JP3587366B2 - カバー壁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は目地部を介して配置された左右の躯体の壁面に、連絡通路を形成するために形成された開口部間の外周部を防水シートや耐火材で防水あるいは耐火可能に覆うカバー壁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、連絡通路の外周部を耐火材で覆うカバー壁は、上下部の耐火材をU字状となるように両側部を左右の躯体の目地部側の開口部の上下部の壁面に固定的に取付けるとともに、両側の耐火材を上下部が前記上下部の耐火材と当接してU字状となるように両側部を左右の躯体の目地部側の開口部の両側部の壁面に固定的に取付けている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のカバー壁は上下部と両側部に配置する耐火材をU字状となるように取付けているので、地震等による左右方向の異なる揺れ動きや小さな異なる前後方向の揺れ動きを吸収することができるが、免震構造の建物のように目地部の寸法が大きく、異なる前後左右方向の揺れ動きが大きい場合には、その揺れ動きを吸収することができず、損傷してしまうという欠点があった。
また、上下部の耐火材と両側部の耐火材との接続部の耐火シールを確実に行なうことができないという欠点があった。
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、左右の躯体が異なる前後方向および左右方向に揺れ動いても、その揺れ動きに追従して損傷することなく、確実に開口部間の目地部を耐火あるいは防水可能に覆うことができるカバー壁を提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は目地部を介して配置された左右の躯体の壁面に連絡通路を形成するために形成された開口部の一方の躯体の開口部の目地部側外周部の壁面に前後方向にスライド移動可能に取付けられたスライド枠と、このスライド枠の上下部位のバー部材に一端部が枢支され、他端部が前記他方の躯体の開口部の目地部側外周部の上下部位の壁面に枢支されたほぼ中央部が内側あるいは外側のいずれか一方に突出するように枢支されたリンクを用いた上下部カバー材支持機構と、前記スライド枠の両側部位のバー部材に一端部が枢支され、他端部が前記他方の躯体の開口部の目地部側外周部の両側部位の壁面に枢支されたほぼ中央部が内側あるいは外側のいずれか一方に突出するように枢支されたリンクを用いた側部カバー材支持機構と、この側部カバー材支持機構および前記上下カバー材支持機構の伸縮が可能に、該カバー材支持機構に沿うようにあるいはW、逆W状になるように固定され、両側部が一方の躯体の目地部側壁面と他方の躯体の目地部側壁面に接触状態で前記スライド枠の移動を可能に取付けられた筒状の防水シート、耐火材等のカバー材とでカバー壁を構成している。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態により、本発明を詳細に説明する。
【0008】
図1ないし図11に示す本発明の第1の実施の形態において、1は目地部2を介して配置された、例えば建物とエレベーターシャフト等の左右の躯体3、3の壁面3a、3aに連絡通路4を形成するために形成された開口部5、5間の外周部を耐火可能に覆う本発明のカバー壁で、このカバー壁1は前記一方の躯体3の開口部5の目地部側外周部の壁面3aに前後方向にスライド移動可能に、支持金具6、6によって取付けられたスライド枠7と、このスライド枠7の上下部位のバー部材7a、7aに一端部が枢支されるように取付けられ、他端部が前記他方の躯体3の開口部5の目地部側外周部の上下部位の壁面3aに枢支されるように取付けられた、ほぼ中央部が内側に突出するように枢支ピン8で枢支されたバー部材を用いたヒンジ状のリンク、本発明の実施の形態では3個のリンク9、9、9を用いた上下部カバー材支持機構10、10と、前記スライド枠7の両側部位のバー部材7b、7bに一端部が枢支されるように取付けられ、他端部が前記他方の躯体3の開口部5の目地部側外周部の両側部の壁面3bに枢支されるように取付けられた、ほぼ中央部が外側に突出するコ字状のリンク部材11を介装したヒンジ部材状のリンクを用いた側部カバー材支持機構12、12と、この側部カバー材支持機構12、12および前記上下部カバー材支持機構10、10の伸縮が可能に、該カバー材支持機構12、12、10、10の内側部位に沿うように複数個のビス13等によって固定され、両側部が一方の躯体3の目地部側壁面3bあるいは前記スライド枠7と他方の躯体3の目地部側壁面3bに接触状態で、前記スライド枠7の移動を可能に取付けられた筒状のカバー材14とで構成されている。
