター、ロッドコーター、エアドクタコーター等を使用して実施することができ、インクは色材層の厚さが乾燥後0.1〜5μmの範囲となるように塗布すればよい。
更に、本発明の感熱転写シートは加熱手段としてサーマルヘッドのみならず赤外線、レーザー光なども利用することができる。また、ベースフィルムそのものに電気を流すことによって発熱する通電発熱フィルムを用いて、通電型染料転写シートとして用いることができる。
【0051】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例により限定されるものではない。なお、色素のNo.は表ー1の色素No.に対応する。
【0052】
実施例1
a)色素No.3の合成
4−(トリフルオロメチルスルホニル)アニリン(337.5mg,1.5mmol)のジメチルホルムアミド溶液(5ml)に、亜硝酸ナトリウム(103.5mg,1.5mmol)と濃硫酸(0.5ml)を加え、0℃で3時間攪拌してジアゾニウム塩を得た。この混合物に4−アミノ−2−ジエチルアミノ−5−[2−(ジエチルアミノ)−5−チアゾール−4−イル]チアゾール(487.5mg,1.5mmol)を加え、室温で一晩攪拌してカップリング反応させた。反応終了後、反応混合物を水に注ぎ、中和した後、生成物をジクロロメタン(200ml×2)で抽出した。抽出液を集め、溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開剤:酢酸エチル)で目的化合物を単離し、クロロホルム−ヘキサン混合溶液から再結晶した。(収率 30%)融点:218−220℃
【0053】
Figure 0003589132
このものの塩化メチレン中で測定した吸収スペクトルの最大吸収波長(λmax)、モル吸光係数(ε)及び第二吸収波長(λmax’)、吸光係数(ε’)を表−2に示した。
【0054】
Figure 0003589132
上記組成の混合物を超音波洗浄機で30分間処理し、インクの調製を行った。
【0055】
c)感熱転写シートの作成
上記のインクをワイヤバーを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム(6μm厚)上に塗布、乾燥(乾燥膜厚約1μm)した後、ポリエチレンテレフタレートフィルム背面にアクリル樹脂(商品名:BRー80;三菱レイヨン株式会社製品)10重量部、アミノ変性シリコーンオイル(商品名:KF393;信越化学工業株式会社製品)1重量部、トルエン89重量部からなる液を塗布、乾燥(乾燥膜厚約1μm)することにより感熱転写シートを得た。
【0056】
d)受像シートの作成
ポリビニルフェニルアセタール樹脂70重量部、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合体樹脂(商品名:エスレックA;積水化学工業株式会社製品)30重量部、シリコーンワニス(商品名:TSRー160 固形分濃度60%;東芝シリコーン株式会社製品)30重量部、ヘキサメチレンジアミンイソシアネート化合物(商品名:マイテックNYー710A,固形分濃度75%;三菱化学株式会社製品)15重量部、アミノ変性シリコーン(製品名:KFー393;信越化学工業株式会社製品)2.5重量部、メチルエチルケトン600重量部、トルエン600重量部からなる液を合成紙(製品名:ユポFPG150;王子油化株式会社製品)にワイヤーバーで塗布、乾燥し(乾燥膜厚約5μm)、更にオーブン中で80℃で30分間処理することにより受像シートを作製した。
【0057】
e)転写記録
上記の感熱転写シートのインク塗布面を受像シートと重ね、サーマルヘッドを用いて下記条件で記録し、表−2に示す色濃度の記録物を得た。
記録条件
主走査、副走査の記録密度 : 6ドット/mm
記録電力 : 0.21W/ドット
通電時間 : 12ミリ秒
なお、色濃度はマクベス社製デンシトメーターTR−927型を用いて測定した。
【0058】
実施例2
No.3の色素の代わりにNo.4の色素を用いた他は実施例1と同様の合成、転写記録試験をした結果、表−2に示す色濃度の記録物を得た。
実施例3
No.3の色素の代わりにNo.6の色素を用いた他は実施例1と同様の合成、転写記録試験をした結果、表−2に示す色濃度の記録物を得た。
【0059】
【表5】
Figure 0003589132
【0060】
実施例4
実施例1で用いたインクのかわりに下記方法で調製したインクを用いて、実施例1と同様の方法により転写シートを作製し、受像シートの作製及び転写記録、耐光性試験、色移り性試験、感熱転写シート保存安定性試験を行った結果、均一な色濃度の記録を得ることができた。また得られた記録物の耐光性が良好で、色移りが少なく、感熱転写シート保存安定性及び記録物の暗所保存安定性はいずれも良好であった。
Figure 0003589132
【0061】
【発明の効果】
本発明の感熱転写シートを用いた場合、低エネルギーで濃度の高い紫〜緑色の記録物を得ることができ、更にブラック用転写シート用の成分として用いた場合高濃度の転写記録物を得ることが可能である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 0003589132
    (式中、X及びYは各々独立して、水素原子または任意の置換基を表し、Arは置換基を有していても良い芳香環を表す。)で示される感熱転写用チアゾールダイマーアゾ系色素。
  2. 一般式(I)においてXがNR基(R及びRは、各々独立して水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、フェニル基又はシクロアルキル基を表す。あるいはR及びRはそれらが結合している窒素原子と一緒に複素5員環もしくは複素6員環を形成しても良い。)であり、YがNR基{R及びRは、各々独立して水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、アルケニル基、フェニル基、シクロアルキル基、COR 基又はCOOR 基(R及びRは置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のフェニル基又はシクロアルキル基を表す。)を表す。}である請求項1記載の感熱転写用チアゾールダイマーアゾ系色素。
  3. 及びRが、各々独立して置換されていても良いアルキル基であり、R及びRが、各々独立して水素原子あるいはアシル基であることを特徴とする請求項2記載の感熱転写用チアゾールダイマーアゾ系色素。
  4. 一般式(I)においてArがジアゾ成分残基であって、置換されていても良いフェニル基、ナフチル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、イソチアゾリル基、ピラゾリル基、チアジアゾリル基、チエニル基、ベンゾチアゾリル基又はベンゾイソチアゾリル基から選ばれる基である請求項1乃至3の何れかに記載の感熱転写用チアゾールダイマーアゾ系色素。
  5. 基材上に請求項1乃至4の何れかに記載のチアゾールダイマーアゾ系色素の少なくとも1種及び結着剤を含む色材層を有することを特徴とする感熱転写用シート。
  6. 請求項1乃至4の何れかに記載のチアゾールダイマーアゾ系色素の少なくとも1種及び有機溶剤を含有することを特徴とする感熱転写用インク。
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