JP3588171B2 - 連続紙搬送機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続紙印刷装置に係り、特に連続紙を安定に搬送する連続紙搬送機構に関する。
【0002】
近年の電子写真式連続紙印刷装置の高速化、省スペース化に伴い印字品質においても高品質が要求されている。このため、紙送りトラクタにより連続紙を送り、これをスカッフローラで引っ張る紙送り機構を有し、紙送りトラクタとスカッフローラとの間に設けられた転写部で感光体上に形成したトナー像を転写ガイドにより連続紙に密着させて転写し、定着器に定着させる印刷装置が提供されている。
【0003】
この印刷装置における連続紙搬送過程において、転写ガイドの感光体への密着と分離動作に伴う連続紙の弛み現象は、用紙ジャムや感光体表面に連続紙が接触して用紙汚れの原因となるため、弛み防止手段の開発が望まれている。
【0004】
【従来の技術】
図5は従来の連続紙搬送機構の模式配置図の一例を示す。なお、構成,動作の説明を理解し易くするために、以下全図を通じて同一部分には同一符号を付してその重複説明を省略する。
【0005】
図5において、1は連続紙であって、ホッパ2から上流紙送り手段としての紙送りトラクタ3により搬送方向に引き出される。4はトナー像を形成する感光ドラムであって、その表面はトナー像を吸引するための静電気が印加されているため、連続紙1もその静電気により吸引力を受け、感光ドラム4の回転に伴い、連続紙1は搬送方向への荷重力を受ける。その感光ドラム4の下流側にも下流紙送り手段としてのスカッフローラ7が設けられている。
【0006】
連続紙1は感光ドラム4と転写部5との間に送り込まれ、転写部5で感光ドラム4の表面に形成されたトナー像が連続紙1に転写された後、定着部6に送り込まれ、スカッフローラ7に導かれてスタッカ8に回収され、ストレートな用紙搬送経路を構成している。
【0007】
9は図示しない上位の制御装置によって前記各構成を制御するための電源等を含む制御部、10は前記各部を収納するロッカ、11はホッパ2を格納するための扉を示す。
【0008】
図6は従来の印刷工程図を示し、この図に基づき印刷プロセスの概要を説明する。連続紙1の印刷工程は図示するように帯電工程▲1▼→露光工程▲2▼→現像工程▲3▼→転写工程▲4▼→定着工程▲5▼と転写工程▲4▼から分かれるクリーニング工程▲6▼→除電工程▲7▼の各工程からなる。
【0009】
帯電工程▲1▼では、感光ドラム4表面は前帯電器41により一様にプラス電荷に帯電される。露光工程▲2▼ではビデオ信号に対応した半導体レーザ光42が照射される。この時感光ドラム表面の電荷はレーザ光が照射された部分のみ除電され、感光ドラム面上に文字パターンの静電潜像が形成される。
【0010】
現像工程▲3▼では静電潜像は、現像マグネットローラ43から供給される黒色樹脂粉のトナーによって可視像化される。転写工程▲4▼で、可視像化されたトナー像は用紙搬送部で転写/AC分離帯電器44により連続紙1にマイナス電荷が印加されるため、静電潜像は連続紙1上に転写される。
【0011】
定着工程▲5▼では、定着器61にて連続紙1に溶融定着され印刷が完了する。クリーニング工程▲6▼では、連続紙1に転写されず感光ドラム4に残留したトナーは、ファーブラシ45で除去し、更にクリーニングブレード46で掻き落とされ、クリーナユニット47内部の図示しない排トナーボトルへ回収される。除電工程▲7▼では除電ランプ48によって、感光ドラム4表面の残留電荷を取り除く。
【0012】
通常の連続紙用画像形成装置は、図5において紙送りトラクタ3やスカッフローラ7を駆動する搬送モータの特性上、一定速度に立ち上げたり、一定速度から停止させるためには、ある時間が必要である。このため、ある長さ(例えば0.5インチ)連続紙1を搬送する間に一定速度まで立ち上げ、停止時にはある長さ(例えば0.5インチ)連続紙1を搬送した時点で停止する制御を行い、スタート・ストップでの長さのずれ(この例の場合は合計1インチ)を無くすために、ストップ時に1インチの長さ連続紙1をバックさせることにより連続的に印刷するように制御するのが普通である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、連続紙1は紙送りトラクタ3とスカッフローラ7の機構により搬送されるものであるが、連続紙1と感光ドラム4の電気的な結合により、連続紙1が紙送りトラクタ3よりも感光ドラム4によって拘束、搬送され最悪の場合、連続紙1が紙送りトラクタ3のピンから外れる現象が見られた。