【0009】
前記スライド枠7は図5に示すように、角パイプ材を用いて枠状に形成されたものが使用され、該スライド枠7の上下部位のバー部材7a、7aの両側部を除く部位を複数本のビス15等によって壁面3bに固定されたクランク状の支持金具6、6によってスライド移動可能に支持させている。
【0010】
前記筒状のカバー部材14は図8に示すように、コーナー部が一体となるように直角に折り曲げられたほぼ4分の1の長さの4個のカバーシート16、16、16、16の接続部の一方の内部のロックウール等の充填材17を除去して、両面の耐火シート18、18だけが重なり合うようにして筒状となるように位置させ、複数本のビス15等により接続部を固定したものが使用されている。
【0011】
上記構成のカバー壁1は、地震等によって左右の躯体3、3が異なる左右方向に揺れ動いた場合には、図9および図10に示すように上下部カバー材支持機構10、10および側部カバー材支持機構12、12が伸縮するとともに、これらに固定された筒状のカバー材14も伸縮して、その揺れ動きを吸収する。
【0012】
左右の躯体3、3が異なる前後方向に揺れ動いた場合には、図11に示すようにスライド枠7が前後方向にスライド移動して、その揺れ動きを吸収する。
【0013】
【発明の異なる実施の形態】
次に、図12ないし図26に示す本発明の異なる実施の形態につき説明する。なお、これらの本発明の異なる実施の形態の説明に当って、前記本発明の第1の実施の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0014】
図12ないし図14に示す本発明の第2の実施の形態において、前記本発明の第1の実施の形態と主に異なる点は、上下部カバー材支持機構10、10の中央部を外方へ突出させるとともに、側部カバー材支持機構12、12の中央部を内方へ突出させ、これらのカバー材支持機構10、10、12、12の外側部位に沿うように複数個のビス13等によって固定した点で、このように構成したカバー壁1Aにしても前記本発明の第1の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
【0015】
図15ないし図17に示す本発明の第3の実施の形態において、前記本発明の第1の実施の形態と主に異なる点は、リンク部材9a、9aのほぼ中央部に山形状の中央支持リンク19を枢支した上部カバー材支持機構10Aと、四角枠形状のリンク20、20、このリンク20、20の対向するバー部材20a、20a、20a、20aのほぼ中央部に、枢支ピン21、21、21、21で枢支された中央バー22、22とからなる2対の中央維持リンク機構23、23、23、23、この2対の中央維持リンク機構23、23、23、23の上下部に位置する中央維持リンク機構23、23、23、23の中央バー22、22、22、22の中央部に枢支ピン24、24、24、24で枢支された一対の中央維持バー25、25とからなる側部カバー材支持機構12A、12Aと、この側部カバー材支持機構12A、12A、前記上部カバー材支持機構10Aおよび下部カバー材支持機構10の外側部位にWや逆W状となるように折りたたまれた筒状のカバー材14Aを複数個のビス13あるいは取付け紐26で取付けた点で、このように構成したカバー壁1Bにしても、前記本発明の第1の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
【0016】
図18ないし図20に示す本発明の第4の実施の形態において、前記本発明の第3の実施の形態と主に異なる点は、上下部カバー材支持機構10A、10を用いて筒状のカバー材14Aを内側部位に取付けた点で、このように構成したカバー壁1Cにしても前記本発明の第3の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
【0017】
図21ないし図23に示す本発明の第5の実施の形態において、前記本発明の第3の実施の形態と主に異なる点は、四角枠が2個のパンタグラフ形状の中央維持リンク機構23A、23A、23A、23Aを用いた側部カバー材支持機構12B、12Bを用いた点で、このような側部カバー材支持機構12B、12Bを用いて構成したカバー壁1Dにしても、前記本発明の第3の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
【0018】
図24ないし図26に示す本発明の第6の実施の形態において、前記本発明の第3の実施の形態と主に異なる点は、ゴムまたは防水シートを用いた筒状のカバー材14Bを用いた点で、このようなカバー材14Bを用いて構成したカバー壁1Eは渡り通路等に使用することができる。
【0019】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0020】
(1)目地部を介して配置された左右の躯体の壁面に連絡通路を形成するために形成された開口部の一方の躯体の開口部の目地部側外周部の壁面に前後方向にスライド移動可能に取付けられたスライド枠と、このスライド枠の上下部位のバー部材に一端部が枢支され、他端部が前記他方の躯体の開口部の目地部側外周部の上下部位の壁面に枢支されたほぼ中央部が内側あるいは外側のいずれか一方に突出するように枢支されたリンクを用いた上下部カバー材支持機構と、前記スライド枠の両側部位のバー部材に一端部が枢支され、他端部が前記他方の躯体の開口部の目地部側外周部の両側部位の壁面に枢支されたほぼ中央部が内側あるいは外側のいずれか一方に突出するように枢支されたリンクを用いた側部カバー材支持機構と、この側部カバー材支持機構および前記上下カバー材支持機構の伸縮が可能に、該カバー材支持機構に沿うようにあるいはW、逆W状になるように固定され、両側部が一方の躯体の目地部側壁面と他方の躯体の目地部側壁面に接触状態で前記スライド枠の移動を可能に取付けられた筒状の防水シート、耐火材等のカバー材とで構成されているので、開口部間の目地部を筒状のカバー材で覆うことができる。
したがって、従来のようにコーナー部が移動によって隙間が生じたりすることなく、確実に覆うことができる。
【0021】
(2)前記(1)によって、左右の躯体が異なる前後方向に揺れ動いた場合にはスライド枠が前後方向にスライド移動して、その揺れ動きを吸収することができるとともに、左右の躯体が異なる左右方向に揺れ動いた場合には、上下部カバー材支持機構および側部カバー材支持機構が伸縮し、この伸縮に応じて筒状のカバー材も伸縮させて、その揺れ動きを吸収することができる。
したがって、左右の躯体が異なる前後方向に揺れ動いても、損傷することなく確実に防水や耐火等の効果を得ることができる。
【0022】
(3)前記(1)によって、上下部カバー材支持機構や側部カバー材支持機構はヒンジ状のリンクでよいので、免震ビル等の大きな揺れ動きを設定する所にでも使用することができる。
【0023】
(4)請求項2、3も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の平面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の側面図。
【図3】図1の3−3線に沿う拡大断面図。
【図4】図2の4−4線に沿う拡大断面図。
【図5】本発明の第1の実施の形態のスライド枠の説明図。
【図6】本発明の第1の実施の形態の上下部カバー材支持機構の説明図。
【図7】本発明の第1の実施の形態の側部カバー材支持機構の説明図。
【図8】本発明の第1の実施の形態の筒状のカバー材の説明図。
【図9】本発明の第1の実施の形態の目地部が狭くなった動作説明図。
【図10】本発明の第1の実施の形態の目地部が広くなった動作説明図。
【図11】本発明の第1の実施の形態の異なる前後方向の動作説明図。
【図12】本発明の第2の実施の形態の平面図。
【図13】図12の13−13線に沿う拡大断面図。
【図14】図13の14−14線に沿う断面図。
【図15】本発明の第3の実施の形態の平面図。
【図16】図15の16−16線に沿う拡大断面図。
【図17】図16の17−17線に沿う断面図。
【図18】本発明の第4の実施の形態の平面図。
【図19】本発明の第4の実施の形態の側面図。
【図20】図18の20−20線に沿う拡大断面図。
【図21】本発明の第5の実施の形態の平面図。
【図22】図21の22−22線に沿う拡大断面図。
【図23】図22の23−23線に沿う断面図。