【0014】
この連続紙1と感光ドラム4の電気的な結合による用紙外れの対策として、紙送りトラクタ3よりホッパ2側で連続紙1に負荷(バックテンション)を与えることにより用紙外れを防止できることが判明した。しかし、このバックテンションを追加することにより印刷起動時、紙送りトラクタ3にて連続紙1を1インチ逆送りする際に発生する連続紙1の弛みの部分が搬送経路にフィットした時、連続紙1の張りによる振動が転写部5まで伝わり、感光ドラム4から連続紙1に転写された印字データに「にじみ」が発生する問題点があった。
【0015】
本発明の目的は、連続紙の用紙はずれを防止し、且つ、印刷開始時の転写にじみの発生を防止することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の問題は、紙送りトラクタの逆転時における紙送りトラクタより上流側の連続紙に発生する用紙弛みを吸収することによって解決できる。
【0017】
請求項1は図1に示すように、ホッパ2から連続紙1を感光ドラムの方へ搬送する紙送りトラクタ3を具備してなる連続紙搬送機構において、紙送りトラクタ3の上流側で連続紙1の紙面を挟み付けて前記搬送方向に制動する用紙制動部材21と、その用紙制動部材21と紙送りトラクタ3との間に、連続紙1の弛みを吸収するバッファ手段22とを設けて構成する。
【0018】
用紙制動部材21は、搬送される連続紙1が紙送りトラクタ3の停止する場合等において、慣性により余分に搬送されることに制動をかける作用をするものであり、バッファ手段22は紙送りトラクタ3の逆転時に紙送りトラクタ3と用紙制動部材21との間に発生する連続紙1の弛みに対し、張りを持たせながら押し出すことにより自動的に吸収するものである。
【0019】
請求項2は図3の第3実施例の模式側面図に示すように、図示しないホッパから連続紙1を感光ドラムの方へ搬送する紙送りトラクタ3を具備してなる連続紙搬送機構において、紙送りトラクタ3の直近に設けられたガイド板12a上を搬送される連続紙1によって従動回転する押さえローラ24を設けて構成する。
【0020】
この押さえローラ24は、紙送りトラクタ3の直近に設けられたガイド板12a上に連続紙1を挟んで設けられているため、紙送りトラクタ3の逆転時に紙送りトラクタ3から排出された直後の連続紙1を押さえ付けて従動回転するため、弛みの発生するスペースがない利点がある。
【0021】
請求項3は図4の第4実施例の模式側面図に示すように、ホッパ2から連続紙1を感光ドラムの方へ搬送する紙送りトラクタ3を具備してなる連続紙搬送機構において、紙送りトラクタ3の上流側で連続紙と接触し、紙送りトラクタ3の逆転時に同期して連続紙1を逆送方向に搬送するように駆動される逆送ローラ26を設けて構成する。
【0022】
この逆送ローラ26は、紙送りトラクタ3の逆転時にのみ同期して駆動されるために、紙送りトラクタ3の逆転時に発生する連続紙の弛みを自動的に吸収できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
図1は本発明の第1実施例の模式側面図であって、図1(a)は紙送りトラクタの逆搬送時、図1(b)は紙送りトラクタの正常搬送時における連続紙の経路を示す図である。両図において、9aは図5における制御部9の扉側に対面する側壁、11aは扉11の裏側に設けられたカバー、12は連続紙1を紙送りトラクタ3に搬送方向を換えながら案内する湾曲ガイド部であって、12aは紙送りトラクタ3の入口側直近に設けられたガイド板を示す。
【0024】
13は連続紙1の除塵ブラシ、14はホッパ2から引き出される連続紙1の案内板であって、本発明の作用とは直接関係がないので、以下記載を省略する。
21は用紙制動部材であって、連続紙1の紙面を搬送方向と直交する方向にばね圧を利用して挟み付ける固定側の摺動板21aと、制動用板ばね21bと、制動用板ばね21bを扉に固定する板ばね固定部21cとから構成されている。
【0025】
制動用板ばね21bは、板ばね固定部21cを支点として矢印P方向に付勢されて固定側の摺動板21aとの間に連続紙1を挟む。これにより連続紙1は用紙制動部材21を通過時に摩擦による制動力を受けて紙送りトラクタ3が正常搬送方向の駆動を停止した時に、慣性による連続紙1の余分な送出を停止する。なお、連続紙1を制動する機能は扉11を開くことにより解除される。この構成の取付けは扉側と側壁側とが逆になっても効果は同じである。