【図24】本発明の第6の実施の形態の平面図。
【図25】本発明の第6の実施の形態の側面図。
【図26】図24の26−26線に沿う拡大断面図。
【符号の説明】
1、1A、1B、1C、1D、1E:カバー壁、
2:目地部、 3:躯体、
4:連絡通路、 5:開口部、
6:支持金具、 7:スライド枠、
8:枢支ピン、 9:リンク、
10、10A:上下部カバー材支持機構、
11:リンク部材、
12、12A、12B:側部カバー材支持機構、
13:ビス、 14、14A、14B:カバー材、
15:ビス、 16:カバーシート、
17:充填材、 18:耐火シート、
19:中央支持リンク、 20:四角枠形状のリンク、
21:枢支ピン、 22:中央バー、
23、23A:中央維持リンク機構、
24:枢支ピン、 25:中央維持バー、
26:取付け紐。

Claims (3)

  1. 目地部を介して配置された左右の躯体の壁面に連絡通路を形成するために形成された開口部の一方の躯体の開口部の目地部側外周部の壁面に前後方向にスライド移動可能に取付けられたスライド枠と、このスライド枠の上下部位のバー部材に一端部が枢支され、他端部が前記他方の躯体の開口部の目地部側外周部の上下部位の壁面に枢支されたほぼ中央部が内側あるいは外側のいずれか一方に突出するように枢支されたリンクを用いた上下部カバー材支持機構と、前記スライド枠の両側部位のバー部材に一端部が枢支され、他端部が前記他方の躯体の開口部の目地部側外周部の両側部位の壁面に枢支されたほぼ中央部が内側あるいは外側のいずれか一方に突出するように枢支されたリンクを用いた側部カバー材支持機構と、この側部カバー材支持機構および前記上下カバー材支持機構の伸縮が可能に、該カバー材支持機構に沿うようにあるいはW、逆W状になるように固定され、両側部が一方の躯体の目地部側壁面と他方の躯体の目地部側壁面に接触状態で前記スライド枠の移動を可能に取付けられた筒状の防水シート、耐火材等のカバー材とからなることを特徴とするカバー壁。
  2. 目地部を介して配置された左右の躯体の壁面に連絡通路を形成するために形成された開口部の一方の躯体の開口部の目地部側外周部の壁面に前後方向にスライド移動可能に取付けられたスライド枠と、このスライド枠の上下部位のバー部材に一端部が枢支され、他端部が前記他方の躯体の開口部の目地部側外周部の上下部位の壁面に枢支されたほぼ中央部が内側に突出するように枢支されたリンクを用いた上下部カバー材支持機構と、前記スライド枠の両側部位のバー部材に一端部が枢支され、他端部が前記他方の躯体の開口部の目地部側外周部の両側部位の壁面に枢支されたほぼ中央部が外側に突出するコ字状のリング部材を介装したリンクを用いた側部カバー材支持機構と、この側部カバー材支持機構および前記上下部カバー材支持機構の伸縮が可能に、該カバー材支持機構の内側部位に沿うように固定され、両側部が一方の躯体の目地部側壁面と他方の躯体の目地部側壁面に接触状態で前記スライド枠の移動を可能に取付けられた筒状の防水シート、耐火材等のカバー材とからなることを特徴とするカバー壁。
  3. 目地部を介して配置された左右の躯体の壁面に連絡通路を形成するために形成された開口部の一方の躯体の開口部の目地部側外周部の壁面に前後方向にスライド移動可能に取付けられたスライド枠と、このスライド枠の上下部位のバー部材に一端部が枢支され、他端部が前記他方の躯体の開口部の目地部側外周部の上下部位の壁面に枢支されたほぼ中央部が内側あるいは外側のいずれか一方に突出するように枢支されたリンクを用いた上下部カバー材支持機構と、前記スライド枠の両側部位のバー部材の上下部に一端部が枢支され、他端部が前記他方の躯体の開口部の目地部側外周部の両側部位の上下部の壁面に枢支された中央枢支部が常時前記目地部のほぼ中央部に位置する2対の中央維持リンク機構、この2対の中央維持リンク機構の上下部に位置する中央枢支部に枢支された一対の中央維持バーとからなる側部カバー部材支持機構と、この側部カバー材支持機構および前記上下部カバー材支持機構の伸縮が可能に、該カバー材支持機構にWあるいは逆W状になるように固定され、両側部が一方の躯体の目地部側壁面と他方の躯体の目地部側壁面に接触状態で、前記スライド枠の移動を可能に取付けられた筒状の防水シート、耐火材等のカバー材とからなることを特徴とするカバー壁。
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