【0026】
カバー11aは制動用板ばね21bの機構に連続紙1の流れが制動以外に妨害されないように設けたものであって、摺動板21aと制動用板ばね21bとが連続紙1を挟む部分の制動用板ばね21bが、カバー11aを通過可能にする窓11bが設けられている。制動用板ばね21bの連続紙1と接触する部分を櫛状に分割し、分割した接触部分が通過できるように窓11bも分割して設けた方が好ましい。
【0027】
22は連続紙1の弛みを吸収するバッファ手段であって、用紙制動部材21と紙送りトラクタ3との間に設けられ、連続紙1の紙面に常時接触して矢印Q方向に押し出すように付勢するばね部材22aと、そのばね部材22aを側壁9aに固定する基端部22bと、ばね部材22aの押出し範囲を規制するストッパ22cとから構成されている。
【0028】
第1図(b)に示すように、連続紙1は紙送りトラクタ3が正常方向に搬送している時は、紙送りトラクタ3の駆動によりホッパ2から引上げられた連続紙1は、用紙制動部材21で挟まれて制動を受けながら紙送りトラクタ3に引上げられるため、紙送りトラクタ3の上流側の連続紙1にはテンションがかかる。従って、連続紙1は図示するようにばね部材22aの付勢力に抗して図示するように押さえ付けられながら湾曲ガイド部12に沿って紙送りトラクタ3に引き込まれる。
【0029】
第1図(a)に示すように、紙送りトラクタ3が逆搬送している時は、連続紙1の途中が用紙制動部材21にて挟まれているため、紙送りトラクタ3から逆送された連続紙1に弛み( 約1インチ相当量)が発生するが、その弛み量に対応してばね部材22aが連続紙1を図示するように押し出すため、弛みは自動的に吸収される。従って、紙送りトラクタ3の上流側の連続紙1のテンションは、紙送りトラクタ3の逆搬送にかかわらず持続できる。
【0030】
図2は本発明の第2実施例の模式側面図であって、図2(a)は紙送りトラクタの逆搬送時、図2(b)は紙送りトラクタの正常搬送時における連続紙の経路を示す図である。両図においてばね部材22aが、紙送りトラクタの入口側に直近して連続紙1の搬送方向を変えるための湾曲ガイド部12の湾曲部分に設けられており、図1とはばね部材22aの設置場所が異なるだけである。
【0031】
この湾曲部分にばね部材22aが矢印R方向付勢されて連続紙1を押し出すために、図1における制動用板ばね21bが窓11bを通してカバー11aを通過する機構と同様に、湾曲ガイド部12の湾曲部分にばね部材22aの用紙押出し部分が通過できる窓12bが設けられている。
【0032】
この窓12bは、図1における窓11bと同様に、ばね部材22aの用紙押出し部分を櫛状に分割し、その分割した用紙押出し部分が、夫々湾曲部分を通過できるように窓12bも分割して設けることが好ましい。
【0033】
湾曲ガイド部12の湾曲部分は、紙送りトラクタ3の逆転時に連続紙1の弛みが最初に発生する場所であるため、ここに発生する弛みをばね部材22aによりいち早く自動的に押し出して吸収することが効果的である。
【0034】
ばね部材22aが紙送りトラクタ3の逆搬送時に発生する連続紙1の弛みを押し出して吸収する作用は、図1における作用説明と全く同様であるため、説明を省略する。
【0035】
図3は本発明の第3実施例の模式側面図を示す。図において、24は紙送りトラクタ3の直近に設けられたガイド板12a上を搬送される連続紙1によって従動回転する押さえローラ24であって、扉11に上下移動自在に設けられたスライド機構24bのスライド側に取付けられた軸支部材24aに連続紙1の搬送方向と直交する方向に軸支されており、扉11を閉じた際に自重によって連続紙1の紙面に接触する構造になっている。
【0036】
従って、連続紙1が移動すれば、その移動方向に従動回転して紙送りトラクタ3の入口側に直近する位置において、常時連続紙1をガイド板12a上に押さえ付ける機能を有する。
【0037】
連続紙1が正常方向に搬送される時は、紙送りトラクタ3の入口側の直近において、図1の用紙制動部材21と同じ機能を果たすと共に、連続紙1が紙送りトラクタ3により逆搬送される時は、弛みを発生させることなく、連続紙1を逆送り方向に従動回転により送り出す機能を有する。弛みが発生しない理由は、紙送りトラクタ3の入口側の上部に設けられたカバー3aが連続紙1の折れ曲がりを抑制するからである。
【0038】
図4は本発明の第4実施例の模式側面図であって、図4(a)は紙送りトラクタの逆搬送時、図4(b)は紙送りトラクタの正常搬送時における連続紙の経路を示す図である。
【0039】
両図において、26は逆送ローラであって、扉11に固定された支持部材26bと、その支持部材26bが軸支する軸26aと、その軸に一体的に構成され、扉11を閉じた際に対向する側壁9aとの間に連続紙1を搬送方向と直交する方向に接触するように設けた逆送ローラ26と、その軸26aを紙送りトラクタ3の逆転時に同期して連続紙1を逆送方向に搬送するように回転駆動する図示しないモータ等から構成されている。
【0040】
この逆送ローラは、紙送りトラクタ3の逆転時にのみ同期して駆動されるために、紙送りトラクタ3の逆転時に発生する連続紙の弛みを自動的に吸収できる。紙送りトラクタ3の正常方向搬送時には逆送ローラ26は、クラッチ等の作用により連続紙1の正常搬送方向に従動回転するため、図1の用紙制動部材21と同じ機能を果たす。
【0041】
以上の説明において、図1から図5までを参照して、紙送りトラクタ3の逆転時における連続紙1の弛みをより確実に吸収するための手段として、図4 に記載された逆送ローラ26を、図1の用紙制動部材21に換えて設けることが好ましい。これにより図1のバッファ手段22、即ちばね部材22aで吸収しきれない連続紙1の弛みが発生した場合でも、逆送ローラ26で自動的に吸収することができる。
【0042】
また、図3に記載された押さえローラ24と図4に記載された逆送ローラ26とを組み合わせ、押さえローラ24の作用で吸収しきれなかった連続紙1の弛みが発生した場合でも、組合せた逆送ローラ26で自動的に吸収することが好ましい。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明の連続紙搬送機構によれば、連続紙の搬送距離調節のために実施される紙送りトラクタの逆搬送処理の際に発生する連続紙の弛みを、完全に吸収し得る効果があり、これにより用紙はずれを防止し、且つ、印刷開始時の転写にじみの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の模式側面図
【図2】本発明の第2実施例の模式側面図
【図3】本発明の第3実施例の模式側面図
【図4】本発明の第4実施例の模式側面図
【図5】従来の連続紙搬送機構の模式配置図
【図6】従来の印刷工程図
【符号の説明】
1 連続紙
2 ホッパ
3 紙送りトラクタ
4 感光ドラム
11 扉
12 湾曲ガイド部
12a ガイド板
21 用紙制動部材
22 バッファ手段
22a ばね部材
24 押さえローラ
26 逆送ローラ
Claims (3)
- 紙送りトラクタの上流側で連続紙の紙面を挟み付けて搬送方向に制動する用紙制動部材と、
前記用紙制動部材と前記紙送りトラクタとの間に設けられ、前記紙送りトラクタの逆転時に前記紙送りトラクタと前記用紙制動手段との間に発生する前記連続紙の弛みを吸収するバッファ手段とを具備してなることを特徴とする連続紙搬送機構。 - ホッパから連続紙を感光ドラムの方へ搬送する紙送りトラクタを具備してなる連続紙搬送機構において、
前記紙送りトラクタの入口側の直近する位置に設けられ、前記紙送りトラクタの直近に設けられたガイド板上を前記紙送りトラクタの正常搬送時および逆転時に搬送される連続紙によって従動回転する押さえローラを備えたことを特徴とする連続紙搬送機構。 - ホッパから連続紙を感光ドラムの方へ搬送する紙送りトラクタを具備してなる連続紙搬送機構において、
前記紙送りトラクタの上流側で前記連続紙と接触して前記紙送りトラクタの正常方向搬送時には前記連続紙の正常搬送方向に従動回転し、前記紙送りトラクタの逆転時に同期して前記連続紙を逆送方向に搬送するように駆動される逆送ローラが設けられているものであることを特徴とする連続紙搬送機構。
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Cited By (1)
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-
1995
- 1995-09-20 JP JP24215495A patent/JP3588171B2/ja not_active Expired - Fee Related
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